【実施例1】
【0032】
[フレキシャの概要]
図1は本発明の実施例1に係るフレキシャを示す概略平面図、
図2は、フレキシャの空中配線部及びその周辺を示し、(A)は、平面図、(B)は、背面図である。なお、以下の説明において、左右とはフレキシャの延長方向に交差する方向であり、上下とは、フレキシャの層厚方向の上下、前後とは、フレキシャのタング部側を前、テール部側を後ろとする。
【0033】
図1のフレキシャ1は、薄板配線基板の一例であり、ハードディスク・ドライブ等に用いられるヘッド・サスペンションのロード・ビームに取り付けられ、先端に読み取り書き込み用のスライダー3を支持している。なお、薄板配線基板としては、フレキシャ以外の他の電気部品の基板にも適用することができる。
【0034】
このフレキシャ1は、
図1、
図2のように、金属基板5と配線部7とを備えている。金属基板5は、金属製の支持層の一例であり、ステンレス鋼(SST)等のばね性を有する精密な金属箔からなっている。金属基板5の板厚は、例えば18μm〜30μm程度に設定されている。
【0035】
この金属基板5は、ロード・ビームに沿って延設されレーザー溶接等によって固着される。金属基板5の基端側には、テール部9が延設され、金属基板5の先端側には、一対のアウトリガー部11を介してタング15が設けられている。
【0036】
アウトリガー部11は、金属基板5先端の幅方向両側に設けられている。このアウトリガー部11は、フレキシャ1の前後方向に沿って設けられている。アウトリガー部11の先端側には、前記タング15が片持ち状に配置されている。
【0037】
タング15の自由端側は、金属基板5の後方側に向けて延設され、タング15は、全体としてアウトリガー部11間に配置されている。タング15の左右両側とアウトリガー部11との各間には、金属基板5上から外れた空間部としての空域17が形成されている。従って、タング15は、アウトリガー部11に対して隙間による空域17を介して並設されている。この空域17は、タング15とアウトリガー部11との間に備えられている。
【0038】
タング15の裏面側は、ロード・ビーム先端のディンプル(図示せず)に揺動自在に支持される。タング15の表面に、前記スライダー3を取り付けている。スライダー3には、記録・再生信号を伝送するための前記配線部7が接続されている。
【0039】
配線部7は、タング15の固定端側からタング15及びアウトリガー部11間の空域17上を通ってテール部9の先端側に延設されている。従って、配線部7は、一般配線部19及び空中配線部21を備えている。一般配線部19は、金属基板5上に配索され、空中配線部21は、空域17上を通る。つまり、配線部7の一部が空域17において空中を通り空中配線部21となっている。
【0040】
[配線部]
図3は、フレキシャの一般配線部を示し、配線に沿った方向の要部断面図、
図4は、空中配線部を示す要部断面図である。
図3のように、一般配線部19は、ベース層23と、配線25a、25b、25c(
図4参照)と、カバー層27とを断面構造として備えている。
【0041】
ベース層23は、絶縁性の樹脂、例えばポリイミドで形成され、金属基板5の表面に積層されて配線25a、25b、25cの絶縁性を確保している。このベース層23は、各配線25a、25b、25cの背面(
図3では、下側の面)に配策方向に沿って形成され、配策方向に交差する方向の断面において、各配線25a、25b、25cに沿ってその背面に左右方向に渡るように平たく形成されている。ベース層23の層厚は、例えば10μm〜20μm程度に設定されている。ただし、この厚みは、要求される絶縁耐圧に応じて変更することが可能である。
【0042】
各配線25a、25b、25cは、複数本配策され、例えば銅等の高導電性金属からなっている。この導体層25は、ベース層23の表面に積層されて備えられ、例えば3〜18μm程度の層厚を有している。
カバー層27は、配線部7を被覆するものであり、絶縁性の樹脂、例えばポリイミドで形成されている。カバー層27は、配線部7の各配線25a、25b、25cを被覆している。カバー層27の厚みは、例えば1〜5μm程度となっている。
【0043】
図4のように、前記空中配線部21では、前記アウトリガー部11の左右内側に前記空域17が隣接している。なお、
図4では、左側のアウトリガー部11での空中配線部21を示し、右側のアウトリガー部及び空中配線部は省略している。左右のアウトリガー部及び空中配線部は、同一の構成である。
【0044】
前記各配線25a、25b、25cは、矩形断面をなし、前記一般配線部19から空中配線部21に連続している。各配線25a、25b、25cは、左右間に相互間隔を持って配置されている。
【0045】
前記ベース層23は、空中配線部21で空域ベース層23a、23b、23cとなっている。空域ベース層23a、23b、23cは、配線25a、25b、25c毎に備えられ、相互に離間している。空域ベース層23a、23b、23cの左右幅は、配線25a、25b、25cと同幅に形成され、配線25a、25b、25cの配策方向に沿っている。但し、空域ベース層23a、23b、23cの左右幅は、配線25a、25b、25cと必ずしも同幅に形成するものには限らない。空域ベース層23a、23b、23cの左右幅を、配線25a、25b、25cに対し若干広くし、狭くすることもできる。
【0046】
前記カバー層27は、空中配線部21において空域カバー層27aとなっている。本実施例において、空域カバー層27aは、一般配線部19におけるカバー層27とは異なる形態であり、左右両縁でベース層の上面ではなく、側面を被覆している。空域カバー層27aは、配線25a、25b、25cと空域ベース層23a、23b、23cとを被覆し、且つ空域ベース層23a、23b、23c間に渡る連結部27aa、27abを備えている。
【0047】
この空域カバー層27aは、配線25a、25b、25c毎の表面(上面)から配線25a、25b、25c及び空域ベース層23a、23b、23cの左右側面に渡ってこれらを被覆している。一の空域ベース層23a、23b間は、連結部27aaで結合され、他の空域ベース層23b、23c間は、連結部27abで結合されている。各空域ベース層23a、23b、23c及び空域カバー層27aの下面は、面一に形成され、空域17に臨んでいる。従って、連結部27aa、27abは、空域17に面して各空域ベース層23a、23b、23c間を結合する。
【0048】
この連結部27aa、27abの層厚は、空域カバー層27aの他の部分の層厚と同一である。但し、連結部27aa、27abの層厚を他の部分に対し厚くし、或は薄くすることもできる。
【0049】
また、連結部27aa、27abの位置は、各空域ベース層23a、23b、23c及び空域カバー層27aの下面に面一に設定するものに限らず、配線25a、25b、25c及び空域ベース層23a、23b、23cの左右側面の上下任意の位置に設定することができる。連結部27aa、27abを、配線25a、25b、25cの表面を被覆する空域カバー層27aの部分と面一に形成することもできる。或は、連結部27aa、27abの上下位置を相互にずらして剛性コントロールを行わせることもできる。
【0050】
かかる配線部7は、
図1のように、両端に端子部37、39が設けられ、端子部37、39を介してスライダー3の端子部(図示せず)及び外部配線の端子部(図示せず)に接続される。
【0051】
一端の端子部37は、タング15の基端側に配置され、他端の端子部39は、テール部9の先端側に配置されている。なお、テール部9の先端側には、スライダー3取付後の電気特性の試験に使用する端子部40が設けられ、端子部40は、端子部37及び39と同一又は略同一の断面構造を有している。
【0052】
図5は、フレキシャの製造方法に係り、(A)は、工程フロー図、(B)は、実施例に係る工程を示す断面図、(C)は、比較例に係る工程を示す断面図である。
【0053】
図5(A)のように、実施例に係る工程(プロセス)は、S1の「第1工程(基材)」、S2の「第2工程(導体層エッチング)」、S3の「第3工程(絶縁層エッチング)」、S4の「第4工程(カバー層形成)」、S5の「第5工程(金属層エッチング」とを備えている。
【0054】
図5(A)、(B)を参照しながら説明する。
【0055】
図5(A)のS1の「第1工程(基材)」では、
図5(B)の(a)のように基材43が形成される。基材43は、金属層45と第1の絶縁層47と導体層49とを積層したものである。金属層45は、SST製の板材であり、支持層である前記金属基板5を形成するためのものである。第1の絶縁層47は、ポリイミドで形成され、前記ベース層23を形成するためのものである。導体層49は、銅で形成され、前記配線部7を形成するためのものである。かかる基材43に対して、S2〜S5の各工程を実行する。
S2の「第2工程(導体層エッチング)」では、基材43の導体層49に部分的な除去加工を施すことで前記配線部7を有した第1中間材51を形成する。導体層49の部分的な除去加工は、例えば銅のエッチングで行われる。この第1中間材51には、一般配線部19及び空中配線部21において、(B)の(b)のように配線25a、25b、25cが形成されている。
【0056】
S3の「第3工程(絶縁層エッチング)」では、第1中間材51の第1の絶縁層47に部分的な除去加工を施すことで第2中間材53を形成する。第1の絶縁層47の部分的な除去加工は、例えばポリイミドのエッチングで行われる。第2中間材53は、配線25a、25b、25c及び空域ベース層23a、23b、23cを形成したものである。第2中間材53には、空中配線部21相当箇所において配線25a、25b、25cの左右両側に位置する第1の絶縁層47の部分が除去され、(B)の(c)のように空域ベース層23a、23b、23cが配線25a、25b、25cごとに形成される。
【0057】
この第2中間材53の空域ベース層23a、23b、23cは、空中配線部21における形態であり、一般配線部19では、金属基板5上に平たいベース層23が残存し、その上に配線25a、25b、25cが形成されている。なお、一般配線部19も空中配線部21と同様の形態にすることもできる。
【0058】
S4の「第4工程(カバー層形成)」では、第2中間材53に第2の絶縁層55を被覆して第3中間材57を形成する。第2の絶縁層55は、一般配線部のカバー層と共に、第2中間材53の配線25a、25b、25c及び空域ベース層23a、23b、23cに、(B)の(d)のように空中配線部21における空域カバー層27aを形成するためのものである。空域カバー層27aは、連結部27aa、27abを備えている。(d)の連結部27aa、27abは、空域カバー層27aの他の部分に対し、同一の層厚で同時に形成している。
【0059】
空域ベース層23a、23b、23c間での連結部27aa、27abの位置や厚みは、空域ベース層23a、23b、23c間を空域カバー層27aの他の部分に対し全体を埋める層厚に形成し、その後エッチング等により調整することができ、或はその他の手法で調整することなどもできる。
【0060】
S5の「第5工程(金属層エッチング」」では、第3中間材57の金属層45に部分的な除去加工を施すことで(B)の(e)のように空域17を形成した結果物59を得る。金属層45の部分的な除去加は、例えばステンレス鋼のエッチングで行われる。このエッチングにより、空域17が形成され、左右両側にアウトリガー部11及び空中配線部21が形成される。
【0061】
図5(C)は、比較例に係る工程(a)〜(e)を示し、この比較例は、空中配線部21Aにおいても平たい空域ベース層23Aを備えた形態のものである。
この比較例では、
図5(B)との比較で明らかなように、第1工程S1の(a)の基材43、第2工程S2の(b)の第1中間材51までの手順は同一である。
【0062】
しかし、実施例(B)の第3工程S3の(c)の第2中間材53、第4工程S4の(d)の第3中間材57、第5工程S5の(e)の結果物59は、比較例(C)の(c)、(d)、(e)に対して相違している。
【0063】
比較例(C)の(c)、(d)の第2中間材53A、第3中間材57Aでは、第1の絶縁層47がアウトリガー部11側で除去されているだけであり、各配線25a、25b、25cの背面に左右方向に渡るように平たく形成されている。従って、比較例(C)の(e)のように金属層がエッチングで除去された結果物59Aでは、空中配線部21Aのベース層23Aが各配線25a、25b、25cの背面に左右方向に連続する。
【0064】
従って、(B)、(C)の比較において、(B)の空域カバー層27aに対して(C)の空域カバー層27Aaとなり、(B)の空域ベース層23a、23b、23cと(C)のベース層23Aとの形態が大きく相違する。
【0065】
かかるフレキシャ1は、空中配線部21を端子部37、39と共に形成する。
【0066】
また、かかる製造方法を適用する際には、
図6のように、フレームとしてのフレキシャ1の金属基板5に相当する金属層45を多数連接したパネル59を用意する。パネル59の各金属層45は、予めエッチング等によって所定形状に形成される。なお、
図6では、連接方向中間部の金属層45の図示を省略している。
【0067】
このパネル59の各金属層45に対して、前記製造方法が同時に適用されて複数のフレキシャ1(
図1)が形成される。
【0068】
[剛性寄与率]
図5(B)、(C)の結果物59、59Aの比較で明らかなように、比較例の結果物59Aは、ベース層23Aが各配線25a、25b、25cの背面に前後方向及び左右方向に渡るように平たく形成されている。これに対し本実施例の結果物59は、配線25a、25b、25c毎の空域ベース層23a、23b、23cであるため、実施例の結果物59は、比較例の結果物59Aに対して剛性が低いことは明白である。
【0069】
ここで、タング15周りでの金属基板5及び空中配線部21を含めた全体剛性に対し、空中配線部21の剛性が占める割合を剛性寄与率として見る。フレキシャ1の中心軸周りのロール方向及びピッチ方向に対し、空中配線部21の剛性寄与率を見る。
【0070】
本実施例の空中配線部21は、ロール剛性及びピッチ剛性の双方が比較例に対して減少すると共に、ロール寄与率及びピッチ寄与率の双方が比較例に対して大幅に減少する。
【0071】
[電気的特性]
図5の結果物59、59Aの比較で明らかなように、実施例の結果物59では、空域ベース層23a、23b、23cが各配線25a、25b、25cを、主にピッチ方向に支持することができる。ロール方向においても各配線25a、25b、25c単独で存在するよりも剛性を適度に保ち、配線変形が起こり難い。
【0072】
配線25a、25b、25c間は、空域ベース層23a、23b、23c間に渡る空域カバー層27aの結合部27aa、27abで間隔を維持でき、配線間隔もばらつき難く、適度なロール剛性も得ることができる。
このため、配線部7の低剛性化を図った空中配線部21においても配線25a、25b、25cを適正に支持することができ、電気特性の悪化は抑制できる。
【0073】
[実施例の効果]
本実施例は、金属基板5と、金属基板5の表面に備えられた絶縁性のベース層23と、ベース層23の表面に備えられ複数の配線25a、25b、25cが配索された配線部7と、配線部7を被覆する絶縁性のカバー層27とを備えるフレキシャ1であって、金属基板5は、配線部7の一部が空中を通って空中配線部21となる空域17を備え、ベース層23は、空中配線部21で配線25a、25b、25c毎に備えられ相互に離間した空域ベース層23a、23b、23cを備え、カバー層23は、空中配線部21で配線25a、25b、25cと配線25a、25b、25c毎の空域ベース層23a、23b、23cと各空域ベース層23a、23b、23c間とに渡る空域カバー層27aを備えた。
【0074】
したがって、本実施例の空中配線部21は、剛性寄与率を確実に下げることができる。
ハードディスク・ドライブにおいては、高速で回転するハードディスク上をスライダー3が僅かに浮上してデータの書き込み、読み取りを行うヘッド・サスペンションでは、スライダー3の低浮上化(低フライングハイト化)によってディスクの高記録密度化への対応が行われている。低フライングハイトを安定的に実現するには、タング15周りの金属基板5及び配線部7の剛性コントロールが重要となる。
【0075】
かかる剛性コントロールに関して、前記のように空中配線部21の剛性寄与率を比較例に対して相対的に減少させることができ、結果として剛性コントロールが容易となる。
【0076】
しかも、配線25a、25b、25c間は、空域ベース層23a、23b間に渡る連結部27aa、空域ベース層23b、23c間に渡る連結部27abで間隔を維持でき、配線間隔もばらつき難く、適度なロール剛性も得ることができ、電気特性の悪化を抑制できる。
【0077】
前記空域ベース層23a、23b、23cが、前記配線25a、25b、25cと同幅に形成された場合は、空域カバー層27aにより配線25a、25b、25cを確実に結合し、剛性コントロールを確実に行わせ、電気特性の悪化を確実に抑制できる。
前記空域カバー層27aは、空域ベース層23a、23b、23cの側面と配線25a、25b、25cの側面及び表面とを被覆し、且つ各空域ベース層23a、23b、23c間で各空域ベース層23a、23b、23cを結合する。
【0078】
このため、絶縁性を確実に保ちながら剛性コントロールを確実に行わせ、電気特性の悪化を確実に抑制できる。
【実施例2】
【0079】
図7、
図8は、本発明の実施例2に係り、
図7は、空中配線部を示す要部断面図、
図8は、
図5の(B)に対応するフレキシャの製造方法に係り、工程(a)〜(e)を示す断面図である。なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には、同符号にBを付して説明し、重複した説明は省略する。
【0080】
図7のように、本実施例の空中配線部21Bは、空域カバー層27Baが、連携部27Bbを備えたものである。連携部27Bbは、空域カバー層27Baと一体に形成され、配線25a、25b、25cの併設方向で支持層である金属基板5側のアウトリガー部11に渡るように備えられている。なお、
図7では、左側のアウトリガー部11での空中配線部21Bを示している。右側のアウトリガー部及び空中配線部は省略している。左右のアウトリガー部及び空中配線部は、同一の構成である。
【0081】
本実施例では、左右のアウトリガー部11に空域ベース層23a、23b、23cと共に形成するアウトリガーベース層23dを形成し、このアウトリガーベース層23dの内側面から表面に渡って連携部27Bbを設けている。連携部27Bbは、連結部27Bbaを一体に有し、空域ベース層23aの外側で空域カバー層27Baに一体に結合されている。連結部27Bbaは、空域ベース層23a、23b、23c、連結部27aa、27abと下面が面一に形成されている。
【0082】
連携部27Bb及び連結部27Bbaは、アウトリガー部11に沿って形成されている。但し、低剛性化の観点からは、アウトリガーベース層23d、連携部27Bb及び連結部27Bbaをアウトリガー部11に対し部分的に設けることもできる。
【0083】
アウトリガーベース層23d、連携部27Bb及び連結部27Bbaを部分的に設ける場合、単一箇所、或は複数個所間隔を置いて配置することができる。さらには、アウトリガーベース層23dと連携部27Bbのアウトリガー部11側とを部分的に形成し、連結部27Bbaをアウトリガー部11に沿って連続的に形成することもできる。或は連結部27Bbaを部分的に形成し、アウトリガーベース層23dと連携部27Bbのアウトリガー部11側とを連続的に形成することもできる。
【0084】
図8のように、フレキシャ1Bの製造方法は、実施例1と同様に、S1の「第1工程」からS5の「第5工程」までを備えている。
【0085】
実施例1との相違は、第3工程〜第5工程である。
【0086】
第3工程(c)では、(b)の第1中間材51の第1の絶縁層47に部分的な除去加工を施すことで第2中間材53Bを形成する。第2中間材53Bには、ベース層、空域ベース層23a、23b、23cと共にアウトリガーベース層23dが形成される。
第4工程(d)では、(c)の第2中間材53Bに第2の絶縁層55Bを被覆して第3中間材57Bを形成する。第3中間材57Bには、一般配線部のカバー層、空域カバー層27Baと共に連結部27Bbaを含めて連携部27Bbが形成される。
【0087】
第5工程(e)では、(d)の第3中間材57Bの金属層45に部分的な除去加工を施すことで(e)のように空域カバー層27Baに連携部27Bbを備えた結果物59Bを得る。
【0088】
従って、本実施例では、連携部27Bbにより空域カバー層27Baがアウトリガー部11に結合されるため、配線25a、25b、25cの位置精度をより高め、電気特性の悪化をより確実に抑制することができる。しかも、空域カバー層27Ba及びアウトリガー部11間は、連結部27Bbaのみで結合されるため、剛性コントロールを確実に行わせることができる。
【0089】
その他、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0090】
図9、
図10は、本発明の実施例3に係り、
図9は、空中配線部を示す要部断面図、
図10は、
図5の(B)に対応するフレキシャの製造方法に係り、工程(a)〜(e)を示す断面図である。なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には、同符号にBを付して説明し、重複した説明は省略する。
【0091】
図9のように、本実施例の空中配線部21Cは、空域カバー層27Caが、開口部27Cca、27Ccb、27Cccを備えたものである。開口部27Cca、27Ccb、27Cccは、配線25a、25b、25c毎に形成され、配線25a、25b、25cの表面に表面暴露部25aa、25ba、25caが形成されている。
【0092】
開口部27Cca、27Ccb、27Cccは、空中配線部21Cにおいて配線25a、25b、25cの全長に設けられている。但し、開口部27Cca、27Ccb、27Cccは、配線25a、25b、25cに沿って所定間隔で部分的に設けることもできる。或は開口部27Cca、27Ccb、27Cccは、配線25a、25b、25cに沿った方向で適所に設けることもできる。適所とは、剛性コントロールに適した箇所を意味する。
【0093】
表面暴露部25aa、25ba、25caは、開口部27Cca、27Ccb、27Cccによって配線25a、25b、25cの表面を空中配線部21Cで開いたものである。
【0094】
表面暴露部25aa、25ba、25cには、配線25a、25b、25cを覆うメッキ層61a、61b、61cが備えられている。このメッキ層61a、61b、61cにより配線25a、25b、25cの錆止めを行う。
【0095】
図10のように、フレキシャ1Cの製造方法は、実施例1と同様に、S1の「第1工程」からS5の「第5工程」までを備えている。
【0096】
実施例1との相違は、第4工程、第5工程である。
【0097】
第4工程(d)では、第2中間材53Cに第2の絶縁層55Cを被覆して開口部27Cca、27Ccb、27Cc及び開口部27Cca、27Ccb、27Ccによる表面暴露部25aa、25ba、25caを有した第3中間材57Cを形成する。第2の絶縁層55Cは、前記空域カバー層27Caを形成するものである。
第2の絶縁層55Cは、配線25a、25b、25c及び空域ベース層23a、23b、23cの側面を被覆し、結合部27aa、27abを備えたものであり、配線25a、25b、25cの表面には被覆されない。これにより、空域カバー層27Caが、開口部27Cca、27Ccb、27Ccを備え、配線25a、25b、25cの表面は、表面暴露部25aa、25ba、25caとなる。
【0098】
第5工程(e)では、第3中間材57Cの金属層45に部分的な除去加工を施すことで空域17が形成される。また、表面暴露部25aa、25ba、25caに配線25a、25b、25cを覆うメッキ層61a、61b、61cが形成される。
従って、本実施例では、配線25a、25b、25cの表面に開口部27Cca、27Ccb、27Ccが形成され、空域カバー層27Caが左右に連続しないから、剛性コントロールをより容易とする。
【0099】
その他、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。また、実施例2の構造は、本実施例にも適用することができる。
【実施例4】
【0100】
図11、
図12は、本発明の実施例4に係り、
図11は、空中配線部を示す要部断面図、
図12は、
図5の(B)に対応するフレキシャの製造方法に係り、工程(a)〜(e)を示す断面図である。なお、基本的な構成は、実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には、同符号にDを付して説明し、重複した説明は省略する。
【0101】
図11のように、本実施例の空中配線部21Dでは、空域カバー層27Daが、実施例1と同様に形成され、実施例1の前記空域ベース層23a、23b、23cは、実施例4では存在しない。一般配線部に存在するベース層が空中配線部21Dでベース空域62を備えている。ベース空域62は、空域17に対応し、一体の空域を形成している。
【0102】
このベース空域62は、配線25a、25b、25cの背面を空中配線部21Dで開いて配線25a、25b、25cに背面暴露部25ab、25bb、25cbを形成している。
【0103】
配線25a、25b、25cと空域カバー層27Daとは、背面暴露部25ab、25bb、25cb側で面一となっている。
【0104】
背面暴露部25ab、25bb、25cbは、空中配線部21Dにおいて配線25a、25b、25の全長に設けられている。但し、背面暴露部25ab、25bb、25cbは、配線25a、25b、25に沿って所定間隔で部分的に設けることもできる。或は背面暴露部25ab、25bb、25cbは、配線25a、25b、25に沿った方向で適所に設けることもできる。適所とは、剛性コントロールに適した箇所を意味する。
【0105】
背面暴露部25ab、25bb、25cbcには、配線25a、25b、25cを覆うメッキ層63a、63b、63cが備えられている。このメッキ層63a、63b、63cにより配線25a、25b、25cの錆止めを行う。
【0106】
図12のように、フレキシャ1Dの製造方法は、実施例1と同様に、S1の「第1工程」からS5の「第5工程」までを備えている。
【0107】
実施例1との相違は、第3工程〜第5工程である。
【0108】
第3工程(c)では、第1中間材51の金属層45に部分的な除去加工を施すことで第2中間材53Dを形成する。第2中間材53Dは、空中配線部21D相当箇所において配線25a、25b、25cの背面側の金属層45が除去され、左右両側にアウトリガー部11相当部分が形成される。
第4工程(d)では、(c)の第2中間材53Dに第2の絶縁層55Dを被覆すると共に第1の絶縁層47に部分的な除去加工を施すことで第3中間材57Dを形成する。第3中間材57Dでは、一般配線部では残存する第1の絶縁層47が、空中配線部21D相当箇所において除去されており、ベース空域62が形成されている。
【0109】
また、第3中間材57Dでは、空域カバー層27Daを形成する第2の絶縁層55Dにより配線25a、25b、25cが被覆され、配線25a、25b、25cの背面に背面暴露部25ab、25bb、25cbが形成される。
【0110】
第5工程(e)では、第3中間材57Dの背面暴露部25ab、25bb、25cbを覆うメッキ層63a、63b、63cが金メッキなどにより形成される。
【0111】
従って、本実施例では、配線25a、25b、25cの背面に実施例1の前記空域ベース層23a、23b、23cが存在せず、剛性コントロールをより容易とする。
【0112】
その他、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。また、実施例2の構造は、本実施例にも適用することができる。