特許第6426897号(P6426897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6426897共振器光ファイバジャイロスコープにおけるレーザの数を削減するために光リング共振器の共振周波数と自由スペクトル領域を検出する方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6426897
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】共振器光ファイバジャイロスコープにおけるレーザの数を削減するために光リング共振器の共振周波数と自由スペクトル領域を検出する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/72 20060101AFI20181112BHJP
【FI】
   G01C19/72 A
   G01C19/72 S
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-31494(P2014-31494)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-163939(P2014-163939A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2017年2月16日
(31)【優先権主張番号】13/774,678
(32)【優先日】2013年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】リー・ケイ・ストランドジョード
(72)【発明者】
【氏名】メアリー・ケイ・サリト
(72)【発明者】
【氏名】ティークン・キュー
(72)【発明者】
【氏名】グレン・エイ・サンダース
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−058240(JP,A)
【文献】 特開2010−210611(JP,A)
【文献】 特開平09−218432(JP,A)
【文献】 特開2009−229918(JP,A)
【文献】 米国特許第04863272(US,A)
【文献】 特開平05−071971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00 − G01C 19/72
G02F 1/00 − G02F 1/125
G02F 1/21 − G02F 7/00
H01S 3/00 − H01S 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計回り入力ポート(152)と反時計回り入力ポート(151)と自由スペクトル領域(FSR)とを有するジャイロスコープ共振器(150)と、
時計回り光ビーム(126)を前記時計回り入力ポートに結合するように構成された第1レーザ(106)と、
前記時計回り光ビームが前記時計回り入力ポートに結合される前に前記時計回り光ビームを第1共振追従変調で変調するための時計回りPound−Drever−Hall変調発生器(102)と、
第1バイアス補正回路(204)と、
前記時計回りPound−Drever−Hall変調発生器に通信可能に結合された第1スイッチ(450)を含む第1自由スペクトル領域(FSR)検出サーボ回路(202)と、
前記反時計回り入力ポートから出力された光ビームを受け取り、前記第1バイアス補正回路と前記第1FSR検出サーボ回路へ信号を出力するように構成された時計回り伝送検出器(115)と、
反時計回り光ビーム(125)を前記反時計回り入力ポートに結合するように構成された第2レーザ(105)と、
前記反時計回り光ビームが前記反時計回り入力ポート(151)に結合される前に前記反時計回り光ビーム(125)を第2共振追従変調で変調するための反時計回りPound−Drever−Hall変調発生器(101)と、
第2バイアス補正回路(254)と、
前記反時計回りPound−Drever−Hall変調発生器に通信可能に結合された第2スイッチ(450)を含む第2FSR検出サーボ回路(252)と、
前記時計回り入力ポート(152)から出力された光ビームを受け取り、前記第2バイアス補正回路と前記第2FSR検出サーボ回路へ信号を出力するように構成された反時計回り伝送検出器(116)と、
を備え、前記FSRが、前記時計回り光ビームのPound−Drever−Hall変調と前記反時計回り光ビームのPound−Drever−Hall変調に基づいて測定される、共振器光ファイバジャイロスコープ(10)。
【請求項2】
前記第1バイアス補正回路(204)と前記第2バイアス補正回路(254)は、
アナログデジタル変換器(205)と、
前記アナログデジタル変換器から入力を受け取る第1デジタルミキサ(411)と、
前記第1デジタルミキサから入力を受け取る第2デジタルミキサと、
前記第2デジタルミキサから入力を受け取り、Pound−Drever−Hallループのロック設定点を制御する累算器(260)であって、バイアス誤差が平均ゼロに制御される、累算器と、
デジタルアナログ変換器(470)と、を含み、
前記第1バイアス補正回路の前記デジタルアナログ変換器からの出力が、時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路(206)へ入力され、前記第2バイアス補正回路の前記デジタルアナログ変換器からの出力が、反時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路(256)へ入力され、前記第1FSR検出サーボ回路(202)と前記第2FSR検出サーボ回路(252)は、それぞれ前記第1スイッチ(450)と前記第2スイッチ(450)を制御するためのクロック信号を発生させる各クロック(445)を更に含み、前記第1及び第2FSR検出サーボ回路(202、252)からの前記クロック信号が、それぞれ前記第1及び第2バイアス補正回路(204、254)の前記第2デジタルミキサ(412)へ入力され、前記第1レーザ(106)の変調周波数が、fmod+とfmod−の間で周期的に切り換えられ、前記第2レーザ(105)の変調周波数が、fmod+とfmod−の間で周期的に切り換えられ、前記周期的な切り換えは、前記変調の不完全性に起因する誤差を相殺し、前記ジャイロスコープ共振器(150)のFSRが、前記周期的な切り換えに基づいて検知される、請求項1に記載の共振器光ファイバジャイロスコープ(10)。
【請求項3】
共振器光ファイバジャイロスコープ(10)におけるジャイロスコープ共振器(150)の自由スペクトル領域(FSR)を測定する方法であって、
上方シフトされた周波数と下方シフトされた周波数に側波帯を有する時計回り光ビーム(126)を放射するように第1レーザ(106)を変調するステップであって、第1レーザの変調周波数は、FSRの第1の整数倍、又は前記FSRの前記第1の整数倍プラス第1の増分の一方である、ステップと、
前記時計回り光ビームを前記ジャイロスコープ共振器の時計回り入力ポート(152)に結合するステップと、
反時計回り光ビーム(125)を前記ジャイロスコープ共振器の反時計回り入力ポート(151)に結合するステップと、
前記変調の不完全性に起因する誤差を相殺するように前記第1レーザの前記変調周波数をfmod+とfmod−の間で周期的に切り換えるステップと、
前記変調の不完全性に起因する誤差を相殺するように第2レーザ(105)の変調周波数をfmod+とfmod−の間で周期的に切り換えるステップと、
前記第1レーザ及び前記第2レーザにおける前記切り換えに基づいて前記ジャイロスコープ共振器のFSRを検知するステップと、
上方シフトされた周波数と下方シフトされた周波数に第2側波帯を有する前記反時計回り光ビーム(125)を放射するように前記第2レーザを同時に変調するステップであって、前記第2レーザの変調周波数は、前記FSRの第2の整数倍、又は前記FSRの前記第2の整数倍プラス第2の増分の一方である、ステップと
含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[1] 共振器光ファイバジャイロスコープ(RFOG)は、慣性検知市場の多くの分野における要求を満たす潜在能力を有する。光後方散乱誤差を克服するために、現在利用可能なRFOGは、時計回り(CW)のレーザ周波数と反時計回り(CCW)のレーザ周波数をジャイロ検知共振器の異なる縦モードにロックさせる。これらの技術は、対向して伝搬するレーザ周波数を分離し、後方散乱誤差を回転測定の周波数帯域よりも十分上にアップコンバートする。しかしながら、もし2つだけのレーザが使用されるなら、ジャイロ検知共振器の自由スペクトル領域(FSR)は回転測定の一部になる。よって、ジャイロ検知共振器の自由スペクトル領域は、回転の検知に対する悪影響を低減するために極めて高精度に測定されなければならない。
【0002】
[2] FSRを正確に測定するために、現在利用可能なRFOGは、検知共振器を探査するための第3のレーザ周波数を使用する。3つのレーザを変調して、変調の不完全性によって大きな誤差が生じないような方法で共振を検出することは困難である。何故なら、1つのレーザがマスターレーザであり、他の2つのレーザがスレーブレーザであるからである。スレーブレーザは高い精度で変調されるが、マスターレーザを高い精度で変調することは困難である。
【0003】
[3] 他の現在利用可能なRFOGは、1つのマスターレーザと3つのスレーブレーザを使用する。この後者の技術では、マスターレーザは回転検知に用いられず、3つのスレーブレーザが高い精度で変調される。しかしながら、レーザとそれに付随する位相同期回路電子装置の数は、RFOGのコスト、サイズ、重量、及び消費電力の著しい増大につながることになる。
【発明の概要】
【0004】
[4] 本出願は、共振器光ファイバジャイロスコープに関連する。共振器光ファイバジャイロスコープは、時計回り入力ポートと反時計回り入力ポートを有するジャイロスコープ共振器と、時計回り光ビームを前記時計回り入力ポートに結合するように構成された第1レーザと、前記時計回り光ビームが前記時計回り入力ポートに結合される前に前記時計回り光ビームを共振追従変調で変調するための時計回りPound−Drever−Hall変調発生器と、バイアス補正回路と、前記時計回りPound−Drever−Hall変調発生器に通信可能に結合されたスイッチを含むFSR検出サーボ回路と、前記反時計回り入力ポートから出力された光ビームを受け取り、前記バイアス補正回路と前記FSR検出サーボ回路へ信号を出力するように構成された時計回り伝送検出器と、反時計回り光ビームを前記反時計回り入力ポートに結合するように構成された第2レーザと、を含み、前記ジャイロスコープ共振器の前記FSRが、前記時計回り光ビームのPound−Drever−Hall変調に基づいて測定される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明による、2つのレーザを有した共振器光ファイバジャイロスコープ(RFOG)の一実施態様のブロック図である。
図2図2は、本発明による、図1のRFOGにおける自由スペクトル領域検出サーボ回路の一実施態様のブロック図である。
図3図3は、本発明による、図1のRFOGにおけるPound−Drever−Hall(PDH)変調発生器の一実施態様のブロック図である。
図4A図4Aは、本発明による、図1のRFOGにおけるバイアス補正回路の実施態様のブロック図である。
図4B図4Bは、本発明による、図1のRFOGにおけるバイアス補正回路の実施態様のブロック図である。
図5A図5Aは、本発明による、図1のRFOGにおける伝送検出器から出力された電圧信号を示す。
図5B図5Bは、本発明による、図4A及び4Bのバイアス補正回路における第2デジタルミキサから出力された電圧信号を示す。
図6A図6Aは、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。
図6B図6Bは、本発明による、自由スペクトル領域を測定するための図6A及び6Cの各光信号に関連した変調器出力信号を示す。
図6C図6Cは、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。
図6D図6Dは、本発明による、自由スペクトル領域を測定するための図6A及び6Cの各光信号に関連した変調器出力信号を示す。
図7A図7Aは、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。
図7B図7Bは、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。
図8図8は、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。
図9図9は、本発明による、後方散乱からの干渉を防止するジャイロ共振器の共振ピークに関する時計回りビームと反時計回りビームについてのキャリア周波数及び側波帯周波数の周波数、振幅、並びに位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。
図10図10は、本発明による、共振周波数及び自由スペクトル領域を検出するための方法の一実施態様のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[17] 一般的な慣例に従って、説明される様々な特徴は一定の縮尺で描かれず、本発明に関連する特徴を強調するように描かれる。図面と本文の全体にわたって、同様の符号は同様の要素を示す。
【0007】
[18] 以下に続く詳細な説明では、その一部分をなす添付図面への参照が行われる。添付図面には、本発明が実施されることのできる特定の例示的な実施態様が、実例として示される。これらの実施態様は、当業者が本発明を実施することができるように十分に詳しく説明され、また、他の実施態様が利用されることができること、並びに、本発明の範囲を逸脱することなく論理的、機械的、及び電気的な変更がなされることができることが、理解されなければならない。したがって、以下に続く詳細な説明は、限定的な意味に捉えられてはならない。
【0008】
[19] 本明細書において説明される共振器光ファイバジャイロスコープ(RFOG)システムは、2つだけのレーザとそれらに付随する位相同期回路電子装置を使用して、1)上述された3つのレーザ周波数のRFOGにおけるような光後方散乱誤差を低減し、2)上述された4つのレーザのRFOGにおけるようにジャイロスコープ共振器の自由スペクトル領域(FSR)を精度良く測定し、3)上述された4つのレーザのRFOGにおけるような高精度な共振追従変調を提供する。本明細書において説明されるRFOGシステムは、レーザの周波数変調方式又は位相変調方式を採用する。これらの方式は、必要とされるレーザの数を2つに削減し、また、レーザ用の全ての位相同期回路を不要とする。これら2つのレーザは、検知共振器の別々の対向伝搬する縦モードにロックされ、各レーザの共振追従変調がPound−Drever−Hall(PDH)変調発生器によって超高周波数で実施されて、レーザ周波数の側波帯を発生させる。このレーザ周波数の側波帯は、検知共振器の共振周波数についての情報と、検知共振器の自由スペクトル領域(FSR)についての情報を得る方法を与える。FSRの精度良い測定値を得るために、共振追従変調の周波数は、周波数変調(FM)される。「検知共振器」、「ジャイロスコープ検知共振器」、及び「ジャイロスコープ共振器」という用語は、本明細書において相互交換可能に用いられる。
【0009】
[20] レーザの周波数変調又は位相変調の公称周波数は、検知共振器のFSRの数倍、又は検知共振器のFSRの数倍プラスある増分に設定される。この増分(本明細書において微小増分又はΔfとも称される)は、RFOGのジャイロ共振器の線幅よりも小さい。この実施態様のある実装では、増分は、ジャイロ共振器の線幅の半分よりも小さい。FSRを測定するために、レーザの周波数変調又は位相変調は、各レーザの共振追従変調よりも低い周波数で変調される。ジャイロスコープ共振器の共振周波数とFSRは、同期検波法を用いて測定される。この実施態様のある実装では、2つのレーザのうちの一方だけが共振追従変調される。
【0010】
[21] 超高周波数(例えばFSRの10倍)で検出することにいくつかの利点がある。典型的な検出周波数は、100MHz又はそれより高いことがある。検出周波数がこのような高周波数にある場合、レーザ固有の相対強度雑音(RIN)は通常非常に低く、パッシブ光フィルタリングからのRINは非常に低く、パッシブ光フィルタリング後のレーザの位相雑音は非常に低い。したがって、RINはパッシブフィルタリングで完全に制御される。RINはパッシブフィルタリングで完全に制御されるため、先行技術のRFOGにおいて用いられた高速強度変調器は不要とされ、RFOG内の光学損失は低減され、RFOGに必要とされるレーザパワーは低減される。加えて、高周波数の位相雑音は、ジャイロスコープ共振器によるパッシブフィルタリングで完全に制御される。この実施態様のある実装では、RINとレーザ位相雑音の両方に対する少なくともいくつかのパッシブフィルタリングは、キャビティの代わりに非対称マッハツェンダー干渉計によって行われる。この後者の実施態様は、より小さい光学損失、低いレーザパワー、及び簡略されたフィルタ制御電子装置を与える。
【0011】
[22] 図1は、本発明による、2つのレーザ105及び106を有した共振器光ファイバジャイロスコープ(RFOG)10の一実施態様のブロック図である。RFOG10は、位相同期回路を必要としない。高帯域幅のPound−Drever−Hall(PDH)レーザ安定化ループは、レーザを同じ光学キャビティ、即ちジャイロ検知共振器に安定させることによって、レーザ間の相対的なレーザ周波数雑音を制御する。FSRを測定し、超低歪みデジタル変調を与えるために、PDH変調の周波数変調が用いられる。
【0012】
[23] RFOG10は、反時計回り(CCW)レーザ105、時計回り(CW)レーザ106、CCW位相変調器(PM)111、CW位相変調器(PM)112、CCW Pound−Drever−Hall(PDH)変調発生器101、CW Pound−Drever−Hall(PDH)変調発生器102、サーキュレータ113及び114、ポート151−154を有したジャイロスコープ共振器150、光検出器115、116、118、119、120、及び121、バイアス補正回路204及び254、FSR検出サーボ回路202及び252、時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路206、並びに反時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路256を含む。変調システム20は、位相変調器111及び112、CCW PDH変調発生器101、並びにCW PDH変調発生器102を含む。位相変調器112は、本明細書において「CW位相変調器112」と称される。ジャイロスコープ共振器150もまた、本明細書において「検知共振器150」、「ジャイロ共振器150」、又は「センサコイル150」と称される。ジャイロスコープ共振器150は、中実コアの光ファイバ又は中空の光ファイバである。この実施態様のある実装では、本文書を読み且つ理解すれば当業者には理解可能であるとおり、後述されるようにCW経路又はCCW経路のみが作動して、その結果、本明細書に説明されたシステムの半分を実行することにより、FSRが測定される。
【0013】
[24] 126において概略的に表された光ビームが、時計回り(CW)レーザ106から放射され、光信号調整器108、可変光減衰器110、及びCW位相変調器112を通される。CWレーザ106は、本明細書において「第1レーザ106」とも称される。CW位相変調器112は、本明細書において「位相変調器112」とも称される。光ビーム126は、本明細書において「時計回り光ビーム126」とも称される。位相変調器112は、CW Pound−Drever−Hall(PDH)変調発生器102によって駆動され、時計回り光ビーム126がジャイロスコープ共振器150の時計回り入力ポート152に結合される前に時計回り光ビーム126を変調する。位相変調器112から出力された光ビームは、光サーキュレータ114を通って時計回り入力ポート152を介してジャイロスコープ共振器150へ渡される。「時計回り入力ポート152」は、本明細書において「ポート152」とも称される。CWレーザ106は、PDH法を用いた高帯域幅フィードバックループによってジャイロ共振器150の共振にロックされる。Pound−Drever−Hall(PDH)変調法は、当業者に知られている。この実施態様のある実装では、時計回り光ビーム126は、検知共振器150の第1時計回り縦モードに設定された周波数を有する。
【0014】
[25] 反時計回り(CCW)レーザ105から放射され、125において概略的に表された光ビームが、光信号調整器107、可変光減衰器109、及びCCW位相変調器111を通される。CCWレーザ105は、本明細書において「第2レーザ105」とも称される。CCW位相変調器111は、本明細書において「位相変調器111」とも称される。光ビーム125は、本明細書において「反時計回り光ビーム125」とも称される。位相変調器111は、CCW Pound−Drever−Hall(PDH)変調発生器101によって駆動され、反時計回り光ビーム125がジャイロスコープ共振器150の反時計回り入力ポート151に結合される前に反時計回り光ビーム125を変調する。位相変調器111から出力された光ビームは、光サーキュレータ113を通って反時計回り入力ポート151を介してジャイロスコープ共振器150へ渡される。「反時計回り入力ポート151」は、本明細書において「ポート151」とも称される。CCWレーザ105は、PDH法を用いた高帯域幅フィードバックループによってジャイロ共振器150の共振にロックされ、その結果、当業者に知られているように、CWレーザ106とCCWレーザ105の間の相対周波数雑音は、十分なループ利得又は高ループ利得がRFOG10にある場合の周波数に対して高い相関を持つ。この実施態様のある実装では、反時計回り光ビーム125は、検知共振器150の第2反時計回り縦モードに設定された周波数を有する。第1CW縦モードと第2CCW縦モードは、少なくともFSR1つ分だけ異なる。
【0015】
[26] 本明細書において説明される方法及びシステムは、ジャイロ共振器150のFSRの高精度な測定を可能にする。変調の不完全性に起因する誤差を相殺するために、変調周波数fmodは、fmod+とfmod−の間で周期的に切り換えられる。「fFSR」と「νFSR」という用語は、本明細書において相互交換可能に用いられる。fmod+は、本明細書において第1変調周波数とも称され、fmod−は、本明細書において第2変調周波数とも称される。
【0016】
[27] CWレーザ106から出力された光ビームは、ジャイロ共振器150の中を時計回りに伝搬し、CW伝送ポート151を介して、サーキュレータ113を通り抜けてCW伝送検出器115へと進む。CWレーザ106からの光ビームは、ジャイロ共振器150内を伝送して伝送検出器115へ到達しなければならない。もしCWレーザ106の光周波数が掃引されれば、共振ピークが伝送検出器115において観測される。ポート152へ入るCWレーザ106からの光ビーム126の大部分は、ジャイロ共振器150へ入るのではなく、したがってジャイロ共振器150内を伝送するのではなく、直接にCW反射ポート154へ進んでCW反射検出器118に入射する。ジャイロ共振器150へ入った光ビームの一部分は、反射ポート154へ向かってジャイロ共振器150から出て、ジャイロ共振器150へ入らなかった光ビームと干渉する。もしCWレーザ106の光周波数が掃引されれば、共振ディップが反射検出器118において観測される。CW反射検出器118からの出力は、CW PDHサーボ回路206へ入力される。CW反射検出器118とCW PDHサーボ回路206は、ジャイロ共振器150のCW反射ポート154からの光を検出する。この実施態様のある実装では、ポート152へ入るCWレーザ106からの光ビーム126の90%以上が、直接にCW反射ポート154へ進んでCW反射検出器118に入射する。この実施態様の別の実装では、ポート152へ入るCWレーザ106からの光ビーム126の80%以上が、直接にCW反射ポート154へ進んでCW反射検出器118に入射する。
【0017】
[28] CCWレーザ105から出力された光ビーム125は、ジャイロ共振器150の中を反時計回りに伝搬し、CCW伝送ポート152を介して、サーキュレータ114を通り抜けてCCW伝送検出器116へと進む。CCWレーザ105からの光ビームは、ジャイロ共振器150内を伝送して伝送検出器116へ到達しなければならない。もしCCWレーザ105の光周波数が掃引されれば、共振ピークが伝送検出器116において観測される。ポート151へ入るCCWレーザ105からの光ビームの一部分は、ジャイロ共振器150へ入るのではなく、したがってジャイロ共振器150内を伝送するのではなく、直接にCCW反射ポート153へ進んでCCW反射検出器119に入射する。ジャイロ共振器150へ入った光ビームの一部分は、反射ポート153へ向かって共振器から出て、共振器へ入らなかった光ビームと干渉する。もしCCWレーザ105の光周波数が掃引されれば、共振ディップが反射検出器119において観測される。CCW反射検出器119からの出力は、CCW PDHサーボ回路256へ入力される。CCW反射検出器119とCCW PDHサーボ回路256は、ジャイロ共振器150のCCW反射ポート153からの光を検出する。この実施態様のある実装では、ポート151へ入るCCWレーザ105からの光ビーム125の90%以上が、直接にCCW反射ポート153へ進んでCCW反射検出器119に入射する。この実施態様の別の実装では、ポート151へ入るCCWレーザ105からの光ビーム125の80%以上が、直接にCCW反射ポート153へ進んでCCW反射検出器119に入射する。
【0018】
[29] 伝送ポート151において出力されるCW光ビームの共振ピークのライン形状は、一般に、反射ポート154から出力されるCW光ビームの共振ディップのライン形状よりも著しく良好な対称性を有する。同様に、伝送ポート152において出力されるCCW光ビームの共振ピークのライン形状は、反射ポート153から出力されるCCW光ビームの共振ディップのライン形状よりも著しく良好な対称性を有する。CW伝送検出器115とCCW伝送検出器116におけるジャイロ共振器150の共振ピークに対して操作を行うことは、より優れたバイアス特性を与えるが、変調周波数の選択範囲を限定する。
【0019】
[30] CW伝送検出器115は、電圧信号をバイアス補正回路204とFSR検出サーボ回路202へ出力する。バイアス補正回路204とFSR検出サーボ回路202は、本明細書においてそれぞれ「第1バイアス補正回路204」及び「第1FSR検出サーボ回路202」とも称される。CCW伝送検出器116は、電圧信号をバイアス補正回路254とFSR検出サーボ回路252へ出力する。バイアス補正回路254とFSR検出サーボ回路252は、本明細書において「第2バイアス補正回路254」及び「第2FSR検出サーボ回路252」とも称される。
【0020】
[31] バイアス補正回路204からの出力は、CW PDHサーボ回路206へ送られる。バイアス補正回路254からの出力は、CCW PDHサーボ回路256へ送られる。
【0021】
[32] 第1FSR検出サーボ回路202からの出力は、CW PDH変調発生器102へ送られる。第2FSR検出サーボ回路252からの出力は、CCW PDH変調発生器101へ送られる。
【0022】
[33] CCW PDHサーボ回路256からの低速出力は、CCWレーザ105へ送られ、CCW PDHサーボ回路256からの高速出力は、CCW光ビーム125の経路にある位相変調器111へ送られる。同様に、CW PDHサーボ回路206からの低速出力は、CWレーザ106へ送られ、CW PDHサーボ回路206からの高速出力は、CW光ビーム126の経路にある位相変調器112へ送られる。
【0023】
[34] この実施態様では、利用されるこの種のレーザは、所要のループ帯域幅を持った共振器へのレーザロックを支援するのに十分高速な光周波数チューニングを有しないものと想定される。したがって、フィードバック制御は、2つのチャンネルに分割される。即ち、レーザ105又は106へ進む、直流を含むレーザのチューニング帯域幅内の周波数にレーザ周波数を制御するための低速チャンネルと、超高周波数帯域幅を有するが直流では利得を有しないニオブ酸リチウムの位相変調器112へ進む、高速チャンネルである。低速チャンネルの利得は、超低周波数において高いのに対し、高速ループの利得は、それよりずっと高い周波数において高い。この実施態様のある実装では、レーザ105及び106は、PDHループ帯域幅全体をサポートすることが可能な超高周波数のチューニング帯域幅を有する。この実施態様に対しては、レーザへのフィードバックチャンネルが1つだけ必要とされる。例えば、ある実施態様では、レーザフィードバックのための良好な振幅の信号は、直流から20kHzの入力周波数レンジにあり、位相変調器のための良好な振幅の信号の入力周波数レンジは、1kHzから10MHzのレンジにあることがある。この場合、レーザと位相変調器へのフィードバック信号の周波数成分にはいくらかの重なりがあり、その結果、直流から10MHzまでフィードバックループには低利得の領域が存在しない。
【0024】
[35] 図1に示されるように、光検出器120及び121が、それぞれ光タップ122−1及び122−3を介してCWレーザ106とCCWレーザ105からの光パワーを受け取るように結合される。光検出器120及び121からの出力は、周波数カウンタ130へ入力される。回転速度を測定するために、レーザ105と106の光周波数の差が極めて高い分解能及び精度で知られていなければならない。結合器122−2は、レーザ105及び106からのそれぞれのレーザビーム125と126の一部分を混合し、レーザビーム125と126は、検出器120と121において干渉する。この干渉は、2つのレーザ105と106の周波数差においてビートを生じさせる。検出器120及び121は、この光学ビートを周波数カウンタ120へ進む電気信号に変換し、周波数カウンタ120は、ビートの周波数、したがって2つのレーザの周波数差を測定する。検出器120又は121のいずれかからの電気信号が、レーザの差周波数を測定するのに用いられることが可能である。しかしながら、検出器120と121の両方が、レーザ105又は106のどちらがより高い周波数を有するかを判定するのに必要とされる。この判定は、検出器120と121からのビート信号間の位相関係を観測することによって行われる。
【0025】
[36] 図2は、本発明による、図1のRFOGにおける自由スペクトル領域検出サーボ回路202及び252の一実施態様のブロック図である。FSR検出サーボ回路202及び252は、それぞれ、アナログデジタル変換器(ADC)410、第1デジタルミキサ421、第2デジタルミキサ422、累算器(サーボ)430、レジスタ440、加算器435、減算器436、クロック445、スイッチ450、及び2x乗算器451を含む。第1デジタルミキサ421は、本明細書において「第1ミキサ421」又は「第1復調器421」とも称される。第2デジタルミキサ422は、本明細書において「第2ミキサ422」又は「第2復調器422」とも称される。
【0026】
[37] FSR検出サーボ回路202において、ADC410は、CW伝送検出器115からの電圧信号を入力する。ADC410からの出力は、第1デジタルミキサ421へ送られて、CW PDH変調発生器102によって出力された変調周波数の2倍(スイッチ450の切り換え状態に依存して2fmod+又は2fmod−のいずれか)で発生した信号と混合される。第1デジタルミキサ421の出力は、第2デジタルミキサ422へ入力されて、クロック445から入力される切り換え周波数fFMで発生したクロック信号と混合される。クロック445は、切り換え周波数fFMを制御し、この切り換え周波数で、スイッチ450は、以下でより詳細に説明されるようにfmod+とfmod−の間で変調を切り換える。この周期的な切り換えは、変調の不完全性に起因する誤差を相殺する。ジャイロスコープ共振器のFSRは、以下で詳細に説明されるように、この周期的な切り換えに基づいて検知される。クロック445からのクロック信号は、バイアス補正回路204へも出力される。
【0027】
[38] 第2ミキサ422からの出力は、累算器430へ送られる。累算器430は、信号(A)を加算器435と減算器436へ出力する。平均の変調周波数が自由スペクトル領域に等しい場合、デジタルミキサ422の平均出力はゼロであり、累算器430の平均出力は自由スペクトル領域に比例する。レジスタ440は、周波数Δfに比例するデジタル値を持つデジタル信号(B)を加算器435と減算器436へ出力する。周波数fFSR+Δfに比例する和信号(A+B=C)が、加算器435からスイッチ450へ出力され、fFSR−Δfに比例する差信号(A−B=D)が、減算器436からスイッチ450へ出力される。スイッチ450は、クロック445によって設定された周波数fFMで切り換わり、和信号C又は差信号Dのいずれかを交互に出力する。スイッチ450からの出力は、2つのデジタル信号に分割される。第1の信号は、(スイッチ450の状態に依存して)周波数fmod+=fFSR+Δf又はfmod−=fFSR−Δfに比例する値を表すCW PDH変調発生器102へのデジタル出力データである。第2の信号は、(スイッチ450の状態に依存して)周波数2fmod+=2fFSR+2Δf又は2fmod−=2fFSR−2Δfに比例する値を表すCW PDH変調発生器102へのデジタル出力データである。
【0028】
[39] FSR検出サーボ回路252において、ADC410は、CCW伝送検出器116からの電圧信号を入力する。ADC410からの出力は、第1デジタルミキサ421へ送られて、PDH変調周波数の2倍で発生した信号と混合される。第1ミキサ421の出力は、第2ミキサ422へ入力されて、クロック445からのクロック信号と混合される。クロック445は、上述されたように切り換え周波数を制御する。第2ミキサ422からの出力は、累算器430へ送られる。累算器430は、信号(A)を加算器435と減算器436へ出力し、加算器435と減算器436は、上述されたように機能する。スイッチ450からの出力は、(上述されたように)第1と第2のデジタル信号に分割され、それらはCCW PDH変調発生器101へ出力される。
【0029】
[40] 第1及び第2復調器421、422は、デジタル乗算器である。第2復調器422の出力は、サーボとして動作する累算器430によって累算される(近似的な積分)。第2復調器422の出力は、自由スペクトル領域(FSR)からの偏差に対応するデジタル値である。累算器430は、第2復調器の出力を平均ゼロに維持するようにPDH変調周波数を制御する。累算器430の出力は、FSRに対応するデジタル値である。累算器430の出力は、加算器435と減算器436の両方へ進み、そこで、微小な一定の周波数シフト(Δf)に対応するデジタル値に加算されるか、又はそのデジタル値から減算される。この実施態様のある実装では、当該微小な一定の周波数シフト(Δf)は、ジャイロ共振器の共振ピークの線幅の半分にほぼ等しい。この実施態様の別の実装では、当該微小な一定の周波数シフト(Δf)は、ジャイロ共振器の共振ピークの線幅の半分よりも小さい。デジタル値Δfは、RFOG10が最初に製造される時にメモリ装置(レジスタ440)にプログラムされる。fFMのクロック445は、デジタル回路によって形成される。この実施態様のある実装では、クロックは、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)によって形成される。fFMのクロック445は、加算器435又は減算器436のいずれかからの切り換わる出力を有するスイッチ450を制御する。したがって、スイッチ450の出力は、FSRプラスΔf(即ちf=fFSR+Δf)又はFSRマイナスΔf(即ちf=fFSR−Δf)のいずれかのPDH変調周波数を表すデジタル値である。PDH変調は、光キャリアの周りに1次の上側側波帯と下側側波帯を発生させる。「キャリア」、「レーザキャリア」、及び「キャリア周波数」という用語は、本明細書において相互交換可能に用いられる。スイッチ450の状態に依存して、上側変調側波帯と下側変調側波帯は、FSRプラスΔfか又はFSRマイナスΔfだけキャリアから離れている。
【0030】
[41] スイッチ出力は、乗算器451へも送られ、乗算器451は、スイッチ出力に整数2を乗じる。これは、デジタル値のビットを1レベル高い方に移動させるレベルシフトによって簡単に行われることが可能である。FSR検出サーボ回路202及び252から出力されるデジタル値は、それぞれPDH変調発生器102及び101へ進む。
【0031】
[42] 図3は、本発明による、図1のRFOG10におけるPound−Drever−Hall(PDH)変調発生器101及び102の一実施態様のブロック図である。PDH変調発生器101及び102のそれぞれは、クロック310(発振器310)、第1及び第2ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)311及び312、第1及び第2信号調整モジュール321及び322、並びに、第1及び第2比較器325及び326を含む。PDH変調発生器102の動作がこれより説明される。
【0032】
[43] FSR検出サーボ回路202からの出力が、CW PDH変調発生器102へ入力される。周波数fmod±は、本明細書において「PDH変調周波数」又は「変調周波数」と称される。FSR検出サーボ回路202から出力された周波数fmod±=fFSR±Δfを表す第1デジタルデータが、CW PDH変調発生器102の第1DDS311において入力される。FSR検出サーボ回路202から出力された周波数2fmod±=2fFSR±2Δfを表す第2デジタルデータが、CW PDH変調発生器102の第2DDS312において入力される。第1及び第2ダイレクトデジタルシンセサイザ311及び312はそれぞれ、共通のクロック310からの信号を入力する。DDS311とDDS312の両方に共通のクロック310を使用することによって、PDH変調発生器102からの周波数出力は同期化され、固定の位相関係を有する。クロック310は、本明細書において「ダイレクトデジタルシンセサイザクロック310」とも称される。
【0033】
[44] 第1DDS311は、PDH変調周波数(fmod±)のアナログサイン波電圧を第1信号調整モジュール321へ出力する。第2DDS312は、PDH変調周波数の正確に2倍(2fmod±)のデジタル基準信号を第2信号調整モジュール322へ出力する。信号調整321及び322は、DDSプロセスによって発生した不要信号を除去し(当業者に再構成フィルタリングとして知られる)、所望の振幅を得るように必要利得を与えるための、フィルタリングを提供する。CW PDH変調発生器102の第1ポートからの信号調整321の出力は、PDH変調を与える。CW PDH変調発生器102の第1信号調整321は、周波数fmod±=fFSR±Δfの信号を第1ポートを介してCW位相変調器112へ送る。CW PDH変調発生器102の第2信号調整322は、周波数2fmod±=2fFSR±2Δfの信号を比較器326へ送り、PDH変調周波数の2倍の復調用デジタル基準信号を供給する。
【0034】
[45] 信号調整321の出力は、信号が比較器325へも進むように分割される。信号調整322の出力は、比較器326へ直接進む。
【0035】
[46] 比較器325及び326は、第1及び第2信号調整モデル321及び322から入力されるサイン波を、デジタル信号処理のためのクロックとして用いられる矩形波に変換する。例えば、このクロックは、関連するFSR検出サーボ回路202と関連するバイアス補正回路204における復調器(ミキサ)へ進む基準信号として用いられることが可能である。第1比較器325からの出力は、図4Aに示されるバイアス補正回路204によって使用されるPDH変調クロック(不図示)へ送られる。第2比較器326からの出力は、FSR検出サーボ回路202によって使用される2xPDH変調クロック(不図示)へ送られる。PDH変調発生器102は構成と機能においてPDH変調発生器101に類似しているため、CCW PDH変調発生器101は、同様に、関連する通信可能に結合されたCCW位相変調器111、第2FSR検出サーボ回路252、及びバイアス補正回路254と共に動作する。
【0036】
[47] この実施態様のある実装では、CCW PDH変調発生器101とCW PDH変調発生器102はそれぞれ、異なるΔfを発生する。この場合、CW PDH変調発生器102におけるΔfは第1の増分(Δf)であり、その結果、周波数f1mod±=fFSR±ΔfがCW PDH変調発生器102から出力される。同様に、CCW PDH変調発生器101におけるΔfは第2の増分(Δf)であり、その結果、周波数f2mod±=fFSR±ΔfがCCW PDH変調発生器101から出力される。この実施態様の別の実装では、CCW PDH変調発生器101とCW PDH変調発生器102はそれぞれ、同じΔfを発生する。
【0037】
[48] 従来のシステムでは、レーザは、変調誤差を最小(例えば変調の不完全性が小さい)に維持するために高い精度で変調される。本明細書で説明されるこの技術は、レーザの変調が従来のシステムの高い精度を必要としないように、変調の不完全性に起因する誤差を相殺する。
【0038】
[49] 図4A及び4Bは、本発明による、図1のRFOG10におけるバイアス補正回路の実施態様のブロック図である。図4Aは、RFOG10におけるバイアス補正回路204及び254のブロック図である。バイアス補正回路204及び254は、それぞれジャイロ共振器(図1)の伝送ポート151及び152からの光を検出する。バイアス補正回路204及び254のそれぞれは、アナログデジタル変換器(ADC)405、第1デジタルミキサ411、第2デジタルミキサ412、累算器(サーボ)460、及びデジタルアナログ変換器(DAC)470を含む。
【0039】
[50] バイアス補正回路204の動作がこれより説明される。CW伝送検出器115から出力された電圧信号が、ADC405へ入力される。ADC405からの出力は、第1デジタルミキサ411へ入力されて、変調周波数fmodの基準信号と混合される。第1デジタルミキサ411からの出力は、第2デジタルミキサ412へ入力されて、周波数fFMで発生したFSR検出サーボ回路202(図2)のクロック445からのクロック信号と混合される。第2デジタルミキサ412からの出力は、累算器460へ入力される。累算器460からの出力は、DAC470へ入力される。DAC470からの出力は、通信可能に結合されたCW PDHサーボ回路206へ入力される。
【0040】
[51] 第2デジタルミキサ412の出力は、PDHサーボ回路206及び256におけるバイアス誤差を表すデジタル値である。このバイアス誤差は、ジャイロ共振器150の共振周波数を検出する際の誤差であり、回転速度のバイアス誤差として現れる。バイアス誤差は、強度変調、PDH変調の第2次高調波歪み、PDHサーボのオフセット誤差などの、数多くの発生源に起因し得る。累算器460は、第2デジタルミキサ412の出力を平均ゼロに維持し、これによりバイアス誤差が平均ゼロに制御されるように、PDHループのロック設定点を制御する。累算器460の出力は、DAC470によってアナログ電圧に変換される。
【0041】
[52] バイアス補正回路254は構成と機能においてバイアス補正回路204に類似しているため、バイアス補正回路254は、関連する通信可能に結合されたCCW光検出器116及びCCW PDHサーボ回路256と共に同様に動作する。
【0042】
[53] 図4Bは、バイアス補正回路254’及び204’のブロック図である。バイアス補正回路254’及び204’の構成は、平均化フィルタ475が第2デジタルミキサ412からの信号を入力し、累算器サーボ460へ信号を出力する点において、バイアス補正回路254及び204と異なる。平均化フィルタ475は、強度変調の誤差信号(又は他の誤差信号)を除去する。バイアス補正回路254’及び204’の機能は、上述されたバイアス補正回路254及び204に類似している。この実施態様のある実装では、バイアス補正回路254’及び204’は、RFOG10(図1)におけるバイアス補正回路254及び204に置き換わる。
【0043】
[54] 図5Aは、本発明による、図1のRFOG10における伝送検出器115及び116から出力された電圧信号を示す。この電圧信号は、本明細書において「共振器信号」とも称される。検討の目的のため、信号は、時間に対してプロットされた2つの信号500(破線)と505(実線)に分解される。信号500は、不完全な位相変調の副産物である不要な強度変調に起因する、伝送検出器115及び116から出力された信号を表す。信号505は、キャリア周波数がジャイロ共振器150の共振から僅かに外れている場合におけるPDH変調周波数の理想的な共振器信号を表す。信号505は、レーザキャリアが共振から僅かに外れている場合に非ゼロの振幅を有し、レーザキャリアが共振にぴったり合っている場合にゼロの振幅を有する。信号505の振幅におけるヌルを検出することが、レーザをジャイロ共振器150の共振周波数に精度良くロックし、回転を精度良く測定する鍵である。変調周波数を(fmod+とfmod−の間で)切り換えない場合、強度変調信号500と理想的な共振器信号505を区別することができない。しかしながら、PDH変調周波数をfmod+=fFSR+Δfとfmod−=fFSR−Δfの間で切り換えることによって、ジャイロ共振器150から出力された電圧信号505の位相(振幅ではなく)が、変調基準に対して同位相の状態から180度位相の異なる状態へと切り換わる。簡略化のため、図5Aは、信号505の周期毎に位相が切り換わる電圧信号505を示す。実際には、位相の切り換わりは、信号505の非常に数多くの周期の間に生じるであろう。
【0044】
[55] 図5Bは、本発明による、図4A及び4Bのバイアス補正回路における第2デジタルミキサ412から出力された電圧信号を示す。再び、2回復調された信号が、2つの異なる信号に分解される。信号515は、強度変調に起因する2回復調された信号であり、常に平均ゼロを有する。累算器460(図4A及び4B)は、強度変調に起因する矩形波を取り除く。信号510は、レーザ周波数が共振から僅かに外れている場合における2回復調された共振器信号であり、この例ではゼロよりも大きい。強度変調に起因するいかなるバイアス誤差も、fmod+とfmod−に対して同じであり、相殺される。強度変調の誤差は、様々な方法、例えば、整数個のFMサイクルにわたって平均化すること、又は第2復調器の出力をローパスフィルタに通すことなどによって、除去される。矩形波が取り除かれると、回転を示す情報を持った共振器信号が得られる。
【0045】
[56] 図6A及び6Cは、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。図6B及び6Dは、本発明による、自由スペクトル領域を測定するための図6A及び6Cの各光信号に関連した変調器出力信号を示す。図7A−7Bは、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。図6A、6C、7A、及び7Bでは、平均の変調周波数fFSRを有するジャイロ共振器150の共振ピークがピーク600、601、及び602として示される。図6A、6C、及び7Aでは、キャリア周波数は、共振ピーク600において符号700を付された矢印によって示される。キャリア周波数700の(下方シフトされた周波数の)1次の下側側波帯は、共振ピーク600より下の1次共振ピーク601における矢印701及び701’によって示される。キャリア周波数700の(上方シフトされた周波数の)1次の上側側波帯は、共振ピーク600より上の1次共振ピーク602における矢印702及び702’によって示される。矢印の方向(上向き又は下向き)は、光信号の0度又は180度の位相のいずれかを表す。
【0046】
[57] 図7Bでは、キャリア周波数は、共振ピーク600において符号750を付された矢印によって示される。キャリア周波数750の(下方シフトされた周波数の)1次の下側側波帯は、共振ピーク600より下の1次共振ピーク601における矢印751及び751’によって示される。キャリア周波数750の(上方シフトされた周波数の)1次の上側側波帯は、共振ピーク600より上の1次共振ピーク602における矢印752及び752’によって示される。
【0047】
[58] 図6A−6Dは、どのようにして図1のRFOG10がジャイロ共振器150のFSRを測定する方法を提供するかを示す。図6Aでは、平均の変調周波数は、共振器のFSRに等しい。図6Aでは、fmod−の周波数変調に対する上側側波帯702と下側側波帯701間のビートは、曲線矢印650によって示される。よって、平均の変調周波数が共振器のFSRに等しく且つ周波数変調がfmod−である場合における、上側側波帯702と下側側波帯701間のビートは、本明細書においてビート650と称される。図6Aでは、fmod+の周波数変調に対する上側側波帯702’と下側側波帯701’間のビートは、曲線矢印650’によって示される。よって、平均の変調周波数が共振器のFSRに等しく且つ周波数変調がfmod+である場合における、上側側波帯702’と下側側波帯701’間のビートは、本明細書においてビート650’と称される。「ビート」、「ビート音」、及び「ビート信号」という用語は、本明細書において相互交換可能に用いられる。
【0048】
[59] 図6Bでは、2fmod+のビート650’(図6A)に対する(図1の伝送検出器115からの)検出器出力信号が、信号680(実線)として示される。図6Bでは、2fmod−のビート650(図6A)に対する(図1の伝送検出器115からの)検出器出力信号が、信号681(破線)として示される。平均の変調周波数が共振器のFSRに等しい場合、ビート信号680と681の振幅は等しい。よって、2f復調器(即ち、図2のFSR検出サーボ回路における第2ミキサ422)からの平均出力である2回復調された検出器信号は、ゼロである。
【0049】
[60] 図6Cでは、平均の変調周波数は、共振器のFSRよりも僅かに小さいfFSR−δfである。上側側波帯702及び下側側波帯701は、上側側波帯702’及び下側側波帯701’よりも、共振の中心から更に離れている。平均の変調周波数が共振器のFSRよりも僅かに小さく(例えばfFSR−δf)且つ周波数変調がfmod−である場合における、上側側波帯702と下側側波帯701間のビートは、本明細書においてビート655と称される。平均の変調周波数が共振器のFSRよりも僅かに小さく(例えばfFSR−δf)且つ周波数変調がfmod+である場合における、上側側波帯702’と下側側波帯701’間のビートは、本明細書においてビート655’と称される。
【0050】
[61] 図6Dでは、2fmod+のビート655’(図6C)に対する(図1の伝送検出器からの)検出器出力信号が、信号685(実線)として示される。図6Dでは、2fmod−のビート655(図6C)に対する(図1の伝送検出器からの)検出器出力信号が、信号686(破線)として示される。信号685と686の振幅は、側波帯のδf分のシフトに起因して等しくない。よって、2f復調器(即ち、図2のFSR検出サーボ回路における第2ミキサ422)からの出力である2回復調された検出器信号は、ゼロではなく、このことは、平均の変調周波数がジャイロ共振器150(図1)の自由スペクトル領域から外れていることを示す。
【0051】
[62] 図7A及び7Bは、どのようにして図1のRFOG10がかなりのバイアス誤差を取り除く方法を提供するかを示す。図7Aは、変調周波数fmod+とfmod−の両方に対して、どのようにしてヌルの共振器信号が共振条件にあるキャリア700を示すかを表す。図7Aは、共振にぴったり合っているキャリア700と、PDH変調周波数がfmod+である場合における(それぞれ下方シフトされた周波数と上方シフトされた周波数の)変調側波帯701’及び702’と、PDH変調周波数がfmod−である場合における(それぞれ下方シフトされた周波数と上方シフトされた周波数の)変調側波帯701及び702とを示す。
【0052】
[63] キャリア700が共振にぴったり合っていて且つ変調周波数がfmod+である場合、キャリア700と下側側波帯701’間のビートは、曲線矢印670’によって示され、キャリア700と上側側波帯702’間のビートは、曲線矢印671’によって示される。よって、キャリア700が共振にぴったり合っている場合における、下側側波帯701’とキャリア700間のビートは、本明細書においてビート670’と称される。同様に、キャリア700が共振にぴったり合っている場合における、上側側波帯702’とキャリア700間のビートは、本明細書においてビート671’と称される。キャリア700が共振にぴったり合っていて且つ変調周波数がfmod+である場合、2つのビート信号670’と671’の振幅は正確に等しいが、それらの相対的な位相は180度であり、したがって、当該2つのビート信号670’と671’は相殺してヌル信号を与える。このヌル信号は、レーザキャリア700が共振にぴったり合っていることの正確な指標である。
【0053】
[64] キャリア700が共振にぴったり合っていて且つ変調周波数がfmod−である場合、状況は同じに見える。キャリア700と下側側波帯701間のビートは、曲線矢印670によって示され、キャリア700と上側側波帯702間のビートは、曲線矢印671によって示される。よって、キャリア700が共振にぴったり合っている場合における、下側側波帯701とキャリア700間のビートは、本明細書においてビート670と称される。同様に、キャリア700が共振にぴったり合っている場合における、上側側波帯702とキャリア700間のビートは、本明細書においてビート671と称される。キャリア700が共振にぴったり合っていて且つ変調周波数がfmod−である場合、2つのビート信号670と671の振幅は正確に等しいが、それらの相対的な位相は180度であり、したがって、当該2つのビート信号670と671は相殺してヌル信号を与える。このヌル信号は、レーザキャリア700が共振にぴったり合っていることの正確な指標である。
【0054】
[65] 図7Bは、PDH変調周波数をfmod+とfmod−から切り換えることによって、レーザキャリア700が共振から外れている場合を検出するのに用いられる信号が、どのように変調されるかを示す。共振検出信号の変調は、真の共振検出信号と、PDH変調周波数の切り換えによって変調されない任意の誤差とを識別する方法を提供する。図7Bでは、レーザキャリア750がΔfだけ僅かに共振から外れていて、ベクトル矢750によって概略的に表されたキャリア周波数は、共振ピーク600のピークからΔfだけオフセットしている。これにより、(下方シフトされた周波数の)下側側波帯周波数751’及び751と(上方シフトされた周波数の)上側側波帯周波数752’及び752が、それぞれ共振ピーク601と602の中で+Δfだけシフトすることになる。PDH変調周波数がfFSR+Δfである場合、下側側波帯751’は、上側側波帯752’よりも共振ピークに近い位置にあり、したがって、共振器を通過後に上側側波帯752’よりも大きい振幅を有する。上側側波帯752’は、共振ピークからより離れた位置にある。
【0055】
[66] PDH変調周波数がfmod+である場合、下側側波帯751’とキャリア750間のビート信号は、曲線矢印675’によって示され、上側側波帯752’とキャリア750間のビート信号は、曲線矢印676’によって示される。よって、レーザキャリア750がΔfだけ僅かに共振から外れていて且つPDH変調周波数がfmod+である場合における、下側側波帯751’とキャリア750間のビートは、本明細書においてビート675’と称される。同様に、レーザキャリア750がΔfだけ僅かに共振から外れていて且つPDH変調周波数がfmod+である場合における、上側側波帯752’とキャリア750間のビートは、本明細書においてビート676’と称される。
【0056】
[67] レーザキャリア750が(例えば+Δfだけ)僅かに共振から外れていて且つPDH変調周波数がfmod+(即ちfFSR+Δf)である場合、ビート信号675’の振幅は、ビート信号676’の振幅よりも大きい。2つのビート信号675’と676’は反対の符号を有しているけれども、それらは同じ振幅を有しておらず、したがって、互いに相殺し合わず、それらは、一緒になって非ゼロの振幅を持った結果信号を生じさせる。この結果信号は、レーザキャリア750が僅かに共振から外れていることを示す。
【0057】
[68] PDH変調周波数がfmod−(即ちfFSR−Δf)である場合に関して状況は同様であるが、レーザキャリアが僅かに共振から外れていることを示す結果信号は、fmod+の場合における結果信号とは反対の符号を有する。下側側波帯751は、今度は上側側波帯752よりも共振ピークから離れた位置にあり、したがって、共振器を通過後に上側側波帯752よりも小さい振幅を有する。上側側波帯752は、今度は共振ピークにより近い位置にある。
【0058】
[69] 下側側波帯751とキャリア750間のビート信号は、曲線矢印675によって示され、上側側波帯752とキャリア750間のビート信号は、曲線矢印676によって示される。よって、レーザキャリア750がΔfだけ僅かに共振から外れていて且つPDH変調周波数がfmod−である場合における、下側側波帯751とキャリア750間のビートは、本明細書においてビート675と称される。同様に、レーザキャリア750がΔfだけ僅かに共振から外れていて且つPDH変調周波数がfmod−である場合における、上側側波帯752とキャリア750間のビートは、本明細書においてビート676と称される。2つのビート信号675と676は反対の符号を有しているけれども、それらは同じ振幅を有しておらず、したがって、互いに相殺し合わず、一緒になって非ゼロの振幅を持った結果信号を生じさせる。この結果信号は、レーザが僅かに共振から外れていることを示す。
【0059】
[70] しかしながら、PDH変調がfmod−である場合にレーザキャリア750が僅かに共振から外れていることを示す信号は、PDH変調がfmod+である場合にレーザキャリアが僅かに共振から外れていることを示す信号の符号に対して反対である。PDH変調周波数がある切り換え周波数(FM)でfmod+とfmod−の間で周期的に切り換わる場合、レーザキャリア750が僅かに共振から外れている場合を示す信号の符号は、当該切り換え周波数(FM)で変調される。この共振検出信号の符号の切り換わりは、真の共振検出信号と、当該切り換わりによって変調を受けない任意の不要な誤差とを識別する方法を提供する。
【0060】
[71] FSRを測定するために、FSR検出サーボ回路202及び252の第1復調器421は、変調周波数の2倍で復調を行っている。CWレーザ106からの光ビーム126は、第1時間期間(例えばΔT=5秒)にfmod+で変調され、次いで5秒後に、CWレーザ106は、次の第2時間期間(例えばΔT=5秒)にfmod−で変調され、次いで、CWレーザ106は、第3時間期間(例えばΔT=5秒)にfmod+で変調される。RFOG10は、上側側波帯と下側側波帯間のビートを検出する。このビートは、側波帯が2×FSRだけ分離しているため、fFSR±Δfの変調周波数の2倍で生じる。もしジャイロ共振器150のFSRが時間ΔTの間に変化したなら、スイッチ450(図2)が状態を切り換える時に、PDH変調周波数の2倍の信号の振幅が変化する。このようにして、RFOG10は、ジャイロ共振器150のFSRの変化を検出する。
【0061】
[72] もしCW経路とCCW経路の両方が変調されるなら、その場合は、同時に、CCWレーザ105からの光ビーム125は、第1時間期間(例えばΔT=5秒)にfmod−で変調され、次いで5秒後に、CCWレーザ105は、第2時間期間(例えばΔT=5秒)にfmod+で変調され、次いで、CCWレーザ105は、ある時間期間(例えばΔT=5秒)にfmod−で変調される。
【0062】
[73] 再び図6Dを参照すると、PDH変調周波数の2倍の信号(即ち信号685及び686)が、ビート周波数の振幅を測定するためにFSR検出サーボ回路202及び252(図2)の第1復調器421を通される。第1復調器421の出力は、高い値から低い値へシフトする。このシフトは、光ビームにおける変調周波数が切り換えられるのと同時に発生する。
【0063】
[74] FSR検出サーボ回路202及び252(図2)の第2復調器422は、切り換え周波数fFMで復調を行う。よって、第2復調器422は、FSRからの偏差に比例した出力信号を供給する。第2復調器422からの出力は、平均の変調周波数がFSR又はFSRの倍数である場合に、ゼロとなる。第2復調器422からの誤差信号は、累算器へと進み、累算器は、サーボとして動作して、平均の変調周波数をジャイロ共振器のFSRに等しくなるように制御する。
【0064】
[75] この実施態様のある実装では、ジャイロ共振器150のFSRは1MHzであり、fmod+=fFSR+Δfは1.1MHzであり、fmod−=fFSR−Δfは0.9MHzである。
【0065】
[76] RFOG10は、2レーザのシステムにおける不完全性を取り除く。システム20は、共振検出信号を変調する方法でPDH変調周波数を変調するが、変調の不完全性に関連するバイアス誤差を変調せず、したがって、所要の共振検出信号と不要なバイアス誤差とを識別する手段を提供する。共振検出信号の変調は、これより前に論じられた。以下の議論は、変調の不完全性(強度変調及び第2次高調波歪み)に起因するバイアス誤差が、PDH変調周波数の変調によってどうして変調を受けないかということに焦点を当てる。
【0066】
[77] 図8は、本発明による、共振ピークに関する光信号の周波数、振幅、及び位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。光信号の周波数、振幅、及び位相は、意図されたPDH変調と、第2次高調波歪みに起因する不完全性によるものである。レーザキャリア700は、共振ピーク600の中心に位置し、キャリア700の共振ピーク600よりもFSR2つ分下の共振ピーク603に(変調プロセスの非線形性に起因する)2次の下側側波帯703、703’を有する。(変調プロセスの非線形性に起因する)レーザキャリア700の2次の上側側波帯704及び704’は、キャリア700の共振ピーク600よりもFSR2つ分上の共振ピーク604にある。側波帯701’、702’、703’、及び704’は、PDH変調周波数がfFSR+Δfである場合に対応し、側波帯701、702、703、及び704は、PDH変調周波数がfFSR−Δfである場合に対応する。レーザキャリア700の周波数が共振にぴったり合っている場合、側波帯701’及び702’とレーザキャリア700間のビート信号は、これより前に論じられたように、互いに相殺し合う。同様に、レーザキャリア700の周波数が共振にぴったり合っている場合、側波帯701及び702とレーザキャリア700間のビート信号は、互いに相殺し合う。ヌル信号が、レーザキャリア700が共振にぴったり合っている場合を示す。
【0067】
[78] しかしながら、第2次高調波歪みによって発生した側波帯は、レーザキャリアが共振にぴったり合っている場合に相殺しないビート信号を生じさせ、したがって、回転検知誤差をもたらす結果となる。(ビート870として概略的に表された)703’と701’間のビート信号は、(ビート871として概略的に表された)704’と702’間のビート信号と同じ符号を有し、したがって、相殺しない。同様に、703と701間のビート信号870は、704と702間のビート信号871と同じ符号を有し、したがって、それらは相殺しない。PDH変調周波数fFSR+ΔfとfFSR−Δfのそれぞれに対して、第2次高調波歪みに由来するバイアス誤差が存在する。しかしながら、共振ピークが対称であり且つ平均のPDH変調周波数が共振器のFSRである限り、それらバイアス誤差は同じ振幅を持ち、したがって、PDH変調周波数を切り換えることによって変調されることはない。ジャイロ共振器のFSRは温度又は他の環境変化と共に変化し得るので、FSR検出サーボ回路によって平均のPDH変調周波数をFSRに制御することは、第2次高調波歪み誤差の良好な除去を維持するのに重要である。共振器信号は、バイアス補正回路204及び254のADC405によってデジタル化された後、第1デジタルミキサ411によって復調される(図4A)。デジタルミキサ411の後の所要の共振検出信号は、切り換え周波数fFMで変調されるのに対して、第2次高調波歪みに起因する不要な信号は、デジタルミキサ411の後において一定即ち直流である。所要の共振検出信号は、第2デジタルミキサ412の後において直流へと復調されるのに対して、第2次高調波歪みに起因する不要な信号は、第2デジタルミキサ412の後において周波数が直流から切り換え周波数fFMへアップコンバートされる。切り換え周波数fFMは、バイアス誤差が容易にフィルタリングされ得る、即ち、取り除かれ得るように選ばれる。PDH周波数変調によって生じる強度変調からの誤差は、当業者に理解可能であるとおり、同様に除去される。
【0068】
[79] 図9は、本発明による、後方散乱からの干渉を防止するジャイロ共振器150の共振ピークに関するCWビームとCCWビームについてのキャリア周波数及び側波帯周波数の周波数、振幅、並びに位相を表現する例示的なベクトル矢を示す。示されるように、CWビーム126(図1)についてのキャリア周波数760の共振モードは、CCWビーム125(図1)についてのキャリア周波数770の共振モードからオフセットしている。具体的には、共振ピーク600におけるCWビームのキャリア周波数760は、共振ピーク602におけるCCWビームのキャリア周波数770からFSR1つ分だけオフセットしている。この例示的な場合において、CWビームとCCWビームの変調周波数は、両方とも2fFSRに設定される。よって、共振ピーク603におけるCWビームの下側側波帯周波数761と共振ピーク604におけるCWビームの上側側波帯周波数762は、CCWビームの共振ピーク602におけるキャリア周波数770のところにはない。同様に、共振ピーク603におけるCWビームの下側側波帯周波数761と共振ピーク604におけるCWビームの上側側波帯周波数762は、共振ピーク601におけるCCWビームの下側側波帯周波数771及び共振ピーク606におけるCCWビームの上側側波帯周波数772のところにはない。
【0069】
[80] 共振モードと周波数変調のこのような選択は、キャリア及び側波帯の周波数の重なりを回避する。よって、CWビーム上の任意の後方反射とCCWビームとの干渉、又はCCWビーム上の任意の後方反射とCWビームとの干渉は、復調周波数から十分離れた周波数で発生し、したがって、容易に取り除かれることが可能である。CWビームとCCWビームのキャリア周波数及び側波帯周波数の重なりを回避するために、他の変調周波数が選ばれることが可能である。
【0070】
[81] 本明細書において説明されたシステムの実施態様は、共振器の検知コイル自体によるフィルタリングを可能にする。この実施態様のある実装では、変調周波数はジャイロ共振器のFSRの10倍である。その場合、10fFSRよりも小さい周波数におけるいかなるRIN雑音及びレーザ位相雑音も、検知コイルのフィルタリング効果によって弱められる。
【0071】
[82] 商業的製品に対しては、これは10fFSR=50MHzとなるであろう。ニオブ酸リチウム(LiNbO)位相変調器は、そのような高周波で動作する能力を有している。しかしながら、これらの種類の位相変調器は、商業的用途にとっては高価である。もし低コストで高帯域幅の位相変調器が開発されなければ、商業的用途のための好ましい実施態様は、位相変調器を用いないことである。位相変調器は、PDH変調をレーザに適用することによって不要とされることが可能である。この実施態様の別の実装では、レーザ周波数の側波帯は、レーザ周波数を直接的に変調することによって、例えば、半導体レーザの注入電流又はレーザ発振キャビティ内の電気光学素子を変調することによって、発生する。
【0072】
[83] 図10は、本発明による、共振周波数及び自由スペクトル領域を検出するための方法1000の一実施態様のフロー図である。方法1000は図1のRFOG10を参照して説明されるが、本方法は、本明細書において説明されたRFOGの他の実施態様に関して実施されることが可能である。
【0073】
[84] ブロック1002において、第1レーザ106(即ちCWレーザ106)が変調されて、上方シフトされた周波数と下方シフトされた周波数に第1側波帯を有する時計回りの光ビーム126を放射する。第1レーザの変調周波数は、FSRの第1の整数倍(例えばf1mod±=NfFSR)、又はFSRの第1の整数倍プラス第1の増分(例えばf1mod±=NfFSR±Δf)の一方である。
【0074】
[85] ブロック1004はオプションである。もしブロック1004が実施されないなら、本文書を読んで理解した当業者には理解可能であるように、共振器ジャイロのFSRは、CW光ビーム126の変調によって検出される。
【0075】
[86] ブロック1004において、第2レーザ105(即ちCCWレーザ105)が同時に変調されて、上方シフトされた周波数と下方シフトされた周波数に第2側波帯を有する反時計回りの光ビーム125を放射する。第2レーザの変調周波数は、FSRの第2の整数倍(例えばf2mod±=MfFSR)、又はFSRの第2の整数倍プラス第1レーザ106の第1の増分とは異なる第2の増分(例えばf2mod±=MfFSR±Δf)の一方である(例えば、MはNに等しくない)。この場合、CCW PDH変調発生器101とCW PDH変調発生器102はそれぞれ、異なるΔfを発生させる。この実施態様の別の実装では、CCW PDH変調発生器101とCW PDH変調発生器102はそれぞれ、同じΔfを発生させる。
【0076】
[87] このようにして、RFOG10は、時計回り(CW)のレーザ周波数と反時計回り(CCW)のレーザ周波数をジャイロ検知共振器150の異なる縦モードにロックさせる(図1を参照)。第1レーザ106のキャリア周波数は、検知共振器150の第1CW縦モードにロックされる。第2レーザ105のキャリア周波数は、検知共振器150の第2CCW縦モードにロックされる。第2CCW縦モードは、ジャイロスコープ共振器150の自由スペクトル領域(即ちM−N)の少なくとも1つ(即ちM−N≧1)分だけ、第1CW縦モードからオフセットしている。
【0077】
[88] Pound−Drever−Hall変調サイン波が、CW(第1)Pound−Drever−Hall変調発生器102の第1ポートから時計回り光ビーム126の経路中のCW(第1)位相変調器112へ周波数変調f1mod±で出力される。
【0078】
[89] もしブロック1004が実施されるなら、周波数変調f2mod±のPound−Drever−Hall変調サイン波が、CCW(第2)Pound−Drever−Hall変調発生器101の第1ポートから反時計回り光ビーム125の経路中のCCW(第2)位相変調器111へ出力される。
【0079】
[90] ブロック1006において、時計回り光ビーム126が、ジャイロスコープ共振器150の時計回り入力ポート152に結合される。ブロック1008において、反時計回り光ビーム125が、ジャイロスコープ共振器150の反時計回り入力ポート151に結合される。
【0080】
[91] ブロック1010において、RFOG10は、第1レーザ(CWレーザ)106の変調周波数をfmod+とfmod−の間で周期的に切り換える。ブロック1012において、RFOG10は、第2レーザ(CCWレーザ)105の変調周波数をfmod+とfmod−の間で周期的に切り換える。当該切り換えは、二重復調と組み合わされると、ジャイロスコープ共振器150のバイアス誤差を変調し、その一方で、回転情報は変化せず、また変調における不完全性に起因する誤差は相殺される。
【0081】
[92] FSR検出サーボ回路202及び252のスイッチ450の状態は、fmod+とfmod−から切り換わるように、和信号Cを出力する状態から差信号Dを出力する状態へと切り換えられる(図2を参照)。同様に、FSR検出サーボ回路202及び252のスイッチ450の状態は、fmod−とfmod+から切り換わるように、差信号Dを出力する状態から和信号Cを出力する状態へと切り換えられる(図2を参照)。
【0082】
[93] ブロック1014において、レーザの周波数変調又は位相変調がCWレーザ及びCCWレーザの共振追従変調よりも低い周波数で変調されるため、ジャイロスコープ共振器150のFSRが、上記切り換えに基づいて検知される。ジャイロスコープ共振器の回転速度が、同期検波法を用いて決定される。本明細書において説明されたように、変調の不完全性(強度変調及び第2次高調波歪み)に起因するバイアス誤差は、PDH変調周波数における変調によって変調されず、したがって、取り除かれる。CW光ビームとCCW光ビームのPDH変調周波数fFSR+Δf及びfFSR−Δfの両方に対して、第2次高調波歪みに由来するバイアス誤差が存在する。しかしながら、共振ピークが対称であり且つ平均のPDH変調周波数が共振器のFSRである限り、それらバイアス誤差は同じ振幅を持ち、したがって、PDH変調周波数を切り換えることによって変調されることはない。このようにして、RFOG10は、所要の共振検出信号と不要なバイアス誤差とを識別する。
【0083】
[94] 例示的実施態様
【0084】
[95] 例1は、時計回り入力ポートと反時計回り入力ポートと自由スペクトル領域(FSR)とを有するジャイロスコープ共振器と、時計回り光ビームを前記時計回り入力ポートに結合するように構成された第1レーザと、前記時計回り光ビームが前記時計回り入力ポートに結合される前に前記時計回り光ビームを共振追従変調で変調するための時計回りPound−Drever−Hall変調発生器と、バイアス補正回路と、前記時計回りPound−Drever−Hall変調発生器に通信可能に結合されたスイッチを含む自由スペクトル領域(FSR)検出サーボ回路と、前記反時計回り入力ポートから出力された光ビームを受け取り、前記バイアス補正回路と前記FSR検出サーボ回路へ信号を出力するように構成された時計回り伝送検出器と、反時計回り光ビームを前記反時計回り入力ポートに結合するように構成された第2レーザと、を備え、前記ジャイロスコープ共振器の前記FSRが、前記時計回り光ビームのPound−Drever−Hall変調に基づいて測定される、共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0085】
[96] 例2は、前記バイアス補正回路は、第1バイアス補正回路であり、前記FSR検出サーボ回路は、第1FSR検出サーボ回路であり、前記共振追従変調は、第1共振追従変調であり、前記スイッチは、第1スイッチであり、前記共振器光ファイバジャイロスコープは、更に、前記反時計回り光ビームが前記反時計回り入力ポートに結合される前に前記反時計回り光ビームを第2共振追従変調で変調するための反時計回りPound−Drever−Hall変調発生器と、第2バイアス補正回路と、前記反時計回りPound−Drever−Hall変調発生器に通信可能に結合された第2スイッチを含む第2FSR検出サーボ回路と、前記時計回り入力ポートから出力された光ビームを受け取り、前記第2バイアス補正回路と前記第2FSR検出サーボ回路へ信号を出力するように構成された反時計回り伝送検出器と、を備え、前記FSRが、前記時計回り光ビームのPound−Drever−Hall変調と前記反時計回り光ビームのPound−Drever−Hall変調に基づいて測定される、例1の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0086】
[97] 例3は、前記第1バイアス補正回路と前記第2バイアス補正回路は、アナログデジタル変換器と、前記アナログデジタル変換器から入力を受け取る第1デジタルミキサと、前記第1デジタルミキサから入力を受け取る第2デジタルミキサと、前記第2デジタルミキサから入力を受け取り、Pound−Drever−Hallループのロック設定点を制御する累算器であって、バイアス誤差が平均ゼロに制御される、累算器と、デジタルアナログ変換器と、を含み、前記第1バイアス補正回路の前記デジタルアナログ変換器からの出力が、時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路へ入力され、前記第2バイアス補正回路の前記デジタルアナログ変換器からの出力が、反時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路へ入力される、例2の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0087】
[98] 例4は、前記第1FSR検出サーボ回路と前記第2FSR検出サーボ回路は、それぞれ前記第1スイッチと前記第2スイッチを制御するためのクロック信号を発生させる各クロックを更に含み、前記第1及び第2FSR検出サーボ回路からの前記クロック信号が、それぞれ前記第1及び第2バイアス補正回路の前記第2デジタルミキサへ入力され、前記第1レーザの変調周波数が、fmod+とfmod−の間で周期的に切り換えられ、前記第2レーザの変調周波数が、fmod+とfmod−の間で周期的に切り換えられ、前記周期的な切り換えは、前記変調の不完全性に起因する誤差を相殺し、前記ジャイロスコープ共振器のFSRが、前記周期的な切り換えに基づいて検知される、例3の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0088】
[99] 例5は、前記時計回り伝送検出器から出力された電圧信号が、前記第1バイアス補正回路の前記アナログデジタル変換器と前記第1自由スペクトル領域(FSR)検出サーボ回路のアナログデジタル変換器へ入力され、前記第1バイアス補正回路内において、前記アナログデジタル変換器からの出力が、前記第1デジタルミキサにおいて変調周波数fmodの基準信号と混合され、前記第1デジタルミキサからの出力が、前記第1FSR検出サーボ回路のクロックからの切り換え周波数で発生した前記クロック信号と混合され、前記反時計回り伝送検出器から出力された電圧信号が、前記第2バイアス補正回路の前記アナログデジタル変換器と前記第2自由スペクトル領域(FSR)検出サーボ回路のアナログデジタル変換器へ入力され、前記第2バイアス補正回路内において、前記アナログデジタル変換器からの出力が、前記第1デジタルミキサにおいて変調周波数fmodの前記基準信号と混合され、前記第1デジタルミキサからの出力が、前記第2FSR検出サーボ回路のクロックからの切り換え周波数で発生した前記クロック信号と混合される、例3−4のいずれかの共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
例6は、前記時計回りPound−Drever−Hall変調発生器は、前記第1及び第2FSR検出サーボ回路のそれぞれから前記変調周波数を表す第1デジタルデータを受け取り、Pound−Drever−Hall変調周波数のアナログサイン波電圧を出力するための第1ダイレクトデジタルシンセサイザと、前記第1及び第2FSR検出サーボ回路のそれぞれから前記変調周波数の2倍を表す第2デジタルデータ出力を受け取り、Pound−Drever−Hall変調周波数の2倍のデジタル基準信号を出力するための第2ダイレクトデジタルシンセサイザと、前記第1及び第2ダイレクトデジタルシンセサイザに共通のダイレクトデジタルシンセサイザクロックと、を含む、例2−5のいずれかの共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0089】
[100] 例7は、前記時計回り光ビームが、前記検知共振器の第1時計回り縦共振モードの1つに設定された第1周波数を有し、前記反時計回り光ビームが、前記時計回り光ビームの前記第1縦モードとは異なる前記検知共振器の第2反時計回り縦共振モードの1つに設定された第2周波数を有し、前記第1縦モードと前記第2縦モードが、少なくともFSR1つ分だけ異なる、例2−6のいずれかの共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0090】
[101] 例8は、前記時計回り光ビームが、前記FSRの第1の整数倍、又は前記FSRの第1の整数倍プラス第1の増分に設定された位相変調周波数を有し、前記反時計回り光ビームが、前記FSRの第2の整数倍、又は前記FSRの第2の整数倍プラス前記時計回り光ビームの前記第1の増分とは異なる第2の増分に設定された周波数を有し、前記第1の整数と前記第2の整数が、少なくとも1だけ異なる、例2−7のいずれかの共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0091】
[102] 例9は、前記バイアス補正回路は、アナログデジタル変換器と、前記アナログデジタル変換器から入力を受け取る第1デジタルミキサと、前記第1デジタルミキサから入力を受け取る第2デジタルミキサと、前記第2デジタルミキサから入力を受け取り、Pound−Drever−Hallループのロック設定点を制御する累算器であって、バイアス誤差が平均ゼロに制御される、累算器と、デジタルアナログ変換器と、を含み、前記バイアス補正回路の前記デジタルアナログ変換器からの出力が、時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路へ入力され、前記FSR検出サーボ回路は、前記スイッチを制御するためのクロック信号を発生させるクロックを含み、前記クロック信号が、前記バイアス補正回路の前記第2デジタルミキサへ入力され、前記レーザの変調周波数が、前記変調の不完全性に起因する誤差を相殺し前記ジャイロスコープ共振器のFSRを検知するために、fmod+とfmod−の間で周期的に切り換えられ、前記時計回り伝送検出器から出力された電圧信号が、前記バイアス補正回路の前記アナログデジタル変換器と前記自由スペクトル領域(FSR)検出サーボ回路のアナログデジタル変換器へ入力され、前記バイアス補正回路の前記アナログデジタル変換器からの出力が、前記第1デジタルミキサにおいて変調周波数fmodの基準信号と混合され、前記第1デジタルミキサからの出力が、前記FSR検出サーボ回路の前記クロックからの切り換え周波数で発生した前記クロック信号と混合され、前記時計回りPound−Drever−Hall変調発生器は、前記FSR検出サーボ回路から前記変調周波数を表す第1デジタルデータを受け取り、Pound−Drever−Hall変調周波数のアナログサイン波電圧を出力するための第1ダイレクトデジタルシンセサイザと、前記FSR検出サーボ回路から前記変調周波数の2倍を表す第2デジタルデータ出力を受け取り、Pound−Drever−Hall変調周波数の2倍のデジタル基準信号を出力するための第2ダイレクトデジタルシンセサイザと、前記第1及び第2ダイレクトデジタルシンセサイザに共通のダイレクトデジタルシンセサイザクロックと、を含む、例1の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0092】
[103] 例10は、共振器光ファイバジャイロスコープにおけるジャイロスコープ共振器の自由スペクトル領域(FSR)を測定する方法であって、上方シフトされた周波数と下方シフトされた周波数に側波帯を有する時計回り光ビームを放射するようにレーザを変調するステップであって、レーザの変調周波数は、FSRの第1の整数倍、又は前記FSRの前記第1の整数倍プラス増分の一方である、ステップと、前記時計回り光ビームを前記ジャイロスコープ共振器の時計回り入力ポートに結合するステップと、反時計回り光ビームを前記ジャイロスコープ共振器の反時計回り入力ポートに結合するステップと、前記変調の不完全性に起因する誤差を相殺するように前記レーザの前記変調周波数をfmod+とfmod−の間で周期的に切り換えるステップと、前記切り換えに基づいて前記ジャイロスコープ共振器のFSRを検知するステップと、を含む方法を含む。
【0093】
[104] 例11は、前記レーザは、第1レーザであり、前記側波帯は、第1側波帯であり、前記レーザの変調周波数は、第1レーザの変調周波数であり、前記増分は、第1の増分であり、前記方法は、更に、上方シフトされた周波数と下方シフトされた周波数に第2側波帯を有する前記反時計回り光ビームを放射するように第2レーザを同時に変調するステップであって、前記第2レーザの変調周波数は、前記FSRの第2の整数倍、又は前記FSRの前記第2の整数倍プラス第2の増分の一方である、ステップと、前記変調の不完全性に起因する誤差を相殺するように前記第2レーザの前記変調周波数をfmod+とfmod−の間で周期的に切り換えるステップと、を含む、例10の方法を含む。
【0094】
[105] 例12は、前記第1レーザのキャリア周波数を前記ジャイロスコープ共振器の第1縦モードにロックするステップと、前記第2レーザのキャリア周波数を前記ジャイロスコープ共振器の第2縦モードにロックするステップであって、前記第2縦モードは、少なくとも前記ジャイロスコープ共振器の自由スペクトル領域1つ分だけ前記第1縦モードからオフセットしている、ステップと、を更に含む、例10−11のいずれかの方法を含む。
【0095】
[106] 例13は、Pound−Drever−Hall変調サイン波を第1Pound−Drever−Hall変調発生器の第1ポートから前記時計回り光ビームの経路中の第1位相変調器へ前記第1周波数変調で出力するステップを更に含む、例10−12のいずれかの方法を含む。
【0096】
[107] 例14は、Pound−Drever−Hall変調サイン波を第2Pound−Drever−Hall変調発生器の第1ポートから前記反時計回り光ビームの経路中の第2位相変調器へ前記第2周波数変調で出力するステップを更に含む、例11−13のいずれかの方法を含む。
【0097】
[108] 例15は、同期検波法を用いて前記ジャイロスコープ共振器の回転速度を決定するステップを更に含む、例10−14のいずれかの方法を含む。
【0098】
[109] 例16は、時計回り入力ポートと反時計回り入力ポートと自由スペクトル領域(FSR)とを有するジャイロスコープ共振器と、時計回り光ビームを前記時計回り入力ポートに結合するように構成された第1レーザと、時計回りPound−Drever−Hall変調発生器と、前記時計回りPound−Drever−Hall変調発生器に通信可能に結合され、前記時計回り光ビームを変調するように動作可能な時計回り位相変調器と、前記ジャイロスコープ共振器の前記反時計回り入力ポートから出力された光ビームを検出するように配置された時計回り伝送光検出器と、前記時計回り伝送光検出器からの信号を入力する第1バイアス補正回路と、前記時計回り伝送光検出器からの信号を入力する、第1スイッチを含む第1自由スペクトル領域(FSR)検出サーボ回路と、前記第1バイアス補正回路からの信号を入力し、前記時計回り位相変調器と前記第1レーザへ信号を出力する時計回りPound−Drever−Hallサーボ回路と、反時計回り光ビームを前記時計回り入力ポートに結合するように構成された第2レーザと、反時計回りPound−Drever−Hall変調発生器と、前記反時計回りPound−Drever−Hall変調発生器に通信可能に結合され、前記反時計回り光ビームを変調するように動作可能な反時計回り位相変調器と、前記ジャイロスコープ共振器の前記反時計回り入力ポートから出力された光ビームを検出するように配置された反時計回り伝送光検出器と、前記反時計回り伝送光検出器からの信号を入力する第2バイアス補正回路と、前記反時計回り伝送光検出器からの信号を入力する、第2スイッチを含む第2FSR検出サーボ回路と、を備え、前記第1スイッチと前記第2スイッチは、それぞれ前記第1レーザと前記第2レーザの変調周波数を第1変調周波数と第2変調周波数の間で周期的に切り換えるように動作可能である、共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0099】
[110] 例17は、前記第1バイアス補正回路は、前記時計回り方向における前記時計回り光ビームと前記共振器の共振周波数との周波数差を測定するために前記第1変調周波数で復調する第1デジタルミキサを含み、前記第2バイアス補正回路は、前記反時計回り方向における前記反時計回り光ビームと前記共振器の共振周波数との周波数差を測定するために前記第2変調周波数で復調する第1デジタルミキサを含み、復調の際に、回転情報は変化せず、バイアス誤差が変調される、例16の共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0100】
[111] 例18は、前記第1FSR検出サーボ回路は、更に、前記第1スイッチを制御するための第1クロック信号を発生させる第1クロックと、前記第1変調周波数の2倍の信号を入力する第1デジタルミキサと、前記第1クロック信号を入力する第2デジタルミキサと、を含み、前記第2FSR検出サーボ回路は、更に、前記第2スイッチを制御するための第2クロック信号を発生させる第2クロックと、前記第2変調周波数の2倍の信号を入力する第1デジタルミキサと、前記第2クロック信号を入力する第2デジタルミキサと、を含む、例16−17のいずれかの共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0101】
[112] 例19は、前記時計回り光ビームが、前記検知共振器の第1時計回り縦共振モードの1つに設定された第1周波数を有し、前記反時計回り光ビームが、前記時計回り光ビームの前記第1縦モードとは異なる前記検知共振器の第2反時計回り縦共振モードの1つに設定された第2周波数を有し、前記第1縦モードと前記第2縦モードが、少なくともFSR1つ分だけ異なる、例16−18のいずれかの共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0102】
[113] 例20は、前記時計回り光ビームが、前記FSRの第1の倍数に設定された位相変調周波数を有し、前記反時計回り光ビームが、前記FSRの第2の倍数に設定された位相変調周波数を有し、前記第1の倍数と前記第2の倍数が、少なくとも1だけ異なる、例16−19のいずれかの共振器光ファイバジャイロスコープを含む。
【0103】
[114] 本明細書において特定の実施態様が例示され説明されてきたけれども、それと同じ目的を達成するように意図されたあらゆる改変が、示された当該特定の実施態様に取って代わることができる、ということが当業者によって理解されるだろう。この出願は、本発明のあらゆる翻案又は変形を網羅するように意図される。したがって、この発明は、クレーム及びその均等物によってのみ限定される、ということが明白に意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9
図10