(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
図1は、本発明の遊技機の実施形態としてのスロットマシンである。
スロットマシン1は、
図1に示すように、筐体10を備えている。この筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0012】
前面扉100は、その中央部分に透光性のリール窓200を備える。このリール窓200は、後述する各回転リール20の表面に表示された複数の図柄が視認可能に配置されている。
【0013】
リール窓200の上方には、液晶表示部3と、電飾部(図示略)と、スピーカ(図示略)とが設けられている。液晶表示部3は、遊技中に各種の演出動画を表示する。電飾部は、所定の条件を満たした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。スピーカは、所定の条件を満たした場合に、所定のBGMおよびSE(サウンドエフェクト)を出力する。すなわち、遊技中の各種の演出は、液晶表示部3、電飾部、およびスピーカによって行われる。
【0014】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、遊技媒体の一例としてのメダルを投入するための投入口41と、メダルをベットするためのベットスイッチ42と、各回転リール20を回転させるレバーとしてのレバー43と、各回転リール20に対応して設けられ回転中の各回転リール20を停止させるための各ストップスイッチ40とで構成されている。
【0015】
これらの操作部4の各スイッチは、遊技者の操作に基づいて操作信号を出力する。また、投入口41にはメダルセンサ(図示略)が設けられている。メダルセンサは遊技者による投入口41へのメダルの投入を検出し、検出信号を出力する。また、操作部4には、これらに加えて精算スイッチ(図示略)、および貯留メダル表示部(図示略)等が設けられている。
【0016】
さらに、操作部4の下部には、メダルを払い出すための払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。
【0017】
図2は、スロットマシン1の機能ブロック図である。
図3は、スロットマシン1の回転リール20の図柄の配列を示す図である。また、
図4は、スロットマシンの有効ラインLを示す模式図である。
図5は、スロットマシン1のRT遷移を説明するための図である。
【0018】
スロットマシン1は、前記のとおり、ベットスイッチ42、レバー43、およびストップスイッチ40のほか、
図2に示すように、回転リールユニット2と、スロットマシン1全体を制御する制御部6とを備えている。回転リールユニット2および制御部6は、スロットマシン1の主電源をオン/オフする電源装置(図示略)等とともに、筐体10の内部に配置されている。
【0019】
回転リールユニット2は、3つの回転リール20と、これらを駆動する3つのステッピングモータ21とで構成されている。この回転リールユニット2は、筐体10の内部の中央付近に配置されている。
【0020】
本実施形態におけるステッピングモータ21は、ストップスイッチ40が操作されてから、190m秒以内に回転リール20の回転を停止させるように設定されている。また、ステッピングモータ21は、504ステップで1回転し、回転リールを80回転/分の速度で回転させる。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップとなる。なお、内部抽せんの結果第二種特別役物に係る役物連続作動装置(2種BB)が当せんした場合には、所定条件を満たすまで(例えば、メダルが規定枚数払い出されるまで)、それ以降のゲームにおいて、ステッピングモータ21の制御が変更される。これにより、75m秒以内に当該回転リール20の回転が停止される。
【0021】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、後述する回転開始制御部611および回転停止制御部612によって、その回転および停止の制御がなされる。
【0022】
<遊技の説明>
スロットマシン1で遊技をするに当たって、遊技者は、まず、メダルを投入口41から投入する、あるいは、ベットスイッチ42を操作することにより貯留しているメダル(クレジット)を使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定の枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化され、レバー43の操作が可能な状態、すなわち、遊技が開始可能な状態になる。
【0023】
有効ラインLは、例えば、
図4に示すように、水平方向の上段ライン1本で構成されている。本実施形態では、Max Bet(マックスベット)となる3枚掛けをした場合に、1本の有効ラインL(上段ライン)が有効化される。
【0024】
本実施形態における1ゲームとは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、遊技の結果を得る一連の動作をいう。具体的には、遊技が開始可能な状態でレバー43を操作すると、役の内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインL上に揃った(入賞した)図柄の組み合わせに応じて、所定の枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0025】
スロットマシン1は、
図5に示すように、通常状態(RT0、RT1、RT2)、ART遊技状態(RT3)、および、第1種特別役物に係る役物連続作動装置(1種BB)が作動している状態である1種BB遊技状態(RT4)を備える。
【0026】
通常状態としては、通常状態0(RT0)、通常状態1(RT1)、および、通常状態2(RT2)がある。
【0027】
通常状態0(RT0)は、1種BB遊技状態で規定枚数のメダルが払い出された後、あるいは、制御部6に設けられたRAMのクリア時に移行する遊技状態である。
【0028】
通常状態1(RT1)は、遊技状態がRT0のときに、内部抽せんの結果、シングルボーナス(SB)に当せんし、かつ、SBが入賞しなかった場合(SBをとりこぼした場合)に移行する遊技状態である。
【0029】
通常状態2(RT2)は、遊技状態がRT1のときに、内部抽せんの結果、RT2移行リプレイに当せんし、かつ、RT2移行リプレイに対応する図柄が有効ラインL上に揃った場合に移行する遊技状態である通常状態2(RT2)である。なお、遊技状態がRT2のときにSBを取りこぼすと、遊技状態がRT2からRT1に移行する。
【0030】
ART遊技状態(RT3)は、遊技状態がRT2のときに、内部抽せんの結果、RT3移行リプレイに当せんし、かつ、RT3移行リプレイに対応する図柄が有効ラインL上に揃った場合に移行する遊技状態である。遊技状態がARTのときにSBを取りこぼすと、遊技状態がRT3からRT1に移行する。
【0031】
ART遊技状態においては、通常状態0〜2よりも再遊技(リプレイ)の確率が上がり、メダルが減りにくい状態で、ストップスイッチ40を所定の操作手順で操作することで入賞可能な役(押し順役)を獲得しやすくするための報知が行われる。いったんART遊技状態に移行すると、ARTで遊技可能な遊技期間(ARTゲーム数)が経過してARTが終了するまで、遊技状態はARTであるとみなされる。すなわち、例えば、遊技状態がARTに移行したのち、SBの取りこぼしにより遊技状態がRT1に移行したとしても、ART中であるとみなされる。
【0032】
また、
図5において、RT3はART遊技状態であることが記載されているが、ART遊技状態ではないRT3もありうる。すなわち、ART抽せんに当せんしていない状態で、RT3移行リプレイに対応する図柄が有効ラインL上に揃うことにより、遊技状態がRT2からRT3に移行する場合もある。
【0033】
1種BB遊技状態(RT4)は、1種BBに当せんし、1種BBに対応する図柄が有効ラインL上に揃ってから、規定枚数のメダルが払い出されるまでの遊技状態である。前述したように、RT4中に規定枚数のメダルが払い出されるとRT0に移行する。
【0034】
SB、RT2移行リプレイ、RT3移行リプレイ、1種BB、および2種BBは、所定の移行条件を満たすことにより、遊技状態の移行を可能にする移行役の一例である。また、SB、RT2移行リプレイ、および、RT3移行リプレイは、ストップスイッチ40を所定の操作手順で操作することにより、対応図柄が有効ラインL上に揃うことが可能となる特定役の一例である。
【0035】
<制御部の説明>
制御部6は、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラムあるいはデータ等を記憶するROM、RAM等を備える。この制御部6は、
図2に示すように、主に、メイン制御部61と、サブ制御部62とで構成される。
【0036】
メイン制御部61は、遊技を進行させるための制御を行う。メイン制御部61は、遊技者による、ベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40への操作に基づいて、ステッピングモータ21の制御、および、回転リール20の回転開始または終了の制御を行う。
【0037】
また、サブ制御部62は、各種演出等を行うための制御を行う。サブ制御部62は、メイン制御部61から送信された信号に基づいて演出内容の決定をするとともに、報知部621、電飾部、およびスピーカの制御、ならびに、決定された演出内容の出力といった制御を行う。
【0038】
[メイン制御部]
メイン制御部61は、
図2に示すように、複数の内部抽せんテーブルT1を備える内部抽せん部610、回転開始制御部611、回転リール検出部612aと図柄判定部612bと押し順判定部612cと図柄テーブルT2とを備える回転停止制御部612、押し順集計部613、遊技結果判定部614、ホッパー制御部615、状態移行判定部616、および、ART制御部617で構成される。
【0039】
内部抽せん部610は、レバー43の操作信号に基づいて、回転リール20の図柄の組み合わせに対応する役の内部抽せんを行う。具体的には、レバー43の操作信号が出力されたときに取得される乱数と内部抽せんテーブルT1とに基づいて内部抽せんを行い、当せんした役を判定する。内部抽せん結果は、内部抽せん結果信号として出力される。出力された内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リールユニット2、およびサブ制御部62に送信される。
【0040】
ベットスイッチ42の操作信号は、所定の枚数のメダルが貯留されており、かつ、ベット受付期間において、ベットスイッチ42の操作が行われた場合(ベットスイッチがオンされた場合)に出力される。
【0041】
なお、各スイッチの操作信号が出力されたか否かの判定は、1ゲームごとに行われる。また、本実施形態において、各スイッチへの操作は、各スイッチの操作信号が出力される操作を意味する。
【0042】
図6、
図7は、内部抽せんテーブルT1に含まれる情報のフォーマットを説明した図である。内部抽せんテーブルT1は、
図6に示すような遊技状態における役の抽せん情報、および、
図7に示すような入賞役および押し順に対応する図柄の組み合わせの情報を含む。また、内部抽せんテーブルT1は、レバー43の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている複数の領域(置数領域)を備える。なお、内部抽せん部610は、遊技状態(RT遷移状態)等に応じて、異なる内部抽せんテーブルを選択する。
【0043】
以下に、内部抽せんテーブルT1を詳細に説明する。
内部抽せんテーブルT1は、
図6に示すように、RT0〜RT4の遊技状態(各RT遷移)ごとに設けられる。また、内部抽せんテーブルT1は、内部抽せん部610の役の抽せんにより当せんの可能性がある役の情報を備える。内部抽せんテーブルT1において、RT遷移ごとに「○」となっている欄が当せんする可能性のある役であり、空欄となっている欄が当せんする可能性のない役である。例えば、
図6の「純はずれ」の欄から、「純はずれ」は、通常状態0〜2(RT0〜RT2)では当せんする可能性があるが、RT3、RT4では当せんしないことがわかる。なお、以下では、説明の便宜上、リプレイあるいは1種BB等に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも入賞と表現することがある。
【0044】
図7に示すように、内部抽せんテーブルT1に記憶されている役のうち、一部の小役およびリプレイは、所定の順序でストップスイッチ40が操作された場合に入賞する押し順役、および押し順に関係なく入賞可能な押し順不問役を含む。押し順役の押し順は、所定の条件を満たした場合に、報知される。
【0045】
小役は、入賞した場合に一定枚数のメダルの払い出しが行われる図柄の組み合わせである。また、リプレイは、対応する図柄が有効ラインL上に揃った場合にメダルをベットすることなく次の遊技が可能となる図柄の組み合わせである。
【0046】
前述のとおり、内部抽せんテーブルT1には、レバー43の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている複数の領域が設けられている。この領域の各々が、
図6において「○」となっている欄の役に対応づけられている。
【0047】
また、
図7に示すように、内部抽せんテーブルT1に記憶されている役の情報には、各役に設定されている1以上の役の情報が含まれる。例えば、当せん役が所定の順序でストップスイッチ40が操作された場合に入賞可能な役である押し順役の情報には、設定されている押し順役の情報と、対応するストップスイッチ40の操作の順番の情報とが含まれる。
【0048】
なお、
図7では、押し順役が入賞可能となるストップスイッチ40の操作の順番が、テーブルの上部の3個の数字で示されている。例えば、「123」であれば、左の回転リール20aに対応するストップスイッチ40a、中の回転リール20bに対応するストップスイッチ40b、右の回転リール20cに対応するストップスイッチ40cの順にストップスイッチを操作することを示している。押し順役の押し順は、所定の条件を満たした場合に、ナビゲーション(押し順の報知)される。
【0049】
本実施形態では、当せんした役に対応づけられている役が、すべて同時に当せんする。例えば、内部抽せん部610の内部抽せんの結果、役「中ベル1」に当せんした場合、中段ベルと中ベル1とが同時に当せんする。そして中段ベルを入賞させるための押し順(「213」あるいは「231」)に従って遊技者がストップスイッチ40を押した場合、「213」および「231」のいずれの押し順によっても中段ベルが揃う。同様に、例えば中ベル1を入賞させるための押し順(「123」、「132」、「312」、または「321」)に従って遊技者がストップスイッチ40を押した場合、いずれの押し順によっても中ベル1が入賞する可能性がある。
【0050】
図7において、役「中ベル1」に設定された押し順役の欄に「中ベル1orベルこぼし」とあるのは、中ベル1が、遊技者のストップスイッチ40に対する操作タイミングによっては入賞しない押し順役、すなわち、取りこぼす可能性のある押し順役であることを示している。具体的には、役「中ベル1」に当せんし、中ベル1が入賞可能な順番でストップスイッチ40の操作が行われたが、遊技者が操作タイミングを誤り、中ベル1を取りこぼした場合にベルこぼしとなる。ベルこぼしの場合には、メダルの払い出しはない。なお、スイカ等は、押し順に関係なく、遊技者による操作タイミングによっては取りこぼす可能性のある役である。
【0051】
また、本実施形態において2種BBが当せんした場合には、押し順に関係なく2種BBに対応する図柄が揃う。なお、2種BBは、
図7に示すように、RT0〜RT3のときには当せんするが、RT4のときには当せんしない。さらに、RT0〜RT3の遊技状態において2種BBに対応する図柄が揃った場合であっても、RT遷移しない。すなわち、例えばRT1にて2種BBが当せんした場合、次ゲームからRT1の状態のままCT(第二種特別役物)ゲームが始まる。
【0052】
また、RT1に実施される2種BB中は、RT1の状態において当せんする可能性のある役のフラグおよびメダルの払い出しのある小役のすべて(全役)のフラグが強制的に立てられる。例えば、内部抽せんの結果当せんした役がリプレイである場合、フラグ情報として、リプレイおよび全役が立てられる。一方、内部抽せんの結果当せんした役がベルである場合、全役の中にすでにベルが含まれているため、フラグ情報として全役のみが立てられる。また、2種BB中は、CTの当せん確率が増加する。本実施形態においては、所定のタイミングにおいて自動的にCTが成立する。なお、2種BBは、例えば、規定枚数のメダルが払い出されるまで継続する。
【0053】
回転開始制御部611は、レバー43の操作信号に基づいて、回転リールユニット2のステッピングモータ21を制御して回転リール20の回転を開始させる。なお、回転開始制御部611は、回転リール20が、例えば、80回転/分の速度で回転するように、ステッピングモータ21を制御する。
【0054】
回転停止制御部612は、回転リール検出部612aと、図柄テーブルT2と、図柄判定部612bとを備える。回転停止制御部612は、内部抽せん部610により出力された内部抽せん結果信号と遊技者によるストップスイッチ40の操作信号と図柄テーブルT2とに基づいて、回転リールユニット2のステッピングモータ21を制御する。そして、遊技者によるストップスイッチ40の操作のあと、190m秒以内に、対応する回転リール20の回転が停止する。
【0055】
一方、内部抽せんの結果得られた当せん役が2種BBであった場合には、回転停止制御部612は、2種BBが当せんした遊技以降の遊技(CTゲーム中)において、3つの回転リール20のうちの少なくとも1つの回転リール20のリール停止制御を変更する。この場合、例えば、回転停止制御部612は、遊技者による左のストップスイッチ40aの操作のあと、75m秒以内に、左の回転リール20aの回転が停止するようにリール制御を行う。
【0056】
回転リール検出部612aは、回転中の回転リール20の位置を検出する。具体的には、回転リール検出部612aは、回転リール20の回転が開始されたあと、各回転リール20の基準点(図示略)の通過を検出する。各回転リール20の基準点の通過が検出されると、回転リール検出部612aは、各回転リール20の基準点が通過したことを表す検出信号を出力する。本実施形態のスロットマシン1では、有効ラインLがスロットマシン1の絶対的な位置である検出位置として設定されている。また、検出信号は、各回転リール20の基準点がこの検出位置を通過するたびに検出される。
【0057】
また、回転リール検出部612aは、回転リール20の基準点が有効ラインLを通過したことを示す検出信号を受信するたびに(すなわち、回転リールが1回転するたびに)、各ステッピングモータ21のステップ(以下、単にステップという)の計測値をゼロクリアし、再び0からステップを計測する。これにより、回転リール検出部612aは、ステップを計測する。
【0058】
また、回転リール検出部612aは、計測されたステップに基づいて、スロットマシン1における絶対的な位置である検出位置からの各回転リール20の基準点のステップを検出する。この検出された基準点のステップから、回転リール20の位置が検出される。検出された回転リール20の位置は、回転リール検出部612aによって、回転リール位置検出信号として出力される。なお、この回転リール検出部612aは、回転リール20の基準点が検出位置を通過したことを検出できる位置であれば、スロットマシン1の設計等に応じて任意に配置することができる。出力された検出信号は、回転リール検出部612aから制御部6に送信される。
【0059】
図柄判定部612bは、回転リール検出部612aにより出力された回転リール位置検出信号と、図柄テーブルT2とに基づいて、すべての回転リール20が停止したときの有効ラインL上の図柄を判定する。この判定結果は、図柄判定部612bにより、図柄判定信号として出力される。
【0060】
押し順判定部612cは、3つのストップスイッチ40のいずれのストップスイッチ40が操作されたかを判定する。この判定結果は、押し順判定信号として押し順集計部613等へと送信される。なお、この押し順判定信号は、6通りの押し順に関する情報であってもよいし、遊技者が3つのストップスイッチ40のうちのいずれのストップスイッチ40を最初に操作したかという情報であってもよい。
【0061】
図柄テーブルT2は、内部抽せん部610の内部抽せんの結果当せんした役とストップスイッチ40の操作信号が出力されたときの有効ラインL上の図柄とに応じて定められている回転リール20の停止位置の情報をも備える。この回転リール20の停止位置の情報には、内部抽せん部610の役の抽せんの結果当せんした役と、ストップスイッチ40が操作されたときの回転リール20の位置とに応じて、ストップスイッチ40が操作されてから回転リール20が停止するまでのステッピングモータ21のステップの情報(図柄の滑りコマ数)が含まれる。
【0062】
回転リール20の回転停止制御は、回転停止制御部612によって、内部抽せん部610により出力された内部抽せん結果信号と、図柄判定部612bにより出力された図柄検出信号と、図柄テーブルT2とに基づいて行われる。例えば、当せんした役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うように回転リール20の回転停止制御(いわゆる引き込み制御)が行われたり、あるいは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように回転リール20の回転停止制御(いわゆる蹴飛ばし制御)が行われたりする。回転停止制御部612は、この回転リール20の回転停止制御の結果を回転リール停止信号として出力する。出力された回転リール停止信号は、回転停止制御部612から遊技結果判定部614等に送信される。
【0063】
また、
図7に示す役のうち「中ベル1」に当せんした場合、内部抽せん結果信号、図柄検出信号および図柄テーブルT2に加えて、さらに、押し順判定部612cから出力される押し順判定信号と、図柄判定部612bから出力された図柄判定信号とに基づいて、回転リール20の回転停止制御が行われる。
【0064】
押し順集計部613は、押し順判定部612cが送信した押し順判定信号を受信して、1ゲームごとの遊技者の押し順を集計する。そして、押し順集計部613は押し順集計信号を生成する。その後、押し順集計信号が状態移行判定部616に送信される。
【0065】
遊技結果判定部614は、内部抽せん部610から出力された内部抽せん結果信号と、回転停止制御部612から出力された回転リール停止信号とに基づいて、遊技の結果を判定する。すなわち、遊技結果は、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せん役が入賞したか否かを判定する。具体的には、遊技結果判定部614は、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせが所定の図柄の組み合わせと一致した場合に当せん役が入賞したと判定する。この判定結果は、遊技結果判定信号として出力される。出力された遊技結果判定信号は、遊技結果判定部614からホッパー制御部615およびサブ制御部62に送信される。
【0066】
ホッパー制御部615は、遊技結果判定部により出力された遊技結果判定信号、あるいは操作部4の精算スイッチ(図示略)を操作することにより出力される操作信号に基づいて、ホッパーユニット(図示略)を制御する。これにより、メダルの払い出しが行われる。遊技結果判定信号に基づいて払い出されたメダル(役の当せん、入賞により得られたメダル)は、まず、クレジットとして貯留される。メダルが貯留された結果、クレジットの上限(例えば50枚)を超える場合には、ホッパー制御部615によりホッパーユニットが制御される。すなわち、クレジットの上限を超えた分のメダルがホッパーユニットから払い出される。また、1枚以上の貯留メダルがある場合(クレジットが1以上の場合)に精算スイッチが操作された場合には、ホッパー制御部615によりホッパーユニットが制御され、貯留されているメダルがホッパーユニットから払い出される。
【0067】
状態移行判定部616は、例えば、遊技状態を有利状態であるART遊技状態に移行させるか否かの抽せん(ART抽せん)、あるいは、当せんした役に応じてART遊技状態(RT3)への移行確率を高確率状態(高確モード)もしくは低確率状態(低確モード)へ移行させるか否かの抽せん(後述する昇格モード抽せんもしくは降格モード抽せん)を行う。これらの抽せんは、内部抽せん部610から出力される内部抽せん結果信号等に基づいて行われる。
【0068】
状態移行判定部616は、例えばレア役に当せんした場合に、このレア役の当せん時におけるART抽せんモードに基づいて、ART遊技状態に移行するか否かの抽せんを行う。
【0069】
また、状態移行判定部616は、レア役ごとに、ART抽せんに当せんする確率の異なるART抽せんモードを複数備える。ART抽せんモードは、遊技の進行状況に応じて、複数のうちからいずれか1つが選択される。
【0070】
本実施形態では、
図8に示すように、状態移行判定部616により選択されるART抽せんモードとしては、通常モード、通常モードよりもART抽せんに当せんしやすい高確モード、および通常モードよりもART抽せんに当せんしにくい低確モードの3つの抽せんモードがある。ART抽せんモードは、スロットマシン1の設定が変更された場合およびスロットマシン1の電源がオンされた場合(リセット時)、または、ARTが終了した場合(ART終了時)に所定の割合で選択される。
【0071】
低確モード、通常モード、および、高確モードのそれぞれには、
図9に示すように、ART抽せんに当せんしたときに遊技者が遊技することのできるARTゲーム数の割合が定められており、それぞれ選択されるARTゲーム数の期待値が異なっている。選択されるARTゲーム数の期待値は、低確モードが最も低く、通常モード、高確モードの順に高くなるように設定されている。
【0072】
また、状態移行判定部616は、選択されているART抽せんモードを他のART抽せんモードに変更するか否かの抽せんであるARTモード抽せんを行う。ARTモード抽せんとしては、前述のとおり、内部抽せんの結果、レア役に当せんした場合に行われる昇格モード抽せん、および、レア役に当せんしなかった場合に行われる降格モード抽せんがある。
【0073】
昇格モード抽せんは、例えば、内部抽せんにより当せんした役がレア役(チェリー、スイカ等)の場合に、
図10に示すテーブルを参照して行われる。
【0074】
また、降格モード抽せんは、例えば、内部抽せんの結果当せん役がレア役でなかった場合に、
図11に示すテーブルを参照して行われる。この降格モード抽せんは、決定されるARTゲーム数の期待値が低い抽せんモードへの変更が主に行われるようになっている。
【0075】
ART抽せんに当せんした場合、ART抽せんに当せんしたこと、および、ART遊技状態にて付与されるゲーム数がART抽せん信号として、状態移行判定部616からART制御部617および演出制御部620へと送信される。
【0076】
また、状態移行判定部616は、遊技状態がART遊技状態であるときに、レア役に当せんしたことを表す内部抽せん結果信号を受信した場合、ARTゲーム数の上乗せ等の抽せんを行う。この抽せんの結果は、ART上乗せ抽せん結果信号として状態移行判定部616からART制御部617および演出制御部620に送信される。なお、本実施形態においては、状態移行判定部616がARTの上乗せ抽せんに関する制御を行っているが、これとは異なり、ART制御部617に状態移行判定部616の機能を持たせることもできる。
【0077】
さらに、本実施形態において状態移行判定部616は、押し順集計信号を受信して、ARTモード抽せんを行う。具体的には、ある特定区間(例えば、100ゲーム)の間に、遊技者の操作による押し順で最も多かった押し順が、状態移行判定部616が抽せんによって決定した押し順(正解押し順)と同じである場合には、現在のART抽せんモードを参照してモード移行抽せんを行う。
【0078】
例えば、状態移行判定部616が抽せんの結果正解押し順として「213」を選択し、100ゲームの間に遊技者が「213」の押し順を最も多く選択していた(正解率が高い)場合には、状態移行判定部616はART抽せんモードの昇格モード抽せんを行う。逆に、例えば、状態移行判定部616が抽せんの結果正解押し順として「312」を選択し、100ゲームの間に遊技者が「213」の押し順を最も多く選択していた(正解率が低い)場合には、状態移行判定部616は降格モード抽せんを行うこともできる。
【0079】
ART制御部617は、状態移行判定部616から送信されたART抽せん結果信号を受信して、遊技状態を通常遊技状態からART遊技状態に移行させる。
【0080】
状態移行判定部616から出力されたART抽せん結果信号に基づいて、遊技状態を通常遊技状態からART遊技状態に移行させる場合、ART制御部617は、ART準備信号を生成する。生成されたART準備信号は、ART制御部617から演出制御部620および報知部621に送信される。
【0081】
遊技状態をART遊技状態から通常遊技状態に移行させる場合、例えば、以下のような処理が実行される。ART制御部617は、ART遊技状態に移行後の遊技期間(ART消化ゲーム数)と、ART抽せんに当せんした場合に決定されたARTゲーム数に上乗せされたARTゲーム数を加えた総ARTゲーム数とに基づいて、ART消化ゲーム数が総ARTゲーム数に達したか否かを判定する。
【0082】
そして、ART制御部617は、ART消化ゲーム数が総ARTゲーム数に達した場合には、遊技状態をART遊技状態から通常遊技状態に移行させる。ART制御部617は、これらの情報を通常遊技状態準備信号として出力する。出力された通常遊技状態準備信号は、ART制御部617から演出制御部620および報知部621に送信される。その後、ART制御部617は、遊技状態がART遊技状態から通常遊技状態に移行したことを表すART終了信号を出力する。出力されたART終了信号は、ART制御部617から演出制御部620等に送信される。なお、ART遊技状態が終わった後でもSBを取りこぼすまでは、遊技状態はRT3のままである。
【0083】
ART抽せんに当せんした場合には、状態移行判定部616は何ゲームのART遊技状態を実施するかの情報を生成する。状態移行判定部616によって生成された情報は、ART抽せん結果信号として演出制御部620に送信される。その後、RT3移行リプレイの当せんを契機として、ART遊技状態が始まる。
【0084】
[サブ制御部]
サブ制御部62は、
図2に示すように、演出制御部620と、報知部621とを備える。演出制御部620は、例えば、内部抽せん部610から出力される内部抽せん結果信号、状態移行判定部616から出力されるART抽せん結果信号、または、ART制御部617から出力されるART移行信号および通常遊技状態移行信号に応じて、1ゲームごとに、演出パターンを選択する。
【0085】
演出パターンの選択は、当せんした役、あるいは遊技状態等に対応する演出の内容が記憶されているテーブル(演出テーブルT3)に基づいて行われる。演出制御部620は、選択された演出パターンに基づいて、報知部621、電飾部、およびスピーカを制御して、演出を出力する。
【0086】
また、演出テーブルT3は、例えば、所定の役に当せんした場合、あるいは、ART抽せんに当せんした場合に選択される可能性がある前兆演出テーブルを含む。前兆演出テーブルとは、前兆演出が行われる所定の遊技期間(前兆演出期間)にのみ選択される演出テーブルに記憶されている領域の一つである。また、前兆演出とは、遊技状態が有利状態に移行する期待度を示唆する演出の一つである。
【0087】
<遊技処理>
以下に、スロットマシン1の遊技処理について説明する。
図12に示すように、遊技者によりベットスイッチ42の操作が行われると、ベットスイッチ42の操作信号が出力される(ステップS10)。
【0088】
ベットスイッチ42の操作信号が出力されたのち、遊技者によりレバー43が操作されると(レバーオン)、レバー43の操作信号が出力される(ステップS11)。レバー43の操作信号が出力されると、内部抽せん部610が、当せん役の内部抽せんを行う(ステップS12)。
【0089】
ついで、遊技が2種BB中か否かが判定される(ステップS13)。遊技が2種BB中である場合(S13:YES)には、内部抽せんの結果当せんした役が特別遊技中当せん役となる(ステップS14)。その後、内部抽せん部610により、特別遊技中当せん役のフラグにかかわらず、全役のフラグが立てられる(ステップS15)。ついで、状態移行抽せんの一例であるART抽せんが特別遊技中当せん役の種類に基づいて行われる(ステップS16)。
【0090】
一方、遊技が2種BB中でない場合(S13:NO)には、ステップS12における内部抽せんの結果当せんした役に応じてART抽せんが行われる(ステップS16)。なお、本実施形態においては、特別遊技中当せん役に応じて行われるART抽せん確率は、全役に応じて行われるART抽せん確率よりも高く設定されている。
【0091】
ART抽せんを行うにあたって、まず、現在の遊技状態において選択されているART抽せんモードが判定される。ART抽せんモードは、通常モード、高確モード、および低確モードのうちから、いずれか1つが選択されている。
【0092】
ART抽せん等を行ったのち、回転開始制御部611は、ステッピングモータ21を制御して、回転リール20の回転を開始させる(ステップS17)。そして、遊技者によりストップスイッチ40が操作されると、ストップスイッチ40の操作信号が出力される(ステップS18)。ストップスイッチ40の操作信号が出力されると、回転停止制御部612は、ステッピングモータ21を制御して、回転リール20を停止させる(ステップS19)。
【0093】
回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されると、内部抽せん結果信号に基づいて、ストップスイッチ40が操作された位置から4コマ(4図柄)以内、あるいは190m秒以内に停止するように、引き込み制御または蹴飛ばし制御が行われる。なお、2種BB中は、3つの回転リール20のうちいずれか1つの回転リール20が75m秒以内に停止するように、引き込み制御または蹴飛ばし制御が行われる。
【0094】
また、回転停止制御部612は、ストップスイッチ40の操作信号が出力されると、すべての回転リール20が停止したか否かを判定する(ステップS20)。すべての回転リール20が停止していないと判定された場合(S20:NO)には、処理はステップS18へと戻る。そして、すべての回転リール20が停止するまで、ステップS18〜S20が繰り返される。
【0095】
一方、すべての回転リール20が停止したと判定された場合(S20:YES)には、回転リール停止信号が遊技結果判定部614に送信されたのち、処理はステップS21へと進む。ステップS21では、遊技結果判定部614が、内部抽せん結果信号および回転リール停止信号に基づいて、役の抽せんの結果当せんした役が入賞したか否か等の結果判定を行う。この結果判定に基づいてメダルの払い出し等の処理が行われる。
【0096】
ステップS10〜S21の処理が実行されると、メイン制御部61は、1ゲーム(1遊技期間)が終了したと判定する。すなわち、ステップS21の後、処理はステップS10へと戻り、メイン制御部61は、遊技者によるベットスイッチの操作を待つ。
【0097】
<作用効果>
本発明のスロットマシン1においては、2種BB中であっても多様な種類で構成される特別遊技中当せん役の種類に基づいてART抽せんを行う。その一方で、2種BB中には全役が成立しているため、遊技者には、いかなる当せん役(特別遊技中当せん役)が成立しているかが不明である。そのため、スロットマシン1は、2種BBが成立した場合であっても、遊技者は期待感を持って遊技を進めることができる。
【0098】
(他の実施形態)
前記実施形態では、2種BBを搭載したスロットマシンの例を記載したが、本発明はこれには限られない。すなわち、CTを搭載した場合であっても本発明の効果を発揮することができる。
【0099】
また、状態移行判定部は、2種BB中において第1の条件が満たされる場合、
図12におけるステップS15とステップS16との間において、特別遊技中当せん役および全役のいずれに基づいて、状態移行抽せんを行うかについての抽せんを行うこともできる。なお、前記第1の条件としては、特別遊技中当せん役がスイカ、チェリーなどのレア役であった場合などがある。この場合、遊技者にとって、特別遊技中当せん役および全役のいずれに基づいてART抽せんが行われているかが不明である。このような構成を採用することにより、遊技者は、よりいっそう期待感を持って遊技を進めることができる。
【0100】
また、状態移行判定部による前記抽せんの結果、状態移行抽せんを行うことが決定した場合であって、かつ、第2の条件が満たされる場合には、特別遊技中当せん役および全役のいずれに基づいてART抽せんを行うかを、さらに特別遊技中当せん役に基づいてART抽せんを行う場合には特別遊技中当せん役の情報を、報知部が遊技者に報知してもよい。なお、前記第2の条件としては、押し順集計結果によって状態移行判定部がART抽せんモードを高確モードに設定している場合、あるいは、所定のゲーム期間、遊技者が正解押し順で回転リールを停止させている回数が多い(正解率が高い)場合などがある。
【0101】
また、例えば、操作部に備えつけられたボタン類の操作によって、特別遊技中当せん役を遊技者に報知するか否かを、あるいは、押し順集計結果を用いて状態移行判定を行うか否かを、遊技者が任意に選択できるようにしてもよい。
【0102】
前記実施形態では、状態移行判定部は押し順集計結果を用いてARTモード抽せんを行うことができることを記載したが、本発明はこれには限られない。例えば、状態移行判定部は、押し順集計結果を用いてART抽せんを行うこともできる。その際、状態移行判定部が毎ゲームについて正解押し順をランダムに選択し、遊技者が正解押し順どおりにストップスイッチを操作した場合に、状態移行判定部がART抽せんを行うこととしてもよい。
【0103】
また、2種BB中あるいはCT中に遊技者が正解押し順でストップスイッチを操作したときに、状態移行判定部は遊技者にとって有利な状態に移行するか否かの抽せんを行ってもよい。
【0104】
また、遊技者が正解押し順でストップスイッチを操作した場合に、当該スロットマシンの現在の設定(1〜6)を表示することもできる。
【0105】
またさらに、遊技者が正解押し順でストップスイッチを操作した場合に、エミュレートしたいゲーム数を遊技者に入力させることもできる。例えば、遊技者が所望のゲーム数(200ゲーム)を指定した場合、それ以降の200ゲームのエミュレートをメイン制御部が行い、その結果を折れ線グラフなどで遊技者に提示することができる。
【0106】
以上の構成を採用することにより、遊技者がさまざまな押し順で遊技を楽しむことができるようになり、よりいっそう興趣のある遊技機を提供することができる。