(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記層状粘土鉱物が、モンモリロナイト、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト、ノントロナイト、ベイデルライト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、ソボクカイト、スビンドルダイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミナートオキシド、ハイドロタルサイト、イライト、レクトライト、タロソバイト、レディカイト、カオリナイト、及び、これらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2記載の光学材料。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明者らは鋭意検討の結果、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物とイオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物とを組み合わせて使用することによって、これらを含む光学材料のガスガリア性を改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0027】
[硬化性ポリオルガノシロキサン組成物]
本発明の光学材料は硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を含む。ポリオルガノシロキサン組成物の硬化型は特に限定されるものではなく、例えば、過酸化物硬化型、ヒドロシリル化反応(付加反応)硬化型、縮合反応硬化型、紫外線硬化型等の公知の硬化型であってよいが、前記硬化性ポリオルガノシロキサン組成物はヒドロシリル化反応硬化性又は縮合反応硬化性であることが好ましい。
【0028】
ヒドロシリル化反応硬化性の場合、前記硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、一般的には、(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサン、(C)ヒドロシリル化反応触媒を含む。
【0029】
(A)成分のポリオルガノシロキサンは前記硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の主成分であり、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有する。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基等が例示され、アルケニル基以外の有機基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等で例示されるアルキル基;フェニル基、トリル基等で例示されるアリール基;ベンジル基、β−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等で例示されるハロゲン置換アルキル基等が挙げられる。(A)成分の分子構造は直鎖状、分岐を含む直鎖状、環状、網目状のいずれであってもよく、2種以上のポリオルガノシロキサンを併用してもよい。(A)成分の分子量は特に限定はなく、粘度の低い液状のものから粘度の高い生ゴム状のものまで使用することができる。
【0030】
(B)成分のポリオルガノシロキサンは前記硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の架橋剤であり、(C)ヒドロシリル化反応触媒存在下、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と付加反応することで架橋し硬化するものである。(B)成分のポリオルガノシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)は1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有する。ケイ素原子結合水素原子以外の有機基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等で例示されるアルキル基;フェニル基、トリル基等で例示されるアリール基;3,3,3−トリフロロルロピル基、3−クロロプロピル基等で例示される置換アルキル基等が挙げられる。(B)成分の分子構造としては直鎖状、分岐を含む直鎖状、環状、網目状のいずれでもよく、2種以上のポリオルガノシロキサンを併用してもよい。
【0031】
(B)成分の分子量は特に限定はないが、25℃における粘度が3〜10,000センチポイズの範囲であることが好ましい。また、(B)成分の配合量は、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数と(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基のモル数の比が(0.5:1)〜(20:1)となるような量であり、好ましくは(1:1)〜(3:1)が好ましい。これは(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基のモル数1に対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数が0.5より小さいと組成物が充分に硬化することができず、20より大きいと硬化物が発泡することがあるからである。
【0032】
(C)ヒドロシリル化反応触媒はヒドロシリル化反応(付加反応)硬化型のシリコーン組成物を硬化させるための触媒である。(C)成分のヒドロシリル化反応触媒は従来公知のものを使用することができ、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との錯化合物、白金黒、白金を固体表面に担持させたもの等の白金系触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系触媒;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等のロジウム系触媒が例示される。中でも白金系触媒であることが好ましい。
【0033】
(C)成分の配合量は(A)成分と(B)成分の合計量100万質量部に対して触媒金属元素換算で0.1〜500質量部が好ましい。これは0.1質量部未満では硬化が充分に進行せず、500質量部を超えると不経済となる恐れがあるためである。
【0034】
ヒドロシリル化反応(付加反応)硬化性の場合の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、その硬化速度又は作業可使時間を調整するために、硬化遅延剤を含んでもよい。硬化遅延剤としては、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等の炭素−炭素三重結合を有するアルコール誘導体;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のアルケニル基含有低分子量シロキサン;メチル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、ビニル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン等のアルキン含有シランが例示される。
【0035】
硬化遅延剤の配合量は、ヒドロシリル化反応(付加反応)硬化型の上記組成物の使用方法、成形方法等に応じて適宜選択される。一般的な配合量は、ヒドロシリル化反応(付加反応)硬化型の組成物の全質量を基準にして、0.001%〜5質量%の範囲である。
【0036】
縮合反応硬化性の場合、前記硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、例えば、(D)分子鎖末端がシラノール基又はケイ素原子結合加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、又は、ケイ素原子結合加水分解性基を有するオルガノシランの部分加水分解縮合物、(E)(D)成分を架橋するのに十分な量のケイ素原子結合加水分解性基を有するオルガノシラン系又はオルガノシロキサン系架橋剤、及び、(F)必要量の縮合反応促進触媒を含む。その硬化物は、例えば、当該組成物を室温で又は加熱により硬化することによって得ることができる。
【0037】
(D)成分におけるケイ素原子結合加水分解性基としては、ジメチルケトキシモ基、メチルエチルケトキシモ基等のケトキシモ基[ケトキシミノ基と称されることもあり、一般式:-O-N=CR’R”で示される基(式中、R’及びR”は同一又は異なるアルキル基であり、炭素原子数1〜6のアルキル基が好適である);メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基等のアシロキシ基;N−ブチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;N−メチルアセトアミド基等のアシルアミド基;N、N−ジエチルアミノキシ基等のN,N−ジアルキルアミノキシ基;プロペノキシ基等のアルケニロキシ基が例示される。これらの中でも、アルコキシ基及びケトキシモ基が好ましい。
【0038】
(D)成分として、具体的には、分子鎖両末端がシラノール基、ケイ素原子結合メトキシ基又はエトキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、メチルアルキルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、或いは、アルコキシシランの部分加水分解縮合物等が例示されるが、硬化物の性状と経済性の点でジメチルポリシロキサン又はアルコキシシランの部分加水分解縮合物が好ましい。なお、ケイ素原子結合メトキシ基又はエトキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサンの末端基としては、メチルジメトキシシロキシ基、メチルジエトキシシロキシ基、トリメトキシシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、メチルジメトキシシリルエチル(ジメチル)シロキシ基、トリメトキシシリルエチル(ジメチル)シロキシ基等が例示される。
【0039】
(D)成分として、ジオルガノポリシロキサン又はオルガノシランの部分加水分解縮合物を2種類以上併用してもよい。例えば、(D−1)25℃における粘度が20〜100mPa・sである分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサンと(D−2)25℃における粘度が1000〜5000mPa・sである分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサンの混合物が挙げられる。ここで成分(D−1)と成分(D−2)の配合比は質量比で1/99〜10/90の範囲にあることが好ましい。
【0040】
(E)成分は、(D)成分の架橋剤であり、ケイ素原子結合加水分解性基を少なくとも2個有し、好ましくは3個又は4個有する。一般式:R
ySiX
4−yで表される(式中、Rは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基であり、Xはケイ素原子結合加水分解性基であり、yは0又は1である)オルガノシラン又は該オルガノシランの部分加水分解縮合物であるオルガノシロキサンオリゴマーが代表的である。なお、一価炭化水素基の定義及び例示は後述のとおりである。ケイ素原子結合加水分解性基としては、ジメチルケトキシモ基、メチルエチルケトキシモ基等のケトキシモ基[ケトキシミノ基と称されることもあり、一般式:-O-N=CR’R”で示される基(式中、R’及びR”は同一又は異なるアルキル基であり、炭素原子数1〜6のアルキル基が好適である);メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基等のアシロキシ基;N−ブチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;N−メチルアセトアミド基等のアシルアミド基;N、N−ジエチルアミノキシ基等のN,N−ジアルキルアミノキシ基;プロペノキシ基等のアルケニロキシ基が例示される。これらの中でも、アルコキシ基及びケトキシモ基が好ましい。
【0041】
(E)成分としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、n−プロピルオルソシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕テトラスルフィド、ビス−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕ジスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィド、テトラキス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、テトライソプロペノキシシラン、メチルトリ(N,N−ジエチルアミノ)シランが例示される。
【0042】
(E)成分の配合量は、(D)成分を硬化させるのに十分な量であり、組成物が一液型である場合は、湿気遮断下で長期間保存可能であり、湿気にさらされると常温で硬化可能となる量であり、通常、2〜30質量%の範囲内である。具体的には、(E)成分の配合量は、例えば(D)成分100質量部当り5〜100質量部であり、硬化性の面から8〜40質量部の範囲が好ましい。
【0043】
(F)成分としては、従来公知の縮合反応促進触媒を使用することができる。具体例としては、ジブチルスズジアセテ−ト、ジブチルスズジオクテ−ト、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物;テトラ(i−プロピル)チタネート、テトラ(n−ブチル)チタネート、ジブトキシビス(アセチルアセトナート)チタン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート等の有機チタネート化合物;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム等の有機ジルコニウム化合物;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物;ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等の有機酸金属塩;ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアミン系触媒が挙げられる。なお、脱アルコール型の縮合反応硬化型の組成物には有機錫化合物又は有機チタネート化合物が適しており、脱オキシム型の縮合反応硬化型の組成物には有機チタネート化合物が適している。
【0044】
(F)成分の配合量は、(D)成分及び(E)成分の縮合反応を促進するのに十分な量であり、例えば0.1〜15質量%であり、1〜8質量%であることが好ましい。
【0045】
この他に、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には種々の添加剤を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。添加剤としては例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ又は石英ガラス等の酸化ケイ素、タルク、炭酸カルシウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のような各種無機あるいは有機光拡散材;ガラス、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物等の放熱材;その他に、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を挙げることができる。
【0046】
これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではないが、組成物の全質量に基づき1〜50重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましく、1〜10重量%がより好ましい。各添加剤は1種類のみを使用してもよく、あるいは、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。2種類以上を添加する場合は、各添加剤の量は同一としてもよく、また、異ならせてもよい。
【0047】
[イオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物]
本発明の光学材料はイオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物を含む。イオン性官能基を有する化合物中のイオン性官能基の数は1又は複数であってよい。層状粘土鉱物を処理するイオン性官能基を有する化合物は1又は複数であってよい。
【0048】
本発明で使用可能な層状粘土鉱物は、天然又は合成のフィロシリケート(phyllosilicates)であり、特にモンモリロナイト(montmorillonite)、ナトリウムモンモリロナイト(sodium montmorillonite)、カルシウムモンモリロナイト(calcium montmorillonite)、マグネシウムモンモリロナイト(magnesium montmorillonite)、ノントロナイト(nontronite)、ベイデルライト(beidellite)、ボルコンスコイト(volkonskoite)、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト(saponite)、ソーコナイト(sauconite)、マガダイト(magadite)、ケニヤイト(kenyaite)、ソボクカイト(sobockite)、スビンドルダイト(svindordite)、スチーブンサイト(stevensite)、滑石、雲母、カオリナイト(kaolinite)、バーミキュライト(vermiculite)、ハロイサイト(halloysite)、アルミナートオキシド(aluminate oxides)、又はハイドロタルサイト(hydrotalcites)、及びそれらの混合物のようなスメクチック粘土(smectic clays)である。他の実施形態においては、有用なナノ粘土は、イライト(illite)のような雲母質鉱物、及びレクトライト(rectorite)、タロソバイト(tarosovite)、レディカイト(ledikite)、そしてイライトと上述の粘土鉱物の一つ以上との混合物のような混合層状イライト/スメクタイト鉱物である。有機分子を十分に吸着して、隣接するフィロシリケートプレートレットの間の層間空間を少なくとも約5オングストローム、又は少なくとも約10オングストローム(フィロシリケートを乾燥状態で測定したとき)に増大させる任意の膨潤可能な層状物質を使用できる。粘土鉱物は、天然または合成のどちらも使用可能であるが、不純物による着色の観点から、合成品の方がより好ましい。
【0049】
前記層状粘土鉱物は、モンモリロナイト、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト、ノントロナイト、ベイデルライト、ボルコンスコイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、ソボクカイト、スビンドルダイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミナートオキシド、ハイドロタルサイト、イライト、レクトライト、タロソバイト、レディカイト、カオリナイト、及び、これらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0050】
これらの層状粘土鉱物は、未処理であってもよく、また、公知のシリル化剤により処理を行ったものであってもよい。粘土鉱物の末端には、水酸基が存在し、この水酸基と添加したシリル化剤が反応して、末端を疎水化することが可能である。この場合、シリル化剤の種類、導入割合によって、親水性/ 疎水性をコントロールすることが可能である。
【0051】
公知のシリル化剤としては、特に制限されるものではないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、その他の官能基を有するアルコキシシラン類を例示することができる。粘土へのシリル化剤の導入方法としては、例えば、原料粘土とシリル化剤を混合し、機械的手段を用いて混合することにより製造される。これらのシリル化剤による処理は、後述のイオン性処理剤による処理と組み合わせて使用することも可能である。なお、公知のシリル化された層状粘土鉱物は、シラン処理モンモリロナイト、またはシラン処理有機ベントナイト等としてホージュン等から入手可能である。
【0052】
本発明で使用される層状粘土鉱物は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物との親和性を向上させるため、イオン性官能基を有する化合物で処理されており、変性粘土とされている。
【0053】
本発明の変性粘土は、交換可能なイオン、例えば、Na
+、Ca
2+、Al
3+、Fe
2+、Fe
3+及びMg
2+、を有する層状粘土鉱物を、少なくとも1つのイオン性官能基を有する少なくとも1種の化合物(イオン性処理剤)と接触させることによって得ることができる。これにより、層状粘土鉱物に含まれる上記イオンがイオン性官能基由来のイオンに置換される。イオン性官能基を有する化合物は好適には塩の形態である。
【0054】
イオン性処理剤としては、非シリコーン系イオン性処理剤及びシリコーン系イオン性処理剤並びにこれらの混合物が挙げられる。特に、非シリコーン系イオン性処理剤とシリコーン系イオン性処理剤の組み合わせや一種類または二種類以上の分子量の異なる前記処理剤を組み合わせにより、硬化性シリコーンに対する相溶性と分散性が改善され、イオン性処理剤の使用量を低減し、組成設計の自由度を広げることが可能になる。
【0055】
(非シリコーン系イオン性処理剤)
非シリコーン系イオン性処理剤中のイオン性官能基はカチオン性基であることが好ましい。
【0056】
前記カチオン性基はアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウム及びピリジニウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0057】
(第4級)アンモニウムとしては、例えば、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルエイコサニルアンモニウム、トリメチルオクタデセニルアンモニウム、等のトリメチルアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデセニルアンモニウム、ジメチルジオクタデカジエニルアンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウム、例えば、メチルベンジルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルベンジルアンモニウム、等のベンジルトリアルキルアンモニウム、ジベンジルジヘキサデシルアンモニウム、等のジベンジルジアルキルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリデシルメチルアンモニウム、トリデシルメチルアンモニウム、トリテトラデシルメチルアンモニウム、トリオクタデシルメチルアンモニウム等のトリアルキルメチルアンモニウム等、例えば、モノヒドロキシポリオキシエチレントリアルキルアンモニウム、ジヒドロキシポリオキシエチレンジアルキルアンモニウム、トリヒドロキシポリオキシエチレンアルキルアンモニウム等のポリオキシエチル基含有アンモニウム等を挙げることができる。
【0058】
第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩の調製は、例えば、特開平6−24732号公報の記載に準じて行えばよい。具体的には、大量の水中に予め分散させてある層状珪酸塩に第4級アンモニウム塩を加え、撹拌することで、層状珪酸塩に含まれるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等のカチオンを第4級アンモニウムに交換する方法等を挙げることができる。
【0059】
第4級アンモニウムを含む層状珪酸塩における第4級アンモニウムの含有量としては、層状珪酸塩がもつカチオン交換容量に対して、例えば、0.1〜200%の割合を挙げることができる。
【0060】
第4級アンモニウムで処理された粘土鉱物として、例えば、天然モンモリロナイトにジメチルオクタデシルベンジル4級アンモニウムイオンを導入したエスベンNZ70(株式会社ホージュン製)等の市販品を使用することも可能である。
【0061】
ホスホニウムの具体例としては、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、ビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウム、トリフェニル(テトラデシル)ホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、ドデシルトリス(4−フェノキシフェニル)ホスホニウム、オクタデシルトリス(4−フェノキシフェニル)ホスホニウムなどが例示される。
【0062】
イミダゾリウムの具体例としては、1−エチル−3-メチルイミダゾリウム、1−プルピル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムなどが例示される。
【0063】
上記のイオン性官能基は、硬化性ポリオルガノシロキサンとの相溶性の観点から、分子中に1つ以上の炭素数10以上の長鎖アルキル基、若しくは、芳香族基を含有することが好ましい。炭素数10以上の長鎖アルキル基としては、C
10〜C
30アルキル基が挙げられる。芳香族基としては、フェニル基、トリル基等で例示されるアリール基;ベンジル基、β−フェニルエチル基等のアラルキル基;フェニレン基等のアリーレン基が挙げられる。
【0064】
(シリコーン系イオン性処理剤)
シリコーン系イオン性処理剤中のイオン性官能基はカチオン性基であることが好ましい。
【0065】
前記カチオン性基はアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウム及びピリジニウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0066】
シリコーン系イオン性処理剤としてアンモニウム含有ポリオルガノシロキサンを使用することができる。
【0067】
アンモニウム含有ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、米国特許第5,130,396号公報に記載された化合物が挙げられ、これらは市販品を含む既知の物質から調製可能である。米国特許第5,130,396号公報の内容はここに参照として取り込まれる。
【0068】
米国特許第5,130,396号公報のアンモニウム含有ポリオルガノシロキサンは、以下の一般式(I)によって表わされる:
【化1】
〔式中、R
1及びR
2は、同一でも異なってもよく、以下の式(II)の基を表わす:
【化2】
{ここで、式(I)の窒素原子はR
5基を介して式(II)のケイ素原子と結合し、
R
5は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数5〜8のシクロアルキレン基又は下記の一般式の単位を表わす:
【化3】
(式中、nは、1〜6の数であり且つ窒素の位置におけるメチレン基の数を示し、mは、0〜6までの数である)
そして、ケイ素原子に結合した酸素原子の自由原子価は、式(II)の他の基のケイ素原子によって、及び/又は、一つ又は複数の下記式の架橋性結合によって、シリカ骨格における場合のように飽和されており、
【化4】
(式中、Mは、ケイ素原子、チタン原子又はジルコニウム原子であり、
R’は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基である)
そして、式(II)の基のケイ素原子対上記式の架橋性結合中の金属原子の比は、1:0〜1:10である}
そして、式中、
R
3は、R
1又はR
2と同じであるか、或いは、水素、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、又は、ベンジル基であり、
R
4は、水素、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基、ベンジル基、アルキル基、プロパルギル基、クロロエチル基、ヒドロキシエチル基、又は、クロロプロピル基であり、
Xは、1から3に等しい価数xの陰イオンであり、ハロゲン化物イオン、次亜塩素酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、水酸化物イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、二クロム酸イオン、シアン化物イオン、シアン酸イオン、ロダン化物イオン、硫化物イオン、硫化水素イオン、セレン化物イオン、テルル化物イオン、ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、アジ化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸塩イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、シュウ酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン又は安息香酸イオンの群から選択される。〕
【0069】
アンモニウム含有ポリオルガノシロキサンを調製する一つの方法は、任意に触媒存在下で、少なくとも一つの加水分解が可能なアルコキシ基を有する第一級、第二級、又は第三級のアミノシランと水との反応により、シランの加水分解と、次に起こる縮合を行ってアミン末端オルガノポリシランを生成させ、その後、鉱酸及び/又はハロゲン化アルキルのような適切な四級化試薬で四級化して、アンモニウム含有ポリオルガノシロキサンを得るものである。このタイプの方法は、前述した米国特許第5,130,396号公報に記載されている。これに関して、米国特許第6,730,766号公報には、エポキシ官能性ポリシロキサンの反応による四級化ポリシロキサンの製造プロセスが記載されており、米国特許第6,730,766号公報の内容はここに参照として取り込まれる。
【0070】
この方法の変更形態においては、加水分解可能なアルコキシ基を有する第一級、第二級、又は第三級のアミノシランは、ポリオルガノシロキサンを与える加水分解縮合反応に先立って第四級化される。例えば、アンモニウム含有N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロリド、そして市販品のアンモニウム含有トリアルコキシシランであるオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロリド(ゲレスト社(Gelest, Inc)から入手できる)であり、続く加水分解/縮合は、本書で使用するアンモニウム含有ポリオルガノシロキサンを与える。
【0071】
アンモニウム含有ポリオルガノシロキサンを調製するのに有用な、他の適切な第三級アミノシランとしては、トリス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、トリス(トリプロポキシシリルプロピル)アミン、トリス(エトキシジメチルシリルプロピル)アミン、トリス(トリエトキシフェニルシリルプロピル)アミンなどが挙げられる。
【0072】
アンモニウム含有ポリオルガノシロキサンを調製する更に他の方法では、第四級化試薬を用いて、第一級、第二級、又は第三級のアミン含有ポリオルガノシロキサンを四級化することが必要とされる。有用なアミン含有ポリオルガノシロキサンは、以下の一般式の化合物を含む:
【化5】
(式中、R
1、R
2、R
6及びR
7は、個々独立して、H、炭素数30以下の炭化水素基(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、脂肪族基置換アリール(alkaryl)、芳香族基置換アルキル(aralkyl)など)であり、又はR
1とR
2は共に、又はR
6とR
7は共に、炭素数12以下の二価の架橋基を形成し、R
3及びR
5は、個々独立して炭素数30以下の二価の炭化水素架橋基であり、任意に1つ以上の酸素原子及び/又はチッ素原子を鎖の中に含有することができ、例えば、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH
2C(CH
3)−CH
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−などのような炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレンであり、R
4は、個々独立してアルキル基であり、そしてnは1〜20であり、好ましくは6〜12である。)
【0073】
これらの及び類似のアミン含有ポリオルガノシロキサンは、既知の、そして汎用の手順によって、例えば、米国特許第5,026,890号公報に記載されたように、白金含有ヒドロシリル化触媒のようなヒドロシリル化触媒の存在下において、アリルアミンのようなオレフィンアミンをSi−H結合を有するポリジオルガノシロキサンと反応させることによって得ることができ、米国特許第5,026,890号公報の内容はここに参照として取り込まれる。
【0074】
アンモニウム含有ポリオルガノシロキサンを調製するために有用な具体的なアミン含有ポリオルガノシロキサンとしては、以下の市販の混合物が挙げられる。
【化6】
【0075】
シリコーン系イオン性処理剤としてホスホニウム含有ポリオルガノシロキサンを使用することができる。ホスホニウム含有ポリオルガノシロキサンは、下記のような一般式で表すことができる。
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、X、xは、上記と同じである。)
【0076】
シリコーン系イオン性処理剤としてイミダゾリウム含有ポリオルガノシロキサンを使用することができる。イミダゾリウム含有ポリオルガノシロキサンは、下記のような一般式で表すことができる。
【化8】
(式中、R
1、X、xは、上記と同じである。)
【0077】
シリコーン系イオン性処理剤としてピリジニウム含有ポリオルガノシロキサンを使用することができる。ピリジニウム含有ポリオルガノシロキサンは、下記のような一般式で表すことができる。
【化9】
(式中、R
1、R
2、X、xは、上記と同じである。)
【0078】
シリコーン系イオン性処理剤としては、好ましくは、下記平均構造式
(R
M3SiO
1/2)
a(R
D2SiO
2/2)
b(R
TSiO
3/2)
c(SiO
4/2)
d
{式中、
R
M、R
D及びR
Tは、各々独立して、一価炭化水素基、水素原子、水酸基、アルコキシ基、及び、−Z−(Q)
n、(式中、Zは(n+1)価の官能基又はケイ素原子への直接結合であり、nは1以上の数であり、Qはイオン性官能基である)、又は、他のシロキサン単位のSi原子に結合した2価の官能基であり、但し、全てのR
M、R
D及びR
Tのうち、50モル%以上が一価炭化水素基であり、また、分子中に、少なくとも1つの−Z−(Q)
nで示される基を含み、
a、b、c及びdは、各々独立して、0又は正数であり、a+b+c+dは2〜1000の範囲の数である}
で表されるシリコーン類を使用することができる。
【0079】
前記一価炭化水素基は、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状若しくは樹枝状、置換若しくは非置換であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示される。一価炭化水素基の炭素数は特に限定されるものではないが、1〜30が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が更により好ましい。
【0080】
前記平均構造式中のa〜dは、a=2、2<b<1000、c=0及びd=0であり、R
Mの少なくとも1つが―Z−(Q)
nであることが好ましい。また、この場合bは2〜1000であれば十分であるが、2〜500であることが好ましく、2〜250であることがより好ましく、2〜100であることがさらに好ましく、2〜50であることがなお好ましい。
【0081】
前記Qはカチオン性基であることが好ましい。
【0082】
前記Qはアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウム及びピリジニウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0083】
このような構造のシリコーン系イオン性処理剤としては、下記のものが例示される。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0084】
[光学材料]
本発明の光学材料は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物とイオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物とを混合することによって製造可能である。
【0085】
前記硬化性ポリオルガノシロキサンとイオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物との混合比は特に限定されるものではないが、硬化性ポリオルガノシロキサン:イオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物の質量(重量)比は1:99〜95:5の範囲が好ましく、2.5:97.5〜90:10の範囲、5:95〜85:15の範囲、7.5:92.5〜80:20の範囲、10:90〜75:25の範囲、12.5:87.5〜70:30の範囲が更に好ましい。
【0086】
本発明の光学材料は少なくとも1種の蛍光体を含むことができる。
【0087】
蛍光体は、紫外又は可視の励起光を入射すると、当該励起光の波長よりも長波長の蛍光を発する無機微粒子、ナノ結晶構造又は量子ドット等であり、特に、波長300〜500nmに励起帯を有し波長380〜780nmに発光ピークを有するもの、特に青色(波長440〜480nm)、緑色(波長500〜540nm)、黄色(波長540〜595nm)、又は赤色(波長600〜700nm)に発光する蛍光体微粒子を用いることが好ましい。一般に市場で入手可能な蛍光体微粒子として、YAG等のガーネット系やその他の酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、希土類硫化物、Y
3Al
5O
12:Ce、(Y,Gd)
3Al
5O
12:Ce、Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ce等で表されるCe等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類系アルミン酸塩化物、ハロリン酸塩化物などからなるものが挙げられる。これらの蛍光体微粒子の具体例として、例えば、特開2012−052018号公報に開示された無機蛍光体微粒子が挙げられる。
【0088】
蛍光体は、平均粒子径が0.1〜300μmの範囲である微粒子の形態であることが一般的であり、ガラスビーズ等のガラスパウダーとの混合物の状態で処理してもよい。さらに、励起光や発光の波長域に合わせて、複数の蛍光体微粒子からなる混合物の処理に用いても良い。例えば、紫外域の励起光を照射して白色光を得る場合は、青色、緑色、黄色、及び赤色の蛍光を発する蛍光体微粒子の混合物を表面処理することが望ましい。
【0089】
本発明の側面は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物からなる光学材料のガスバリア性を改善するための、イオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物の使用である。
【0090】
本発明の更なる他の側面は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物からなる光学材料のガスバリア性を改善する方法であって、前記硬化性ポリオルガノシロキサン組成物にイオン性官能基を有する化合物で処理された層状粘土鉱物を配合する方法である。
【0091】
本発明の使用及び方法により、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の硬化物からなる光学材料のガスバリア性を改善することができる。
【実施例1】
【0096】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例中の化学式において、「Me」はメチル基であり、「Ph」はフェニル基であり、「Vi」はビニル基である。
【0097】
[水蒸気透過性]
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を150℃で2時間加熱して、厚み1mmの硬化物を作製した。イリノイインスツルメンツ社製水蒸気透過率測定装置を用い、前記硬化物の水蒸気透過度を40℃で測定した。
また、実施例14,15における薄膜の硬化物については、PETフィルム上で硬化させた薄膜の硬化物状の硬化物について水蒸気透過率を測定した。下記計算式により硬化物の1mm厚換算の水蒸気透過度を求めた。
【化14】
(上式中、n層からなる多層コート(厚みL)において、第n層の厚みと水蒸気透過率をそれぞれ、l
1.P
nとしたときにフィルム全体の水蒸気透過率P
totalは、上記式より算出することができる。参考文献:高分子と水分 第7章 高分子学会編 幸書房(1973))
【0098】
[耐熱性]
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を150℃で2時間加熱して、光路長0.2mmの硬化物を作製した。この硬化物の波長600nmにおける光透過率を測定した。さらに、この硬化物を150℃で24時間加熱し、再度、波長600nmにおける光透過率を測定した。下記式による光透過率の保持率から耐熱性を評価した。
耐熱性(光透過率の保持率)=
(150℃で24時間経過後の透過率/直後の透過率)×100
【0099】
[実施例1]
変性粘土として、天然モンモリロナイトにジメチルオクタデシルベンジル4級アンモニウムイオンを導入した市販品エスベンNZ70(株式会社ホージュン製、ジメチルオクタデシルベンジル4級アンモニウムイオン交換変性粘土)を用いた。1gの上記変性粘土に30.75gのトルエンを添加し、均一にした。その後、9gのフェニル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物であるOE−6630(東レ・ダウコーニング株式会社製、水蒸気透過度12.5g/m
2 day)を添加し、均一にした。テフロン(登録商標)製のカップに移し、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、150℃で2時間加熱し、硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、8.9g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないフェニル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は100%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表1に示す。
【0100】
[実施例2]
エスベンNZ70を2g、トルエンを61.5g、OE−6630を8gに変更した以外は、実施例1と同様の手順で、硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、7.6g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないフェニル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は100%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表1に示す。
【0101】
[実施例3]
エスベンNZ70を3g、トルエンを92.25g、OE−6630を7gに変更した以外は、実施例1と同様の手順で、硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、4.7g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないフェニル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は100%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表1に示す。
【0102】
[実施例4]
変性粘土として、天然モンモリロナイトにジメチルオクタデシルベンジル4級アンモニウムイオンを導入した市販品エスベンNZ70(株式会社ホージュン製)を用いた。2gの上記変性粘土に61.5gのトルエンを添加し、均一にした。その後、11.4gの平均構造式(PhSiO
3/2)
0.41(PhMeSiO
2/2)
0.59で示されるフェニル系縮合反応硬化性シリコーン組成物(水蒸気透過度16.3g/m
2 day)の70重量%トルエン溶液を添加し、均一にした。テフロン(登録商標)製のカップに移し、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、170℃で2時間加熱し、硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、3.4g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないフェニル系縮合反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は100%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表2に示す。
【0103】
[実施例5]
<変性粘土の作成1>
0.625gのベントナイトであるクニピアF(クニミネ工業製、カチオン交換能:115meq/100g)を25gの水に分散させた。次に、0.325gの1−ヘキサデシル3−メチルイミダゾリウムクロライドを8gの水に溶解させた溶液を攪拌しながら少量ずつ滴下した。20gの水を追加し、3時間攪拌を行い、粘土の層間を1−ヘキサデシル 3−メチルイミダゾリウムイオンに交換した。次に、遠心分離で固液を分離し、20gの水で3回洗浄を行った。得られた生成物をオーブンで十分に乾燥後、粉砕して1−ヘキサデシル 3−メチルイミダゾリウムイオン交換変性粘土を得た。
【0104】
<硬化物の作成1>
0.1gの上記で得られた1−ヘキサデシル3−メチルイミダゾリウムイオン交換変性粘土を1.9gのトルエンに分散させた。その後、0.57gの平均構造式(PhSiO
3/2)
0.41(PhMeSiO
2/2)
0.59で示される縮合反応硬化性シリコーン組成物(水蒸気透過度16.3g/m
2 day)の70重量%トルエン溶液を添加し、均一にした。テフロン(登録商標)製のカップに移し、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、170℃で2時間加熱し、硬化物を得た。得られた硬化物の150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は100%であり、耐熱性は良好であった。耐熱性の測定結果を表2に示す。
【0105】
[実施例6]
<変性粘土の作成2>
0.625gのベントナイトであるクニピアF(クニミネ工業製、カチオン交換能:115meq/100g)を25gの水に分散させた。次に、0.48gのトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドを8gの水に溶解させた溶液を攪拌しながら少量ずつ滴下した。20gの水を追加し、3時間攪拌を行い、粘土の層間をトリブチルヘキサデシルホスホニウムイオンに交換した。次に、遠心分離で固液を分離し、20gの水で3回洗浄を行った。得られた生成物をオーブンで十分に乾燥後、粉砕してトリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン交換変性粘土を得た。
【0106】
<硬化物の作成2>
0.1gの上記で得られたトリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン交換変性粘土を1.9gのトルエンに分散させた。その後、0.57gの平均構造式(PhSiO
3/2)
0.41(PhMeSiO
2/2)
0.59で示される縮合反応硬化性シリコーン組成物(水蒸気透過度16.3g/m
2 day)の70重量%トルエン溶液を添加し、均一にした。テフロン(登録商標)製のカップに移し、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、170℃で2時間加熱し、硬化物を得た。また、得られた硬化物の150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は98%であり、耐熱性は良好であった。耐熱性の測定結果を表2に示す。
【0107】
[実施例7]
<変性粘土の作成3>
実施例6の<変性粘土の作成2>で使用した0.48gのトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドを0.51gのトリフェニル(テトラデシル)ホスホニウムブロミドに変更した以外は、実施例6と同様の手順で、トリフェニル(テトラデシル)ホスホニウムイオン交換変性粘土を得た。
【0108】
<硬化物の作成3>
実施例6の<硬化物の作成2>で使用したトリブチルヘキサデシルホスホニウムイオン交換変性粘土を、<変性粘土の作成3>で得られたトリフェニル(テトラデシル)ホスホニウムイオン交換粘土に変更した以外は、実施例6と同様の手順で硬化物を得た。得られた硬化物の150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は96%であり、耐熱性は良好であった。耐熱性の測定結果を表2に示す。
【0109】
[実施例8]
<アンモニウム変性シリコーンの合成1>
9gの下記式
【化15】
で表される片末端アミノシリコーンを15gのイソプロピルアルコールに分散させた。
【0110】
得られた分散液に、0.31gの35%塩酸を10gの水に溶解させた水溶液を滴下し、30分攪拌することで、下記式
【化16】
で示されるアンモニウム変性シリコーン溶液を得た。
【0111】
<変性粘土の作成4>
2.1gのベントナイトであるクニピアF(クニミネ工業製、カチオン交換能:115meq/100g)を60gの水に分散させた。次に、上記で得られたアンモニウム変性シリコーン溶液34.3gを攪拌しながら少量ずつ滴下した。20gの水を追加し、3時間攪拌を行い、粘土の層間を上記アンモニウム変性シリコーンに交換した。次に、遠心分離で固液を分離し、20gのイソプロピルアルコールで3回洗浄後、さらに水で3回洗浄を行った。得られた生成物をオーブンで十分に乾燥後、粉砕してアンモニウム変性シリコーン交換変性粘土(1)を得た。
【0112】
<硬化物の作成4>
0.5gの上記で得られたアンモニウム変性シリコーン交換変性粘土(1)を5gのトルエンに分散させた。その後、4.5gのメチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物であるOE−6370M(東レ・ダウコーニング株式会社製、水蒸気透過度69.8g/m
2 day)を添加し、均一にした。テフロン(登録商標)製のカップに移し、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、150℃で2時間加熱し、硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、62.1g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないメチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は98%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表3に示す。
【0113】
[実施例9]
実施例8で使用したアンモニウム変性シリコーン交換変性粘土(1)の量を1g、OE−6370Mの量を4gに変更した以外は、実施例8と同様の手順で硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、63.7g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないメチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は97%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表3に示す。
【0114】
[実施例10]
実施例8で使用したアンモニウム変性シリコーン交換変性粘土(1)の量を1.5g、OE−6370Mの量を3.5gに変更した以外は、実施例8と同様の手順で硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、51.1g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないメチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は94%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表3に示す。
【0115】
[実施例11]
ビニルベンジルクロライド8.49g(55.5ミリモル)とトルエン30グラムの混合物に白金金属量が固形分の2ppmになるように白金と1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体を投入した。80℃まで加熱し、一般式:Me
3Si(OSiMe
2)
6OSiMe
2Hで表わされる片末端SiH官能性ヘプタデカメチルオクタシロキサン30g(50.7ミリモル)を滴下し、滴下終了後105℃で1時間加熱攪拌した。サンプリングして赤外吸光分析にて分析したところ、SiH基の吸収は消失し、反応が完結していることがわかった。低沸点物を加熱減圧留去し、35.2g(収率93.3%)の白濁した淡褐色の液体を得た。0.2μmのメンブレンフィルターで2回ろ過することにより下記式
【化17】
で表されるクロロメチルフェニル変性ジメチルオクタシロキサンを淡褐色の透明液体として得た。
【0116】
上記クロロメチルフェニル変性ジメチルオクタシロキサン10グラム(13.43ミリモル)、トリメチルアミン水溶液2.91グラム(トリメチルアミン:0.87グラム(14.8ミリモル)及びエタノール10グラムを混合し、65-70℃で2時間加熱攪拌した。さらにエタノール10グラムとトリメチルアミン水溶液3.2グラム(トリメチルアミン:0.96グラム(16.2ミリモル)を追加し、4.5時間加熱攪拌した。低沸点物を加熱減圧留去し、9.34グラム(収率:86,6%)の下記式
【化18】
で表されるベンジルトリメチルアンモニウム塩変性ヘプタデカメチルオクタシロキサンを粘稠な液体として得た。
【0117】
<変性粘土の作成5>
4.87gのベントナイトであるクニピアF(クニミネ工業製、カチオン交換能:115meq/100g)を200gの水に分散させた。次に、上記で得られたベンジルトリメチルアンモニウム塩変性ヘプタデカメチルオクタシロキサン5gを15gの水に分散させた水溶液を少量ずつ滴下した。50gの水を追加し、3時間攪拌を行い、粘土の層間をベンジルトリメチルアンモニウム塩変性ヘプタデカメチルオクタシロキサンに交換した。次に、遠心分離で固液を分離し、20gのイソプロピルアルコールで3回洗浄後、さらに水で3回洗浄を行った。得られた生成物をオーブンで十分に乾燥後、粉砕してアンモニウム変性シリコーン交換変性粘土(2)を得た。
【0118】
<硬化物の作成5>
0.083gの上記で得られたアンモニウム変性シリコーン交換変性粘土(2)を1.7gのトルエンに分散させた。その後、1.58gのメチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物であるOE−6370M(東レ・ダウコーニング株式会社製、水蒸気透過度69.8g/m
2 day)を添加し、均一にした。テフロン(登録商標)製のカップに移し、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、150℃で2時間加熱し、硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、53.2g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないメチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は100%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表4に示す。
【0119】
[実施例12]
実施例11で得られたアンモニウム変性シリコーン交換変性粘土(2)を0.17g、OE−6370Mを1.5gに変更した以外は、実施例11と同様の手順で硬化物を得た。得られた硬化物の水蒸気透過度は、46.9g/m
2・dayであり、 変性粘土を添加していないメチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物よりガスバリア性が向上した。また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は89%であり、耐熱性は良好であった。水蒸気透過度及び耐熱性の測定結果を表4に示す。
【0120】
[比較例1]
フェニル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物であるOE−6630(東レ・ダウコーニング株式会社製)の水蒸気透過度を測定した結果、12.5g/m
2 dayであった。水蒸気透過度の測定結果を表1に示す。
【0121】
[比較例2]
平均構造式(PhSiO
3/2)
0.41(PhMeSiO
2/2)
0.59で示されるフェニル系縮合反応硬化性シリコーン組成物の水蒸気透過度を測定した結果、16.3g/m
2 dayであった。水蒸気透過度の測定結果を表2に示す。
【0122】
[比較例3]
メチル系ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物であるOE−6370M(東レ・ダウコーニング株式会社製)の水蒸気透過度を測定した結果、69.8g/m
2 dayであった。水蒸気透過度の測定結果を表3に示す。
【0123】
[比較例4]
カルボキシメチルセルロースであるカーボボール Ultrez10(日光ケミカルズ製)0.3gを20gの水に分散させた。テフロン(登録商標)製のカップに移し、室温で3日間静置することで水を除去した。150℃で24時間加熱し、耐熱性を評価したところ、明かに着色が起こることが分かった。耐熱性の測定結果を表1〜3に示す。
【0124】
[比較例5]
粘土鉱物のサポナイトであるスメクトンSA(クニミネ工業株式会社製)0.3g、カルボキシメチルセルロースであるカーボボール Ultrez10(日光ケミカルズ製)0.2gを20gの水に均一に分散させ、テフロン(登録商標)製のカップに移し、50℃で3日間静置することで水を除去した。150℃で24時間加熱し、耐熱性を評価したところ、明らかに着色が起こることが分かった。耐熱性の測定結果を表1〜3に示す。
【0125】
なお、表1〜3中の各成分の配合量は、特記しない限り「質量部」(「重量部」)を表す。
【0126】
【表1】
(1)OE−6630(東レ・ダウコーニング株式会社製)
(4)カーボボール Ultrez10(日光ケミカルズ製)
(5)エスベンNZ70(株式会社ホージュン製)
(6)スメクトンSA(クニミネ工業株式会社製)
【0127】
実施例1〜3及び比較例1の結果から、本発明の光学材料がより低い水蒸気透過度を有することが分かる。また、実施例1〜3並びに比較例4及び5の結果から、本発明の光学材料が優れた耐熱性を備えることが分かる。
【表2】
(2)(PhSiO
3/2)
0.41(PhMeSiO
2/2)
0.59
(4)カーボボール Ultrez10(日光ケミカルズ製)
(5)エスベンNZ70(株式会社ホージュン製)
(6)スメクトンSA(クニミネ工業株式会社製)
【0128】
実施例4〜7及び比較例2の結果から、本発明の光学材料がより低い水蒸気透過度を有することが分かる。また、実施例4〜7並びに比較例4及び5の結果から、本発明に係る光学材料が優れた耐熱性を備えることが分かる。
【表3】
(3)OE−6370M(東レ・ダウコーニング株式会社製)
(4)カーボボール Ultrez10(日光ケミカルズ製)
(6)スメクトンSA(クニミネ工業株式会社製)
【0129】
実施例8〜12及び比較例3の結果から、本発明の光学材料がより低い水蒸気透過度を有することが分かる。また、実施例8〜12並びに比較例4及び5の結果から、本発明の光学材料が優れた耐熱性を備えることが分かる。
【0130】
[実施例13]
<ベンジルトリフェニルホスホニウム変性オクタシロキサンの製造例>
実施例11と同様にして、クロロメチルフェニル変性ジメチルオクタシロキサンを得た。当該クロロメチルフェニル変性ジメチルオクタシロキサン30グラム(40.3ミリモル)、トリフェニルホスフィン10.6グラム(40.3ミリモル)、エタノール60グラム及び水6gを混合し、72℃で14.5時間加熱攪拌した。低沸点物を加熱減圧留去し、33.8グラム(収率:83.3%)の下記式
【化19】
で表されるベンジルトリフェニルホスホニウム塩変性ヘプタデカメチルオクタシロキサン(以下、ホスホニウム変性シリコーン)を固体状ペーストとして得た。
【0131】
<変性粘土の作成:ホスホニウム変性シリコーン交換変性粘土>
0.7gのベントナイトであるクニピアF(クニミネ工業製、カチオン交換能:115meq/100g)を25gの水に分散させた。次に、上記で得られたホスホニウム変性シリコーン0.97gを18.5gの水に分散させた水溶液を少量ずつ滴下した。50gの水を追加し、3時間攪拌を行い、粘土の層間をホスホニウム変性シリコーンに交換した。次に、遠心分離で固液を分離し、20gのイソプロピルアルコールで3回洗浄後、さらに水で3回洗浄を行った。得られた生成物をオーブンで十分に乾燥後、粉砕してホスホニウム変性シリコーン交換変性粘土を得た。
【0132】
得られたホスホニウム変性シリコーン交換変性粘土は、実施例11又は実施例12におけるアンモニウムシリコーン交換変性粘土(2)同様に、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物に添加することができ、ガスバリア性、耐熱性に優れた光学材料を得ることができる。
【0133】
[実施例14]
<硬化物の作製6>
上記で得られたホスホニウム変性シリコーン交換変性粘土0.2gに2gのトルエンを添加し、均一にした。その後、平均単位式:
ViMe
2SiO(PhMeSiO)
20SiMe
2Vi
で表されるオルガノポリシロキサン0.178g、平均単位式:
(HMe
2SiO
1/2)
0.60(PhSiO
3/2)
0.40
で表されるオルガノポリシロキサン0.022g、
白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金金属がシリコーン分に対して重量単位で100ppmになる量を添加し、均一に混合することで、変性粘土を50重量%含有した硬化性組成物を得た。
当該硬化性組成物をPETフィルム上にコーティングし、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、150℃で2時間加熱し、40μmの膜厚の硬化物を得た。
得られた硬化物(薄膜)の1mm厚換算の水蒸気透過度は、1.01g/m
2・dayであった。
また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は100%であり、耐熱性は良好であった。
【0134】
[実施例15]
<硬化物の作製7>
上記で得られたホスホニウム変性シリコーン交換変性粘土0.3gに3gのトルエンを添加し、均一にした。その後、平均単位式:
ViMe
2SiO(PhMeSiO)
20SiMe
2Vi
で表されるオルガノポリシロキサン0.089g、平均単位式:
(HMe
2SiO
1/2)
0.60(PhSiO
3/2)
0.40
で表されるオルガノポリシロキサン0.011g、
白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金金属がシリコーン分に対して重量単位で100ppmになる量を添加し、均一に混合することで、変性粘土を75重量%含有した組成物を得た。
当該硬化性組成物をPETフィルム上にコーティングし、室温で24時間静置することでトルエンを除去後、150℃で2時間加熱し、50μmの膜厚の硬化物を得た。
得られた硬化物(薄膜)の1mm厚換算の水蒸気透過度は、0.93g/m
2・dayであった。
また、150℃で24時間加熱後の光透過率の保持率は80%であり、耐熱性は良好であった。