(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ディスプレイ装置のために、当該ディスプレイ装置の供給電圧ラインで電圧供給される複数のピクセルのうちの一のピクセルのIR電圧降下の効果を認識するステップであって、
前記一のピクセルについて、前記供給電圧ラインで電圧供給される複数のピクセルのうちのその他のピクセルをリフレッシュサイクルの間にリフレッシュすることによる電流に関連する複数の電流値を計算するステップであって、複数の電流値のそれぞれが、その他のピクセルのピクセルのリフレッシュの間の前記一のピクセルに関する電流に対応するステップと、
前記複数の電流値に基づいて前記一のピクセルの値を認識するステップと、
を具える、認識するステップと;
前記値の少なくとも一部に基づいて前記一のピクセルの輝度信号を生成するステップであって、当該輝度信号が前記一のピクセルのIR電圧降下の効果を補償する輝度信号である、ステップと;
を具えることを特徴とする方法。
請求項10に記載の方法において、前記複数のピクセルのうちの特定のピクセルの瞬間輝度が、前記複数のピクセルのその他のピクセルがリフレッシュされるときに変化することを特徴とする方法。
請求項11に記載の方法において、前記特定のピクセルの輝度信号が、前記その他の各ピクセルがリフレッシュされるときに所定の時間インターバル内で変化する瞬間輝度の時間平均であることを特徴とする方法。
請求項15に記載のディスプレイ装置が、前記ピクセルマトリックスを具える、活性マトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)パネルを具えることを特徴とするディスプレイ装置。
請求項15に記載のディスプレイ装置において、前記ピクセルが、前記輝度信号の少なくとも一部に基づいて発光デバイスを流れる電流量を制御するように構成した駆動トランジスタを具えることを特徴とするディスプレイ装置。
請求項15に記載のディスプレイ装置において、前記輝度コントローラが、前記ディスプレイ装置の回路を処理することによって実行可能なアプリケーションを具えることを特徴とするディスプレイ装置。
【発明を実施するための形態】
【0005】
活性マトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)は、LCDディスプレイに比べると、視野角がより広く、より明るく、応答時間がより早く、よりスリムなパネルでエネルギィ消費量がより少ない。AMOLEDパネルの各ピクセルは、光を照射する有機発光ダイオード(OLED)を具えており、ディスプレイを形成する。ピクセルはマトリックス状に配置され、スクリーンのリフレッシュは横態様(row−by−row)でおこなわれる。一行の各ピクセルは、所定の時間スロット内に同時にリフレッシュされ、その後ピクセルが次のリフレッシュサイクルまで所定の輝度レベルに保たれる。従って、アドレスされたときにのみ各ピクセルがその輝度を維持する受動マトリックスに比較して、活性マトリックスと呼ばれている。このディスプレイを正しく機能させるために、AMOLEDディスプレイのピクセルは、伝達すべき特定のシーン全体に適切な輝度レベルにセットされており、次のリフレッシュが次のシーンのピクセルをリセットするまで、この輝度レベルが維持(記憶)されていなければならない。これを達成するため、各ピクセルはピクセル回路と呼ばれる回路を有しており、OLEDを駆動する。ピクセル回路は、各回路に信号と電力を提供するバスラインによって接続されている。このピクセル回路とバスラインが、AMOLEDのバックプレーンを形成している。
【0006】
図1を参照すると、本開示の一実施例によるディスプレイ装置の一部の回路図が示されている。ディスプレイ装置100は、例えば、活性マトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)パネル又はいずれかのタイプのディスプレイ装置を具えており、ここでは瞬時のピクセル光出力が、ピクセル内の発光サブコンポーネントを流れる電流に依存しており、この電流を供給しているバスラインがその他のピクセルに共用されており、このラインに沿った複数のピクセルが同時に点灯する。
図1に示すように、ディスプレイ装置100は、列C
1−C
xと行R
1−R
yに配置したピクセルマオリックス103を具える。ディスプレイ装置100は、また、列C
1−C
xの各々のピクセル103に接続した電圧供給ライン109(V
DDともいう)を具える。更に、ピクセル103の各列R
1−R
yはスキャンライン113を具え、ピクセル103の各行が、データライン116を具える。
【0007】
ディスプレイ装置100の特定の列R
1−R
yにあるすべてのピクセルは、所定の時間スロット内に同時にリフレッシュされ、その後、これらのピクセル103は、特定の行R
1−R
yが次のリフレッシュサイクルでリフレッシュされるまで、所定の輝度レベルに保たれる。この結果、輝度信号が各データライン116に与えられ、スキャンライン113の一つがアクティブ状態になる。アクティブ状態にあるスキャンライン113に応じて、データライン116に与えられた輝度信号が、対応する行R
1−R
yの対応するピクセル103に提供される。その後、新しい輝度信号がデータライン116に与えられ、次の行R
1−R
yのスキャンライン113がアクティブ状態になる。これに応じて、アクティブ状態になったスキャンライン113を有する新しい行R
1−R
yのピクセル103に、データライン116に与えられている輝度信号が提供される。ディスプレイ装置100の残りの行R
1−R
yの全てについてこのプロセスが繰り返され、画像が生成される。このプロセスは更に、データライン116上で信号が変化している全てのピクセル103に対して繰り返され、動画が生成される。
【0008】
図2を参照すると、本開示の様々な実施例によるディスプレイ装置100(
図1)のピクセル103の一例を示す回路図が示されている。図に示すように、ピクセル103は、1本のデータライン116、電圧供給ライン109、及び1本のスキャンライン113を具える。更にピクセル103は、スイッチングトランジスタ203、駆動用トランジスタ206、キャパシタ209、発光デバイス213、及び簡潔にするために詳細については述べていない潜在的なその他の構成要素を具えていてもよい。その他の回路構成及び構成部品は、代替の実施例においてピクセル103に使用できると解される。
【0009】
発光デバイス213は、発光デバイス213を流れる電流に応じて発光するように構成されている。従って、発光デバイス213は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)、無機発光ダイオード(LED)、量子ドットベースの発光ダイオード、あるいはその他のタイプの発光デバイスの形で実施される。
【0010】
駆動トランジスタ206は、発光デバイス213を流れる電流量を提供しコントロールするよう構成されている。この結果、駆動トランジスタ206の第1ターミナル206aは、電圧供給ライン109に接続されており、駆動トランジスタ206の第2ターミナル206bは、発光デバイス213に接続されている。当業者には自明なように、駆動トランジスタ206の第1ターミナル206aから第2ターミナル206bに流れる電流量は、駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cに印加されている電圧レベルに依存する。例えば、駆動トランジスタ206のが、飽和領域で動作するp−型MOSトランジスタである場合、駆動トランジスタ206を流れる電流は、以下の式を用いて具現化することができる。
ここで、Iは駆動トランジスタ206を流れる電流、V
DATAはデータライン116からの輝度信号の電圧、V
DDは電圧供給ライン109の電圧、スレッシュホールド電圧V
TH<0、及びk=μCW/Lである。ゲート誘電体の表面キャパシタンスはC、トランジスタの移動度はμ、トランジスタのチャンネル長さに対するチャンネル幅の比はW/Lである。
【0011】
スイッチングトランジスタ203は、駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cにデータライン116からの信号を選択的に提供するように構成されている。このため、スイッチングトランジスタ203の第1ターミナル203aがデータライン116に接続され、スイッチングトランジスタ203の第2ターミナル203bは駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cに接続され、スイッチングトランジスタ203の第3ターミナル203cは、スキャンライン113に接続される。スイッチングトランジスタ203は、スキャンライン113に提供されている信号に応じてオンオフが切り替わる。この意味で、データライン116からの信号は、スキャンライン113信号がアクティブになると、スイッチングトランジスタ203を通過して駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cへ送られて、スイッチングトランジスタ203がオンになる。スキャンライン113がアクティブでない場合は、スイッチングトランジスタ203はオフ状態であり、データライン116の信号が、駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cで受信されない。
【0012】
キャパシタ209は、スイッチングトランジスタ203がオンの時に駆動トランジスタ206の第3ターミナルcに与えられる電圧(すなわち、輝度信号)を保存し、スイッチングトランジスタ203がオフになってもこの電圧値を実質的に維持する。キャパシタ209は駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cに接続されているので、キャパシタ209は、ディスプレイ装置100のリフレッシュサイクルの間に発光デバイス213を流れる特定の電流値を維持するよう働く。
【0013】
ピクセル103のリフレッシュ期間に、輝度信号がデータライン116に提供され、スキャンライン113がアクティブになってスイッチングトランジスタ203をオンにし、これによって、データライン116における輝度信号を駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cに提供する。駆動トランジスタ206の第3ターミナル206cで受信した輝度信号に応じて、また、駆動トランジスタ206の第1ターミナル206aにおける供給電圧の特定の値に応じて、駆動トランジスタ206の第1ターミナル206aから第2ターミナル206bへ電流が流れ、発光デバイス213に電流が流れる。この電流の関係は、例えば、式1でモデル化されている。発光デバイス213を流れる電流から、発光デバイス213から光が発せられる。発光デバイス213から発光される光の輝度は、駆動トランジスタ206から流れる電流量に依存しているためこの光の輝度も、駆動トランジスタ206の第1ターミナル206aにおける供給電圧の値と第3ターミナル206cにおける輝度信号とに依存している。
【0014】
図1に示す実施例では、供給電圧ライン109は、ディスプレイ装置100の全てのピクセル103の、駆動トランジスタ206の第1ターミナル206aに接続されている。供給電圧ライン109は、非理想コンダクタであるため、ピクセル103では、IR降下と呼ばれる事象が生じる。供給電圧ライン109の抵抗はゼロではないので、供給電圧ライン109に沿って電圧(V=IR)降下が見られる。このIR降下は、ディスプレイ装置100の輝度均一性に影響する。この結果、供給電圧ライン109用の入力点から比較的離れているピクセル103が受けとる供給電圧は、例えば、入力点に比較的近いピクセル103より低い。例えば、ピクセル103の列について単純化した供給電圧モデルは:
で表すことができる。ここで、V
iは、位置iにおける特定のピクセル103に見られる供給電圧ライン109からの供給電圧であり、V
DD0は、ディスプレイ装置100の入力点における供給電圧ライン109の電圧であり、rは、供給電圧ライン109の隣接するピクセル103間のセグメントの抵抗であり、nは、列C
1−C
yのピクセル103の数であり、I
mは、ピクセルm(1からn)を流れる電流である。従って、各ピクセル103について、式2は、IR降下を考慮して、式1におけるV
DDを置き換えている。
【0015】
ピクセルiの電流が、ΔI
i=I
next frame−I
current frameと仮定すると、供給電圧ライン109はこのΔI
iをピクセルiまで運ぶ必要がある。ラインの抵抗は比較的小さく、一つのピクセルで生じる電流が変化する可能性は、供給電圧ライン109によって運ばれる総電流に比べると小さく、高次の影響は無視することができ、この仮定の下では、ピクセル
iによってみられる電圧の変化は、ΔV
i=−i×r×ΔI
iで表すことができる。位置
iにおけるピクセルの電圧のこの変化は、位置
iにおけるピクセル自体によって生じるため、ΔV
iは、ΔV
i,iと書き直すことができる。ここで、第1のインデックスは、電圧が影響を受けたピクセルを表し、第2のインデックスは、この電圧の変化によって電流が変化したピクセルを表す。互いのピクセルに対するクロストークを考慮すると、位置iにおけるピクセルの電流変化ΔIiの結果、位置jにおけるピクセルの電流変化となり、これはj>iの場合に、ΔV
j、i=−i×r×ΔI
iとなる。
【0016】
供給電圧ライン109は又、ピクセル103のリフレッシュによる意図しないクロストークが生じやすくなる。例えば、第1ピクセル103と第2ピクセル103が同じ列C
1−C
yにある場合の、位置mにおける第2ピクセル103の電流の変化に起因する位置
iにおけるピクセル103供給電圧の変化は、以下の式で表すことができる。
ここで、ΔV
i,mは、位置
mにおける第2電圧の電流の変化(ΔI
m)に対する、位置
iにおける第1ピクセル103の供給電圧の変化である。供給電圧の変化に対するあるピクセルにおける電流の変化は、V
DDに対する式1の導関数を取ることによって近似することができる。式1及び3を用いて、位置mにおける第2ピクセル103の電流の変化に起因する位置iにおける第1ピクセル103の電流の変化は、以下の式を用いて表すことができる。
ここで、ΔI
i,mは、位置
mにおける第2ピクセルの電流の変化(ΔI
m)に起因する位置
iにおける第1ピクセル103の電流の変化であり、ΔV
i,mは、式3に対応するとともに、V
DD(i,m−1)は、位置
mにおけるピクセルがその電流を変化させる直前に位置iにおけるピクセルによってみられる電圧供給ライン109への電圧を表し、IR降下が考慮されている。従って、式4は、IR降下とクロストークの効果を考慮した場合の、ピクセル103の電流の変化の推定値を提供する。このように、例えば、式4を用いて、ピクセル103のIR降下とクロストークの効果を認識することができる。ΔV
i,mが小さい状態では、式4は、以下の通り近似できる。
【0017】
以下に述べるように、各ピクセル103について、補償輝度信号がデータライン116に印加され、その結果駆動トランジスタ206によって提供される平均実電流値が目標電流とほぼ同じになる。まず、以下の例は、ディスプレイ装置100は、非補償輝度信号を用いて予めピクセル103をリフレッシュしており、ディスプレイ装置100がピクセル103のリフレッシュを開始する準備ができているものと仮定する。
【0018】
ディスプレイ装置100は、その列のピクセル103が所望の輝度を放射するよう、新しい期待ターゲット値
を認識する。この結果、ディスプレイ装置100は、例えば、値を保存しているルックアップテーブルに問い合わせを行う、あるいは、ディスプレイ装置が、例えば、駆動電流の関数としてピクセル103の輝度をモデルにした式を用いて、この値を計算することができる。
【0019】
ディスプレイ装置100は、次いで、ピクセル103が予めリフレッシュされている場合に新しい期待ターゲット電流値からピクセル103の電流差を認識する。この関係は以下の式で表される。
ΔI
target(m)をΔI
mで置き換えて式3を用いて、ピクセル103で見られる供給電圧の変化を認識することもできる。例えば、m=iのとき、ΔV
i,i=−i×r×ΔI
target(i)となるので、リフレッシュ後の電流の変化は、ΔV
i,i=−k×(V
DATA(i)−V
DD(i,i−1)−V
TH)×ΔV
i,iにより式5から得られる。ここで、V
DD(i,i−1)は、ピクセルをリフレッシュする前の位置iにおけるピクセルに見られる電源ライン109の値である。V
DD(i,i−1)は、式2を用いて、その時の列にある各ピクセルの実電源ライン値を減算することで計算できる、あるいは、連続的に列をリフレッシュする場合、V
DD(i,i−1)を記録して、各ピクセルについてのルックアップテーブル中で更新することができる。このように電源の変化及びピクセル103がリフレッシュされることによるピクセル103の電流の変化を認識できる。
【0020】
ディスプレイ装置100は、次いで、列C
1−C
y中のその他の各ピクセルをリフレッシュした後に、ピクセル103の期待電流値の変化を認識する。従って、列C
1−C
yにy個のピクセルがあれば、認識される期待電流値にy個の変化がある。これらの変化を計算するには、例えば、式4と式5を用いることができる。位置iのピクセルをリフレッシュした後、回路は、1/n×f秒の時間インターバルの後i+1の位置のピクセルを更新し続けることができる。ここで、fは、スクリーンのリフレッシュレートである。ピクセルi+1の更新によりピクセルiにおけるV
DDの変化が、ΔV
i,i+1=−i×r×ΔI
target(i+1)で得られ、ピクセルi+1のリフレッシュによるピクセルiの電流の変化が、ΔV
i,i+1=−k×(V
DATA(i)−V
DD(i,i)−V
TH)×ΔV
i,i+1で決定する。列内のピクセルがリフレッシュを続けると、このリフレッシュサイクルの最後のピクセルである位置i−1のピクセルに到達するまで、ピクセルnとピクセル1の更新を続ける。
【0021】
その他の各ピクセル103をリフレッシュして電流の変化を認識すると、ディスプレイ装置100は、電流変化の平均値を認識する。この関係は、例えば以下の式を用いて、電流の平均値として決定される。
【0022】
次いで、ディスプレイ装置100は、データライン116に印加する新しい輝度信号の値を認識する。式7と以下の関係式を用いて、ピクセル103のV
DATAの値を、以下の式を解くことによって認識できる。
このように、ピクセル103のIR降下とクロストーク効果を考慮した輝度信号の値を認識することができる。認識したV
DATAの値は、データライン116に補償輝度信号として印加され、ピクセル103をリフレッシュすることができる。ディスプレイ装置100中の全ピクセル103をリフレッシュするサイクルにおいて、ピクセル103の平均電流はターゲット電流とほぼ同じであり、これがピクセル103の所望の輝度となる。このようにして、ディスプレイのビューアは、所望の輝度にあるピクセル103を視覚的に把握することができる。更に、その他のピクセル103を上述した手順と同じ手順でリフレッシュできる。その列にあるすべてのピクセルについて同じステップを繰り返すことで、ピクセルの全列についてIR降下を補償することになる。
【0023】
IR降下及びクロストークの補償スキームは、以下のような予見によって動作する。近づきつつあるデータライン信号で予測することによって、各ピクセルの所望の輝度を知る。その0次データから、供給ラインに沿ったその他のピクセルによる特定電流で各ピクセルで生じるIR降下を予測する。この情報から、補正ファクタを計算又は提供する。これは、データ信号に印加され、計算したIR降下による輝度の変化を補償する。従って、このスキームで所望の輝度に近い平均ピクセル輝度が得られる。
【0024】
デモンストレーションとして、
図1(例えば、y=4)に記載したような、AMOLEDディスプレイの4ピクセル2T1C列を考える。供給電圧ライン109の電圧を10Vとすると、駆動トランジスタ206(
図2)のスレッシュホールド電圧は2.4Vであり、ゲート誘電体の面積キャパシタンス(C)は、30nF/cm
2であり、トランジスタの移動度(μ)は5cm
2/(V*s)であり、トランジスタのチャネル長さに対するチャネル幅比(W/L)は10であり、以下の式となる。
【0025】
634μm×211μmのピクセルサイズ(例えば、55インチ、16:9のアスペクト比、及び1920×1080解像度スクリーン用サブピクセルサイズ)、600cd/m
2スクリーン明度、10cd/A OLED効率、及び30%の開口比によれば、各ピクセルに供給される電流は、8μAと計算できる。供給電圧ライン109の大きなIR降下を、4つのピクセルの電流と共に図示するために、2つの隣接するピクセル間の供給電圧ライン109の仮定抵抗は500Ωとする。一方、これは、実際の供給電圧ライン109の抵抗に比べて非現実的に高いが、この高抵抗がピクセル間のIR降下を強める。式1から、V
DATAは、6.5672Vとなる。
【0026】
まず、4つのピクセルすべてに印加されたV
DATA=6.5672Vの補償が行われていない場合を考える。供給電圧ライン109のIR降下により、各ピクセルに見られる実際のV
DD電圧が異なって、異なるピクセル電流となる。供給電圧ライン109のIR降下は、ピクセル1を通る電流をほぼ3%低下させる一方で、ピクセル4の電流は7%以上低下する。表1は、IR降下による様々な値の例を示す。
【0027】
ここで、上述した輝度補償を考える。新しいリフレッシュサイクルでのピクセルを通る電流の変化によって、電流の初期状態が規定される。初期電流の自然な選択は、補償されていない状態であるため、ピクセル列が予め補償を行うことなく駆動されたものと仮定する。新リフレッシュサイクルは、ピクセル1をリフレッシュすることから始まる。まず、ΔI
targetを式6に従って、各ピクセルについて8μAである新ターゲット電流と、以前の電流との間の差として計算することができる。ΔI
targetから、ΔV
i,iの全ての値を、式3に基づいて計算できる。ΔI
i,mは、従って、式5から決定できる。これを行う前に、式2に基づいて、すべてのV
DD(i,m−1)の値を計算するのが良い。全てのパラメータを用いて、式7によってΔI
average(i)の式を決めることができ、式8を解くことによって各ピクセルについての適切なV
DATAが見つかる。平均値は各ピクセルについての最後のリフレッシュサイクルに基づいて計算することができる。全てのピクセルについて、表2に示すように0.05%より少ない偏差が見られた。
【0028】
ターゲット電流値と実際の電流値との間には、計算プロセスの近似によって有限差分がある。信号が安定した後は、ターゲット電流値が変わらないので、この差は小さくならない。例えば、ピクセル3は、次のリフレッシュサイクルの間にターゲット電流が8μAに保たれたら、8μAに対して7.9972μAの電流が流れるであろう。実際の世界中のアプリケーションでは、これは、偏差がより変化する静止画像を表示する時に、この近似レベルで補正できないディスプレイ中の有限エラーが生じることを意味している。この場合、一以上の近似オーダを考慮したより正確なソリューションまたは実際のソリューションを計算して、より正確なディスプレイを達成できる。これは、知覚フォーカスがより知覚できる偏差を生むので、スクリーンが静止画像を表示しているときの最良の方法である。更に、コンピュータによるバッテリィ容量を振り分けて、より正確な計算を行うことができる。一方で、ディスプレイが映画など動画を表示している場合は、知覚注意が分散して、画信号フレームの有限エラーが、見つけにくくなり、一次近似を適切なものにする。エラーがより少なく、コンピュータ資源が入手可能であれば、2次又はそれ以上の計算を動画ディスプレイにも適用できる。
【0030】
次いで、
図3を参照すると、本開示の様々な実施例により、輝度コントローラ300(
図4)をディスプレイ装置100(
図1)に実装した機能の一例を示す。輝度コントローラ300は、例えば、処理装置で実行可能な処理デバイス及び/又はロジックを具える。
図3に示すフローチャートは、ここに述べる輝度コントローラ300の部分の操作を実装するのに使用できる、タイプが異なる数多くの機能構成の一例を提供しているに過ぎないと解すべきである。代替として、
図3のフローチャートは、一またはそれ以上の実施例によるディスプレイ装置100に実装した方法のステップ例を示す。
【0031】
ボックス303から説明すると、輝度コントローラ300がピクセル103の第1輝度信号を認識する。第1輝度信号は、例えば、ピクセル103をリフレッシュするのに以前に使用した非補償輝度信号の値であってもよい。次いで、ボックス306に示すように、ボックス303で認識した第1の輝度信号に少なくとも部分的に基づいて、ピクセル103について第1ターゲット電流値を認識する。輝度コントローラ300は、次いで、ボックス309において、ピクセル103についての所望の輝度に少なくとも部分的に基づいて、ピクセル103についての第2ターゲット電流信号を認識する。この結果、輝度コントローラ300は、例えば、ルックアップテーブルに問い合わせる、あるいは第2ターゲット電流値を計算できる。ボックス313にゆくと、輝度コントローラ300は、第1ターゲット電流値と第2ターゲット電流値との間の差異を認識する。この関係は、上述の式6で表される。
【0032】
ボックス316に示すように、輝度コントローラ300は、ついで、第2ターゲット電流値でリフレッシュしたピクセル103に応答して、ピクセル103の期待供給電圧の変化を認識する。輝度コントローラ300は、ボックス319で、リフレッシュした列C
1−C
yのその他の各ピクセル103によって、ピクセル103の期待電流値の変化を認識する。この結果、輝度コントローラ300は、例えば、上述の式4又は式5を適用する。次いで、ボックス323に示すように、列C
1−C
yのその他の各ピクセル103をリフレッシュした後のピクセル103の平均期待電流値を規定する。輝度根トローラ300は、例えば、上述の式7を適用して、平均期待電流値を認識し、これらを列中の各ピクセル103のV
DATAなど、第2輝度信号の関数として表す。
【0033】
ボックス326では、輝度コントローラ300が、ボックス323で認識した期待電流値の認識した平均変化に少なくとも部分的に基づいて、ピクセル103の第2輝度信号を認識する。この結果、式8を使って、V
DATAなどの輝度信号を計算できる。ボックス329では、輝度コントローラ300がこの第2輝度信号をピクセル103のデータライン116に印加する。その後、処理が終了する。ディスプレイ装置100(
図1)における輝度コントローラ300によって実装した機能(
図4)は、特定のピクセル回路設計の働きに依存しないので、IR降下がピクセル列にインパクトをもつ様々な回路設計に用いることができる。一方、IR降下によるピクセル間の相互作用を相殺することができる。電圧及び電流の両方をプログラムしたピクセル回路で動作する。TFTバックプレーン又は、カーボンナノチューブ使用可能縦型有機発光トランジスタ(CN−VOLET)バックプレーンなど、その他のトランジスタ使用可能バックプレーンで動作する。
【0034】
図4を参照すると、本開示の様々な実施例によるディスプレイ装置100の一例のブロック図が示されている。ディスプレイ装置100は、プロセッサ403とメモリ406を有する少なくとも一のプロセッサ回路を具える。プロセッサとメモリは両方とも、ローカルインターフェース409に接続されている。ローカルインターフェース409は、例えば、付随するアドレス/コントロールバスを有するデータバス、あるいは、適切なその他のバス構造を具える。
【0035】
メモリ406には、プロセッサ403で実行可能なデータといくつかの要素が保存されている。特に、メモリ406に登録されておりプロセッサ403で実行できるものは、輝度コントローラアプリケーション300aと潜在的なその他のアプリケーションである。ここで述べた要素をソフトウエアの形で実装できるのであれば、例えば、C、C++、C#、ObjectiveC,Java、Javascript、Perl、PHP、Visual Basic、Python、Ruby、Delphi、Flash、又はその他のプログラム言語といった、多くのプログラム言語のいずれも使用できる。
【0036】
多くのソフトウエア要素をメモリ406に保存して、プロセッサ403で実行できる。この点に関して、「実行可能」の用語は、プロセッサ403で最終的に稼働できる形にあるプログラムファイルを意味する。実行可能なプログラムの例には、例えば、メモリ406のランダムアクセス部分に読み込むことができ、プロセッサ403で稼働するフォーマットで、機械コードに翻訳できるコンパイルしたプログラムや、メモリ406のランダムアクセス部分に読み込むことができ、プロセッサ403で実行されるオブジェクトコードなどの正しいフォーマットで表現できるソースコード、あるいは、別のプログラムで読み取ってメモリ406のランダムアクセス部分でインストラクションを生成して、プロセッサ403で実行することができるソースコード、その他がある。実行可能なプログラムは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、ハードドライブ、半導体ドライブ、USBフラッシュドライブ、メモリカード、コンパクトディスク(CD)などの光ディスク、あるいは、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピィディスク、磁気テープ、又はその他のメモリ要素を含む、メモリ406の部分又は構成要素に保存することができる。
【0037】
メモリ406は、ここでは、揮発性及び不揮発性メモリ及びデータ保存要素の両方を含むものとして規定されている。揮発性要素は、電力がないときにはデータ値を保持できない。不揮発性要素は、電力がないときもデータを保持できるメモリである。従って、メモリ406は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、半導体ドライブ、USBフラッシュドライブ、メモリカードリーダを介してアクセスするメモリカード、関連するフロッピィディスクドライブを介してアクセスするフロッピィディスク、光ディスクドライブを介してアクセスする光ディスク、適切なテープドライブを介してアクセスする磁気テープ、及び/。又は、その他のメモリ要素、又は、これらのメモリ要素の2又はそれ以上の組み合わせ、を具えていてもよい。更に、RAMは、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、あるいは磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)、及びその他のこのようなデバイスを具えていてもよい。ROMは、例えば、プログラム可能な読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、あるいはその他の同様のメモリデバイスを具えている。
【0038】
また、プロセッサ403は、複数プロセッサ403を提供しており、メモリ406は並列処理回路で作動する複数メモリ406を提供している。このような場合、ローカルインターフェース409は、適切なネットワークであり、複数プロセッサ403の内の任意の二つの間、任意のプロセッサ403と任意のメモリ406間、あるいはメモリ406の任意の二つの間、その他の通信を容易にしている。ローカルインターフェース409は、例えば、ロードバランシングを実行するなど、この通信をまとめるように設計した追加のシステムを具えていてもよい。プロセッサ403は、電気的なものであっても、あるいはその他の入手可能な構造であってもよい。
【0039】
輝度コントローラ300、及びここに述べたその他の様々なシステムは、上述した一般的な目的のハードウエアによって実行されるソフトウエア又はコードで実施できるが、代替の同様のものも、専用のハードウエア又はソフトウエア/一般的な目的なハードウエアと専用ハードウエアとの組み合わせでも実施できる。専用ハードウエアで実施した場合、各々、複数技術の何れか又は組み合わせを使用する回路又は状態機械として実装できる。これらの技術には、限定するものではないが、一またはそれ以上のデータ信号を印加した時に、様々な論理機能を実装する論理ゲートを有するディスクリート論理回路、適切な論理ゲートを持つアプリケーション特定集積回路、又はその他の要素、その他を具えていてもよい。このような技術は、一般的に当業者に良く知られており、従って、ここでは詳細は説明しない。
【0040】
図3のフローチャートは、輝度コントローラ300の一部分の実装の機能と動作の一例を示す。ソルトウエアで実施している場合は、各ブロックは、特定の論理機能を実行する命令をプログラムしたモジュール、セグメント、あるいは、コード部分を表している。このプログラムの命令は、プログラム言語で書かれた人間が読み取ることができるステートメントを具えるソースコード、又はコンピュータシステム又はその他のシステム内のプロセッサ403などの適切な実行システムによって認識可能な複数の命令を具える機械コードの形で実施できる。機械コードは、ソースコード、その他からコンバートできる。ハードウエアで実行する場合は、各ブロックは、測定の論理機能を実装する一の回路又は複数の相互接続した回路を表す。
【0041】
図3のフローチャートは特定の実行順を示しているが、実行順は、記載されているものによって異なる。例えば、2又はそれ以上のブロックの実行順は、図に示す順番と異なっていてもよい。また、
図3に続いて示す2又はそれ以上のブロックは、同時にあるいは部分的に同時に実行するようにしてもよい。更に、いくつかの実施例では、
図3に示す一またはそれ以上のブロックをスキップ又は削除してもよい。更に、任意数のカウンタ、状態変数、又はメッセージを、実用性、アカウント、性能測定の強化、あるいはトラブルシュート救済の提供、その他の目的で、ここに述べた論理フローに加えてもよい。このような変形例は全て本開示の範囲内であると解するべきである。
【0042】
また、輝度コントローラアプリケーション300aを含む、ソフトウエア又はコードを具えるここに述べたロジック又はアプリケーションは、例えば、コンピュータシステム又はその他のシステムのプロセッサ403など、命令実行システムに使用する又はこれに関連する、非一過性コンピュータで読み取り可能な媒体で実行することができる。この点において、ロジックは、例えば、コンピュータで読み取り可能な媒体からフェッチでき、命令実行システムで実行できる命令及び宣言を含むステートメントを具えていてもよい。本開示のコンテキストでは、「コンピュータで読み取り可能な媒体」は、命令実行システムによる使用又はこれに関連するここに述べたロジック又はアプリケーションを含む、保存する、又は維持できるいずれかの媒体である。このコンピュータで読み取り可能な媒体は、例えば、磁気、光、あるいは半導体媒体といった、多くの物理的媒体の何れかを具えていてもよい。適切なコンピュータで読み取り可能な媒体の特定の例は、限定するものではないが、磁気テープ、磁気フロッピィディスク、磁気ハードドライブ、メモリカード、半導体ドライブ、USBフラッシュドライブ、あるいは光ディスクを具える。また、コンピュータで読み取り可能な媒体は、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、あるいは磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を含むランダムアクセスメモリ(RAM)であってもよい。更に、コンピュータで読み取り可能な媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能な読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、あるいはその他の同様のメモリデバイスであってもよい。
【0043】
本開示の実施例は、限定するものではないが、ディスプレイ装置において、同じ電源ラインで供給されている複数のピクセルによる複数の電流の少なくとも一部に基づいて、ディスプレイ装置中のピクセルのIR電圧降下の効果を認識するステップと、このディスプレイ装置において、IR電圧降下の効果の少なくとも一部に基づいてピクセルの輝度信号を発生するステップとを具え、輝度信号がIR電圧降下の効果を補償する方法を具える。別の実施例は、ディスプレイ装置において、同じ電圧ラインで供給されたピクセルの全てによって生じる特定の電流による各ピクセルのIR電圧降下の値であり、そのシーンに適切な、必要なピクセル輝度でそのシーンの次の特定のフレームを表示するのに必要なIR電圧降下の値を計算するステップと、この計算に基づいてIR電圧降下を補償するとともに、これによって、そのシーンの特定フレームに適切な、必要な認識されたピクセル輝度とする、ステップを具える。
【0044】
輝度信号は、リフレッシュしたその他のピクセルに応じてピクセルに関連する複数の電流値の平均の少なくとも一部に基づいてもよい。輝度信号は、電圧及び/又は電流であってもよい。ピクセルは、有機発光ダイオード(OLED)を具えていてもよい。ディスプレイ装置は、活性マトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)を具えていてもよい。ピクセルは、マトリックス発光トランジスタパネルを具えてもよい。特定のピクセルの瞬間輝度は、供給電圧ラインを共用するその他のピクセルがリフレッシュされるときに変化してもよく、一方で、計算に基づいたデータライン信号によってセットされた特定のピクセルの平均認識輝度は、シーンの特定フレームに適切である。
【0045】
本開示の上述の実施例は、本開示の原理を明確な理解のために設定した実装例に過ぎない。上述の実施例には、本開示の静止の予備原理から実質的に外れることなく、様々な変更及び変形を行うことができる。例えば、本開示の態様は、その他のピクセルアーキテクチュアの実装に使用することができる。例えば、本開示の態様は、2008年9月10日出願の米国特許第8,232,561号「NANOTUBE ENABLED,GATE−VOLTATE CONROLLED LIGHT EMITTING DIODES」や、2011年7月12日出願のWIPO公開WO/2012/078759号「ACTIVE MATRIX DILUTE SOURCE ENABLED VERTICAL ORGANIC LIGHT EMITTING TRANSISTOR」に記載されているもの、あるいはIR降下及びクロストークが生じる代替のピクセル設計などの、集積ドライブトランジスタ及び光エミッタを使用する活性マトリックスディスプレイに使用することができる。これらの出願は、引用により本明細書に全体が組み込まれている。これらの変形及び変更は、ここに含まれると意図する。