特許第6426488号(P6426488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6426488
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】プリンタ及び制御回路
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20181112BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20181112BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20181112BHJP
   G07G 1/06 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   B41J29/38 D
   G06F1/26 334B
   G06F1/26 F
   G07G1/00 321Z
   G07G1/06 Z
   B41J29/38 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-17470(P2015-17470)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141012(P2016-141012A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】神保 誠一
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−011657(JP,A)
【文献】 特開2009−164290(JP,A)
【文献】 特開昭63−244296(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0083629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 1/26
G07G 1/00
G07G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ホスト装置および周辺機器に接続されるプリンタであって、
前記周辺機器の動作に必要な電位レベルの駆動電圧を生成する電源生成回路と、
前記周辺機器を前記駆動電圧で動作させる駆動回路と、
前記外部ホスト装置からの指示信号を受信する通信回路と、
前記駆動回路が動作する予め設定された駆動期間の間だけ、前記駆動回路に対して前記駆動電圧を出力して、前記駆動回路を動作させる制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記電源生成回路に前記電位レベルの駆動電圧を生成させるように制御する開始信号の受信に応じて、前記電源生成回路に電圧指定信号を出力し、
前記電位レベルの駆動電圧を生成するように前記電源生成回路に指示する電源生成信号を出力し、
前記電源生成回路が前記駆動電圧の生成を開始した後に、前記電位レベルまで上昇させる前記駆動電圧の立ち上り時間が終了すると、前記周辺機器を動作させるように前記駆動回路に指示する駆動信号を出力し、かつ、
駆動期間の終了時に前記周辺機器の動作を停止するために前記駆動信号をオフにする
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記制御回路は、前記駆動電圧の必要な電位レベルおよび前記立ち上り時間を指定する指示信号を前記外部ホスト装置から受信する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記電位レベルおよび前記立ち上り時間を記憶した不揮発性メモリをさらに備え、
前記制御回路は、
前記通信回路を介して前記外部ホスト装置から前記駆動期間および前記開始信号を受信し、かつ、
前記不揮発性メモリから前記電位レベルおよび前記立ち上り時間を読み出す
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記電位レベル、前記立ち上り時間、および前記駆動期間を記憶した不揮発性メモリをさらに備え、
前記制御回路は、
前記通信回路を介して前記外部ホスト装置から前記開始信号を受信し、かつ、
前記不揮発性メモリから前記電位レベル、前記立ち上り時間、および前記駆動期間を読み出す
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記周辺機器の機種名に対応して前記電位レベルおよび前記立ち上り時間を記憶した不揮発性メモリをさらに備え、
前記制御回路は、
前記通信回路を介して前記駆動期間、前記開始信号および前記周辺機器の機種名を受信し、かつ、
前記不揮発性メモリから前記周辺機器の機種名に対応する前記電位レベルおよび前記立ち上り時間を読み出す
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記周辺機器の機種名に対応して前記電位レベル、前記立ち上り時間および前記駆動期間を記憶した不揮発性メモリをさらに備え、
前記制御回路は、
前記通信回路を介して前記開始信号および前記周辺機器の機種名を受信し、かつ、
前記不揮発性メモリから前記周辺機器の機種名に対応する前記電位レベル、前記立ち上り時間および前記駆動期間を読み出す
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
外部ホスト装置および周辺機器に接続されるプリンタの制御回路であって、
前記プリンタは、
前記周辺機器の動作に必要な電位レベルの駆動電圧を生成する電源生成回路と、
前記周辺機器を前記駆動電圧で動作させる駆動回路と、
前記外部ホスト装置からの指示信号を受信する通信回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記電源生成回路に前記電位レベルの駆動電圧を生成させるように制御する開始信号の受信に応じて、前記電源生成回路に電圧指定信号を出力し、
前記電位レベルの駆動電圧を生成するように前記電源生成回路に指示する電源生成信号を出力し、
前記電源生成回路が前記駆動電圧の生成を開始した後に、前記電位レベルまで上昇させる前記駆動電圧の立ち上り時間が終了すると、前記周辺機器を動作させるように前記駆動回路に指示する駆動信号を出力し、かつ、
駆動期間の終了時に前記周辺機器の動作を停止するために前記駆動信号をオフにする
ことを特徴とする制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ及び制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等において売上を入力し、入出金やレシートの発行を行う装置として、POS(Point Of Sale)を管理できるPOSシステムが知られている。POSシステムは、POS端末、プリンタ、およびキャッシュドロワなどの周辺機器で構成されている。
【0003】
従来より、キャッシュドロワと接続しているプリンタが知られており、例えば特許文献1に開示されている。
一般的なPOSシステムにおいては、プリンタ用の電源をキャッシュドロワ用の電源にも供給しているが、プリンタとキャッシュドロワの駆動電圧は必ずしも一致せず、この場合、キャッシュドロワ用の電源をプリンタの内部で生成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−209850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、キャッシュドロワの駆動時間はPOSシステムが稼動している時間において、極めて短時間であり、キャッシュドロワ用の電源を常時プリンタ内部で生成していることは非常に電源効率を下げることになる。
【0006】
そこで、プリンタは、電源生成信号が入力されると電源をキャッシュドロワに供給する電源生成回路と、駆動信号が入力されるとキャッシュドロワを駆動する駆動回路と、電源生成信号および駆動信号を出力するプリンタコントローラを備える構成にすることが考えられる。この構成により、プリンタの電源効率を上げるため、キャッシュドロワを駆動する時だけ、キャッシュドロワ用の電源を生成する手法が考えられる。しかし、従来のプリンタでは、電源生成と同時にキャッシュドロワを駆動しようとすると、電源生成回路が立ち上がっておらず、出力として十分な電力が得られないうちに、予め設定されたキャッシュドロワの駆動期間が終了し、キャッシュドロワを駆動できないといった問題が生じてしまうおそれがある。
【0007】
また、キャッシュドロワを今まで使用していたものと異なる機種のキャッシュドロワに置き換えた場合、キャッシュドロワに供給する駆動電圧が異なることがある。これに対応するため、プリンタコントローラから電圧指定信号を電源生成回路に対して出力し、必要な駆動電圧を生成する手法が考えられる。しかし、駆動電圧の違いにより電源生成回路の立ち上がり時間が異なるため、上述のような、予め設定されたキャッシュドロワの駆動期間が終了し、キャッシュドロワを駆動できないといった問題が生じてしまうおそれがある。
なお、異なる駆動電圧のキャッシュドロワを駆動するため、プリンタ内部の駆動回路に定電流回路を設けることが特許文献1に示されている。しかしながら、この手法では、電流が制限されるので、キャッシュドロワに必要な電力が得られず、必要な駆動電圧でキャッシュドロワを駆動できないという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、電源効率が高いプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のプリンタは、周辺機器と接続しているプリンタであって、前記周辺機器に対して前記周辺機器の動作に必要な予め設定された駆動電圧を供給する電源生成回路と、駆動信号が入力されると、前記周辺機器を前記駆動電圧で動作させる駆動回路と、前記駆動回路が動作する予め設定された駆動期間の間だけ、前記駆動回路に対して前記駆動信号を出力して、前記駆動回路を動作させる制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のプリンタは、前記制御回路は、外部から前記周辺機器の動作を開始する開始指示が入力されると、前記電源生成回路が生成する前記駆動電圧を決定し、前記駆動電圧を表す電圧指定信号を前記電源生成回路に対して出力し、前記周辺機器に供給する供給電圧が初期値から前記駆動電圧になるまでの予め設定された立ち上り時間を決定し、電源生成信号を前記電源生成回路に対して出力し、前記電源生成回路に対して前記周辺機器に前記供給電圧を供給することを開始させ、前記供給電圧が前記駆動電圧になるまでの時間を計測し、計測時間が前記立ち上り時間になった場合である前記駆動期間の開始時期において、前記駆動回路に対して前記駆動信号を出力し、前記駆動期間の終了時期において、前記電圧指定信号、前記電源生成信号および前記駆動信号の出力を停止する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のプリンタは、前記制御回路に接続され、外部のホスト装置からのデータ入力を受信する通信回路を備え、前記駆動期間、前記開始指示、前記制御回路が決定する前記駆動電圧、前記立ち上り時間は、前記通信回路を介して前記制御回路に入力される、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のプリンタは、前記制御回路に接続され、外部のホスト装置からのデータ入力を受信する通信回路および不揮発性メモリを備え、前記駆動期間および前記開始指示は、前記通信回路を介して前記制御回路に入力され、前記制御回路が決定する前記駆動電圧、前記立ち上り時間は、前記不揮発性メモリに予め記憶されている、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のプリンタは、前記制御回路に接続され、外部のホスト装置からのデータ入力を受信する通信回路および不揮発性メモリを備え、前記開始指示は、前記通信回路を介して前記制御回路に入力され、前記制御回路が決定する前記駆動電圧、前記立ち上り時間および前記駆動期間は、前記不揮発性メモリに予め記憶されている、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のプリンタは、前記制御回路に接続され、外部のホスト装置からのデータ入力を受信する通信回路および不揮発性メモリを備え、前記駆動期間、前記開始指示および前記周辺機器の機種名は、前記通信回路を介して前記制御回路に入力され、前記制御回路が決定する前記駆動電圧、前記立ち上り時間は、前記不揮発性メモリに前記周辺機器の機種名に対応して複数個予め記憶されている、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のプリンタは、前記制御回路に接続され、外部のホスト装置からのデータ入力を受信する通信回路および不揮発性メモリを備え、前記開始指示および前記周辺機器の機種名は、前記通信回路を介して前記制御回路に入力され、前記制御回路が決定する前記駆動電圧、前記立ち上り時間および前記駆動期間は、前記不揮発性メモリに前記周辺機器の機種名に対応して複数個予め記憶されている、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の制御回路は、周辺機器に対して前記周辺機器の動作に必要な駆動電圧を供給する電源生成回路と、駆動信号が入力されると、前記周辺機器を前記駆動電圧で動作させる駆動回路と、を備えた、前記周辺機器と接続しているプリンタの制御回路であって、前記駆動回路が動作する駆動期間の間だけ、前記駆動回路に対して前記駆動信号を出力して、前記駆動回路を動作させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電源生成回路は、周辺機器(例えばキャッシュドロワ)に対して周辺機器の動作に必要な予め設定された駆動電圧を供給する。また、駆動回路は、駆動信号が入力されると、周辺機器を駆動電圧で動作させる。そして、制御回路は、駆動回路が動作する予め設定された駆動期間の間だけ、駆動回路に対して駆動信号を出力して、駆動回路を動作させる制御を行う。これにより、電源生成回路は、予め設定された周辺機器の駆動期間において駆動電圧を周辺機器に対して供給するので、周辺機器を駆動できないといった問題が生じるおそれはなくなる。また、本発明によれば、周辺機器を駆動するときにだけ周辺機器を駆動させるための電源を生成して供給する構成になっているので、電源効率が高いプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態におけるプリンタの構成を示すブロック図である。
図2】電源生成回路、キャッシュドロワ、ドロワ駆動回路の接続関係を示す図である。
図3】従来におけるプリンタの操作処理での問題点を説明するための図である。
図4】本実施形態におけるキャッシュドロワの駆動動作を示すタイミングチャートである。
図5】本実施形態におけるキャッシュドロワの駆動動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態におけるプリンタの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プリンタ10は、通信回路11、プリンタコントローラ12(制御回路)、電源生成回路13、ドロワ駆動回路14、および不揮発性メモリ15を備える。
【0021】
通信回路11は、プリンタ10の外部にあるホスト装置20(POS端末)に接続される。ホスト装置20は、商品名や価格などを入力するための入力キー、POSシステムの各種設定を行うための操作キーを有している。また、ホスト装置20は、プリンタ10に対してレシートの発行、キャッシュドロワ30(周辺機器)の開閉を指示するための制御命令を、プリンタ10の通信回路11に送信する。
通信回路11は、ホスト装置20からのデータ入力を受信し、データ入力に含まれる制御命令をプリンタコントローラ12に対して送信する。
【0022】
プリンタコントローラ12は、通信回路11が、ホスト装置20からのデータ入力を受信し、データ入力に含まれる制御命令に応じてプリンタ10の各部を制御する。例えば、プリンタコントローラ12は、図1において不図示の印刷部に印刷データの内容をレシートなどの印刷用紙に印刷させる。また、プリンタコントローラ12は、通信回路11が、ホスト装置20から受信したキャッシュドロワ30のドロワトレイを開閉すべき旨の制御命令(開始指示)に応じて、電源生成回路13およびドロワ駆動回路14に対して、キャッシュドロワ30を駆動するための電圧を供給すべき旨の制御命令(電圧指定信号、電源生成信号およびドロワ駆動信号)を出力する。
【0023】
ここで、図2を用いて、電源生成回路13、キャッシュドロワ30、ドロワ駆動回路14の接続関係について説明する。図2は、電源生成回路13、キャッシュドロワ30、ドロワ駆動回路14の接続関係を示す図である。
電源生成回路13の入力端子には、電源40からの電源40が供給する電圧、プリンタコントローラ12からの電圧指定信号、電源生成信号が入力される。また、電源生成回路13は、出力端子が接続ケーブル30Uを介してキャッシュドロワ30を構成するソレノイドコイル30Sの一端に接続される。電源生成回路13は、電源40が供給する電圧を変換し、変換後の電圧であるドロワ電源(供給電圧)を出力端子から出力し、接続ケーブル30Uを介して、ソレノイドコイル30Sの一端に供給する。
【0024】
ドロワ駆動回路14を構成するトランジスタ14Bは、例えばバイポーラトランジスタである。トランジスタ14Bのコレクタ端子(出力端子)は、接続ケーブル30Dを介してキャッシュドロワ30を構成するソレノイドコイル30Sの他端に接続される。トランジスタ14Bのベース端子(入力端子)は、プリンタコントローラ12からのドロワ駆動信号(駆動信号)が入力される。また、トランジスタ14Bのエミッタ端子は、接地される。
【0025】
ソレノイドコイル30Sは、キャッシュドロワ30のロック機構を構成する素子である。ソレノイドコイル30Sは、両端子間に動作に必要な予め設定された駆動電圧が加わると、ロック機構をロック解除状態にし、逆に両端子間に動作に必要な予め設定された駆動電圧が加わらないと、ロック機構をロック解除状態にすることができない。
【0026】
図1に戻って、電源生成回路13は、電源40に接続されている。電源40は、プリンタ10の主電源である。
電源生成回路13は、電源40が供給する電圧を変換し、変換後の電圧であるドロワ電源を出力端子から出力し、ソレノイドコイル30Sの一端に供給する。このドロワ電源の目標値が、キャッシュドロワ30の動作に必要な予め設定された駆動電圧(以下、駆動電圧V1とする)である。
電源生成回路13は、駆動電圧V1を表す電圧指定信号がプリンタコントローラ12から入力されると、ドロワ電源の目標値を駆動電圧V1に設定する。また、電源生成回路13は、駆動電圧V1の設定後、電源生成信号がプリンタコントローラ12から入力されると、ドロワ電源の目標値が駆動電圧V1となるように、出力端子からのドロワ電源の出力を開始する。
【0027】
ドロワ駆動回路14は、ドロワ駆動信号がプリンタコントローラ12から入力されると、ドロワ駆動信号が入力されている期間、トランジスタ14Bをオン状態にし、ソレノイドコイル30Sを駆動する。このドロワ駆動信号が入力されている期間は、ソレノイドコイル30Sの駆動期間であり、予め設定された駆動期間(以下、駆動期間T0とする)である。
【0028】
不揮発性メモリ15は、本実施形態においては、プリンタコントローラ12が実行する制御方法を記憶する。
【0029】
プリンタコントローラ12は、上述の様に、電圧指定信号、電源生成信号、ドロワ駆動信号を出力し、電源生成回路13、ドロワ駆動回路14を制御することにより、キャッシュドロワ30の動作を制御する。しかしながら、従来においては、次に説明するような問題があった。図3は、従来におけるプリンタの操作処理での問題点を説明するための図である。図3において、横軸は時刻を示しており、縦軸は、ドロワ駆動信号、電源生成信号、ドロワ電源のレベル変化を示している。
プリンタコントローラ12は、時刻t1において、電源生成回路13にドロワ電源をキャッシュドロワ30に供給させるために、電源生成信号をLレベルからHレベルに変化させる。
【0030】
また、プリンタコントローラ12は、この時刻t1において、キャッシュドロワ30を駆動するために、ドロワ駆動信号をLレベルからHレベルに変化させる。これにより、ドロワ駆動回路14のトランジスタ14Bはオンし、キャッシュドロワ30のソレノイドコイル30Sの両端にドロワ電源が加わる。
しかし、ドロワ電源が、キャッシュドロワ30の動作に必要な駆動電圧V1に到達するのは時刻t2である。また、ドロワ駆動信号がLレベルに戻る時刻はt4であるから、駆動期間T0のうち(t2−t1)の時間(立ち上り時間T1)は、キャッシュドロワ30の動作に必要な駆動電圧が得られずに、駆動期間T0においてキャッシュドロワ30を駆動できなくなるという問題が発生する。
【0031】
また、キャッシュドロワ30を他の機種に置き換える場合、キャッシュドロワ30の動作に必要な駆動電圧が駆動電圧V1から駆動電圧V2へ変わることがある。この場合、ドロワ電源が、キャッシュドロワ30の動作に必要な駆動電圧V2に到達するのは時刻t3である。また、ドロワ駆動信号がLレベルに戻る時刻はt4であるから、駆動期間T0のうち(t3−t1)の時間(立ち上り時間T2)は、キャッシュドロワ30の動作に必要な駆動電圧が得られずに、駆動期間T0においてキャッシュドロワ30を駆動できなくなるという問題が発生する。特に、この場合は駆動電圧V2>駆動電圧V1である場合であることから、置き換えた機種の駆動電圧が大きくなると、立ち上り時間のドロワ電源の駆動期間T0に占める割合が大きくなる(ドロワ電源が駆動電圧にある時間のドロワ電源駆動期間T0に占める割合が小さくなる)。
【0032】
そこで、上記問題点を解決し、電源効率が高いプリンタを提供するため、プリンタコントローラ12は、以下のように、電圧指定信号、電源生成信号、ドロワ駆動信号を出力して、電源生成回路13、ドロワ駆動回路14を制御することにより、キャッシュドロワ30の動作を制御する。
プリンタコントローラ12は、通信回路11がホスト装置20から受信したキャッシュドロワ30の動作を開始する開始指示に応じて、電源生成回路13が生成する駆動電圧(上記駆動電圧V1、駆動電圧V2などのキャッシュドロワ30の機種に応じた駆動電圧)を決定する。本実施形態において、駆動電圧は、ホスト装置20から与えられる。プリンタコントローラ12は、駆動電圧を表す電圧指定信号を電源生成回路13に対して出力する。電源生成回路13は、駆動電圧を表す電圧指定信号がプリンタコントローラ12から入力されると、ドロワ電源の目標値を駆動電圧に設定する。
【0033】
また、プリンタコントローラ12は、電源生成回路13がキャッシュドロワ30に供給するドロワ電源が初期値(Lレベル)から駆動電圧になるまでの予め設定された立ち上り時間(上記立ち上り時間T1、立ち上り時間T2などのキャッシュドロワ30の機種に応じた立ち上り時間であり、予め実験などにより求められた時間)を決定する。本実施形態において、立ち上り時間は、ホスト装置20から与えられる。プリンタコントローラ12は、電源生成信号を電源生成回路13に対して出力する。電源生成回路13は、駆動電圧の設定後、電源生成信号がプリンタコントローラ12から入力されると、出力端子からのドロワ電源の出力を開始する。
【0034】
また、プリンタコントローラ12は、ドロワ電源が駆動電圧になるまでの時間を計測し、計測時間が立ち上り時間になった場合である駆動期間T0の開始時期において、ドロワ駆動回路14に対してドロワ駆動信号を出力する。これにより、駆動期間T0において、キャッシュドロワ30は、ドロワ電源の目標値である駆動電圧によって駆動されるので、キャッシュドロワ30を駆動できなくなることはなくなる。
また、プリンタコントローラ12は、駆動期間T0の終了時期において、電圧指定信号、電源生成信号およびドロワ駆動信号の出力を停止する。駆動期間T0の開始時期および駆動期間T0の終了時期で表される期間は駆動期間T0であり、この駆動期間T0はホスト装置20から与えられる。
【0035】
続いて、図4および図5を用いてキャッシュドロワ30の駆動動作について説明する。図4は、本実施形態におけるキャッシュドロワの駆動動作を示すタイミングチャートである。また、図5は、本実施形態におけるキャッシュドロワの駆動動作を示すフローチャートである。図4において、横軸は時刻を示しており、縦軸は、電圧指定信号、ドロワ駆動信号、電源生成信号、ドロワ電源のレベル変化を示している。
なお、本実施形態において、キャッシュドロワ30の動作に必要な予め設定された駆動電圧は駆動電圧V1、ドロワ電源の立ち上り時間は立ち上り時間T1として説明する。
ホスト装置20がドロワ駆動命令をプリンタ10に対して与える(ステップST1)。
プリンタコントローラ12は、駆動電圧を決定する(ステップST2)。
プリンタコントローラ12は、通信回路11がホスト装置20から受信したドロワ駆動命令(キャッシュドロワ30の動作を開始する開始指示)に応じて、電源生成回路13が生成する駆動電圧V1を決定する。本実施形態において、駆動電圧V1は、ホスト装置20から開始指示とともに与えられる。
【0036】
プリンタコントローラ12は、電圧指定信号を出力する(ステップST3)。プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t1において、駆動電圧V1を表す電圧指定信号を電源生成回路13に対して出力する。電源生成回路13は、駆動電圧V1を表す電圧指定信号がプリンタコントローラ12から入力されると、ドロワ電源の目標値を駆動電圧V1に設定する。
プリンタコントローラ12は、立ち上り時間を決定する(ステップST4)。
プリンタコントローラ12は、電源生成回路13がキャッシュドロワ30に供給するドロワ電源が初期値(Lレベル)から駆動電圧になるまでの予め設定された立ち上り時間T1を決定する。本実施形態において、立ち上り時間T1は、ホスト装置20から開始指示とともに与えられる。
【0037】
プリンタコントローラ12は、電源生成信号を出力する(ステップST5)。プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t2において、電源生成信号を電源生成回路13に対して出力する。電源生成回路13は、駆動電圧V1の設定後、電源生成信号がプリンタコントローラ12から入力されると、出力端子からのドロワ電源の出力を開始する。
なお、図4において、プリンタコントローラ12が駆動電圧V1を表す電圧指定信号を出力する時刻t1と、プリンタコントローラ12が電源生成信号を出力する時刻t2が異なるが同時であっても構わない。図4は、現在の回路の機能を反映したものであり、電源生成回路13がドロワ電源の目標値を駆動電圧V1に正しく設定した後、出力端子からのドロワ電源の出力を開始することを示しているものにすぎない。
【0038】
プリンタコントローラ12は、立ち上り時間の計測を行う(ステップST6)。プリンタコントローラ12は、ドロワ電源が駆動電圧V1になるまでの立ち上り時間T1を計測する。
プリンタコントローラ12は、立ち上り時間経過後ドロワ駆動信号を出力する(ステップST7)。プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t3において、すなわち、計測時間が立ち上り時間T1になった場合である駆動期間T0の開始時期において、ドロワ駆動回路14に対してドロワ駆動信号を出力する。これにより、駆動期間T0において、キャッシュドロワ30の動作に必要な予め設定された駆動電圧V1を、キャッシュドロワ30に供給することが可能となる。
【0039】
プリンタコントローラ12は、駆動期間の計測を行う(ステップST8)。
プリンタコントローラ12は、駆動期間経過後すべての信号の出力を停止する(ステップST9)。
プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t4において、すなわち、駆動期間T0の終了時期において、電圧指定信号、電源生成信号およびドロワ駆動信号の出力を停止する。
これにより、駆動期間T0において、ドロワ電源のレベルは駆動電圧V1となっており、従来のような立ち上り時間T1が駆動期間T0に占めることをなくすことができる。
【0040】
[第2の実施形態]
第2の実施形態において、不揮発性メモリ15は、第1の実施形態と同じく、プリンタコントローラ12が実行する制御方法を記憶する。また、不揮発性メモリ15は、第1の実施形態と相違して、キャッシュドロワ30の動作に必要な予め設定された駆動電圧、ドロワ電源の立ち上り時間を記憶する。
すなわち、不揮発性メモリ15は、キャッシュドロワ30の機種名(MN1、MN2、…、MNN)に対応して、駆動電圧(V1、V2、…VN)、立ち上り時間(T1,T2、…TN)を予め記憶している。駆動電圧、立ち上り時間は、その機種をプリンタ10が駆動する実験を行うことによって得られた実験結果に応じて、不揮発性メモリ15に記憶されている。
なお、不揮発性メモリ15でなく、プリンタコントローラ12が、周辺機器の機種名に対応して、駆動電圧、立ち上り時間を予め記憶する不揮発性メモリを内蔵する構成にしてもよい。
【0041】
プリンタコントローラ12は、ホスト装置20から、キャッシュドロワ30の動作を開始する開始指示、駆動期間T0、キャッシュドロワの機種名MNi(i=1〜N)が通信回路11を介して入力される。
プリンタコントローラ12は、キャッシュドロワの機種名MNiに対応した駆動電圧Vi、立ち上り時間Tiを不揮発性メモリ15から読み出し、読み出した値を駆動電圧Vi、立ち上り時間Tiに決定し、電源生成回路13、ドロワ駆動回路14の制御を行う。このときの制御方法は、第1の実施形態において説明した制御方法と同じであるので、以下、第1の実施形態と同様に図4および図5を用いて説明する。なお、本実施形態において、キャッシュドロワの機種名MN1に対応した制御について、キャッシュドロワ30の動作に必要な予め設定された駆動電圧は駆動電圧V1、ドロワ電源の立ち上り時間は立ち上り時間T1として説明する。
【0042】
プリンタコントローラ12は、通信回路11がホスト装置20から受信したドロワ駆動命令(キャッシュドロワ30の動作を開始する開始指示)に応じて、キャッシュドロワの機種名MN1に対応した駆動電圧V1を不揮発性メモリ15から読み出し、電源生成回路13が生成する駆動電圧V1を決定する(ステップST1、ST2)。
【0043】
プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t1において、駆動電圧V1を表す電圧指定信号を電源生成回路13に対して出力する。電源生成回路13は、駆動電圧V1を表す電圧指定信号がプリンタコントローラ12から入力されると、ドロワ電源の目標値を駆動電圧V1に設定する(ステップST3)。
プリンタコントローラ12は、キャッシュドロワの機種名MN1に対応した立ち上り時間T1を不揮発性メモリ15から読み出し、電源生成回路13がキャッシュドロワ30に供給するドロワ電源が初期値(Lレベル)から駆動電圧になるまでの予め設定された立ち上り時間T1を決定する(ステップST4)。
【0044】
プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t2において、電源生成信号を電源生成回路13に対して出力する(ステップST5)。電源生成回路13は、駆動電圧V1の設定後、電源生成信号がプリンタコントローラ12から入力されると、出力端子からのドロワ電源の出力を開始する。
プリンタコントローラ12は、ドロワ電源が駆動電圧V1になるまでの立ち上り時間T1を計測する(ステップST6)。
プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t3において、すなわち、計測時間が立ち上り時間T1になった場合である駆動期間T0の開始時期において、ドロワ駆動回路14に対してドロワ駆動信号を出力する(ステップST7)。これにより、駆動期間T0において、キャッシュドロワ30の動作に必要な予め設定された駆動電圧V1を、キャッシュドロワ30に供給することが可能となる。
【0045】
プリンタコントローラ12は、駆動期間の計測を行い、駆動期間経過後すべての信号の出力を停止する(ステップST8、ST9)。プリンタコントローラ12は、図4に示す時刻t4において、すなわち、駆動期間T0の終了時期において、電圧指定信号、電源生成信号およびドロワ駆動信号の出力を停止する。
これにより、第1の実施形態と同様に、駆動期間T0において、ドロワ電源のレベルは駆動電圧V0となっており、従来のような立ち上り時間T1が駆動期間T0に占めることをなくすことができる。
【0046】
また、第2の実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、駆動電圧Vi、立ち上り時間Tiのプリンタ10の外部からの入力が不要である。従って、例えば第1の実施形態において、ユーザーがキャッシュドロワ30の駆動を開始する際、駆動電圧Vi、立ち上り時間Tiの値を忘れているため、与えることができないといった場合が考えられる。しかし、第2の実施形態においては、こうした場合、機種名MNiを与えることにより、不揮発性メモリ15が記憶している駆動電圧Vi、立ち上り時間Tiを読み出すことにより、キャッシュドロワ30の駆動を正確に開始することができるというメリットがある。なお、キャッシュドロワ30の機種名が同じ名前の場合であっても、駆動電圧が複数個ある場合がある。こうした場合であっても、複数個ある駆動電圧Vi、立ち上り時間Tiの組合せを、例えば改名された機種名に対応して不揮発性メモリ15に記憶しておき、改名された機種名を入力することにより、駆動電圧Vi、立ち上り時間Tiによりキャッシュドロワ30の駆動を正確に開始することができる。
【0047】
以上、第1の実施形態、第2の実施形態でプリンタ10によるキャッシュドロワ30の駆動について説明した。すなわち、両実施形態のプリンタ10は、電源生成回路13が、キャッシュドロワ30に対してキャッシュドロワ30の動作に必要な予め設定された駆動電圧V1を供給する。また、ドロワ駆動回路14は、ドロワ駆動信号が入力されると、キャッシュドロワ30を駆動電圧V1で動作させる。そして、プリンタコントローラ12は、ドロワ駆動回路14が動作する予め設定された駆動期間T0の間だけ、ドロワ駆動回路14に対して駆動信号を出力して、ドロワ駆動回路14を動作させる制御を行う。
【0048】
これにより、プリンタ10は、電源生成回路13が、予め設定されたキャッシュドロワ30の駆動期間T0において駆動電圧V1をキャッシュドロワ30に対して供給するので、キャッシュドロワ30を駆動できないといった問題が生じるおそれはなくなる。また、本発明によれば、キャッシュドロワ30を駆動するときにだけキャッシュドロワ30を駆動させるための電源を生成して供給する構成になっているので、電源効率が高いプリンタ10を提供することができる。
【0049】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、周辺機器としてキャッシュドロワを一例として説明したが、本発明は、周辺機器を構成する素子としてブザーやランプなどを用いた、例えば商品名や価格の印刷を完了したことを知らせる周辺機器に対しても有効に利用できる発明である。
また、第2の実施形態の説明では駆動期間T0がホスト装置20から入力されるとして説明した。この駆動期間T0を不揮発性メモリ15に予め記憶しておき、プリンタコントローラ12が、ドロワ駆動信号を出力している期間である駆動期間T0を決定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…プリンタ、11…通信回路、12…プリンタコントローラ、13…電源生成回路、14…ドロワ駆動回路、14B…トランジスタ、15…不揮発性メモリ、20…ホスト装置、30…キャッシュドロワ、30S…ソレノイドコイル、30U,30D…接続ケーブル、40…電源、T0…駆動期間、T1,T2,Ti,TN…立ち上り時間、V1,V2,Vi,VN…駆動電圧、MN1,MN2,MNi,MNN…機種名
図1
図2
図3
図4
図5