(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記掴み具(20、21、22)は、舌状の可撓性のあるジョイント(26、27、28)を軸方向に延長することによって前記管状体(10)にちょうつがい式に取り付けられる、
請求項1または2に記載の内視鏡バイオプシー装置。
【背景技術】
【0002】
通常、胃腸(GI)の内視鏡検査を行う際には、組織検体を同時に採取することが望まれている。これは、組織検体を採取するために、GI内視鏡の器具通路に内視鏡バイオプシー器具を進めることによって実現されてもよい。それを可能にするためには、内視鏡バイオプシー器具は、長く細い器具通路を通る寸法および遠隔操作性に関して、極めて厳格な条件を満たさなければならない。器具通路は、通常、2〜4mmの間、あるいは極薄の内視鏡においては1〜2mmの間でさえある。同時に、典型的なGI内視鏡は、1〜2mまたはそれ以上の長さを有している。また、操作時には、GI内視鏡そして器具通路に挿入されている内視鏡バイオプシー器具は、検査部位にたどり着いて検体を採取するため、胃腸管を通り、長く曲がりくねった経路に沿って進まなければならない。内視鏡バイオプシー器具は、したがって、延長し可撓性のある軸の遠位端に位置する、組織検体を採取するための機能素子を有する。機能素子および延長し可撓性のある軸の遠位部分は、器具通路に挿入され沿って進むように、特定の寸法に合わせて作られ、構成されている。機能素子は、内視鏡の外部(したがって患者の外部)に延長する、延長し可撓性のある軸の近位端に位置する操作制御の手段により遠隔操作可能であり、操作制御は、延長し可撓性のある軸を通して機能素子と自動的に通じるものである。一般的に、操作制御は、内視鏡バイオプシー器具の近位端における操作つまみと一体化している。機能素子は、体腔から組織検体を採取するための、より具体的には、GI管の内部から組織検体を採取するためのバイオプシー装置である。
【0003】
一般的なバイオプシー器具の問題は、組織検体を回収するため、各バイオプシーの後に、それらを器具通路から取り出さなければならないことである。これは、同一の部位および/または異なる部位からいくつかの組織検体を確保しなければならない場合において、時間のかかる方法となってしまう。実際には、これは、所定の内視鏡検査期間の間に患者から採取できる組織検体の数を制限するものでもあり、十分な数の組織検体を取得するために複数の期間を必要とする場合がある。さらに、検査は、同一の位置付近で複数の組織検体が収集されることを必要とする場合がある。検体を採取する毎にバイオプシー器具を取り出さなければならない場合、各組織検体の、また異なる組織検体の互いに対する、精密な制御や正確な位置のマッピングが困難になる可能性がある。
【0004】
この問題の解決は、検体間で身体から器具を取り出す必要のない複数の組織検体の収集に適合される、複数の検体バイオプシーのための内視鏡器具によって取り組まれる。国際公開第95/008945号は、内視鏡から取り出すことなく複数の組織検体一連を取得するための内視鏡器具を開示している。同器具は、組織検体を確保するよう操作可能な掴み具を有している。一の態様において、同器具は、組織検体一連を蓄積するように構成された針型のレトラクタを有している。レトラクタは、検体を抜き取るため、新しく確保された検体を貫通するよう操作される。しかし、事前に収集された検体が新しい検体を圧迫するため、抜き取りの確実性に影響を及ぼしてしまう。
【0005】
細い器具通路での使用が意図される、そのような内視鏡バイオプシー器具のさらなる問題は、特に内視鏡が曲がりくねった経路に沿って体腔に挿入された場合に、信頼度の高い遠隔操作を得ることである。さらに、厳しい空間的制約が、機能素子に操作制御力を伝達するための複数のワイヤおよび/または可撓性のある押し棒を必要とする可能性がある、より高度/複雑な機能性の実行を非常に困難にしている。
【0006】
本発明の目的は、先行技術の問題の克服、改善または少なくとも代替物を提供する、複数の組織検体を確保および収集するための内視鏡バイオプシー装置/器具を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
一の態様によると、本発明は、複数の組織検体を収集するための内視鏡バイオプシー装置に関するものであって、内視鏡バイオプシー装置は、
−軸方向に遠位端と近位端とを有する管状体と、
−管状体の遠位端に取り付けられた掴み具であって、掴み具は組織検体を確保するために、開いた位置と閉じた位置との間で互いに対して可動であって、閉じた位置にある掴み具は検体採取室の境界を定める掴み具と、
−複数の組織検体を受け取るための収集室であって、管状体の内部で検体採取室と隣り合った近位方向に位置する収集室と、
−確保された組織検体を突き刺すための、軸方向に延長する収集部材であって、収集室に後退させた位置と収集部材が検体採取室を通り抜け開いた位置との間で、軸方向に変位可能である収集部材と、
−噛み合った位置と噛み合いを解いた位置との間で可動であるリテーニング要素であって、収集部材を通過/通り抜けさせつつ、リテーニング要素を通り抜けて突き刺された検体が移動することを防ぐよう、噛み合った位置におけるリテーニング要素が検体採取室と収集室とを互いから分離し、噛み合いを解いた位置にあるリテーニング要素が突き刺された組織検体が収集室の中へ、また収集室から外へ移動するための経路を提供するリテーニング要素と、
を有する。
【0008】
作動とは、動作を制御するためにリテーニング要素に接続される牽引ワイヤまたはリンク仕掛け等の、動かされるリテーニング要素に結合される手段を通して遠隔制御される動作のことを指し、リテーニング要素の作動動作および非作動動作の両方が着想され得る。
【0009】
好ましい態様によると、本発明は、複数の組織検体を収集するための内視鏡バイオプシー装置に関するものであって、内視鏡バイオプシー装置は、
−軸方向に遠位端と近位端とを有する管状体と、
−管状体の遠位端に取り付けられた掴み具であって、掴み具は組織検体を確保するために、開いた位置と閉じた位置との間で互いに対して可動であって、閉じた位置にある掴み具は検体採取室の境界を定める掴み具と、
−複数の組織検体を受け取るための収集室であって、収集室は、管状体の内部で検体採取室と隣り合った近位方向に位置する収集室と、
−確保された組織検体を突き刺すための、軸方向に延長する収集部材であって、収集室に後退させた位置と収集部材が検体採取室を通り抜ける展開した位置との間で、軸方向に変位可能である収集部材と、
を有し、
掴み具は、掴み具の近位部分に半径方向内向きに突出するよう配置されるリテーニング要素を有し、リテーニング要素は、掴み具が閉じた位置にある際に、検体採取室と収集室と互いから分離するために噛み合い、リテーニング要素は、掴み具が開いた位置にある際に、突き刺された組織検体が収集室の中へ、また収集室から外へ移動するための経路を提供するために噛み合いを解く。
【0010】
本発明の文脈において、「検体」と言う用語は「組織検体」を指す。内視鏡バイオプシー装置、またしたがって内視鏡バイオプシー装置を備える内視鏡バイオプシー器具は、長手方向軸を有する。内視鏡に挿入された際、内視鏡装置/器具の長手方向軸は、内視鏡の器具通路の長手方向軸に平行である。使用時における内視鏡は、湾曲した経路に沿って進まなければならないため、「平行」という用語は、特定の箇所/部分にて判断される際に理解されるものであり、すなわち、内視鏡装置/器具の長手方向軸は、実質上、内視鏡の長手方向軸に沿って進む。内視鏡または器具通路の遠位端インターフェイスを越えて、それぞれの長手方向軸は、遠位端インターフェイスの先端における長手方向軸の接線により外挿されてもよい。「近位」および「遠位」という用語は、内視鏡器具の操作者の視点に対して定義されるものであり、すなわち「近位」とは操作/制御側の端を指し、一方で「遠位」とは機能する側の端を指す。軸方向は長手方向軸に平行であって、遠位方向は遠位端に向いた軸方向であり、近位方向は近位端を向いた軸方向である。「半径方向」および「横方向」という用語も、所定の箇所/部分にて判断されるものであり、その所定の箇所/部分の軸方向に垂直な構成要素を持つ方向を指す。
【0011】
管状体は中空であり、軸方向に延長するのが好ましい。管状体は、したがって、内視鏡バイオプシー装置のためのフレームおよび/または筐体の境界を定めるものであり、内腔を含んでいる。好ましくは、管状体は、横方向の横断面から見た場合に円形の断面を持つ。さらに好ましくは、内腔は、横方向の横断面から見た場合に円形の断面を持つ。しかし、外面および/または内腔の横方向の外郭断面の少なくとも一部分は、楕円、多角形またはその組み合わせ等の他の形状に沿うものとも着想されてもよい。内視鏡バイオプシーに適するために、内視鏡の器具通路を通過するよう、装置は特定の寸法に合わせて作成されなければならない。そのため、管状体の横方向の寸法は、内視鏡の器具通路を通って内視鏡バイオプシー装置を通過させるため、器具通路の横方向の寸法を越えない。一般的には、管状体は、比較的硬い素材で作成される。この場合、所定の内視鏡適用のための内視鏡バイオプシー装置を構成するために、以下の構造に関する要件が適用される。装置の軸方向の寸法は、所与の適用の内視鏡検査、ここでは特にGI管の内視鏡検査の間に起こる一般的な湾曲付近において装置が器具通路を通り抜けられるという条件によって制限される。許容される横方向の寸法および許容される管状体の長さは、所定の内視鏡の器具通路の構造および湾曲した際の最小半径に応じて構成されてもよい。当業者は、したがって、あらかじめ特定された管腔の寸法および所定の/特定された内視鏡の器具通路の湾曲した際の最小半径に応じて管状体の横方向の寸法の絶対値および管状体の横方向および縦方向の寸法のアスペクト比を適合させるように指示される。器具通路の内壁と内視鏡バイオプシー装置の外壁との間の横方向の隙間全体の一般的な値は、数十ミリメートルであり、内視鏡バイオプシー装置の長さの一般的な値は、数センチメートルであり、管状体の寸法はこれらの制約の内に適さなければならない。有利な実施形態によると、管状体は、その軸方向延長部に硬い部分と可撓性のある部分を有してもよい。硬い部分の形状は、実質的に、器具通路の湾曲した形状に沿って進むために変化しないので、上記の構造に関する要件を満たさなければならない。上記の通り、硬い部分は、バイオプシー装置の機構のためのフレームおよび/または筐体を提供している。可撓性のある部分は、内視鏡のいずれの湾曲にも沿って進むために、弾性的に変形するよう構成される。そのため、可撓性のある部分の長さは、上記の構造に関する要件によって制限されない。硬い部分および可撓性のある部分を提供することで、内視鏡適用において所定の構成の適用性に影響することなく、管状体の長さの増加、したがって体積を増加が実現されてもよい。この実施形態のさらなる発展において、管状体は、硬い部分と可撓性のある部分を交互に配置して、および/または、一連の硬い部分を、関節のあるジョイントで曲げやすく連結して構成されてもよい。また、硬い部分は、上記の構造に関する要件を満たさなければならない。管状体の拡大された体積は、例えば、管状体の内腔が収集室を有する際に、望ましいものであり、それによって、複数の組織検体を保有する装置の容量を増加する。有利な実施形態において、管状体の遠位端は、硬い部分によって作られ、隣り合う可撓性のある部分は、硬い部分の近位側に配置され、硬い部分の遠位側は、内視鏡装置の掴み具を保持する。
【0012】
掴み具は、検体を確保するため、開いた位置と閉じた位置との間で操作可能である。一般的に、特定の関心部位、内視鏡を通した目視点検により識別される。そして、バイオプシー装置は、関心部位へ内視鏡の器具通路を通して進められ、バイオプシー装置は、内視鏡の遠位端の器具通路から、少なくとも部分的に突出する。バイオプシー装置は、点検/検査する内腔に内視鏡を入れるより前に、または内視鏡が入れられた後に、内視鏡に導入されてもよい。好ましくは、可能であれば、バイオプシー装置は、視覚的に沿って進み、監視し、捕獲し、および/または、検体採取プロセスを記録するために、内視鏡の視界の内に保持される。
【0013】
検体を確保するために、掴み具は開かれ、採取される組織に向けて進められ、そして既知の方法で組織の検体を切断するため閉じられる。しかし、有利なことに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、腸壁の破損を避けるため、GI内視鏡手順において、検体を取得するための切断動作は行われない。この実施形態において、掴み具のへりはとがっていないことが好ましく、閉じた位置において、0.2mmより小さい、好ましくは0.1mmより小さいわずかな隙間を開けて接触することが好ましい。この実施形態を用いて検体を確保するために、掴み具は開かれ、採取される組織へ進められ、そして組織をしっかりつかむために閉じられる。そしてバイオプシー装置は、組織検体をもぎ取るために、素早い動作で後退させられる。いずれにしても、確保された検体は、閉じた位置にある掴み具により境界を定められる検体採取室に囲い込まれる。検体採取室の境界を定めるため、掴み具が閉じた際に内視鏡バイオプシー装置の遠位端に内腔を形成するよう、少なくとも1つ、好ましくはすべての掴み具が、内側にくぼんでいることが好ましい。
【0014】
内視鏡バイオプシー装置は、少なくとも2つの掴み具を有している。好ましい実施形態において、少なくとも2つの掴み具が、管状体の遠位端に可動に取り付けられており、組織検体を採取するために互いに協働するよう適合されている。あるいはまた、少なくとも第1の掴み具が、管状体に対して固定、例えば管状体の遠位に突出した部分であってもよく、少なくとも第2の掴み具が管状体の遠位端に可動に取り付けられており、組織検体を採取するために第1の掴み具と協働するよう適合される。
【0015】
検体採取室の近位側に隣り合って、収集室が設けられる。収集室は、検体採取室から近位方向へ管状体の内腔に延長する。収集室は、軸方向に積み重ねられた複数の組織検体を受け取るよう適合される。一般的に、収集室は軸方向に延長し、一般的に内視鏡バイオプシー装置の遠位端の連結装置部まで管状体の大部分を通して拡大する。連結装置部は、内視鏡バイオプシー装置を内視鏡バイオプシー器具の軸の遠位端に接続するよう適合される。連結装置部は、軸の近位端に配置される操作制御に通じるための、内視鏡バイオプシー器具を軸に確保するための、また装置機能と軸電動を相互に連結するための適した手段を有する。一般的に、連結装置は固定される。しかし、着脱可能な連結装置を有する実施形態も着想されてもよい。
【0016】
収集室は、後退させた位置と展開した位置との間で、軸方向に拡張し、軸方向に沿って変位可能である。後退した位置にある収集部材が、収集室の中に位置しているのに対し、展開する位置にある収集部材は、検体採取室に突出する、または検体採取室を通り抜ける。一の実施形態において、展開する位置にあってもよい収集部材は、掴み具における、または掴み具の間の隙間/裂け目/開口を通り、内視鏡バイオプシー器具の遠位端を越えて突出する。後退位置とは、主に、収集室への組織検体の格納を意図するものである。展開の位置とは、主に、新しく確保された組織検体を検体採取室から抜き取るステップを意図するものである。収集部材は、収集された組織検体を突き刺すように、またこれらの検体を内視鏡装置の中に格納するために構成される。
【0017】
また、いくつかの手順において、収集部材は、組織を採取する特定の位置に、内視鏡バイオプシー装置を固定するために用いられてもよい。その端に向かって、内視鏡装置は、採取する位置に進められ、収集部材は、採取する組織を貫通するように、さらに遠位な位置に向かって展開される。続いて、掴み具は、その特定の位置から組織検体を確保するために操作される。
【0018】
収集部材は、遠位方向を向いた自由端を有する。自由端は、組織検体を貫通させるための、とがらせた/鋭利にされた先端を有している。収集部材は、操作中に、近位端で収集部材の変位/移動を制御させる方法で、補助される。好ましくは、収集部材は、軸方向に沿った直線状の並進動作で前後に変位させられる。しかし、収集部材を展開および後退させるための他の動作も着想されてもよい。例えば、軸方向の動作に、長手方向軸周辺での回転動作が追加されてもよく、それによって、軸方向のらせん状のひねり運動を得ることとなる。掴み具を操作して新しい組織検体が検体採取室に確保されると、掴み具は閉じた位置に保たれ、収集部材は、遠位方向へ、組織検体を通って検体採取室の中に展開され、それの結果、組織検体を突き刺す。突き刺された検体は、収集部材を後退させることによって、格納するために収集室に移動される。
【0019】
リテーニング要素は、検体採取室の近位端、また収集室の遠位端に配置される。リテーニング要素は、噛み合った位置と噛み合いを解いた位置との間で可動である。噛み合いを解いた位置において、リテーニング要素は、突き刺された組織検体が収集室の中へ、また収集室から外へ移動するための経路を提供する。そのため、リテーニング要素が噛み合いを解いた位置にある状態で、検体採取室と収集室との間での突き刺された組織検体の移動は行われる。噛み合った位置において、リテーニング要素は、収集部材の変位の経路の周辺で噛み合っており、噛み合ったリテーニング要素は、収集部材が展開または後退することができるように、収集部材が通過するための開口を残している。しかし、噛み合ったリテーニング要素の間の開口は、収集部材に保持された組織検体の経路とはならない。収集部材を噛み合ったリテーニング要素を通過して検体採取室へ展開させるとき、既に突き刺された検体は、したがって、リテーニング要素の近位側に押しつけられ、それにより、収集室に保持され、収集部材の近位端に向けて移動する。別々の検体採取室と収集室との境界を定めるリテーニング要素を設けることにより、組織検体を取得する処理は、組織検体の保管からは切り離される。また、他の構造と比べて、収集した組織検体を近位端へ動かすために収集部材を変位させることや新しい組織検体を確保するために収集部材の先端を空ける必要性が減るので、検体採取室の近位端のリテーニング要素の位置は有益である。この内視鏡バイオプシー装置を用いて、複数の組織検体は、検体採取室を通して1つ1つ収集室に流し込まれる。
【0020】
組織検体を確保するための掴み具を操作するより前に収集部材を展開することで、採取される組織に内視鏡バイオプシー装置を固定する手順を行うときに、リテーニング要素のさらなる利点は実現される。以前に収集されたいずれの検体も、上記のとおりに近位端に向けて移動させることで、収集部材の先端がいずれの組織検体からも解放され、したがって、採取される組織の次の位置に内視鏡装置を固定するために、再び自由に利用することができる。
【0021】
上記の好ましい実施形態によると、リテーニング要素は掴み具の近位部分に配置される。リテーニング要素は掴み具の内部から半径方向内向きに突出する。リテーニング要素は、掴み具が閉じた位置にある際に噛み合い、それによって、検体採取室の近位端と収集室の遠位端の境界を定める。リテーニング要素は、突き刺された組織検体が収集室へ、また収集室から移動するための経路を提供するように、掴み具が開いた位置にある際に、噛み合いを解く。そのため、掴み具が開いた位置にある状態で、突き刺された組織検体の検体採取室と収集室との間での移動は行われる。
【0022】
上記のとおり、リテーニング要素の作動動作および非作動動作の両方が着想し得るものである。非作動リテーニング要素を有する一の実施形態によると、リテーニング要素はばねで留められており、リテーニング要素に遠位方向に適用される軸方向の力によって、リテーニング要素の噛み合いが解けるのを防止するリミットストップに対抗して噛み合った位置へ付勢されるのに対し、リテーニング要素に近位方向に適用される軸方向の力をかけることよってリテーニング要素が噛み合った位置から噛み合いを解いた位置に可動である。それによって、確保された検体の検体採取室から収集室への不定方向移動を許容する、リテーニング要素の「逆止弁」機能が実現される。確保された検体は、収集部材を展開させることによって突き刺される。収集部材を後退させる際、突き刺された検体は、リテーニング要素に対して近位方向に押しつけられ、それにより、突き刺された検体を検体採取室から収集室へ近位方向に移動可能とするために、リテーニング要素の噛み合いを解く。突き刺された検体が収集室に入ると、リテーニング要素は噛み合った位置に戻り、収集された検体が、収集室から再び出てしまうことを防ぐ逆止弁または簗のような働きをする。新しく確保された検体を突き刺すために、収集部材が再び展開されると、以前に収集された検体は、リテーニング要素をリミットストップに対抗して遠位方向に押す。例えば一の実施形態において、リテーニング要素は、管状体にちょうつがい式に取り付けられる、また、それらが半径方向内向きに突出する噛み合った位置へのリミットストップに対抗して付勢されるばねの手段により取り付けられる垂れ蓋であってもよい。リミットストップは、垂れ蓋が遠位方向に開いてしまうことを防ぐのに対し、垂れ蓋がばねの付勢に対抗して近位方向に開いても(噛み合いが解かれても)よい。複数の検体バイオプシー処理が終了した後、収集された組織検体は、収集室から回収されなければならない。開いた掴み具を通した、遠位方向において収集された組織検体の回収は、リテーニング要素の噛み合いを解いて、収集された組織検体を収集室の外に移動させるように、例えば、適切な道具を用いるなどして、リテーニング要素に近位方向への外部の力をかけることで実現されてもよい。非作動リテーニング要素を有するこの実施形態により、流し込む機能は、装置の複雑性を著しく増加させることなく、特に装置制御の複雑性を増加せずに実現される。他の実施形態によると、リテーニング要素は、例えば、専用の牽引ワイヤおよび/または押し棒によって作動させられる、またはリンク仕掛けの手段によって掴み具の作動に連結されてもよい。上記の好ましい実施形態において、リテーニング要素は掴み具に固定され、したがって、リテーニング要素の操作は、掴み具の操作に直接連結される。それによって、作動させられるリテーニング要素を有する実施形態は、内視鏡バイオプシー装置で必要となる作動/制御の複雑性を増加させることなく、実現される。
【0023】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、リテーニング要素は、横方向に方向づけられた仕切りとして形成される。好ましくは、各掴み具は、軸方向に対して横方向の平面に配置される分離壁を有し、分離壁は、収集部材の変位の経路の周囲に固定され、収集部材が通過するための中央開口または細孔を残しつつ、検体採取室と収集室との間に仕切り壁を形成するために協働する。しかし、設けられたリテーニング要素が、掴み具が閉じた位置にある際に噛み合い、掴み具が開いた位置にある際にかみ合いを解かれるのであれば、複数の掴み具の内の1つ/いくつかにのみ設けられる、内向きに突出する要素によって仕切りが形成されると着想されてもよい。
【0024】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、掴み具は管状体に、滑車関節によってちょうつがい式に取り付けられる。好ましくは、すべての掴み具は、掴み具の対称的な操作のために、管状体にちょうつがい式に取り付けられる。複数のちょうつがい式に取り付けられる掴み具が、着想可能である。しかし、構成の単純性のために、滑車関節を有する実施形態は一般的に、2回対称である対照的に動作する掴み具2つを有する。
【0025】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、掴み具は、軸方向に延長する舌状で可撓性のあるジョイントによって、管状体にちょうつがい式に取り付けられる。この実施形態においてはまた、複数の掴み具を有する実施形態が着想可能である。ちょうつがいおよび掴み具さえも、管状体を遠位端から軸方向に部分的にカットすることによって、管状体も形成する同じ管状体片から生成されてもよい点において実施形態は有利であり、それによって、軸方向に延びる切込みにより、互いから分離された、軸方向に延長する舌状で可撓性のあるジョイントを取得する。ジョイントの可撓性は、例えば、舌の幅を調整することによって制御されてもよい。ジョイントの可撓性は、壁の厚さを調整すること、例えば舌の領域において、管状体の壁を被制御減厚することによって、さらに制御されてもよい。この実施形態は、掴み具の組み立てにおける部品の数を減少させ、それにより、特に1つの操作制御を用いた同時作動のために結び付けられる、3つまたは4つの掴み具などの多数の掴み具を有する実施形態において構成を簡素化する。好ましくは、掴み具は、実質的に対称的に操作されるために配置される。
【0026】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、可撓性のあるジョイントは、外方向に付勢されたばねである。それによって、掴み具を閉じる場合にのみ、例えば、外側スリーブを掴み具の上に摺動させるなどの作動が必要になる簡素化された機構が実現され、スリーブの内径は、閉じた位置にある掴み具の外径に対応する。掴み具は、その付勢によって、掴み具が開いた位置まで自由に広がることができるよう、スリーブを近位部分へ軸方向に摺動することによって開かれる。掴み具は、スリーブを反対方向の遠位端に向けて摺動することによって閉じられ、それによって、閉じた位置へ、付勢に対抗して掴み具を閉じ込めるようにする。この実施形態においてまた、上記のとおりに検体採取室を収集室から分離する、内方向に突出したリテーニング要素が、掴み具に備えられる。
【0027】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、掴み具の協働するへりは、とがっていない。へりは、例えば、協働する掴み具の周辺の壁の比率に応じて、面取りをしたり、角をそいだり、および/またはへりを丸めることによって鈍くされてもよい。それによって、採取されるべきではない、下にある組織の損傷を避けることができる。
【0028】
先の請求項のいずれかによる内視鏡バイオプシー装置は、協働するへりに沿った掴み具に、鋸歯、歯状突起および/または波状の輪郭が設けられる。それにより、協働する掴み具の掴む機能が向上する。好ましくは、採取されるべきではない、下にある組織の損傷を避けるのと同時に、掴む動作が向上するように、鋸歯、歯状突起および/または波状の輪郭のへりおよび/またはつくりは、輪郭の比率に応じて丸められる。
【0029】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、収集部材は針であり、針先は遠位方向を向いている。収集部材は、遠位端が尖らされた/鋭利にされた先端で終わる棒部を持つ大釘/槍/串/針状の要素として形作られるのが好ましい。針型の要素において、収集部材が遠位方向へさらに進められることによって、検体は尖らされた先端により貫通され、棒部へさらに押しつけられ、そして組織検体は棒部によって保持される。
【0030】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、収集部材は、軸方向に摺動する案内桿に着脱可能に結合されており、案内桿は、管状体に対して近位に配置される。収集部材は、収集した検体の簡単な回収を促進するために、着脱可能であることが好ましい。収集部材は、例えば、開いた位置にある掴み具を通して内視鏡バイオプシー装置から外され取り出されてもよい。組織検体は、将来の病理学分析のため試験所へ発送/転送するために、収集部材からからすぐに回収され、インデックスを付けられ、パッケージングされてもよい。あるいは、収集された検体を自身に有している収集部材全体が、パッケージング/ラベリングされ、また試験所へ転送されてもよく、内視鏡バイオプシー装置において、使用済みのものを新しい収集部材に交換してもよい。取付け位置において、収集部材の先端は、遠位方向を向いている。収集部材の近位端は、例えば、摺動ブッシュにおいて、軸方向に摺動してもよい案内桿に取り付けられ支持される。着脱可能な連結装置は、例えば、糸でつながれた接続、スナップ留めの噛み合わせ、または好ましくは、ばねクリップ留めの接続でもよい。案内桿は、例えば、摺動ブッシュにおいて、軸方向に摺動してもよい。収集部材は、案内桿を軸方向に遠位端へ、すなわち、内視鏡バイオプシー装置の遠位端に向けて変位させることによって展開する。収集部材は、摺動案内桿を遠位方向の逆である近位方向へ、すなわち、内視鏡バイオプシー装置の近位端に向けて動かすことによって後退させられる。
【0031】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、収集部材は、1以上の放射状に突出する隆起部、逆とげの先端および逆鋸歯のある表面を有する。逆とげ、隆起部、突出部および/または逆鋸歯は、検体を収集部材に固定させ続け、収集した検体が剥がれ落ちることを防ぐために構成される。収集部材から、簡単かつ優しく組織検体の回収をさせながらも、収集した検体を収集部材に固定するために、逆とげ、隆起部、突出部および/または逆鋸歯は、複数の検体を収集する際の突き刺す工程において、組織検体を優しく貫通し易いように形成されるのが好ましい。好ましくは、これは、輪郭の遠位側のゆるやかな傾斜と、輪郭の近位側の急こう配または凹んだ逆傾斜とを擁する軸方向を向いた横断面に見られるような、逆とげ、隆起部、突出部および/または逆鋸歯の非対称な輪郭によって実現されてもよい。
【0032】
有利なことに、一の実施形態によると、逆とげ、隆起部、突出部および/または逆鋸歯は、近位方向を向いた上記の非対称な輪郭と連結する外周のらせん経路に沿うものであってもよい。これは、突き刺された検体を収集部材から「抜き取って」回収させながら、純粋な軸方向への並進運動によって組織検体を優しく突き刺させるものである。
【0033】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、掴み具は、牽引ワイヤによって操作される。牽引ワイヤは、プッシングフォースを伝える押し棒としても使用される機構的な連結部よりも薄く作られることができる。そのため、牽引ワイヤは、より高い可撓性を有しており、軸/軸空間の貴重な横断空間/内腔を、少ない割合でしか占めない。有利なことに、一の実施形態によると、内視鏡の近位端の遠隔操作制御に通される牽引ワイヤの数は、一斉に操作される、好ましくは対照的にも操作される掴み具の間にリンク仕掛けを提供することによって減らされてもよい。
【0034】
本発明のさらなる態様は、延長する可撓性のある軸と、軸の遠位端に配置される、先の実施形態のいずれかに記載の内視鏡バイオプシー装置と、軸の近位端に配置される操作制御と、を備える内視鏡バイオプシー器具に関し、内視鏡バイオプシー装置の遠位部分は、内視鏡の器具通路への挿入ために構成され、操作制御は、内視鏡バイオプシー装置の操作を制御するため、軸を通して内視鏡バイオプシー装置と伝達するために構成される。
【0035】
さらに、一の態様によると、内視鏡バイオプシー器具は、GI内視鏡等の内視鏡に統合される。
【0036】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、内視鏡バイオプシー装置は、着脱可能な連結装置を介して軸に接続されている。
【0037】
さらに、内視鏡バイオプシー装置の一の実施形態によると、着脱可能な連結装置は、差し込み連結装置である。
【0038】
本発明のさらなる態様は、内視鏡バイオプシー器具を用いて、複数の組織検体を採取するための内視鏡バイオプシー処置を行なう方法に関するものであって、方法は、
(a)内視鏡バイオプシー器具の遠位部分を内視鏡の器具通路を通して採取部位に進めることと、
(b)採取部位から組織検体を、閉じた位置にある掴み具の間で境界を定められる検体採取室に確保するように、内視鏡バイオプシー器具の遠位端に位置する掴み具を操作することと、
(c)検体採取室の近位端に配置されるリテーニング要素を噛み合わせることと、
(d)収集部材を、リテーニング要素を通過させ、検体採取室の中に、また組織検体を通って遠位方向に展開すること、それによって組織検体を突き刺すことと、
(e)突き刺された組織検体を、リテーニング要素の間を通過させるように、リテーニング要素の噛み合いを解くことと、
(f)収集部材を近位方向に後退させること、それによって突き刺された組織検体を収集室に移動させることと、
を備え、収集室は、検体採取室の近位方向に隣り合って配置される。
【0039】
ステップ(f)にて収集部材を後退させた後、すでに突き刺された組織検体を収集室に保持するよう、リテーニング要素は噛み合わせられてもよい。
【0040】
この方法により、まず組織検体は取得されて検体採取室に確保され、続いて検体を検体採取室から収集して収集室に移動することで、組織検体は収集室に「流し込まれる」。それによって、組織検体を取得する処理は、組織検体の保管からは切り離される。
【0041】
有利なことに、好ましい実施形態によると、リテーニング要素の操作は掴み具の操作に結合されており、掴み具が閉じた位置にある際にリテーニング要素は噛み合わされ、掴み具が開いた位置にある際にリテーニング要素は噛み合わせを解かれる。
【0042】
有利なことに、好ましい実施形態によると、方法は、上記の実施形態のいずれかによる内視鏡バイオプシー装置/器具を用いて行われる。
【0043】
さらに、一の実施形態によると、上記の方法は、
(g)バイオプシー器具をさらなる採取部位に移動させることと、
(h)さらなる採取部位からさらなる組織検体を検体採取室に確保するために掴み具を操作することと、
(i)リテーニング要素を噛み合わせることと、
(j)収集部材を噛み合わせたリテーニング要素を通過させ、検体採取室の中に、またさらなる組織検体を通って遠位方向に展開すること、それによって、既に突き刺された検体の遠位方向への変位に対抗して動作するリテーニング要素の手段によって、収集部材で既に突き刺した組織検体を収集室に保持し、収集部材の近位端に向かって位置を移動させつつ、さらなる組織検体を突き刺すことと、
(k)リテーニング要素の噛み合いを解くことと、
(l)新しく突き刺されたさらなる組織検体を、収集部材を近位方向に後退させることによって、収集室に移動させることと、
をさらに備える。
【0044】
ステップ(l)にて収集部材を後退させた後、収集室の組織検体を保持するよう、リテーニング要素は噛み合わせられてもよい。
【0045】
この方法により、複数の組織検体1つ1つを、検体採取室を通して収集室に「流し込む」ことが実現される。特に、さらなる組織検体を取得する処理は、既に収集室にある、以前に収集した組織検体の保管からは切り離される。まず、さらなる組織検体は、検体採取室に取得されて確保される。そして、さらなる組織検体は、収集室に後退させた位置から検体採取室に到達するよう展開し、新しい組織検体をその遠位端に突き刺す収集部材の手段により、検体採取室から収集される。このステップの間、新しく確保された検体を検体採取室に保有し、同時にリテーニング要素を噛み合わせ、収集室を検体採取室から分離しておくために、掴み具は閉じた位置を維持される。リテーニング要素が、既に突き刺された組織検体の遠位方向への変位に対抗して動作し、それら組織検体の位置を収集室の近位端に向けて移動するため、既に収集された組織検体は、リテーニング要素によって収集室に保有される。新しく確保された検体が収集部材の遠位端に突き刺されると、リテーニング要素は噛み合わせを解き、新しい検体が収集室に移動されることによって、収集物に追加される。
【0046】
さらに、一の実施形態によると、上記の方法は、1以上のさらなる採取部位からから、1以上のさらなる組織検体を1つ1つ収集するために、ステップ(g)〜(l)を繰り返すことをさらに備える。複数の組織検体を収集するステップは、収集室の収容量が上限に達するまで、必要な/望まれるだけ何度でも繰り返されてもよい。収集された組織検体をリテーニング要素に押しつけるために、収集された組織検体の積み重なりはリテーニング要素が噛み合った位置にある収集部材を進めることによって圧縮されてもよく、それによって、内視鏡から内視鏡バイオプシー装置を取り出さずに収集できる組織検体の数を増やす。
【0047】
さらに、一の実施形態によると、上記の方法は、収集した組織検体を回収するために内視鏡から内視鏡バイオプシー器具を取り出すことをさらに備える。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1〜7は、複数の組織検体100、101、102、103、104(10x)の収集のための内視鏡バイオプシー装置1の異なる見え方を示している。
図1〜6の横断面図において、横断面は、軸方向に平行であり、装置1の中心軸を通り抜ける。
【0051】
図1、2および7を参照すると、内視鏡バイオプシー装置1は、遠位端11から近位端12へ軸方向に延びる、延長する管状体10を有し、軸方向は管状体10の長手方向軸に平行である。管状体10は、遠位端11に開口部を持つ内部空洞を有する。内部空洞は、複数の組織検体10xを受け取るための収集室13の境界を定める。
【0052】
内視鏡バイオプシー装置1は遠位端に、互いに凹面側を向け合う2つのハーフシェル型の掴み具20、21を有する。掴み具20、21は、
図1〜5の横断面に垂直なピボット軸を持つ滑車関節24(
図7参照)の手段により、管状体10の遠位端11にちょうつがい式に取り付けられる。掴み具20、21は、
図1に示される開いた位置および
図2に示される閉じた位置の間で、互いに対して可動である。閉じた位置において、掴み具20、21は、検体採取室23の境界を定める。
【0053】
内視鏡バイオプシー装置1は、針型収集部材30をさらに備える。収集部材30は、管状体10の中心軸に、軸方向に平行に配置される。収集部材30は、遠位端31に遠位方向に向いた針先を有している。好ましくは、収集部材30には、図示されない逆とげ/逆鋸歯/隆起部が設けられる。逆とげおよび/または逆鋸歯の先端は、突き刺した検体が針から滑り落ちることを防ぐように、針先から離れる近位方向に向くよう設計される。収集部材30は近位端32で、ばねクリップ35を有する連結装置33の手段により案内桿34に着脱可能に接続される。案内桿34は軸方向に摺動可能で、それにより、収集部材30を軸方向に沿って並進運動するよう操作する。収集部材30は、案内桿34を遠位方向に動かすことで展開され、案内桿34を近位方向に動かすことで後退させられる。
【0054】
掴み具20、21の近位部分には、リテーニング要素40、41が半径方向内向きに設けられる。リテーニング要素40、41は、掴み具20、21が閉じた位置にある時に噛み合い、掴み具20、21が開いた位置にある時に噛み合いを解く。有利なことに、リテーニング要素40、41は、ハーフシェル型の掴み具20、21の周辺の壁部から、例えば、適切な形状をカットし、接続しているその形状の横方向に方向づけられた側を残して、半径方向内向きのハーフシェル形状を内部に向けて曲げることによって生成されてもよい。リテーニング要素40、41は、噛み合う際に、検体採取室23の近位端の境界を定め、収集室13から検体採取室23を分割する、横方向に方向づけられた仕切りを形成する。リテーニング要素40、41は、噛み合う際に、収集部材30が通過するための中央開口44が残るように形成される。リテーニング要素40、41は、噛み合いを解く際に、組織検体100が収集室13へ入るための経路を開く。
【0055】
掴み具20、21は、アイレット53を有する第1掴み具レバーに接続される牽引ワイヤ50の手段により開閉するために、遠隔で作動させられてもよい。アイレット54を有する第2掴み具レバーに接続されたリンクジョイント52およびワイヤ51を介して設けられるリンク仕掛けは、掴み具20、21の動作を関連/同期させる。リンク仕掛けは、1本の牽引ワイヤ50によって2つの掴み具20、21を開かせ、またさらに、さらなる1本の牽引ワイヤ50で掴み具20、21を閉じ、いずれかの作動中のワイヤ50、51が交差しないようにする。掴み具20、21は、したがって、検体100付近を掴み、検体100を検体採取室23に確保するのに操作可能である。
【0056】
図3は、上記の内視鏡バイオプシー装置1を用いて組織検体100の確保および収集をするステップ(i)〜(iv)のシークエンスを示すものである。
(i)掴み具20、21が開き、収集部材30が後退した位置にある内視鏡バイオプシー装置1が、組織検体100に接近する。
(ii)組織検体100は、リテーニング要素40、41が噛み合い、収集部材30が依然として後退した位置にある状態で、閉じた位置にある掴み具20、21により境界を定められる検体採取室23の内部に確保される。
(iii)掴み具20、21は、閉じた位置を維持しており、リテーニング要素40、41は噛み合わされ、収集部材30は、ここで中央開口44を通って展開し、それにより検体100は収集部材30に突き刺される。
(iv)掴み具20、21は開いた位置にあり、リテーニング要素40、41は噛み合いを解かれ、収集部材30は後退させられ、それにより、突き刺された検体100は、管状体10内部の収集室13に移動する。
【0057】
図4は、上記の内視鏡バイオプシー装置1を用いて、既に収集された組織検体100に加え、さらなる組織検体101の確保および収集をするステップ(i)〜(iv)のシークエンスを示すものである。
(i)内視鏡バイオプシー装置1は、収集室13において収集部材30に突き刺された、既に収集した組織検体100を保有しており、さらなる組織検体101が検体採取室23に確保される。
(ii)収集部材30は、噛み合ったリテーニング要素40、41の開口44を通って展開し、それにより、最初の組織検体100をリテーニング要素40、41の近位側に押しつけ、最初の組織検体100の位置を収集部材30の近位端に向けて移し、さらなる組織検体101を突き刺す。
(iii)リテーニング要素40、41は、掴み具20、21が開くことによって噛み合いを解かれ、新しく突き刺された組織検体101は、収集部材30を後退させることで収集室13に移動させられる。
(iv)掴み具20、21が閉じた位置にある状態で収集部材30を展開することで、収集された組織検体10xは、噛み合ったリテーニング要素40、41に押しつけられ、それにより、積み重なった複数の組織検体10xは圧縮され、それらの位置は収集部材30の近位端に移される。
【0058】
図5および6は、上記の内視鏡バイオプシー装置1からの、複数の組織検体10xの回収を示すものである。掴み具20、21は開いた位置に移動し、リテーニング要素40、41は、それによって、噛み合いを解く。ばねクリップ35を有する連結装置33は解放され、収集部材30は案内桿34から分離され、複数の検体10xを突き刺している収集部材30は、開いた掴み具20、21を通して遠位端から取り外される。一度、内視鏡バイオプシー装置1から針状の収集部材30が取り外されると、検体10xは、1つ1つ針から押し出されることができる。組織検体10xを傷つけずに容易に取り出すために、検体10xは、収集部材30に設けられる逆とげおよび逆鋸歯のいずれかの方向、すなわち、収集部材30の遠位端31から近位端32に向かう近位方向に沿って押し出されるのが好ましい。
【0059】
図8〜10は、複数の組織検体を採取するための、内視鏡バイオプシー装置2の他の実施形態を示すものである。
図8は、内視鏡バイオプシー装置2の上面を正面に見た図であり、
図9および10は、それぞれ、掴み具が開いた位置にある(
図9)、また、掴み具が閉じた位置にある(
図10)IX-IX線に沿う
図8の装置の横断面図である。
【0060】
図8〜10の内視鏡バイオプシー装置は、舌状の可撓性のあるジョイント26、27、28によって管状体10の遠位端にちょうつがい式に取り付けられる3つの掴み具20、21、22を有する。掴み具20、21、22は、管状体10の中心軸周辺に三回対称に配置される。管状体10は、複数の組織検体10xを収集するための収集室13の境界を定める内腔を有し、可撓性のあるジョイント26、27、28は、管状体10の周辺の壁における長手方向の切り込みにより、その遠位端の境界を定める。可撓性のあるジョイント26、27、28は、外方向に付勢されたばねであり、
図8および9に見られるとおり、弛緩状態にある舌状のばねは、掴み具20、21、22を開いた位置にさせる。外側スリーブ60は、可撓性のあるジョイント26、27、28の付勢に対抗する外方向に向いた湾曲を徐々に押し込め、最終的には掴み具20、21、22を
図10に示されるように、閉じた位置に移行させるように、可撓性のあるジョイント26、27、28上を遠位方向に摺動できる。
【0061】
掴み具20、21、22は、中心軸に向けて半径方向内向きに曲げた突起部として形成されるリテーニング要素40、41、42をそれぞれ有する。閉じた位置において、掴み具20、21、22は、噛み合ったリテーニング要素40、41、42によってその近位端の境界を画される、検体採取室23の境界を定める。リテーニング要素40、41、42は、管状体10において検体採取室23の近位側に隣り合う収集室13との間の仕切りの境界を定めるよう形作られ、特定の寸法に合わせて作られ、それにより、検体採取室23と収集室13との間での検体の移動を防ぎ、中央開口44を収集部材30が通って展開するようにさせておく。
【0062】
組織検体10xを保有する目的のために、内視鏡バイオプシー装置2は、軸方向に方向づけられ、近位方向を向いた逆とげ36が設けられている、中心に配置される収集部材30を有する。収集部材30は、収集室13に後退させた位置と、収集部材30が検体採取室23を通り抜ける、展開した位置との間で軸方向に変位可能である。
図9において、内視鏡バイオプシー装置2は、開いた位置にある掴み具20、21、22、噛み合いを解いた状態のリテーニング要素40、41、42、完全に後退させた状態の収集部材30と共に示されており、内視鏡バイオプシー装置2は、組織検体100を掴む準備ができている状態である。
図10は、閉じた位置にある掴み具20、21、22、噛み合った状態のリテーニング要素40、41、42と共に内視鏡バイオプシー装置2を示しており、収集部材30は最初の組織検体100を自身に突き刺して保有しており、収集部材30が開口44を通して展開することによって突き刺される準備ができている、さらなる組織検体101が、検体採取室23に確保されている。
【0063】
図11および12は、協働する掴み具のへりの異なる輪郭を図示する。
図11は、対称的/相補的な形の掴み具(不図示)と協働する、検体採取室223の境界を定める、掴み具220を示す。掴み具220は、ピボット軸を受け止めるための孔224、225、引いたり押したりする動作のためのロッド等のアクチュエータを受け止めるためのアイレット256のあるレバー255を有する。検体採取室223の近位端は、リテーニング要素が噛み合っているときに、収集部材30(不図示)を通過させるための凹部244を有する横断壁の形をとっているリテーニング要素240によって境界が定められる。掴み具220は、検体をつかんで保持するために相補的な掴み具と協働するへり270を有する。
へり270は、つかみ動作を改善するために鋸歯の輪郭が設けられる。しかし、へり270および対応する掴み具の対応するへりは、採取も損傷もされるべきではない下にある組織を突き刺さないように、例えば、へりや輪郭のつくりを面取りしたり、角をそいだり、丸めることによって、先がとがらないようにされるのが好ましい。
【0064】
図12は、対称的/相補的な形の掴み具(不図示)と共同する検体採取室323の境界を定める掴み具320を示す。掴み具320は、ピボット軸を受け止めるための孔324、325、引いたり押したりする操作のためのロッド等のアクチュエータを受け止めるためのアイレット356のあるレバー355を有する。検体採取室323の近位端は、リテーニング要素が噛み合っているときに、収集部材30(不図示)を通過させるための凹部344を有する横断壁の形をとっているリテーニング要素340によって境界が定められる。掴み具320は、検体をつかんで保持するために相補的な掴み具と共同するへり370を有する。へり370は、なめらかな輪郭が設けられる。しかし、へり370および対応する掴み具の対応するへりは、採取も損傷もされるべきではない下にある組織を突き刺さないように、例えば、へりや輪郭のつくりを面取りしたり、角をそいだり、丸めることによって、先がとがらないようにされるのが好ましい。
【0065】
掴み具220、320の壁の厚みの少なくとも5%、または少なくとも10%、あるいは少なくとも20%等の、掴み具のへり270、370の比率に応じた特性寸法で、掴み具220、320とその対応する片割れの掴み具の輪郭のへりおよびつくりは、角をそいだり、面取りをしたり、または輪郭のへり/つくりを丸めることによって、先がとがらないようにされるのが好ましい。それにより、掴み具の壁の厚さの比率に応じて鈍らされた掴み具のへり270、370が実現される。そういった鋭利でないへりを有する掴み具220、320は、下の組織を損傷する恐れなしに、組織検体を掴んで保有する、滑らかで、鋸歯があり、歯状突起または波状輪郭があってもよい。