(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の指部は、前記第1の指部に接近または離反する方向に移動可能に形成されており、更に、前記基部から突出する長さが変更可能に形成されている、請求項1または2に記載の把持装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図19を参照して、実施の形態における把持装置について説明する。把持装置は、ロボットに取り付けられるエンドエフェクタである。本実施の形態の把持装置は、把持対象物(ワーク)を摘まむことにより把持対象物を把持する機能に加えて、把持対象物を掴むことにより把持対象物を把持する機能を有する。
【0022】
図1は、本実施の形態におけるロボット装置の概略図である。ロボット装置3は、作業を行う把持対象物としてのワークを搬送するロボット1と、ロボット1を制御する制御装置2とを備える。本実施の形態のロボット1は、アーム12と複数の関節部13とを含む多関節ロボットである。ロボット1は、関節部13を介してアーム12に支持された手首部16を含む。ロボット1は、アーム12を支持するベース部11を備える。ベース部11は、設置面20に固定されている。本実施の形態のロボット装置3は、手首部16に連結された把持装置としてグリッパー50を備える。グリッパー50は、把持対象物を把持する機能を有する。
【0023】
図2に、本実施の形態におけるロボット装置のブロック図を示す。
図1および
図2を参照して、ロボット1は、それぞれの関節部13を駆動するアーム駆動装置を含む。アーム駆動装置は、関節部13の内部に配置されているアーム駆動モータ14を含む。アーム駆動モータ14が駆動することにより、アーム12および手首部16を関節部13にて所望の方向に向けることができる。また、ロボット1は、複数のアーム12が一体的に鉛直方向に延びる回転軸の周りを回転するように形成されている。アーム駆動装置は、アーム12を回転させる駆動モータを含む。
【0024】
グリッパー50は、グリッパー50を駆動する駆動部としてグリッパー駆動装置59を備える。グリッパー駆動装置59は、グリッパー50の指部を駆動するための駆動源としてグリッパー駆動モータを含む。グリッパーの駆動源としては、モータに限られず、グリッパーを駆動する任意の装置を採用することができる。例えば、グリッパー駆動装置は、空気圧によりグリッパーの指部を駆動するように形成されていても構わない。この場合に、グリッパー駆動装置は、シリンダと、シリンダに圧縮空気を供給する空気ポンプとを含むことができる。
【0025】
制御装置2は、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を有する演算処理装置を含む。ロボット1は、制御装置2の動作指令に基づいて駆動する。アーム駆動装置およびグリッパー駆動装置59は、制御装置2により制御されている。
【0026】
制御装置2には、ロボット1およびグリッパー50の制御を行うために予め定められた動作プログラム41が入力される。動作プログラム41は、記憶部42に記憶される。動作制御部43は、動作プログラム41に基づいてロボット1およびグリッパー50を駆動するための動作指令を送出する。動作制御部43は、アーム駆動回路44にアーム駆動装置を駆動する動作指令を送出する。アーム駆動回路44は、アーム駆動モータ14を駆動する電気回路を含む。動作指令に基づいてアーム駆動モータ14に電気が供給される。アーム駆動モータ14が駆動することにより、ロボット1の位置および姿勢が調整される。
【0027】
動作制御部43は、動作プログラム41に基づいて、グリッパー駆動回路45にグリッパー駆動装置59を駆動する動作指令を送出する。グリッパー駆動回路45は、グリッパー駆動装置59を駆動する電気回路を含む。動作指令に基づいてグリッパー駆動モータに電気が供給される。グリッパー駆動モータが駆動することによりグリッパー50の指部が駆動する。
【0028】
図3に、本実施の形態における第1のグリッパーの斜視図を示す。
図4に、本実施の形態における第1のグリッパーの斜視図を示す。本実施の形態では、把持対象物として、コネクターおよび線状部材を含むケーブルハーネスを例に取り上げて説明する。本実施の形態の把持対象物としてのケーブルハーネスは、コネクター81とコネクター81に接続された線状部材82を含む。線状部材82は、所定の位置に固定される。コネクター81は、他の部材の所定の位置に嵌め込まれる。
【0029】
図3および
図4を参照して、本実施の形態の第1のグリッパー50は、第1の指部51と、第1の指部51に対向する第2の指部52とを備える。第1の指部51は、把持対象物の一方の側に接触する。第2の指部52は、把持対象物の他方の側に接触する。
図3および
図4では、第1のグリッパー50は、ケーブルハーネスのコネクター81を把持している。第1のグリッパー50は、第1の指部51および第2の指部52を支持する基部56を備える。第1の指部51および第2の指部52は、基部56から突出するように配置されている。グリッパー駆動装置59のグリッパー駆動モータは、例えば、基部56の内部に配置されている。
【0030】
第1の指部51は、コネクター81の一方の側面に接触する。第2の指部52は、コネクター81の他方の側面に接触する。グリッパー駆動装置59は、第1の指部51および第2の指部52のうち少なくとも一方を駆動する。第1のグリッパー50においては、グリッパー駆動装置59は、第2の指部52を駆動する。第1の指部51は、基部56に固定されている。
【0031】
第2の指部52は、互いに垂直な2つの方向に移動可能に形成されている。グリッパー駆動装置59は、矢印101に示すように、第1の指部51に対向する方向に第2の指部52を移動する。第2の指部52は、第1の指部51に接近または離反する方向に移動可能に形成されている。グリッパー駆動装置59は、矢印102に示すように第2の指部52が延びる方向に第2の指部52を移動する。第2の指部52は、基部56から突出する長さが変化する。
【0032】
第1の指部51は、基部56に支持された第1の指本体部51cと、第1の指本体部51cの端部に配置された第1の指先端部51bとを含む。本実施の形態では、指部の本体を指本体部と称する。また、指本体部の端部に配置された指部の先端部を指先端部と称する。指先端部は、把持対象物を摘まむ様に把持する場合に、把持対象物に接触する部分である。第1の指本体部51cは、開口部53を有する。第1の指先端部51bは、コネクター81に接触する。
【0033】
第1の指本体部51cは、互いに離れて配置された複数の第1の棒状部51aを含む。第1のグリッパー50では、2つの棒状部51aは、延びる方向が互いに平行になるように配置されている。2つの棒状部51aを含む第1の指本体部51cは、基部56から立設する。第1の指先端部51bは、後述する比較例のように第1の棒状部に対応して分割されておらず、一体的に形成されている。第1の指先端部51bは、複数の第1の棒状部51aの端部を接続するように形成されている。また、本実施の形態の第1の指先端部51bは、第1の指本体部51cと一体的に形成されている。開口部53は、複数の第1の棒状部51a、第1の指先端部51b、および基部56の底面により構成されている。開口部53の幅W1は、第2の指部52の幅W2よりも広くなっている。開口部53は、後述するように、第2の指部52が通り抜けることができる大きさを有する。
【0034】
第2の指部52は、基部に支持された第2の指本体部と、第2の指本体部の端部に配置され、コネクター81に接触する第2の指先端部52bとを有する。棒状に形成された第2の棒状部52aが、第2の指本体部として機能する。第2の棒状部52aは、曲り部を有する。第2の棒状部52aは、側面視した時にL字形に形成されている。本実施の形態では、第2の棒状部52aおよび第2の指先端部52bは、一体的に形成されている。
【0035】
第1の指本体部51cは、第2の指部52に対向する表面に配置された滑り止め部材55を含む。また、第1の指先端部51bは、第2の指先端部52bに対向する表面に配置された滑り止め部材54を含む。第2の指本体部としての第2の棒状部52aは、第1の指部51に対向する表面に配置された滑り止め部材55を含む。更に、第2の棒状部52aの基部56に対向する表面および基部56の底面には、滑り止め部材55が配置されている。第2の指先端部52bは、第1の指先端部51bに対向する表面に配置された滑り止め部材54を含む。
【0036】
滑り止め部材54,55としては、把持対象物を把持した時に、把持対象物が滑ることを抑制する任意の部材を採用することができる。例えば、滑り止め部材54,55としては、弾性を有する弾性体を採用することができる。弾性体としては、高分子化合物にて形成されたスポンジおよびゴムを例示することができる。また、弾性体としては、発泡性のプラスチックを採用することができる。または、滑り止め部材54,55としては、表面に小さな凸部が形成された部材を採用することができる。滑り止め部材54,55が配置されることにより、把持対象物を把持した時に、把持対象物が滑って向きを変えたり落下したりすることを抑制できる。なお、滑り止め部材54と滑り止め部材55は、同じ材質であっても異なる材質であっても構わない。
【0037】
第1のグリッパー50は、第1の指先端部51bおよび第2の指先端部52bにて、所望の把持対象物を挟むことができる。第1のグリッパー50は、把持対象物を摘まむように把持することができる。動作制御部43は、動作プログラム41に基づいてグリッパー駆動回路45に第1の動作指令を送出する。グリッパー駆動回路45は、グリッパー駆動装置59を駆動する。第2の指部52が矢印102に示す方向に平行移動することにより、第2の指先端部52bの高さが第1の指先端部51bの高さと同じになる。第2の指先端部52bは、第1の指先端部51bに対向する。
【0038】
次に、第2の指部52が矢印101に示す方向に平行移動することにより、第2の指先端部52bが第1の指先端部51bに接近する。第2の指先端部52bが把持中心点100に向かって移動する。第1の指先端部51bおよび第2の指先端部52bにて、コネクター81が把持される。第2の指部52は、コネクター81の大きさに応じて移動を停止する。第2の指部52が停止する位置は、予め動作プログラム41に設定されている。また、ロボット装置は視覚センサーを備えることができる。視覚センサーにてコネクターを把持している状態を検出することができる。制御装置は、視覚センサーから得られる情報に基づいて動作プログラムを更新しても構わない。例えば、制御装置は、視覚センサーにより取得した画像に基づいて、第2の指部を停止する位置を修正することができる。第1のグリッパー50がコネクター81を把持した後には、ロボット1が位置および姿勢を変化することにより、コネクター81を予め定められた部材に嵌めることができる。
【0039】
図5に、本実施の形態における第1のグリッパーにて線状部材を把持したときの斜視図を示す。
図6に、本実施の形態における第1のグリッパーにて線状部材を把持したときの正面図を示す。線状部材としては、線状に延びる任意の把持対象物を採用することができる。例えば、線状部材としては、電線、信号線、光ファイバーのケーブル、空気を供給する管などを例示することができる。
【0040】
図5および
図6を参照して、本実施の形態における第1のグリッパー50は、線状部材を取り囲むように、線状部材を掴む機能を有する。
図5に示す例では、1本の線状部材82を示しているが、第1のグリッパー50は、複数本の線状部材を一度に把持することができる。線状部材が一本の場合は、線状部材を指先端部により摘まむ形態にて把持することができる。しかしながら、外径が小さな複数の線状部材にて構成される線状部材の束を把持する場合がある。例えば、多芯のバラ線材の束を把持する場合がある。線状部材の束を安定して把持するためには、できるだけ多くの面にて線状部材の束を囲んで把持する形態が好ましい。換言すると、線状部材の束は、いわゆる鷲掴みにより把持される形態が好ましい。線状部材82を把持する場合には、第1の棒状部51aと第2の棒状部52aとに挟まれる空間に線状部材82が配置されるようにロボット1が駆動する。
【0041】
動作制御部43は、動作プログラム41に基づいてグリッパー駆動回路45に第2の動作指令を送出する。グリッパー駆動回路45は、グリッパー駆動装置59を駆動する。第2の指部52は、矢印104に示すように、基部56に向かって移動する。更に、第2の指部52が、矢印103に示すように、第1の指部51に向かって移動する。第2の指部52は、第1の指部51の開口部53の内部に進入する。この時に、第2の指部52は、開口部53を貫通しても構わない。このように、第2の指部52は、把持中心点100に向かって移動する。第1の棒状部51a、第2の棒状部52a、および基部56にて囲まれる空間は小さくなり、線状部材82を把持することができる。
【0042】
第2の指部52は、線状部材82の大きさに応じて移動を停止する。第2の指部52が停止する位置は、予め動作プログラム41に設定されている。また、ロボット装置が視覚センサーを備える場合には、視覚センサーにて線状部材82を把持している状態を検出することができる。制御装置は、視覚センサーから得られる情報に基づいて動作プログラムを更新しても構わない。例えば、制御装置は、視覚センサーにより取得した画像に基づいて、第2の指部を停止する位置を修正することができる。線状部材82は、滑り止め部材55に接触した状態にて把持される。線状部材82は、第1の棒状部51a、第2の棒状部52a、および基部56に囲まれる形態にて把持される。このように、第1の指本体部51cおよび第2の指本体部(第2の棒状部52a)により、線状部材82を把持することができる。この後に、ロボット1が位置および姿勢を変化することにより、線状部材82を任意の位置に配置することができる。
【0043】
なお、ロボット装置は、指部の把持面の側において、滑り止め部材の裏側に圧力センサーなどを備えることができる。ロボット装置は、圧力センサーからの圧力情報をフィードバックして把持力を調整しながら把持対象物を把持することができる。この制御は、線状部材が柔らかい場合に好適である。この制御により、電線などの線状部材を断線させることなく、安全に把持することができる。
【0044】
本実施の形態における第1のグリッパー50は、指先端部にてコネクター81を摘まむ機能と、指本体部にて線状部材82を掴む機能とを有する。このために、線状部材82を把持する作業およびコネクター81を把持する作業を行う場合に、ロボット1に取り付けられたグリッパーを交換する必要がない。2つの作業を連続して行うことができる。例えば、ワイヤーハーネスを所定の位置に取り付ける作業において、線状部材82を予め定められた固定具に取り付ける作業を行った後に、コネクター81を予め定められた部材に嵌める作業を行う場合がある。この作業においても、グリッパーを取り換えずに、ワイヤーハーネスを所定の位置に取り付けることができる。このために、作業時間を短縮することができる。
【0045】
図7に、比較例のグリッパーの第1の指部の斜視図を示す。比較例のグリッパー90は、第1の指部51を備える。第1の指部51は、2つの分離された第1の棒状部51aを有する第1の指本体部51cを含む。把持対象物が接触する第1の指先端部51bは、それぞれの第1の棒状部51aの端部に形成されている。第1の指先端部51bには滑り止め部材54が配置されている。すなわち、比較例のグリッパー90では、2つの第1の指先端部51bを用いてワークを把持することができる。
【0046】
図8に、比較例のグリッパーにてコネクターを把持したときの概略図を示す。
図8は、グリッパー90を下側から見た時の概略図である。コネクター81は、2つの第1の指先端部51bのいずれか一方と第2の指先端部52bとにより把持することができる。コネクター81を把持する場合には、第2の指先端部52bが、矢印103に示す向きに移動する。ところが、比較例のグリッパー90では、第1の指先端部51bおよび第2の指先端部52bは対向していない。このために、コネクター81を把持するときに、矢印105に示すように、コネクター81が回転する方向に力が作用する。この結果、コネクター81を把持することができなかったり、コネクター81を把持した後にコネクター81を落としてしまったりする場合がある。このように、比較例のグリッパー90では、第1の指先端部51bが分割されているために、把持対象物を安定して把持することができない場合がある。
【0047】
図3および
図4を参照して、本実施の形態の第1のグリッパー50は、第1の指本体部51cの端部に配置された1つの指先端部51bを有する。第1の指部51は、複数の棒状部51aの端部を接続する第1の指先端部51bを有する。第1の指先端部51bは、第2の指先端部52bと対向できる位置に配置されている。第1の指先端部51bおよび第2の指先端部52bは一直線上に配置されることができる。このために、第1のグリッパー50は、安定してコネクター81を把持することができる。
【0048】
また、本実施の形態における第2の指先端部52bの把持対象物に接触する部分は、第1の指先端部51bの把持対象物に接触する部分と同一の形状を有する。第1の指先端部51bに取り付けられている滑り止め部材54と第2の指先端部52bに取り付けられている滑り止め部材54とはほぼ同じ形状を有する。この構成を採用することにより、安定して把持対象物を把持することができる。例えば、指先端部の幅が互いに異なる場合には、把持対象物を把持した時に、把持対象物に加わる力のバランスが崩れて把持対象物が落下する場合がある。第1の指先端部の把持対象物に接触する部分の形状と第2の指先端部の把持対象物に接触する部分の形状をほぼ同じにすることにより、指先端部にて安定して把持対象物を把持することができる。
【0049】
また、本実施の形態における第1のグリッパー50は、線状部材82を取り囲むように把持することができる。このため、線状部材82の把持に失敗したり、搬送中に線状部材82が落下したりすることを抑制できる。例えば、第1の指先端部51bおよび第2の指先端部52bにて、複数の線状部材を含む束を把持しようとしても、一部の線状部材を把持することができない場合がある。しかしながら、第1の指本体部51c、第2の指本体部としての第2の棒状部52a、および基部56にて囲まれる空間において線状部材82の束を把持することにより、指本体部にて安定して線状部材82の束を把持することができる。
【0050】
また、第1のグリッパー50は、第2の指部52の位置を変化させることにより、様々な径の線状部材を把持することができる。すなわち、グリッパーを交換することなく、径が互いに異なる複数の種類の線状部材を把持することができる。
【0051】
本実施の形態における第1のグリッパー50の第2の指部52は、基部56に向かう方向に平行移動するように形成されているが、この形態に限られない。第2の指部52は、基部56から突出する長さが変更可能に形成されていれば構わない。例えば、第2の指部52は、第2の指本体部の基部56から突出する部分の長手方向の長さが変化するように形成されていても構わない。すなわち、第2の指本体部が伸縮するように形成されても構わない。また、本実施の形態における第2の指部52は、2つの方向に直線的に移動するように形成されているが、この形態に限られない。第2の指部は、回転移動するように形成されていても構わない。
【0052】
本実施の形態の第2の指部は、動作プログラムに基づいて停止するように形成されているが、この形態に限られず、第1の指部および第2の指部において、圧力センサーが配置されていても構わない。例えば、圧力センサーは、滑り止め部材の裏側に配置することができる。圧力センサーは、第1の指部および第2の指部が把持対象物に接触したときの反力を検出する。そして、制御装置は、把持対象物から受ける反力が予め定められた判定値を超えたときに、第2の指部の移動を停止することができる。
【0053】
また、指部に圧力センサーを配置することにより、把持対象物に応じた押圧力(把持力)にて把持対象物を把持することができる。例えば、壊れやすい把持対象物を把持する場合には、指部が加える押圧力が小さい状態で把持対象物を把持することができる。または、強く把持対象物を把持する場合には、指部が加える押圧力が大きくなるように把持対象物を把持することができる。
【0054】
本実施の形態の第1のグリッパー50のグリッパー駆動装置59は、第2の指部52を矢印101,102に示す方向に移動するように形成されているが、この形態に限られない。グリッパー駆動装置は、第1の指部51および第2の指部52のうち少なくとも一方が駆動するように形成されていれば構わない。例えば、第1の指部が矢印101に示す向きに移動し、更に、第2の指部が矢印102に示す向きに移動するように形成されていても構わない。また、
図6を参照して、第2の指部52は、矢印110に示す方向に移動するように形成されても構わない。第2の指部52は、一方向のみの動作により線状部材82を把持するように形成されても構わない。
【0055】
図9に、本実施の形態における第1のグリッパーの変形例の斜視図を示す。第1のグリッパーの変形例では、第1の指本体部51cは、基部56に固定される固定部51dを有する。2つの第1の棒状部51aは、固定部51dに固定されている。2つの第1の棒状部51aは、固定部51dから延びている。また、本実施の形態の固定部51dおよび第1の棒状部51aは、一体的に形成されている。開口部53は、2つの第1の棒状部51a、第1の指先端部51b、および固定部51dに囲まれる領域に対応する。このように、棒状部が固定部から延びているグリッパーにも本発明を適用することができる。
【0056】
図10に、本実施の形態における第2のグリッパーの斜視図を示す。
図11に、本実施の形態における第2のグリッパーの正面図を示す。
図10および
図11を参照して、第2のグリッパー60の指本体部61e,62eでは、それぞれの指部61,62が回転軸を有する回転継手61c,61d,62c,62dを含む。本実施の形態の回転継手は、一つの回転軸にて部材を回転させる関節部である。それぞれの指部61,62は、回転継手61c,61d,62c,62dにおいて棒状部61aa,61ab,62aa,62abの向きが変化するように形成されている。すなわち、第2のグリッパー60では、指本体部61e,62eの向きや形状が変化する。また、指先端部61b,62bの向きが変化する。本実施の形態の駆動モータは、回転継手61c,61d,62c,62dの内部に配置されている。なお、回転継手を駆動する駆動モータは、基部66の内部に配置されていても構わない。この場合には、ベルト、ワイヤ、またはギヤなどを指部の内部に配置して、駆動モータの回転力を回転継手に伝達することができる。すなわち、駆動モータは、回転継手を間接的に駆動しても構わない。
【0057】
第2のグリッパー60は、基部66に支持された第1の指部61と第2の指部62とを備える。第1の指部61と第2の指部62とは、互いに対向するように配置されている。第1の指部61は、第1の指本体部61eと、第1の指本体部61eの端部に配置された第1の指先端部61bとを含む。第1の指本体部61eは、複数の第1の棒状部61aa,61abを含む。第1の指本体部61eは、第1の棒状部61aaと第1の棒状部61abとを接続する第1の回転継手61dを有する。第1の回転継手61dにて接続された第1の棒状部61aaおよび第1の棒状部61abの組が、互いに離れて配置されている。第1の指本体部61eは、第1の棒状部61aaを基部66に連結する第1の回転継手61cを有する。
【0058】
第1の回転継手61c,61dは、第1の指部61が延びる方向に対して垂直であり、第1の指部61の把持面に対して平行な回転軸96,97を有する。第1の指部61の把持面は、それぞれの滑り止め部材64,65の表面に相当する。グリッパー駆動装置が駆動すると、第1の回転継手61c,61dにおいて、第1の指先端部61bの向きおよび第1の指本体部61eの向きが変化する。
【0059】
第1の指本体部61eには、互いに対向する一対の第1の回転継手61dが配置されている。2つの第1の回転継手61dは、共通の回転軸97にて駆動する。すなわち、一対の第1の回転継手61dは、回転軸が同軸状になるように配置されている。一対の第1の回転継手61dは、第1の指先端部61bの向きおよび第1の指本体部61eの向きが変化する時に同時に回動する。一対の第1の回転継手61dは、回転軸97の延びる方向に互いに離れて配置されている。また、第1の指本体部61eには、一対の第1の回転継手61cが配置されている。2つの第1の回転継手61cは、共通の回転軸96にて駆動する。
【0060】
第1の指先端部61bは、互いに離れて配置された複数の第1の棒状部61abの端部を接続するように配置されている。第1の指先端部61bは、2つの第1の棒状部61abと一体的に形成されている。第1の棒状部61aa,61abは、第2の指部62に向かう側の表面に配置された滑り止め部材65を含む。また、第1の指先端部61bは、第2の指部62に向かう側の表面に配置された滑り止め部材64を含む。第1の指部61の第1の指本体部61eは、開口部63を有する。開口部63は、複数の第1の棒状部61aa,61abと、第1の指先端部61bと、基部66とに囲まれる領域に相当する。開口部63は、第2の指部62が進入して貫通する大きさを有する。
【0061】
第2の指部62は、第2の指本体部62eと、第2の指本体部62eの端部に配置された第2の指先端部62bを含む。第2の指本体部62eは、第2の棒状部62aa,62abと、第2の回転継手62c,62dとを含む。第2の指先端部62bは、第2の棒状部62abと一体的に形成されている。第2の回転継手62dは、第2の棒状部62aaと、第2の棒状部62abとを接続する。第2の回転継手62cは、第2の棒状部62aaを基部66に接続する。第2の回転継手62c,62dは、第2の指部62が延びる方向に対して垂直であり、第2の指部62の把持面に対して平行な回転軸98,99を有する。第2の指部62の把持面としては、滑り止め部材64,65の表面が相当する。第2の回転継手62c,62dにおいて、第2の指先端部62bの向きおよび第2の指本体部62eの向きが変化する。
【0062】
第2の棒状部62aa,62abは、第1の指部61に向かう側の表面に配置された滑り止め部材65を含む。また、第2の指先端部62bは、第1の指部61に向かう側の表面に配置された滑り止め部材64を含む。基部66の第1の指部61および第2の指部62が配置されている側の表面には、滑り止め部材65が配置されている。
【0063】
図12に、第2のグリッパーがコネクターを把持したときの斜視図を示す。
図13に、第2のグリッパーがコネクターを把持したときの正面図を示す。
図12および
図13を参照して、第2のグリッパー60においては、回転継手61c,62cを回動中心にして、矢印106に示すように棒状部61aa,62aaが回動する。すなわち、回転継手61c,62cを回動中心にして、指本体部61e,62eが回動する。また、回転継手61d,62dを回動中心にして、矢印107に示すように、棒状部61ab,62abが回動する。
【0064】
第2のグリッパー60は、第1の指先端部61bおよび第2の指先端部62bによりコネクター81を摘まむように把持することができる。コネクター81を把持する時の回転継手61c,61d,62c,62dの回転角度は、動作プログラム41に予め設定しておくことができる。動作制御部43は、動作プログラム41に基づいてグリッパー駆動回路45に第1の動作指令を送出する。グリッパー駆動回路45は、グリッパー駆動装置59を駆動する。本実施の形態では、コネクター81を把持する時には、第1の指先端部61bの表面と第2の指先端部62bの表面とが互いに平行になるように、第1の指部61の位置および姿勢と、第2の指部62の位置および姿勢が定められている。この制御により、第2のグリッパー60は、安定してコネクター81を摘むことができる。
【0065】
なお、把持対象物を把持するときの第1の指部61の位置および姿勢と第2の指部62の位置および姿勢は、把持対象物の形状に応じて設定することができる。また、ロボット装置が視覚センサーを備える場合には、視覚センサーにてコネクター81を把持している状態を検出することができる。視覚センサーから得られる情報に基づいて動作プログラムを更新しても構わない。例えば、制御装置は、視覚センサーにより取得した画像に基づいて、第1の指部61の位置および姿勢と、第2の指部62の位置および姿勢とを修正することができる。
【0066】
図14に、第2のグリッパーが線状部材を把持したときの斜視図を示す。
図15に、第2のグリッパーが線状部材を把持したときの正面図を示す。第2のグリッパー60は、指本体部61e,62eおよび基部66の底面により、線状部材82を掴むように把持することができる。
【0067】
線状部材82を把持する場合には、動作制御部43は、動作プログラム41に基づいてグリッパー駆動回路45に第2の動作指令を送出する。グリッパー駆動回路45は、グリッパー駆動装置59を駆動する。矢印108に示すように、第1の指部61が第2の指部に向かって回動する。
図15に示す例においては、回転継手61c,61dを回動中心として、第1の指本体部61eが駆動されている。特に、第1の棒状部61aaが回動している。また、第2の指部62を第1の指部61に向かって回動する。
図15に示す例においては、矢印109に示すように、回転継手62c,62dを回動中心として、第2の指本体部62eが駆動されている。第2の棒状部62aa,62abが回動している。第2の指部62は、開口部63に進入している。また、第2の指部62は、開口部63を貫通している。
【0068】
線状部材82は、基部66の底面、第1の指部61の第1の指本体部61e、第2の指部62の第2の指本体部62eに囲まれる空間により把持されている。この時の棒状部61aa,61ab,62aa,62abの姿勢は、予め動作プログラム41に設定しておくことができる。それぞれの棒状部61aa,61ab,62aa,62abの姿勢は、把持対象物の形状に応じて設定することができる。また、ロボット装置が視覚センサーを備える場合には、視覚センサーにて線状部材82を把持している状態を検出することができる。制御装置は、視覚センサーから得られる情報に基づいて動作プログラムを更新しても構わない。例えば、制御装置は、視覚センサーにより取得した画像に基づいて、第1の指部の位置および姿勢と、第2の指部の位置および姿勢を修正することができる。
【0069】
第2のグリッパー60は、第1のグリッパー50と同様に、第1の指本体部61eが開口部63を有し、第2の指部62が開口部63に進入する。この構成を採用することにより、指部の回転継手の構造および指部の制御を簡易にすることができる。第1の指本体部に開口部が無い場合には、線状部材を把持する時に、人が手で物を握る動作のように指部を制御する必要がある。例えば、制御装置は、第2の指部を曲げることにより、第1の指部の内側に第2の指部を配置する必要がある。回転継手は、第2の指部を大きく回転できる構造が必要になる。更に、制御装置は、第1の指部と第2の指部が衝突しないように指部の姿勢を制御する必要がある。また、制御装置は、指部の複雑な動作を行うと共に把持力を制御する必要がある。このように、第1の指部に開口部が無い場合には、回転継手の構造が複雑になり、更に制御が複雑になる。これに対して、本実施の形態の第2のグリッパー60においては、第2の指部62が第1の指部61の開口部63に進入するために、簡易な構造の回転継手を採用することができる。また、第1の指部および第2の指部の制御を簡易にすることができる。
【0070】
特に、本実施の形態の第2のグリッパー60は、それぞれの指部61,62を曲げることができる。そして、線状部材82を囲むように掴むことができる。第2のグリッパー60は、第1のグリッパー50のように、第2の指部52の第2の棒状部52aをL字形に形成する必要がなく、グリッパーの小型化を図ることができる。
【0071】
また、本実施の形態の第2のグリッパー60は、第1の指部61の位置および姿勢と第2の指部62の位置および姿勢を変化させることにより、径が異なる線状部材を把持することができる。すなわち、グリッパーを交換することなく、複数の種類の線状部材を把持することができる。
【0072】
図14および
図15に示す例においては、回転継手61c,62cにて回動する棒状部61aa,62aaにて線状部材82を把持している。線状部材を掴む場合には、この形態に限られず、回転継手61d,62dにて回動する棒状部61ab,62abを用いて線状部材を把持しても構わない。例えば、線状部材の径が大きい場合、または、複数の線状部材の束の径が大きい場合にも、指部61,62の全体にて線状部材を安定して把持することができる。なお、第1の指部の回転継手の数および第2の指部の回転継手の数は、任意の個数を採用することができる。たとえば、第2の指部が3個以上の回転継手を含んでいても構わない。
【0073】
図16に、本実施の形態における第2のグリッパーの変形例の斜視図を示す。第2のグリッパーの変形例では、第1の指部61の第1の指本体部61eは、互いに対向する第1の棒状部61aa同士を固定する固定部61fを含む。固定部61fと2つの第1の棒状部61aaは、一体的に形成されている。また、固定部61fは、第1の回転継手61cに固定されている。前述の第2のグリッパーにおいては、第1の指本体部61eを基部66に連結するために、同軸状の2個の第1の回転継手61cが配置されている(
図10参照)。これに対して、第2のグリッパーの変形例では、固定部61fを支持する一つの第1の回転継手61cが配置されている。第1の回転継手61cは、2つに分割されずに、複数の棒状部61aaを支持するように形成されていても構わない。この構成により、第1の指本体部61eの動作の制御が、
図10に示す第2のグリッパーに比べて容易になる。
図10に示す第2のグリッパーでは、2つの回転継手61cが配置されているために、2つの棒状部61aaが同期して動作するように2つの回転継手61cを制御する必要がある。または、一方の回転継手61cを回動させた時に、他方の回転継手61cが一方の回転継手61cの動作に従動するように制御する必要がある。このような複雑な制御を実施しない場合には、滑らかに第1の指本体部61eが動かない虞がある。これに対して、
図16に示す第2のグリッパーの変形例では、回転継手61cが分割されていないために容易に制御を行うことができる。
【0074】
第2のグリッパーのその他の構成、作用および効果は、本実施の形態の第1のグリッパーと同様である。
【0075】
図17に、本実施の形態における第3のグリッパーの斜視図を示す。第3のグリッパー70は、第1の指部61および第2の指部62に加えて、第3の指部71および第4の指部72を備える。第4の指部72は、第3の指部71に対向している。第3の指部71と第4の指部72とが向き合う方向は、第1の指部61と第2の指部62とが向き合う方向に垂直である。一対の指部71,72は、一対の指部61,62が開いたり閉じたりする方向に対して垂直な方向に、開いたり閉じたりするように形成されている。すなわち、第3の指部71および第4の指部72は、第1の指部61および第2の指部62が接近および離反する方向に垂直な方向において、互いに接近して把持対象物を把持する。なお、本実施の形態のグリッパー駆動装置は、第3の指部71および第4の指部72を駆動するように形成されているが、この形態に限られない。グリッパー駆動装置は、第3の指部および第4の指部のうち、少なくとも一方を駆動するように形成することができる。
【0076】
第3の指部71は、第2のグリッパー60の第1の指部61と同様の構成を有する。第3の指部71は、基部76に支持された第3の指本体部71eと、第3の指本体部71eの端部に配置され、把持対象物に接触する第3の指先端部71bとを含む。第3の指本体部71eは、第3の棒状部71aaと第3の棒状部71abとを接続する第3の回転継手71dと、第3の棒状部71aaを基部76に接続する第3の回転継手71cとを有する。第3の回転継手71c,71dは、第3の指部71が延びる方向に対して垂直であり、第3の指部71の把持面に対して平行な回転軸を有する。グリッパー駆動装置59が駆動することにより、第3の回転継手71c,71dにおいて、第3の指先端部71bの向きおよび第3の指本体部71eの向きが変化する。第3の指先端部71bは、複数の第3の棒状部71abの端部を接続する。また、第3の指本体部71eは、第3の棒状部71aa,71abと、第3の指先端部71bと、基部76の底面とに囲まれる開口部73を有する。
図17に示す実施例においては、第3の指部71は開口部73を有するが、この形態に限られない。第3の指部は、開口部73を有していなくても構わない。第1の指部61および第2の指部62にて線状部材を把持する場合に、第3の指部71および第4の指部72は線状部材が延びる方向に沿って配置される。第3の指部71および第4の指部72を閉じて線状部材を把持することは困難である。このために、常に第1の指部61および第2の指部62にて線状部材を把持する場合には、第3の指部71は開口部73を有していなくても構わない。
【0077】
第4の指部72は、第2のグリッパー60の第2の指部62と同様の構成を有する。第4の指部72は、基部76に支持された第4の指本体部72eと、第4の指本体部72eの端部に配置され、把持対象物に接触する第4の指先端部72bとを含む。第4の指本体部72eは、第4の棒状部72aaと第4の棒状部72abとを接続する第4の回転継手72dと、第4の棒状部72aaを基部76に接続する第4の回転継手72cとを有する。第4の回転継手72c,72dは、第4の指部72が延びる方向に対して垂直であり、第4の指部72の把持面に対して平行な回転軸を有する。グリッパー駆動装置59が駆動することにより、第4の回転継手72c,72dにおいて、第4の指先端部72bの向きおよび第4の指本体部72eの向きが変化する。
【0078】
第4の指部72は、第3の指部71の開口部73に進入して、貫通する形状を有する。第3の指先端部71bおよび第4の指先端部72bは、滑り止め部材74を含む。また、第3の棒状部71aa,71abおよび第4の棒状部72aa,72abは、滑り止め部材75を含む。なお、第3の指部71は、第4の指部72と同様の構成であっても構わない。すなわち、第3の指部71は、開口部73を有していなくても構わない。
【0079】
第3のグリッパー70のグリッパー駆動装置は、それぞれの回転継手71c,71d,72c,72dにて、棒状部71ab,71ab,72aa,72abの向きを変更するように形成されている。グリッパー駆動装置は、第3の指先端部71bと第4の指先端部72bとが近づくように、第3の指部71および第4の指部72を駆動する。第3の指先端部71bおよび第4の指先端部72bは、把持対象物を摘まむことができる。第3の指先端部71bおよび第4の指先端部72bは、第1の指先端部61bおよび第2の指先端部62bが把持対象物を把持する方向に垂直な方向において、把持対象物を把持することができる。
【0080】
第3のグリッパー70は、把持対象物を摘まんで把持する場合に、4つの方向から把持対象物を挟むことができる。しかしながら、線状部材が取り付けられた直方体のコネクターを把持する場合には、コネクターの嵌合面および線状部材を引出す面を把持することはできない。グリッパーは、この2面を除いた4面を用いて、線状部材に負荷を与えないようにコネクターを把持する必要がある。例えば、グリッパーは、線状部材が極端に曲がらないように、コネクターを把持する必要がある。第3のグリッパー70は、コネクターの4つの側面を挟むことができるために、把持対象物を把持する時の安定性が向上する。
【0081】
図18に、本実施の形態における第3のグリッパーにて線状部材を把持するときの斜視図を示す。第3のグリッパー70が線状部材を把持する場合には、2対の指部のうち1対の指部を上側に向けることができる。
図18に示す例においては、第3の指部71の第3の指先端部71bおよび第4の指部72の第4の指先端部72bが上側に向くように回転継手71c,71d,72c,72dを駆動している。この制御を行うことにより、第2のグリッパー60と同様に、第1の指部61および第2の指部62にて線状部材を把持することができる。
【0082】
更に、第3のグリッパー70においては、4つの指部61,62,71,72にて把持対象物を包む様に掴むことができる。たとえば、球状の把持対象物を把持する場合に、1対の指部を備える第2のグリッパー60は、1方向において把持対象物を摘まむために安定して把持できない場合がある。これに対して、第3のグリッパー70では、4つの指部61,62,71,72により、様々な形状の把持対象物を安定して把持することができる。
【0083】
図19に、本実施の形態の第3のグリッパーの変形例の斜視図を示す。変形例のグリッパー70は、第1の指部61、第2の指部62、第3の指部71、および第4の指部72を備える。指部61,62,71,72は、基部76に支持されている。第3の指部71の第3の指本体部71eは、開口部を有しておらず、1つの棒状部71aaと、1つの棒状部71abとを有する。また、第3の指本体部71eは、第3の棒状部71aaと第3の棒状部71abとを接続する第3の回転継手71dと、第3の棒状部71aaを基部76に接続する第3の回転継手71cとを有する。
【0084】
図17および
図18に示す第3のグリッパーでは、第1の指部61および第2の指部62の動作方向は、第3の指部71および第4の指部72の動作方向に対して垂直になる。なお、2個の指部が対向する方向が指部の動作方向に相当する。これに対して、
図19に示す変形例では、2対の指部の動作方向は垂直に交わっていない。矢印91に示す方向は、第1の指部61および第2の指部62の動作方向である。矢印92に示す方向は、第3の指部71および第4の指部72の動作方向である。2対の指部の動作方向は直交しておらず、所定の角度θにて交わっている。第3のグリッパーの変形例では、線状部材を安定して把持する場合に好適である。このように、互いに対向する指部の動作方向は、任意の方向に設定することができる。
【0085】
第3のグリッパーのその他の構成、作用および効果は、本実施の形態の第1のグリッパーまたは第2のグリッパーと同様である。
【0086】
上記の実施の形態においては、第1の指部、第2の指部、第3の指部、および第4の指部において、把持対象物に接触する全ての把持面に滑り止め部材が配置されているが、この形態に限られない。滑り止め部材は、把持対象物に把持対象物に接触する一部の把持面に配置されることができる。または、滑り止め部材が配置されていなくても構わない。
【0087】
上記の実施の形態においては、搬送の対象となる把持対象物として、ケーブルハーネスを例示したが、この形態に限られない。本実施の形態のグリッパーは、摘まむことにより把持対象物を把持する作業および掴むことにより把持対象物を把持する作業を実施することができる。たとえば、線状の物品および直方体の物品を1つの箱の内部に配置するロボット装置に、本発明のグリッパーを採用することができる。また、グリッパーは、大きな把持対象物および小さな把持対象物を把持する場合がある。このような複数の種類の把持対象物を把持する作業において、グリッパーは、小さな把持対象物は指先端部にて摘まむ様に把持することができる。大きな把持対象物は、指本体部にて鷲掴みする様に把持することができる。
【0088】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。