(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由が無い限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る冷却装置について図面を用いて説明する。以下においては、具体的な構造や構成の例をあげて説明していくが、本実施形態に係る冷却装置の構造や構成を以下の具体例に限定するわけではない。また、以下の図中には、構成要素の向きを把握するための座標軸(xyz座標系)を図示している。
【0016】
図1は、本実施形態に係る冷却装置の一例である冷却装置1の斜視図である。
図2は、冷却装置1の平面図である。
図3は、
図2のA−A線で切断した冷却装置1の断面図である。
【0017】
図1のように、冷却装置1は、ヒートシンク11と、流体路12とを備える。ヒートシンク11と流体路12とは、少なくとも一部が熱的に接続され、相互に熱交換できるように組み合わされる。なお、ヒートシンク11と流体路12とは、相互に熱移動するように配置されていればよく、必ずしも物理的に接触している必要はない。
【0018】
図1の冷却装置1は、ヒートシンク11の内部に流体路12が配置された構造を有する。ここでは、ヒートシンク11の下方の受熱面側に冷却対象のデバイスを配置するものとする。
【0019】
図1の冷却装置1の流体路12は、ヒートシンク11の一端面側で複数の経路に分岐し、分岐された複数の経路が一端面側から他端面まで貫く構造を有する。そして、他端面を貫いた分岐経路は、他端面側でU字状に折り返され、ヒートシンク11の内部を他端面側から一端面まで貫き、一端面側で一つにまとめられる。
図2は、分岐した流体路12が、一端面側を貫いた後に一つの経路にまとめられる様子を示す。なお、流体路12は、給気経路と排気経路とがともに確保されていればどのような構造であってもかまわない。
【0020】
図1の冷却装置1において、流体路12に供給された流体は、ヒートシンク11内の分岐経路を通ってヒートシンク11の熱を吸収して排出される。
図3のように、ヒートシンク11を冷却するために流体路12内に導入された流体は、ヒートシンク11内部の下方を通過してから折り返され、ヒートシンク11内部の上方を通過してから排出される。
【0021】
流体路12の内部には、ヒートシンク11を冷却するための所定の流体が流される。流体路11の内部には、所定の流体として空気を流すことが好ましい。また、流体路12の内部には、窒素やアルゴン、二酸化炭素などの任意の気体を所定の流体として流してもよい。また、流体路12の内部には、水やアルコールなどの任意の液体を所定の流体として流してもよい。すなわち、ヒートシンク11の熱を吸収できさえすれば、流体路12の内部を導通可能な任意の流体を所定の流体として選択することができる。ただし、所定の流体は、流体路12の内部を塞いだりせず、漏れても安全な流体であることが好ましい。
【0022】
ヒートシンク11は、熱伝導性の高いブロックである。ヒートシンク11は、CPU(Central Processing Unit)などの発熱するデバイス(以下、冷却対象)に熱的に接続される。ヒートシンク11は、冷却対象から発生した熱をヒートスプレッダ経由で受熱面から吸収し、吸収した熱を冷却対象から離れた位置に放出するための部材である。ヒートシンク11には、均質な塊のブロック材を用いてもよいし、空洞を設けたブロック材を用いてもよい。また、ヒートシンク11の表面には、表面積を大きくして放熱しやすくするために凹凸やフィンなどを形成させてもよいし、滑らかに仕上げられていてもよい。
【0023】
ヒートシンク11には、金属などの熱伝導性の高い材料を用いることが好ましい。例えば、ヒートシンク11には、銅やアルミニウム、鉄などを含む熱伝導性の高い金属材料が好適である。また、窒化アルミニウムや窒化ケイ素などの熱伝導性の高いセラミック材料や、銅モリブデン合金などの合金、アルミ―炭化ケイ素複合体などの複合体などをヒートシンク11に用いてもよい。ただし、ヒートシンク11の材料はここで挙げた限りではなく、任意の材料を選択することができる。また、流体路12に熱を伝導させやすいように、ヒートシンク11の表面を断熱材で被覆させてもよい。
【0024】
流体路12は、内部に流された空気によってヒートシンク11の熱を吸収し、吸収した熱を系外に放出するための経路である。流体路12は、金属やプラスチック、セラミックス、ガラスなどの材料をパイプ状に形成させた構造を有する。流体路12の材料は、冷却対象131の発熱量や設置場所の雰囲気に応じて適宜選択すればよい。
【0025】
流体路12は、所定の流体が導通可能に形成された構造を有する。流体路12の内部は空洞であることが好ましいが、流体の導通を塞ぐことさえなければ流体路12の内部に何かを配置してもよい。例えば、所定の流体に含まれる不純物を吸着する吸着剤や、所定の流体の流れを整流するための整流機構、所定の流体に熱を伝えやすくするための熱伝導性の高い粒子などを流体路12の内部に配置してもよい。また、流体路12の断面は、一定の断面積ではなくてもよく、断面形状も任意の形状とすることができる。例えば、流体路12の内部に凹凸を形成させて、流体路12と所定の流体との熱伝導を高めるように構成してもよい。
【0026】
流体路12は、ヒートシンク11と熱的に接続される熱交換部を有する。熱交換部は、ヒートシンク11の受熱面に略平行に配置される第1の経路と、第1の経路を通過した空気が送られる第2の経路とを含む。熱交換部は、ヒートシンク11との熱的な結合部分を増やすことによって熱交換しやすいように、ヒートシンク11の内部または外部で少なくとも一回往復する構造を有する。言い換えると、
図1の冷却装置1は、第1および第2の経路が複数の分岐路に分岐された構造を有する。
【0027】
流体路12の両端部には、流体路12の内部に空気を取り入れるための吸気口121と、流体路12の内部から空気を排出するための排気口122とが開口されている。すなわち、流体路12は、第1の経路から延伸される吸気口121と、第2の経路から延伸される排気口122とを有する。
【0028】
本実施形態においては、冷却装置1の構造について説明するため、流体路12内に空気を送る機構については図示していないが、実際には流体路12の内部に空気を流すための送風機構が流体路12のいずれかの端部に接続される。なお、流体路12の内部に空気を流すための装置については後述する。
【0029】
図3のように、流体路12は、給気経路123、第1の経路124、折り返し経路125、第2の経路126および排気経路127を有する。第1の経路124、折り返し経路125および第2の経路126が熱交換部を構成する。
図3のように、折り返し経路125で流体路12を折り返す構造にすると、流体路12がコンパクトになる。なお、
図3の例では、ヒートシンク11の外部に折り返し経路125を配置しているが、ヒートシンク11の内部に折り返し経路125を配置してもよい。
【0030】
吸気口121から導入された冷却空気は、給気経路123から第1の経路124に送られ、第1の経路124を通過している間にヒートシンク11から熱を吸収する。第1の経路124を通過して暖められた空気は、折り返し経路125で折り返されて第2の経路126に送られる。第2の経路126を通過する空気は、ヒートシンク11との温度の大小関係に応じて、ヒートシンク11の熱をさらに吸収するか、ヒートシンク11に熱を排出する。第2の経路126を通過して排気経路127に送られた空気は、排気口122から排気される。このようにして、吸気口121から流体路12の内部に導入された空気は、ヒートシンク11の熱を熱交換部で吸収して暖められた後に、排気口122から排気される。
【0031】
図3のように、冷却装置1の流体路12においては、第1の経路124が第2の経路126よりも受熱面の近くに配置され、第1の経路124と第2の経路126とが並行して配置される。
図3の冷却装置1の構成では、ヒートシンク11の熱を吸収するために供給される空気が進行する向きと、ヒートシンク11の熱を吸収して暖められた空気が進行する向きとが反対向きになる。ヒートシンク11自体は、冷却対象に近い下方(受熱面側)の温度が高く、冷却対象から離れている上方の温度が低い。すなわち、
図3のような流体路12の配置にすれば、比較的高温であるヒートシンク11の下方に冷たい空気が送られ、比較的低温であるヒートシンク11の上方に温められた空気が送られる。その結果、ヒートシンク11の受熱面側では、冷却対象からヒートシンク11への熱勾配が大きくなって熱移動が起こりやすくなり、冷却効果が向上する。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る冷却装置1によれば、ヒートシンク11による冷却対象からの受熱を向上させ、冷却対象のデバイスを効率的に冷却することができる。
【0033】
ここで、本実施形態の冷却装置1の別の例(冷却装置1−2)を示す。
【0034】
図4の冷却装置1−2は、
図1の冷却装置1とは流体路12の折り返し構造が異なる。冷却装置1−2は、一端面と他端面との間で一本のパイプ状の流体路12を何度か往復させた折り返し構造を有する。すなわち、冷却装置1−2は、第1の経路124と第2の経路126とのペアが折り返し経路125によって直列に接続された構造を有する。言い換えると、
図4の冷却装置1−2の熱交換部は、第1の経路124と第2の経路126とのペアを複数組接続した構造を有し、前段のペアの第2の経路126を通過した空気が後段のペアの第1の経路124に送られるように接続される。連続するペア同士は、前段のペアの第2の経路126を通過した空気が、後段のペアの第1の経路124に送られるように接続される。
【0035】
冷却装置1−2の流体路12は、ヒートシンク11の一端面から内部に導入され、他端面を貫いた後に折り返され、他端面から再度内部に戻される。その後、流体路12は、ヒートシンク11の内部を他端面から一端面まで貫通し、さらに一端面側で折り返されてヒートシンク11の内部を貫く。ヒートシンク11の内部を何度か往復した流体路12は、ヒートシンク11の一端面から外部に向けて延伸される。
【0036】
図4の冷却装置1−2の構成では、冷却対象によって暖められた空気が、再度冷却対象の近くに送られる。そのため、
図1の冷却装置1と比較すると、冷却装置1−2の冷却効率は低い。しかしながら、冷却対象からの熱で一度暖められた空気であっても、冷却対象の温度以上になることはないので、
図4のような流体路12がない場合と比較すれば高い冷却効率が得られる。
【0037】
図1〜
図4の例を用いて説明した本実施形態の冷却装置1および1−2は、ヒートシンク11と、流体路12とを少なくとも含む。流体路12は、ヒートシンク11と熱的に接続される熱交換部を有する。流体路11の内部には、空気などの流体が流される。
【0038】
流体路11の熱交換部は、ヒートシンク11の受熱面に対して略平行に配置される第1の経路124を含む。第1の経路124は、ヒートシンク11の受熱面に対して略平行に配置されることにより、受熱面との距離が一定となる時間が長くなる。そのため、第1の経路12を含む熱交換部は、第1の経路124の部位でヒートシンク11の熱を効率的に吸収することができる。
【0039】
流体路12の熱交換部は、ヒートシンク11の受熱面に対して略平行に配置される箇所を最低限含めば、
図1〜
図4のような折り返し構造だけではなく任意の形状にすることができる。例えば、熱交換部は、ヒートシンク11の一端部から、その一端部に対向する他端部に向けて真っ直ぐに抜けていく形状であってもよい。また、例えば、熱交換部は、ヒートシンク11の下方から上方に向けてとぐろを巻くようならせん状であってもよい。また、熱交換部は、一端面から他端面に向けて受熱面に平行に進行させ、他端部近傍で略垂直に折り返す箇所を含んでいてもよい。また、例えば、熱交換部は、受熱面に対して斜め上方や下方に傾斜をつけた箇所を含んでいてもよい。ただし、ヒートシンク11と流体路12との熱的な接続箇所を多くするとともに、流体路12をコンパクトに配置するためには、
図1〜
図4のような折り返し構造があることが好ましい。
【0040】
続いて、本実施形態の冷却装置を情報処理装置10の内部に搭載する例(冷却システム)について説明する。
【0041】
図5および
図6は、本実施形態に係る冷却システムを搭載した情報処理装置10の構成例である。
【0042】
図5には、情報処理装置10の内部に配置されたプリント基板13上に実装された発熱するデバイス(以下、冷却対象131)にヒートシンク11および流体路12を搭載する例である。なお、プリント基板13には、冷却対象131が少なくとも一つ搭載されているものとする。本実施形態のヒートシンク11は、ヒートスプレッダ132を介して冷却対象131に熱的に接続される。情報処理装置10の内部には、ヒートシンク11に向けて送風するファン136が設置されている。また、プリント基板13には、冷却対象131以外のデバイス135が冷却対象131の風下に搭載されている。
【0043】
図5のように、吸気口121および排気口122は、冷却対象131が搭載された情報処理装置10の外部に配置される。例えば、
図6のように、吸気口121および排気口122は、情報処理装置10を設置する建屋の屋内に配置することができる。本実施形態では、吸気口121から冷却用の空気を供給し、ヒートシンク11に伝導してきた熱を流体路12の熱交換部の空気で吸収し、暖められた空気を排気口122から排出することによって冷却対象131を冷却する。
【0044】
本実施形態の冷却システムでは、吸気口121と排気口122とは、情報処理装置10が配置された屋内に配置されている。屋内に設置される情報処理装置10等の機器の数が少ない場合は
図6のような構成でもよいが、屋内に設置する機器の数が多い場合には、屋内の温度が高くなりやすいので、吸気口121や排気口122を屋外に配置する方がよい。
【0045】
以上のように、本実施形態の冷却システムは、吸気口および排気口がともに情報処理装置の外部に配置される点に特徴がある。すなわち、本実施形態の冷却システムにおいては、ヒートシンクを冷やすための空気を供給する給気経路と、ヒートシンクから熱を外部に排出する排気経路とがともに確保されている。本実施形態の冷却システムによれば、冷却対象から発生した熱の経路を確保することによって、情報処理装置の排熱を分散させずに経路外に熱移動させることができる。
【0046】
本実施形態の冷却システムによれば、情報処理装置内の発熱するデバイスに取り付けられたヒートシンクをファンで冷却するときに発生した熱の一部がヒートシンクの風下にある電子部品等へ及ばずに流体路内に排熱される。そのため、情報処置装置内の冷却能力を落とすことができる。
【0047】
一般に、ヒートシンクからの排熱の影響を受けた高温条件下にて電子部品等を使用した場合、熱によって電子部品等の故障率を悪化させ、寿命を縮めてしまうこともある。それに対し、本実施形態の冷却システムによれば、排熱経路を確保することによって、ヒートシンクの風下にある電子部品等に排熱の影響を与えないため、電子部品等の故障率を悪化させたり、寿命を縮めたりすることもない。すなわち、本実施形態の冷却システムは、ヒートシンクの風下に排熱の影響を及ぼさないため、ヒートシンクの風下に配置できる電子部品等の実装や配置の制約が緩和される。
【0048】
また、本実施形態の冷却システムによれば、情報処理装置の冷却能力を落とすことができるため、情報処理装置全体の消費電力を低減できる。さらに、本実施形態の冷却システムによれば、冷却に使用するファンの回転数を抑えることにより騒音を減らすことができる。
【0049】
また、本実施形態の冷却システムにおいては、特殊な冷媒を用いた冷却/放熱方式ではなく、空気を用いて冷却対象を冷却するため、冷媒である空気が流体路の外に漏れたとしても情報処理装置内部の他の電子部品等に化学的な変質等が起こる恐れはない。
【0050】
(変形例)
ここで、本実施形態の冷却装置1の変形例について図面を参照しながら説明する。
【0051】
図7は、変形例1の冷却装置1−3の断面図である。冷却装置1−3では、ヒートシンク11の外部を取り囲むように流体路12を配置する。流体路12は、ヒートシンク11の下方でヒートスプレッダ132に接触する。ヒートシンク11は、流体路12を介して、冷却対象131およびヒートスプレッダ132と熱的に接続される。
【0052】
冷却装置1−3では、第1の経路124、折り返し経路125、第2の経路126を含む熱交換部をヒートシンク11の外側に配置する。第1の経路124は、ヒートスプレッダ132と接触し、冷却対象131から発せられた熱をヒートスプレッダ132から直接吸収する。すなわち、冷却装置1−3では、吸気口121から取り入れられた冷却空気によってヒートスプレッダ132に伝わった冷却対象131の熱を吸収し、吸収した熱の一部をヒートシンク11に伝えることになる。
【0053】
流体路12内の空気の流速を十分に速くすれば、冷却対象131からの熱はヒートシンク11にそれほど伝わらずに、流体路12内の暖まった空気は排気口122からそのまま排出される。この場合は、ヒートシンク11の熱伝導度が小さくてもかまわないため、ヒートシンク11の材料を選択する幅が広がる。また、ヒートシンク11から情報処理装置10内に伝播する熱量が小さくなるため、情報処理装置10内のファン136の容量を小さくすることができる。ただし、流体路12の内部を流れる空気だけで冷却対象131からの熱を全て吸収しきれないので、流体路12を介して、ヒートシンク11を冷却対象131に熱的に接続することが好ましい。
【0054】
なお、変形例1においては、熱交換部の全てがヒートシンク11の外部に露出している例を示したが、熱交換部の少なくとも一部がヒートシンク11の外部に露出していればよい。言い換えると、第1および第2の経路の一部がヒートシンク11の外部に配置されていればよい。例えば、ヒートシンク11の内部に第1の経路124を貫通させ、ヒートシンク11外部の上方から第2の経路126を戻す構造としてもよい。また、例えば、ヒートシンク11外部の下方に第1の経路124を配置し、ヒートシンク11の内部に第2の経路126を通す構造としてもよい。
【0055】
図8は、変形例2の冷却装置1−4の断面図である。冷却装置1−4では、ヒートシンク11の外部に位置する流体路12の少なくとも一部の周囲に断熱材15を被覆させる。断熱材15には、ウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、発泡ゴムなどの発泡系の材料を用いることができる。また、断熱材15には、ガラス繊維やセルロース繊維などの繊維系の材料を用いてもよい。なお、断熱材15は、断熱効果さえあればよく、その材料には特に限定を加えない。
【0056】
断熱材15は、流体路12の少なくとも一部を被覆していればよい。
図8の例では、排気経路127の周囲を断熱材15で被覆しているが、給気経路123の周囲を断熱材15で被覆させてもよい。また、給気経路123および排気経路127の両方の周囲を断熱材15で被覆させてもよい。また、熱交換部を構成する第1の経路124、折り返し経路125または第2の経路の周囲を断熱材15で被覆させてもよい。
【0057】
変形例2の構造によれば、ヒートシンク11によって暖められた空気が排気経路127から情報処理装置10内部の他のデバイスに伝播することが低減されるため、より冷却効果を向上することができる。また、給気経路123を断熱材15で被覆すれば、ヒートシンク11に導入する冷却空気が情報処理装置10内部で暖められてしまうことを防ぐことができる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る冷却システム2について図面を参照しながら説明する。本実施形態の冷却システム2は、流体路12内に空気を流す送風機や排風機などの送風機構を備える。
【0059】
図9は、本実施形態に係る冷却システム2の構成を示す概念図である。
図9のように、本実施形態の冷却システム2は、流体路12の吸気口121に送風機20を取り付けた構成を有する。
【0060】
送風機20は、流体路12の内部に空気を送るための装置である。例えば、送風機20は、ファンなどの送風装置や、コンプレッサなどの圧縮装置によって実現される。なお、送風機20には、空気を冷却するための冷却装置や、空気を清浄化するためのフィルタを併設してもよい。
【0061】
送風機20は、吸気口121から流体路12の内部に向けて空気を送風する。送風機20から送風された空気は、給気経路123を経て第1の経路124に導かれて暖められ、折り返し経路125を経由して第2の経路126から排気経路127を通過して排気口122から排出される。送風機20は、流体路12内部の空気の流れを制御するための装置である。
【0062】
本実施形態の冷却システムによれば、送風機から送る空気の送風量や温度を制御することによって、流体路12内に流す空気の速度や温度を変更することができる。そのため、冷却対象の発熱の程度に応じて適切な状態の空気を排熱経路内に送風することができる。
【0063】
ここで、流体路12の吸気口121や排気口122、送風機20の配置について
図10〜
図12を用いて説明する。すなわち、
図10〜
図12の例において、吸気口121および排気口122のうち少なくとも一方は、情報処理装置10が配置された建屋の屋外に配置される。
【0064】
図10は、情報処理装置10を設置する屋内に送風機20を配置し、流体路12の排気口122も屋内に配置する例である。
図10の例によれば、情報処理装置10の排熱が屋内に放出されるため、情報処理装置10からの排熱量が大きい場合、屋内に冷却機構を設ける必要がある。
【0065】
図11は、情報処理装置10を設置する屋内に送風機20を配置し、流体路12の排気口122を屋外に配置する例である。
図11の例によれば、情報処理装置10の排熱が屋外に放出されるため、屋内の冷却機器の能力を下げることができる。
【0066】
図12は、流体路12の排気口122と、送風機20とをともに屋外に配置する例である。
図12の例によれば、情報処理装置10の排熱が屋外に放出されるため、屋内の冷却機構の能力を下げることができる。また、
図12の例は、送風機20を屋外に設置できるため、屋内に空間的な制約がある場合に好適である。
【0067】
本実施形態の冷却システムにおいては、吸排気口の設置場所に複数のバリエーションがある。屋内排気であれば、情報処理装置からの排熱の影響により屋内の環境温度が上昇してしまうため、屋内の温度条件を一定に保つために、冷却能力を上げて屋内を冷却する必要がある。一方、屋外排気であれば、情報処理装置からの排熱の影響を考慮しなくて済むので、屋内排気に比べて屋外排気の方が屋内の冷却能力を落とすことができる。
【0068】
(変形例)
ここで、本実施形態の冷却システム2の変形例について図面を参照しながら説明する。
【0069】
図13は、変形例の冷却システム3の構成を示す概念図である。
図13のように、本変形例の冷却システム3は、流体路12の排気口122に排風機30を取り付けた構成を有する。
【0070】
排風機30は、流体路12の内部から空気を排出するための装置である。例えば、排風機30は、真空ポンプなどによって実現される。なお、流体路12の吸気口121側に、空気を冷却するための冷却装置を併設してもよい。また、吸気口121に空気を清浄化するためのフィルタや、ヒートシンク11で暖められた空気を冷却する冷却装置などを設けてもよい。
【0071】
本変形例の冷却システム3によれば、冷却システム2と同様の効果が得られる。
【0072】
(第3の実施形態)
図14〜
図16は、本発明の第3の実施形態に係る冷却システムの構成例を示す概念図である。
図14〜
図16は、複数の情報処理装置10−1〜3(以下、単に情報処理装置10と記載)を屋内に配置する例である。なお、
図14〜
図16には、3台の情報処理装置10に本実施形態の冷却システムを設置する例を示しているが、本実施形態の冷却システムは任意の台数の情報処理装置に設置することができる。
【0073】
本実施形態においては、流体路12が第1および第2の経路のペアを含む複数の熱交換部を有する。複数の熱交換部のそれぞれは、異なる冷却対象131に熱的に接続された複数のヒートシンク11と熱的に接続される。
【0074】
図14は、流体路12の排気口122と、送風機20とを屋外に配置する例である。
図14の流体路12は、複数の情報処理装置10に分岐され、各情報処理装置10の冷却対象に搭載されたヒートシンク11に熱的に接続される。そして、各情報処理装置10に分岐して導入された流体路12は、屋外から空気を導入し、ヒートシンク11の熱で暖められた空気を装置の外部に運ぶように配置される。各情報処理装置10からの排熱を伝播して戻る流体路12は、情報処理装置10の外部で一本にまとめられ、屋外まで延伸される。
【0075】
すなわち、
図14の構成によれば、流体路12を屋外まで確保する構造を有する。
【0076】
図15は、流体路12の排気口122を屋外に配置し、送風機20を屋内に配置する例である。
図15の流体路12の構成は、
図14の構成と同様である。
図15の例では、送風機20を屋内に設置するスペースがあり、送風機20に冷却装置を併設する場合などに好適である。
【0077】
図16は、流体路12の排気口122を屋外に配置し、送風機20を屋内に配置する例である。
図16の例では、流体路12の排気口122を建屋の上方に設置する点で
図15の例とは異なる。暖められた空気は上方に移動しやすいため、
図16の構造によればより排熱効果を高めることができる。すなわち、
図16の例では、流体路12の両端部が隔離された位置に配置される。
【0078】
以上のように、本実施形態の冷却システムにおいても、第2の実施形態の例と同様に、吸排気口の設置場所に複数のバリエーションがある。なお、
図14〜
図16には、複数の熱交換部のそれぞれが、異なる機器に搭載された冷却対象に熱的に接続された複数のヒートシンク11と熱的に接続される例を示した。複数の熱交換部のそれぞれは、同じ情報処理装置10内の異なる冷却対象に熱的に接続された複数のヒートシンク11と熱的に接続されるように構成してもよい。
【0079】
本実施形態においては、複数の情報処理装置から排出される熱の経路を屋内で1ヵ所に纏めてから屋外へ排気するため、屋内の冷却能力を落とすことができる。情報処理装置にも動作可能な温度範囲があるため、屋内の温度条件は、所定の温度範囲内に調節される必要がある。データセンターのように多くの情報処理装置が配置された建屋の屋内は、個々の情報処理装置から発生した熱がこもらないように冷却する必要がある。そのため、これまでは、屋内の冷却能力を上げるために建屋自体を冷却するために大規模な冷却装置を稼動させる必要があったが、本実施形態によればこのような問題点を解決することができる。
【0080】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。