特許第6427140号(P6427140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427140
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】草刈鋏の車輪装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/02 20060101AFI20181112BHJP
   B26B 13/22 20060101ALI20181112BHJP
   B26B 13/26 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   A01D34/02 A
   B26B13/22
   B26B13/26
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-99931(P2016-99931)
(22)【出願日】2016年5月18日
(65)【公開番号】特開2017-205064(P2017-205064A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】597027833
【氏名又は名称】オリエンタル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】金子 光一郎
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−145404(JP,A)
【文献】 実公昭46−014748(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3103013(JP,U)
【文献】 特開2003−265013(JP,A)
【文献】 特開2001−238513(JP,A)
【文献】 特開2000−217430(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0191141(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00 − 34/40
A01G 3/00 − 3/08
B26B 13/00 − 13/28
B60B 19/00 − 19/14
B60B 37/00 − 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差する部分で第1の軸を介して回動自在に連結した一対の第1,2の柄部の先端に第1,2の自在継手を介して一対の第1,2の鋏刃体の基端を夫々連結し、かつ該第1,2の鋏刃体の略中央を交差させると共に該交差する部分を第2の軸を介して回動自在に連結した草刈鋏の車輪装置において、
前記車輪装置は、前記第1の軸と前記第2の軸とを連結する連結部材に直交する車軸と、前記車軸の両端に配設された一対の車輪とを備えたことを特徴とする草刈鋏の車輪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り作業やそれに付随する作業を立った姿勢で行える草刈鋏である。
【背景技術】
【0002】
従来、除草する場合において、一対の鋏刃体の両側に車輪を備えた車輪付草刈鋏があった。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−238513公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車輪を備えた草刈鋏では、部品点数が多いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、部品点数が少ない安価な構成で、しかも既存の草刈鋏への着脱自在が容易な車輪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の草刈鋏の車輪装置は、交差する部分で第1の軸を介して回動自在に連結した一対の第1,2の柄部の先端に第1,2の自在継手を介して一対の第1,2の鋏刃体の基端を夫々連結し、かつ該第1,2の鋏刃体の略中央を交差させると共に該交差する部分を第2の軸を介して回動自在に連結した草刈鋏の車輪装置において、前記車輪装置は、前記第1の軸と前記第2の軸とを連結する連結部材に直交する車軸と、前記車軸の両端に配設された一対の車輪とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、部品点数が少ない安価で軽量な構成で、しかも既存の草刈鋏への着脱自在が容易な車輪装置を提供することができる。また、草刈りを行う際、一対の柄部の開閉操作による鋏刃体の開閉動作中、常に鋏刃体の長手方向が車輪の転がる向きと一致するので、意図した方向に草刈鋏を進めることができて、操作性に優れた車輪装置を提供することができる。更に、鋏刃体上で車軸の高さを調節できる構成にすることで芝や草の刈り込む長さを調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に示す車輪装置を備えた草刈鋏を開いた状態の斜視図である。
図2】同上、草刈鋏を閉じた状態の斜視図である。
図3】同上、草刈鋏を開いた状態の要部拡大斜視図である。
図4】同上、草刈鋏を閉じた状態の側面図である。
図5】同上、草刈鋏を開いた状態の側面図である。
図6】本発明の実施例2に示す車輪装置を備えた草刈鋏を開いた状態の斜視図である。
図7】同上、草刈鋏を閉じた状態の斜視図である。
図8】同上、草刈鋏を開いた状態の要部拡大斜視図である。
図9】同上、草刈鋏を閉じた状態の側面図である。
図10】同上、草刈鋏を開いた状態の側面図である。
図11】同上、折曲げ用の継手の斜視図である。
図12】本発明の実施例3を示す要部の側面図である。
図13】本発明の実施例4を示す要部拡大斜視図である。
図14】本発明の実施例5を示す要部拡大斜視図である。
図15】本発明の実施例6に示す車輪装置を備えた草刈鋏を開いた状態の斜視図である。
図16】同上、草刈鋏を閉じた状態の斜視図である。
図17】本発明の実施例7に示す車輪を省略した車輪装置を備えた草刈鋏を開いた状態の斜視図である。
図18】同上、草刈鋏を閉じた状態の斜視図である。
図19】本発明の実施例8に示す車輪を省略した車輪装置を備えた草刈鋏を開いた状態の斜視図である。
図20】同上、草刈鋏を閉じた状態の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の第1実施例を図1図5を参照して説明する。本実施例の草刈鋏Sにおいて、一対の第1,2の柄部1,2はそれらの先端側で交差すると共に該部分で第1の軸3を介して回動自在に連結している。第1,2の柄部1,2の基端は背面側に横向きに折曲げられると共に、握り部4を夫々設けている。第1,2の柄部1,2の先端には第1,2の自在継手5,6を介して一対の第1,2の鋏刃体7,8の基端7A,8Aを夫々連結する。尚、第1,2の柄部1,2における先端と第1の軸3の間はやや外側に膨らむように湾曲している。そして第1,2の鋏刃体7,8の略中央を交差させると共に該交差する部分を第2の軸9を介して回動自在に連結している。
【0011】
そして、草刈鋏Sに取り付ける車輪装置Wでは、第1の軸3と第2の軸9を、連結部材10によって連結されている。連結部材10は、板ばね等の金属からなる矩形状の板状弾性体とし、両端に第1の軸3へ取り付け可能な第1の取付部11と第2の軸9への取り付け可能な第2の取付部12を備えている。第1の取付部11と第2の取付部12はいずれも第1の軸3と第2の軸9の螺子部が挿通可能な貫通孔13からなり、第1の取付部11は貫通孔13を連結部材10の長手方向に沿って複数備えている。
【0012】
第1の自在継手5は、直交する2軸方向を回動自在に連結するものであり、第1の柄部1の先端と該先端の下方に位置する第1のブラケット14を前後方向に横向きの横軸15を介して回動自在に緩やかに、すなわちいわゆる遊びを有して連結し、また第1のブラケット14と基端7Aを縦向きの縦軸16を介して回動自在に緩やかに、すなわちいわゆる遊びを有して連結している。同様に第2の自在継手6は、第2の柄部2の先端と該先端の下方に位置する第1のブラケット14を前後方向に横向きの横軸15を介して回動自在に緩やかに、すなわちいわゆる遊びを有して連結し、また第1のブラケット14と基端8Aを縦向きの縦軸16を介して回動自在に緩やかに、すなわちいわゆる遊びを有して連結している。
【0013】
前記第1,2の鋏刃体7,8を回動可能に連結する第2の軸9は、頭部9Aを下側にして螺子部9Bを第1,2の鋏刃体7,8の交差部に貫通している。螺子部9Bには、第1の鋏刃体7に接する側から順に第1の座金17、バネ座金18、第2の座金19、第1のナット20、第2のナット21、第1のスペーサ部材22、連結部材10の第2の取付部12、車軸23、第2のスペーサ部材24、そして六角袋ナット25が装着されている。第1のスペーサ部材22と第2のスペーサ部材24はそれぞれ内径を螺子部9Bの外径より大きく形成された円筒部材からなる。
【0014】
車軸23は、中心部分に螺子部9Bが挿通可能な貫通孔を備えた棒状部材であり、車軸23の両端に接地用の車輪26を回動自在に備えている。また車軸23の貫通部付近には、連結部材10を両側から保持する板部材からなる一対のガイド部材27を備えており、車軸23を連結部材10の長手方向と直交する向きに固定して、車輪26の転がる向きを安定させる。
【0015】
第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線Xと、連結部材10の長手方向とが略同一となるように設けられている。そのため、連結部材10の長手方向と直交する車軸23に設けられた一対の車輪26の転がる向きと第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線X方向とが一致している。
【0016】
次に前記構成についてその作用を説明する。使用時においては、握り部4を握って第1,2の柄部1,2を開閉すると、該開閉運動は第1の自在継手5、第2の自在継手6を介し、第1,2の鋏刃体7,8に伝達され、この結果第1,2の鋏刃体7,8は開閉運動し、同時に車輪26を接地させて前進することにより、草刈りを行うことができる。また、草刈りに限らず握り部4を握って第1,2の柄部1,2を開閉することにより、枝切り等も行うことができる。
【0017】
第1、2の柄部1、2の開閉運動に伴い、第1の軸3と第2の軸9の距離が変化して、第1の軸3と第2の軸9とを連結する連結部材10が弾性変化する構造となっている。
【0018】
第1、2の柄部1、2を開くと、第1の軸3と第2の軸9の距離L1は小さくなり、連結部材10は大きく撓むように弾性変形して第1の軸3付近の角度と第2の軸9付近との角度差α1が大きくなる。
【0019】
反対に、第1、2の柄部1、2を閉じると、第1の軸3と第2の軸9の距離L2はL1より大きくなり(L1<L2)、連結部材10は第1の軸3付近の角度と第2の軸9付近との角度差α2が小さいほぼ真っ直ぐな状態となる(α1>α2)。
【0020】
このように、連結部材10を大きく撓ませた第1、2の柄部1、2を開いた状態から、連結部材10がほぼ真っ直ぐな状態の第1、2の柄部1、2が閉じた状態へは、連結部材10の弾性復元力により、第1、2の鋏刃体7、8を閉じようとさせる付勢力が発生する。
【0021】
以上のように、前記実施例においては、交差する部分で第1の軸3を介して回動自在に連結した一対の第1,2の柄部1、2の先端に第1,2の自在継手5、6を介して一対の第1,2の鋏刃体7、8の基端7A、8Aを夫々連結し、かつ該第1,2の鋏刃体7、8の略中央を交差させると共に該交差する部分を第2の軸9を介して回動自在に連結した草刈鋏Sの車輪装置Wにおいて、車輪装置Wは、前記第1の軸3と前記第2の軸9とを連結する連結部材10と、前記第2の軸9上にて、前記連結部材10と直交する車軸23と、前記車軸23の両端に配設された一対の車輪26とを備えたことにより、部品点数が少ない安価で軽量な構成で、しかも既存の草刈鋏Sへの着脱自在が容易な車輪装置Wを提供することができる。また、草刈りを行う際、一対の柄部1、2の開閉操作による鋏刃体7,8の開閉動作中、常に鋏刃体7、8の長手方向Xが車輪26の転がる向きと一致するので、操作性に優れた車輪装置Wを提供することができる。
【0022】
また、前記連結部材10はバネ鋼からなる板部材とすることにより、鋏刃体7、8の開閉動作の際、閉方向へ付勢力を生じさせ、草刈り作業を楽に行うことができる。
【0023】
また、前記車軸23は前記第2の軸9に第1のスペーサ部材22を異なる長さのスペーサ部材の配置を変えることにより、鋏刃体7、8と車輪26の接地面との間隔を調節して、所望の草刈作業が楽に行うことができる。
【0024】
また、前記連結部材10に前記第1の軸3に取り付け可能な複数の取付穴として貫通孔13を備えたことにより、既成の草刈鋏の形状に合わせて車輪装置Wを取付可能とする。
【実施例2】
【0025】
次に実施例2について図6図11を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例における第1の自在継手5は、直交する2軸方向を回動自在に連結するものであり、第1の柄部1の先端と該先端の下方に位置する第1のブラケット14を前後方向に横向きの横軸15を介して回動自在に緩やかに、すなわちいわゆる遊びを有して連結し、また第1のブラケット14と該第1のブラケット14の下方に位置する第2のブラケット28を縦向きの縦軸16を介して回動自在に緩やかに、すなわちいわゆる遊びを有して連結している。同様に第2の自在継手6が設けられている。さらに、基端7A,8Aに別体の第3のブラケット29が上向きに連結している。第3のブラケット29は間隔をおいて一対の縦向きの片が前後及び上方向を開口して形成されている。そして、第3のブラケット29と第2のブラケット28を左右方向に横向きの第3の軸30により回動自在に連結している。第2のブラケット28は第3のブラケット29の内側に夫々配設されており、そして第2のブラケット28と第3のブラケット29を夫々貫通して第3の軸30が設けられて、第1,2の鋏刃体7,8を第3の軸30を回転中心としてほぼ水平から上向きに折曲げ用の継手31が形成される。また、第2のブラケット28と第3のブラケット29との擦り合わせ面、すなわち第2のブラケット28の縦向き片と第3のブラケット29の縦向き片には、両者の摩擦を大きくするように凹凸部32を夫々形成している。第1,2の鋏刃体7,8を柄部1,2と成す所望角度で固定できるようになっている。
【0026】
第3の軸30では、第2のブラケット28、第3のブラケット29を貫通する雄螺子部材30Aと、雄螺子部材30Aと螺合する雌螺子部材30Bを備えている。雌螺子部材30Bには、第3のブラケット29の凹凸部32と係合可能な雌螺子側凹凸部30Cを設けており、雌螺子部材30Bの雌螺子側凹凸部30Cと第3のブラケット29の凹凸部32が係合するので、第3の軸30における雄螺子部材30Aと雌螺子部材30Bが供回りせずに第3のブラケット29の締付けが行いやすい。
【0027】
そして、第1の軸3と第2の軸9を、連結部材33によって連結されている。連結部材33は、板ばね等の金属からなる矩形状の板状弾性体とし、両端に第1の軸3へ取り付け可能な第1の取付部34と第2の軸9への取り付け可能な第2の取付部35を備えている。第1の取付部34は連結部材33の長手方向に沿って形成された長穴となっている。尚、第1の取付部34の長穴の端縁には、バリ取り等の加工を施されている。
【0028】
そして、第1の取付部34の長穴に第1の軸3の雄螺子部3Aが摺動自在に設けられている。
【0029】
連結部材33と車軸23の間には、第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線Xと平行に連結部材33を揺動自在にするヒンジ部36が設けられている。
【0030】
次に前記構成についてその作用を説明する。本実施例では、第1、2の柄部1,2の開閉運動に伴い、第1の軸3と第2の軸9の距離が変化して、第1の軸3の雄螺子部3Aが第1の軸3と第2の軸9とを連結する連結部材33の第1の取付部34の長穴を摺動する構造となっている。
【0031】
第1、2の柄部1、2を開くと、第1の軸3と第2の軸9の距離L1は小さくなり、第1の軸3の雄螺子部3Aは連結部材33の長穴を車軸23側へと移動する。
【0032】
反対に、第1、2の柄部1、2を閉じると、第1の軸3と第2の軸9の距離L2はL1より大きくなり(L1<L2)、第1の軸3の雄螺子部3Aは連結部材33の長穴を握り部4側へと移動する。尚、連結部材33は、第1、2の柄部1,2の開閉運動において、ほぼ真っ直ぐな状態で保持されている。
【0033】
本実施例では前記第1,2の鋏刃体7、8の基端7A、8Aと前記第1,2の自在継手5、6との間に前記第1,2の鋏刃体の折曲げ用の継手31を夫々設けたことにより、柄部1,2と鋏刃体7、8の折りたたみが可能となり、傾斜地や段差地などの草刈りに対応できる。
【0034】
また、前記連結部材10は、長穴を備え、前記第1の軸3を前記長穴に摺動自在に備えたことにより、鋏刃体7、8の開き角度の変化に伴い、第1の軸3と第2の軸9との間隔L1、L2が変化しても最適な草刈り作業が可能となる。
【0035】
また、前記連結部材10と前記車軸23の間にヒンジ部36を備えたことにより、鋏刃体7、8の角度に連結部材10の変形を少なくして車軸23の角度を追従させることができる。
【実施例3】
【0036】
次に実施例3について図12を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例では、第2の軸9は、車軸23と連結部材10に挿通される第1の雄螺子部材41の雄螺子部41Aと、鋏刃体7、8に挿通される第2の雄螺子部材42の雄螺子部42Aとを雌螺子部43によって連結した構成である。
【0037】
雌螺子部43は、六角ナット44と長ナット45からなるダブルナット部となっており、長ナット45に第1の雄螺子部材41の雄螺子部41Aと第2の雄螺子部材42の雄螺子部42Aが螺着されている。長ナット45には、摘み部46が設けられている。
【0038】
第1の雄螺子部材41の雄螺子部41Aには、六角ナット44、長ナット45の順に螺着されており、第1の雄螺子部材41の頭部41Cと雌螺子部43との距離Mが所定の寸法で一定となるようになっている。
【0039】
ここで、第1の雄螺子部材41の雄螺子部41Aは、連結部材10の第2の取付部12の貫通孔及び車軸23の貫通孔に対して、固定されず回動自在とされている。
【0040】
そして、鋏刃体7、8に挿通される第2の雄螺子部材42を雌螺子部43の長ナット45に対して回動させて、鋏刃体7、8と車輪26の接地面Gとの間隔Nを調整する。例えば、第2の雄螺子部材42と長ナット45との距離Kを長くすると鋏刃体7、8から車軸23が相対的に離れて、鋏刃体7、8と車輪26の接地面Gとの間隔Nが小さくなる。
反対に、第2の雄螺子部材42と長ナット45との距離Kを小さくすると鋏刃体7、8から車軸23が相対的に近づき、鋏刃体7、8と車輪26の接地面Gとの間隔Nが大きくなる。
【実施例4】
【0041】
次に実施例4について図13を参照して説明する。尚、前記実施例2と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例では、車軸23を第2の軸9から鋏刃体7、8の基端7A、8A側へずらした位置で連結部材33に螺子部材49によって取り付けられている。
【0042】
そして、車軸23の取り付け位置よりも前方に連結部材33を延ばしており、連結部材33の第2の取付部35における第2の軸9へ嵌合する貫通穴50は、長手方向中心線上に沿って形成された長穴となっている。そして、第2の軸9の螺子部9B上に六角ナット51と長ナット52からなるダブルナット部53、連結部材33、径の大きなノブナット54の順に装着して、ノブナット54を回動してノブナット54とダブルナット部53の間隔Pを調節して、車輪26の接地面Gからの高さ調節を使用者の手によって連結部材33を湾曲するように弾性変形させて行うことができる。
【0043】
車軸23が連結部材33に対して、第2の軸9への取り付け位置と別の位置に取り付けられているため、連結部材33のバネ効果によって車輪26にクッション効果が期待でき、接地面Gの凹凸に対する追従性や、ショック吸収性が向上し、操作性に優れた車輪装置Wを提供することができる。
【実施例5】
【0044】
次に実施例5について図14を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例では、連結部材33の弾性変形を少なくするために、連結部材33を第1の軸3に取り付ける第1の取付部34は、連結部材33の長手方向中心線上に沿って平行かつ第1の軸3の軸部3Aが挿通可能な長穴を設ける。その長穴の柄部4側である先端側に第1の軸の頭部3Bが挿通可能な径の大きさの大径部34Aを設けている。
【0045】
この場合、草刈鋏Sの開閉操作の際、第1の軸3の雄螺子部3Aが第1の取付部34の長穴をスライドすることにより、草刈鋏Sの開閉操作をスムーズに行うことができる。
【0046】
また、第1の取付部34の長穴に大径部34Aを設けたことにより、連結部材33を第1の軸3に楽に装着することができる。
【実施例6】
【0047】
次に実施例6について図15及び図16を参照して説明する。尚、前記実施例1〜5と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例における第1の軸3と第2の軸9とを連結する連結部材60は、中空円筒状の第1の管材61と、第1の管材61の内径より小径な外径を有する中空円筒状の第2の管材62とを備え、第1の管材61の一端を第2の管材62の一端に外嵌させて、連結部材60の長手方向に伸縮する伸縮機構を備えている。
【0048】
第2の軸9は、第1の鋏刃体7側から第1の鋏刃体7と第2の鋏刃体8が交差する部分に挿通された雄螺子部材(図示せず)に六角ナット(図示せず)とノブナット65が螺着され、雄螺子部材(図示せず)の先端に軸受部としての長ナット66が螺着されている。
【0049】
長ナット66の先端に第1の管材61の他端を遊嵌させた状態で、長ナット66の先端と第1の管材61の他端に挿通された第1の管材61の長手方向と直交する車軸23を回転軸として、第1の管材61は第2の軸9の長ナット66に対して回動自在に備えている。
【0050】
また、第1の軸3の雄螺子部材3Aに軸受部としての長ナット67が螺着されており、長ナット67の先端に第2の管材62の他端を遊嵌させた状態で、長ナット67の先端と第1の管材61の他端に車軸23と平行に挿通されたボルト68とナット69によって、第2の管材62は第1の軸3の長ナット67に対して回動自在に備えている。
【0051】
以上の構成から、草刈鋏Sの開閉操作に伴い、第1の軸3と第2の軸9の距離は、第1の管材61に対して第2の管材62が出し入れされて連結部材60が伸縮することによって、第1の軸3と自在継手5、6間の中線P1と、第2の軸9と自在継手5、6間の中線P2が、第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線X上に常に重なり、第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線Xと、連結部材60の長手方向とが略同一となるように設けられている。そのため、連結部材60の長手方向と直交する車軸23に設けられた一対の車輪26の転がる向きと第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線X方向とが一致している。
【0052】
更に、第2の軸9の雄螺子部材に螺合されたノブナット65を回動操作することによって、長ナット66が鋏刃体1、2上を上下に移動するため長ナット66に車軸23が挿通された車輪26が上下に移動するので、鋏刃体7、8と車輪26の接地面Gとの間隔を調節することができ、鋏刃体1、2の接地面Gからの高さを調節することができる。
【0053】
尚、第1の管材61及び第2の管材62は、中空円筒形状に限定されず、多角形状の管材や、棒材、板材等やこれらを組み合わせたものでもよい。
【実施例7】
【0054】
次に実施例7について図17及び図18を参照して説明する。尚、前記実施例1〜6と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例における第1の軸3と第2の軸9とを連結する連結部材70は、第1の軸3に取り付けられる板状の第1の連結片71と、第2の軸9に取り付けられる板状の第2の連結片72と、第1の連結片71と第2の連結片72を回動自在に連結するヒンジ部73とを備えている。
【0055】
ヒンジ部73の回転軸は車軸23と平行に設けられており、ヒンジ部73を介して第1の連結片71と第2の連結片72は第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線X方向と平行に回動する。
【0056】
このように、第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線Xと、連結部材70の長手方向とが略同一となるように設けられているため、連結部材70の長手方向と直交する車軸23に設けられた一対の車輪26の転がる向きと第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線X方向とが一致している。
【実施例8】
【0057】
次に実施例8について図19及び図20を参照して説明する。尚、前記実施例1〜7と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施例における第1の軸3と第2の軸9とを連結する連結部材80は、第1の軸3に回動自在に取り付けられる棒状部材からなる第1の連結片81と、第1の連結片81と回動自在に連結されるとともに、第2の軸9に回動自在に取り付けられる棒状部材からなる第2の連結片82とを備えている。
【0058】
第1の軸3の雄螺子部材(図示せず)には第1の軸受部としての長ナット83が取り付けられており、長ナット83の先端に第1の連結片81の先端を回動自在に取り付けている。また、第2の軸9の雄螺子部材(図示せず)に取り付けられた第2の軸受部としての長ナット84の先端に、第2の連結片82の先端が車軸23を回動軸として回動自在に取り付けられている。
【0059】
そして、第1の連結片81と第1の軸3、第2の連結片82と第2の軸9、第1の連結片81と第2の連結片82はそれぞれ車軸23と平行な回転軸によって回動自在に連結されており、連結部材80は第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線X方向と平行に回動する。
【0060】
このように、第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線Xと、連結部材80の長手方向とが略同一となるように設けられているため、連結部材80の長手方向と直交する車軸23に設けられた一対の車輪26の転がる向きと第1、2の鋏刃体7、8の長手方向の中心線X方向とが一致している。
【0061】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、例えば、連結部材の一部もしくは全体にローラーチェーンのような複数の連結部材の長手方向に直交する回転軸を有する構成とすることで、第1の軸と第2の軸間の長さの変化をチェーンの弛みの度合いで対応しつつ、第1の軸と第2の軸を鋏刃体7,8の長手方向の中心線Xに沿って連結することもできるなど、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 第1の柄部
2 第2の柄部
3 第1の軸
4 握り部
7 第1の鋏刃体
8 第2の鋏刃体
9 第2の軸
10、33 連結部材
23 車軸
26 車輪
S 草刈鋏
W 車輪装置
図1
図2
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