(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
踏み板に長孔が設けられ、その長孔の2つの長辺の縁から踏み板の裏側にリブが突出し、前記リブに長孔の長辺に沿って延びるスリット状の差込孔を有する床材が固定金具によって梁材に固定された床材の固定構造であって、
前記固定金具は、前記床材に係合される上金具と、前記梁材に係合される下金具と、前記上金具と下金具を連結するボルトとを備え、
前記上金具は、長手方向の両端が前記踏み板の差込孔に挿入され、中央にボルト挿入孔が設けられた差込板を有し、前記差込板は長手方向の寸法が前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法よりも小さくかつ前記長孔の短手方向の開口寸法よりも大きく、短手方向の寸法が前記踏み板の長孔の短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記下金具は、前記梁材を挟む上辺部と下辺部とが基端側で結合して側面視においてコの字形に形成され、前記上辺部にねじ孔を有し、上面視において、長手方向の寸法および短手方向の寸法がそれぞれ前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法および短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記上金具の差込板のボルト挿入孔に挿入されたボルトを前記下金具のねじ孔に螺合することにより、上金具と下金具とがボルトを介して連結され、
前記床材の踏み板の裏側に配置した固定金具を踏み板と平行な平面内で回転させることにより、上金具の差込板の両端が踏み板の差込孔に挿入されるとともに、下金具の上辺部と下辺部との間に梁材が挟まれ、ボルトの締め込みによって上金具と下金具とが近接し、上金具の差込板が差込孔内に拘束されるとともに、下金具の下辺部が梁材に押し付けられていることを特徴とする床材の固定構造。
踏み板に長孔が設けられ、その長孔の2つの長辺の縁から踏み板の裏側にリブが突出し、前記リブに長孔の長辺に沿って延びるスリット状の差込孔を有する床材を、梁材に固定する固定金具であって、
前記固定金具は、前記床材に係合される上金具と、前記梁材に係合される下金具と、前記上金具と下金具を連結するボルトとを備え、
前記上金具は、長手方向の両端が前記踏み板の差込孔に挿入され、中央にボルト挿入孔が設けられた差込板を有し、前記差込板は長手方向の寸法が前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法よりも小さくかつ前記長孔の短手方向の開口寸法よりも大きく、短手方向の寸法が前記踏み板の長孔の短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記下金具は、前記梁材を挟む上辺部と下辺部とが基端側で結合して側面視においてコの字形に形成され、前記上辺部にねじ孔を有し、上面視において、長手方向の寸法および短手方向の寸法がそれぞれ前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法および短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記上金具の差込板のボルト挿入孔に挿入されたボルトを前記下金具のねじ孔に螺合することにより、上金具と下金具とがボルトを介して連結されていることを特徴とする固定金具。
前記下金具において、上辺部は短手方向の両端に下辺部側に突出するフランジを有し、下辺部は短手方向の両端に上辺部に突出するフランジを有している請求項2〜6のうちのいずれか1項に記載の固定金具。
踏み板に長孔が設けられ、その長孔の2つの長辺の縁から踏み板の裏側にリブが突出し、前記リブに長孔の長辺に沿って延びるスリット状の差込孔を有することを特徴とする床材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された固定金具は上金具を床材の上面に載置する態様で取り付けられるので、床材の上面から上金具の板厚分が突出して床板の平坦性が損なわれるという問題あった。また、上金具を床材の上面に載置する際に滑り止め用突起が邪魔になることがあり、上金具は突起に干渉しない形状に設計しなければならない等の制約があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した背景技術に鑑み、床材を梁材に固定する金具を床材の上面に突出させない床材の固定構造とこの固定構造に用いる固定金具の提供を目的とする。
【0006】
即ち、本発明は下記[1]〜[12]に記載の構成を有する。
【0007】
[1]踏み板に長孔が設けられ、その長孔の2つの長辺の縁から踏み板の裏側にリブが突出し、前記リブに長孔の長辺に沿って延びるスリット状の差込孔を有する床材が固定金具によって梁材に固定された床材の固定構造であって、
前記固定金具は、前記床材に係合される上金具と、前記梁材に係合される下金具と、前記上金具と下金具を連結するボルトとを備え、
前記上金具は、長手方向の両端が前記踏み板の差込孔に挿入され、中央にボルト挿入孔が設けられた差込板を有し、前記差込板は長手方向の寸法が前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法よりも小さくかつ前記長孔の短手方向の開口寸法よりも大きく、短手方向の寸法が前記踏み板の長孔の短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記下金具は、前記梁材を挟む上辺部と下辺部とが基端側で結合して側面視においてコの字形に形成され、前記上辺部にねじ孔を有し、上面視において、長手方向の寸法および短手方向の寸法がそれぞれ前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法および短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記上金具の差込板のボルト挿入孔に挿入されたボルトを前記下金具のねじ孔に螺合することにより、上金具と下金具とがボルトを介して連結され、
前記床材の踏み板の裏側に配置した固定金具を踏み板と平行な平面内で回転させることにより、上金具の差込板の両端が踏み板の差込孔に挿入されるとともに、下金具の上辺部と下辺部との間に梁材が挟まれ、ボルトの締め込みによって上金具と下金具とが近接し、上金具の差込板が差込孔内に拘束されるとともに、下金具の下辺部が梁材に押し付けられていることを特徴とする床材の固定構造。
【0008】
[2]踏み板に長孔が設けられ、その長孔の2つの長辺の縁から踏み板の裏側にリブが突出し、前記リブに長孔の長辺に沿って延びるスリット状の差込孔を有する床材を、梁材に固定する固定金具であって、
前記固定金具は、前記床材に係合される上金具と、前記梁材に係合される下金具と、前記上金具と下金具を連結するボルトとを備え、
前記上金具は、長手方向の両端が前記踏み板の差込孔に挿入され、中央にボルト挿入孔が設けられた差込板を有し、前記差込板は長手方向の寸法が前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法よりも小さくかつ前記長孔の短手方向の開口寸法よりも大きく、短手方向の寸法が前記踏み板の長孔の短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記下金具は、前記梁材を挟む上辺部と下辺部とが基端側で結合して側面視においてコの字形に形成され、前記上辺部にねじ孔を有し、上面視において、長手方向の寸法および短手方向の寸法がそれぞれ前記踏み板の長孔の長手方向の開口寸法および短手方向の開口寸法よりも小さく形成され、
前記上金具の差込板のボルト挿入孔に挿入されたボルトを前記下金具のねじ孔に螺合することにより、上金具と下金具とがボルトを介して連結されていることを特徴とする固定金具。
【0009】
[3]前記上金具は、差込板の一方の長辺の縁から下金具の側面に沿って梁材側に延びて梁材の上面に当接する規制板を有する前項2に記載の固定金具。
【0010】
[4]前記規制板の下端に鋸歯状の刻み目が形成されている前項3に記載の固定金具。
【0011】
[5]前記規制板は、下金具側に突出して下金具の上限位置を規制するストッパーを有する前項3または4に記載の固定金具。
【0012】
[6]前記規制板は、下端に、下金具側に突出して梁材の上面に当接する当て板を有する前項3〜5のうちのいずれか1項に記載の固定金具。
【0013】
[7]前記下金具において、上辺部は短手方向の両端に下辺部側に突出するフランジを有し、下辺部は短手方向の両端に上辺部に突出するフランジを有している前項2〜6のうちのいずれか1項に記載の固定金具。
【0014】
[8]前記下辺部のフランジは上辺部側に突出する突起を有する前項7に記載の固定金具。
【0015】
[9]前記ボルトの、上金具の差込板と下金具との間にスプリングが装着されている前項2〜8のうちのいずれか1項に記載の固定金具。
【0016】
[10]前項2〜9のうちのいずれかに記載の固定金具に装着される保持具であり、
床板の長孔の短手方向の開口寸法よりも大きいベースプレートに、該ベースプレートの縁に開口端を有するボルト挿入用の溝が形成されていることを特徴とする固定金具用保持具。
【0017】
[11]前記溝の閉塞端を挟む位置にベースプレートから突出する態様で差込板を支持する支持部が設けられている請求項10に記載の固定金具用保持具。
【0018】
[12]踏み板に長孔が設けられ、その長孔の2つの長辺の縁から踏み板の裏側にリブが突出し、前記リブに長孔の長辺に沿って延びるスリット状の差込孔を有することを特徴とする床材。
【発明の効果】
【0019】
上記[1]に記載の床材の固定構造によれば、固定金具は、上金具、下金具およびボルトを連結した状態で床材の踏み板に形成された長孔から差し入れることができる。前記固定金具を床材および梁材に係合する作業は、固定金具を踏み板の長孔から差し入れる作業と、固定金具を回転させて上金具の差込板を踏み板のリブの差込孔に挿入するとともに下金具の上辺部と下辺部との間に梁材を挿入する作業と、ボルトを締めて上金具と下金具とを近接させることにより上金具と床材を強く係合するとともに下金具と梁材とを強く係合する作業である。これらの作業は踏み板の上面側から行える作業であり、作業性が良い。
【0020】
また、固定金具は床材の踏み板の上面よりも低い位置に配置される。このため、固定金具が踏み板の上面から突出することがなく、踏み板の平坦性が保たれる。また、踏み板の上面に滑り止め用突起が形成されている場合でも固定金具との干渉がないので、突起に合わせて固定金具を設計する必要がなく、固定金具の汎用性が高い。
【0021】
上記[2]に記載の固定金具によれば、踏み板の長孔のリブに差込孔が設けられた床材を梁材に固定する床材の固定構造において、上記の効果を奏することができる。
【0022】
上記[3]に記載の固定金具によれば、規制板の下端が梁材に当接によって上金具と下金具の距離が規制されるので、ボルトの締め過ぎによる差込孔の破損が防止される。
【0023】
上記[4]に記載の固定具によれば、規制板の刻み目が梁材に食い込んで強い係合力が得られる。
【0024】
上記[5]に記載の固定金具によれば、ストッパーによって下金具の傾斜が規制されるので、ボルトの締め込み時に下金具が過度に傾斜して梁材から外れるのを防ぐことができる。
【0025】
上記[6]に記載の固定具によれば、規制板は当て板で梁材に当接するので安定して強く梁材を挟み付けることができる。
【0026】
上記[7]に記載の固定金具によれば、フランジによって下金具の強度が高められる。
【0027】
上記[8]に記載の固定金具によれば、下金具の突起によって梁材に対して強く係合できる。
【0028】
上記[9]に記載の固定金具によれば、スプリングの弾性復元力によってボルトで連結した上金具と下金具の平行姿勢を保つことができ、上金具と下金具との間に梁材を円滑に挿入することができる。また、スプリングの弾性復元力により上金具と下金具とが緩く拘束されるので、ボルトの頭を摘まんで固定金具を回転させると差込板が空回りすることなく下金具とともに回転するので、差込板をリブの差込孔に確実に挿入することができる。
【0029】
上記[10]に記載の固定金具用保持具によれば、ベースプレートの溝に固定金具のボルトの軸を差し込むことで固定金具を吊り下げることができる。このように固定金具を吊り下げた状態で床板の長孔に固定金具を差し入れるとベースプレートが長孔に架け渡され、固定金具はベースプレートを介して踏み板に支持されるので落下が防止される。
【0030】
上記[11]に記載の固定金具用保持具によれば、ボルトをベースプレートで支持し差込板を支持部で支持することにより、ボルトと差込板の角度姿勢を保持し、ひいては上金具と下金具との平行姿勢を保持することができる。差込板と下金具との平行姿勢を保持した状態で固定金具を回転させることにより、差込板の踏み板のリブの差込孔への挿入と、下金具の上辺部と下辺部との間への梁材の挿入とを円滑に行うことができる。
【0031】
上記[12]に記載の床材は上記の固定構造における床材として利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[床材の固定構造]
図1〜
図4Bを参照しつつ、本発明の床材の固定構造の一実施形態として、梁材上に梁材と直交する方向に複数個の床材を架け渡して隙間なく並べて梁材に固定した架構構造について説明する。なお、
図1および
図3は、1個の床材と1個の梁材のみを描いている。
【0034】
各図に示すように、床材の固定構造は、床材1、梁材2および固定金具3によって構成されている。
【0035】
床材1は、踏み板10の幅方向の両端にリップ部15付フランジを有する金属製C形チャンネル材で構成され、踏み板10には、踏み板10の幅方向に延びる複数の長孔11が長さ方向に沿って横列して設けられている。また、前記長孔11の2つの長辺の縁からそれぞれ踏み板10の裏側に突出するリブ12a、12bが向かい合って形成されている。それぞれのリブ12a、12bには固定金具3を係合するための3個のスリット状の差込孔13a、13bが長孔11の長辺に沿って縦列して穿設されている。向かい合う位置の差込孔13a、13bは1つの組をなし、3組それぞれの差込孔13a、13bに固定金具3を係合することができる。即ち、1つの長孔11は3カ所のうちの任意の位置で固定金具3を係合することができる。全ての差込孔13a、13bは同一寸法であり踏み板10上面からの距離も等しいが、各組の差込孔13a、13bは互いに長孔11の長辺方向に沿って離れる方向にずれた位置に形成されている。ずれ方向は長孔11内からリブ12a、12bを見たときに左側である。
【0036】
前記長孔11の長さ、即ち長孔11の長手方向の開口寸法はP1であり、長孔11の幅、即ち短手方向の開口寸法はP2である。また、前記差込孔13a、13bの幅、即ち差込孔13a、13bの短手方向の開口寸法はP3である。
【0037】
梁材2は、ウエブ20の両端にフランジ21を有するH形鋼材で構成され、フランジ21上に前記床材1が載置されている。
【0038】
固定金具3は、前記床材1に係合される上金具30と、前記梁材2に係合される下金具40と、前記上金具30と下金具40を連結するボルト50とにより構成されている。さらに、前記ボルト50に装着されるスプリング51が追加されている。
【0039】
前記上金具30は、両端部が床材1の差込孔13a、13bに差し込まれる長円形の差込板31と、下金具40の側面に接して上金具30に対する下金具40の姿勢を規制するとともに下端が梁材2に当接して差込板31と下金具40の間隔を規制する規制板32とを有し、差込板31と規制板32とがネック部36を介して一体に形成されている。前記差込板31の中央にボルト50の頭部を嵌合させる円形凹部33がハーフパンチ加工によって形成され、この円形凹部33の中心にボルト挿入孔34aが穿設されている。また、前記差込板31の両端の円弧部分には、上面視において右側の領域につぶし加工によって板厚が減じられた薄肉部35が形成されている。前記規制板32は側面視形状が略長方形であり、差込板31の直線部分の縁から直角に屈曲するネック部36を介して差込板31と一体に形成されている。前記規制板32は、上端のネック部36の両脇部分が下金具40側に折り曲げられて下金具40の上限位置を規制するストッパー37が形成され、下端の中央部が前記ストッパー37と同じ方向に折り曲げられて当て板38が形成されている。前記当て板38の規制板32からの突出寸法は、床板1の長孔11の短手方向の開口寸法P2を超えず、かつ差込板32のボルト挿入孔34aの延長線上にボルト挿入孔34bを形成できる寸法に設定されている。また、前記規制板32は当て板38の片側の下端が切り欠かれて鋸歯状の刻み目39が形成されている。前記規制板32の刻み目39の先端は当て板38の下面とほぼ同じ高さであり、規制板32の刻み目39の無い側は下方部が切り欠かれている。
【0040】
前記上金具30の上面視において、前記差込板31は長手方向の寸法がQ1であり、短手方向の寸法がQ2である。前記規制板32の長手方向の寸法はQ3であり、差込板31の長手方向の寸法Q1よりも大きい。また、前記規制板32は差込板31の短手方向からから板厚分が張り出しているので、上金具30の短手方向の寸法Q4は差込板31の短手方向の寸法Q2よりも大きい。また、前記当て板38の突出寸法は差込板31の短手方向の寸法Q2と同寸である。従って、前記上金具30の上面寸法は長手方向Q3×短手方向Q4である。
【0041】
前記上金具30は、板厚Q5の金属板を所定の輪郭に切り抜いて、差込板31、ストッパー37および当て板38を曲げ加工して作製されたものであり、差込板31の薄肉部35の厚みは板厚Q5よりも薄い。
【0042】
前記下金具40は、平行に配置された上辺部41とこの上辺部41よりも短い下辺部42とが基端側で結合し、側面視においてコの字形に形成された部材であり、上辺部41と下辺部42との間に梁材2のフランジ21が挿入される挿入用空間48が形成されている。前記上辺部41には、長手方向に沿って前記ボルト50に螺合する2個のねじ孔43a、43bが形成されている。2個のねじ孔43a、43bのうち、一方43bは上辺部41の長手方向のほぼ中央に形成され、他方43aは基端側に寄った位置に形成されている。
【0043】
前記下金具40はウエブ44の両端からフランジ45が立ち上がる断面U字形の金属製チャンネル材を、ウエブ44が外側に位置しフランジ45が内側に位置するようにコの字状に曲げて作製したものであり、2個のねじ孔43a、43bはチャンネル材のウエブ44に形成されている。また、前記下辺部42の先端部においてフランジ45に上辺部41に向かって尖る鋸歯状の刻み目47が形成されている。前記刻み目47は本発明における下辺部の突起に対応する。
【0044】
前記下金具40の上面視において、長手方向の寸法がR1であり、短手方向の寸法がR2である。上辺部41は下辺部42よりも長いので、上辺部41の長手方向の寸法は下金具40の長手方向の寸法に等しいR1である。
【0045】
前記固定金具3は、上金具41の差込板31のボルト挿入孔34aに挿入したボルト50にスプリング51を装着し、ストッパー37と当て板38との間に下金具40の上辺部41を配置し規制板32に下金具40の側面を当接させた状態に組み付け、ボルト50を下金具40のねじ孔43a、43bのいずれか一方に螺合し、さらに当て板38のボルト挿入孔34bに挿入することによって組み立てられ、前記上金具40の当て板38は下金具40の上辺部41の下に入り込んでいる。なお、螺合させる下金具40のねじ孔43a、43bは、下金具40が梁材2のフランジ21を挟めるように踏み板10の長孔11とフランジ21の位置関係に応じて適宜選択する。この組み立て状態において、前記上金具30と下金具40とは、スプリング51の弾性復元力によって上金具41の差込板31と下金具42とが平行になる組み付け姿勢を保持している。
【0046】
組み立てた固定金具3の上面視において、長手方向の寸法は下金具40の長手方向のR1であり、短手方向の寸法は上金具30の短手方向のQ4である。
【0047】
[各部の寸法関係]
前記固定金具3の各部の寸法は、床材1および梁材2の各部の寸法に対して以下の大小関係となるように設定されている。
【0048】
前記固定金具3の長手方向の寸法R1は、前記床材1の踏み板10の長孔11の長手方向の開口寸法P1よりも小さく短手方向の開口寸法P2よりも大きく設定されている。前記固定金具3の短手方向の寸法Q4は前記長孔11の短手方向の開口寸法P2よりも小さく設定されている。また、前記固定金具3の差込板31の長手方向の寸法Q1は前記長孔11の短手方向の開口寸法P2よりも大きく設定され、差込板31の板厚Q5はリブ12a、12bの差込孔13a、13bの短手方向の開口寸法P3よりも小さく設定されている。
【0049】
また、前記上金具30の高さは、床材1の差込孔13a、13bから床材1の底面までの垂直距離に対応するように規制板32の高さが設定されている。
【0050】
また、前記固定金具3は、上金具40の当て板38が下金具40の上辺部41の下に接触している状態において、当て板部38の下面から下辺部42の歯部47の先端までの垂直距離R3は梁材2のフランジ21を挿入できる寸法に設定されている。
【0051】
[床材の固定構造の構築方法]
前記床材の架構構造は以下の手順で床材を梁材に固定することによって構築する。
【0052】
(1)準備作業
梁材2の長手方向と床材1の長手方向とが交わる態様で、梁材2上に床材1を架け渡して載置する。固定金具3は上金具30、下金具40、ボルト50およびスプリング51を組み立ておく。このとき、ボルト50を適宜締め込んで、上金具30の差込板31から下金具40の挿入用空間48までの距離が床材1の差込孔13a、13bから梁材2のフランジ21までの距離とほぼ等しくなるようにしておく。
【0053】
(2)固定金具の差し入れ
図1に参照されるように、固定金具3の長手方向を床材1の踏み板10の長孔11の長手方向に沿わせ、固定金具3を踏み板10の上面から長孔11に差し入れる。固定金具3の平面寸法Q3×Q4は長孔11の開口寸法P1×P2よりも小さいので、固定金具3全体を長孔11に差し入れることことができる。
【0054】
(3)固定金具の回転
図3〜
図4Bに示すように、差し入れた固定金具3を踏み板10と平行な平面内で右回りで90°回転させる。回転方向は差込板31の薄肉部35からリブ12a、12bの差込孔13a、13bに近づく方向とする。前記固定金具3の回転により長孔11の長手方向と固定金具3の長手方向と直交し、上金具30の差込板31の両端部が対向するリブ12a、12bの差込孔13a、13bに挿入され、下金具40の挿入用空間48に梁材2のフランジ21が挿入されて、フランジ21が規制板32および下金具の上辺部41と下金具40の下辺部42とで挟まれる。前記上金具30と下金具40とはスプリング51によって平行姿勢が保たれているので、フランジ21を挿入用空間48に円滑に挿入できる。このとき、下金具40の先端側を僅かに上げて傾斜させてフランジ21を挿入してもよい。この段階では前記ボルト50を締め込んでおらず、差込板31は差込孔13a、13bに遊挿された状態であるから、下金具40を傾斜させることができる。但し、下金具40の傾斜角度はストッパー37で規制されている。
【0055】
対向する差込孔13a、13bは固定金具3の回転方向に合わせて位置をずらして設けられ、かつ差込板31は薄肉部35から差込孔13a、13bに挿入されるので、差込板31は円滑に挿入される。前記差込板31の長手方向の寸法Q1は長孔の短手方向の開口寸法P2、即ち対向するリブ12a、12b間の距離よりも大きいので、差込板31の両端部は差込孔13a、13bを貫通した状態に挿入される。また、固定金具3を90°回転させると差込板31が差込孔13a、13bの端部に当接して90°を超える回転が阻止される。
【0056】
また、上金具30の高さは床材1の差込孔13a、13bから床材1の底面までの距離に対応するように設定されているので、上記の固定金具3の回転に伴って規制板32の刻み目39が梁材2のフランジ21上に載り、規制板32は梁材2に干渉しない。
【0057】
(4)ボルトの締め込み
前記ボルト50を締めて上金具30と下金具40とを近接させる。上金具30の差込板31の両端部は差込孔13a、13bに挿入されて上下方向に拘束されているので、下金具40が持ち上げられて下辺部42の刻み目47が梁材2のフランジ21の裏面に食い込み、フランジ21は規制板32と下辺部42に挟みつけられる。このとき、上金具30の規制板32の刻み目39が梁材2に当接して上金具30と下金具40との距離が規制されているので、ボルト50の締め過ぎによる差込孔13a、13bの破損が防止される。さらに、規制板32の下端の一部に設けられた刻み目39がフランジ21に食い込んで強く挟み付けることができる。そして、前記床材1は差込孔13a、13bで固定金具3の上金具30の差込板31と強く係合し、梁材2はフランジ21で下金具40と強く係合し、床材1は梁材2上に固定される。
【0058】
なお、図示例の固定構造は固定金具3と梁材2の寸法の関係により当て板38がフランジ21に達していないが、固定金具3における各部の寸法と梁材2との寸法関係によっては当て板38がフランジ21に載ることがある。このような場合、規制板32の下端の刻み目39を当て板38の下面から僅かに突出させることにより、刻み目39による係合力を発揮させることができる。
【0059】
また、前記下金具40は先端側で梁材2を挟み、中央または基端側のねじ孔43a、43bでボルト50に螺合しているので、ボルト50の締め込み時に下金具40が傾斜することがある。しかし、上辺部が41がストッパー37に当接することで傾斜角度が制限されるので、過剰な傾斜によって下金具40が梁材2から外れることが防がれる。
【0060】
上記の固定構造において、固定金具3が踏み板10の長孔11から差し入れ可能な寸法に設定されており、固定金具3全体を踏み板10の上面よりも低い位置に配置して床材1に係合することができる。このため、踏み板10の上面から固定金具3が突出することがなく、踏み板10の平坦性を損なわない。また、踏み板10に滑り止め用突起が設けられている場合でも突起に合わせて固定金具を設計する必要がなく、固定金具の汎用性が高い。また、前記固定金具3を床材1および梁材2に係合する作業は、固定金具3を踏み板10の長孔11から差し入れる作業と、固定金具3を回転させる作業と、ボルト50を締める作業である。これらの作業は踏み板10の上面側から行える作業であり、作業性が良い。
【0061】
上記の構築方法では固定金具を踏み板の上面から差し入れたが、床材の側方下方に作業空間がある場合は、床材の側方から踏み板の裏側に固定金具を差し入れ、長孔の下方に配置した固定金具を回転させて固定金具を床材と梁材に係合させることができる。複数個の床材を敷き詰める場合でも、床材の載置と固定を交互に行えば固定金具を踏み板の上面から差し入れずに床材の固定構造を構築できる。また、床材の裏側に作業空間がある場合は裏側からの固定作業も可能である。
【0062】
[床材の固定構造の他の態様]
本発明の床材の固定構造は上記の形態に限定されず、種々の変更が可能である。以下の説明において、同一符号を付した部材は同一物または同等物を表しており、重複する説明を省略する。
【0063】
(固定金具)
固定金具において必須の部材は、上金具の差込板、側面視形状がコの字形の下金具およびボルトである。
【0064】
上金具において規制板の有無は任意であり、それぞれにメリットがある。上述したように上金具30が規制板32を有している場合は、規制板32が梁材2に当接することでボルト50の締め過ぎを防ぎ、差込孔13a、13bに挿入された差込板31の接触部分への荷重負担を軽減してリブ12a、12bの破損を防ぐことができる。特に図示例の床材1は金属板に長孔11を穿設する際に長孔11内に突出する態様でリブ12a,12bを一体に形成しているので、リブ12a、12bの高さは最大でも長孔11の短手方向の開口寸法P2の1/2に制限される。また、踏み板10の機能上、長孔11の開口寸法にも制限がある。このような長孔11内に設けるリブ12a、12bに差込孔13a、13bを形成するので、差込孔13a、13bの上下部分は細くなって強度が低下するおそれがある。差込孔13a、13bの周囲に当て板をする等の方法でリブ12a、12bを補強することもできるが、規制板32でボルト50の締め過ぎを防ぐという方法でもリブ12a、12bの破損を防ぐことができる。一方、上金具が規制板を有さず差込板のみで構成されている場合は、差込板と下金具とを別々に回転させることができるので、長孔の長手方向と梁材とが直交していない場合でも梁材に対して下金具を最適角度に回転させて係合させることができる。また、ストッパー37の有無も任意である。
【0065】
また、差込板31に円形凹部33を設けることにも限定されない。前記円形凹部33は、踏み板10の上面からボルト50を突出しないようにボルト50の位置を下げるために形成したものである。従って、前記円形凹部33は差込孔13a、13bの位置とボルト50頭部の高さや差込板31の板厚等に応じて有無が設定される。
【0066】
また、規制板の下端の当て板の有無および刻み目の有無およびも任意である。
【0067】
図5に示す固定金具4の上金具60は規制板61の下端に当て板および刻み目を設けていない。当て板を持たない上金具60を用いた固定金具4では、下金具70の上辺部41または規制板61の下端面と下辺部42とで梁材2を挟み付ける。ボルト50の締め込みによって下金具70が持ち上がると上辺部41が梁材2から離れて梁材2に対する係合力が低下する。このような場合は、下金具70の上辺部41の先端に突起46を設け、下金具70をごく僅かに傾けるようにしてボルト50を締めて、上辺部41の突起46を梁材2のフランジ21の上面に押し付けるとともに下辺部42の刻み目47をフランジ21の裏面に押し付けるようにすることにより、フランジ21を強く挟み付けることができる。また、前記下金具70は上辺部41の突起46の先端から下辺部42の刻み目47の先端までの垂直距離R4よりも厚いフランジおよび薄いフランジにも係合させることができる。前記垂直距離R4よりも厚いフランジに対しては、下金具70の基端側を下げるように傾斜させることで上辺部41の突起46と下辺部42の刻み目47とでフランジを挟み付けることができる。前記垂直距離R4よりも薄いフランジに対しては、下金具70の先端側を下げるように傾斜させることで上辺部41の突起46と下辺部42の刻み目47とでフランジを挟み付けることができる。当て板を持たない上金具60を組み合わせると、当て板を有する上金具よりも下金具70の角度に融通を利かせ易いので、厚みの異なる梁材にも対応することができる。但し、下金具70の姿勢は上金具30のストッパー37で規制されているので、上辺部41がストッパー37に当接する角度が設定可能な最大傾斜角度である。
【0068】
図6に示す固定金具5の上金具80は、当て板81が下金具40の上辺部41および下辺部42の基端側連結部に干渉する部分を避けて、規制板82の長手方向の中央部から一方の端部までの領域に設けられ、差込板31のボルト挿入孔34aの延長線上にボルト挿入孔34bが設けられている。また、前記規制板82は当て板81のない領域は下方部が切り欠かれている。前記規制板82は下端に刻み目が形成されていないが、当て板81によって梁材との接触面積が拡大されるので、規制板82の板厚でライン状に当接するよりも係合力が高めることができる。
【0069】
下金具は、上辺部と下辺部とで梁材を挟み込むために側面視形状がコの字状に形成されているが、上辺部と下辺部の長さは梁材の形状に応じて適宜設定することができる。上辺部と下辺部の長さは同寸でも良いし、異なる寸法であってもよい。図示例の下金具40、70はH形鋼材からなる梁材2のフランジ21を挟み込むために、ウエブ20に干渉される下辺部42が上辺部41よりも短く設計されている。また、上辺部41および下辺部42におけるフランジ45の有無は任意であるが、フランジ45を有する下金具40、70は強度が高い。さらに、フランジ45によって断面視U字形に形成することによってボルト50先端部の格納空間を確保でき、かつ突起46および刻み目47の形成も容易である。さらに、フランジ45の突起46および刻み目47の有無も任意であるが、突起46および刻み目47を形成することにより挟み付け力を集中させて係合力を高めることができる。
【0070】
スプリングは、上述したように、上金具と下金具との平行姿勢を保持して、固定金具の回転による挿入用空間へのフランジ挿入を円滑に行える効果がある。この他、スプリングの弾性復元力により上金具と下金具とが緩く拘束されるので、ボルトの頭を摘まんで固定金具を回転させると差込板が空回りすることなく下金具とともに回転するので、差込板をリブの差込孔に確実に挿入することができる。図示例の上金具30、60、80は規制板32、61、82を有しているので、ボルト50の頭を回転させると下金具40、70が規制板32、61、82を押すので差込板31の空回りは起こらない。しかし、規制板の有さない上金具では差込板の空回り防止にスプリングが役立つ。
【0071】
上金具と下金具との平行姿勢保持手段は固定金具に組み込まれたスプリングに限定されない。下金具とボルトは螺合されているので、固定金具の組み立てによりボルトと下金具との角度姿勢は自ずと保持される。従って、ボルトと差込板の角度姿勢を保持すれば上金具と下金具との平行姿勢を保持することができる。
【0072】
図7Aおよび
図7Bに、スプリングを組み込んでいない固定金具に装着してボルト50と差込板31の角度姿勢を保持するための保持具100を示す。図示例の固定金具は
図6に示した固定金具5であり、スプリングを追加装備せずに組み立てられている。
【0073】
前記保持具100は樹脂プレートの成形品からなる。前記保持具100は、長方形のベースプレート101の一方の短辺に開口端102aを有し中心に向かって延びる溝102が形成され、2つの長辺の前記溝102の閉塞端102bを挟む位置に支持部103がベースプレート101から突出する態様で設けられている。前記ベースプレート101の長辺は床材1の長孔11の短手方向の開口寸法P2よりも十分に大きく、後述する固定金具5の差し入れ時に長孔11に架け渡すことができる寸法に設定されている(
図9参照)。前記溝102の幅はボルト50のネジ溝に嵌まり込む寸法に設定され、溝102の深さ、即ち開口端102aから閉塞端102bまでの距離は長孔11の短手方向の開口寸法P2の1/2よりも十分に大きく設定されている。前記支持部103は断面U字形であり、ベースプレート101から延長された帯状プレートが円弧状に屈曲して先端部103aが内向きとなされ、先端部分103aはベースプレート101と略平行に形成されている。一方の支持部103の端部(断面U字形の底部)から他方の支持部103の端部までは差込板31が長手方向に収まる寸法に設定されている。また、前記保持具100は、ベースプレート101の溝102の無い領域が操作部104となされている。
【0074】
図7Aおよび
図8に示すように、固定金具5はボルト50の頭が差込板31から長く突出するようにボルト50を調節しておく。そして、前記保持具100のベースプレート101の溝102の開口端102aからボルト50の軸を差込んで頭をベースプレート101上に突出させ、固定金具5を閉塞端102bまでスライドさせて差込板31の両端を両方の支持部103に差し込み、固定定金具5に保持具100を装着する。この装着状態において、固定金具5の差込板31の長手方向とベースプレート101の長辺とが直交し、ボルト50はベースプレート101に対して直角に支持され、差込板31は支持部103の先端部103aに下方から支えられている。前記保持具100のベースプレート101と支持部103の先端部103aは平行であるから、ボルト50と差込板31は直角の角度姿勢が保持されている。前記ボルト50と下金具40はボルト50の螺合によって角度姿勢が固定されているから、上金具30の差込板31と下金具40の平行姿勢が保持されている。
【0075】
図9に示すように、前記保持具100を装着した固定金具5のボルト50の頭を摘まんで床板1の長孔11から差し入れる。前記保持具100による固定金具5の支持姿勢により長孔11の長手方向とベースプレート101の長手方向とが直交し、長孔11にベースプレート101が架け渡されてベースプレート101が踏み板10に支持され、前記保持具100に支持された固定金具5が長孔11内に吊り下げられる。ボルト50の頭はベースプレート101上にあり踏み板10から突出しているが、差込板31は床板1のリブ12a、12bの差込孔13a、13bと同じ高さになるようにボルト50が調節されており、固定金具5のボルト50の頭を摘まんで90°回転させると、保持具100の支持部103から抜け出た差込板31が床板1のリブ12a、12bの差込孔13a、13bに挿入され、下金具40の挿入空間に梁材2のフランジ21が挿入される。ベースプレート101が長孔11に架け渡されて溝102の開口端102aが踏み板10で閉じられている限りボルト50が溝102から抜けることはなく、回転中に固定金具5が落下するおそれもない。固定金具5が差込板31が差込孔13a、13bに差し込まれれば固定金具5が落下するおそれは無くなるので、固定金具5から保持具100を取り外す。固定金具5を90°回転させると差込板31が支持部103から完全に外れて保持具100に係合しているのはボルト50のみであるから、ベースプレート101の操作部104を摘まんで引き上げると溝102の開口端102aからボルト50が抜けて保持具100が固定金具5から外れる。
【0076】
固定金具5から保持具100を取り外した後は、スプリングを装備した固定金具を用いた場合と同じく、ボルト50を締め込んで床材1、固定金具3、梁材2の3者を強く係合させる。
【0077】
上金具と下金具の平行姿勢の保持を必要とするのは、床板の長孔から差し入れた固定金具を回転させる時である。
図4Aおよび
図4Bに示したように、スプリング51は固定金具の組み立て時に内部に組み込まれるので床材の固定が完了した後も固定構造から取り出すことはできないが、前記保持具100は固定金具から抜き取ることができるので繰り返し使用できる。また、前記保持具100と係合するのは差込板31およびボルト50であるから、規制板の有無や規制板の形状に関わりなく固定金具に装着して差込板と下金具の平行姿勢を保持することができる。前記保持具100は
図2の固定金具3および
図5の固定金具4にも適用できる。
【0078】
また、固定金具にスプリングを装着すれば上金具と下金具の平行姿勢の保持できるので、スプリング付の固定金具に装着する保持具は落下防止機能を備えていれば足りる。従って、保持具はベースプレートとこのベースプレートに形成された溝を有していれば足り、支持部を持たない保持具も本発明の技術的範囲に含まれる。なお、スプリング付の固定金具に支持部付の保持具を装着しても支障なく固定金具を床材および梁材に係合させることができる。
【0079】
(床材)
床材の踏み板の長孔は、固定金具を梁材に係合させる位置に少なくとも1つ形成されていれば足り、係合位置以外の長孔の有無や形成位置は任意に設定できる。また、固定金具は踏み板の下方で自在に回動可能であり、規制板を持たない上金具と下金具は異なる角度に回転させることが可能であるから、梁材の長手方向に対して長孔の長手方向が直交していることにも限定されない。従って、例えば、長孔が縦列配置された床材、長孔が斜めに配置された床材、踏み板の上面全域に滑り止め用突起が形成され、梁材への取り付け位置にのみ固定金具挿入用の長孔が設けられた床材等に対しても本発明の固定構造を適用できる。
【0080】
また、床材の差込孔は対向するリブに1組の差込孔が形成されていれば足りるが、図示例の床材1のように複数組の差込孔13a、13bを設けることもできる。複数組の差込孔を設けることにより、床材と梁材との位置関係に応じて最適位置の差込孔を選択できるので、床材と梁材との位置関係の制限が緩和される。
【0081】
また、床材と梁材との間に固定金具を配置する空間が必要であるが、図示例のように床材1としてC形チャンネル材を用いることによって固定金具配置空間を形成する他、踏み板と梁材との間にスペーサーを設置することによって固定金具配置空間を形成することもできる。
【0082】
さらに、固定金具に係合させない差込孔は配管や照明器具の取り付けに利用することができる。
【0083】
(梁材)
梁材は、固定金具の下金具との係合部分に下金具に挿入できる厚みの板状部を有しているものであればよく、図示例のH形鋼材の他、I形鋼材、チャンネル材等であってもよい。また、梁材の係合部分の下方に下金具の下辺部が入り込む空間があれば固定金具の取り付けが可能であるから、上記の定形形材以外の使用も可能である。
【0084】
(その他)
さらに、本発明の床材の固定構造は、梁材を柱材に変更するとともに床材を壁面材に変更することにより壁面の構築にも応用できる。