特許第6427079号(P6427079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6427079-ゲームプログラムおよびゲームシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427079
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/5378 20140101AFI20181112BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20181112BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20181112BHJP
【FI】
   A63F13/5378
   A63F13/54
   G06T19/00 600
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-182490(P2015-182490)
(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-55935(P2017-55935A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2017年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若園 浩司
(72)【発明者】
【氏名】北村 一樹
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−272841(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/107903(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0218965(US,A1)
【文献】 「メタルギア ソリッド ピースウォーカー テクニカルCO−OPSガイド」,日本,株式会社エンターブレイン,2010年 9月15日,第1刷,第0047頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 − 13/98
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に配置した仮想カメラで撮影した画像をゲーム画面として表示する表示部と、前記仮想空間を行動するプレイヤキャラクタを操作する操作部と、前記操作部に対するユーザの操作に応じてゲームを進行させるコンピュータとを備えたゲームシステムにおいて前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、
ユーザによる前記操作部の操作に基づいて前記プレイヤキャラクタの行動を制御するキャラクタ制御手段、
前記仮想空間の前記プレイヤキャラクタの位置を基準とする所定の領域内における音の発生場所を検出する音検出手段、
前記ゲーム画面内において前記仮想空間の前記所定の領域を簡易的に表示する簡易マップを表示するマップ表示手段、および
前記所定の領域内における前記音の発生場所を、前記簡易マップ上の対応位置に表示する音発生場所表示手段、として機能させ、
前記音検出手段は、前記音の発生場所で発生した音の音量を検出し、
前記音発生場所表示手段は、前記簡易マップ上において前記音の発生場所に対応する位置に、前記音量に基づいて算出された基準音量に応じて異なる表示体を表示し、
前記音発生場所表示手段は、
前記音の発生場所における音量に対して、所定の補間関数を適用することにより、前記プレイヤキャラクタの位置に基づいて設定された所定の音の聴取位置と前記音の発生場所との間の距離に応じて、前記発生した音の音量が補間された補間音量を算出し、
前記補間音量に対して、前記音の聴取位置と前記音の発生場所との間の前記距離が長くなるほど逆補間割合が大きくなる所定の逆補間関数を適用することにより、前記音の聴取位置と前記音の発生場所との間の前記距離に応じて、前記補間音量が逆補間された逆補間音量を算出し、
前記補間音量に逆補間音量を加えた値を前記表示体の前記基準音量として算出する、ゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えた、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想のゲーム空間でのキャラクタの動作を制御するゲームプログラムおよびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクションゲームやロールプレイングゲームなど、ユーザの操作に応じてプレイヤキャラクタを仮想のゲーム空間内で動作させ、敵キャラクタ等を攻撃するゲームがある。このようなゲームでは、例えば壁等の遮蔽物の存在等により他のキャラクタ(味方キャラクタおよび/または敵キャラクタ等)の位置の把握が限定的となる仮想空間において戦闘(例えば複数の部屋を有する建物内等における近接戦闘)を行うゲームステージを有するゲームがある。このようなゲームにおいては、敵キャラクタの位置の把握を容易にするために、ユーザが行動可能なゲーム空間の少なくとも一部を表示する簡易マップ上に、他のキャラクタの位置を表示可能な態様が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER, HOW TO PLAY, スニーキング(サラウンドインジケーター)」、[online]、2010年4月29日、株式会社コナミデジタルエンタテインメント,[平成27年9月2日検索]、インターネット<URL:http://www.konami.jp/mgs_pw/jp/howto/sneaking.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、敵キャラクタの位置が簡易マップに常に表示されると遮蔽物に隠れている敵キャラクタの位置が常に把握できるため、敵キャラクタが遮蔽物に隠れる意味が減少する。特に、複数のユーザが敵味方に分かれて戦闘を行うマルチプレイのゲームにおいては、敵キャラクタもユーザが操作するキャラクタとなるため、遮蔽物に隠れる戦術性が希薄化してしまう。これに対して、味方キャラクタの位置は表示するが敵キャラクタの位置は簡易マップには表示しないとすると、敵キャラクタが目視できない限りどこにいるか分からない状態となり、戦術性の幅が広がらない。
【0005】
また、上記非特許文献1に記載されているように、音の発生方向を示すレーダを装備できるゲームが存在する。しかし、このようなレーダは、プレイヤキャラクタを基準とした音の発生源のおよそ方向において、発生した音の大きさに応じて波形が表示される。これにより、音が発生した際、レーダのおよそ1/4から1/3が少なくとも音の波形で満たされる。このように、上記のレーダでは、音の発生源のおよその位置しか分からず敵キャラクタの位置を特定する道具としては得られる効果が曖昧すぎる。
【0006】
本発明の目的は、戦術性の高いゲーム性を提供することができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係るゲームプログラムは、仮想空間に配置した仮想カメラで撮影した画像をゲーム画面として表示する表示部と、前記仮想空間を行動するプレイヤキャラクタを操作する操作部と、前記操作部に対するユーザの操作に応じてゲームを進行させるコンピュータとを備えたゲームシステムにおいて前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、前記コンピュータを、前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、ユーザによる前記操作部の操作に基づいて前記プレイヤキャラクタの行動を制御するキャラクタ制御手段、前記仮想空間の前記プレイヤキャラクタの位置を基準とする所定の領域内における音の発生場所を検出する音検出手段、前記ゲーム画面内において前記仮想空間の前記所定の領域を簡易的に表示する簡易マップを表示するマップ表示手段、および前記所定の領域内における前記音の発生場所を、前記簡易マップ上の対応位置に表示する音発生場所表示手段、として機能させる。
【0008】
前記音検出手段は、前記発生場所で発生した音の音量を検出し、前記音声発生場所表示手段は、前記簡易マップ上において前記音の発生場所に対応する位置に、前記音量に応じて異なる表示体を表示してもよい。
【0009】
前記表示体は、前記音量が大きいほど底面の面積および高さが大きい円錐状の表示体であってもよい。
【0010】
また、本発明の他の態様に係るゲームシステムは、上記のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、戦術性の高いゲーム性を提供することができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態におけるゲーム装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図1に示すゲーム装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】本実施の形態におけるゲーム画面の例を示す図である。
図4図3における簡易マップ表示部の拡大図である。
図5】本実施の形態における表示体の大きさの演算処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
[ゲーム概要]
以下の説明では、家庭用ゲーム装置において実行されるアクションゲームを例として説明する。本実施の形態に係るアクションゲームは、仮想のゲーム空間内で行動するプレイヤキャラクタを操作して、敵キャラクタを全滅させる、またはゲーム空間内の所定の位置に到達する等といった所定の目標を達成するために、敵キャラクタと戦うことにより進行する。特に、本ゲームにおいては、複数のユーザに対応する複数のプレイヤキャラクタが、1つのチームとして協同して敵キャラクタと戦いながらゲーム本編を進行させるマルチプレイが可能である。マルチプレイにおいて、ゲーム本編をより優位に進行させるために、同じチームとなった複数のユーザには、互いに組織的および戦術的に行動することが求められる。
【0015】
ゲーム本編の開始前に、一のユーザ(ホストユーザ)が作成したセッションに他のユーザが参加するマッチング処理が行われる。他のユーザが参加した場合には、当該他のユーザはゲストユーザとしてホストユーザとともにチームを形成し、協力してゲーム本編を進行させる。
【0016】
ゲーム本編を構成する各ステージには、プレイヤキャラクタの進行を妨げる敵キャラクタが登場する。この敵キャラクタは、ノンプレイヤキャラクタであってもよいし、他のチームに属する一または複数のプレイヤキャラクタであってもよい。
【0017】
[ハードウェア構成]
上述したゲームを実現するゲーム装置の構成について説明する。本実施の形態におけるゲームシステムは、下記ゲーム装置2と、当該ゲーム装置2に接続されるモニタ(表示部)19、スピーカ22およびコントローラ(操作部)24などの外部装置とで構成され、下記ディスク型記憶媒体30から読み込んだゲームプログラム30aおよびゲームデータ30bに基づいてゲームを行い得るものである。ただし、以下では、説明を簡単にするため、単にゲーム装置2と称する場合がある。
【0018】
図1は、本実施の形態におけるゲーム装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、ゲーム装置2は、他のゲーム装置2およびサーバ装置3との間で、インターネットまたはLANなどの通信ネットワークNWを介して互いに通信可能である。このゲーム装置2は、その動作を制御するコンピュータであるCPU10を備え、このCPU10にはバス11を介してディスクドライブ12、メモリカードスロット13、プログラム記憶部を成すHDD14、ROM15およびRAM16が接続されている。
【0019】
また、CPU10には、バス11を介してグラフィック処理部17、オーディオ合成部20、無線通信制御部23およびネットワークインタフェース25が接続されている。
【0020】
このうちグラフィック処理部17は、CPU10の指示にしたがってゲーム空間および各キャラクタなどを含むゲーム画像を描画する。また、グラフィック処理部17にはビデオ変換部18を介して外部のモニタ19が接続されており、グラフィック処理部17にて描画されたゲーム画像はビデオ変換部18において動画形式に変換され、モニタ19にて表示されるようになっている。
【0021】
オーディオ合成部20は、CPU10の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。また、オーディオ合成部20にはオーディオ変換部21を介して外部のスピーカ22が接続されている。したがって、オーディオ合成部20にて再生および合成されたゲーム音声は、オーディオ変換部21にてアナログ形式にデコードされ、さらにスピーカ22から外部へ出力されるようになっている。
【0022】
さらに、オーディオ合成部20は、ゲーム装置2に接続されるヘッドセットやコントローラ24等に設けられたマイク26から入力されるユーザの音声等がオーディオ変換部21にてデジタル形式にコードされたデータを取得可能である。オーディオ合成部20は、取得したデータをCPU10に入力情報として伝えることができる。
【0023】
無線通信制御部23は、2.4GHz帯の無線通信モジュールを有し、ゲーム装置2に付属するコントローラ24との間で無線により接続され、データの送受信が可能となっている。ユーザは、このコントローラ24に設けられたボタン等の操作子(後述)を操作することにより、ゲーム装置2へ信号を入力することができ、モニタ19に表示されるプレイヤキャラクタの動作を制御可能になっている。また、ネットワークインタフェース25は、インターネットまたはLANなどの通信ネットワークNWに対してゲーム装置2を接続するものであり、他のゲーム装置2またはサーバ装置3との間で通信可能である。そして、ゲーム装置2を、通信ネットワークNWを介して他のゲーム装置2と接続し、互いにデータを送受信することにより、同一のゲーム空間内で同期して複数のプレイヤキャラクタを表示させることができる。
【0024】
[ゲーム装置の機能的構成]
図2は、図1に示すゲーム装置2の機能的な構成を示すブロック図である。図1に示すようにゲーム装置2は、CPU10、HDD14、ROM15、RAM16、グラフィック処理部17、ビデオ変換部18、オーディオ合成部20、オーディオ変換部21、ネットワークインタフェース25などを含む制御部4を備えたコンピュータとして動作する。そして、図2に示すように、ゲーム装置2の制御部4は、本発明のゲームプログラム30aを実行することで、仮想空間生成手段41、キャラクタ制御手段42、音検出手段43、マップ表示手段44、音発生場所表示手段45、および通信手段46などの機能を発揮する。
【0025】
このうち、仮想空間生成手段41は、ユーザが操作するプレイヤキャラクタが行動する仮想空間(ゲーム空間)を生成する。仮想空間生成手段41は、キャラクタが動作する仮想のゲーム空間および当該ゲーム空間内で動作する各キャラクタを生成し、モニタ19に表示させる。例えば、仮想空間生成手段41は、プレイヤキャラクタの移動に伴って、ゲームデータ30bに含まれるオブジェクトおよびテクスチャなどのデータを読み出し、三次元の仮想ゲーム空間を生成する。さらに、仮想空間生成手段41は、ゲーム装置2のモニタ19にゲーム空間を表示するために、生成したゲーム空間に配置した所定の仮想カメラで撮影したときの二次元画像を生成し、モニタ19にゲーム画面として表示する。
【0026】
キャラクタ制御手段42は、少なくとも当該コンピュータを操作するユーザに対応するキャラクタ(プレイヤキャラクタ)の動作を、当該ユーザによるコントローラ24の操作入力またはゲームの進行状況に応じて制御する。さらに、キャラクタ制御手段42は、ゲーム空間にて行動するノンプレイヤキャラクタの動作を制御する。
【0027】
音検出手段43は、仮想空間のプレイヤキャラクタの位置を基準とする所定の領域内における音の発生場所を検出する。また、マップ表示手段44は、ゲーム画面内において仮想空間の所定の領域を簡易的に表示する簡易マップを表示する。音発生場所表示手段45は、所定の領域内における音の発生場所を簡易マップ上の対応位置に表示する。音発生場所表示処理についての詳細は後述する。
【0028】
通信手段46は、ゲームに参加する他のユーザにより操作される他のコンピュータとの間で、ゲームを同期して進行させるべくデータの送受信を行う。なお、複数のゲーム装置2のコンピュータ同士で通信を行う際、各コンピュータが所定のサーバに接続し、当該サーバにおいてゲーム進行を管理するオンラインゲームとして構成されてもよいし、各コンピュータからの所定のマッチングサーバへのリクエストに応じてマッチングサーバが複数のコンピュータをマッチングし、マッチングされた複数のコンピュータ同士で相互通信を行ってゲームを進行するP2P(ピアツーピア)方式の通信ゲームとして構成されてもよい。
【0029】
例えば、P2P通信方式のゲームにおいては、まず、一のユーザ(ホストユーザとなる)のコンピュータがマッチングサーバにセッション作成要求信号を送信する。このセッション作成要求信号に基づいてホストユーザが操作するコンピュータまたはマッチングサーバがセッションを形成する。形成されたセッションの情報は、マッチングサーバにおいて、セッションのリストに組み込まれ、一時記憶される。一方、他のユーザ(ゲストユーザとなる)は、何れかのホストユーザにより形成されたセッションに参加したい場合、当該ゲストユーザの所定の操作に基づいて当該ゲストユーザのコンピュータがマッチングサーバにセッション情報要求信号を送信する。マッチングサーバは、記憶しているセッションのリストをゲストユーザのコンピュータへ送信し、ゲストユーザのコンピュータは、それをゲーム画面上に表示させる。ゲストユーザがセッションのリストの中から1つのセッションを選択すると、ゲストユーザのコンピュータは、マッチングサーバにセッション参加信号を送信する。マッチングサーバは、当該セッションに参加するユーザの各コンピュータにP2P通信に必要な情報(例えばセッションに参加する他のユーザのゲームデータ、キャラクタデータなど)を送信する。その後、セッションに参加するユーザのコンピュータ同士でP2P通信を行い、セッションが確立される。
【0030】
セッションが確立された後は、他のユーザに対応するキャラクタは、他のコンピュータのキャラクタ制御手段42により制御され、当該制御情報が通信手段46を通じてユーザのコンピュータに送られ、当該コンピュータが当該制御情報に基づいて同一のゲーム空間内で他のユーザに対応するキャラクタを動作させる。
【0031】
セッションは、一のユーザのコンピュータと他のユーザのコンピュータとの間の通信経路に設けられたネットワークサーバ(例えば上記マッチングサーバ)などに形成されてもよいし、一のユーザのコンピュータおよび他のユーザのコンピュータの何れかに形成されてもよい。本実施の形態においては、複数のユーザのうちの一のユーザ(ホストユーザ)が作成したセッションにその他のユーザ(ゲストユーザ)が参加することにより、当該セッションが形成されたステージにおいて、複数のユーザが同じゲーム空間内でゲームを進行させることができる。
【0032】
本ゲームにおいては、上記のようなセッションを形成する複数のユーザの中から、ゲーム空間において複数のユーザが協同してゲームを進めるためのチームが形成される。一のセッションを形成する複数のユーザ全員が一のチームに属することとしてもよい。この場合、敵キャラクタはノンプレイヤキャラクタとなる。また、これに代えて、一のセッションを形成する複数のユーザは、複数のチームの何れかに属することとしてもよい。この場合、複数のチーム間で対戦することができる。すなわち、一のチームに属するユーザのプレイヤキャラクタが対戦する相手となる敵キャラクタは、他のチームに属するユーザの操作に基づいて動作制御される。この場合には、さらに、第3勢力としてノンプレイヤキャラクタが存在してもよい。以下では、主に、一のユーザが操作するプレイヤキャラクタと、他のユーザが操作する敵キャラクタおよびノンプレイヤキャラクタであるゾンビキャラクタとが存在するゲームについて説明する。
【0033】
このように、通信手段46は、一のセッションかつ一のチームに属する他のユーザにより操作される他のコンピュータとの間で、ゲームを同期して進行させるべくデータの送受信を行う。さらに、通信手段46は、同じセッションかつ他のチームに属する他のユーザにより操作される他のコンピュータとの間でも、ゲームを同期して進行させるべくデータの送受信を行う。
【0034】
セッション形成後、当該セッションに属するユーザのプレイヤキャラクタが行動するゲーム空間の設定および当該ゲーム空間のデータの読み出しを行うとともに、セッションに参加する各プレイヤキャラクタの初期位置を設定し、当該ゲーム空間上に配置する。
【0035】
本ゲームにおいては、例えば、ゲーム装置2の電源が投入されてから、ゲームタイトル画面が表示される。ゲームタイトル画面等でユーザの過去のゲームデータをロードするための入力が行われると、当該ゲームデータが読み出され、当該ゲームデータに基づく初期設定画面が表示される。初期設定画面における各種設定操作の後、プレイモードの選択画面が表示され、ユーザが操作するプレイヤキャラクタ以外のキャラクタがノンプレイヤキャラクタとなるシングルプレイモード、複数のユーザに対応する複数のプレイヤキャラクタが、1つのチームとして協同して敵キャラクタと戦いながらゲーム本編を進行させるマルチプレイモード等の複数のプレイモードが選択可能となる。プレイモードの選択画面において、マルチプレイが選択された場合には、セッション形成画面が表示され、所定の操作に基づいて複数のコンピュータ間でセッションが形成される。セッション形成後、セッションが形成された複数のコンピュータ間でゲームデータのロードおよび初期設定が行われ、それらの完了後、ゲーム本編が開始される。ゲーム本編ではユーザによるプレイヤキャラクタの操作が可能となり、これによってゲーム本編が進行する。
【0036】
図3は、本実施の形態におけるゲーム画面の例を示す図である。図3に示すように、ゲーム画面50には当該コンピュータに操作入力を行うユーザ1が操作するプレイヤキャラクタC1のゲーム空間上における位置周辺の画像がメインのゲーム画像として表示される。ゲーム本編におけるゲーム画面50には、プレイヤキャラクタC1の背後に配置された仮想カメラからゲーム空間を撮像した画像が表示される。ゲーム画面50には、ユーザ1が操作するプレイヤキャラクタC1以外に、他のユーザにより操作される敵キャラクタE1,E2、ノンプレイヤキャラクタであるゾンビキャラクタZ1,Z2、他のユーザにより操作されるまたはノンプレイヤキャラクタである味方キャラクタ、その他のオブジェクト等が仮想カメラの視野内に位置した場合にそれらを当該位置において表示される。
【0037】
図3においては、プレイヤキャラクタC1から見て遮蔽物となる壁オブジェクトW1,W2の裏側に敵キャラクタE1,E2およびノンプレイヤキャラクタであるゾンビキャラクタZ1,Z2が隠れている。図3の例においては、便宜上、敵キャラクタE1,E2を破線で表しているが、実際のゲームにおいては壁オブジェクトW1,W2の裏側の敵キャラクタE1,E2は通常表示されない。すなわち、プレイヤキャラクタC1を操作するユーザには敵キャラクタE1,E2が隠れているのか否かおよび隠れている位置は分からない状態である。さらに、図3においては、ゲーム画面50上に敵キャラクタE1等が爆弾等を使用することにより所定位置で当該爆弾等が作動(爆発)した際に生じる爆発エフェクトF1が表示されている。また、壁オブジェクトW1の上部には固定オブジェクトである通気ファンF2が設けられている。
【0038】
ゲーム画面50には、メインのゲーム画像上に簡易マップ表示部51が設けられている。図4は、図3における簡易マップ表示部51の拡大図である。マップ表示手段44は、簡易マップ表示部51に、プレイヤキャラクタC1の位置を含む所定の領域におけるゲーム空間を簡易的に表示する。簡易的な表示態様は、例えばモノトーンによる表示、地形またはオブジェクト等の二次元的な表示および/またはこれらを低解像度化した表示等が含まれ得る。なお、簡易マップ表示部51に表示される所定の領域は、ゲーム画面50における仮想カメラで撮像された映像の範囲より小さくても大きくてもよいし、同じでもよい。簡易マップ表示部51には、ユーザが操作するプレイヤキャラクタC1の現在位置Pが表示される。また、簡易マップ表示部51は、図3および図4に示すように、三次元的な視点で表示されてもよいし、上方からの視点(二次元表示)で表示されてもよい。
【0039】
音発生場所表示手段45は、音の発生場所を、簡易マップ表示部51に示される簡易マップ上の対応する位置に表示する。音の発生場所は円錐状の表示体Bにより示される。図4においては音の発生源とこれに対応する表示体Bとの関係が分かり易いように、Bに図3のゲーム画面50における符号を沿えて表示している。例えば表示体BF1は、爆発エフェクトF1に対応する表示体であることを示す。
【0040】
ここで、音検出手段43は、発生場所で発生した音の音量を検出し、音発生場所表示手段45は、音の発生場所に音量に応じて異なる表示体を表示する。本実施の形態における表示体Bは、音量が大きいほど大きさ(底面の面積および高さ)が大きくなるように構成されている。
【0041】
例えば、爆発音または銃撃音は比較的大きい音であるため、爆発音を示す表示体BF1および敵キャラクタE2における銃撃音を示す表示体BE2は、表示体の高さが高く、それに伴って底面の面積が大きくなる。一方、キャラクタの足音は比較的小さい音であるため、ゾンビキャラクタZ1,Z2の移動時の音を示す表示体BZ1,BZ2は、表示体の高さが低く、それに伴って底面の面積が小さくなる。また、近くにより大きい音が発生している場所においては、より小さい音はかき消されてしまうため、敵キャラクタE1の移動時の音を示す表示体は、近くのより大きい音の発生源である通気ファンF2の作動音を示す表示体BF2と一体となって表示されない。
【0042】
なお、これらの他、表示体で表示し得る音には、例えば、キャラクタが階段、はしご等を使う音、扉を開け閉めする音、リロードが必要な武器をリロードする音、物を置いた音、棒等を振ったり、投げたりして壁等に衝突したときの音、叫び声、電子機器等の起動音等のキャラクタの動作に基づいて発生した音、および、ブザー、水滴が落ちる音、水が流れる音、漏電して火花が散っているときの音等の仮想ゲーム空間に設置されているオブジェクト等からキャラクタの動作とは無関係に発生する環境音等が含まれる。本ゲームにおいては、ユーザの操作に基づいてプレイヤキャラクタC1の動作をゆっくりした動作からすばやい動作まで段階的または連続的に変化できるように構成され、ゆっくりした動作であるほど生じる音の音量が小さく、すばやい動作であるほど生じる音の音量が大きいようにしてもよい。
【0043】
例えば爆発音を示す表示体BF1は、爆発が生じてから急激に大きくなり、ある程度の期間、大きさが維持され、爆発エフェクトF1の表示の収束とともに表示体BF1の大きさも小さくなり、爆発エフェクトF1の表示の消滅とともに表示体BF1も消去される。また、銃撃を行った敵キャラクタE2が銃撃後、静かに移動した場合、銃撃音を示す表示体BE2の消滅後、敵キャラクタE2の位置は表示体BE2が表示された位置から離れている場合がある。
【0044】
上記のような構成によれば、ユーザが仮想のゲーム空間上における音の発生場所を特定することができる。音の発生場所がプレイヤキャラクタC1の近くであれば実際に音が聞こえたりするため、何の音であるかは比較的特定し易い。一方、音の発生場所がプレイヤキャラクタC1から遠く離れた場所である場合、その音自体は聞こえず、何の音であるかは特定し難くなる。このため、プレイヤキャラクタC1から離れた場所の音が何であるかを把握するために、隠れている敵キャラクタE1,E2等からの攻撃を受け易くなるリスクを負って当該音の発生場所に近づくか否か等のさらなる判断が生じる。もちろん、プレイヤキャラクタC1を操作するユーザにも状況に応じて音を発生させても素早く行動するべきか、音を発生させないように静かに行動するべきかを判断する必要が生じる。このように、ゲーム空間上の音の発生場所を示すことにより、戦術性の希薄化を抑制して、ユーザにより多様な判断を促すゲーム性を実現することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態においては、各音の発生場所を示す表示体Bの大きさが当該場所における音量に応じて変化する。このため、音量および音の発生の仕方(音の発生時間、変化の大きさ等)から当該表示体Bが示す音が何の音かを判断するゲーム性が生じる。また、上述したように、大きい音の発生場所の近くでは小さい音はその大きい音に隠れてしまうため、大きい音が常に発生している場所(通気ファンF2等)にキャラクタが隠れることによって相手キャラクタに存在を気付かれ難くする等の戦術性が生じる。特に、本実施の形態における表示体Bのように音量が大きいほど底面の面積が大きくなるような態様であれば、当該大きな音を発生させているオブジェクト等と全く同じ位置でなくても当該オブジェクト等を含む所定の範囲においてプレイヤキャラクタC1が発生する音を隠すことができる。このように、本実施の形態によれば戦術性の幅を広げることができる。
【0046】
なお、本実施の形態において、表示体Bは、音の発生源の属性または種類によらず1つの表示形態で表示される。これにより、表示体Bに示される音の位置、音量または音の変化の仕方、発生場所が動くかどうか等から、表示体Bに示される音の発生源をユーザが推測して判断するゲーム性を提供することができる。
【0047】
また、円錐状の表示体Bには、円錐を基本形状とし、当該基本形状に音波を模擬したような波形が重畳されたような形状も含まれる。さらに、表示体Bが示す音の音量にランダムに微小値を加減算して、音量が一定であっても、表示体Bの大きさが微小変化するように構成されてもよい。
【0048】
ここで、表示体Bの大きさは、プレイヤキャラクタC1の位置と音の発生場所との間の距離に応じた補間音量に所定の逆補間処理がなされた音量に基づいて定められる。具体的には、以下のように定められる。まず、プレイヤキャラクタC1の位置に基づいて、その近傍に音の聴取位置が設定されている。制御部4は、ゲーム本編中において、音が発生した場合、当該音の発生場所と聴取位置との間の距離に応じて、当該音の音量を補間してスピーカ22から出力する。より具体的には、制御部4は、音の発生場所と聴取位置との間の距離が近いほど音の発生場所における音量と同じ音量で再生し、距離が遠いほど音の発生場所における音量より小さい音量で再生する。また、音の種類によって距離が離れることによる音の減衰率等が異なり得る。このため、音には種類の異同に応じた補間関数が対応付けて記憶されている。
【0049】
図5は、本実施の形態における表示体の大きさの演算処理を説明するための図である。図5(a)は補間関数f(x)が適用される音についての演算過程を示し、図5(b)は補間関数f(x)が適用される音についての演算過程を示す。補間関数f(x)は、プレイヤキャラクタC1の聴取位置と音の発生場所との間の距離xが長くなるに従い二次関数的に音量が減衰する関数である。また、補間関数f(x)は、距離xが長くなるに従い線形関数的に音量が減衰する関数である。なお、図5(a)および図5(b)においては、比較を容易にするため、発生場所(x=0)における音量を共通の音量Voとしている。
【0050】
表示体Ba,Bbの表示に際しても、音発生場所表示手段45は、音の発生場所における音量に対して、発生した音の種類に応じた補間関数f(x),f(x)を適用することにより、プレイヤキャラクタC1における音の聴取位置と音の発生場所との間の距離に応じて発生した音の音量が補間された補間音量V1a,V1bを算出する(図5(a)および図5(b)における上段のグラフ参照)。
【0051】
さらに、音発生場所表示手段45は、上記の補間音量V1a,V1bに距離xに応じて所定の逆補間を行った音量を生成する。具体的には、例えば、音発生場所表示手段45は、距離xが長くなるに従い音量が増大するような所定の逆補間関数f(x)における距離xの値(逆補間音量)V2を算出し(図5(a)および図5(b)における中段のグラフ参照)、補間音量V1a,V1bに逆補間音量V2を加えた値V3a(=V1a+V2),V3b(=V1B+V2)を表示体Ba,Bbの基準音量として算出する。音発生場所表示手段45は、算出された基準音量に基づいて表示体Ba,Bbの大きさを設定する(図5(a)および図5(b)における下段のグラフ参照)。
【0052】
逆補間関数f(x)は音の種類によらない。したがって、補間関数f(x),f(x)が異なる2つの音がプレイヤキャラクタC1から同じ距離x離れた位置で同じ音量で発生した場合であっても、簡易マップ表示部51に表示される表示体Ba,Bbの大きさは互いに異なる。例えば、図5(a)に示すように、逆補間関数f(x)が補間関数f(x)を完全に補間する関数である場合、表示体Baの大きさの基準となる音量V3aは、音の発生場所における音量Voと等しくなる。
【0053】
一方、図5(b)に示すように、逆補間関数f(x)が補間関数f(x)を完全には補間しない関数である場合、表示体Bbの大きさの基準となる音量V3bは、音の発生場所における音量Voとは異なる(図5(b)においてはより大きくなる)。そして、距離xが長くなるほど逆補間関数f(x)による逆補間割合(V3bに占めるV2の割合)が大きくなる。この結果、距離xが長くなるほど表示体Bbの大きさの基準となる音量V3bと音の発生場所における音量Voとの誤差は、大きくなる。
【0054】
したがって、補間関数f(x),f(x)を音の種類ごとに変える一方、逆補間関数f(x)を音の種類に依存しない関数(共通の関数)とすることにより、表示体Bが示す音量の情報がプレイヤキャラクタC1の位置(聴取位置)から離れるほど不正確になる。このため、プレイヤキャラクタC1から遠くの位置で発生した音に基づく表示体Bから当該音の発生源をプレイヤキャラクタC1を操作するユーザが判断することは難しくなる。したがって、ユーザには当該音の発生源が不明な状態でさらに音の発生場所に近づくか否かの判断が要求される。
【0055】
このように、距離xに応じて表示体Bが示す音量情報の精度を変化させることにより、戦術性の希薄化を抑制することができ、ユーザにより多様な判断を促すゲーム性を実現することができる。
【0056】
なお、距離xが所定距離以上離れた場合は補間、逆補間を行わず、所定の固定値(音量および発生期間)または固定関数に基づいて表示体Bが表示されてもよい。プレイヤキャラクタC1からより遠く離れた位置での音の情報は比較的重要視されないため、演算を簡略化することにより、制御部4における処理負担を軽減することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0058】
上記実施の形態において、表示体Bは、音量に応じて円錐の高さおよび底面の面積が変化することとしたが、高さのみ変化し、底面の面積は同じでもよい。また、表示体Bは二次元的に表示され、音量に応じてその面積が変化することとしてもよい。また、表示体Bの形状(基本形状)は、例えば円柱、角柱、多角錐等の円錐以外の形状でもよい。また、上記実施の形態において、表示体Bは音量に応じて表示体Bの大きさが変化することとしたが、これに加えてまたはこれに代えて音量に応じて表示体Bの色が変化することとしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、簡易マップ表示部51がゲーム画面50内に常時表示されている態様としたが、これに限られない。例えば、ゲーム本編開始前の初期設定時にプレイヤキャラクタC1の装備品として簡易マップ表示部51上に音の発生場所を表示可能な装備品(サウンドレーダー)を所持するように選択することにより、ゲーム本編でのサウンドレーダーの使用が可能となってもよい。これに加えて、またはこれに代えて、ゲーム本編開始後にサウンドレーダーをアイテムまたは装備品として取得できるようにし、当該サウンドレーダーの取得後において、ユーザの操作に基づいてサウンドレーダーを使用可能としてもよい。また、簡易マップ表示部51は、ゲーム本編中において、常時ゲーム画面50内またはゲーム画面50外に表示されてもよいし、ゲーム本編においてサウンドレーダーの使用中に限りゲーム画面50内またはゲーム画面50外に表示されてもよい。
【0060】
また、音の発生場所を表示する簡易マップが簡易マップ表示部51に表示される代わりに、アイテム等の使用時にメインのゲーム画像自体が音の発生場所を表示する簡易マップとして表示されてもよい。例えばプレイヤキャラクタC1が装備するアイテムとしてゴーグルまたは双眼鏡型のサウンドレーダーが設定されてもよい。この場合、当該サウンドレーダーの所持時において、プレイヤキャラクタC1が当該サウンドレーダーを装着または使用することにより、プレイヤキャラクタC1の視界上に音の発生場所が表示可能となる。
【0061】
また、上記実施の形態では据え置き型のゲーム装置について説明したが、携帯型のゲーム装置、携帯電話機、およびパーソナルコンピュータなどのコンピュータについても、本発明を好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明はゲームにおいて戦術性の高いゲーム性を提供するために有用である。
【符号の説明】
【0063】
2 ゲーム装置
30a ゲームプログラム
30b ゲームデータ
41 仮想空間生成手段
42 キャラクタ制御手段
43 音検出手段
44 マップ表示手段
45 音発生場所表示手段
46 通信手段
図1
図2
図3
図4
図5