(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の順番において、前記第1のグループと前記第2のグループとは同時であり、かつ、前記第3のグループと前記第4のグループとは同時である、請求項5に記載のシールド掘進機。
掘進機本体と、前記掘進機本体の周縁線上に配置されて伸縮可能であり、かつ、伸長時に前記掘進機本体を前進させることが可能な複数の推進ジャッキと、を有するシールド掘進機における推進ジャッキの作動制御方法であって、
前記複数の推進ジャッキを複数のグループに分け、
全ての前記複数の推進ジャッキが伸長している途中で、前記掘進機本体の振動の度合いが所定の閾値以上になると、所定の順番で前記グループごとに、該グループを構成する推進ジャッキの伸長の停止又は短縮と、前記停止又は短縮された推進ジャッキの伸長とを行うように、前記複数の推進ジャッキの作動を制御する、
シールド掘進機における推進ジャッキの作動制御方法。
掘進機本体と、前記掘進機本体の周縁線上に配置されて伸縮可能であり、かつ、伸長時に前記掘進機本体を前進させることが可能な複数の推進ジャッキと、を有するシールド掘進機における推進ジャッキの作動制御方法であって、
前記複数の推進ジャッキを複数のグループに分け、
全ての前記複数の推進ジャッキが伸長している途中で、前記掘進機本体の振動の度合いが所定の閾値以上になると、まず、全ての前記複数の推進ジャッキの伸長の停止を行い、次に、所定の順番で前記グループごとに、該グループを構成する推進ジャッキの短縮と、前記短縮された推進ジャッキの伸長とを行うように、前記複数の推進ジャッキの作動を制御する、
シールド掘進機における推進ジャッキの作動制御方法。
前記所定の順番において、前記第1のグループと前記第2のグループとは同時であり、かつ、前記第3のグループと前記第4のグループとは同時である、請求項11に記載のシールド掘進機における推進ジャッキの作動制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態におけるシールド掘進機の概略構成を示す。
図2は、
図1のI−I断面図である。尚、
図2においては、図示の簡略化のため、後述するエレクター及びセグメントリングの図示を省略している。
【0017】
尚、本実施形態では、便宜上、トンネル掘進方向を前進方向として前後左右を規定している。
また、本実施形態では、いわゆる泥土圧式のシールド掘進機を例にとってシールド掘進機の構成を説明するが、シールド掘進機の種類はこれに限らない。
【0018】
トンネルの構築に用いられるシールド掘進機1は、その本体(掘進機本体)2が、円筒形状の前胴3及び後胴4を含んで構成される。ここで、前胴3の側部に配置されるスキンプレート5と、後胴4の側部に配置されるスキンプレート6とは、それぞれ、掘進機本体2の外殻をなすものである。
【0019】
前胴3は、掘削用のカッタヘッド7とシールド隔壁(バルクヘッド)8とを有する。
カッタヘッド7は前胴3の前端部に配置されている。シールド隔壁8は、カッタヘッド7の後方に離間して前胴3に配置されている。
カッタヘッド7は、シールド隔壁8に回転自在に支持されており、シールド隔壁8の後面に設置された駆動用モータ9を駆動源として、回転しながら地山を掘削する。
【0020】
カッタヘッド7とシールド隔壁8との間には、これらとスキンプレート5とによりカッタチャンバ10が区画形成されている。
カッタチャンバ10内では、カッタヘッド7による掘削で生じた掘削土砂が滞留する。
【0021】
シールド掘進機1には、その前胴3の後部と後胴4の前部とを連結するように、複数の中折れジャッキ11が、胴の周方向に互いに間隔を空けて配置されている。
中折れジャッキ11は、シリンダ11aとロッド11bとにより構成される油圧ジャッキである。シリンダ11aは、その一端が後胴4の前部に固定されており、他端側にて、ロッド11bが進出・退入可能となっている。中折れジャッキ11のロッド11bは、その先端部が、前胴3の後部に固定されている。シールド掘進機1の掘進方向の変更・調整時には、各中折れジャッキ11の伸長量が変更・調整される。
【0022】
シールド掘進機1は、後胴4のスキンプレート6内にエレクター12を備える。
エレクター12は把持部12aを備える。エレクター12は、スキンプレート6の後部(テール部)60の内方にて、円弧状断面を有するセグメント13を把持部12aで把持しつつ、セグメント13をトンネル軸方向、径方向、周方向に適宜移動させることができる。エレクター12は、スキンプレート6の後部60の内方にて、その周方向にセグメント13を組み立てて、円筒状のセグメントリング14を構築する。
【0023】
シールド掘進機1の後胴4の周縁部には、複数(
図2では92本)の推進ジャッキ15が、複数の中折れジャッキ11と干渉しないように、胴の周方向に互いに間隔を空けて配置されている。ここで、
図2に示す円周Cが、本発明の「掘進機本体の周縁線」に対応する。ゆえに、本実施形態では、掘進機本体2(後胴4)の周縁線上(円周C上)に、複数の推進ジャッキ15が配置されている。尚、本実施形態では推進ジャッキ15の本数が92本であるとして以下説明するが、推進ジャッキ15の本数はこれに限らない。
【0024】
推進ジャッキ15は、シリンダ15aとロッド15bとにより構成される油圧ジャッキである。シリンダ15aは、その一端側が後胴4に固定されており、他端側にて、ロッド15bが進出・退入可能となっている。本実施形態では、通常時において、全ての推進ジャッキ15のロッド15bの先端部をスプレッダ15cを介して既設のセグメントリング14に当接させた状態で全ての推進ジャッキ15を伸長作動させることにより、シールド掘進機1(掘進機本体2)は推進力を得る。それゆえ、推進ジャッキ15は、既設のセグメントリング14をスキンプレート6の後部60の後方を押し出して、その反力により、シールド掘進機1(掘進機本体2)を前方に推進させることができる。
【0025】
尚、本実施形態では、推進ジャッキ15の伸長時に、推進ジャッキ15からの押圧力が既設のセグメントリング14に伝達される際に、推進ジャッキ15の偏芯量を低減させるために、及び、セグメントリング14に作用する偏荷重を抑制するために、1つのスプレッダ15cに対して2つの推進ジャッキ15が取り付けられた、いわゆるツインジャッキが採用されている。それゆえ、本実施形態では、スプレッダ15cの個数が46個である(
図2参照)。しかしながら、推進ジャッキ15の形式はこれに限らない。すなわち、1つのスプレッダ15cに対して1つの推進ジャッキ15が取り付けられた形式であってもよい。
【0026】
本実施形態では、92本の推進ジャッキ15が、12個のグループ(グループG1〜G12)に分けられている。すなわち、複数の推進ジャッキ15が複数のグループ(グループG1〜G12)に分けられている。これらグループG1〜G12は、掘進機本体2の周方向に並んでいる。
尚、複数の推進ジャッキ15のグループ分けについては、グループの総数が4の倍数になることが好ましく、グループの総数が8、12、16のうちのいずれかになることが更に好ましい。これにより、各グループを、上下左右にバランスよく分散配置することができる。
【0027】
図2に示すように、グループG1〜G3、G5〜G9、G11及びG12は、それぞれ、8本の推進ジャッキ15により構成されている。グループG4及びG10は、それぞれ、6本の推進ジャッキ15により構成されている。尚、各グループにおける推進ジャッキ15の本数はこれに限らず、2本以上であれば何本でもよい。
グループG1とグループG7とは機軸MCを挟んで互いに対向している。グループG2とグループG8とは機軸MCを挟んで互いに対向している。グループG3とグループG9とは機軸MCを挟んで互いに対向している。グループG4とグループG10とは機軸MCを挟んで互いに対向している。グループG5とグループG11とは機軸MCを挟んで互いに対向している。グループG6とグループG12とは機軸MCを挟んで互いに対向している。
【0028】
図1に戻り、シールド掘進機1は、カッタチャンバ10内の掘削土砂をシールド隔壁8の後方に搬出するスクリューコンベヤ16を備えている。
スクリューコンベヤ16は、シールド隔壁8に固定された円筒状のケース17とその内部に組み込まれたオーガ18とからなり、オーガ18を回転させることにより、カッタチャンバ10内の掘削土砂をシールド隔壁8の後方に搬出する。
【0029】
後胴4は、その中央部に足場20を備える。足場20は、機軸MCに沿うように延在している。足場20の本体をなすフレーム部21は、
図2に示すような矩形断面を有して機軸MCに沿うように延在している。
【0030】
足場20(フレーム部21)の下方であって、かつ、エレクター12の後方には、エレクター12にセグメント13を供給するセグメント供給装置22が配置されている。また、足場20のうち、スキンプレート6の後部60の内方に位置する部分には、機軸方向に沿って往復移動可能な移動足場(図示せず)が設けられている。この移動足場は、セグメント13同士を連結する作業等に用いられ得る。
【0031】
フレーム部21には、振動センサの一例である加速度センサ31が設けられている。本実施形態において、加速度センサ31は、互いに直交する3つの軸方向(x軸方向,y軸方向,z軸方向)の加速度を測定する3軸加速度センサである。従って、加速度センサ31は、掘進機本体2の加速度として、前記3つの軸方向の加速度を測定することができ、ひいては、掘進機本体2の振動として、前記3つの軸方向の振動を測定することができる。また、加速度センサ31によって、前記3つの軸方向における掘進機本体2の加速度の度合い(換言すれば、掘進機本体2の振動の度合い)を把握することができる。それゆえ、加速度センサ31が、本発明の「振動測定部」として機能し得る。
【0032】
加速度センサ31にて測定された、前記3つの軸方向の加速度(振動)に対応する信号は、図示しない信号線を介して、制御装置42に伝達される。ここで、制御装置42は、例えば、足場20に設けられた運転管理室45内に配置され得る。
制御装置42は、合成加速度算出部48、及び、振動判定部49を備える。また、制御装置42は、本発明の「制御部」として機能して、全ての推進ジャッキ15の作動(具体的には伸縮作動)を前述のグループG1〜G12ごとに制御する。
【0033】
合成加速度算出部48は、加速度センサ31にて測定された、前記3つの軸方向の加速度x,y,zを以下の式(1)により合成して、合成加速度aを算出する。ここで、加速度x,y,zは、それぞれ、x軸方向,y軸方向,z軸方向の加速度である。
【0035】
それゆえ、加速度センサ31と合成加速度算出部48とが協働して、本発明の「振動測定部」として機能して、掘進機本体2の加速度(合成加速度)を測定することができ、ひいては、掘進機本体2の振動を測定することができる。また、掘進機本体2の加速度(合成加速度)の度合い(換言すれば、掘進機本体2の振動の度合い)を把握することができる。
【0036】
振動判定部49は、掘進機本体2の振動が所定値以上であるか否かを判定する。本実施形態では、具体的には、掘進機本体2の振動に対応する合成加速度aが所定値P以上であるか否かを判定する。ここで、所定値Pとは、後述する振動抑制制御ルーチンを実行するか否かを判定するための閾値であり、予め設定されている。また、所定値Pが本発明の「所定値」及び「所定の閾値」に対応し得る。また、合成加速度aが、本発明の「掘進機本体の振動の測定値」及び「掘進機本体の振動の度合い」に対応し得る。
【0037】
次に、制御装置42により実現される推進ジャッキ15の作動制御方法について、上述の
図1及び
図2に加えて、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態における推進ジャッキ15の作動制御方法を示すフローチャートである。
【0038】
図3に示すフローは、全ての推進ジャッキ15のロッド15bの先端部がスプレッダ15cを介して既設のセグメントリング14に当接している状態で、全ての推進ジャッキ15が伸長作動しているときに(すなわち、全ての推進ジャッキ15が伸長している途中において)、所定の周期で繰り返し実行される。
【0039】
まず、ステップS1にて、合成加速度aが所定値P以上であるか否かを判定する。
合成加速度aが所定値P以上ではない(すなわち、合成加速度aが所定値P未満である)場合には、ステップS2に進み、全ての推進ジャッキ15の伸長作動を継続して、このフローを終了する。
【0040】
一方、合成加速度aが所定値P以上である場合には、ステップS3に進み、シールド掘進機1の振動抑制制御を行う。具体的には、後述するシールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第1例〜第3例のいずれかを実行する。
ステップS3におけるシールド掘進機1の振動抑制制御が完了すると、ステップS4に進み、全ての推進ジャッキ15の伸長作動を再開して、このフローを終了する。
【0041】
ここで、シールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第1例について説明する。
本例では、まず、グループG1を構成する推進ジャッキ15の伸長作動を停止するか又は短縮作動させて短縮状態を維持する。この伸長作動の停止又は短縮状態の維持の期間は、予め設定されている。また、この期間では、グループG2〜G12(すなわちグループG1以外のグループ)を構成する推進ジャッキ15の伸長作動が継続される。それゆえ、グループG2〜G12を構成する推進ジャッキ15のロッド15bの先端部をスプレッダ15cを介して既設のセグメントリング14に当接させた状態で、グループG2〜G12を構成する推進ジャッキ15を伸長作動させることにより、シールド掘進機1(掘進機本体2)は推進力を得ることができる。従って、グループG2〜G12を構成する推進ジャッキ15は、既設のセグメントリング14をスキンプレート6の後部60の後方を押し出して、その反力により、シールド掘進機1(掘進機本体2)を前方に推進させることができる。
【0042】
また、前述の期間においては、グループG1を構成する推進ジャッキ15が、既設のセグメントリング14から離れる。それゆえ、当該推進ジャッキ15の拘束が解放されるので、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができ、ひいては、当該推進ジャッキ15の変形量を減少させることができる。
【0043】
前述の期間が経過すると、次に、グループG2〜G12を構成する推進ジャッキ15の伸長作動に追いつくまで、グループG1を構成する推進ジャッキ15を伸長作動させる。
この後、グループG2〜G12について、グループG2からグループG12へと順に、各グループごとに、前述のグループG1と同様に、推進ジャッキ15の伸長の停止又は短縮と、この停止又は短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行う。
【0044】
このようにして、掘進を継続しつつ、グループG1〜G12の各々を構成する推進ジャッキ15が、順次、既設のセグメントリング14から離れる。それゆえ、当該推進ジャッキ15の拘束が順次解放されるので、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができ、ひいては、当該推進ジャッキ15の変形量を減少させることができる。
ここで、本例では、掘進機本体2の周方向に沿って進む順番で(具体的には、
図2に示すグループG1からグループG12への昇順で)、グループごとに、推進ジャッキ15の伸長の停止又は短縮と、この停止又は短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行う。また、あるグループにて推進ジャッキ15の伸長の停止又は短縮が行われる前記期間中に、当該グループ以外のグループについては、推進ジャッキ15の伸長が継続される(すなわち、シールド掘進機1による掘進が中断されることなく継続される)。
尚、本例では、掘進機本体2の周方向に沿って進む順番(具体的には、
図2に示すグループG1からグループG12への昇順)が、本発明の「所定の順番」に対応する。
【0045】
次に、シールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第2例について説明する。
前述の第1例と異なる点について説明する。
本例では、グループG1、G7、G2、G8、G3、G9、G4、G10、G5、G11、G6、G12という順番で、グループごとに、推進ジャッキ15の伸長の停止又は短縮と、この停止又は短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行う。また、あるグループにて推進ジャッキ15の伸長の停止又は短縮が行われる前記期間中に、当該グループ以外のグループについては、推進ジャッキ15の伸長が継続される(すなわち、シールド掘進機1による掘進が中断されることなく継続される)。
【0046】
尚、本例では、グループG1が本発明の「第1のグループ」に対応する。また、グループG7が本発明の「第2のグループ」に対応する。また、グループG2が本発明の「第3のグループ」に対応する。また、グループG8が本発明の「第4のグループ」に対応する。グループG1とグループG2とは、掘進機本体2の周方向で互いに隣接している。また、グループG1、G7、G2、G8、G3、G9、G4、G10、G5、G11、G6、G12という順番が、本発明の「所定の順番」に対応する。
【0047】
次に、シールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第3例について説明する。
前述の第2例と異なる点について説明する。
本例では、第2例におけるグループG1、G7、G2、G8、G3、G9、G4、G10、G5、G11、G6、G12という順番において、グループG1とグループG7とが同時であり、グループG2とグループG8とが同時であり、グループG3とグループG9とが同時であり、グループG4とグループG10とが同時であり、グループG5とグループG11が同時であり、グループG6とグループG12とが同時である。
【0048】
本実施形態によれば、シールド掘進機1は、掘進機本体2と、掘進機本体2の周縁線(円周C)上に配置されて伸縮可能であり、かつ、伸長時に掘進機本体2を前進させることが可能な複数の推進ジャッキ15と、掘進機本体2の振動を測定する振動測定部(加速度センサ31)と、複数の推進ジャッキ15の作動を制御する制御部(制御装置42)と、を有する。複数の推進ジャッキ15は複数のグループG1〜G12に分けられている。制御部(制御装置42)は、全ての複数の推進ジャッキ15が伸長している途中で、掘進機本体2の振動の測定値(例えば合成加速度a)が所定値以上(例えば所定値P以上)になると、所定の順番(前述の第1例〜第3例参照)でグループごとに、該グループを構成する推進ジャッキ15の伸長の停止又は短縮と、この停止又は短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行うように、複数の推進ジャッキ15の作動を制御する。これにより、全ての複数の推進ジャッキ15が伸長している途中において、所定の順番でグループごとに、推進ジャッキ15の停止又は短縮を行って、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができるので、推進ジャッキ15の変形に起因するシールド掘進機1の全体での振動の発生を抑制することができる。
【0049】
また本実施形態によれば、掘進機本体2と、掘進機本体2の周縁線(円周C)上に配置されて伸縮可能であり、かつ、伸長時に掘進機本体2を前進させることが可能な複数の推進ジャッキ15と、を有するシールド掘進機1における推進ジャッキ15の作動制御方法では、複数の推進ジャッキ15を複数のグループG1〜G12に分け、全ての複数の推進ジャッキ15が伸長している途中で、掘進機本体2の振動の度合い(例えば合成加速度a)が所定の閾値以上(例えば所定値P以上)になると、所定の順番(前述の第1例〜第3例参照)でグループごとに、該グループを構成する推進ジャッキ15の伸長の停止又は短縮と、この停止又は短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行うように、複数の推進ジャッキ15の作動を制御する。これにより、全ての複数の推進ジャッキ15が伸長している途中において、所定の順番でグループごとに、推進ジャッキ15の停止又は短縮を行って、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができるので、推進ジャッキ15の変形に起因するシールド掘進機1の全体での振動の発生を抑制することができる。
【0050】
また本実施形態によれば、複数のグループG1〜G12は、掘進機本体2の周方向に並んでいる。これにより、複数の推進ジャッキ15のグループ分けを容易に行うことができる。
【0051】
また本実施形態によれば、前述の第1例において「所定の順番」とは掘進機本体2の周方向に沿って進む順番である。これにより、グループごとの推進ジャッキ15の拘束の解放を、掘進機本体2の周方向に順序よく行うことができる。
【0052】
また本実施形態によれば、前述の第2例において、複数のグループG1〜G12は、第1のグループ(グループG1)、第2のグループ(グループG7)、第3のグループ(グループG2)、及び、第4のグループ(グループG8)を含み、第1のグループ(グループG1)と第2のグループ(グループG7)とは掘進機本体2の機軸MCを挟んで互いに対向し、第3のグループ(グループG2)と第4のグループ(グループG8)とは掘進機本体2の機軸MCを挟んで互いに対向し、第1のグループ(グループG1)と第3のグループ(グループG2)とは掘進機本体2の周方向で互いに隣接し、「所定の順番」とは、第1のグループ(グループG1)、第2のグループ(グループG7)、第3のグループ(グループG2)、第4のグループ(グループG8)という順番である。これにより、グループごとの推進ジャッキ15の拘束の解放を、機軸MCを基準とした対称性を確保しつつ行うことができる。
【0053】
また本実施形態によれば、前述の第3例では、前述の第2例の「所定の順番」における、第1のグループ(グループG1)と第2のグループ(グループG7)とを同時とし、かつ、第3のグループ(グループG2)と第4のグループ(グループG8)とを同時とする。これにより、機軸MCを挟んで対向するグループ同士で同時に推進ジャッキ15の拘束の解放を行うことができるので、当該拘束の開放に伴うシールド掘進機1の推進力のアンバランス化を抑制することができる。
【0054】
図4は、本発明の第2実施形態における推進ジャッキ15の作動制御方法を示すフローチャートである。
前述の第1実施形態と異なる点について説明する。
【0055】
本実施形態では、ステップS1にて合成加速度aが所定値P以上である場合に、ステップS6に進み、全ての推進ジャッキ15が伸長作動を停止する。この後に、ステップS7に進み、シールド掘進機1の振動抑制制御を行う。具体的には、後述するシールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第4例〜第6例のいずれかを実行する。
ステップS7におけるシールド掘進機1の振動抑制制御が完了すると、ステップS8に進み、全ての推進ジャッキ15の伸長作動を再開して、このフローを終了する。
【0056】
ここで、シールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第4例について説明する。
本例では、まず、グループG1を構成する推進ジャッキ15を短縮作動させて短縮状態を維持する。この短縮状態の維持の期間は、予め設定されている。また、この期間において、グループG2〜G12(すなわちグループG1以外のグループ)を構成する推進ジャッキ15の伸長作動は停止している。それゆえ、この期間において、グループG2〜G12を構成する推進ジャッキ15のロッド15bは、その先端部がスプレッダ15cを介して既設のセグメントリング14に当接している。
【0057】
また、この期間においては、グループG1を構成する推進ジャッキ15が、既設のセグメントリング14から離れる。それゆえ、当該推進ジャッキ15の拘束が解放されるので、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができ、ひいては、当該推進ジャッキ15の変形量を減少させることができる。
【0058】
この期間が経過すると、次に、グループG1を構成する推進ジャッキ15を伸長作動させて、そのロッド15bの先端部をスプレッダ15cを介して既設のセグメントリング14に当接させる。
この後、グループG2〜G12について、グループG2からグループG12へと順に、各グループごとに、前述のグループG1と同様に、推進ジャッキ15の短縮と、この短縮された推進ジャッキ15の伸長作動とを行う。
【0059】
このようにして、グループG1〜G12の各々を構成する推進ジャッキ15が、順次、既設のセグメントリング14から離れる。それゆえ、当該推進ジャッキ15の拘束が順次解放されるので、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができ、ひいては、当該推進ジャッキ15の変形量を減少させることができる。
ここで、本例では、掘進機本体2の周方向に沿って進む順番で(具体的には、
図2に示すグループG1からグループG12への昇順で)、グループごとに、推進ジャッキ15の短縮と、この短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行う。
尚、本例では、掘進機本体2の周方向に沿って進む順番(具体的には、
図2に示すグループG1からグループG12への昇順)が、本発明の「所定の順番」に対応する。
【0060】
次に、シールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第5例について説明する。
前述の第4例と異なる点について説明する。
本例では、グループG1、G7、G2、G8、G3、G9、G4、G10、G5、G11、G6、G12という順番で、グループごとに、推進ジャッキ15の短縮と、この短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行う。
【0061】
尚、本例では、グループG1が本発明の「第1のグループ」に対応する。また、グループG7が本発明の「第2のグループ」に対応する。また、グループG2が本発明の「第3のグループ」に対応する。また、グループG8が本発明の「第4のグループ」に対応する。グループG1とグループG2とは、掘進機本体2の周方向で互いに隣接している。また、グループG1、G7、G2、G8、G3、G9、G4、G10、G5、G11、G6、G12という順番が、本発明の「所定の順番」に対応する。
【0062】
次に、シールド掘進機1の振動抑制制御ルーチンの第6例について説明する。
前述の第5例と異なる点について説明する。
本例では、第5例におけるグループG1、G7、G2、G8、G3、G9、G4、G10、G5、G11、G6、G12という順番において、グループG1とグループG7とが同時であり、グループG2とグループG8とが同時であり、グループG3とグループG9とが同時であり、グループG4とグループG10とが同時であり、グループG5とグループG11が同時であり、グループG6とグループG12とが同時である。
【0063】
特に本実施形態によれば、制御部(制御装置42)は、全ての複数の推進ジャッキ15が伸長している途中で、掘進機本体2の振動の測定値(例えば合成加速度a)が所定値以上(例えば所定値P以上)になると、まず、全ての複数の推進ジャッキ15の伸長の停止を行い、次に、所定の順番(前述の第4例〜第6例参照)でグループごとに、該グループを構成する推進ジャッキ15の短縮と、この短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行うように、複数の推進ジャッキ15の作動を制御する。これにより、全ての複数の推進ジャッキ15の伸長を一時停止して、所定の順番でグループごとに、推進ジャッキ15の短縮を行って、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができるので、推進ジャッキ15の変形に起因するシールド掘進機1の全体での振動の発生を抑制することができる。
【0064】
また本実施形態によれば、シールド掘進機1における推進ジャッキ15の作動制御方法では、複数の推進ジャッキ15を複数のグループG1〜G12に分け、全ての複数の推進ジャッキ15が伸長している途中で、掘進機本体2の振動の度合い(例えば合成加速度a)が所定の閾値以上(例えば所定値P以上)になると、まず、全ての複数の推進ジャッキ15の伸長の停止を行い、次に、所定の順番(前述の第4例〜第6例参照)でグループごとに、該グループを構成する推進ジャッキ15の短縮と、この短縮された推進ジャッキ15の伸長とを行うように、複数の推進ジャッキ15の作動を制御する。これにより、全ての複数の推進ジャッキ15の伸長を一時停止して、所定の順番でグループごとに、推進ジャッキ15の短縮を行って、当該推進ジャッキ15に作用する荷重を緩和することができるので、推進ジャッキ15の変形に起因するシールド掘進機1の全体での振動の発生を抑制することができる。
【0065】
また本実施形態によれば、前述の第4例において「所定の順番」とは掘進機本体2の周方向に沿って進む順番である。これにより、グループごとの推進ジャッキ15の拘束の解放を、掘進機本体2の周方向に順序よく行うことができる。
【0066】
また本実施形態によれば、前述の第5例において、複数のグループG1〜G12は、第1のグループ(グループG1)、第2のグループ(グループG7)、第3のグループ(グループG2)、及び、第4のグループ(グループG8)を含み、第1のグループ(グループG1)と第2のグループ(グループG7)とは掘進機本体2の機軸MCを挟んで互いに対向し、第3のグループ(グループG2)と第4のグループ(グループG8)とは掘進機本体2の機軸MCを挟んで互いに対向し、第1のグループ(グループG1)と第3のグループ(グループG2)とは掘進機本体2の周方向で互いに隣接し、「所定の順番」とは、第1のグループ(グループG1)、第2のグループ(グループG7)、第3のグループ(グループG2)、第4のグループ(グループG8)という順番である。これにより、グループごとの推進ジャッキ15の拘束の解放を、機軸MCを基準とした対称性を確保しつつ行うことができる。
【0067】
また本実施形態によれば、前述の第6例では、前述の第5例の「所定の順番」における、第1のグループ(グループG1)と第2のグループ(グループG7)とを同時とし、かつ、第3のグループ(グループG2)と第4のグループ(グループG8)とを同時とする。これにより、機軸MCを挟んで対向するグループ同士で同時に推進ジャッキ15の拘束の解放を行うことができるので、当該拘束の開放に伴うシールド掘進機1のセグメントリング14への押圧力のアンバランス化を抑制することができる。
【0068】
尚、前述の第1及び第2実施形態では、加速度センサ31として3軸加速度センサを用いて説明しているが、加速度センサ31はこれに限らず、例えば、1軸加速度センサ、又は、2軸加速度センサを用いてもよい。
【0069】
また、前述の第1及び第2実施形態では、振動センサの一例として加速度センサ31を用いて説明しているが、振動センサはこれに限らず、例えば、速度センサ又は変位センサであってもよい。
【0070】
また、前述の第1及び第2実施形態では、振動センサがフレーム部21に設けられているが、掘進機本体2の振動が測定できる限りにおいて、振動センサの設置場所は任意である。例えば、振動センサが、シールド隔壁8の後面に設けられてもよい。また、振動センサの設置個数は1個に限らず複数個であってもよい。
【0071】
また、前述の第1及び第2実施形態では、泥土圧式のシールド掘進機1を用いて説明したが、シールド掘進機1の種類はこれに限らず、例えば、泥水式のシールド掘進機であってもよい。