【実施例】
【0016】
図1〜9に示す本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜
図9の実施例の図面中の符号について説明する。
図中、1は土木の杭打作業でよく使用されている公知の杭打込機、10〜15は同杭打込機1の構成部分であって、10はクローラ、11は同クローラのフレームに取付けた旋回台、12
1,12
2は同旋回台上に装置されたブームであり、13
1,13
2,13
3はブーム12
1,12
2を起伏・進退(伸縮)するように動かすための油圧シリンダー、14はブームに12
1,12
2の先端と油圧シリンダー13
3の先端とに取り付けられて垂直にリーダー15を保持するためのリーダー取付基板、15は杭を打ち込むためのリーダーであって、高さはH
1でA杭・B杭・C杭を連結した長尺材の打ち込み用リーダーの高さH
0より大巾に低い。15
1は同リーダーの下部に設けた1m高さのリーダー支持台、15
2は同リーダー支持台15
1に設けた杭の下方杭受部、15
3は最上段杭のC杭を把持して回動できる回転部、15
4はリーダー15の上下方向に設けたガイドレールであって、前記回転部15
3をリーダー15の上下間に張架したチェーンによって昇降させる昇降装置(図示せず)でもって上下方向に移動可能としている。16は杭打込機1の運転室である。又、15
5は最上段杭(C杭)19の上端に取付けられたスィーベルで、地盤改良材を送り込めるようにしている。
【0018】
又、図中17は最下段杭(A杭ともいう)、18は中間杭(B杭ともいう)、19は最上段杭(C杭ともいう)、20は最下段杭(A杭)と中間杭(B杭)と最上段杭(C杭)を連結した最大長の状態の長尺杭である。21は最下段杭のA杭17の下端に設けた混合撹拌器であって、スィーベル15
5を介してC杭19,B杭18,A杭17の内部を通って送られる地盤改良材(セメント系硬化材)を地盤中に注出できる注出孔(図示せず)を有する。22はB杭18の下端に取付ける土砂進入防止用先端キャップ、23はB杭18の待機地表領域での埋入位置で下方への沈降するのを防止するB杭18に脱着自在に取付けるストッパー盤、24は中間杭のB杭18を地中に埋入状態に収容し、B杭18の出入を容易にするための待機地表領域の地中削孔に嵌入した筒体、25は中間杭のB杭18の下端に脱着自在に取付けられて、土砂進入防止用先端キャップ機能を有する削孔器、30は軟弱地盤の地盤改良を行う杭の打込地表区、31は杭打込機1のリーダー15の旋回範囲内で且つ打込地表区30でない作業に支障がない地表に設定される待機地表領域である。
【0019】
この実施例の各行程について説明する。
【0020】
(A行程:中間杭待機行程/
図1,
図2,
図4参照)
地盤改良を行う打込地表区30の近くに杭打込機1を移動させて停車させる。この停車位置では、打込地表区30の一定間隔離して複数列・行の複数の杭打位置に杭打ちできる位置に停車させる。杭打込機1のクローラ10の載る地表には鉄板等を敷いた上に停車し、機体の傾き・沈降・不安定さがないようにする。
【0021】
停車後、リーダー15の回転部15
3を降下して地表に近い位置で回転部15
3にまずC杭(最上段杭)19を把持させる。
そして、この停車位置の杭打込機1のリーダー15の旋回範囲で打込地表区30でない地表面でリーダーの旋回・動きの支障のない地表(非打込地表地又は未打込みの打込地表地)にB杭(中間杭)を埋入させる待機地表領域31を設定し、この領域内で削孔して筒体24を嵌入して、B杭(中間杭)18の収容を容易にしている。B杭(中間杭)18の下端には土砂進入防止用先端キャップ22を脱着自在に取付けた状態で挿入する。この地盤が軟弱地盤で支持力が弱ければ、B杭18の地表表面位置に地表面上に載るようにストッパー盤23を脱着自在に取付け、B杭18の地盤中への沈降を防ぐ。B杭(中間杭)18を挿入するのに、リーダー15に取付けたC杭(最上段杭)19を下方へ移動させて、地表でB杭(中間杭)18を連結して、その後筒体24の上方へリーダーを移動して、筒体24の上方位置でC杭19を下方に降して、下のB杭18を筒体24内に挿入させて、B杭18とC杭19とを分離する手順の作業で行える。又は、B杭18を他の荷役機械、人手作業で筒体24に挿入することもできる。
このB杭18の上端の地表面からの突出の高さは、リーダー15の最下位置にあるC杭19の下端とねじ螺合連結できる高さとする。そして、B杭18を挿入した後B杭18とC杭19のねじ螺合を解いて分離する。
【0022】
上記の手順とは別に、B杭18を最初に地中に埋入させた状態にするのに
図4の(ロ)タイプの如く筒体24を削孔に嵌装させず、
図4の(イ)タイプの如くB杭18の下端に土砂進入防止用先端キャップ22を兼用した削孔器25を取付け、杭打込機1のリーダーを用いてB杭18で待機地表領域31を削孔し、削孔後C杭19とB杭18の螺合を解いて分離し、その削孔にそのままB杭18を残し、必要に応じてストッパー盤23を取付けて埋入待機させることもできる(
図5の丸1〜丸4参照)。
図5〜
図8で示す実施例ではこの方法を採用している。この削孔器25を取付けるのは地盤が硬い場合であり、軟弱地盤の場合は先端キャップ22を取り付ける。
【0023】
(B行程:最下段杭連結行程/
図1,
図5の丸5参照)
リーダー15に最初にA杭17を取付けるため、リーダー15に取付けたC杭(最上段杭)19を高く上昇させ、クレーン機等を使用して仮置したA杭(最下段杭)17を吊り上げて、リーダー15の回転部15
3に取付けたC杭(最上段杭)19の下端に螺合連結する(
図5の丸5参照)。又、A杭17の下端には混合撹拌器21を取付ける。C杭19の上部にスィーベル15
5を介して地盤改良材注入ホース15
6を接続し、地盤改良材がA
,C杭の内部通路(図省略)を介して混合撹拌器まで送られるようにしている。以後、A杭17をC杭19又はB杭18に螺合連結する又は分離する作業は、地表に近い位置でなされる。
その後、リーダー15を打込地表区30の杭打込みの上方位置まで移動させる。
この時の杭打込機1のリーダーの高さはA杭17とC杭19の長さよりやや高いものであればよい。A,B,C杭全部を連結した長尺杭20の長さ(
図1のH
0の長さ)よりリーダー15の高さH
1はかなり低いものにできる。
【0024】
(C行程:最下段杭打込行程/
図1,
図5の丸6参照)
リーダー15のC杭(最上段杭)19にA杭(最下段杭)17を取付けた状態で、リーダー15を打込地表区の杭打位置に旋回移動した後、回転部15
3を作動させながら昇降装置を作動させる。これによって、A杭17は回転しながらその下端の混合撹拌器21で地盤を削孔しながら下降する。地盤改良材をスィーベル15
5を介して送り、混合撹拌器21から注出しながらA杭17は下降時及び上昇時に地盤の土砂と地盤改良材を混合撹拌して、A杭の長さ程地盤を改良する(
図5の丸6参照)。
この改良作業が終えた後、A杭17とC杭19の連結杭のC杭19の上端が地表面から所定高さとなった時点で連結杭を停止し、A杭17とC杭19とのねじ螺合の連結を解いて分離する。A杭17はその上端が地表面から所定高さで露出する状態で残しておく。
【0025】
(D行程:長尺杭打込作業行程)
A杭17を分離して地中に残し、リーダー15及びこれに取付けたC杭19を待機地表領域31へ旋回移動し、地中に埋入させたB杭18の上方位置にし、C杭19を下降させ、B杭18の地表近くに露出したその上端と、C杭19の下端とをねじ螺合して連結する。その後、C杭19をB杭18の長さ程上昇させ、B杭18の下端に取付けていた削孔器25を取り外す。
その後、リーダー15のC杭19とB杭18との連結杭を打込地表区へ旋回移動させて、この地区で地中に打ち込まれて残されているA杭17の上方位置とする。
この位置でC杭19とB杭18との連結杭を下降させて、B杭18の下端に地中に残されたA杭17の上端とをねじ螺合して連結し、A,B,C杭が連結した長尺杭20とする。
この長尺杭20として回転部15
3と昇降装置を作動させて、A杭17の下端の混合撹拌器21を回転・上下及び地盤改良材を注入しながら、地盤の土砂と改良材とをよく混合撹拌する。この地盤改良は、長尺杭20の長さに近いA杭17とB杭18の長さの合計の長さ程の地盤深さまで地盤改良できる(
図6の丸10,丸11,丸12,
図8参照)。
【0026】
(E行程:中間杭待機作業行程)
D行程が終了すると、A,B,C杭の連結の長尺杭20を上昇させ、A杭17の上端が地表の所定高さになるまで引き上げ、この時点でA杭17とB杭18とのねじ螺合の連結を分離し、リーダー15にC杭19とB杭18とを連結した状態で、リーダー15を待機地表領域31へ移動し、B杭18の下端に削孔器25を取付け、待機地表領域31の地中に下して削孔してB杭18をその上端が地表の所定高さに残るまでその地中に埋入させ、その後B杭18とC杭17との螺合を解いてB杭18を地中に残す。その後、リーダー15を打込地表区へ旋回移動させる(
図7の丸13,丸14,丸15,丸16参照)。
【0027】
(F行程:打込位置変更行程)
リーダー15に残っているC杭19を、打込地表区30の地中に残されているA杭17の上方位置まで旋回移動し、C杭19の下端を下降させ、地中に残されているA杭17の上端とねじ螺合させてA,C杭の連結杭にして、高くA,C杭をリーダー15に沿って上昇させ、A杭の下端を地表上にする。その後、リーダー15を次の打込み位置の上方に移動して、A,C杭の連結杭を回転させながら下降して、次の位置での地盤改良を行う。即ち、C行程の最下段杭打込行程に戻る(
図7の丸17,丸18参照)。
【0028】
(G行程)
以下、C行程・D行程・E行程・F行程へ戻って、次の打込み位置を変更して、A,B,C杭の連結された長尺杭20の長さでの地盤改良作業を行う。杭打込機1では打ち込めない位置での地盤改良は、杭打込機1のクローラ10を用いて停車位置を変えて、次の地盤改良区に打込地表区とB杭の待機地表領域31を設定して、同様に地盤改良すれば広い範囲の地盤改良が効率的に且つ低いリーダー15で可能となる。
【0029】
このように、本実施例ではリーダー高さより長い地盤改良が行える。リーダーが安定して長い杭打込みができる。
しかも、A杭,B杭は各一本でも作業が行える。
更に、A杭17とB杭18及びB杭18とC杭19とのねじ螺合の分離作業・連結作業は地表の低い位置で行えるので、杭の連結・分離作業が迅速に且つ安全に行える。