(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6426269
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】取替ヘッドを有する電動歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20181112BHJP
【FI】
A61C17/22 E
A61C17/22 A
A61C17/22 C
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-504031(P2017-504031)
(86)(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公表番号】特表2017-523834(P2017-523834A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】US2014048304
(87)【国際公開番号】WO2016014088
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】オカイ タケヒデ
【審査官】
長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05309591(US,A)
【文献】
特開2012−223432(JP,A)
【文献】
特開2013−106864(JP,A)
【文献】
特開2014−018519(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0150189(US,A1)
【文献】
特開2012−148054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22
A61C 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歯ブラシ装置であって、
ハンドル軸に沿って延びる電動歯ブラシハンドルと
キャップを有し、
前記電動歯ブラシハンドルは、
ユーザが操作可能なパワースイッチを含むハンドル部分と、
ハンドル部分から軸方向に突出し、歯ブラシヘッドを電動歯ブラシハンドルに着脱可能に結合するように構成されているステム部分と、
電源と、
動き誘導アセンブリとを含み;
前記キャップは、
一端が解放され、キャップ軸の方向に延びるキャビティを形成する管状側壁と、
前記管状側壁の一端から片持ち状に軸方向に延びる保護部材とを含み、
前記キャップが電動歯ブラシハンドルに着脱自在に取り付けられることにより、(1)ステム部分がキャビティ内に位置し、保護部材が、ユーザが操作可能なパワースイッチの上に重なるようにキャップが電動歯ブラシハンドルに取り付けられた保護状態と、(2)キャップが電動歯ブラシハンドルから取り外された使用状態の間で移り変わり、
更に、保護部材の内面とユーザが操作可能なパワースイッチとの間に形成されたギャップを設け、前記保護部材は、前記ハンドル部分の外面から離間された自由端で終端し、それによって前記ギャップへの通路を形成する、
電動歯ブラシ装置。
【請求項2】
前記キャップは、キャビティの他端を囲む上壁をさらに含む、請求項1に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項3】
前記ユーザが操作可能なパワースイッチは、ハンドル部分の下端から軸方向に第1距離の位置に配置され、前記キャップが保護状態にあるとき、管状側壁の一端はハンドル部分の下端から軸方向に第2距離の位置に配置され、第2距離は第1距離よりも大きい、請求項1から2のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項4】
前記ステム部分は、ハンドル部分の上端から軸方向に突出しており、ハンドル部分の上端は横方向の段部を備えた、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項5】
前記管状側壁は、キャビティを少なくとも部分的に特定する内面と、管状側壁の内面の一部が横方向に延びる肩部を備え、キャップが保護状態にあるとき、管状側壁の横方向に延びる肩部がハンドル部分の横方向の段部に当接する、請求項4に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項6】
前記横方向の段部はハンドル部分の下端から軸方向に第3距離の位置に配置され、第3距離は第2距離よりも大きい、請求項5に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項7】
更に、保護部材の内面とユーザが操作可能なパワースイッチとの間にギャップを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項8】
前記キャップは、キャップが保護状態にあるときにキャビティを通気するための1つ以上の穴を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項9】
前記管状側壁は、前記一端を含む係合部分を備え、前記キャップが保護状態にあるとき、該係合部分は、対向するハンドル部分の係合部分と面接触する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項10】
前記管状側壁の係合部分とハンドル部分の係合部分は、いずれも非円形の横断面を有し、キャップが保護状態にあるとき、管状側壁の係合部分とハンドル部分の係合部分との間の面接触が、電動歯ブラシハンドルとキャップとの間の相対回転を防止する、請求項9に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項11】
前記キャップが保護状態にあるとき、前記ハンドル部分の下部が露出したままである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項12】
更に、前記電動歯ブラシハンドルの前記ステム部分に結合された交換可能な歯ブラシヘッドを有し、前記電気歯ブラシハンドルは、キャップが保護状態にあるとき、交換可能な歯ブラシヘッドはキャビティ内に配置される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項13】
前記交換可能な歯ブラシヘッドは、一端が開放したスリーブキャビティを囲むスリーブ部分と、該スリーブ部分に結合され、複数の歯清掃要素を備えたヘッド部分とを含み、前記ヘッド部分は、前記スリーブ部分の一端に結合され、電動歯ブラシハンドルのステム部分は、スリーブキャビティ内に配置された、請求項12に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項14】
前記保護部材は平板からなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項15】
前記保護部材は自由端で終端し、保護部材の自由端は、ユーザが操作可能なパワースイッチの最下部よりも下側で、ハンドル部分の下端の方に配置される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項16】
ハンドル部は状態表示素子を備え、保護部材は自由端で終端し、該状態表示素子は、保護部材の自由端よりも下側で、ハンドル部分の下端の方に配置される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項17】
電動歯ブラシ装置であって、
ハンドル軸に沿って延びる電動歯ブラシハンドルと
該電動歯ブラシハンドルに着脱自在に被せられるキャップを有し、
前記電動歯ブラシハンドルは、
ユーザが操作可能な入力手段を含むハンドル部分と、
電動歯ブラシハンドルに着脱可能に結合される歯ブラシヘッドと、
電源と、
動き誘導アセンブリとを含み;
前記キャップは、
一端が解放され、キャップ軸の方向に延びるキャビティを形成する管状側壁と、ここで前記歯ブラシヘッドは、キャビティ内に位置する、
前記管状側壁の一端から片持ち状に軸方向に延びる保護部材であって、ユーザが操作可能な入力手段の上に重なるように配置される保護部材とを含み、
更に、保護部材の内面とユーザが操作可能な入力手段との間に形成されたギャップを設け、前記保護部材は、前記ハンドル部分の外面から離間された自由端で終端し、それによって前記ギャップへの通路を形成する、
電動歯ブラシ装置。
【請求項18】
前記ユーザが操作可能な入力手段は、ハンドル部分の下端から軸方向に第1距離の位置に配置され、前記キャップが電動歯ブラシハンドルに被せられたとき、管状側壁の一端はハンドル部分の下端から軸方向に第2距離の位置に配置され、第2距離は第1距離よりも大きい、請求項17に記載の電動歯ブラシ装置。
【請求項19】
電動歯ブラシ装置であって、
ハンドル軸に沿って延びる電動歯ブラシハンドルと
該電動歯ブラシハンドルに着脱自在に被せられるキャップを有し、
前記電動歯ブラシハンドルは、
ユーザが操作可能な入力手段を含むハンドル部分と、
前記ハンドル部分に結合され、洗浄要素を有する歯ブラシヘッドと、
電源と、
動き誘導アセンブリとを含み;
前記キャップは、
開いた下端と閉じた上端とを有し、前記歯ブラシヘッドが配置可能なキャビティを形成する内面を有する側壁と、
外気からキャビティの頂部まで延びる第1の通路を形成する穴とを含み、
更に、電動歯ブラシ装置は、前記キャップが取り付けられた状態で外気からキャビティの底部まで延びる第2の通路を有する、電動歯ブラシ装置。
【請求項20】
前記第2の通路は、前記ハンドル部分の外面と、前記側壁の下縁から片持ち状に延びた前記キャップの保護部材との間に形成され、前記保護部材は、前記ユーザが操作可能な入力手段の上に重なる、請求項19に記載の電動歯ブラシ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取替ヘッド(補完ヘッドとも言う)を有する電動歯ブラシに関する。そのような電動歯ブラシは、一般的に、ハンドルとハンドルに着脱可能な取替ヘッドとを含む。
【背景技術】
【0002】
これらの電動歯ブラシはまた、一般的に、ユーザが操作するパワースイッチを含み、電動歯ブラシに電力を供給し、取替ヘッドに動きを与える。取替ヘッドのブラシを損傷から保護し、取替ヘッドの寿命を延ばすことが望ましい。さらに、電源スイッチを偶発的な衝撃から保護することが望ましい。現在知られているこのような保護のための装置は、電動歯ブラシ全体を取り囲み、かさばったものであり、それにより製造コストを増大させ、美観を損なう。したがって、取替ヘッドのブラシや電源スイッチを保護するための保護装置を備えた電動歯ブラシ装置が必要とされている。
【0003】
本発明は、ハンドルとステムとを含む電動歯ブラシ装置に関する。ハンドルは、ユーザが操作可能なパワースイッチを含むことができる。電動歯ブラシ装置はまた、キャップを含む。キャップはキャビティを有し、キャップが電動歯ブラシに結合されたとき、電動歯ブラシハンドルのステムがキャビティ内に配置される。キャップはまた保護部材を有し、保護部材は、ユーザにより操作されるパワースイッチの上に位置する。
【0004】
一実施形態では、本発明に係る電動歯ブラシ装置は、
ハンドル軸に沿って延びる電動歯ブラシハンドルと
キャップを有し、
前記電動歯ブラシハンドルは、
ユーザが操作可能なパワースイッチを含むハンドル部分と、
ハンドル部分から軸方向に突出するステム部分と、ここでステム部分は、歯ブラシヘッドを電動歯ブラシハンドルに着脱可能に結合するように構成されている、
電源と、
動き誘導アセンブリとを含み;
前記キャップは、
一端が解放され、キャップ軸の方向に延びる空洞を形成する管状側壁と、
前記管状側壁の一端から片持ち状に軸方向に延びる保護部材とを含み、
前記キャップが電動歯ブラシハンドルに着脱自在に取り付けられることにより、(1)ステム部がキャビティ内に位置し、保護部材が、ユーザが操作可能なパワースイッチの上に重なるようにキャップが電動歯ブラシハンドルに取り付けられた保護状態と、(2)キャップが電動歯ブラシハンドルから取り外された使用状態の間で移り変わる。
【0005】
別の実施形態では、本発明に係る電動歯ブラシ装置は、ハンドル軸に沿って延びる電動歯ブラシハンドルと、該電動歯ブラシハンドルに着脱自在に被せられるキャップを有する。前記電動歯ブラシハンドルは、ユーザが操作可能な入力手段を含むハンドル部分と、電動歯ブラシハンドルに着脱可能に結合される歯ブラシヘッドと、電源と、動き誘導アセンブリとを含む。前記キャップは、一端が解放され、キャップ軸の方向に延びる空洞を形成する管状側壁と、前記管状側壁の一端から片持ち状に軸方向に延びる保護部材とを含む。ここで前記歯ブラシヘッドは、空洞内に位置する。また、ここで前記保護部材は、ユーザが操作可能な入力手段の上に重なるように配置される。
【0006】
更に別の実施形態では、本発明に係る電動歯ブラシ装置は、ハンドル軸に沿って延びる電動歯ブラシハンドルと、該電動歯ブラシハンドルに着脱自在に被せられるキャップを有する。前記電動歯ブラシハンドルは、ユーザが操作可能な入力手段を含むハンドル部分と、前記ハンドル部分に結合され、洗浄要素を有する歯ブラシヘッドと、電源と、動き誘導アセンブリとを含む。前記キャップは、開いた下端と閉じた上端とを有するキャビティを形成する内面を有する側壁と、外気からキャビティの頂部まで延びる第1の通路を形成する穴とを含む。ここで前記歯ブラシヘッドは、前記キャビティ内に配置されている。更に、電動歯ブラシ装置は、外気からキャビティの底部まで延びる第2の通路を有する。
【0007】
本発明の適用可能性のさらなる領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであり、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、詳細な説明および添付図面からより完全に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る、ハンドル部分と、歯ブラシヘッド部分と、キャップ部分とを含む電動歯ブラシ装置の前方分解斜視図。
【
図2】
図2は、
図1に示す電動歯ブラシ装置の組み立て後の正面斜視図。
【
図3】
図3は、
図2のIII−III線に沿って切断した断面図。
【
図4】
図4は、
図1に示す電動歯ブラシ装置のキャップの正面図。
【
図6】
図6は、
図4に示すキャップの左側面図。右側面図はその鏡像である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施形態に係る、ハンドル部分と、キャップとを含む電動歯ブラシ装置の後方分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する好ましい実施の形態は、例示的なものであり、発明(その用途や使用を含む)をそれに限定するものではない。
【0010】
以下に記載の数値やその範囲は例示的なものである。範囲内に含まれるいずれの値も、範囲の終端値として選ばれることができる。更に、引用する全ての文献は、本願明細書の一部を構成するものとして本願に取り込まれる。本願の明細書における説明と引用する文献における説明との間に不一致がある場合は、本願の説明を優先する。本発明を例示的に示す実施形態の説明は、添付の図面に関連して読まれることを意図しており、添付の図面は明細書全体の一部とみなされる。
【0011】
以下の実施の形態の説明においてなされる方向や向きに関する説明は説明の便宜上用いられるものであって、本願発明の解釈を限定するものではない。比較を表す用語、例えば、下方、上方、水平、垂直、上側、下側、上、下、トップ、ボトムや、それらから導かれる用語(例えば水平方向に、下側方向に、上側方向に等)は、図面を用いた説明の便宜上、用いられた用語であると解釈すべきである。これらの比較を表す用語は、説明のために便宜上用いられたものであり、明確にそうすべきであるとの記載がない限り、装置自身がそのような向きを要件としているものではない。構造を説明するための用語、例えば、取り付けられた、固定された、接続された、連結された、相互連結された…等は、二つの物体が固着または連結された関係を説明するものであり、直接的または間接的(介在物を含む)な場合を含むと共に、分離可能または固着状態のいずれも含む。さらに、本発明の特徴および利点は、例示された実施形態を参照して説明される。したがって、本発明は、単独でまたは他の特徴の組み合わせで示される特徴であって、いくつかの非限定的な組み合わせで示される特徴を有する例示的な実施形態に限定されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0012】
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施形態による電動歯ブラシ装置1000について説明する。電動歯ブラシ装置1000は、電動歯ブラシハンドル100と、歯ブラシヘッド120と、キャップ140とを備える。例示的な実施形態では、電動歯ブラシハンドル100は、ハンドル部分101とステム部分102とを含み、以下でより詳細に説明する。
【0013】
例示された実施形態では、歯ブラシヘッド120は、取替ヘッドとして知られている公知の交換可能な歯ブラシヘッドである。歯ブラシヘッド120および電動歯ブラシハンドル100は、歯ブラシヘッド120が電動歯ブラシハンドル100に対し、繰り返し装着されたり外されたりすることができるように設計されている。
図1では、電動歯ブラシ装置1000は、電動歯ブラシハンドル100に装着されていない状態で示されている。
図2および
図3を参照すると、電動歯ブラシ装置1000は、歯ブラシヘッド120が電動歯ブラシハンドル100に着脱可能に結合された状態で示されている。電動歯ブラシハンドル100と歯ブラシヘッド120との係止は、スナップ止め、摩擦止め、インターフェレンス止め、突起と溝による止め、突出部と凹部による止め、ファスナによる止め等を含むが、これらに限定されない。歯ブラシヘッド120は、使用中に歯ブラシヘッド120が電動歯ブラシハンドル100に対して回転しないように、電動歯ブラシハンドル100に連結されたとき、電動歯ブラシハンドル100に対して固定される。
【0014】
本発明は、ここでは電動歯ブラシ装置として例示されているが、本発明の概念は、取替ヘッドを利用する非電動歯ブラシ(手動歯ブラシ)、他の手動または電動口腔ケア器具、例えば舌洗浄器具、ウォーターピック、歯間装置、歯磨き装置、および歯に対する係合要素を有する特別に設計された器具に適用される。具体的には、一実施形態では、以下に詳細に説明するように、器具がユーザ作動可能な電力スイッチまたは器具に何らかの機能を提供するための入力手段を含む場合、本明細書で論じられる発明の概念を上記の器具のいずれかにも適用することができる。
【0015】
歯ブラシヘッド120は、ヘッド部121およびスリーブ部122を備える。ヘッド部121およびスリーブ部122は、成形可能な硬質プラスチックのような剛性のある材料で形成することができる。好適な硬質プラスチックには、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ビニル化合物およびポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルのポリマーおよびコポリマーが含まれる。もちろん、本発明はそれに限定されるものではなく、歯ブラシヘッド120のスリーブ部122およびヘッド部121を形成するために他の材料を使用することもできる。
【0016】
例示された実施形態では、歯ブラシヘッド120のスリーブ部122およびヘッド部121は、成形、フライス削り、機械加工または他の適切なプロセスを使用して単一の一体構造として一体的に形成される。しかし、他の実施形態では、歯ブラシヘッド120のヘッド部121とスリーブ部122を別々に形成し、製造プロセスの後期段階で、公知の任意の適切な技術、温度又は超音波溶接、締め付け組立、カップリングスリーブ、ねじ係合、接着、または締結具等を用いて組み立てることができる。
【0017】
ヘッド部分121は、その表面から延びる複数の歯清掃要素123を含む。例示された実施形態では、複数の歯清掃要素123は、ヘッド部分121の前面129から延びる。なお、ヘッド部分121は、硬質プラスチック成形品のような剛性材料で形成されているとして説明したが、ヘッド部121は、熱可塑性エラストマーまたは他のゴム材料で形成された部分を含んでもよい。具体的には、頭部121は、使用者の軟部組織表面および舌をマッサージするために、裏面130に軟部組織クリーナ131を含むことができる。そのような軟組織クリーナ131は、使用者の舌および他の組織表面からの汚染物の除去を容易にするために、こぶ、隆起部および/またはくぼみを含むことができる。ヘッド部分121は、使用者の快適性、ヘッド部分121の可撓性および洗浄効率または有効性を高めるために、所望の熱可塑性エラストマータイプの材料を含む他の領域を有してもよい。
【0018】
複数の歯清掃要素123は、口腔表面および/または歯間空間を清掃および/または研磨するために設けられる。歯清掃要素123は、歯を磨くのに特に適している。また歯清掃要素123は、歯の清掃および/または歯の研磨に適している。本明細書で使用される用語「歯洗浄要素」は、歯および/または軟質口腔組織(例えば、舌、頬、歯肉など)と相対的な表面接触を介して行われる洗浄、研磨または拭くための構造を有するものである。「歯清掃要素」の例として、ブラシ房、フィラメント毛、繊維ブラシ、ナイロンブラシ、螺旋ブラシ、ゴムブラシ、弾性突起、可撓性ポリマー突起、それらの組み合わせ、および/またはかかる物質または組合せを含む構造を含む。適切なエラストマー材料には、口腔衛生装置での使用に適した任意の生体適合性の弾性材料が含まれる。最適な快適性および洗浄効果を提供するために、歯または軟組織と当接する要素としてのエラストマー材料は、A8〜A25ショア硬度の範囲の硬度特性を有する。適切なエラストマー材料の一例として、ジー・エル・エス社(GLS Corporation)によって製造されるスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)がある。もちろん、他の製造業者のSEBS材料や、上記の硬度範囲内または範囲外の他の材料を使用することもできる。
【0019】
本発明の歯清掃要素123は、公知の任意の仕方で歯ブラシヘッド120に接続することができる。例えば、ステープル/アンカー、インモールドタフティング(IMT)またはアンカーフリータフティング(AFT)を使用して歯清掃要素(および/または歯係合要素)を取り付けることができる。AFTでは、プレートまたは膜が超音波溶接などによってブラシヘッドに固定される。ブラシの毛は、プレートまたは膜を貫通して延びる。プレートまたはメンブレンの一方の側の毛の自由端は、洗浄機能を果たす。プレートまたは膜の反対側の毛の端部は、熱によって一緒に溶融され、定位置に固定される。本発明の広範な実施において、任意の適切な形態のクリーニング要素を使用することができる。代替的に、ブラシであるブリッスルは、毛の基部がタフトブロックの内部または下方に取り付けられるように、タフトブロックの適切な開口部を通って延びることによって、タフトブロックまたはセクションに取り付けられ得る。
【0020】
歯ブラシヘッド120のスリーブ部分122は、近位端127から遠位端128まで延びる。歯ブラシヘッド120のヘッド部分121は、スリーブ部分122の遠位端128に連結される。さらに、スリーブ部分122は、スリーブキャビティ125を形成する内面124を含む。スリーブキャビティ125は、スリーブ部分122の近位端127に開放底端部126を有する。スリーブキャビティ125のサイズと形状は、電動歯ブラシハンドル100のステム部分102を収納することができるように選ばれ、前記歯ブラシヘッド120を前記電動歯ブラシハンドル100に着脱可能に連結することができるようになっている。具体的には、スリーブ部分122の開放底端部126は、スリーブ空洞125内に通じる通路を提供し、電動歯ブラシハンドル100のステム部分102は、開口部123を介して空洞182の内へまたは外へ軸方向に移動できる。
【0021】
電動歯ブラシハンドル100は、ハンドル軸A−Aに沿って延びている。ハンドル軸A−Aは、電動歯ブラシハンドル100の三次元の中心線とほぼ同一であり、基準線となる。電動歯ブラシハンドル100は、ある実施形態では、非直線的な構造であってもよく、この場合、ハンドル軸A−Aも、電動歯ブラシハンドル100と同様に非直線的であってもよい。本発明の全ての実施形態においてそのように限定されるものではなく、ある実施形態では、電動歯ブラシハンドル100は、単純な直線状の形態を有し、したがってハンドル軸A−Aも実質的に直線状の形態を有する。
【0022】
上述したように、電動歯ブラシハンドル100は、ハンドル部分101およびステム部分102を含む。いくつかの実施形態では、ハンドル部分101およびステム部分102は、機械加工または他の適切なプロセスを含む成形、フライス加工を使用して単一の一体構造として一体的に形成される。しかしながら、他の実施形態では、ハンドル部分101およびステム部分102を別々に形成し、製造プロセスの後の段階で公知の適切な技術、例えば熱的または超音波溶接、圧入係合、カップリングスリーブ、ねじ係合、接着、またはファスナを用いて連結しても良い。
【0023】
ハンドル部分101は、上端部103と下端部119とを有し、ハンドル部分101の上端部103からハンドル軸線A−Aに沿った軸方向にステム部分102が突出している。さらに、ハンドル部分101の上端部103は、横方向の段差104を備える。ステム部分102は、電動歯ブラシハンドル100の一部であり、歯ブラシヘッド120と結合して、電動歯ブラシ装置1000として合体する(
図3参照)。例示的な実施形態では、ステム部分102およびハンドル部分101は、両方ともハンドル軸A−Aに沿って整列される。しかしながら、他の実施形態では、ステム部分102は、ハンドル軸A−Aからオフセットされるように、ハンドル部分101の上端部103から延びることができる。
【0024】
電動歯ブラシハンドル100のハンドル部分101は、使用中にユーザが電動歯ブラシ装置1000を保持し、操作することができる機構を提供する細長い構造である。ハンドル部分101は、本発明を限定するものではないが、多種多様な形状、輪郭および構成をとることができる。例示的な実施形態では、ハンドル部分101は、管状または円筒形であり、一定の外径を有する。他の実施形態では、ハンドル部分101の外径は、ハンドル部分101の長さに沿って変化して、所望の把持快適性を提供することができる。さらに、特定の実施形態では、ハンドル部分101の外面は、部分的にまたは全体的にエラストマー材料で被覆または覆われて、電動歯ブラシ装置100の使用中の使用者の握りやすさおよび快適性を高めることができる。
【0025】
例示的な実施形態では、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部分101は、電動歯ブラシ装置1000の様々な動作を制御する電力スイッチ105含む。様々な動作の制御としては、オンまたはオフ動作、モータ速度の切り換え、照明装置の色の変更、歌やハミングなどの音の出力の変更、他の機能の切り換え等がある。例示された実施形態では、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部分101は、例えばLEDまたは他の可視光生成装置で構成される状態表示素子171を含み、電源投入、電源オフ、バッテリ充電、バッテリ電力低下、動作モード、モータ速度などの電動歯ブラシ装置1000の状態を表示する。状態表示素子171は、ハンドル部分101の外面、例えば電力スイッチ105に隣接した位置または、電力スイッチ105とハンドル部分101の下端部119との間の位置に配置してもよい。ある実施形態では、ハンドル部分101は、内部キャビティを有する中空構造であり、その中に電動歯ブラシ装置1000の電気回路や機械部品が設けられている。そのような実施形態では、ハンドル部分101は水を寄せ付けない密閉構造のハウジングを形成し、電気回路や機械部品を水分や湿度から保護する。
【0026】
例示的な実施形態では、ユーザにより操作される電力スイッチ105は、押し下げ可能なボタンスイッチである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、特定の他の実施形態においては、ユーザにより操作される電力スイッチ105として、スライドスイッチ、複数のボタン、容量スイッチ(例えば、タッチスイッチ)等がある。容量スイッチは、ユーザの手等が接触すれば閉じるようなスイッチである。他の例として、ユーザにより操作される電力スイッチ105としては、スタイラス(操作棒)またはユーザの1つまたは複数の指でディスプレイの画面に触れるような単純操作またはマルチタッチジェスチャを行うことによって操作が可能なタッチスクリーンを含むディスプレイであってもよい。ある実施形態では、ユーザにより操作される電源スイッチ105は、電動歯ブラシ装置1000の電源オンおよびオフ、または電動歯ブラシ装置1000の他の機能の制御を可能にする任意の構造であっても良い。ユーザにより操作される電力スイッチ105は、ユーザによる入力手段であって、ユーザによる命令により電動歯ブラシ装置1000に上述した種々の機能を実行せしめる事ができる任意の構造とすることができる。ボタンスイッチや、上記した他のデバイスは、ユーザによる入力手段と考えることができる。
【0027】
電動歯ブラシハンドル100は更に、電源106および駆動部107を備える。電源106は、駆動部107に電力を供給するものであって、充電式または使い捨て式の電池、DC電源またはAC電源(すなわち、壁などのコンセントに差し込み式のAC電源)、他の電源であってもよい。例示的な実施形態では、駆動部107は、駆動アセンブリ108と偏心部材108とを備えている。電源106、駆動アセンブリ108および偏心部109は、
図1においては、長方形のボックスとして示されている。これらの具体的な構造は、種々の形状、大きさ、向きなどをとることができる。
【0028】
例示的な実施形態では、電源106および駆動アセンブリ108は、ハンドル部分101内に配置され、偏心部109は、ステム部分102内に配置される。もちろん、電源106および駆動アセンブリ108は、他の実施形態では、ステム部102内に設けられ、偏心部109は、ハンドル部分101内に配置されてもよい。駆動アセンブリ108は、モータと、モータを偏心部109に結合される様々なギアなどの駆動構造を含むことができる。他の実施形態では、モータは、偏心部109に直接結合されてもよい。駆動アセンブリ108は、ユーザにより操作される電源スイッチ105が作動させ、電源106から駆動アセンブリ108に電力が供給されると、モータが回転する。駆動アセンブリ108の動作およびモータの回転は、歯ブラシヘッド120の歯清掃要素123に伝えられ、歯清掃要素123は、歯ブラシの他の部分に対して移動可能(位置変化または振動運動による移動可能)となりクリーニング効果を向上させることができる。
【0029】
一実施形態では、以下のようにして歯清掃要素123に動きを与えることができる。偏心部109は、モータの駆動軸などの駆動アセンブリ108に連結される。電力が供給され、モータが回転すると、駆動軸も回転する。駆動軸が回転すると、重心が外れた偏心部109により振動が発生し、歯ブラシヘッド120に伝達される。この実施形態では、歯清掃部材123の運動は振動運動である。偏心部109は、駆動軸の一部が駆動軸の長手方向の軸線から半径方向にオフセットされた駆動軸で形成されてもよい。また別の例として、偏心部109は、オフセットディスクまたは他のオフセット重量で構成されてもよい。この様な振動発生ができるハンドルおよびそれに付随する関連構造であって本発明の電動歯ブラシ装置1000に組み込むことができる関連構造の詳細は、2010年10月28日に公開され、発明者がShimoyama等である米国特許出願公開第2010/0269275号(米国特許出願12/377,355)に記載されており、ここでそれを参照することにより、その全体を本明細書の一部として組み込まれる。
【0030】
歯ブラシヘッド120の揺動可能に保持された清掃要素のキャリアに直接モータの駆動シャフトが連結されてもよい。モータと駆動シャフトの動きは、清掃要素のキャリアを回転方向に動かし、回転方向、直進方向または他の好ましい方向に前後に振動する動きを発生させる。したがって、歯清掃要素123の動きは、偏心部または可動する清掃要素のキャリアを使用することによって達成することができる。なお、これに限らず、公知の任意の他の手段によっても達成することができる。
【0031】
図1〜
図12に基づき、電動歯ブラシ装置1000のキャップ140、およびキャップ140と電動歯ブラシハンドル100との関係について説明する。キャップ140は、内面142および外面143を有する筒状または管状の側壁141を備える。本明細書では管状であるが、他の実施形態では、他の形状をとることができ、すべての実施形態において管状である必要はない。管状の側壁141の内面142の少なくとも一部はキャビティ144を特定する。すなわち、管状の側壁141は、キャップの軸B−Bを中心とするキャビティ144を形成する。管状の側壁141は、キャップの軸B−Bに沿って、下縁部145から上壁部146まで延びている。下縁部145は、電動歯ブラシハンドル100を挿入することができる開口を画定し、必要に応じてキャップ140を電気歯ブラシのハンドル100に嵌めることができる。さらに、上壁146により空洞144の上端を閉じている。
【0032】
キャップ140は、上述した成形可能な硬質プラスチック材料のような剛性材料で形成することができる。本発明はそのように限定されるものではなく、キャップ140は、金属及び金属合金、ゴム、熱可塑性エラストマー等を含む他の材料から形成されてもよい。さらに、特定の実施形態では、キャップ140は、透明材料で形成されてもよい。他の実施形態では、キャップ140は、透けて見える特定の色の材料などの半透明材料で形成されてもよい。この場合、何らかの歪みやディテールの損失はない。さらに他の実施形態では、キャップ140は、キャップ140が透けて見えないように、不透明な材料で形成することができる。
【0033】
キャップ140は、電動歯ブラシハンドル100に着脱自在に連結される。具体的に、キャップ140は、電動歯ブラシハンドル100に着脱自在に連結されることにより、次の2つの状態を交互に変えることができる。(1)保護状態。この状態では、キャップ140が電動歯ブラシハンドル100に取り付けられ、電動歯ブラシハンドル100のステム部102がキャップ140のキャビティ143内に位置する(
図2および
図3)。(2)使用状態。この状態では、キャップ140が電動歯ブラシハンドル100から取り外されている。なお、キャップ140が電動歯ブラシハンドル101に連結されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電動歯ブラシ装置1000に、より具体的には、電動歯ブラシハンドル100(ハンドル部101およびステム部102のいずれかまたは両方)または歯ブラシヘッド120のうちの1つに結合されているとしても良い。
【0034】
例示的な実施形態では、キャップ140が保護状態にあるときに、すなわち、キャップ140が電動歯ブラシハンドル100に結合されているときに、キャビティ144を通気するため、キャップ140の上壁146に1つ以上の穴147が形成されている。穴147は、電動歯ブラシ装置1000の外部空間である外気からキャビティ144の上部に至るまでの通路を形成する。例示的な実施形態では、穴147は、キャップ140の上部壁146に形成されているが、例示的な他の実施形態では、穴147は、キャップ140の管状の側壁141に形成しても良い。また、例示的な実施形態では、キャップ140には2つの穴147が形成されているが、1つまたは3つ以上の穴を形成しても良い。さらに他の実施形態では、穴147は、キャップ140の上壁146および側壁141の両方に形成されてもよい。
【0035】
例示的な実施形態では、キャップ140は、管状側壁141に加えて、保護部材150を設ける。保護部材150は、管状側壁141の底縁部145から、底縁部145から離れる軸方向、すなわち上部壁146から離れる方向に延びている。例示された実施形態では、保護部材150は、片持ち式の態様で管状側壁141の下縁部145から延びている。保護部材150は、自由端151で終わっている。例示的な実施形態では、保護部材150は、平坦板154と、平坦板154の後面から延在する第1および第2の側壁152とを備える。例示的な実施形態では、第1の側壁152および第2の側壁152は、平坦板154とは非同一平面上にあり、管状側壁141の下縁145から延在して、保護部材150により一層の剛性を提供する。なお、例示的な実施形態では、第1及び第2の側壁152は、保護部材150の軸方向の全長に沿って延びていない。なお、他の実施形態では、第1及び第2の側壁152は、保護部材150の全長に延びてもよく、更に、自由端151の一部を形成してもよい。このような実施形態では、保護部材150は、全体的にU字形または半楕円形の断面を有する。
【0036】
例示された実施形態では、保護部材150は、管状側壁141から片持ち式に延在し、したがって、管状側壁141とは別個の構成要素とみなすことができる。保護部材150は、単に、管状側壁141の一部であってもよく、この場合は、キャップ140の通気性を良くすることに特化している。このような実施形態では、管状側壁141の底縁部145は、環状縁部であってもよい。
【0037】
管状側壁141の内面142は、横方向に延びる肩部148を含む。キャップ140が
図3に示すような保護状態にあるとき、管状側壁141の横方向に延びる肩部148は、ハンドル部分101の横方向に延びる段部104と当接する。具体的には、管状側壁141の横方向に延びる肩部148は、ハンドル部分101の横方向に延びる段部104に面接触する。
図3に示すように、キャップ140の第1の部分161は、ハンドル部分101の横方向に延びる段部104と接触し、キャップ140の第2の部分162は、ハンドル部分101の横方向に延びる段部104から離間し、接触しない状態にある。具体的には、例示された実施形態では、電動歯ブラシ装置1000の後部の横方向に延びる段部104の部分のみが、管状側壁141の横方向に延びる肩部148と当接する一方、電動歯ブラシ装置1000の前側にある、横方向に延びる段部104は、管状側壁141の横方向に延びる肩部148と接触していない。もちろん、この発明はここに開示の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態では、横方向に延びる肩部148は、ハンドル部分101を一回りする全域に亘って横方向に延びる段部104と当接する。この場合、横方向に延びる肩部148と横方向に延びる段部104との間が密着するため、空洞144を完全に密閉し、歯ブラシ頭部120に対して耐水層を提供し、歯ブラシ頭部120を保護することができる。
【0038】
図3は、キャップ140が保護状態にある場合を示しており、キャップ140は電動歯ブラシハンドル120に結合され、取り付けられている。保護状態にあるときは、歯清掃要素123を含む歯ブラシヘッド120は、キャップ140の空洞144の中に位置する。更に、保護部材150は、ユーザが操作可能なパワースイッチ105の上に位置するように配置される。別の言い方をすれば、ハンドル部分101の軸A−Aを垂直に横切る断面であって、パワースイッチ105を横切る全ての断面は、キャップ140の保護部材150をも横切る。これにより、保護部材150は、パワースイッチ105を偶発的な操作や損傷から保護する働きをする。
【0039】
ユーザ操作可能スイッチ105(その最下部)は、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部分101の下端部119から第1軸方向距離D1の位置にある。さらに、キャップ140が保護状態、すなわち電動歯ブラシハンドル100に被さった状態にあるとき、キャップ140の管状側壁141の底縁部145は、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部分101の下端部119から第2軸方向距離D2の位置にある。さらに、例示的な実施形態では、ハンドル部101の横方向に延びる段部104は、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部101の下端部119から第3軸方向距離D3の位置にある。さらに、キャップ140の保護部材150の自由端151は、電動歯ブラシのハンドル部分101の底端部119から第4軸方向距離D4の位置にある。ハンドル部分101上の状態表示素子171は、電動歯ブラシのハンドル部分101の下端部119から第5距離D5の位置にある。例示的な実施形態では、第2軸方向距離D2は第1軸方向距離D1よりも大きく、第3軸方向距離D3は第2軸方向距離D2よりも大きい。さらに、例示的な実施形態では、第4軸方向距離D4は第1軸方向距離D1よりも小さいが、他の実施形態では第4軸方向距離D4は第1軸方向距離D1と実質的に同じであってもよい。したがって、例示された実施形態では、保護部材150の自由端151は、ユーザ操作可能な電力スイッチ105の最下部よりハンドル部分101の下端部119の近くに配置される。これにより、保護部材150はユーザ操作可能な電力スイッチ105を覆い、カバーして保護することができる。さらに、例示的な実施形態では、第5軸方向距離D5は、第1および第4軸方向距離D1およびD4のいずれよりも小さい。これにより、保護部材150の自由端151が、状態表示素子171を覆ったり、カバーしたりすることを防止する。従って、保護部材150がハンドル部分101に結合されている場合でも、電動歯ブラシの状態をユーザが容易に見ることができる。
【0040】
例示的な実施形態では、管状側壁141は、横方向に延びる肩部148と管状側壁141の下縁部145との間に延在する係合部分165を備える。より具体的には、係合部分165は底縁部145までを含む、すなわち、係合部分165は、横断方向に延びる肩部148より下側に延在する管状側壁141の下側部分の全部を含む。
図3に示すように、キャップ140が保護状態にあるとき、キャップ140の係合部分165は、ハンドル部分101の係合部分166と面接触している。さらに、キャップ140が保護状態にあるとき、ハンドル部分101の下部170が露出したままである。したがって、キャップ140が保護状態にあるとき、ハンドル部分101の下部170はキャップ140のキャビティ144内に配置されず、使用者による直接的な把持のために露出される。
【0041】
図13を簡単に参照する。管状側壁141の係合部分165およびハンドル部分101の係合部分166の構造および形状についてより詳細に説明する。
管状側壁141およびハンドル部101のそれぞれの係合部165および166は、キャップ140が電動歯ブラシハンドル100に装着されたときに面接触する部分の全てである
管状側壁141の該当部分、およびハンドル部101の該当部分を含んでいる。例示された実施形態では、係合部分165,166の周囲は、管状側壁141およびハンドル部分101のそれぞれの周囲の180°よりも大きい。より具体的には、管状側壁141およびハンドル部分101のそれぞれの周囲の180°〜270°が係合する。
【0042】
例示的な実施形態では、管状側壁141およびハンドル部分101の係合部分165,166は、非円形の横断面を有する。より具体的には、例示的な実施形態では、管状側壁141およびハンドル部分101の係合部分165,166は、楕円形の横断面を有する。他の実施形態では、管状側壁141およびハンドル部分101の係合部分165,166は、三角形、正方形、長方形、または他の多角形のような他の形状の横断面を有してもよい。係合部分165,166の横断面を非円形にすることにより、管状側壁141とハンドル部分101との間の係合部分165,166の面接触は、キャップ140が保護状態にあるときに、電動歯ブラシハンドル100とキャップ140が互いに自由回転することを防止する。さらに、管状側壁141およびハンドル部分101の係合部分165,166を非円形の横断面で形成することにより、キャップ140と電動歯ブラシハンドル100との間の適切な整列が容易になる。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態では、管状側壁141およびハンドル部分101の係合部分165,166は、電動歯ブラシハンドル100とキャップ140との間の回転を可能にする円形の横断面を有してもよい。さらに、整列および回転防止が望ましい場合、その目的を達成するために他の特徴を使用することができ、その1つの実施形態を、
図14−
図17を参照して以下に詳細に説明する。
【0043】
ここで、
図3および
図13を参照して、電動歯ブラシ装置1000についてさらに説明する。保護部材150は、内面167を備え、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部分101は、外面168を備える。保護部材150の内面167は、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部101の外面168から離間している。さらに、保護部材150の内面167は、ユーザが操作可能な電源スイッチ105から間隔Gだけ離れている。したがって、保護部材150は、ユーザが操作可能なパワースイッチ105と面接触していないので、ユーザが操作可能なパワースイッチ105が誤って押し込まれないことをさらに確実なものとする。さらに、保護部材150は、
管状側壁141の下縁145から片持ちになっている平板であるが、保護部材150が操作可能なパワースイッチ105と容易に接触することができないように、キャップ140は、実質的に剛性を有する材料で形成されている。もちろん、ユーザが保護部材150に対して隙間Gの方向に大きな力を加えると、ある実施形態では、保護部材150は、ユーザが操作可能な電力スイッチ105に接触することができる。しかし、通常の取り扱いをしている限り、保護部材150は、ユーザが操作可能な電源スイッチ105と面接触するように押圧される。
【0044】
ある実施形態では、保護部材150の内面167は、輪郭を描いているか、または弧状または丸みを帯びた形状であってもよい。さらに、保護部材150の周縁(またはその一部)は、ハンドル部分101の外面168と接触していてもよい。同時に、保護部材150の内面167は、ハンドル部分101の外面168およびユーザが操作可能なパワースイッチ105から離間していてもよい。その結果、保護部材150の周縁であって、ハンドル部分101の外面168と接触する部分は、保護部材150がユーザが作動可能なパワースイッチ105と直接接触するのを防止し、これによりユーザが操作可能なパワースイッチ105の誤った作動を防止する。この点について更に説明すると、保護部材150とユーザが操作可能な電力スイッチ105との間の接触が生じないように、ユーザが操作可能な電力スイッチ105を収容するためのポケットまたは凹部領域を保護部材150に設けることができる。ある実施形態では、保護部材150の自由端151に沿った外縁が、ハンドル部分101の外面168から離間している状態において、保護部材150の外側端部は、その側面に沿って、ハンドル部分101の外面168と接触してもよい。これにより、以下でより詳細に説明する第2の通路の形成が可能になり、ユーザが操作可能なパワースイッチ105の保護も高めている。
【0045】
さらに、例示された実施形態では、保護部材150の自由端151は、電動歯ブラシハンドル100のハンドル部分101の外面168と、ユーザが操作可能な電源スイッチ105から離間している。保護部材150の自由端151がハンドル部分101の外面168から離間し、ユーザが操作可能なパワースイッチ105から離間した結果、第2の通路169が形成される。第2の通路169は、電動歯ブラシ装置の外部環境(すなわち、外気)がギャップGおよびキャップ140のキャビティ144に入ることを可能にする。これにより、使用後の歯ブラシヘッド120を乾燥させ、汚染物質の成長を防止することに役立つ。第2の通路169、ギャップG、空洞144および穴127の組み合わせにより、空気が空洞を通って受動的に流れ、歯ブラシヘッド120の歯清掃要素123を乾燥させることができる。例示された実施形態では、保護部材150の内面167のどの部分もハンドル部分101の外面168のどことも接触していないし、更にユーザが操作可能な電源スイッチ105とも接触していないので、第2の通路169は外気から空洞144内に至るまで形成される。
【0046】
上記のように、例示された実施形態では、保護部材150は、キャップ140の管状側壁141から延在する片持部で構成される。しかしながら、他の実施形態では、保護部材は、キャップ140の管状側壁141の一部として形成されてもよく、その結果、管状側壁141の底縁部145は環状縁部であり、管状側壁141の底縁145から延びる構造体は無くても良い。このような実施形態では、管状側壁141の保護部材の部分は、ハンドル部分の外面168およびユーザが操作可能なパワースイッチ105から離間され、上述した第2の通路169およびギャップGが設けられる。
【0047】
次に、
図14−17を参照して、本発明の代替の実施形態による電動歯ブラシ装置2000について説明する。電動歯ブラシ装置2000は多くの点で電動歯ブラシ装置1000に類似しているので、200番台の参照符号を用い、下二桁には対応した番号が使用される。電動歯ブラシ装置2000の特徴的部分は、電動歯ブラシ装置1000と同様な番号が付けられているが、ここでは簡略のため詳細には説明しないが、電動歯ブラシ装置1000の同等な部分の説明が適用される。さらに、上述の電動歯ブラシ装置1000の特徴であって、電動歯ブラシ装置2000には図示されていないもの、または電動歯ブラシ装置2000に図示されているが、番号が付されていないものであっても、電動歯ブラシ装置2000にも適用される。逆も同様である。したがって、以下に説明する電動歯ブラシ装置2000に関する特徴と、上述した電動歯ブラシ装置1000に関する特徴との様々な組み合わせは、いずれも本発明の範囲内である。
【0048】
電動歯ブラシ装置2000は、ハンドル部分201とステム部分20
2とキャップ240とを有する電動歯ブラシハンドル200を備える。さらに、図示されていないが、電動歯ブラシ装置2000はまた、電動歯ブラシハンドル200に結合可能な歯ブラシヘッドを含む。電動歯ブラシハンドル200は、以下に述べる相違点を除いて、電動歯ブラシハンドル100と同様である。
【0049】
具体的には、電動歯ブラシハンドル200のハンドル部分201は、ハンドル部分201の外面268から延びる第1の突起280および第2の突起281を含む。例示された実施形態では2つの突起280,281が示されているが、他の実施形態では単一の突起が使用されてもよいし、2つ以上の突起が使用されてもよい。第1および第2の突起280,281は、ハンドル部分201の外面268に沿って互いに円周方向に離間されている。さらに、例示された実施形態では、第1および第2の突起280,281は互いに横方向に整列しているが、本発明はすべての実施形態でそれに限定されるものではない。第1および第2突起280,281は、キャップ240が電動歯ブラシハンドル200と整列するのを容易にし、キャップ240が保護状態にあるとき、すなわち電動歯ブラシハンドル200に結合されているとき、キャップ240が電動歯ブラシハンドル200に対し回転するのを防止する。
【0050】
電動歯ブラシハンドル200のハンドル部分201の第1および第2の突起280,281と協働するために、キャップ240は、第1の凹部または溝282および第2の凹部または溝283を備える。例示した実施形態では2つの溝282,283が示されているが、他の実施形態では、単一の溝または3つ以上の溝が使用されてもよい。ある実施形態では、溝の数は隆起の数と等しいことが望ましい。第1および第2の溝282,283は、キャップ240の外面に沿って互いに円周方向に離間している。さらに、例示された実施形態では、第1および第2の溝282,283は、互いに横方向に整列されているが、本発明は、すべての実施形態でそれに限定されるものではない。第1の突起280と第1の溝282、第2の突起281と第2の溝283との協働により、電動歯ブラシハンドル200に対するキャップ240の回転が防止され、キャップ240と電動歯ブラシハンドル200の適切な位置合わせが容易になる。
【0051】
例示的な実施形態では、第1および第2の溝282,283のそれぞれは、キャップ240の外面から外方に突出するキャップ240の部分であって、その部分の内面に形成される。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態では、第1および第2の溝282,283は、キャップ240の内面に形成された凹部であって、その部分においてキャップ240の外面の一部を外側に突出させる必要はない。しかしながら、キャップ240の外側に突出した部分を有することにより、溝282,283をハンドル部分201の突起280,281と適切に整列させることが容易になる。
【0052】
キャップ240を電動歯ブラシハンドル200に結合する場合、キャップ240を電動歯ブラシハンドル200上に配置して、第1の溝282を第1の突起280と軸方向に整列させると共に、第2の溝283を第2の突出部281と軸方向に整列させる。次に、キャップ240を電動歯ブラシハンドル200の軸方向の下側に向かってスライドさせると、第1の突起280が第1の溝282に入り、第2の突起281が第2の溝283に入り込む。第1の突起280が第1の溝282内に配置され、第2の突起281が第2の溝283内に配置されると、キャップ240と電動歯ブラシハンドル200との間の相対的な回転が防止される。もし使用者が、突出部280,281が溝282,283と整列されていない状態で電動歯ブラシハンドル200にキャップ240を嵌め込もうとすると、キャップ240の底縁部245が第1及び第2突出部280,281に当接し、キャップ240が電動歯ブラシハンドル200に連結されるのを防止する。例示された実施形態では、キャップ240の電動歯ブラシハンドル200への結合を容易にするために、上述したような適切な整列が必要である。
【0053】
本明細書では、本発明は、第1および第2の突起280,281がハンドル部分201上に配置され、第1および第2の溝282,283がキャップ240上に形成されているが、すべての実施形態に採用されても、されなくても良い。ある実施形態では、突起をキャップ240に形成し、溝をハンドル部分201に形成することができる。さらに、電動歯ブラシハンドル200に対するキャップ240の位置合わせ、および電動歯ブラシハンドル200に対するキャップ240の回転防止を他の構造的配置で行っても良い。具体的には、電動歯ブラシ装置1000,2000には、必要に応じて他の整列および回転防止機構を組み込むことができる。
【0054】
本発明を実施するための好ましい実施態様を参照して、本発明を記載したが、当業者は、上述のシステムおよび技術の多くの変形および置換があることを理解できるであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用し、構造的および機能的改変を行うことができる。したがって、本発明の精神および範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されるように広義に解釈されるべきである。