(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による空気調和機は、室内機が、送風ファンと、集塵フィルターが設置可能な空気吸込み口と、ブラシを有して集塵フィルターに堆積した塵埃を除去可能な掃除機構とを備え、空気吸込み口に集塵フィルターが設置されていることを、送風ファン又は掃除機構の運転状態に基づいて検知可能であり、空気吸込み口に集塵フィルターが設置されていることを検知した場合には、送風ファンの回転数を増加させる。送風ファンの回転数を増やすことにより、集塵フィルターの設置に起因する圧力損失による熱交換器への通過風量の低下を防止し、冷暖房性能と除湿性能の低下を防止することで、冷暖房性能と除湿性能を確保することができる。
【0016】
好ましくは、送風ファンの運転状態として送風ファンを駆動するファンモーターに入力する電流の値を用い、この電流の値が予め定めた規定値より大きい場合には、空気吸込み口に集塵フィルターが設置されていることを検知したとして、送風ファンの回転数を増加させる。集塵フィルターを空気吸込み口に設置すると、圧力損失が増加し、これに伴い、指令回転数で回転しようとする送風ファンは、圧力損失の増加の影響を受けて入力電流の値が大きくなる。この電流値の変化に基づいて、集塵フィルターの設置の有無を検知することができる。
【0017】
好ましくは、送風ファンが予め定めた一定の回転数で回転しているときに上記の電流の値が規定値より大きい場合には、送風ファンの回転数を増加させる。送風ファンの回転数を一定にすることで、集塵フィルターの検出精度を向上させることができる。
【0018】
好ましくは、室内機が上下風向板をさらに備え、送風ファンが予め定めた一定の回転数で回転しており上下風向板の角度が予め定めた一定の角度であるときに上記の電流の値が規定値より大きい場合には、送風ファンの回転数を増加させる。上下風向板の角度を一定にして風量を一定に保つことで、集塵フィルターの検出精度を向上させることができる。
【0019】
なお、通常運転である空気調和運転(冷房、暖房、又は除湿運転)を開始する前に集塵フィルターの設置を検知することで、空気調和運転の性能低下を抑制することが可能である。
【0020】
好ましくは、室内機が空気調和機の使用空間内の人の有無を検知する人検知センサーをさらに備え、人検知センサーが人の不在を検知した場合に、空気吸込み口に集塵フィルターが設置されているかを検知する。集塵フィルターの検出には一定の時間を必要とするが、集塵フィルターの検出中に空気調和運転の性能が低下し、使用者に不満が生じるおそれがある。そこで、人検知センサーで使用者の有無を検知し、使用者がいないと判断した場合に集塵フィルターが設置されているか否かを検出することで、使用者に不満を生じさせないようにすることができる。
【0021】
好ましくは、空気吸込み口に集塵フィルターが設置されていることを検知した場合には、空気調和機の運転時間を積算し、運転時間の積算値が予め定めた規定値以上の場合には、集塵フィルターを交換する必要があることを表示する。集塵フィルターは、長期の使用により集塵性能や物性的強度等が劣化することがあるため、交換が必要となる。この交換時期を自動で使用者に知らせることにより、集塵性能を保つことが可能である。
【0022】
好ましくは、送風ファンの運転状態として掃除機構を駆動するモーターのトルクの値を用い、このトルクの値が予め定めた規定値より大きい場合には、空気吸込み口に集塵フィルターが設置されていることを検知したとして、送風ファンの回転数を増加させる。空気吸込み口に集塵フィルターが設置されていることを検知するのに、このトルクの値のみを用いてもよいが、このトルクの値と、上記の送風ファンを駆動するファンモーターに入力する電流の値とを併用することにより、集塵フィルターの設置の有無を検知する精度を向上させることができる。
【0023】
好ましくは、送風ファンの運転状態として、送風ファンを駆動するファンモーターに予め定めた一定の電圧を印加しているときの送風ファンの回転数を用い、この回転数が予め定めた規定値より小さい場合には、空気吸込み口に集塵フィルターが設置されていることを検知したとして、送風ファンの回転数を増加させる。集塵フィルターが設置されると、圧力損失が増加して送風ファンの回転数が低下することを利用して、集塵フィルターの検出を行う。
【0024】
初めに、
図1〜3を用いて、本発明の実施例による空気調和機1の全体構成を説明する。
図1は、空気調和機1の構成図であり、
図2は、
図1に示した室内機2の側断面図であり、
図3は、前面パネル7を外した状態の室内機2の斜視図である。
図2の左右方向が、室内機2の前後方向である。
【0025】
図1に示すように、空気調和機1は、室内機2と、室内機2に接続配管5で接続された室外機3とを備え、室内を空気調和する。
【0026】
図2に示すように、室内機2の筐体9には、空気吸込み口6(上部空気吸込み口6aと前部空気吸込み口6b)が設けられ、送風ファン14、フィルター15a、15b、熱交換器16、露受皿17、上下風向板18、左右風向板19等の基本的な内部構造体が取付けられる。上部空気吸込み口6aは室内機2の上部に、前部空気吸込み口6bは室内機2の前部に、それぞれ設けられる。フィルター15aは上部空気吸込み口6aに、フィルター15bは前部空気吸込み口6bに、それぞれ取付けられる。熱交換器16は、送風ファン14の吸込側に配置され、略逆V字状に形成されている。また、室内機2は、フィルター15a、15bを掃除する可動式フィルター掃除ユニット26を備える。さらに、室内機2は、赤外線センサーや画像センサーなどの人検知センサー29を備え、人検知センサー29によって使用空間内の人の有無を検知することができる。
【0027】
筐体9の内側に取付けられた送風ファン14等の基本的な内部構造体は、
図1に示すように、化粧枠8を筐体9に取付けることにより室内機2内に内包される。化粧枠8の前面には、前面パネル7が取付けられている。前面パネル7の下方には、運転状況を表示する表示部11と、別体のリモコン12からの赤外線の操作信号を受ける受光部10とが配置されている。
【0028】
図2において、送風ファン14を動作させることにより、空気は白抜き矢印のように空気吸込み口6から空気吹出し口13へ室内機2を通過して流れ、室内機2を通過する空気中の塵埃は、フィルター15a、15bに捕集される。フィルター15a、15bは、室内機2に吸い込まれた室内空気に含まれる塵埃を取り除くためのものであり、熱交換器16の吸込側を覆うように配置されている。フィルター15a、15bに補足された塵埃は、空気調和運転の停止後、塵埃をかき取るための起毛ブラシ25のついた可動式フィルター掃除ユニット26を、室内機2の左右方向(
図2の紙面に垂直な方向)に沿ってフィルター15a、15bの面上を往復動作させることで取り除かれる。
【0029】
図3を用いて、可動式フィルター掃除ユニット26の動作を説明する。可動式フィルター掃除ユニット26は、フィルター15a、15bを常に清潔に保ち、フィルター15a、15bの網の目詰まりによる流入空気の減少を抑え、冷暖房性能と除湿性能の低下を防止する。可動式フィルター掃除ユニット26は、空気調和運転中は室内機2のフィルター15a、15bの一端部(
図3では向かって右端)に停止状態で位置し、空気調和運転の停止後に、
図3の矢印のようにフィルター15a、15bの他端部(
図3では向かって左端)に向かって移動し、他端部に到達したら折り返し、元の位置に戻って停止する。
【0030】
図2に示すように、送風ファン14は、室内機2内の中央部に配置され、ファンモーター(図示せず)に駆動されて、室内空気(白抜き矢印で流れを示す)を空気吸込み口6(上部空気吸込み口6aと前部空気吸込み口6b)から吸い込んで空気吹出し口13から吹き出す。
【0031】
空気調和機1は、室内空気を熱交換器16に循環させて加熱、冷却または除湿した調和空気にし、これを室内に吹き出すことにより、室内環境を快適なものとする。このとき、循環させる空気中の塵埃を除去するフィルター15a、15bが熱交換器16の吸込み側に配置されているので、循環させる空気中の塵埃は、フィルター15a、15bで大半が捕集される。
【0032】
リビング、ダイニング、及び寝室などの空気調和機1の使用環境には、比較的粒径が大きい塵埃(例えば、衣類、カーテン、及び絨毯等を構成する繊維から発生する繊維状の埃、及び外出時に付着した土壌からの粉塵埃など)や、数μm程度の小さな塵埃(例えば、ドアの開閉や24時間換気システムなどによって侵入する花粉、結露により発生したカビから飛散した胞子、ダニの死骸やフン、細菌、及びウイルスなど)のほか、近年社会問題化しており燃料燃焼後などに発生し長い間空気中を漂うとされている粒子状浮遊物質のPM2.5等、様々な塵埃や汚染物質が存在している。これらは、ハウスダストとして空中を浮遊し、やがて長い時間を掛けて沈降し、床や家具などに堆積する。堆積した塵埃は、在室者の動きによって再び空気中に舞い、浮遊する。人がこれらの浮遊した塵埃を吸入するとアレルギーやぜんそくなどの原因となるため、フィルターや電気集塵機能などの空気清浄機能を使用して、これらの塵埃を除去することが行われている。また、PM2.5などの微粒子の集塵に特化したフィルターや花粉の除去に特化したフィルターなど、浮遊する汚染物質にあわせた別売の集塵フィルターを流入空気の風路内に設置することで、使用空間内の空気清浄化が行われている。
【0033】
しかし、前述したように、別売の集塵フィルターなどを流入空気の風路に設置すると、圧力損失が増加し、冷暖房性能と除湿性能が低下するおそれがある。また、集塵フィルターなどの目の細かいフィルターは、流入空気の風路や空気吸込み口の全面を覆うように取り付けると圧力損失が増加し、圧力損失の増加を防ぐために流入空気の風路や空気吸込み口の一部に取り付けると高性能な集塵能力が発揮できなくなる。さらに、冷房時には圧力損失の増加により、結露した水分が吹き出し口から水滴として飛び出し、使用空間を汚すおそれがある。
【0034】
これらの課題を解決するために、本発明による空気調和機は、別売の集塵フィルターなど圧力損失の大きいフィルターが流入空気の風路に設置されているかを検知し、検知結果に基づいて送風ファンを制御して、冷暖房性能と除湿性能の低下を抑制する。これにより、本発明による空気調和機は、高い集塵能力を確保しつつ、快適な室内空間を実現することが可能となる。
【実施例1】
【0035】
本発明の実施例1による空気調和機1を、
図4及び
図5を用いて説明する。本実施例による空気調和機1は、通常運転である空気調和運転(冷房、暖房、又は除湿運転)の開始前に、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御を行う。集塵フィルター27の設置の有無は、送風ファン14を駆動するファンモーターに入力する電流の値を用いて、検知する。
【0036】
図4は、室内機2への集塵フィルター27の設置を示す図であり、
図5は、本実施例における、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御のフローチャートである。
【0037】
図4に示すように、集塵フィルター27は、上部空気吸込み口6aに取り付けられたフィルター15aの上に設置される。集塵フィルター27は、着脱可能であり、使用者が空気調和機1の使用を開始した後に設置することもできる。集塵フィルター27は、HEPAフィルターなどの集塵性能に特化した非常に目の細かい濾材が使用され、空気中の微細な汚染物質を除去するために用いられる。集塵フィルター27を、前部空気吸込み口6bに取り付けられたフィルター15bにも設置することもできる。
【0038】
室内機2は、空気清浄機能の動作時には、前後方向に開閉可能な前面パネル7(
図2を参照)を閉じ、吸い込み空気を上部空気吸込み口6aからのみ内部に導入して強制的に集塵フィルター27に通過させることにより、高い集塵能力を発揮することができる。一方で、通常運転である空気調和運転(冷房、暖房、又は除湿運転)時には、
図2に示すように前面パネル7を開き、吸い込み空気を上部空気吸込み口6aと前部空気吸込み口6bから内部に導入する。このとき、上部空気吸込み口6a(及び、集塵フィルター27がフィルター15bに設置されている場合は、前部空気吸込み口6b)に取り付けられた集塵フィルター27で生じる圧力損失により、熱交換器16を通過する風量が低下するため、冷暖房性能と除湿性能が低下する。
【0039】
そこで、本実施例による空気調和機1は、
図5に示す集塵フィルター27が設置されているかの検知と送風ファン14の制御を実行し、集塵フィルター27が設置されている場合には送風ファン14の回転数を増加させることで送風ファン14の風量を増加させて、冷暖房性能と除湿性能の低下を抑制する。集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御は、室内機2の内部に設置されて室内機2を制御するマイコン(図示せず)が行う。本実施例では、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御は、空気調和運転の開始前に実行する。
【0040】
図5に示すように、S10で、使用者がリモコン12を用いて、空気調和機1に空気調和運転(冷房、暖房、又は除湿運転)の開始を指示する。
【0041】
空気調和機1が空気調和運転の開始指示を受けると、S20で、上下風向板18は一定の角度で開き、S30で、送風ファン14は一定の回転数で回転する。この上下風向板18の一定角度と送風ファン14の一定回転数は、集塵フィルター27の圧力損失の特性にあわせて予め定めることができ、例えば、上下風向板18の開き角度を45度とし、送風ファン14の回転数を室内機2に予め設定されている空気調和運転の風速「弱風」の回転数(例えば、800min
−1)とすることができる。マイコンは、この一定角度と一定回転数を予め記憶している。集塵フィルター27の設置の有無の検知を行うときには、上下風向板18の開き角度と送風ファン14の回転数を毎回同じ値にすることで、検知精度を高めることができる。
【0042】
S40で、マイコンは、送風ファン14を駆動するファンモーターに入力する電流の値(入力電流値)を読み取る(このとき、上下風向板18の開き角度と送風ファン14の回転数は、前記の一定角度と一定回転数である)。マイコンは、ファンモーターの入力電流値が予め定めた規定値より大きい場合、集塵フィルター27が設置されていると判断し、ファンモーターの入力電流値が予め定めた規定値以下の場合、集塵フィルター27が設置されていないと判断する。この規定値は、集塵フィルター27が設置されていないときに送風ファン14が前記の一定回転数で回転するときのファンモーターの入力電流値とすることができ、予め求めることができる。
【0043】
S50は、S40で集塵フィルター27が設置されていると判断した場合の処理であり、マイコンは、集塵フィルター装着フラグの値を1にして、この値を記憶する。そして、S51とS52の処理へ進む。
【0044】
S51で、マイコンは、送風ファン14の回転数を増加する指令を送風ファン14に送る。送風ファン14の回転数の増加数は、設置した集塵フィルター27の特性と通常の空気調和運転時の送風ファン14の回転数とに応じて定めることができ、予めマイコンに記憶させておく。例えば、通常の冷房運転で弱風運転時の送風ファン14の回転数が800min
−1であれば、送風ファン14の回転数の増加数は、50min
−1にすることができる。また、例えば、通常の冷房運転で強風運転時の送風ファン14の回転数が1000min
−1であれば、送風ファン14の回転数の増加数は、100min
−1にすることができる。送風ファン14の回転数を増加させて風量を増加させることで、集塵フィルター27を設置しても、冷暖房性能と除湿性能を低下させずに、空気調和機1を運転することができる。
【0045】
S52では、マイコンは、集塵フィルター27を設置して空気調和機1を運転した時間(集塵フィルター装着運転時間)を積算し、積算値を記憶する。集塵フィルター装着運転時間は、集塵フィルター装着フラグの値が1のときに空気調和機1を運転した時間である。
【0046】
S70で、マイコンは、集塵フィルター装着運転時間の積算値が規定値以上か否かを判定する。この規定値は、集塵フィルター27の目の細かさなどを基にして、集塵フィルター27に応じて予め定めることができる。
【0047】
S71は、集塵フィルター装着運転時間の積算値が規定値以上の場合の処理であり、マイコンは、リモコン12または室内機2の表示部11に、集塵フィルター27を交換する必要があること(集塵フィルター交換サイン)を表示し、使用者に集塵フィルター27の交換を促す。空気調和機1は、このようにして集塵フィルター27の交換時期を自動で使用者に通知することができ、使用者がこの通知に従って集塵フィルター27を交換することにより空気清浄機能の性能を常に保つことができる。
【0048】
S60は、S40で集塵フィルター27が設置されていないと判断した場合の処理である。マイコンは、集塵フィルター装着フラグの値が1であるかを判定する。集塵フィルター装着フラグの値が1の場合は、S61とS62の処理へ進む。
【0049】
S61では、マイコンは、集塵フィルター装着運転時間の積算値をリセットして0にする。S62では、マイコンは、集塵フィルター装着フラグの値を0にする。
【0050】
S80で、空気調和機1は、空気調和運転を開始する。空気調和運転の開始後は、空気調和機1は、上下風向板18の角度と送風ファン14の回転数を変えて運転することができる。
【実施例2】
【0051】
本発明の実施例2による空気調和機1を、
図6を用いて説明する。本実施例による空気調和機1は、人検知センサー29を用いて使用空間内の人の有無を検知し、人がいない場合に集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御を行う。集塵フィルター27の設置の有無は、送風ファン14を駆動するファンモーターの入力電流値を用いて、検知する。本実施例では、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御を空気調和運転の停止後に行うが、実施例1と同様に空気調和運転の開始前に行ってもよい。
【0052】
図6は、本実施例における、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御のフローチャートである。
図6において、
図5と同一のステップ番号は、
図5と同一の処理を示し、これらの処理については説明を省略する。
【0053】
S110で、空気調和運転の停止後に、集塵フィルター27の設置の有無の検知を開始する。
【0054】
S120で、人検知センサー29により使用空間内に人がいないか判定する。人検知センサー29は、赤外線センサーや画像センサーなどからなり、使用空間内の人の有無を検知する。使用空間内に人がいない場合は、S20に進み、実施例1と同様の処理を行い、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御を行う。
【実施例3】
【0055】
本発明の実施例3による空気調和機1を、
図7を用いて説明する。実施例1と実施例2では、集塵フィルター27の設置の有無は、送風ファン14を駆動するファンモーターの入力電流値を用いて、検知していた。本実施例では、集塵フィルター27の設置の有無を、可動式フィルター掃除ユニット26を駆動するモーター(図示せず)のトルクの値を用いて、検知する。
【0056】
可動式フィルター掃除ユニット26は、前述したように、空気調和運転の停止後に室内機2の左右方向に往復動作し、フィルター15a、15bを掃除する。集塵フィルター27は既存のフィルター15a、15b上に重ねて設置されるため、可動式フィルター掃除ユニット26は、集塵フィルター27が設置されると、集塵フィルター27に堆積した塵埃を除去することができる。従って、集塵フィルター27が設置されると、可動式フィルター掃除ユニット26が掃除するフィルターは、フィルター15a、15bの上に重ねられた集塵フィルター27となり、厚さが増すことになる。このため、可動式フィルター掃除ユニット26の往復動作時には、集塵フィルター27が設置されていないときと比べ、可動式フィルター掃除ユニット26を駆動するモーターのトルクの値が増加する。本実施例では、このトルク値の増加を利用して、集塵フィルター27の設置の有無を検知する。
【0057】
図7は、本実施例における、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御のフローチャートである。
図7において、
図5と同一のステップ番号は、
図5と同一の処理を示し、これらの処理については説明を省略する。
【0058】
S210で、空気調和運転の停止後に、可動式フィルター掃除ユニット26の動作を開始する。可動式フィルター掃除ユニット26は、モーターにより駆動され、室内機2の左右方向に往復移動する。
【0059】
S220で、マイコンは、可動式フィルター掃除ユニット26を駆動するモーターのトルク値を読み取る。マイコンは、モーターのトルク値が予め定めた規定値より大きい場合、集塵フィルター27が設置されていると判断し、モーターのトルク値が予め定めた規定値以下の場合、集塵フィルター27が設置されていないと判断する。この規定値は、集塵フィルター27が設置されていないときに可動式フィルター掃除ユニット26を駆動するときのモーターのトルク値とすることができ、予め求めることができる。
【0060】
集塵フィルター27が設置されている場合は、S230とS80を経てからS50に進み、集塵フィルター27が設置されていない場合は、S230とS80を経てからS60に進む。S230では、可動式フィルター掃除ユニット26の動作を終了する。その後、S80へ進んで、空気調和機1は、空気調和運転を開始する。S50またはS60に進んだ後は、それぞれ実施例1と同様の処理を行う。本実施例では、以上のようにして、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御を行う。
【実施例4】
【0061】
本発明の実施例4による空気調和機1を、
図8を用いて説明する。本実施例による空気調和機1は、空気調和運転の開始前に、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御を行う。集塵フィルター27の設置の有無は、送風ファン14を一定電圧で駆動したときの送風ファン14の回転数を用いて、検知する。
【0062】
図8は、本実施例における、集塵フィルター27の設置の有無の検知と送風ファン14の制御のフローチャートである。
図8において、
図5と同一のステップ番号は、
図5と同一の処理を示し、これらの処理については説明を省略する。
【0063】
空気調和機1が空気調和運転の開始指示を受ける(S10)と、上下風向板18は一定角度で開く(S20)。
【0064】
S310で、マイコンは、送風ファン14を駆動するファンモーターに印加する電圧を一定にして、送風ファン14を回転させる制御を行う。すなわち、送風ファン14は、一定の駆動電圧で回転する。この駆動電圧は、集塵フィルター27が設置されていないときの空気調和運転時の送風ファン14の駆動電圧を基に、予め任意に定めることができる。例えば、集塵フィルター27が設置されていないときの空気調和運転で弱風運転時の送風ファン14の駆動電圧を、この一定の駆動電圧とすることができる。このように送風ファン14を一定電圧で駆動したとき、集塵フィルター27が設置されていれば、圧力損失が増加するため、送風ファン14の回転数は集塵フィルター27が設置されていないときよりも低下する。
【0065】
S320で、マイコンは、送風ファン14の回転数を取得する。マイコンは、取得した送風ファン14の回転数が予め定めた規定値より小さい場合に、送風ファン14の回転数が低下し、集塵フィルター27が設置されていると判断する。この規定値は、集塵フィルター27が設置されていないときに送風ファン14を前記の一定電圧で駆動したときの送風ファン14の回転数とすることができ、予め求めることができる。または、この規定値は、集塵フィルター27が設置されていないときに送風ファン14を前記の一定電圧で駆動したときの送風ファン14の回転数よりも小さい値とすることができる。
【0066】
S50は、S320で集塵フィルター27が設置されていると判断した場合の処理であり、S60は、S320で集塵フィルター27が設置されていないと判断した場合の処理である。これ以後は、実施例1と同様の処理を行う。
【0067】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。