(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6426368
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】電子機器のスイッチ機構およびそれを備えた電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 3/32 20060101AFI20181112BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20181112BHJP
H01H 13/06 20060101ALI20181112BHJP
H01H 13/14 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
H01H3/32
H01H9/04 B
H01H13/06 B
H01H13/14 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-91912(P2014-91912)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-210957(P2015-210957A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年4月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】石井 克人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和好
【審査官】
太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−054994(JP,A)
【文献】
特開2012−243523(JP,A)
【文献】
特開2013−020870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/00− 7/16
H01H 9/00− 9/28
H01H 13/00−13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体内に設けられたスイッチを間接的に操作するためのスイッチ機構であって、
筐体表面に露出した操作部と、操作部に接続され、スイッチを操作するための軸とを有する操作部材と、
操作部材を移動可能に支持する支持部材と、を有し、
支持部材は、
軸を支持する軸支持部と、
軸の周辺で操作部を支持し、操作部材の操作時に変形する操作部支持部と、を有し、
軸支持部が、筐体に設けられた、スイッチを押下するための穴を覆うように配置されるとともに、
スイッチ機構が、支持部材を筐体側へ押圧する押圧手段をさらに有し、
支持部材が防水機能を実現し、
操作部支持部が、押圧手段と、操作部の裏面との間に設けられることを特徴とするスイッチ機構。
【請求項2】
操作部支持部は、操作部の裏面の縁部を支持し、支持する位置の輪郭が、操作部の輪郭と相似した形状となるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ機構。
【請求項3】
操作部支持部は、操作部の裏面の縁部を複数箇所で支持するように配置され、操作部を押下する力によって弾性変形することにより、軸の変位を可能とするように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチ機構を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に用いられるスイッチ機構およびそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器の回路基板上に設置されたスイッチなど、筐体内に設けられたスイッチを筐体外から間接的に操作可能とするためのスイッチ機構が知られている。スイッチ機構は、ユーザが直接操作可能な可動部材と、可動部材に加えられた外力または可動部材の変位を筐体内のスイッチに伝達する伝達機構とを有している(特許文献1)。
【0003】
通常、可動部材は筐体表面に露出し、ユーザが操作するためのキートップと、キートップの裏面の略中央に設けられた軸とから構成され、伝達部材が軸を支持する構成を有している。そして、ユーザがキートップを押下すると、キートップとともに軸が変位し、軸に加えられた力が伝達機構を通じて筐体内部のスイッチに伝達され、スイッチを作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5148208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザの操作性や視認性を勘案した場合、操作部であるキートップは可能な範囲で大きく構成することが好ましい。一方、筐体内のスペースを有効に利用する観点から、キートップに接続される軸は、強度が条件を満たす範囲で細くすることが望まれる。従って、これらを満たすようにした場合、キートップの大きさに対して大幅に断面積が小さい(細い)軸で可動部材を支持する構成となる。
【0006】
軸を支持する伝達部材は、スイッチのクリック感を調整するなどの機能も有するため、弾性材料から構成される。そのため、大きなキートップの細い軸を弾性材料で支持する構成となり、キートップの傾きやぐらつきが起こりやすくなるものと考えられる。
【0007】
上述の目的は、電子機器の筐体内に設けられたスイッチを間接的に操作するためのスイッチ機構であって、筐体表面に露出した操作部と、操作部に接続され、スイッチを操作するための軸とを有する操作部材と、操作部材を移動可能に支持する支持部材と、を有し、支持部材は、軸を支持する軸支持部と、軸の周辺で操作部を支持し、操作部材の操作時に変形する操作部支持部と、を有し、
軸支持部が、筐体に設けられた、スイッチを押下するための穴を覆うように配置されるとともに、スイッチ機構が、支持部材を筐体側へ押圧する押圧手段をさらに有し、支持部材が防水機能を実現し、操作部支持部が、押圧手段と、操作部の裏面との間に設けられることを特徴とするスイッチ機構によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、電子機器の筐体内に設けられたスイッチを間接的に操作するためのスイッチ機構であって、筐体表面に露出した操作部と、操作部に接続され、スイッチを操作するための軸とを有する操作部材と、操作部材を移動可能に支持する支持部材と、を有し、支持部材は、軸を支持する軸支持部と、軸の周辺で操作部を支持し、操作部材の操作時に変形する操作部支持部と、を有することを特徴とするスイッチ機構によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
このような構成により、本発明によれば、操作部の傾きやぐらつきを抑制可能な電子機器のスイッチ機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明を適用可能な電子機器の一例としてのテレメータ送信機の筐体構造例を示す外観斜視図である。
【
図3】実施形態に係るスイッチ機構に関する部品を示す分解斜視図である。
【
図4】実施形態に係るスイッチ機構のキートップと支持部材の構成を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係るスイッチ機構を組み立てた状態を示す外観斜視図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係るスイッチ機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るスイッチ機構をテレメータ送信機のイベントスイッチに適用した実施形態について説明するが、本発明に係るスイッチ機構は、任意の電子機器に対して適用可能である。
【0012】
図1は、本実施形態に係るテレメータ送信機100の筐体構造例を示す外観斜視図である。ただし、
図1では、筐体内部の構造が分かるように、筐体の一部を外した状態を示している。本実施形態に係るテレメータ送信機100は、電池105を交換するための開閉部110を有する。以下、
図1のA−A断面図である
図2と、スイッチ機構に関する部品を示す分解斜視図である
図3と、
図3の一部部品の裏側の構成を示す斜視図である
図4とを併せて参照しながら、本実施形態のスイッチ機構について説明する。
【0013】
本実施形態のスイッチ機構は、操作部材150と、操作部材150を移動可能に支持し、操作部材150の変位をスイッチ170に伝達する支持部材160とを有する。操作部材は、ユーザが筐体外から直接操作可能な、筐体表面に露出した操作部であるキートップ151と、キートップ151の裏面の中心から、垂直方向に設けられた軸152(
図2,
図4)とを有する。また、支持部材160は、軸152の水平断面形状に対応する形状の穴を有し、軸152を受け入れて支持する軸支持部161と、軸支持部161の周囲に設けられ、キートップ151の縁部を支持する操作部支持部162とを有する。
【0014】
本実施形態のテレメータ送信機100は防水構造を有し、支持部材160は防水パッキンとしても機能するため、筐体に設けられた、スイッチ170を押下するための穴122を覆うように配置されるとともに、軸支持部161と操作部支持部162とは一体形成されている。本発明に係るスイッチ機構は防水性を必要としない場合であっても適用可能であるが、防水性を必要とする場合や、筐体内のスペースが限られる小型装置などでは、軸152を細くすることが望まれるため、本発明による効果が大きい。また、軸支持部161と操作部支持部162とは別部品であってもよい。軸支持部161と操作部支持部162とを別部品とする場合、例えば点線αで示す部分で分割した構成とすることができる。
【0015】
支持部材160は、シリコンゴム等の弾性素材によって形成されている。例えば金属板であるプレート140を、ねじ穴144を通って筐体本体120に設けられたねじ受け121に締結されるねじ142で取り付けると、支持部材160はプレート140によって筐体本体120に押圧される。これにより、支持部材160の底面が筐体本体120の表面と密着し、支持部材160の周囲から本体内に水などが浸入することを防止する防水機能を実現することができる。
【0016】
支持部材160には、ねじ受け121に対応する切り欠き165が設けられ、切り欠き165をねじ受け121に対応させることで、支持部材160を適切な位置に配置することができる。なお、
図3および
図4に示した構成では、プレート140および支持部材160が円の一部を直径に平行な直線で切り取ったような形状を有し、キートップ151の裏面に設けられた突起153が、プレート140の切り欠き145と、支持部材160の切り欠き167と、筐体の切り欠き123とに対応するように構成されている。これは筐体内部で利用可能なスペースが限られていることによるものであって、発明に必須な構成ではない。
図5を用いて後述するように、利用可能なスペースがあれば、プレート140や支持部材160もキートップ151と同様に円状とし、操作部支持部162をキートップ151の全周にわたって設けることができる。この場合、キートップ151の裏面の突起153は設けなくてもよい。
【0017】
支持部材160の軸支持部161は、回路基板180に実装されたスイッチ170と軸152との間に介在する部分を有し、キートップ151に加えられた外力またはそれによる軸152の変位をスイッチ170に伝達する。キートップ151が図面下方に押下されると、肉薄のスカート部163と軸支持部161の底面とが変形することにより、操作部150(キートップ151および軸152)は、スイッチ170を操作する位置に移動することができる。なお、軸支持部161の底面が存在せず、軸152が直接スイッチ170を操作するようにしてもよい。ユーザがキートップ151の押下を止めると、肉薄のスカート部163と軸支持部161とが元の状態にもどり、操作部材150を初期位置に復帰させる。なお、軸支持部161の周囲に存在する薄肉のスカート部163は、ユーザに感じさせるスイッチの操作感を調整する機能も有している。
【0018】
支持部材160の縁部に設けられている複数の操作部支持部162は、支持部材160の上面から上方に向かって形成され、プレート140の穴141を貫通する円筒状の突起によって、操作部材150のキートップ151を裏面から支持する。なお、突起はキートップ151の裏面に必ずしも接していなくてもよいが、キートップ151のがたつきや傾きを防止する観点からは、裏面に接するか、裏面を軽く押圧するように構成されることが好ましい。操作部支持部162の突起の先端と、キートップ151の裏面とを接着剤等で固定するようにしてもよい。
【0019】
なお、操作部支持部162はキートップ151の操作時(ここでは押下時)には突起を支持する円形の薄肉部1621が弾性変形して突起が空間1622方向に引っ込むように構成される。従って、キートップ151の押下操作を妨げずに、キートップ151のがたつきや傾きの防止を実現することができる。なお、キートップ151の操作時に操作部支持部162の突起自体が変形してもよい。また、素材の弾性を利用した変形にも限られず、バネ状の機構を用いて弾性変形するようにしてもよい。操作部支持部162は、キートップ151の縁部を複数箇所で支持するように配置されれば、具体的な数や配置はキートップ151の形状や操作部支持部162を実装可能な空間に応じて決定すればよい。
【0020】
例えば、操作部支持部162がキートップ151を支持する位置の輪郭(離散的に支持する場合には支持部分をつないだ形状)がキートップの輪郭と相似した形状となるように等間隔で配置したり、軸152を挟んで対向する位置や、軸152を重心とする多角形の頂点に相当する位置に配置したりすることで、キートップ151の縁部を均等に支持するように配置されることが望ましい。しかし、実装上の制限によりこのような配置ができない場合には、これらの配置を基本として、実装上可能な範囲で配置すれば効果は得られる。本実施形態では操作部支持部162を、軸152の周囲の、設置可能な範囲に均等に3つずつ配置している。
【0021】
図5(a)は、
図3に示した各部品のうち、キートップ151以外を取り付けた状態を示している。なお、上述の通り、プレート140や支持部材160もキートップ151と同様に円状とし、操作部支持部162をキートップ151の全周にわたって設けた場合には、
図5(b)の状態となる。なお、キートップ151は円形である必要は無く、楕円形のように縦横の長さが異なる形状であってもよい。
【0022】
なお、本実施形態では、操作部支持部162が円筒状の突起でキートップ151を支持する構成としたが、キートップ151の押下操作を妨げないように変形するように構成されれば、突起の形状を始め、操作部支持部162の形状には特に制限はない。
【0023】
例えば、防水性が要求されない場合、本実施形態の操作部支持部162の構成を上下逆転した別部品としてもよい。この場合、円筒状の突起162が筐体本体に接し、裏面1623でキートップ151が支持されるようになる。操作部支持部162を別部品とした場合、軸支持部161と異なる素材を用いることができ、スイッチの押し感制御に利用するなどの応用が考えられる。
【0024】
また、高さ方向に必要なスペースが増加するが、
図6に示すように、プレート140とキートップ151の裏面との間にドーナツ状の操作部支持部162を別部品で追加することも可能である。この場合、支持部材160’は防水パッキンとしての機能を維持可能である。