(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二絶縁体層は、前記金属部材の厚みと同等の深さに形成される第1凹部、及び、前記絶縁体層の厚みと同等の深さに形成される第2凹部を有し、当該第1凹部に当該金属部材の端部が収容され、当該第2凹部に当該絶縁体層の端部が収容されることで、前記金属部材側被着面と前記絶縁体層側被着面と前記第二絶縁体層側被着面とが同一平面に位置する、
請求項1に記載の印刷回路体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る印刷回路体の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
[第一実施形態]
図1〜
図7を参照して第一実施形態を説明する。まず
図1〜
図4を参照して第一実施形態に係る印刷回路体1の構成を説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る印刷回路体の概略構成を示す平面図である。
図2は、
図1に示す印刷回路体のバスバー配列方向に直交する断面形状を示す断面図である。
図3は、
図1に示す印刷回路体の部分分解斜視図である。
図4は、
図1に示す印刷回路体の部分断面斜視図である。
【0018】
以下の説明では、
図1に示すバスバー2が並列に配置される方向(
図1の左右方向)を「バスバー配列方向」と表記し、絶縁体層3の短辺の延在方向(
図1の上下方向)を「幅方向」と表記する。また、
図2に示す各要素が積層される方向(
図2の上下方向)を「積層方向」と表記し、レジスト層5が配置される側を「表面側」と表記し、バスバー2及び絶縁体層3が配置される側を「裏面側」と表記する。
【0019】
図1〜
図4に示す第一実施形態に係る印刷回路体1は、被接続体(本実施形態では図示しない電池)と電気的に接続する金属部材(本実施形態のバスバー2)と、この金属部材を介して被接続体と電気的に接続する導体層4とを備え、これらの金属部材と導体層4とを相互に電気的に接続した状態で一体的に形成した構造物と定義することができる。
【0020】
本実施形態では、このような特徴をもつ印刷回路体1を、電源装置用バスバーモジュールとして適用した場合の構成について説明する。電源装置用バスバーモジュールは、複数個の二次電池を直列接続、あるいは並列接続して構成される電源装置に用いられる。このような電源装置は、例えば電気自動車やハイブリッド車両に搭載され、電動モータに電源を供給したり、電動モータから充電したりするために用いられる。例えば、電源装置は、複数の電池を直列接続することで車両の要求出力に対応した高い電池出力を得ることを可能とするものである。電源装置用バスバーモジュールは、複数のバスバー2を備える。複数のバスバー2のそれぞれは、電源装置のうちの隣接する2つの電池の端子、典型的には、正極端子と負極端子とを電気的に接続する。これにより、電源装置用バスバーモジュールは、電源装置の複数の二次電池を直列、あるいは並列に接続することができるよう構成される。
【0021】
さらに、電源装置用バスバーモジュールには、各バスバー2が連結される電池の電圧情報を出力するための電圧検出線としての複数の導体層4が設けられる。複数の導体層4は、バスバー2と同数であり、個々の導体層4が複数のバスバー2のいずれか1つと接続されている。電源装置用バスバーモジュールは、この複数の導体層4を介して周辺機器(例えば車両のECU)に各バスバー2が連結される電池の電圧情報を出力する。周辺機器は、取得した電圧情報に基づき、電源装置の各電池の充電制御などに利用できる。
【0022】
図1〜
図4に示すように、印刷回路体1は、バスバー2(金属部材)と、絶縁体層3と、導体層4と、レジスト層5(保護層)とを備える。
【0023】
バスバー2は、被接続体(例えばバッテリーの端子)と電気的に接続する金属部材である。バスバー2は、矩形板状に形成される。印刷回路体1は複数個のバスバー2を備えるのが好ましく、
図1の例では単一の印刷回路体1に4個のバスバー2が設けられている。バスバー2が複数個の場合、所定の一方向に沿って、所定間隔をとって並列に配置される。
図1の例では、4個のバスバー2がバスバー配列方向に沿って並列に配置されている。
【0024】
絶縁体層3は、その表面上に導体層4を配置してバスバー2と連結させる基材である。絶縁体層3は、その主面がバスバー2の主面と並ぶように配置される。絶縁体層3は、バスバー配列方向に沿って延在する帯形状の部材である。
【0025】
絶縁体層3は、絶縁性を有し、例えばポリ塩化ビニル(PVC)を射出成形して形成したフィルムまたは成形品等を用いることができる。また、絶縁体層3の材料としては、この他にもポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリミド(PI)等を用いることができる。
【0026】
上記バスバー2と上記絶縁体層3とは、絶縁体層3のバスバー配列方向に沿った一方の端面にて、複数のバスバー2の幅方向の一端側が一体化される。本実施形態の印刷回路体1では、バスバー2と絶縁体層3とは、当該バスバー2において導体層4が設けられるバスバー側被着面2a(金属部材側被着面)と当該絶縁体層3において導体層4が設けられる絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するように面一で一体化される。
【0027】
より具体的には、バスバー2、または、絶縁体層3の一方は、他方の厚みと同等の深さに形成される凹部6を有する。本実施形態の印刷回路体1は、バスバー2が凹部6を有する。
【0028】
凹部6は、各バスバー2において幅方向に絶縁体層3と対向する端部、ここでは、バスバー配列方向に沿った端部にそれぞれ形成される。凹部6は、バスバー2においてバスバー配列方向に沿って一方の端部から他方の端部まで延在して形成される。すなわち、凹部6は、バスバー配列方向に沿ってバスバー2を貫通して形成される。凹部6は、バスバー配列方向と直交する断面形状が略矩形状である略直方体形状の空間部として形成される。凹部6は、積層方向に沿った深さD(
図3参照)が絶縁体層3の積層方向に沿った厚みt(
図3参照)と同等になるように形成される。
【0029】
そして、バスバー2と絶縁体層3とは、当該凹部6に当該他方の端部が収容されることで、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するように構成される(
図4等参照)。すなわち、本実施形態の印刷回路体1では、バスバー2と絶縁体層3とは、各バスバー2に形成された凹部6に絶縁体層3のバスバー配列方向に沿った端部の一部が収容されることで、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するように構成される。印刷回路体1は、各バスバー2に形成された凹部6に絶縁体層3のバスバー配列方向に沿った端部の一部が収容された状態で、各バスバー2と絶縁体層3との接触部位において一体化される。各バスバー2と絶縁体層3との一体化の手法は、例えば、熱溶着等、種々の公知の手法を用いればよい。例えば、各バスバー2と絶縁体層3とは、接着材等によって一体化されてもよいし、ネジ等により締結されることで一体化されてもよい。
【0030】
導体層4は、バスバー2と電気的に接続され、これによりバスバー2に接続された被接続体とも電気的に接続される導電要素である。導体層4は、バスバー2と絶縁体層3とに跨って形成され、
図2に示すように、バスバー2及び絶縁体層3の積層方向の表面側のバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとに形成される。つまり、導体層4は、同一平面に位置するように面一で揃って設けられたバスバー2のバスバー側被着面2aと絶縁体層3の絶縁体層側被着面3aとに跨って形成される。印刷回路体1は、バスバー2と同数の導体層4を備え、
図1の例では、4個の導体層4が設けられている。導体層4が複数の場合、個々の導体層4は、それぞれ複数のバスバー2のいずれか1つに個別に接続される。個々の導体層4は、線状に形成され、絶縁体層3上をバスバー配列方向に沿って延在する主線部4aと、この主線部4aからバスバー2の方向へ略直交してバスバー2に到達する位置まで幅方向に沿って延在する接続線部4bとを有する。導体層4の接続線部4bは、当該導体層4が接続されるバスバー2と絶縁体層3との接続部分を通って、当該バスバー2と絶縁体層3とに跨って形成される。また、導体層4は印刷により形成される印刷体である。個々の導体層4は、その一方の端部がいずれか1つのバスバー2に接続され、他方の端部が絶縁体層3の一端部に露出している。
【0031】
導体層4は、例えば導電性ペーストを印刷し、その後焼成を行って導通を持たせて形成される印刷体とすることができる。導電性ペーストとしては、金属粒子に有機溶剤、還元剤、添加剤等を加えたペーストを用いることができ、金属粒子としては、銀、銅、金、またはこれらの2種以上を組み合わせたハイブリッドタイプを用いるのが好ましい。つまり、導電性ペーストとしては、それぞれが銀(Ag)、銅(Cu)、及び金(Au)を金属主成分とするAgペースト、Cuペースト、及びAuペースト、または、これらを2種類以上混合したペーストを用いるのが好ましい。
【0032】
導体層4の印刷工法としては、スクリーン、ディスペンス、インクジェット、グラビア、フレキソ等の印刷技術が適する。回路幅を好適に保持できるため、スクリーンまたはディスペンスが好ましい。また、導体層4は、印刷を複数回繰り返して形成するのが好ましい。また、導体層4は、その一部を複数回繰り返して形成することもできる。
【0033】
レジスト層5は、導体層4を被覆して保護する保護層である。レジスト層5は、
図2に示すように、導体層4の積層方向の表面側に形成される。印刷回路体1は、バスバー2及び導体層4と同数のレジスト層5を備え、
図1の例では、4個のレジスト層5が設けられている。個々のレジスト層5は、複数の導体層4のいずれか1つの全域を被覆するよう形成される。レジスト層5は、熱硬化性またはUV硬化性レジストを用いる。特にエポキシ系、ウレタン系レジストを用いるのが好ましい。
【0034】
次に、
図5〜
図7を参照して、第一実施形態に係る印刷回路体1の製造工程を説明する。
図5は、第一実施形態に係る印刷回路体の製造工程を示すフローチャートである。
図6は、
図5のフローチャートのステップS101の工程を説明するための模式図である。
図7は、
図5のフローチャートのステップS102の工程を説明するための模式図である。なお、上述の
図1は、
図5のフローチャートのステップS104の工程を説明するための模式図でもあるので、ここでも参照する。以下、
図5のフローチャートに従って、
図1、
図2、
図3、
図4、
図6、
図7を参照しつつ、印刷回路体1の製造工程について説明する。
【0035】
ステップS101では、バスバー2と絶縁体層3とが一体化される。ここでは、複数個(
図6では4個)のバスバー2をバスバー配列方向に沿って並列に配置し、各バスバー2に形成された凹部6に絶縁体層3の端部の一部が収容されるような位置関係で、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するようにして熱溶着等によってバスバー2と絶縁体層3とが一体化される。一体化されたバスバー2と絶縁体層3とは、
図6に示すように、絶縁体層3がバスバー配列方向に延在する帯形状をとり、絶縁体層3のバスバー配列方向に沿って延在する一方の端面にて、複数のバスバー2の一部が一体化されたものとなる。なお、この工程では、バスバー2と絶縁体層3とを接着剤によって接着して一体化してもよいし、ネジ等により締結して一体化してもよい。ステップS101の処理が完了するとステップS102に進む。
【0036】
ステップS102では、バスバー2のバスバー側被着面2aと絶縁体層3の絶縁体層側被着面3aとに跨って導体層4が印刷によって形成される。導体層4は、バスバー2と同数(
図7では4個)が形成される。複数の導体層4のそれぞれは、複数のバスバー2のいずれか1つに個別に接続される。
図7に示すように、個々の導体層4では、主線部4aが、絶縁体層3上をバスバー配列方向に沿って延在するよう線状に形成され、また、接続線部4bが、主線部4aからいずれか1つのバスバー2の方向へ略直交して当該バスバー2に到達する位置まで幅方向に沿って延在するよう線状に形成される。この工程では、例えばスクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製DP−320)を用いて導電性ペースト(大研化学社製AgペーストCA−6178)を印刷することで、バスバー2と絶縁体層3との積層方向の表面側のバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとに導体層4を重畳配置する。ステップS102の処理が完了するとステップS103に進む。
【0037】
ステップS103では、導体層4が焼成される。この焼成処理により導体層4に導通を持たせることができる。この工程では、例えば150℃の熱風乾燥機を用いて30分間乾燥させる。ステップS103の処理が完了するとステップS104に進む。
【0038】
ステップS104では、導体層4を被覆するレジスト層5が形成される。レジスト層5は、バスバー2及び導体層4と同数(本実施形態では4個)が形成される。複数のレジスト層5のそれぞれは、複数の導体層4のいずれか1つの全域を被覆するよう、積層方向の表面側に形成される。すなわち、個々のレジスト層5は、
図1に示すように、導体層4の主線部4aを被覆するようにバスバー配列方向に沿って延在するよう線状に形成されると共に、導体層4の接続線部4bを被覆するように幅方向に沿って延在するよう線状に形成される。ステップS104の処理が完了するとステップS105に進む。
【0039】
ステップS105では、導通評価を実施して、導体層4の導通が確認される。導通評価では、テスターを用いた導体層4の導通試験を実施して、導体層4の一方のバスバー2側の端部と、他方の絶縁体層3側の端部との間の導通を確認する。ステップS105の処理が完了すると印刷回路体1の製造工程を終了する。
【0040】
次に、第一実施形態に係る印刷回路体1の効果を説明する。
【0041】
第一実施形態の印刷回路体1は、バッテリーの端子などの被接続体と電気的に接続するバスバー2と、絶縁性を有する絶縁体層3と、バスバー2と絶縁体層3とに跨って形成され、バスバー2と電気的に接続される導体層4と、を備え、バスバー2と絶縁体層3とは、当該バスバー2において導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと当該絶縁体層3において導体層4が設けられる絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置する。
【0042】
この構成により、印刷回路体1は、導体層4を、バスバー2と絶縁体層3とに跨る形状で一体的に形成できるので、従来のバスバーモジュールなどのようにバスバー2と導体層4とを電気的に接続するために配線作業を行うことが不要となる。これにより、印刷回路体1を製造すれば、バスバー2と導体層4との接続と回路形成とを併せて実施することが可能となり、この結果、バスバー2と導体層4との配線構造を容易に形成できる。この場合に、印刷回路体1は、バスバー2と絶縁体層3とにおいて、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するように面一とされていることで、導体層4を当該バスバー側被着面2aと当該絶縁体層側被着面3aとに跨って容易に精度よく設けることができる。また、印刷回路体1は、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するように面一とされていることで、導体層4の厚みをバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとに渡って均一に設けやすくすることができ、これにより、例えば、導体層4の厚みがほぼ均一になることで、導体抵抗を安定化させることができる。また、印刷回路体1は、本実施形態のように電源装置用バスバーモジュールに適用した場合には、例えば、装置の低背化を図ることができる。
【0043】
また、第一実施形態の印刷回路体1において、バスバー2、または、絶縁体層3の一方は、他方の厚みtと同等の深さDに形成される凹部6を有し、当該凹部6に当該他方の端部が収容されることで、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置する。ここでは、凹部6は、バスバー2に形成される。この構成により、印刷回路体1は、簡単な構成でバスバー2と絶縁体層3との相対位置を固定し、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置する構成を実現することができる。
【0044】
また、第一実施形態の印刷回路体1は、導体層4を被覆して保護するレジスト層5を備える。この構成により、印刷回路体1は、導体層4が外部に露出せず、レジスト層5により保護できるので、導体層4の導通を好適に維持できる。
【0045】
また、第一実施形態の印刷回路体1において、導体層4は印刷により形成される印刷体である。この構成により、印刷回路体1は、導体層4の形状や配置を所望の形態で容易に形成することができる。この場合、印刷回路体1は、バスバー2と絶縁体層3とにおいて、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するように面一とされていることで、印刷体としての導体層4を当該バスバー側被着面2aと当該絶縁体層側被着面3aとに跨って容易に精度よく印刷できると共に、当該導体層4の厚みをバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとに渡って容易にほぼ均一に印刷することができ、容易に導体抵抗を安定化させることができる。
【0046】
また、第一実施形態の印刷回路体1において、導体層4は、導電性ペーストを印刷し、その後焼成を行って導通を持たせて形成される印刷体である。そして、導電性ペーストは、それぞれが銀(Ag)、銅(Cu)、及び金(Au)を金属主成分とするAgペースト、Cuペースト、及びAuペースト、または、これらを2種類以上混合したペーストのいずれかである。この構成により、印刷回路体1は、導体層4の導電性をより一層向上できる。
【0047】
また、第一実施形態の印刷回路体1において、絶縁体層3は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリミド(PI)、または、ポリエチレン(PE)のいずれかの材料で形成される。この構成により、印刷回路体1は、絶縁体層3の絶縁性をより一層向上できる。
【0048】
なお、上述したバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するという場合、製造上の誤差等は許容されるものであり、典型的には、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとに跨って印刷体としての導体層4を適正に印刷できるように同一平面に位置していればよい。
【0049】
また、以上の説明では、凹部6は、バスバー2に設けられるものとして説明したがこれに限らず、
図8、
図9に示す変形例のように絶縁体層3に設けられてもよい。
【0050】
図8は、変形例に係る印刷回路体のバスバー配列方向に直交する断面形状を示す断面図である。
図9は、
図8に示す印刷回路体の部分断面斜視図である。
図8、
図9に示す変形例に係る印刷回路体1aは、絶縁体層3が凹部6aを有する。凹部6aは、絶縁体層3において幅方向に各バスバー2と対向する端部、ここでは、バスバー配列方向に沿った端部にそれぞれ形成される。凹部6aは、絶縁体層3においてバスバー配列方向に沿って各バスバー2が設けられる範囲で延在して形成される。凹部6aは、バスバー配列方向と直交する断面形状が略矩形状である略直方体形状の空間部として形成される。凹部6aは、積層方向に沿った深さDa(
図9参照)がバスバー2の積層方向に沿った厚みta(
図9参照)と同等になるように形成される。凹部6aは、バスバー2の数と対応して複数、ここでは4つ設けられる。そして、本変形例に係る印刷回路体1aでは、バスバー2と絶縁体層3とは、絶縁体層3に形成された凹部6aに各バスバー2のバスバー配列方向に沿った端部が収容されることで、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置するように構成される。この場合であっても、印刷回路体1aは、簡単な構成でバスバー2と絶縁体層3との相対位置を固定し、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置する構成を実現することができる。
【0051】
なお、印刷回路体1、1aは、バスバー2と絶縁体層3との双方に凹部が設けられ、当該凹部が相互に噛み合うような位置関係で一体化されることで、バスバー2と絶縁体層3との相対位置が固定され、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置する構成であってもよい。
【0052】
[第二実施形態]
次に、
図10〜
図16を参照して第二実施形態を説明する。まず
図10〜
図13を参照して第二実施形態に係る印刷回路体1bの構成を説明する。
図10は、本発明の第二実施形態に係る印刷回路体の概略構成を示す平面図である。
図11は、
図10に示す印刷回路体のバスバー配列方向に直交する断面形状を示す断面図である。
図12は、
図10に示す印刷回路体の部分分解斜視図である。
図13は、
図10に示す印刷回路体の部分断面斜視図である。
【0053】
図10〜
図13に示すように、印刷回路体1bは、バスバー2と、絶縁体層3と、導体層4と、レジスト層5と、筐体10(第二絶縁体層)とを備える。第二実施形態の印刷回路体1bは、バスバー2と絶縁体層3とが筐体10を介在させて一体化されている点、及び、導体層4が、バスバー2と絶縁体層3との間に介在する筐体10にも跨って形成される点において、第一実施形態の印刷回路体1、1aと異なる構成をとる。以下では、上述した実施形態と同様の構成要素には共通の符号が付されると共に、共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
【0054】
筐体10は、その表面上にバスバー2、絶縁体層3、及び導体層4を配置して、導体層4をバスバー2と連結させる基材である。筐体10は、例えば、電源装置用バスバーモジュール(印刷回路体1b)を含む機器を構成する種々の部品を収容する収容部材の一部を構成するものである。筐体10は、絶縁体層3と同様の絶縁性の材料を用いて形成される。筐体10の材料は、絶縁体層3の材料と同一でもよいし異なるものでもよい。
図10〜
図13に示すように、筐体10は、積層方向の表面側の主面上に、バスバー2と絶縁体層3とを離間して載置する。つまり、印刷回路体1bは、バスバー2と絶縁体層3との間に筐体10の主面が露出する。これにより、導体層4は、バスバー2と、筐体10と、絶縁体層3とに跨って形成される。
【0055】
上記バスバー2と上記筐体10とは、筐体10のバスバー配列方向に沿った一方の端面にて、複数のバスバー2の幅方向の一端側が一体化される。また、上記絶縁体層3と上記筐体10とは、絶縁体層3が各バスバー2に対して幅方向に沿って間隔をあけて配置され、一体化される。本実施形態の印刷回路体1bでは、バスバー2と絶縁体層3と筐体10とは、当該バスバー2において導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと当該絶縁体層3において導体層4が設けられる絶縁体層側被着面3aと当該筐体10において導体層4が設けられる筐体側被着面10a(第二絶縁体層側被着面)とが同一平面に位置するように面一で一体化される。
【0056】
より具体的には、筐体10は、バスバー2の厚みと同等の深さに形成される第1凹部11、及び、絶縁体層3の厚みと同等の深さに形成される第2凹部12を有する。
【0057】
第1凹部11は、筐体10において幅方向に各バスバー2と対向する端部、ここでは、バスバー配列方向に沿った端部にそれぞれ形成される。第1凹部11は、筐体10においてバスバー配列方向に沿って各バスバー2が設けられる範囲で延在して形成される。第1凹部11は、バスバー配列方向と直交する断面形状が略矩形状である略直方体形状の空間部として形成される。第1凹部11は、積層方向に沿った深さDb(
図12参照)がバスバー2の積層方向に沿った厚みtb(
図12参照)と同等になるように形成される。第1凹部11は、バスバー2の数と対応して複数、ここでは4つ設けられる。
【0058】
第2凹部12は、筐体10において各第1凹部11に対して幅方向に沿って間隔をあけて形成される。第2凹部12は、筐体10においてバスバー配列方向に沿って絶縁体層3が設けられる範囲で延在して形成される。第2凹部12は、バスバー配列方向と直交する断面形状が略矩形状である略直方体形状の空間部として形成される。第2凹部12は、積層方向に沿った深さDc(
図12参照)が絶縁体層3の積層方向に沿った厚みtc(
図12参照)と同等になるように形成される。
【0059】
そして、バスバー2と絶縁体層3と筐体10とは、当該第1凹部11に当該バスバー2の端部が収容され、当該第2凹部12に当該絶縁体層3の端部、ここでは端部を含む全体が収容されることで、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置するように構成される(
図13等参照)。すなわち、本実施形態の印刷回路体1bでは、バスバー2と絶縁体層3と筐体10とは、筐体10に形成された第1凹部11に各バスバー2のバスバー配列方向に沿った端部の一部が収容されると共に筐体10に形成された第2凹部12に絶縁体層3の全体が収容されることで、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置するように構成される。印刷回路体1bは、筐体10に形成された第1凹部11に各バスバー2のバスバー配列方向に沿った端部の一部が収容されると共に筐体10に形成された第2凹部12に絶縁体層3の全体が収容された状態で、各バスバー2と筐体10との接触部位、及び、絶縁体層3と筐体10との接触部位において一体化される。
【0060】
次に、
図14〜
図16を参照して、第二実施形態に係る印刷回路体1bの製造工程を説明する。
図14は、第二実施形態に係る印刷回路体の製造工程を示すフローチャートである。
図15は、
図14のフローチャートのステップS201の工程を説明するための模式図である。
図16は、
図14のフローチャートのステップS202の工程を説明するための模式図である。なお、上述の
図10は、
図14のフローチャートのステップS204の工程を説明するための模式図でもあるので、ここでも参照する。以下、
図14のフローチャートに従って、
図10、
図11、
図12、
図13、
図15、
図16を参照しつつ、印刷回路体1bの製造工程について説明する。
【0061】
ステップS201では、バスバー2と絶縁体層3とが筐体10上に載置され一体化される。ここでは、複数個(
図15では4個)のバスバー2を筐体10の積層方向の表面側の主面上において、バスバー配列方向に沿って並列に載置し、各第1凹部11に各バスバー2の端部の一部が収容され、かつ、第2凹部12に絶縁体層3の全体が収容されるような位置関係で、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置するようにして熱溶着等によってバスバー2と絶縁体層3と筐体10とが一体化される。一体化されたバスバー2と絶縁体層3と筐体10とは、
図15に示すように、筐体10の積層方向の表面側の主面上において、絶縁体層3が上記バスバー2から幅方向に所定距離をあけてバスバー配列方向に延在する帯形状をとり、筐体10のバスバー配列方向に沿って延在する一方の端面にて、複数のバスバー2の一部が一体化されたものとなる。なお、この工程では、バスバー2及び絶縁体層3を、筐体10上に接着剤によって接着して一体化してもよいし、ネジ等により筐体10に締結して一体化してもよい。ステップS201の処理が完了するとステップS202に進む。
【0062】
ステップS202では、バスバー2のバスバー側被着面2aと絶縁体層3の絶縁体層側被着面3aとに跨って導体層4が印刷によって形成される。ここでは、より詳細には、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aとの間に筐体10の筐体側被着面10aが介在した状態で、バスバー側被着面2aと筐体側被着面10aと絶縁体層側被着面3aとに跨って導体層4が印刷によって形成される。導体層4は、バスバー2と同数(
図16では4個)が形成される。複数の導体層4のそれぞれは、複数のバスバー2のいずれか1つに個別に接続される。
図16に示すように、個々の導体層4では、主線部4aが、絶縁体層3上をバスバー配列方向に沿って延在するよう線状に形成され、また、接続線部4bが、主線部4aからいずれか1つのバスバー2の方向へ略直交して、当該バスバー2に到達する位置まで幅方向に沿って延在するよう線状に形成される。導体層4の接続線部4bは、幅方向に沿って、絶縁体層3の絶縁体層側被着面3a、筐体10の筐体側被着面10a、及びバスバー2のバスバー側被着面2aに跨って形成される。この工程では、例えばディスペンス(武蔵エンジニアリング社製高性能スクリューディスペンサー SCREW MASTER2)を用いて導電性ペースト(TOYOCHEM社製Agペースト RA FS 074)を印刷することで、バスバー2、筐体10、及び絶縁体層3の積層方向の表面側のバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとに導体層4を重畳配置する。ステップS202の処理が完了するとステップS203に進む。
【0063】
ステップS203では、導体層4が焼成される。この焼成処理により導体層4に導通を持たせることができる。この工程では、例えば150℃の熱風乾燥機を用いて30分間乾燥させる。ステップS203の処理が完了するとステップS204に進む。
【0064】
ステップS204では、導体層4を被覆するレジスト層5が形成される。レジスト層5は、バスバー2及び導体層4と同数(本実施形態では4個)が形成される。複数のレジスト層5のそれぞれは、複数の導体層4のいずれか1つの全域を被覆するよう、積層方向の表面側に形成される。すなわち、個々のレジスト層5は、
図10に示すように、導体層4の主線部4aを被覆するようにバスバー配列方向に沿って延在するよう線状に形成されると共に、導体層4の接続線部4bを被覆するように幅方向に沿って延在するよう線状に形成される。ステップS204の処理が完了するとステップS205に進む。
【0065】
ステップS205では、導通評価を実施して、導体層4の導通が確認される。導通評価では、テスターを用いた導体層4の導通試験を実施して、導体層4の一方のバスバー2側の端部と、他方の絶縁体層3側の端部との間の導通を確認する。ステップS205の処理が完了すると印刷回路体1bの製造工程を終了する。
【0066】
次に、第二実施形態に係る印刷回路体1bの効果を説明する。
【0067】
第二実施形態の印刷回路体1bは、第一実施形態の印刷回路体1と同様に、バッテリーの端子などの被接続体と電気的に接続するバスバー2と、絶縁性を有する絶縁体層3と、バスバー2と絶縁体層3とに跨って形成され、バスバー2と電気的に接続される導体層4と、を備え、バスバー2と絶縁体層3とは、当該バスバー2において導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと当該絶縁体層3において導体層4が設けられる絶縁体層側被着面3aとが同一平面に位置する。また、導体層4を被覆して保護するレジスト層5を備える。また、導体層4は、導電性ペーストを印刷し、その後焼成を行って導通を持たせて形成される。したがって、第二実施形態の印刷回路体1bは、第一実施形態の印刷回路体1と同様の効果を奏することができる。
【0068】
そしてさらに、第二実施形態の印刷回路体1bにおいて、バスバー2及び絶縁体層3を離間して載置する筐体10を備え、導体層4は、バスバー2と、筐体10と、絶縁体層3とに跨って形成され、バスバー2と絶縁体層3と筐体10とは、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと当該筐体10において導体層4が設けられる筐体側被着面10aとが同一平面に位置する。この構成により、印刷回路体1bは、筐体10上にバスバー2及び絶縁体層3を配置することで、バスバー2と絶縁体層3との相対位置を容易に一定にできるので、導体層4をバスバー2と絶縁体層3の間に形成しやすくでき、作業容易性を向上できる。この場合に、印刷回路体1bは、バスバー2と絶縁体層3と筐体10とにおいて、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置するように面一とされていることで、導体層4を当該バスバー側被着面2aと当該筐体側被着面10aと当該絶縁体層側被着面3aとに跨って容易に精度よく設けることができる。さらに言えば、印刷回路体1bは、バスバー2と絶縁体層3と筐体10とにおいて、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置するように面一とされていることで、印刷体としての導体層4を当該バスバー側被着面2aと当該絶縁体層側被着面3aと当該筐体側被着面10aとに跨って容易に精度よく印刷できると共に、当該導体層4の厚みをバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとに渡って容易にほぼ均一に印刷することができ、容易に導体抵抗を安定化させることができる。
【0069】
また、第二実施形態の印刷回路体1bにおいて、筐体10は、バスバー2の厚みtbと同等の深さDbに形成される第1凹部11、及び、絶縁体層3の厚みtcと同等の深さDcに形成される第2凹部12を有し、当該第1凹部11に当該バスバー2の端部が収容され、当該第2凹部12に当該絶縁体層3の端部、ここでは端部を含む全体が収容されることで、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置する。この構成により、印刷回路体1bは、簡単な構成でバスバー2と絶縁体層3と筐体10との相対位置を固定し、導体層4が設けられるバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置する構成を実現することができる。
【0070】
なお、第二実施形態の印刷回路体1bは、筐体10と絶縁体層3とを単一部材に纏めて形成する構成とすることもできる。言い換えると、第二実施形態の印刷回路体1bから絶縁体層3を無くし、筐体10上に導体層4を直接形成する構成とすることもできる。この場合、筐体10は、導体層4の主線部4aを配置する絶縁体層としても兼用される。導体層4の接続線部4bは、幅方向に沿って、筐体10とバスバー2とに跨って形成される。
【0071】
また、上述したバスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとが同一平面に位置するという場合、製造上の誤差等は許容されるものであり、典型的には、バスバー側被着面2aと絶縁体層側被着面3aと筐体側被着面10aとに跨って印刷体としての導体層4を適正に印刷できるように同一平面に位置していればよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0073】
上記実施形態では、実施形態に係る印刷回路体1,1a,1bが電源装置用バスバーモジュールとして適用される構成を例示したが、印刷回路体1,1a,1bはバスバーモジュール以外にも適用することができる。
【0074】
また、バスバー2は、被接続体(例えばバッテリーの端子)と導体層4とを電気的に接続する金属部材であればよく、矩形板状以外の形状でもよいし、バスバー2(端子)以外の機能を有する要素と置き換えてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、導体層4を保護する要素としてレジスト層5を設ける構成を例示したが、実施形態に係る印刷回路体1,1a,1bの使用環境等に応じて、導体層4を保護するレジスト層5を設けない構成とすることもできる。
【0076】
また、上記実施形態では、導体層4を保護する要素としてレジスト層5を設ける構成を例示したが、レジスト層5の代わりに、バスバー2及び絶縁体層3の全体を覆う絶縁カバーを適用してもよい。絶縁カバーは、絶縁体層3と接触する片面側に粘着材を有するPET、PEN、PC、PP、PBT、PU等を用いるのが好ましい。
【0077】
また、上記実施形態では、導体層4を印刷により形成する構成を例示したが、導体層4がバスバー2と絶縁体層3との間に跨って形成され、主線部4aと接続線部4bとを一体的に形成できれば、印刷以外の手法で導体層4を形成してもよい。