(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1光源(90)によって発光する第1ライト(FL)と、第2光源(100)によって導光部材(110)を面発光させる第2ライト(PL)と、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)を収容するハウジング(80)と、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)を一体に覆うアウタレンズ(70)とを含み、前記アウタレンズ(70)の一部が第1カバー(8)で覆われるようにした車両の灯火装置(9)において、
前記導光部材(110)に前記第2光源(100)の照射光を入射する入射部(116)が、前記第2光源(100)の光軸(C)に重なる位置で前記導光部材(110)に設けられており、
前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)が、少なくとも前記光軸(C)に重なる位置で、前記第1カバー(8)によって覆われることを特徴とする車両の灯火装置。
前記導光部材(110)の発光部(115)の周縁に沿いつつ前記第1カバー(8)の縁に沿った形状とされる開口(92a)が形成されたエクステンション部材(92)を備え、
前記エクステンション部材(92)は、前記アウタレンズ(70)と前記導光部材(110)との間の位置で前記導光部材(110)に近接配置されており、
前記開口(92a)が、前記第1カバー(8)で覆われない位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両の灯火装置。
前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)の表面に、前記第1カバー(8)と係合するための第1係合部(73a,73b)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両の灯火装置。
前記アウタレンズ(70)の車体外方への露出面(70a)が、前記周縁寄りの一部(70b)および前記他方側の周縁寄りの一部(70c)より車体外方側に突出していることを特徴とする請求項8または9に記載の車両の灯火装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、斬新な車両デザインを実現するために灯火装置の見せ方も多様となっており、導光部材を用いた灯火装置であっても車体外方への露出面を極力小さくすることが考えられる。特許文献1のコンビネーションライトでは、均一な面発光を行うために設けられたエクステンション部材が車体外方から外観できる構成とされており、灯火装置の露出面をより小さく見せることに関しては検討されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、導光部材による均一な面発光を可能にすると共に、露出面を小さくしてコンパクトな外観を得ることができる車両の灯火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、第1光源(90)によって発光する第1ライト(FL)と、第2光源(100)によって導光部材(110)を面発光させる第2ライト(PL)と、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)を収容するハウジング(80)と、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)を一体に覆うアウタレンズ(70)とを含み、前記アウタレンズ(70)の一部が第1カバー(8)で覆われるようにした車両の灯火装置(9)において、前記導光部材(110)に前記第2光源(100)の照射光を入射する入射部(116)が、前記第2光源(100)の光軸(C)に重なる位置で前記導光部材(110)に設けられており、前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)が、少なくとも前記光軸(C)に重なる位置で、前記第1カバー(8)によって覆われる点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記導光部材(110)の裏面側に、前記導光部材(
110)の形状に対応したベース部材(95)が配設されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記ベース部材(95)に、前記光軸(C)と平行に指向して前記入射部(116)寄りの位置に配設される遮光壁(95
a)が設けられている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記遮光壁(95a)が配設される部分が、前記第1カバー(8)によって覆われる点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)が、前記車両の灯火装置(9)の長手方向を二分するように配設されており、前記第1カバー(8)が、前記第1ライト(FL)の発光部および前記第2ライト(PL)の発光部(115)に対して連続的に沿う形状とされている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記導光部材(110)の発光部(115)の周縁に沿いつつ前記第1カバー(8)の縁に沿った形状とされる開口(92a)が形成されたエクステンション部材(92)を備え、前記エクステンション部材(92)は、前記アウタレンズ(70)と前記導光部材(110)との間の位置で前記導光部材(110)に近接配置されており、前記開口(92a)が、前記第1カバー(8)で覆われない位置に形成されている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)の表面に、前記第1カバー(8)と係合するための第1係合部(73a,73b)が設けられている点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記発光部(115)を挟んで前記第1カバー(8)に対向する位置に第2カバー(20)が配設されており、前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)と重ならない他方側の周縁寄りの一部(70c)が、前記第2カバー(20)によって覆われており、前記アウタレンズ(70)の他方側の周縁寄りの一部(70c)の表面に、前記第2カバー(20)と係合するための第2係合部(73d,73e,73f,73g)が設けられている点に第8の特徴がある。
【0015】
また、前記第1カバー(8)および前記第2カバー(20)の車体下方側に連結される第3カバー(25)を備え、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)が、前記第1カバー(8)および前記第2カバー(20)および第3カバー(25)によって連続的に囲まれる点に第9の特徴がある。
【0016】
さらに、前記アウタレンズ(70)の車体外方への露出面(70a)が、前記周縁寄りの一部(70b)および前記他方側の周縁寄りの一部(70c)より車体外方側に突出している点に第10の特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
第1の特徴によれば、前記導光部材(110)に前記第2光源(100)の照射光を入射する入射部(116)が、前記第2光源(100)の光軸(C)に重なる位置で前記導光部材(110)に設けられており、前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)が、少なくとも前記光軸(C)に重なる位置で、前記第1カバー(8)によって覆われるので、第2光源の光軸方向の照射光や入射部の形状等が外方に視認されることを防ぐことができる。これにより、第2ライトの発光ムラを抑えて高級感のある外観を得ることが可能となる。また、アウタレンズの周縁寄りの一部が第1カバーで覆われることで、車両の外方から視認される面積が小さくなり、灯火装置を小さく見せることができる。
【0018】
第2の特徴によれば、前記導光部材(110)の裏面側に、前記導光部材(
110)の形状に対応したベース部材(95)が配設されているので、第2光源を支持する基板やハウジングが導光部材を透過して外観されることを防ぎ、灯火装置の外観性をさらに高めることができる。
【0019】
第3の特徴によれば、
前記ベース部材(95)に、前記光軸(C)と平行に指向して前記入射部(116)寄りの位置に配設される遮光壁(95a)が設けられているので、第2光源の照射光が漏れることを防ぐことができる。
【0020】
第4の特徴によれば、前記遮光壁(95a)が配設される部分が、前記第1カバー(8)によって覆われるので、遮光壁が外方から視認されることを防ぐことができる。
【0021】
第5の特徴によれば、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)が、前記車両の灯火装置(9)の長手方向を二分するように配設されており、前記第1カバー(8)が、前記第1ライト(FL)の発光部および前記第2ライト(PL)の発光部(115)に対して連続的に沿う形状とされているので、第1カバーによって第1ライトおよび第2ライトに一体的な外観を与えることが可能となる。
【0022】
第6の特徴によれば、前記導光部材(110)の発光部(115)の周縁に沿いつつ前記第1カバー(8)の縁に沿った形状とされる開口(92a)が形成されたエクステンション部材(92)を備え、前記エクステンション部材(92)は、前記アウタレンズ(70)と前記導光部材(110)との間の位置で前記導光部材(110)に近接配置されており、前記開口(92a)が、前記第1カバー(8)で覆われない位置に形成されているので、導光部材の発光部の輪郭を明確に視認させることが可能となる。また、第2光源および導光部材の入射部が、第1カバーだけでなくエクステンション部材でも覆われることで、第2光源の光軸方向および周囲に広がる照射光が車体外方へ漏れることをより一層防ぐことができる。また、エクステンション部材を少ないエリアで外部に視認させて発光部を際立たせると共に、第2光源の周囲に広がる照射光が車体外方へ漏れることを抑制することができる。
【0023】
第7の特徴によれば、前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)の表面に、前記第1カバー(8)と係合するための第1係合部(73a,73b)が設けられているので、第1カバーとの係合部をアウタレンズの表面に設けることで、灯火装置と第1カバーとの間に隙間が生じにくく、安定した係合が可能になると共に高級感のある外観を得ることができる。
【0024】
第8の特徴によれば、前記発光部(115)を挟んで前記第1カバー(8)に対向する位置に第2カバー(20)が配設されており、前記アウタレンズ(70)の周縁寄りの一部(70b)と重ならない他方側の周縁寄りの一部(70c)が、前記第2カバー(20)によって覆われており、前記アウタレンズ(70)の他方側の周縁寄りの一部(70c)の表面に、前記第2カバー(20)と係合するための第2係合部(73d,73e,73f,73g)が設けられているので、アウタレンズが、導光部材の発光部を挟んだ両側の表面で第1カバーおよび第2カバーと係合することで、一層安定的な固定が可能となる。
【0025】
第9の特徴によれば、前記第1カバー(8)および前記第2カバー(20)の車体下方側に連結される第3カバー(25)を備え、前記第1ライト(FL)および前記第2ライト(PL)が、前記第1カバー(8)および前記第2カバー(20)および第3カバー(25)によって連続的に囲まれるので、3つのカバーによって第1ライトおよび第2ライトが連続的に囲まれることで、第1ライトおよび第2ライトの輪郭を際立たせることが可能となる。
【0026】
第10の特徴によれば、前記アウタレンズ(70)の車体外方への露出面(70a)が、前記周縁寄りの一部(70b)および前記他方側の周縁寄りの一部(70c)より車体外方側に突出しているので、アウタレンズの露出面の輪郭が明確になると共に、第1カバーおよび第2カバーの表面と面一に構成することで高級感のある外観を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る車両の灯火装置9を適用した自動二輪車1の左側面図である。自動二輪車1は、操向ハンドル2とシート14との間に運転者の足を乗せる低床フロア12が設けられたスクータ型の鞍乗型車両である。車体フレーム18の前端には、操向ハンドル2の下部に連結されたステアリングステム33を回動可能に軸支するヘッドパイプ34が固定されている。ステアリングステム33の下部には、前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク11が固定されている。
【0029】
操向ハンドル2の前後は、ヘッドライト4およびメータ装置19を支持する前側ハンドルカウル3および後側ハンドルカウル5によって覆われている。また、ヘッドパイプ34およびステアリングステム33の前後は、前側がフロントセンタカバー20および左右一対のフロントサイドカバー8で覆われると共に、後側がリヤアッパカバー7およびリヤアンダカバー40で覆われている。フロントセンタカバー20とフロントサイドカバー8との間には、前側のポジションライトおよびフラッシャライト(方向指示器)を一体のハウジングに収めた車両の灯火装置としてのフロントコンビネーションライト9が左右一対で配設されている。低床フロア12の車幅方向両端部には、左右一対のアンダカウル32が連結されている。アンダカウル32の車体前方側はフロントサイドカバー8の下端部と連結される。
【0030】
シート14の下方はシートカウル13で覆われており、低床フロア12の後方の位置には、駆動源としてのエンジンと変速機とを一体に構成したユニットスイング式のパワーユニットPが揺動自在に軸支されている。駆動輪としての後輪WRを回転自在に軸支するパワーユニットPの後端部は、リヤクッション17によって車体に吊り下げられており、パワーユニットPの上部にはエアクリーナボックス15が取り付けられている。シートカウル13の後端部には、テールライトおよびストップライトの左右に後側のフラッシャライトを一体に構成したリヤコンビネーションライト16が取り付けられ、その下方にはリヤフェンダ23が配設されている。フロントフォーク11には前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ10が取り付けられており、ヘッドパイプ34の前方にはブザー24が収納されている。
【0031】
図2は、自動二輪車1の前方上方から見た一部拡大斜視図であり、
図3は自動二輪車1の一部拡大正面図である。左右対称とされるフロントコンビネーションライト(以下、単に灯火装置と示すこともある。)9は、後傾した外装部品に沿って上下に細長い形状の露出面(図示点描部)を有する。左右の灯火装置9の間にはフロントセンタカバー20が配設されており、フロントセンタカバー20の下部にはフロントアンダカバー25が連結されている。また、灯火装置9の車幅方向外側にはフロントサイドカバー8が位置しており、フロントサイドカバー8の前方側がフロントアンダカバー25の車幅方向両側部に連結されている。
【0032】
これにより、灯火装置9は、上端を除いた周縁部の大部分が、第1カバーとしてのフロントサイドカバー8、第2カバーとしてのフロントセンタカバー20および第3カバーとしてのフロントアンダカバー25によって囲まれることとなり、灯火装置9の露出面の輪郭が明確に外観されることとなる。また、灯火装置9の露出面および3つのカバーは互いに連続的な面を形成しており、走行時の空気抵抗や風切り音を低減すると共に、自動二輪車1の外観性を向上させている。さらに、自動二輪車1の正面視において、灯火装置9の上端部が外装部品に囲まれないという斬新な外観も実現している。
【0033】
図4は、運転者の視点から見た自動二輪車1の操向ハンドル2まわりの拡大図である。操向ハンドル2を後側から覆う後側ハンドルカウル5は、速度計や燃料計を備えるメータ装置19を支持している。後側ハンドルカウル5の右方寄りの位置には、エンジンストップスイッチ21a、ハザードライトスイッチ21bおよびエンジンのスタータスイッチ21cが配設されている。また、後側ハンドルカウル5の左方寄りの位置には、光軸切替スイッチ22a、ホーンスイッチ22bおよびフラッシャライトスイッチ22cが配設されている。
【0034】
リヤアッパカバー7は、低床フロア12の前端部に連結されるリヤアンダカバー40の上端部に連結されている。リヤアンダカバー40の車幅方向中央には、給油口リッド31が配設されている。給油口リッド31の上方でリヤアッパカバー7の中央には、買い物袋等を掛ける折り畳みフック30が取り付けられている。
【0035】
リヤアッパカバー7の車幅方向左側には、ノブ28の操作で開くことができる収納スペースの蓋29が設けられている。また、リヤアッパカバー7の車幅方向右側には、メインスイッチおよびハンドルロック機構の操作子として機能するダイヤルスイッチを含むロック装置としてのハンドルロックモジュール60が設けられている。ハンドルロックモジュール60の車体前方かつ車幅方向右寄りの位置には、携帯キーとの無線相互認証を行う通信装置50が配設されている。メータ装置19には、相互認証システムに係る表示を行う車体側表示手段としてのインジケータ19aが設けられている。
【0036】
図5は、フロントセンタカバー20およびフロントアンダカバー25を取り外した状態の自動二輪車1の拡大正面図である。ヘッドパイプ34の車体前方には、各種の電装部品に電源を供給するバッテリ51が配設されている。ステアリングステム33の車幅方向右側で、リヤアッパカバー7の上端近傍には、ブレーキ装置を作動させるブレーキフルードを貯留するリザーバタンク55が配設されている。その他、ステアリングステム33およびヘッドパイプ34と左右の灯火装置9との間には、前記した通信装置50やハンドルロック装置等の補器類が配設されている。合成樹脂等で一体成型されるフロントサイドカバー8の前端部には、フロントアンダカバー25の車幅方向外側端部に係合する前部ステー8aが設けられている。
【0037】
灯火装置9は、ライトの光源やリフレクタ等を収納するハウジング80の車体前方側を有色透明または無色透明のアウタレンズ70で覆った構成とされている。アウタレンズ70は、車体前方側に突出した露出面70aと、露出面70aの車幅方向外側に設けられる周縁寄りの一部である外側面70bと、露出面70aの車幅方向内側に設けられる他方側の周縁寄りの一部である内側面70cとを有する。露出面70aは、外側面70bおよび
内側面70
cに挟まれて下端部が鋭角をなす上下に細長い形状とされる。フロントサイドカバー8は、外側面70bの上方側の一部を覆うように構成されている。
【0038】
完成車体において、アウタレンズ70の外側面70bは、フロントサイドカバー8およびフロントアンダカバー25で覆われる。一方、アウタレンズ70の内側面70cは、フロントセンタカバー20で覆われる。これにより、露出面70aの上端部を除いた周縁が3つのカバーで囲まれて露出面70aの輪郭が明確になると共に、フロントサイドカバー8およびフロントセンタカバー20およびフロントアンダカバー25の表面と露出面70aとの間に連続的な面を構成し、高級感のある外観を得ることができる。
【0039】
図6は、フロントセンタカバー20の正面図である。また、
図7は同左側面図である。合成樹脂等で一体成型されるフロントセンタカバー20は、車体下方に向かって車幅方向寸法を減少させつつ緩い湾曲面をなす本体部20aを有し、本体部20aの裏面側には複数の係合突起が設けられている。本体部20aの車幅方向外側端部の近傍には、アウタレンズ70の内側面70cに設けられた係合部(
図11参照)に係合する片側4つの第1係合突起20bと、フロントアンダカバー25の上端部に係合する第2係合突起20dとが、互いに所定間隔を有して左右一対で配設されている。
【0040】
また、本体部20aの車幅方向外側端部よりやや内側の位置には、ハウジング80に設けられたステー(
図11参照)に係合する片側2つの第3係合突起20cが左右一対で配設されており、本体部20aの車幅方向中央の最下部には、フロントアンダカバー25に係合する第4係合突起20eが配設されている。
【0041】
図8は、フロントサイドカバー8の正面図である。また、
図9は同左側面図である。フロントサイドカバー8は左右対称形状とされており、以下では、左側のフロントサイドカバー8を用いて説明する。
図5に示したように、フロントサイドカバー8の前端部には、フロントアンダカバー25の車幅方向外側端部に係合する前部ステー8aが設けられている。一方、車体上方後方に突出する上端部には、リヤアッパカバー7および灯火装置9のハウジング80と共締め固定される上部ステー8bが設けられている。また、フロントサイドカバー8の下部には、アンダカウル32の車体前方側に係合する下部ステー8dが設けられている。
【0042】
そして、前部ステー8aと上部ステー8bとの間の位置で、フロントサイドカバー8の前方上方の周縁部の裏面側には、アウタレンズ70の外側面70bに設けられた係合部(
図11参照)に係合する2つの第5係合突起8cと、フロントアンダカバー25の車幅方向外側端部に係合する第6係合突起8eとが、左右一対で設けられている。
【0043】
図10は、フロントセンタカバー20、フロントアンダカバー25およびフロントサイドカバー8を取り外した状態の自動二輪車1の拡大左側面図である。リヤアッパカバー7の車体前方側端部には、フロントサイドカバー8と係合するためのフランジ7aが形成されている。ノブ28の操作で蓋29を開いてアクセスする収納スペースは、リヤアンダカバー40の前方に膨出する収納箱29aによって構成されている。本実施形態では、灯火装置9が全体的に車体後方側に傾斜しているため、特に収納スペースの上方において、ハウジング80の裏面側と収納箱29aの壁とが近接配置されることとなる。
【0044】
図11は、灯火装置9の正面図である。また、
図12は灯火装置9の背面図である。灯火装置9の形状および構造は左右対称であるため、以下では、左側の灯火装置9を用いて説明する。灯火装置9は、第1ライトとしてのフラッシャライトFLと第2ライトとしてのポジションライトPLとを上下に隣接配置したコンビネーションライトである。フラッシャライトFLは、白熱電球からなる第1光源としてのバルブ90により点滅発光する方向指示器であり、常時点灯式のポジションライトPLは、第2光源としての2つのLED100によって発光部115を面発光させる車幅灯として機能する。ハウジング80の全体を覆うアウタレンズ70は、ハウジング80の周縁部に設けられた7つの係合爪88によってハウジング80に固定されている。
【0045】
アウタレンズ70の露出面70aは、フラッシャライトFLおよびポジションライトPLの発光部に対応した形状とされているが、ポジションライトPLの光源である2つのLED100は、フロントサイドカバー8で覆われる外側面70bの範囲内に配設されている。これにより、LED100の光軸方向の照射光が車体前方側に照射されることを防ぎ、ポジションライトPLの発光部115が均一な明るさで面発光しているように視認させることを可能としている。
【0046】
外側面70bの表面で、LED100の上下の位置には、フロントサイドカバー8の前方上方に設けられた2つの第5係合突起8cに係合する2つの第1係合部73a,73bが形成されている。また、下側の第1係合部73bのさらに下方で、フロントアンダカバー25で覆われる位置には、フロントアンダカバー25に形成される係合突起(不図示)に係合するフロントアンダカバー係合部73cが形成されている。これにより、灯火装置9の車幅方向外側の位置で、フロントサイドカバー8およびフロントアンダカバー25との間に隙間が生じにくく、互いに安定した固定が可能になると共に、高級感のある外観を得ることができる。
【0047】
一方、アウタレンズ70の内側面70cには、フロントセンタカバー20に形成された片側4つの第1係合突起20bと係合する4つの第2係合部73d,73e,73f,73gが形成されている、これにより、灯火装置9の車幅方向内側の位置で、フロントセンタカバー20との間に隙間が生じにくく、互いに安定した固定が可能になると共に、高級感のある外観を得ることができる。
【0048】
また、アウタレンズ70の外側面70bおよび
内側面70cの部分には、アウタレンズ70の内側の部品をハウジング80に固定するための4つのねじ89が配設されているが、3つのカバーを取り付けることで、このねじ89も外方から視認されなくなる。
【0049】
図12を併せて参照して、灯火装置9のハウジング80には、外装部品によって灯火装置9を支持するためのステーが複数設けられている。ハウジング80の車幅方向外側の上端部には、リヤアッパカバー7およびフロントサイドカバー8と共締め固定される第1ステー81eが設けられている。また、発光部115の下方の位置には、フロントサイドカバー8に固定される第2ステー81fが設けられており、ハウジング80の下端部にはフロントアンダカバー25に固定される第3ステー81aが設けられている。さらに、ハウジング80の車幅方向内側の周縁部には、フロントセンタカバー20の第3係合突起20cに固定される第4ステー81b,81cが設けられており、ハウジング80の車幅方向内側の上端部には、フロントセンタカバー20に固定される第5ステー81dが設けられている。このように、灯火装置9は、ハウジング80の周囲に設けられた複数のステーによって外装部品に固定されるので、車体側の取り付けステーを廃してコストを低減すると共にメンテナンス性を高めることが可能となる。
【0050】
ハウジング80の裏面側で、上方寄りの位置には、フラッシャライト
FLのバルブ90を支持すると共に第1給電ハーネス
83を接続するソケット82が配設されている。一方、ハウジング80の下方よりの位置には、ポジションライトPLのLED100に電力を供給する第2給電ハーネス85をハウジング80の内部に導くための防水パッキン84が配設されている。防水パッキン84は、LED100の配設位置より車体下方側かつ車体中心側に大きくオフセットした位置に設けられている。この防水パッキン84の近傍で第1給電ハーネス83と第2給電ハーネス85とが合流して1本の給電ハーネス86が構成され、この給電ハーネス86の端部にカプラ87が接続されている。
【0051】
この構成によれば、第1給電ハーネス83が長く設定されるためにバルブ90の交換作業が容易になると共に、ソケット82と防水パッキン84との間の位置で車体後方側に突出する部分を廃することで、収納スペースの収納箱29aの車体前方側への膨出量を増やして収納スペースの奥行寸法を拡大することができる。
【0052】
図13は、アウタレンズ70を取り外した状態の灯火装置9の正面図である。また、
図14は
図13の状態からエクステンション部材92を取り外した正面図である。ポジションライトPLは、LED100の照射光によって導光部材
110を面発光させる構成とされている。導光部材
110の表側には、発光部115を露出させる開口92aが形成されたエクステンション部材92が近接配置されている。この構成によれば、発光部115の周囲から照射光が外方に漏れることを防ぎ、発光部115の輪郭をより際立たせることが可能となる。
【0053】
エクステンション部材92の開口92aの周囲は、主に、発光部115の車幅方向両側に延出する形状とされており、エクステンション部材92はこの車幅方向への延出部に配設される4本のねじ89によってハウジング80に固定されている。
【0054】
図14を参照して、導光部材110は、3つの延出部111,112,113に形成される貫通孔89aを通るねじ89によって、エクステンション部材92と共にハウジング80に対して共締め固定されている。車幅方向外側上部のねじ89は、エクステンション部材92の上端部をハウジング80に直接固定している。
【0055】
導光部材110には、車体前後方向に指向する基板101に実装されるLED100の照射光を入射する入射部116が設けられている。エクステンション部材92およびフロントサイドカバー8は、少なくとも2つのLED100および入射部116を覆っており、LED100の光軸方向に指向する照射光および入射部116の周囲に漏れる照射光を遮断する機能を有する。
【0056】
LED100に電力を供給する第2給電ハーネス85は、防水パッキン84の配設位置から車幅方向外側かつ上方に導かれて基板101に接続される。LED100は、この第2給電ハーネス85の接続部から、さらに車幅方向外側かつ上方に配設されている。これにより、防水パッキン84、第2給電ハーネス85、基板101およびLED100が車体前後方向に重ならず、車体前後方向の寸法がより一層低減される。
【0057】
バルブ90の照射光を車体前方側に反射するリフレクタ91と導光部材110との間には、仕切壁94が配設されている。この仕切壁94もエクステンション部材92によって覆われるため、仕切壁94の形状が外方に視認されることもない。フラッシャライトFLおよびポジションライトPLは、この仕切壁94によって上下に二分されるが、この二分される位置においても、フロントセンタカバー20およびフロントサイドカバー8の形状に沿った滑らかな連続線によって外形が構成されている。
【0058】
図15は、
図14の状態から導光部材110を取り外した正面図である。導光部材110の裏面側には、光透過性の低い樹脂等からなるベース部材95が配設されている。これにより、ベース部材95の裏面側に配設される基板101の形状等が外方に視認されることがなく、かつ発光部115をより均一に発光させることが可能となる。ベース部材95も3つの延出部97,98,99の貫通孔89aを通るねじ89によって、エクステンション部材92と共締め固定されている。
【0059】
図16は、
図15の状態からベース部材95を取り外した正面図である。ベース部材95とハウジング80との間には、基板101が配設されている。ベース部材95は、基板101の裏面側から螺合されるねじ103によって基板101に固定されている。すなわち、この図では、基板101のみを配設した状態を示しているが、灯火装置9を組み立てる際には、ねじ103によって基板101とベース部材95とを予め固定してから、ベース部材95、導光部材110およびエクステンション部材92をハウジング80に共締め固定することで、基板101が所定位置に配設されることとなる。ハウジング80には、ねじ89(
図13参照)のねじ孔89
cを有するボス89bが形成されている。
【0060】
図17は
図2のXVII−XVII線断面図である。また、
図18は
図2のXVIII−XVIII線断面図である。説明のため、
図16にも対応する断面線の位置を示している。
【0061】
前記したように、基板101は、2本のねじ103によってベース部材95の裏面側に固定されている。導光部材110において、LED100に近接する位置には、基板101と略平行な面からなり、照射光を導光部材110に入射するための入射部116が形成されている。図示するように、車幅方向外側に位置する、エクステンション部材92、アウタレンズ70の外側面70bおよびフロントサイドカバー8は、LED100の光軸Cおよび入射部116の車体前方側を覆っている。これにより、LED100の光軸Cに沿って指向する照射光および入射部116の周囲に拡散する照射光が車体外方に漏れることを防ぎ、導光部材110の発光部115のみが均一に発光しているように外観させることができる。
【0062】
図18を参照して、ベース部材95の入射部116寄りの位置には、光軸Cと平行に指向する遮光壁95aが設けられている。この遮光壁95aによれば、LED100から周囲に漏れる照射光、特に、破線矢印Dで示す方向への照射光をカットし、エクステンション部材92の開口92aから照射光が漏れることを防ぐことができる。
【0063】
導光部材
110は、LED100の近傍の位置に設けられた位置決め突起117によって、基板101に対して精度よく位置決めされている。これにより、灯火装置9の量産時においてポジションライトPLの光り方の個体差が低減される。
【0064】
なお、導光部材110は、その発光部115の長手方向において、面発光を実現するための平面部と、平面部の両側から車体後方側に延出する縁部を有する、いわゆるU字断面形状を有している。これに対応して、ベース部材95には、U字断面の平面部が構成する凹部に対応する凸部が形成されている。この構成によっても、導光部材
110の発光部115の輪郭を一層際立たせることを可能としている。
【0065】
図19は、
図3のXIX−XIX線断面図である。また、
図20は
図3のXX−XX線断面図である。前記したように、ヘッドパイプ34の車幅方向左側には、収納箱29aによる収納スペース29bが形成されている。収納スペース29bの容量は、車体デザインの影響を受けやすい。詳しくは、蓋29を含む車体後方側の壁においては乗員の脚部との間隔を十分に確保する必要があり、一方、車体前方側に、スピード感や空気抵抗の少なさを主張するデザインを与えたいとすると、特に、車体上方側か
つ車幅方向外側の位置で奥行寸法を確保することが難しくなる。
【0066】
この課題に対し、本実施形態では、第2給電ハーネス102をハウジング80の内部に導入するための防水パッキン84を、可能な限り車幅方向内側かつ車体下方側に配設することにより、ハウジング80の車幅方向外側かつ車体上方側で車体後方に突出する部分を廃し、ここに収納箱29aの壁を近づけることで、車幅方向外側かつ車体上方側においても十分な奥行寸法を確保している。
【0067】
上記した構成により、本実施形態に係る車両の灯火装置
9によれば、バルブ90によって発光するフラッシャライトFLと、LED100によって導光部材110を面発光させるポジションライトPLと、フラッシャライトFLおよびポジションライトPLを収容するハウジング80と、フラッシャライトFLおよびポジションライトPLを一体に覆うアウタレンズ70とを含み、アウタレンズ70の一部がフロント
サイドカバー8で覆われるようにした灯火装置9において、導光部材110にLED100の照射光を入射する入射部116が、LED100の光軸Cに重なる位置で導光部材110に設けられており、アウタレンズ70の外側面70bが、光軸Cに重なる位置でフロント
サイドカバー8によって覆われるので、LED100の光軸C方向の照射光や入射部116の形状等が外方に視認されることを防ぎ、ポジションライトPLの発光ムラを抑えて高級感のある外観を得ることが可能となる。また、アウタレンズ70の周縁寄りの一部がフロントサイドカバー8で覆われることで、車両の外方から視認される面積が小さくなり、灯火装置
9を小さく見せることができる。
【0068】
なお、自動二輪車および灯火装置の態様や形状、フロントセンタカバー、フロントアンダカバー、フロントサイドカバーの形状、フラッシャライトおよびポジションライトの形状や構造、アウタレンズ、エクステンション部材および導光部材の形状、基板の形状、バルブおよびLEDの形態等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、前記実施形態では、フラッシャライトの光源を白熱電球によるバルブとしたが、これをLED光源としたコンビネーションライトとすることも可能である。また、前記実施形態では、車体前側の灯火装置の例を説明したが、同様の構造を車体後側の灯火装置に適用してもよい。本発明に係る車両の灯火装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両等に適用することが可能である。