【文献】
Journal of Materials Chemistry A,英国,2013年 6月28日,Vol.1, p.7167-7173
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】タングステン−炭素スーパバッテリーの各シングルセルの概略図を示し、タングステン含有アノード、セパレータ、炭素カソード(またはタングステンカソード)、および間に満たされた電解質を含む。
【
図2A】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−炭素スーパセルの構造ダイアグラムである。
図2A(構造A)において、タングステン含有および鉛活性材料(鉛含有活性材料)は、電極の異なる領域上にコーティングされる。
【
図2B】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−炭素スーパセルの構造ダイアグラムである。
図2B(構造B)において、タングステン系および鉛系材料(タングステン含有材料および鉛含有材料)はまずプレ混合し、次いで集電体上に均一にコーティングされる。
【
図2C】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−炭素スーパセルの構造ダイアグラムである。
図2C(構造C)において、タングステン含有材料および鉛含有材料の活性層は、電極上に交互コーティングされる。
【
図2D】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−炭素スーパセルの構造ダイアグラムである。このバッテリー構造は、ハイブリッドタングステン含有アノード、セパレータ、炭素カソード(またはタングステンカソード)、および間に満たされた電解質からなる。(タングステン−タングステンスーパバッテリーの構造は、タングステン−炭素スーパバッテリーと同様であり、このためここでの繰り返しは省略する。)
図2D(構造D)において、タングステン含有電極および鉛含有電極は別々に調製され、並列に接続されてアノードを形成する。
【
図3】タングステン−鉛スーパバッテリーの構造図である。このバッテリー構造は、タングステン含有アノード、セパレータ、酸化鉛カソード、および間に満たされた電解質を含有する。
【
図4A】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−鉛スーパセルの構造ダイアグラムである。
図4A(構造A)において、タングステン含有および鉛活性材料は、電極の異なる領域上にコーティングされる。
【
図4B】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−鉛スーパセルの構造ダイアグラムである。
図4B(構造B)において、タングステン系および鉛系材料(タングステン含有および鉛含有材料)はまずプレ混合し、次いで集電体上に均一にコーティングされる。
【
図4C】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−鉛スーパセルの構造ダイアグラムである。
図4C(構造C)において、タングステン含有材料および鉛含有材料の活性層は、電極上に交互コーティングされる。
【
図4D】負極のハイブリッド設計に基づくタングステン−鉛スーパセルの構造ダイアグラムである。このバッテリー構造は、ハイブリッドタングステン含有アノード、セパレータ、酸化鉛カソード、および間に満たされた電解質からなる。
図4D(構造D)において、タングステン含有電極および鉛含有電極は別々に調製され、次いで並列に接続されてアノードを形成する。
【
図5】組み合わせたタイプのスーパバッテリーシステムの構造ダイアグラムである。このシステムは、
図1または2に示されるバッテリーセット、
図3または4に示されるバッテリーの他の群または他のバッテリー、例えばニッケル水素バッテリー、ニッケルカドミウムバッテリー、リチウムイオンバッテリー、亜鉛−空気バッテリー、リチウム−硫黄バッテリーからなる。バッテリーの2つの群は並列に接続される。
【
図6】実施例1(A)にて得られたハイブリッド酸化タングステン材料の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図7】実施例1(A)にて得られたハイブリッド酸化タングステン材料のX線回折(XRD)パターンである。
【
図8】実施例1(B)にて得られた酸化タングステン材料のSEM画像である。
【
図9】実施例1(B)にて得られた酸化タングステン材料のXRDパターンである。
【
図10a】市販の酸化タングステンサンプルのXRDパターンである。
【
図10b】市販の酸化タングステンサンプルの透過電子顕微鏡(TEM)である。
【
図11a】ドープされた酸化タングステンにおけるタングステン元素のエネルギー分散x線分光法からの元素分析ダイアグラムを示す。
【
図11b】ドープされた酸化タングステンにおけるタングステン元素のエネルギー分散x線分光法からの元素分析ダイアグラムを示す。
【
図11c】ドープされた酸化タングステンにおけるタングステン元素のエネルギー分散x線分光法からの元素分析ダイアグラムを示す。
【
図12a】実施例1にて得られた3つの異なる酸化タングステン材料から製作されたスーパバッテリー電極のサイクリックボルタモグラム(CV)を示す。
【
図12b】実施例1にて得られた3つの異なる酸化タングステン材料から製作されたスーパバッテリー電極のサイクリックボルタモグラム(CV)を示す。
【
図12c】実施例1にて得られた3つの異なる酸化タングステン材料から製作されたスーパバッテリー電極のサイクリックボルタモグラム(CV)を示す。
【
図13】実施例1にて得られた3つの異なる酸化タングステン材料によって得られた2電極プロトタイプスーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図14】異なる濃度において酸電解質内の実施例2にて得られた酸化タングステン電極のCVを示す。
【
図15】実施例2にて得られた酸化タングステン材料によって得られた2電極プロトタイプスーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図16】実施例3にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図17】実施例4にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図18】実施例5にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図19】実施例6にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図20】実施例7にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図21】実施例8にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図22】実施例9にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図23】実施例10にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図24】実施例11にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図25】実施例12にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図26】実施例13にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図27】実施例14にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図28】実施例15にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図29】実施例16にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図30】実施例17にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーの充電/放電曲線を示す。
【
図31a】実施例18にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーのCV曲線、およびそれぞれ15530サイクルの後の充電/放電曲線を示す。
【
図31b】実施例18にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーのCV曲線、およびそれぞれ15530サイクルの後の充電/放電曲線を示す。
【
図32a】実施例19にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーのCV曲線、および10770サイクルの後の充電/放電曲線を示す。
【
図32b】実施例19にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーのCV曲線、および10770サイクルの後の充電/放電曲線を示す。
【
図33a】実施例20にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーのCV曲線、および5067サイクルの後の充電/放電曲線を示す。
【
図33b】実施例20にて得られた酸化タングステン材料によって製作されたタングステン酸スーパバッテリーのCV曲線、および5067サイクルの後の充電/放電曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の実施例はさらに本発明を例示するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0031】
上述したように、本発明において、特定の結晶構造を有する三酸化タングステン材料は、高い電力密度、高いエネルギー密度および長いサイクル寿命を有する電気化学エネルギー貯蔵および変換デバイスに使用できる。先に記述されたように、こうした電気化学エネルギー貯蔵デバイスは、タングステン−炭素系スーパバッテリー、タングステン−酸化鉛系スーパバッテリー、およびタングステン−炭素/タングステン−酸化鉛ハイブリッドスーパバッテリーシステムを含む。これらのスーパバッテリーシステムにおいて、負極材料は、上述のタングステン含有活性材料(tungsten-containing active material)から選択され、このタングステン系材料は、炭素または鉛系材料と共に負極として使用できる。
【0032】
上記で記載されるように、タングステン系活性材料(tungsten-based active material)の使用は、酸化タングステン、含水酸化タングステン、元素ドープされた酸化タングステン、元素ドープされた含水酸化タングステン、酸化タングステン系複合体ならびに前述のタングステン含有材料と炭素、ポリマー材料、金属およびセラミックとを含む混合物、ならびにこれらの材料の混合物を含む。以下の内容の詳細は、構造および構築方法ならびにこうしたタングステン系スーパバッテリーを紹介する。
【0033】
<1.電気化学エネルギー貯蔵および変換デバイスが、タングステン炭素系スーパバッテリーである場合>
本発明のスーパバッテリーの第1のタイプを
図1、
図2A、
図2B、
図2C、および
図2Dに示す。このタイプのスーパバッテリーのアノードとしてはタングステン系材料であり、純粋タングステン材料、タングステン材料および鉛の混合物、ならびにタングステン材料および炭素の混合物といったタングステン系材料が使用される。カソードとしては、同じタングステン系材料または多孔質炭素が使用される。本発明に記載されるスーパバッテリーは、高い電力密度、非常に長いサイクリング寿命および顕著なエネルギー貯蔵密度を提供できる。
【0034】
図1に示されるスーパバッテリーは、カソード集電体2、アノード集電体3、タングステン材料系負極4、多孔質セパレータ5、高表面積炭素または正極1と同じタングステン電極、および間を満たす電解質を含む。ここで、このセパレータは、種々の安定な絶縁多孔質膜、例えばガラス繊維、不織布などであってもよい。膜は、正極および負極を分離する役割を果たし、電極の調製のために必要とされる集電体は、種々の安定な電子伝導性基材、例えば炭素フェルト、チタン箔、鉛グリッドなどであってもよい。それらは、集電および導電電子の役割を果たす。電解質は、十分な電解質イオン濃度および高いイオン伝導性を含有する種々の水性または有機溶液であることができ、好ましい電解質は、十分な濃度のプロトン、例えば硫酸、リン酸、過塩素酸などを含有する水性電解質である。それは、プロトンを提供する役割を果たす。正極のための炭素材料は、種々の多孔質炭素であってもよく、これは活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェンまたは他の多孔質炭素源から選択できる。それは、スーパバッテリーにおいて電気二重層キャパシタンスを提供する。
【0035】
当業者は、本発明のタングステン系活性材料は、異なる方法によって合成されてもよく、次いで材料は粉末に加工処理されて電極を調製することを容易に理解できる。例として具体的な合成方法を、以下に詳細に記載する。
【0036】
本発明において、タングステン−炭素系スーパバッテリーにおいてタングステン系材料を用いる方法は、粉末形態での調製されたままのタングステン系活性材料、伝導剤、バインダーおよび分散剤を利用して、均一な電極スラリーに配合し、次いで電極スラリーを集電体上に塗布して、タングステン材料系アノードを形成することであり、例として具体的な調製方法を以下で詳細に記載する。
【0037】
図2も、タングステン−炭素スーパバッテリーを示す。スーパバッテリー構造は、タングステン系および鉛系アノード材料、セパレータ、高表面積炭素カソード、および電解質を含む。
図2Aは、負極の構造組成を示し、ここで上方および下方部分がそれぞれタングステン系および鉛系活性材料10、11であり、活性材料のそれぞれの部品の割合および位置は必要に応じて変更できる。例として、負極を製造する可能性としての方法は、上述の方法に従ってタングステン含有活性材料または鉛を調製し、電極スラリーを別々に形成することである。次いで前記一方の電極スラリーは、特定の位置において第1の部分として集電体上にコーティングされ、前記他方の電極スラリーは、電極の他の部分の集電体の他の部分上にコーティングされる。高表面積炭素カソード7、セパレータ12および電解質材料を含んで、タングステン含有および鉛含有ハイブリッド負極を用いたスーパバッテリーを製造するための他の材料は、
図1に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0038】
図2Bに示されるスーパバッテリー構造は、タングステン−鉛系ハイブリッド負極10、11、セパレータ12、高表面積炭素カソード7および電解質を含む。ハイブリッドタングステン−鉛負極に使用される活性材料は、いずれかの割合または均質複合材料において、タングステン材料および鉛材料の混合物であることができる。ハイブリッド負極のための可能性としての製造方法は、タングステン含有活性材料および鉛材料を利用して、上述の方法に従って均一なスラリーを製造し、次いで混合材料と共に電極スラリーを集電体上にコーティングして、ハイブリッド電極構造を形成することである。高表面積炭素カソード7、セパレータ12および電解質材料を含んで、ハイブリッドタングステン−鉛負極を用いたスーパバッテリーを製造するための他の材料は、
図1に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0039】
図2Cに示されるスーパバッテリー構造は、交互タングステン系活性層および鉛系活性層によって構築される負極10、11、セパレータ12、高表面積炭素カソード7、および満たされた電解質を含む。
図2Cに示されるように、前記スーパバッテリーアノードは、タングステン系活性層および鉛系活性層を交互にコーティングし、またはタングステン系活性層および炭素系活性層を交互にコーティングし、または、鉛系活性層および炭素系活性層を交互にコーティングし、または、タングステン系活性層と鉛系活性層と炭素系活性層を交互にコーティングすることによって構築できる。層の厚さ、層の数、および各活性層のコーティング順序は、制限なく必要に応じて調整できる。ハイブリッド負極を製造するための可能な方法とは、タングステン含有材料、鉛材料、または高表面積炭素を活性材料として利用して上記方法に従って電極スラリーを形成した後、ハイブリッド材料の該電極スラリーを層の前述の設計順序、すなわち、層の厚さと層の数に従って集電体上に多層コーティングすることにより、多層ハイブリッド電極を形成するというものである。高表面積炭素カソード7、セパレータ12および電解質材料を含んで、ハイブリッドタングステン−鉛負極を用いたスーパバッテリーを製造するための他の材料は、
図1に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0040】
図2Dに示されるスーパバッテリー構造は、並列に接続されたタングステン系アノード(またはタングステン系活性材料)10および鉛系アノード(または鉛系活性材料)11、セパレータ12、高表面積炭素カソード7、および満たされた電解質を含む。
図2Dに示されるように、スーパバッテリーの負極は、並列に接続された2つの別々に形成された電極からなり、ここで一方の電極はタングステン含有材料で製造され、他方の電極は鉛材料から製造される。2つの電極の位置およびサイズは、設計要件に依存して制限なく調整できる。ハイブリッド負極のための可能性としての製造方法は、タングステン含有活性材料および鉛含有材料を利用して、上述の方法に従って別々に電極スラリーを製造することであり、次いで上記電極スラリーは、それぞれ個々の電極を形成するために集電体上に別々にコーティングされる。形成されたままのタングステン電極および鉛電極は、次いで共に接続されて、スーパバッテリーの負極を構成する。高表面積炭素カソード7、セパレータ12および電解質材料を含んで、ハイブリッドタングステン−鉛負極を用いたスーパバッテリーを製造するための他の材料は、
図1に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0041】
同様に、当業者は、
図2に例示されるスーパバッテリーのセパレータ、炭素系カソードおよび電解質の選択は当業者にとって従来通りの選択であることが容易に理解できる。具体的な選択は
図1の記載を参照できる。同時に、特別な注釈としては、
図2に記載されるハイブリッドタングステン−鉛アノードは、構造が同様のハイブリッドタングステン−炭素アノードによって置き換えられてもよい。
【0042】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステンアノードおよび炭素カソードに基づくタングステン−炭素スーパバッテリー(
図1)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0043】
<実施例1>
まず、酸化タングステンの合成および具体的な特徴付けは以下の通りである。
【0044】
<(1) 酸化タングステンの調製>
(A) タングステン酸アンモニウムを脱イオン水中に溶解させ、3重量%のタングステン酸アンモニウム溶液を形成し、次いで2モルの硫酸溶液を添加して、酸濃度を1.5重量%に調整する。上記溶液を30分間撹拌し、均質な混合溶液を得て、この混合溶液を5リットルのオートクレーブ反応器に移し、95℃で60時間加熱し、反応完了後、それを自然に冷却させ、次いで生成物を脱イオン水で洗浄し、乾燥し、電極使用のために含水酸化タングステン活性材料を得る。調製された含水酸化タングステン材料のモルホロジーおよび構造をさらに理解するために、出願人は、TEMおよびXRDによる特徴付けを行ったが、結果は以下の通りである。
【0045】
図6は、上述の合成様式を用いることによって得られる含水酸化タングステン材料のSEM画像である。
図6からわかるように、含水酸化タングステンの粒径は、二、三百ナノメートルからマイクロメートルの範囲にあり、ここでそれぞれの個々の粒子は、多数のナノ粒子からなる。ナノ粒子のサイズは、数ナノメートルから数十ナノメートルの範囲である。
【0046】
図7は、上述の合成様式を用いることによって得られる含水酸化タングステン材料のXRDパターンである。含水酸化タングステンサンプルは、六方晶系結晶構造を有する。
【0047】
(B) タングステン酸ナトリウムを脱イオン水に溶解させ、3重量%のタングステン酸ナトリウム溶液を形成し、次いで2molの塩酸溶液を添加して、酸濃度を1.5重量%に調整し、続いて2重量%の硫酸カリウムを添加する。上記溶液を30分間撹拌し、均質な混合溶液を得て、この混合溶液をオートクレーブ反応器に移し、180℃で12時間加熱し、反応完了後にそれを自然に冷却させ、次いで生成物を脱イオン水で洗浄し、乾燥して、立方および六方晶系結晶構造の両方を有する混合酸化タングステン材料を得る。調製された含水酸化タングステン材料のモルホロジーおよび構造をさらに理解するために、出願人は、TEMおよびXRDによる特徴付けを行ったが、結果は以下の通りである。
【0048】
図8は、上述の合成様式を用いることによって得られた立方および六方晶系結晶構造の両方を有する混合酸化タングステン材料のSEM画像である。サンプルは、数nm(ナノメートル)から数十nmの範囲の小さいサイズのナノ粒子を示す。
図9は、同じ混合酸化タングステン材料のXRDパターンである。
図9からわかるように、酸化タングステンサンプルは、六方晶系および立方晶系結晶構造の両方の混合結晶構造を有する。
【0049】
同時に、本出願人は、斜方晶系結晶構造を有するCAS番号1314−35−8を有する市販の酸化タングステンサンプルを購入した。
図10は、そのXRD(a)および透過電子顕微鏡画像(b)を示し、サンプル粒子は、先行する2つの酸化タングステンと同様のナノサイズを有し、斜方晶系結晶構造を有する。
【0050】
ドープされた酸化タングステンは、酸化タングステンを、異なるドープ元素を含有する塩溶液に浸漬させることによって調製できる。例えば、酸化タングステンを、リットルあたり6モルの塩化亜鉛水溶液中に十分分散させ、遠心分離後、得られた沈殿物を400℃で6時間加熱処理して、亜鉛ドープされた酸化タングステン(
図11(a))を得る。酸化タングステンを、リットルあたり6molの塩化カルシウム水溶液中に十分分散させ、遠心分離後、得られた沈澱を400℃で6時間加熱処理して、カルシウムドープ(calcium-doped)された酸化タングステン(
図11(b))を得る。(A)からの反応生成物を遠心分離(洗浄なし)により回収し、次いで400℃で6時間加熱処理して、ナトリウムドープ(sodium-doped)された酸化タングステン(
図11(c))を得る。
【0051】
タングステン−炭素系スーパバッテリー用途のための電極として上述の3つの異なる酸化タングステン材料をさらに理解するために、本出願人は、次いでこれらの3つの酸化タングステン材料を用いて電極を調製し、さらにそれらの性能について調査した。
【0052】
<(2) 酸化タングステン電極および炭素電極の製作>
8:1:1の質量比において上記3つの異なる酸化タングステン、伝導剤としてのカーボンブラックおよびポリフッ化ビニリデン(PVDF)バインダーのそれぞれを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒中に分散させる。この電極スラリーのそれぞれを、チタンシート集電体上にコーティングし、80℃で2時間、真空下で乾燥し、酸化タングステン電極を形成する。
【0053】
その一方で、炭素電極を調製する特定の方法は次の通りである。9:0.5:0.5の質量比において高表面積活性炭、カーボンブラック伝導剤、およびPVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、チタンシート集電体上にコーティングし、80℃にて真空下で5時間乾燥し、炭素電極を形成する。
【0054】
<(3) タングステンスーパバッテリーの製作>
上記3つの異なる酸化タングステン負極を組立て、3電極セルにて試験した。使用された3電極システムは、タングステン電極、参照電極およびカウンター電極を含む。3つの異なる三酸化タングステンをそれぞれ、2mol/Lの硫酸電解質中の負極として、Ag/AgCl(銀/塩化銀)電極を参照電極として、白金シートをカウンター電極として使用し、電極試験を行った。同じ条件下で調製された電極について電極質量負荷が1〜3mg/cm
2(ミリグラム/平方センチメートル)であり、3電極セルにおいてサイクリックボルタンメトリ走査速度が5mV/s(ミリボルト/秒)である場合、六方晶系結晶構造を有する酸化タングステン電極の容量は70mAh/g(ミリアンペア時/グラム)であり、六方晶系および立方晶系結晶構造の混合結晶構造を有する酸化タングステン電極の容量は、83mAh/gであり;斜方晶系結晶構造を有する酸化タングステン電極の容量は56mAh/gである。
図12は、異なる電極のCV曲線を示し、ここで
図12aは六方晶系結晶酸化タングステンのCV曲線を示し、
図12bは斜方晶系結晶酸化タングステンのCV曲線を示し、
図12cは混合六方晶系および立方晶系結晶酸化タングステンのCV曲線を示す。
【0055】
同時に、本出願人はまた、以下のような特定の組立方法により上述の3つの異なる酸化タングステン負極に関して2電極プロトタイプバッテリー試験を行った。六方晶系結晶構造を有する酸化タングステンアノードを、セパレータとしてガラス繊維膜を用いて活性炭カソードと対にして、3molの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0〜1.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。電極はさらに、負極上で1A/gの電流密度にて92mAh/gの容量を達成できる。
図13は、このタングステンの酸バッテリー(六方晶系結晶構造を有する酸化タングステン)の代表的な充電/放電曲線を示す。
【0056】
実施例1と同様にして、純粋な酸化タングステンアノードおよび炭化タングステンの炭素アノードから製造されるスーパバッテリーの別の調製方法および性能は、次の通りである。
【0057】
<実施例2: 酸化タングステンアノードおよび炭素カソードに基づくスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステンの合成>
タングステン酸アンモニウムを脱イオン水中に溶解させ、5重量%のタングステン酸アンモニウム溶液を形成し、次いで2molの硫酸溶液を添加して、酸濃度を1.5重量%に調整し、その後1重量%の硫酸アンモニウムを添加する。上記溶液を30分間撹拌し、均質な混合溶液を得る。この混合溶液をオートクレーブ反応器に移し、90℃で12時間加熱する。反応完了後、それを自然に冷却させ、次いで生成物を脱イオン水で洗浄し、乾燥し、六方晶系結晶構造を有する含水酸化タングステン活性材料を得る。
【0058】
<(2) 酸化タングステン電極および炭素電極の製作>
8:1:1の質量比において、上記実施例2(1)で調製された酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびPVDFバインダーのそれぞれを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、カーボンクロス集電体上にコーティングし、80℃で2時間、真空下で乾燥し、酸化タングステン電極を形成する。その一方で、炭素電極を調製する方法は次の通りである。9:0.5:0.5の質量比において高表面積活性炭、カーボンブラック伝導剤、およびPVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、チタンシート集電体上にコーティングし、80℃にて真空下で5時間乾燥し、炭素電極を形成する。
【0059】
<(3) タングステンスーパバッテリーの製作>
上記実施例2(2)で製作された酸化タングステン負極を組立て、3電極セルにて試験した。使用された3電極システムは、タングステン電極、参照電極およびカウンター電極を含む。三酸化タングステンを、5mol/Lの硫酸電解質中の負極として、Ag/AgCl電極を参照電極として、および白金シートをカウンター電極として使用し、電極試験を行った。3電極セルにおいて5mV/sのサイクリックボルタンメトリ走査速度で試験する場合に、酸化タングステン電極の容量は70mAh/gの容量を示した。50mV/sで試験する場合には、電極容量は依然として37mAh/gにて維持された。4mol/Lと6mol/Lの硫酸電解質において5mV/sの走査速度で、電極材料は、それぞれ43mAh/gと38mAh/gの容量に到達した。
図14は、異なる濃度に関して硫酸電解質中の電極のCV曲線を示す。
【0060】
同時に、本出願人はまた、以下のような特定の組立方法により上述の酸化タングステン負極に関して2電極プロトタイプバッテリー試験を行った。1.7gの前記酸化タングステンアノードをセパレータとしてガラス繊維膜を用いて3.1gの活性炭カソードと対にして、3mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0〜1.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。電極は、負極における100mA/gの電流密度にて73mAh/gの容量を達成できる。
図15は、このタングステン酸バッテリー(六方晶系結晶構造を有する酸化タングステン)の代表的な充電/放電曲線を示す。
【0061】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくタングステン−炭素スーパバッテリー(
図1)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0062】
<実施例3: タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくスーパバッテリー>
<(1) タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードの製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記実施例2において調製される。4:4:1:1の質量比において、この酸化タングステン、活性炭、カーボンブラック伝導剤、およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。ここで、上記ハイブリッド酸化タングステン電極に使用される炭素材料は、電極用途のために市販されているいずれかの炭素材料であってもよく、活性炭は一般的な選択に過ぎず、特に好ましい実施例ではないことに留意すべきである。当業者は、この実施例において活性炭を置き換えるために他の一般的な代替炭素材料を容易に選択できる。同じ原理は、以下の実施例のそれぞれに適用でき、スペースを節約するために繰り返すことはしない。
【0063】
この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間、20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し(80℃で15時間乾燥し、20トンの圧力を10秒間保持し、さらに15時間乾燥する)、電極を形成する。
【0064】
その一方で、炭素電極を調製する方法は次の通りである。9:0.5:0.5の質量比において、高表面積活性炭、カーボンブラック伝導剤、およびPVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。
【0065】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
上述の製作されたハイブリッド酸化タングステン−炭素アノードおよび炭素カソードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられた。2.4gの前記ハイブリッド酸化タングステン−炭素アノードをセパレータとしてガラス繊維膜を用いて4.2gの活性炭カソードと対にして、3mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0〜1.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。電極は、100mA/gの電流密度にて66mAh/gの容量を達成できる。
図16は、このタングステン酸バッテリーの代表的な充電/放電曲線を示す。
【0066】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくタングステン−炭素スーパバッテリー(
図2B)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0067】
<実施例4.タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくスーパバッテリー>
<(1) タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび炭素カソードの製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記実施例2において調製される。75:20:3:2の質量比において、この酸化タングステン、鉛粉末、カーボンブラック伝導剤、およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。ここで、上記ハイブリッド酸化タングステン電極に使用される鉛材料は、電極用途のために市販されているいずれかの鉛材料であってもよく、鉛粉末は一般的な選択に過ぎず、特に好ましい実施例ではないことに留意すべきである。当業者は、この実施例において鉛粉末を置き換えるために他の一般的な代替鉛材料を容易に選択できる。同じ原理は、以下の実施例のそれぞれに適用でき、スペースを節約するために繰り返すことはしない。
【0068】
その一方で、炭素電極を調製する方法は次の通りである。9:0.5:0.5の質量比において高表面積活性炭、カーボンブラック伝導剤、およびPVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。
【0069】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作されたハイブリッド酸化タングステン−炭素アノードおよび炭素カソードは、以下の通りに具体的な組立方法を用いて試験のために2電極プロトタイプバッテリーに組立てた。タングステンおよび鉛を含有する上述のハイブリッドアノードは、1.05mol/Lの硫酸に入れられ、カソードとして酸化鉛を使用し、形成を行った。形成からの1.1gの得られたハイブリッド酸化タングステン−炭素アノードを、セパレータとしてガラス繊維膜を用いて4.0gの活性炭カソードと対にして、3mol/Lの硫酸電解質を満たし、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0.2〜1.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、100mA/gの電流密度にて32mAhの容量を達成できる。
図17は、このタングステン酸バッテリーの代表的な充電/放電曲線を示し、ここでプラトー(plateu)は、鉛活性成分の動作特徴を示す。
【0070】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくタングステン−炭素スーパバッテリー(
図2C)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0071】
<実施例5: タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくスーパバッテリー>
<(1) タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードの製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記実施例2において調製される。97:1:2の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤、およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、真空下80℃で15時間乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、さらに15時間乾燥し、タングステン電極部品を形成する。炭素コーティング層は、次いで以下のように調製され、95:5の質量比において高表面積活性炭とPVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを前述のタングステン電極表面上にコーティングし、真空下60℃で24時間乾燥させて、タングステン−炭素ハイブリッド電極を形成する。
【0072】
一方、炭素電極を調製する方法は次の通りである。9:0.5:0.5の質量比において高表面積活性炭、カーボンブラック伝導剤、PVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。
【0073】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作されたハイブリッド酸化タングステン−炭素アノードおよび炭素カソードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられた.上述のハイブリッドタングステン−炭素アノード(これは1.7gの酸化タングステンおよび1.4gの活性材料)を、セパレータとしてガラス繊維膜を用いて4.4gの活性炭カソードと対にして、3mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0.2〜1.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、100mA/gの電流密度にて120mAhの容量を達成できる。
図18は、このタングステン酸バッテリーの代表的な充電/放電曲線を示す。
【0074】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくタングステン−炭素スーパバッテリー(
図2C)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0075】
<実施例6: タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくスーパバッテリー>
<(1) タングステン−炭素ハイブリッドアノードおよび炭素カソードの製作>
95:5の質量比において高表面積活性炭およびPVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ電流集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、炭素電極部品を形成する。タングステン−炭素ハイブリッドアノードは、以下の製作方法によって前述の炭素電極部品に基づいて製作される。上記実施例2に調製される酸化タングステン活性材料を用いて、97:1:2の質量比においてこの酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤、PVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、前述のカーボン電極表面上にコーティングし、60℃で24時間、真空下で乾燥し、タングステン−炭素ハイブリッド電極を形成する。
【0076】
一方、炭素電極を調製する方法は次の通りである。9:0.5:0.5の質量比において高表面積活性炭、カーボンブラック伝導剤、PVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。
【0077】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作されたハイブリッド酸化タングステン−炭素アノードおよび炭素カソードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられた。上述のハイブリッドタングステン−炭素アノード(これは3.6gの酸化タングステンおよび1.5gの活性材料)を、セパレータとしてガラス繊維膜を用いて4.2gの活性炭カソードと対にして、3mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0.2〜1.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、100mA/gの電流密度にて72mAhの容量を達成できる。
図19は、このタングステン酸バッテリーの代表的な充電/放電曲線を示す。
【0078】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくタングステン−炭素スーパバッテリー(
図2c)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0079】
< 実施例7: タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび炭素カソードに基づくスーパバッテリー>
<(1) タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび炭素カソードの製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記実施例2において調製される。95:5の質量比において、この酸化タングステンおよびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、市販の鉛−酸バッテリーアノード(Tian−Neng社の鉛−酸バッテリーアノード、1ピースあたり21グラム)の表面上にコーティングし、タングステン−鉛ハイブリッド電極を形成するために60℃で24時間、真空下で乾燥させる。
【0080】
一方、炭素電極を調製する方法は次の通りである。9:0.5:0.5の質量比において高表面積活性炭、カーボンブラック伝導剤、及び、PVDFバインダーを、均質な炭素電極スラリーを得るために撹拌および混合下、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。
【0081】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび炭素カソードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられた。上述のタングステン−炭素ハイブリッドアノード(これは5.5gの酸化タングステンおよび21gの市販の鉛を含有する)を、セパレータとしてガラス繊維膜を用いて4.1gの活性炭カソードと対にして、3mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0.2〜1.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、100mA/gの電流密度にて390mAhの容量を達成できる。
図20は、このタングステン酸バッテリーの代表的な充電/放電曲線を示す。
【0082】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステンアノードおよび同じ酸化タングステンカソードに基づくタングステン系スーパバッテリー(
図2c)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0083】
<実施例8: 酸化タングステンアノードおよび酸化タングステンカソードに基づくスーパバッテリー(対称タングステン−タングステンバッテリー)>
<(1) 酸化タングステン電極の製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記実施例2において調製される。87:5:8の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびリグニンバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量の硫酸水溶液中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。こうした電極は、タングステンスーパバッテリーのカソードおよびアノードの両方として使用できる。
【0084】
<(2) 酸化タングステンカソードに基づくタングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステンアノードおよびカソードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられた。1.5gの酸化タングステン活性材料を含有する2ピースの同一酸化タングステン電極をセパレータとしてDuPont Nafion膜を用いて対にし、3mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、0〜0.6Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、100mA/gの電流密度にて15mAhの容量を達成できる。
図21は、このタングステン酸バッテリーの代表的な充電/放電曲線を示す。
【0085】
<2. 電気化学エネルギー貯蔵および変換デバイスがタングステン系酸化鉛スーパバッテリーである場合>
本発明のスーパバッテリーの第2のタイプを
図3、
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dに示す。このタイプのスーパバッテリーは、カソード材料として酸化鉛を使用し、アノードとしてタングステン系材料、例えば純粋タングステン材料、タングステン材料および鉛の混合物、ならびにタングステン材料および炭素の混合物を使用する。このクラスのスーパバッテリーは、高い電力密度、非常に長いサイクリング寿命および顕著なエネルギー貯蔵密度を提供できる。
【0086】
図3に示されるスーパバッテリーは、タングステン材料系負極17、多孔質セパレータ18、酸化鉛正極14、カソード集電体15、アノード集電体16、および間を満たす電解質を含む。ここで、このセパレータは、種々の安定な絶縁多孔質膜、例えばガラス繊維、不織布などであってもよい。膜は、正極および負極を分離する役割を果たし、電極の調製のために必要とされる集電体は、種々の安定な電子伝導性基材、例えば炭素フェルト、チタン箔、鉛グリッドなどであってもよい。それらは、集電および導電の役割を果たす。電解質は、十分な電解質イオン濃度および高いイオン伝導性を含有する種々の水性または有機溶液であることができ、好ましい電解質は、十分な濃度のプロトン、例えば硫酸、リン酸、過塩素酸などを含有する水性電解質である。それは、プロトンを提供する役割を果たす。正極のための炭素材料は、種々の多孔質炭素であってもよく、これは活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェンまたは他の多孔質炭素源から選択できる。それは、スーパバッテリーにおいて電気二重層キャパシタンスを提供する。使用される酸化鉛電極は、既存の商業的プロセスと同様の様式にて酸化鉛活性粒子によって製作でき、または市販の鉛−酸バッテリーの既存の酸化鉛カソードを直接使用する。
【0087】
当業者は、タングステン系活性材料は、異なる方法によって合成されてもよく、次いで材料は粉末に加工処理されて電極を調製することを容易に理解できる。例として具体的な合成方法を、以下に詳細に記載する。
【0088】
本発明において、タングステン−酸化鉛系スーパバッテリーにおいてタングステン系材料を用いる一般的な方法は次の通りである。粉末形態での調製されたままのタングステン系活性材料、伝導剤、バインダー、および分散剤を利用して、均一な電極スラリーに配合し、次いで電極スラリーを集電体上に塗布して、記述したようなスーパバッテリータングステン系アノードを形成する。例として具体的な調製方法を、以下に詳細に記載する。
【0089】
図4はまた、タングステン系酸化鉛スーパバッテリーを示す。スーパバッテリー構造は、タングステン系材料と鉛系材料であるアノード材料、セパレータ、酸化鉛カソード、および電解質を含む。
【0090】
具体的には
図4Aは、スーパバッテリーにおいて負極の構造組成物を示し、ここで上方および下方部分がそれぞれタングステン系活性材料23および鉛系活性材料24であり、活性材料のそれぞれの部品の割合および位置は必要に応じて変更できる。
【0091】
負極を製造する可能性としての方法は、上述の方法に従ってタングステン含有活性材料または鉛を調製し、電極スラリーを別々に形成することである。次いで前記一方の電極スラリーは、特定の位置において第1の部分として集電体上にコーティングされ、前記他方の電極スラリーは、電極の他の部分の集電体の他の部分上にコーティングされる。スーパバッテリーを製造するための他の材料は、タングステンと鉛とを含むハイブリッド負極カソード材料20、セパレータ25、および電解質材料であり、これら他の材料は、
図3に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0092】
図4Bに示されるスーパバッテリー構造は、タングステン活性材料23および鉛活性材料24に基づくハイブリッド負極、セパレータ25、酸化鉛カソード20、および電解質を含む。ハイブリッドタングステン−鉛負極に使用される活性材料は、いずれかの割合または均質複合材料において、タングステン材料および鉛材料の混合物であることができる。ハイブリッド負極のための可能性としての製造方法は、タングステン含有活性材料および鉛材料を利用して、上述の方法に従って均一なスラリーを製造し、次いで混合材料と共に電極スラリーを集電体上にコーティングして、ハイブリッド電極構造を形成することである。カソード材料20、セパレータ25および電解質材料を含んで、ハイブリッドタングステン−鉛負極を用いたスーパバッテリーを製造するための他の材料は、
図3に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0093】
図4Cに示されるスーパバッテリー構造は、タングステン系活性材料層23および鉛系活性材料層24を変更することによって構築された負極、セパレータ25、酸化鉛カソード20および満たされた電解質を含む。
図4Cに示されるように、前記スーパバッテリーアノードは、タングステン系活性層および鉛系活性層を交互にコーティングし、またはタングステン系活性層および炭素系活性層を交互にコーティングし、または鉛系活性層および炭素系活性層を交互にコーティングし、またはタングステン系活性層、鉛系活性層および炭素系活性層を交互にコーティングすることによって構築できる。層の厚さ、層の数、および各活性層のコーティング順序は、制限なく必要に応じて調整できる。ハイブリッド負極を製造するための可能性としての方法は、タングステン含有材料または鉛材料または高表面積炭素を活性材料として利用して、上記方法に従って電極スラリーを形成し、次いでハイブリッド材料の上記電極スラリーは、集電体上に多層コーティングされて層の前述の設計順序、層の厚さと層の数に従って多層ハイブリッド電極を形成することである。カソード材料20、セパレータ25および電解質材料を含んで、ハイブリッドタングステン−鉛負極を用いたスーパバッテリーを製造するための他の材料は、
図3に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0094】
図4Dに示されるスーパバッテリー構造は、並列に接続されたタングステン系アノードおよび鉛系アノード、セパレータ、酸化鉛カソードおよび満たされた電解質を含む。
図4Dに示されるように、スーパバッテリーの負極は、並列に接続された2つの別々に形成された電極からなり、ここで一方の電極はタングステン含有材料で製造され、他方の電極は鉛材料から製造される。2つの電極の位置およびサイズは、設計要件に依存して制限なく調整できる。ハイブリッド負極のための可能性としての製造方法は、タングステン含有活性材料および鉛含有材料を利用して、上述の方法に従って別々に電極スラリーを製造することであり、次いで上記電極スラリーは、それぞれ個々の電極を形成するために集電体上に別々にコーティングされる。形成されたままのタングステン電極と鉛電極は、次いで共に接続されて、スーパバッテリーの負極を構成する。カソード材料20、セパレータ25および電解質材料を含んで、ハイブリッドタングステン−鉛負極を用いたスーパバッテリーを製造するための他の材料は、
図3に示される上述のスーパバッテリーと同じである。
【0095】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステンアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー(
図3)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0096】
まず、酸化タングステンの合成および具体的な特徴付けは以下の通りである。
【0097】
< 実施例9.酸化タングステンアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステンの調製>
タングステン酸ナトリウムを脱イオン水中に溶解させ、2重量%のタングステン酸ナトリウム溶液を形成し、次いで3mol/Lの硫酸溶液を添加して、酸濃度を1.5重量%に調整し、その後2重量%の硫酸アンモニウムを添加する。上記溶液を30分間撹拌し、均質な混合溶液を得て、この混合溶液をオートクレーブ反応器に移し、95℃で12時間加熱し、反応完了後、それを自然に冷却させ、次いで生成物を脱イオン水で洗浄し、乾燥し、電極使用のために含水六方晶系酸化タングステン活性材料を得る。
【0098】
<(2) 酸化タングステン電極の製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記方法(実施例9(1))に従って調製される。97:1:2の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステングリッド集電体上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、電極を形成する。
【0099】
<(3) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、ピースあたり31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノード(1g)は、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.5〜2.2Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、0.25Aの電流密度にて49mAhの容量を達成できる。
図22は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0100】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステンアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー(
図3)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0101】
< 実施例10: 酸化タングステンアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン電極の製作>
87:5:8の質量比において、実施例9で調製された酸化タングステン活性材料、カーボンブラック伝導剤およびリグニンバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量の硫酸水溶液中に分散させる。この電極スラリーを、鉛グリッド集電体上にコーティングし、70℃で15時間乾燥し、酸化タングステン電極を形成する。
【0102】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノード(3.8g)は、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.3〜2.15Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、0.015Aの電流密度にて198mAhの容量を達成できる。
図23は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0103】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー(
図4B)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0104】
< 実施例11: 酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極の製作>
含水酸化タングステン活性材料は実施例9において調製される。88:5:5:2の質量比において、鉛粉末、前述の酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤、およびリグニンバインダーを、均質な酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量の硫酸水溶液中に分散させ、続いて1重量%の硝酸カルシウムを添加し、混合する。この電極スラリーを、鉛グリッド集電体上にコーティングし、相対湿度98%、40℃で48時間硬化させ、60℃で12時間乾燥させて、ハイブリッドタングステン−鉛電極を形成する。ここで硝酸カルシウムは水素発生阻害剤であることに留意すべきである。具体的には、それは、炭素負極におけるプロトンの放出を妨げることができ、バッテリー炭素アノードにおける水素発生反応の過電圧を増大できる金属塩、金属イオン錯体、有機材料からの1つ以上または混合物であることができる。この実施例に加えて、他の例において使用される水素発生阻害剤は、当該技術分野においてすべて一般的な選択であるインジウムオキシド、硝酸バリウムなどである。それは、以下の文脈においては繰り返し記載しない。
【0105】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、31グラムの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノード(28g)は、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.7〜2.4Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、0.35Aの電流密度にて910mAhの容量を達成できる。
図24は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0106】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー(
図4B)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0107】
<実施例12: 酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極の製作>
含水酸化タングステン活性材料は実施例9において調製される。88:5:5:2の質量比において、鉛粉末、前述の酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびリグニンバインダーを、均質な酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量の硫酸水溶液中に分散させ、続いて3重量%の酸化インジウム(In
2O
3)を添加し、混合する。この電極スラリーを、鉛グリッド集電体上にコーティングし、相対湿度98%、40℃で48時間硬化させ、60℃で12時間乾燥させて、ハイブリッドタングステン−鉛電極を形成する。
【0108】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノード(28g)は、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.7〜2.4Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、0.35Aの電流密度にて850mAhの容量を達成できる。
図25は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0109】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー(
図4B)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0110】
<実施例13: 酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極の製作>
含水酸化タングステン活性材料は実施例9において調製される。75:20:3:2の質量比において、前述の酸化タングステン、鉛粉末、カーボンブラック伝導剤およびリグニンバインダーを、均質な酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量の硫酸水溶液中に分散させ、続いて3重量%の硝酸バリウムを添加し、混合する。この電極スラリーを、鉛グリッド集電体上にコーティングし、相対湿度98%、40℃で48時間硬化させ、60℃で12時間乾燥させて、ハイブリッドタングステン−鉛電極を形成する。
【0111】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノード(7g)は、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.7〜2.4Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、0.13Aの電流密度にて490mAhの容量を達成できる。
図26は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0112】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー(
図4C)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0113】
<実施例14: 酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極の製作>
含水酸化タングステン活性材料は実施例9において調製される。28gの質量を有する鉛−酸バッテリー鉛アノード(Tian−Neng社)を基材として使用する。95:5の質量比において、前述の酸化タングステンおよびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させ、続いて1重量%の硝酸バリウムを添加し、混合する。この電極スラリーを、鉛酸バッテリー鉛アノード(Tian−Neng社)上にコーティングし、60℃で24時間、真空下で乾燥し、タングステン−鉛ハイブリッド電極を形成する。
【0114】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノードは、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.7〜2.4Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。アノードは、28gの鉛および8gの活性酸化タングステンを含有する。バッテリーは、0.566Aの電流密度にて1260mAhの容量を達成できる。
図27は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0115】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステン系酸化鉛スーパバッテリー(
図4A)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0116】
<実施例15: 酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードおよび酸化鉛カソードに基づくタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極の製作>
鉛活性材料の半分を除去した後、鉛−酸バッテリー鉛アノード(Tian−Neng社)は、基材として使用され、これは10.1gの残りの電極活性材料を有する。含水酸化タングステン活性材料は実施例9において調製される。95:3:2の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラックおよびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させ、続いて3重量%の硝酸バリウムを添加し、混合する。この電極スラリーを、鉛−酸バッテリー鉛アノード(Tian−Neng社)の残りの部分上にコーティングし、80℃で15時間、真空下で乾燥し、続いて10秒間保持するために20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、ハイブリッドタングステン−鉛電極を形成する。
【0117】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)である。上述のハイブリッドタングステンアノードを、セパレータとしてガラス繊維膜を用いて酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たし、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.7〜2.4Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。アノードは、10.1gの鉛および4.1gの活性酸化タングステンを含有する。バッテリーは、0.315Aの電流密度にて990mAhの容量を達成できる。
図28は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0118】
<3. タングステン−炭素/タングステン−酸化鉛ハイブリッドスーパバッテリーシステム>
第3のカテゴリーのスーパバッテリーは、第1のクラスおよび第2のクラスのスーパバッテリーを一体化して、新しいタイプのハイブリッドバッテリーシステムを形成した。先の2つのタイプのスーパバッテリーに比べて、これらのスーパバッテリーは、最適化性能としての高電力、高エネルギー密度および長いサイクル寿命を提供することができる。
【0119】
本発明における第3のカテゴリーのスーパバッテリーを
図5に示すが、これは炭素材料系カソードに基づく群の第1のクラスのスーパバッテリー(例えば
図1または
図2A〜Dに示される種々のスーパバッテリー)および酸化鉛正極に基づく別の群の第2のクラスのスーパバッテリー(例えば、
図3または
図4A〜Dに示される種々のバッテリー)を含有する。前記第3のカテゴリーのスーパの内側の各セルが直列様式で接続され、各ユニットセルが上述の方法によって製造できる。
図3、
図4A、
図4Bおよび
図4Cならびに
図4Dに示される上述のスーパバッテリーを使用することに加えて、正の酸化鉛に基づく第2の群のスーパバッテリーに関して、市販の鉛−酸バッテリー(酸化鉛カソードおよび鉛アノードに基づく)、ニッケル水素バッテリー、ニッケル−カドミウムバッテリー、リチウムイオンバッテリー、リチウム−硫黄バッテリー、亜鉛空気バッテリーまたはリチウム−空気バッテリーも使用できる。直列様式で内部接続された2つのセットのスーパバッテリーは、並列様式で外部カップリングされて、
図5に記載される第3のカテゴリーのスーパバッテリーを形成する。ここで、スーパバッテリー電圧は、各群に使用されるシングルセルの数を調節することによって平衡化できる。例えば、
図1に示される上述のスーパバッテリーのユニットセル電圧は、1.55Vであり、市販の鉛−酸バッテリーは、2.3Vのセル電圧を有し、この場合、直列に接続された第1の群の3つのセルは、直列に接続された第2の群の2つのセルと同じ電圧を達成できる。並列に接続されたこれら2つの群のセルによって形成されたスーパバッテリーは、4.6Vの電圧を有するスーパバッテリーの前記第3のカテゴリーを達成できる。同様に、異なる電圧を有する第3のカテゴリーのスーパバッテリーは、各ユニットセルの数を変更することによって達成できる。
【0120】
本発明の実施形態を如何にして実施するかをさらに例示するために、以下の実施例において、タングステン−炭素/タングステン−酸化鉛ハイブリッドスーパバッテリー(
図5)の調製方法および性能を詳細に記載する。
【0121】
< 実施例16: ハイブリッドタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステンの調製>
タングステン酸アンモニウムを脱イオン水中に溶解させ、5重量%のタングステン酸アンモニウム溶液を形成し、次いで3mol/Lの硫酸溶液を添加して、酸濃度を1.5重量%に調整し、その後1重量%の硫酸アンモニウムを添加する。上記溶液を30分間撹拌し、均質な混合溶液を得て、この混合溶液をオートクレーブ反応器に移し、90℃で12時間加熱し、反応完了後、それを自然に冷却させ、次いで生成物を脱イオン水で洗浄し、乾燥し、電極使用のために含水六方晶系酸化タングステン活性材料を得る。
【0122】
<(2) 酸化タングステン電極の製作>
97:1:2の質量比において、上記方法(実施例16(1))に従って調製された使用される酸化タングステン活性材料、カーボンブラック伝導剤およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、タングステンメッシュ集電体上にコーティングし、80℃で2時間、真空下で乾燥し、ピースあたり1.5gの質量を有する電極を形成する。
【0123】
<(3) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、ピースあたり31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノードは、並列に接続させた10ピースのアノードおよび6ピースのカソードを用いて、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.3〜2.25Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。ハイブリッドスーパバッテリーアノードは、15gの酸化タングステン活性材料を含有し、1Aの電流密度にて780mAhの容量を達成できる。
図29は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0124】
<実施例17: ハイブリッドタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン電極の製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記方法の実施例16に従って調製される。93:5:2の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、鉛グリッド集電体上にコーティングし、80℃で15時間乾燥し、続いて10秒間の保持の間、20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、5.7gの質量を有する電極を形成する。
【0125】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、1ピースあたり31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)であり、上述のハイブリッドタングステンアノードは、並列に接続させた3ピースのアノードおよび4ピースのカソードを用いて、セパレータとしてガラス繊維膜を用いてこうした酸化鉛カソードと対にして、6mol/Lの硫酸電解質を満たして、タングステン酸シングルセルスーパバッテリーをPVC浴容器において組立てる。このプロトタイプバッテリーを、1.3〜2.25Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。ハイブリッドスーパバッテリーアノードは、17gの酸化タングステン活性材料を含有し、1Aの電流密度にて1090mAhの容量を達成できる。
図30は、このタングステン酸バッテリーの安定性の充電/放電曲線を示す。
【0126】
<実施例18: ハイブリッドタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン電極の製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記方法の実施例16に従って調製される。93:5:2の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、鉛グリッド集電体上にコーティングし、80℃で15時間乾燥し、続いて10秒間の保持の間、20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、1.5gの質量を有する単一電極を形成する。
【0127】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、1ピースあたり31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)である。まず、1つのピースの上述のハイブリッドタングステン−アノードを、分離するためのガラス繊維を用いて酸化鉛カソード(Tian−Neng社)と対にし、こうしたユニットセルの4つを直列に接続して、タングステンバッテリー部品を形成する。3つの鉛酸バッテリー(いずれも、Tian−Neng社)を直列に接続し、鉛−酸バッテリー部品を形成する。タングステンバッテリー部品および鉛−酸バッテリー部品は、次いで並列に外部接続され、6mol/L硫酸電解質を満たして、PVC浴容器においてハイブリッドタングステン酸スーパバッテリーを組立てる。このプロトタイプバッテリーを、5.5〜7.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、825mAの小電流にて50%の充電状態まで放電し、次いで高割合の部分充電状態(HRPSoC)動作条件に供する。スーパバッテリーは、60秒間1390mAの電流にて充電し、10秒間保持した後、それを60秒間1390mAの電流にて充電する。充電/放電サイクルのカットオフ電圧はそれぞれ8.49Vおよび5.10Vである。このプロセスにおいて、電圧は徐々に変化し、電極抵抗は安定である。
図31aは、ハイブリッドタングステン酸バッテリーのサイクリング曲線を示す。
図31bは、15530回の後の充電/放電曲線を示す。
【0128】
<実施例19: ハイブリッドタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン電極の製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記方法の実施例16に従って調製される。93:5:2の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させる。この電極スラリーを、ブランク鉛グリッド集電体上にコーティングし、80℃で15時間乾燥し、続いて10秒の保持の間20トンの圧力にてプレスし、15時間さらに乾燥し、4gの質量を有する単一電極を形成する。
【0129】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッドアノードは、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、1ピースあたり31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)である。まず、1つのピースの上述のハイブリッドタングステン−アノードを、分離するためのガラス繊維を用いて酸化鉛カソード(Tian−Neng社)と対にし、こうしたユニットセルの3つを直列に接続して、タングステンバッテリー部品を形成する。3つの鉛酸バッテリー(Tian−Neng社)を直列に接続し、鉛−酸バッテリー部品を形成する。タングステンバッテリー部品および鉛−酸バッテリー部品は、次いで並列に外部接続され、6mol/L硫酸電解質を満たして、PVC浴容器においてハイブリッドタングステン酸スーパバッテリーを組立てる。このプロトタイプバッテリーを、5〜7Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、825mAの小電流にて50%の充電状態まで放電し、次いでHRPSoC動作条件に供する。スーパバッテリーは、60秒間1390mAの電流にて充電し、10秒間保持した後、それを60秒間1390mAの電流にて充電する。充電/放電サイクルのカットオフ電圧はそれぞれ8.49Vおよび5.10Vである。このプロセスにおいて、電圧は徐々に変化し、電極抵抗は安定である。
図32aは、ハイブリッドタングステン酸バッテリーのサイクリング曲線を示す。
図32bは、10770回の後の充電/放電曲線を示す。
【0130】
<実施例20: ハイブリッドタングステンスーパバッテリー>
<(1) 酸化タングステン電極の製作>
使用される酸化タングステン活性材料は、上記方法の実施例16に従って調製される。93:5:2の質量比において、この酸化タングステン、カーボンブラック伝導剤およびPVDFバインダーを、均質な酸化タングステン電極スラリーを得るために撹拌および混合下で、適切な量のNMP溶媒中に分散させ、続いて3重量%の硝酸バリウムを添加し、混合する。この電極スラリーを、鉛−酸バッテリー(Tian−Neng社)のアノード上にコーティングし、60℃で24時間乾燥させ、8.5gのタングステン活性材料質量を有する単一電極を形成する。
【0131】
<(2) タングステンスーパバッテリーの製作>
製作された酸化タングステン−鉛ハイブリッド電極(アノード)は、試験のために2電極プロトタイプバッテリーに、以下のような特定の組立方法により組立てられる。酸化鉛カソードは、ピースあたり31gの質量を有する鉛−酸バッテリーカソード(Tian−Neng社)である。まず、1つのピースの上述のハイブリッドタングステン−アノードを、分離するためのガラス繊維を用いて酸化鉛カソードと対にし、こうしたユニットセルの3つを直列に接続して、タングステンバッテリー部品を形成する。3つの鉛酸バッテリー(いずれも、Tian−Neng社)を直列に接続し、鉛−酸バッテリー部品を形成する。タングステンバッテリー部品および鉛−酸バッテリー部品は、次いで並列に外部接続され、6mol/L硫酸電解質を満たして、PVC浴容器においてハイブリッドタングステン酸スーパバッテリーを組立てる。このプロトタイプバッテリーを、5.5〜7.5Vの電圧範囲において異なる電流密度にて充電/放電試験に供することができる。バッテリーは、825mAの小電流にて50%の充電状態まで放電し、次いでHRPSoC動作条件に供する。スーパバッテリーは、60秒間1390mAの電流にて充電し、10秒間保持した後、それを60秒間1390mAの電流にて充電する。充電/放電サイクルのカットオフ電圧はそれぞれ8.49Vおよび5.10Vである。このプロセスにおいて、電圧は徐々に変化し、電極抵抗は安定である。
図33aは、ハイブリッドタングステン酸バッテリーのサイクリング曲線を示す。
図33bは、5067回後の充電/放電曲線を示す。
【0132】
本発明の実施形態は、容易に達成でき、本発明に対するいかなる制限形態にも供されないことに留意すべきである。当業者は、有効な均等実施形態を実現するために、上記で明らかになった技術的内容を変化させてもよく、または変更してもよい。しかし、本発明に関連するもの、または本発明の技術的内容に基づくいずれかの改訂、または均等な変化または変更は、本発明の範囲内であると考えられる。