(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動体の進行方向に沿って1以上の通信装置が配置される設置面と対向するように前記移動体に設けられ、前記進行方向の前記設置面寄りに放射方向を有する第1のアンテナと、
前記設置面と対向するように前記移動体に設けられ、前記進行方向と反対方向の前記設置面寄りに放射方向を有する第2のアンテナと、
第1モードで前記第1のアンテナと前記第2のアンテナに逆相の信号を給電し、第2モードで前記第1のアンテナと前記第2のアンテナに同相の信号を給電する給電回路と、
前記第1モードにおける前記通信装置の検出結果及び前記第2モードにおける前記通信装置の検出結果に基づいて前記設置面における前記移動体の位置を検出する検出部と、
を備える無線装置。
前記検出部は、前記第1モードで前記通信装置を検出した後に該通信装置を検出しなくなった場合に前記第2モードに切り替え、前記第2モードで該通信装置を検出した場合に、検出した該通信装置の位置に基づいて前記移動体の前記位置を検出する請求項1に記載の無線装置。
移動体の進行方向に沿って1以上の通信装置が配置される設置面と対向するように前記移動体に設けられ、前記進行方向の前記設置面寄りに放射方向を有する第1のアンテナと、
前記設置面と対向するように前記移動体に設けられ、前記進行方向と反対方向の前記設置面寄りに放射方向を有する第2のアンテナと、
第1モードで前記第1のアンテナと前記第2のアンテナに逆相の信号を給電し、第2モードで前記第1のアンテナと前記第2のアンテナに同相の信号を給電する給電回路と、
を備えるアンテナ装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1を用いて、第1実施形態にかかる移動体システム1について説明する。
図1は、本実施形態にかかる移動体システム1を示す図である。移動体システム1は、移動体100と移動経路200上に配置される通信装置21〜2nとを有する。
【0009】
移動体100は、駆動部11を有し、かかる駆動部11を駆動することで移動経路200上を進行方向へ移動する。移動体100は、例えば列車の車両であり、駆動部11は車輪である。移動体100は、無線装置300を搭載している。無線装置300の詳細は後述する。
【0010】
移動経路200は移動体100が移動する経路であり、移動体100が例えば列車の車両である場合、移動経路200は線路となる。移動経路200には、移動体100の進行方向(
図1の矢印A00参照)に沿って1以上の通信装置21〜2n(n:自然数、
図1の例ではn=6とする。)が配置される。なお、n個の通信装置21〜2nが配置される移動経路200を通信装置21〜2nの設置面200とも称する。
【0011】
通信装置21〜2nは、例えばRFIDタグであり、通信装置21〜2nのIDを記憶している。通信装置21〜2nは、無線装置300が送信する信号を受信すると、受信した信号に記憶している情報を重畳して変調し、無線装置300に返信する。
【0012】
続いて、
図1を用いて無線装置300について説明する。無線装置300は、アンテナ装置400と検出部500とを有する。アンテナ装置400は、アンテナ部410及びアンテナ部410に給電する給電回路430を有する。アンテナ部410は、第1のアンテナ411、第1反射板421、第2のアンテナ412及び第2反射板422を有する。
【0013】
第1のアンテナ411は、通信装置21〜2nの設置面200と対向するように移動体100に設けられる。
図1の例では、第1のアンテナ411は、駆動部11が設置される移動体100の底面の前端側に設けられる。第1のアンテナ411は、例えばパッチアンテナであり、進行方向A00の後ろ側が設置面200に近づくように傾斜するアンテナ面を有する。
【0014】
第1反射板421は、第1のアンテナ411と移動体100との間に設けられる。第1反射板421は、進行方向A00の後ろ側が設置面200に近づくように傾斜する反射面を有する。
【0015】
第1反射板421は、反射面が移動体100の前面を含む面S1及び設置面200と対向するように、移動体100の底面に設けられる。第1のアンテナ411は、第1反射板421の反射面から設置面200側に所定距離離れて、アンテナ面が反射面と平行になるように設けられる。このように、第1のアンテナ411及び第1反射板421を設けることで、第1のアンテナ411の放射方向が、進行方向A00の設置面200寄りを向く(
図1の矢印A01参照)。
【0016】
第2のアンテナ412は、設置面200と対向するように移動体100に設けられる。
図1の例では、第2のアンテナ412は、移動体100の底面の進行方向A00の前端側であって、第1のアンテナ411より後端側に設けられる。また、第2のアンテナ412は、例えばパッチアンテナであり、進行方向A00の前側が設置面200に近づくように傾斜するアンテナ面を有する。
【0017】
第2反射板422は、第2のアンテナ412と移動体100との間に設けられる。第2反射板422は、進行方向A00の前側が設置面200に近づくように傾斜する反射面を有する。
【0018】
第2反射板422は、反射面が移動体100の後面を含む面S2及び設置面200と対向するように、移動体100の底面に設けられる。第2のアンテナ412は、第2反射板422の反射面から設置面200側に所定距離離れて、アンテナ面が反射面と平行になるように設けられる。このように、第2のアンテナ412及び第2反射板422を設けることで、第2のアンテナ412の放射方向が、進行方向A00と反対方向の設置面200寄りを向く(
図1の矢印A02参照)。
【0019】
なお、第1のアンテナ411から放射された電波と第2のアンテナ412から放射された電波とが合成された放射パターン(以下、アンテナ部410の放射パターンと称する。)については、
図3及び
図4を用いて後述する。
【0020】
図1に示すように、第1のアンテナ411は、第2のアンテナ412に隣接し、第2のアンテナ412より進行方向A00側となるように配置される。また、第1、第2反射板421、422は、一辺で互いに接している。すなわち、第1、第2反射板421、422はV字形状を形成するように配置される。なお、一枚の板を折り曲げることで第1、第2反射板421、422を一体形成するようにしてもよい。
【0021】
なお、本実施形態にかかるアンテナ装置400では、第1反射板421を設けることで第1のアンテナ411の放射方向A01を進行方向A00の設置面200寄りとし、第2反射板422を設けることで第2のアンテナ412の放射方向A02を進行方向A00と反対方向の設置面200寄りとしているが、これに限られない。第1、第2のアンテナ411、412の放射方向A01、A02が上述の所望の方向を向いていればよく、第1、第2反射板421、422を設けなくともよい。また、第1、第2のアンテナ411、412はパッチアンテナに限られず、例えばループアンテナなど他の形状のアンテナを用いても良い。
【0022】
給電回路430は、第1〜第4端子431〜434を備え、第1モードで第1のアンテナ411、第2のアンテナ412に逆相の信号を給電し、第2モードで第1のアンテナ411、第2のアンテナ412に同相の信号を給電する、いわゆるハイブリッド給電回路である。
【0023】
給電回路430の第1、第2端子431、432はそれぞれ検出部500に接続する。第3端子433は第1のアンテナ411に接続し、第4端子434は第2のアンテナ412に接続する。
【0024】
給電回路430は、第1モードで第1端子431に第1信号が入力された場合に、第3端子433を介して第1信号と同相の信号を第1のアンテナ411に給電し、第4端子434を介して第1信号と逆相の信号を第2のアンテナ412に給電する。また、給電回路430は、第2モードで第2端子432に第2信号が入力された場合に、第3端子433を介して第2信号と同相の信号を第1のアンテナ411に給電し、第4端子434を介して第1信号と同相の信号を第2のアンテナ412に給電する。
【0025】
図2を用いて給電回路430の一例を説明する。
図2に示す給電回路430は、第1〜第4端子431〜434に加え移相器435を有する。移相器435は、入力された信号の位相を180度移相して出力する。第1端子431は、第3端子433と信号線によって接続される。また、第1端子431は、第4端子434と移相器435を介して接続される。第2端子432は、第3端子433及び第4端子434それぞれと信号線によって接続される。
【0026】
これにより、第1端子431に入力された第1信号は、位相が変わることなく振幅が半減した第3信号に変換されて第3端子433から出力される。第1端子431に入力された第1信号は、移相器435によって位相が180度進み振幅が半減した第4信号に変換されて第4端子434から出力される。第2端子432に入力された第2信号は、位相が変わることなく振幅が半減した第5、第6信号に変換され第3、第4端子433、434それぞれから出力される。
【0027】
なお、
図2に示す給電回路430は、左右対称であり、第3端子433から入力された信号は位相が変わることなくそのまま第1、第2端子431、432から出力される。また、第4端子434から入力された信号は第1端子431から180度位相が進んだ信号として出力され、第2端子432から位相が変わることなくそのまま出力される。
【0028】
図1に戻る。無線装置300は、検出部500を有する。検出部500は、第1モードにおける通信装置21〜2nの検出結果及び第2モードにおける通信装置21〜2nの検出結果に基づいて設置面200における移動体100の位置を検出する。
【0029】
具体的には、検出部500は、検出信号を生成する。通信装置21〜2nがRFIDタグの場合、検出部500は、検出信号としてQuery信号を生成する。検出部500は、アンテナ装置400を介して第1モードで検出信号を送信する。検出部500は、検出信号に対する返信を受信した通信装置21〜2nを第1モードで検出したと判定する。
【0030】
同様に、検出部500は、アンテナ装置400を介して第2モードで検出信号を送信する。検出部500は、検出信号に対する返信を受信した通信装置21〜2nを第2モードで検出したと判定する。検出部500は、第1モードで検出せず、第2モードで検出した通信装置21〜2nに基づいて移動体100の位置を検出する。
【0031】
続いて、
図3及び
図4を用いて無線装置300による移動体100の位置検出方法の詳細について説明する。なお、ここでは無線装置300が通信装置21〜2nに信号を送信する場合について説明し、受信する場合については送信と同様であるため説明を省略する。
【0032】
図3Aは、無線装置300が第1モードで第1信号を送信する場合の無線装置300の模式図であり、
図3Bは、第1モードにおけるアンテナ装置400の放射パターンを示す模式図である。
【0033】
図3Aに示すように、第1モードにおいて、無線装置300の検出部500は、検出信号として第1信号S11を給電回路430に出力する。給電回路430は、第1信号S11が入力されると、第1のアンテナ411から第1信号S11と同相の第3信号S13を送信し、第2のアンテナ412から第1信号S11と逆相の第4信号S14を送信する。第3信号S13は、第4信号S14と逆相の信号である。これにより、第1モードで第1、第2のアンテナ411、412から逆相の信号が送信される。
【0034】
第1モードで第1信号S11を送信する場合、アンテナ部410の放射パターンは、
図3Bに示すように、第1、第2のアンテナ411、412それぞれの放射方向と同じ方向に主放射方向を有するとともに、第1、第2アンテナ411、412の中間でヌルが形成される形状となる。つまり、アンテナ部410の放射パターンは、進行方向A00の設置面200寄りに第1の放射方向A01、進行方向A00と反対方向の設置面200寄りに第2の放射方向A02、及び第1、第2の放射方向A01、A02の間にヌルを有する形状となる。
図3Bの例では、ヌルは、第1、第2反射板421、422によって形成されるV字形状の頂点部分に位置する。
【0035】
第1モードで第1信号S11を送信する場合、アンテナ部410の放射パターンが
図3Bに示す形状となることから、アンテナ部410より進行方向A00の前方に位置する通信装置21、22(
図1参照)は、無線装置300が送信する信号を受信する。また、アンテナ部410より進行方向A00の後方に位置する通信装置24、25(
図1参照)は、無線装置300が送信する信号を受信する。
【0036】
通信装置21、22、24、25は、無線装置300が送信する検出信号を受信すると、かかる検出信号を変調した変調信号を返信する。無線装置300の検出部500は、変調信号に基づいて第1モードで通信装置21、22、24、25を検出したと判定する。
【0037】
一方、
図1に示すように通信装置23は、第1、第2反射板421、422によって形成されるV字形状の頂点の真下に位置している。すなわち、通信装置23は、
図3Bに示す放射パターンのヌル領域に位置している。したがって、通信装置23は、無線装置300が送信する検出信号を受信しない。また、
図1に示す通信装置26はアンテナ部410から離れた場所にあり、無線装置300の通信範囲外に位置しているため、通信装置26は、無線装置300が送信する検出信号を受信しない。
【0038】
したがって、通信装置23、26は、無線装置300に変調信号を返信しない。無線装置300の検出部500は、通信装置23、26からの変調信号を受信しないため、第1モードで通信装置23、26を検出しないと判定する。
【0039】
次に、
図4を用いて無線装置300が第2モードで通信装置21〜2nを検出する検出方法について説明する。
図4Aは、無線装置300が第2モードで第2信号を送信する場合の無線装置300の模式図であり、
図4Bは、第2モードにおけるアンテナ装置400の放射パターンを示す模式図である。
【0040】
図4Aに示すように、第2モードにおいて、無線装置300の検出部500は、検出信号として第2信号S22を給電回路430に出力する。給電回路430は、第2信号S22が入力されると、第1のアンテナ411から第2信号S22と同相の第5信号S23を送信し、第2のアンテナ412から第2信号S22と同相の第6信号S24を送信する。第5信号S23は、第6信号S24と同相の信号である。
【0041】
これにより、第2モードで第1、第2のアンテナ411、412から同相の信号が送信される。なお、第2信号S22は、通信装置21〜2nが受信できる信号であれば良く、第1モードで送信される第1信号S11と同じ信号であっても異なる信号であってもよい。
【0042】
第2モードで第2信号S22を送信する場合、アンテナ部410の放射パターンは、
図4Bに示すように、第1、第2のアンテナ411、412の各放射方向A01、A02を合成した方向A20となる。
図4Bの例では、アンテナ部410の放射方向A20は、第1、第2反射板421、422によって形成されるV字形状の頂点部分から設置面200へ向かう方向となる。
【0043】
第2モードで第2信号S22を送信する場合、アンテナ部410の放射パターンが
図4Bに示す形状となることから、アンテナ部410より進行方向A00の前方及び後方に位置する通信装置21、22、24〜26(
図1参照)は、無線装置300の通信範囲外となる。したがって、通信装置21、22、24〜26は、無線装置300が送信する信号を受信しない。
【0044】
そのため、通信装置21、22、24〜26は、無線装置300に変調信号を返信しない。無線装置300の検出部500は、通信装置21、22、24〜26からの変調信号を受信しないため、第2モードで通信装置21、22、24〜26を検出しないと判定する。
【0045】
一方、
図1の通信装置23は、第1、第2反射板421、422によって形成されるV字形状の頂点の真下に位置している。すなわち、通信装置23は、
図4Bに示すアンテナ部410の放射方向A20に位置している。したがって、通信装置23は、無線装置300が送信する検出信号を受信する。
【0046】
通信装置23は、無線装置300が送信する検出信号を受信すると、かかる検出信号を変調した変調信号を返信する。無線装置300の検出部500は、変調信号に基づいて通信装置23を検出したと判定する。
【0047】
上述したように、
図1に示す無線装置300の検出部500は、第1モードで通信装置23を検出せず、第2モードで通信装置23を検出する。検出部500は、通信装置23の位置に基づいて移動体100の位置を検出する。本実施形態では、通信装置23の位置を移動体100の位置として検出する。
【0048】
このように、検出部500が第1モードで検出せず第2モードで検出した通信装置23の位置を検出することで、第1モードのアンテナ部410の放射パターンのヌル領域に存在する通信装置23の位置に基づいて移動体100の位置を検出することができる。これにより、無線装置300は、移動体100の位置を高精度に検出することができる。
【0049】
これは、一般的に、ヌル領域が急峻である放射パターンを形成することが容易であるためである。そのため、通信装置21〜2nの配置間隔が狭くても確実にヌル領域に存在する通信装置23を検出することができるようになり、移動体100の位置検出の精度を向上させることができる。また、実際に移動体100の位置を検出するために通信装置23と通信を行う場合は、放射方向がヌル領域と同じ方向であり、かつ放射パターンがヌル領域より広い第2モードで検出信号を送信する。これにより、移動体100が高速に移動している場合であっても位置検出を確実に行うことができる。
【0050】
なお、通信装置21〜2nが返信する変調信号に通信装置21〜2nの位置情報を重畳することで、検出部500がかかる変調信号から検出した通信装置23の位置を取得するようにしてもよい。あるいは、通信装置21〜2nのIDに対応する位置情報を予め検出部500が記憶しておき、検出部500が検出した通信装置23のIDに基づいて対応する位置情報を取得するようにしてもよい。
【0051】
<位置検出処理1>
次に、
図5を用いて無線装置300の検出部500による位置検出処理について説明する。
図5は、検出部500が実行する位置検出処理1を示すフローチャートである。
【0052】
無線装置300の検出部500は、まず第1モードでアンテナ装置400から検出信号を送信することで、通信可能な通信装置21〜2nを検出する(ステップS101)。続いて、検出部500は第2モードでアンテナ装置400から検出信号を送信することで、通信可能な通信装置21〜2nを検出する(ステップS102)。
【0053】
検出部500は、ステップS101で検出せず、ステップS102で検出した通信装置21〜2n(
図1の例では通信装置23)上を移動体100が通過中であると判定する。検出部500は、通過中であると判定した通信装置23の位置情報に基づいて移動体100の位置を検出する(ステップS103)。すなわち、検出部500は、通過中であると判定した通信装置23の位置を移動体100が通過中であると判定し、通信装置23の位置を移動体100の位置として検出する。
【0054】
図5の位置検出処理では、検出部500が第1モードと第2モードとを切り替える、いわゆる時分割によって検出信号を送信しているが、検出部500が検出信号を送信する方法はこれに限られない。例えば、検出部500が第1モードでは第1周波数で検出信号を送信し、第2モードでは第2周波数で検出信号を送信するようにしてもよい。すなわち、検出部500が、第1モードの検出信号と第2モードの検出信号とを周波数多重化することで、第1モードによる検出及び第2モードによる検出を同時に行うようにしてもよい。
【0055】
検出部500が第1モードの検出信号と第2モードの検出信号とを周波数多重化して送信する場合、通信装置21〜2nが第1周波数の検出信号及び第2周波数の検出信号の両方を受信できるようにすればよい。あるいは、第1周波数の検出信号を受信する第1通信装置211〜21n(図示せず)及び第2周波数の検出信号を受信する第2通信装置221〜22n(図示せず)それぞれを、移動体100の進行方向A00に沿って配置するようにしてもよい。
【0056】
この場合、各第1通信装置211〜21nを、各第1通信装置211〜21nに対応する第2通信装置221〜22nと近接して配置する。これにより、検出部500は、第1モードで第1通信装置21m(m:自然数)を検出せず第2モードで第2通信装置22mを検出した場合に、第1、第2通信装置21m、22mの位置に基づいて移動体100の位置を検出する。
【0057】
<位置検出処理2>
次に、
図6を用いて検出部500による位置検出処理の他の例を説明する。
図6は検出部500が実行する位置検出処理2を示すフローチャートである。
【0058】
無線装置300の検出部500は、まず第1モードでアンテナ装置400から検出信号を送信することで、通信可能な通信装置21〜2nを検出する(ステップS201)。ここでは、
図1に示す通信装置22が検出されたとする。
【0059】
続いて、検出部500は第1モードでアンテナ装置400から検出信号を送信し、通信装置22を検出しているか否か判定する(ステップS202)。例えば
図1に示すように通信装置22が移動体100の進行方向A00に存在する場合、検出部500は通信装置22を検出する。したがって、検出部500は、ステップS202のYesに進み、ステップS202に戻る。
【0060】
一方、移動体100が進行方向A00に進み、通信装置22がアンテナ部410の真下に存在するようになった場合、通信装置22は、第1モードにおけるアンテナ部410の放射パターンのヌル領域に位置することになる。したがって、検出部500は、通信装置22を検出しなくなる。
【0061】
検出部500が通信装置22を検出していないと判定した場合(ステップS202のNo)、検出部500は、第2モードでアンテナ装置400から検出信号を送信し、通信装置22を第2モードで検出するか否か判定する(ステップS203)。検出部500が通信装置22を検出した場合(ステップS203のYes)、検出部500は通信装置22の位置に基づいて移動体100の位置を検出する(ステップS204)。
【0062】
一方、検出部500が通信装置22を検出しない場合(ステップS203のNo)、検出部500は、アンテナ部410より進行方向A00の後ろ側に通信装置22が位置しており、移動体100は通信装置22を通過したと判定する(ステップS205)。
【0063】
このように、位置検出処理2では、検出部500が、第1モードで通信装置22を検出した後に通信装置22を検出しなくなった場合に第2モードに切り替え、第2モードで通信装置22を検出した場合に、検出した通信装置22の位置に基づいて移動体100の位置を検出するようにしている。検出部500が、アンテナ部410の放射パターンが広い第1モードで通信装置21〜2nを検出してから、第2モードで通信装置21〜2nを検出することで、検出部500による通信装置21〜2nの検出漏れを抑制することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態にかかる移動体システム1によれば、無線装置300が通信装置21〜2nを検出することで、移動体100が移動中であるかに関わらず移動体100の位置を高精度に検出することができる。また、無線装置300のアンテナ装置400が放射パターンの異なる検出信号を送信することで、通信装置21〜2nの検出漏れを抑制することができる。
【0065】
(変形例1)
図7を用いて、本実施形態にかかる変形例1を説明する。本変形例にかかる移動体システム2は、無線装置301が第1無線部610及び第2無線部620をさらに備えている点を除き、
図1に示す移動体システム1と同じであるため、同一構成要素には同一符号を付し説明を省略する。
【0066】
図7に示す第1無線部610は、例えばRFIDリーダ/ライタである。第1無線部610は検出部500及び給電回路430の第1端子431と接続している。第1無線部610は、検出部500からの指示に従い、給電回路430の第1端子421に検出信号を入力することで、第1モードで検出信号を送信する。また第1無線部610は、給電回路430の第1端子431から出力される変調信号を検出部500へ渡す。
【0067】
第2無線部620は、例えばRFIDリーダ/ライタである。第2無線部620は検出部500及び給電回路430の第2端子432と接続している。第2無線部620は、検出部500からの指示に従い、給電回路430の第2端子432に検出信号を入力することで、第2モードで検出信号を送信する。また第2無線部620は、給電回路430の第2端子432から出力される変調信号を検出部500へ渡す。
【0068】
検出部500は、第1モードで通信装置21〜2nを検出する場合に、第1無線部610に検出信号を送信するよう指示する。また、検出部500は、第2モードで通信装置21〜2nを検出する場合に、第2無線部620に検出信号を送信するよう指示する。検出部500は、第1、第2無線部610、620から出力される変調信号に基づいて通信装置21〜2nを検出する。
【0069】
なお、
図7では、無線装置301が2つの第1、第2無線部610、620を有する場合について示したが、無線部は1つであってもよい。例えば
図8で示すように、無線装置301が無線部600とスイッチ部630とを有するようにしてもよい。この場合、検出部500は、無線部600に検出信号を送信するよう指示するとともに、スイッチ部630を制御することで第1モードと第2モードとを切り替える。
【0070】
(変形例2)
図9を用いて、本実施形態にかかる変形例2を説明する。本変形例にかかる移動体システム3は、第2のアンテナ412が第1のアンテナ411よりも進行方向側に配置される点を除き、
図1に示す移動体システム1と同じであるため、同一構成要素には同一符号を付し説明を省略する。
【0071】
図9に示す第1のアンテナ411は移動体100の進行方向A00における後端側に設けられる。すなわち、第1のアンテナ411は、移動体100の底面の後端側に設けられる。また、第1反射板421は、第1のアンテナ411と移動体100との間に設けられる。すなわち、第1反射板421は、移動体100の底面の後端側に設けられる。
【0072】
第2のアンテナ412は移動体100の進行方向A00における前端側に設けられる。すなわち、第2のアンテナ412は、移動体100の底面の前端側に設けられる。また、第2反射板422は、第2のアンテナ412と移動体100との間に設けられる。すなわち、第2反射板422は、移動体100の底面の前端側に設けられる。
【0073】
このように、第1、第2のアンテナ411、412はそれぞれ移動体100の前端側、後端側に所定距離離して配置するようにしてもよい。
【0074】
(第2実施形態)
図10を用いて、第2実施形態にかかる移動体システム4について説明する。本実施形態にかかる移動体システム4は、無線装置302がアンテナ装置400、検出部501、記憶部700、決定部800を備える。なお、
図1に示す移動体システム1と同じ構成には同一符号を付し説明を省略する。
【0075】
記憶部700は、例えばメモリなどで構成され、通信装置21〜2nを記憶する。記憶部700は、通信装置21〜2nに対応するID(識別子)を、移動経路200に配置される順に記憶する。決定部800は、検出部501による通信装置21〜2nの検出結果に応じて次に検出する通信装置21〜2nを決定する。具体的に、決定部800は、検出部501が移動体100の位置を検出するために用いた通信装置の次に進行方向A00に位置する通信装置を、次に検出する通信装置(以下、待機中の通信装置と称する)とする。
【0076】
<位置検出処理3>
次に、
図11を用いて検出部501による位置検出処理3について説明する。ここでは、すでに検出部501が通信装置23の位置に基づいて移動体100の位置を検出しており、決定部800が通信装置22を待機中の通信装置としているものとして説明する。
【0077】
まず、検出部501は、第1モードでアンテナ装置400から検出信号を送信し、通信装置21〜2nを検出する(ステップS301)。次に、検出部501は、検出した通信装置が待機中の通信装置22であるか否か判定する(ステップS302)。
【0078】
待機中の通信装置22でない場合(ステップS302のNo)、検出部501はステップS301に戻る。一方、検出した通信装置が待機中の通信装置22である場合(ステップS302のYes)、検出部501は、
図6に示す位置検出処理2を実行する(ステップS303)。
【0079】
検出部501が、ステップS303で位置検出処理2を実行し、通信装置22の位置に基づいて移動体100の位置を検出した場合、決定部800は、記憶部700が記憶している通信装置21〜2nに基づいて通信装置21を次に待機する通信装置に決定する(ステップS304)。
【0080】
なお、検出部501がステップS302で待機中の通信装置22以外の通信装置を検出した場合、通信装置22より進行方向A00に存在し、かつ通信装置22に最も近い通信装置を待機中の通信装置に変更するようにしてもよい。
【0081】
なお、ステップS303で実行する位置検出処理2(
図6参照)において、ステップ201を省略し、ステップS202で待機中の通信装置22を検出しているか否か判定するようにしてもよい。また、ステップS303で
図5に示す位置検出処理1を実行するようにしてもよい。
【0082】
以上のように、第2実施形態にかかる移動体システム4によると、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、決定部800で次に検出する通信装置21〜2nを予め決定しておくことで、通信装置21〜2nの読み飛ばしが生じにくくなる。これにより、通信装置21〜2nをより高精度に検出することができ、移動体100の検出精度をさらに向上させることができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施される。ことが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。