特許第6427145号(P6427145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6427145-コネクタ 図000002
  • 特許6427145-コネクタ 図000003
  • 特許6427145-コネクタ 図000004
  • 特許6427145-コネクタ 図000005
  • 特許6427145-コネクタ 図000006
  • 特許6427145-コネクタ 図000007
  • 特許6427145-コネクタ 図000008
  • 特許6427145-コネクタ 図000009
  • 特許6427145-コネクタ 図000010
  • 特許6427145-コネクタ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427145
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/707 20060101AFI20181112BHJP
【FI】
   H01R13/707
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-149191(P2016-149191)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-18730(P2018-18730A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】関野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】坂元 信幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 寿典
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−293938(JP,A)
【文献】 特開2016−024897(JP,A)
【文献】 特開2016−113666(JP,A)
【文献】 特表2012−529735(JP,A)
【文献】 実開平02−050985(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56−72
H01R 13/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1端子を収容した第1ハウジングと、前記第1端子に接続可能な複数の第2端子を収容して前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングと、前記第1ハウジングに収容され隣り合う前記第1端子とそれぞれ接触した接触片を有する短絡端子と、前記第2ハウジングに設けられ前記接触片を変位させて前記第1端子と前記接触片との接触を解除する解除部とを備えたコネクタであって、
前記第1端子と前記接触片との接触面には、錫めっきが形成され、
前記第2ハウジングには、前記解除部より前記第1ハウジング側に配置され前記接触片を互いに離間する方向、又は互いに近接する方向に向けて変位させて前記接触片を前記第1端子に摺動させる摺動部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記摺動部は、前記短絡端子の前記接触片の間に位置されていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。詳細には、ハウジングに収容された複数の端子間を接続する短絡端子を有するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとしては、複数の第1端子としての雌端子を収容した第1ハウジングと、雌端子に接続可能な複数の第2端子としての雄端子を収容して第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングと、第1ハウジングに収容され隣り合う雌端子とそれぞれ接触した接触片を有する短絡端子と、第2ハウジングに設けられ接触片を変位させて雌端子と接触片との接触を解除する解除部としての解除片とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタでは、例えば、第1ハウジングに収容された複数の雌端子のうち隣り合う2つの雌端子がエアバックの作動を制御するエアバック回路に接続されている。
【0004】
この隣り合う2つの雌端子は、第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合されていない状態で、第1ハウジングに収容された短絡端子の接触片と接触することにより、短絡端子を介して接続されている。
【0005】
このように第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合していない状態で、短絡端子を介して2つの雌端子同士を接続することにより、2つの雌端子間に電位差を生じることがなく、エアバックの誤爆を防止している。
【0006】
この2つの雌端子と短絡端子との接続は、第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することにより、第2ハウジングの解除片によって短絡端子の接触片が変位されて雌端子と接触片との接触が解除され、2つの雌端子と短絡端子との接続が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−73268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1のようなコネクタでは、第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合するときに、解除部によって短絡端子の接触片を変位させている。
【0009】
このようなコネクタでは、接触片の第1端子に対する接触荷重が大きい場合、第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合力が大きくなってしまうが、接触片の接触荷重を小さくすると、第1端子と短絡端子との接続信頼性が低下する恐れがあった。
【0010】
このため、上記特許文献1のコネクタでは、接触片の接触荷重を小さくし、接続信頼性を得るために第1端子と接触片との接触面に金めっきを形成させているが、金めっきは高価であり、高コスト化していた。
【0011】
そこで、この発明は、第1端子と短絡端子との接続信頼性を保持し、低コスト化することができるコネクタの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、複数の第1端子を収容した第1ハウジングと、前記第1端子に接続可能な複数の第2端子を収容して前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングと、前記第1ハウジングに収容され隣り合う前記第1端子とそれぞれ接触した接触片を有する短絡端子と、前記第2ハウジングに設けられ前記接触片を変位させて前記第1端子と前記接触片との接触を解除する解除部とを備えたコネクタであって、前記第1端子と前記接触片との接触面には、錫めっきが形成され、前記第2ハウジングには、前記解除部より前記第1ハウジング側に配置され前記接触片を互いに離間する方向、又は互いに近接する方向に向けて変位させて前記接触片を前記第1端子に摺動させる摺動部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このコネクタでは、第1端子と接触片との接触面に、錫めっきが形成されているので、金めっきより安価にすることができるが、第1端子と接触片との接触面に接触抵抗を増大させる酸化膜が形成される。
【0014】
この酸化膜は、第2ハウジングに、接触片を変位させて接触片を第1端子に摺動させる摺動部が設けられているので、摺動部による接触片と第1端子との摺動によって除去され、第1端子と接触片とを新生面で接触させることができる。
【0015】
従って、このようなコネクタでは、接触片の接触荷重を小さくし、第1端子と接触片との接触面に安価な錫めっきを形成させても、摺動部による接触片と第1端子との摺動によって酸化膜を除去でき、第1端子と短絡端子との接続信頼性を保持し、低コスト化することができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコネクタであって、前記摺動部は、前記短絡端子の前記接触片の間に位置されていることを特徴とする。
【0017】
このコネクタでは、摺動部が、短絡端子の接触片の間に位置されているので、1つの摺動部によって2つの接触片を変位させることができ、摺動部の大型化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1端子と短絡端子との接続信頼性を保持し、低コスト化することができるコネクタを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタの断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るコネクタの第1ハウジングの分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係るコネクタの第1ハウジングの断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るコネクタの第2ハウジングの分解斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係るコネクタの第2ハウジングの断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係るコネクタの第2ハウジングの斜視図である。
図7図6の要部拡大図である。
図8】(a)は本発明の実施の形態に係るコネクタの短絡端子の正面図である。(b)は本発明の実施の形態に係るコネクタの短絡端子の側面図である。
図9】本発明の実施の形態に係るコネクタの短絡端子の接触片の間に摺動部を挿入するときの断面図である。
図10】本発明の実施の形態に係るコネクタの短絡端子の接触片の間に摺動部を挿入したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図10を用いて本発明の実施の形態に係るコネクタについて説明する。
【0021】
本実施の形態に係るコネクタ1は、複数の第1端子3を収容した第1ハウジング5と、第1端子3に接続可能な複数の第2端子7を収容して第1ハウジング5に嵌合可能な第2ハウジング9と、第1ハウジング5に収容され隣り合う第1端子3,3とそれぞれ接触した接触片11,11を有する短絡端子13と、第2ハウジング9に設けられ接触片11を変位させて第1端子3と接触片11との接触を解除する解除部15とを備えている。
【0022】
そして、第1端子3と接触片11との接触面には、錫めっきが形成され、第2ハウジング9には、解除部15より第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合方向前側に配置され接触片11を変位させて接触片11を第1端子3に摺動させる摺動部17が設けられている。
【0023】
また、摺動部17は、短絡端子13の接触片11,11の間に位置されている。
【0024】
図1図10に示すように、複数の第1端子3は、それぞれタブ状の接続部を有する雄型端子からなり、エアバックの作動を制御するエアバック回路に接続された複数の電線19の端末部にそれぞれ電気的に接続されている。
【0025】
この複数の第1端子3は、第1ハウジング5に形成された開口から第1ハウジング5に挿入され、第1ハウジング5内に収容される。
【0026】
第1ハウジング5は、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、第1端子3を挿入させる開口と反対側に内部に第2ハウジング9を嵌合可能な第1嵌合部21が設けられ、この第1嵌合部21の底部側に第1端子3を収容する複数の第1端子収容室23が設けられている。
【0027】
この第1ハウジング5の複数の第1端子収容室23内には、それぞれ第1端子3を係止する第1係止ランス25が撓み可能に設けられ、この複数の第1端子収容室23に連通された孔部に第1スペーサ27を挿入することにより複数の第1端子3が二重係止される。
【0028】
このような第1ハウジング5内に収容された複数の第1端子3は、第1ハウジング5の第1嵌合部21に第2ハウジング9が嵌合することにより、第2ハウジング9に収容された複数の第2端子7に接続される。
【0029】
複数の第2端子7は、それぞれ第1端子3のタブ状の接続部を挿入可能な箱状の接続部を有する雌型端子からなり、電源や機器などに接続された複数の電線29の端末部にそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
この複数の第2端子7は、第2ハウジング9に形成された開口から第2ハウジング9に挿入され、第2ハウジング9内に収容される。
【0031】
第2ハウジング9は、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、第2端子7を挿入させる開口と反対側に第1ハウジング5の第1嵌合部21内に挿入可能な第2嵌合部31が設けられ、この第2嵌合部31の内部に第2端子7を収容する複数の第2端子収容室33が設けられている。
【0032】
この第2ハウジング9の複数の第2端子収容室33内には、それぞれ第2端子7を係止する第2係止ランス35が撓み可能に設けられ、この複数の第2端子収容室33に連通された孔部に第2スペーサ37を挿入することにより複数の第2端子7が二重係止される。
【0033】
ここで、第2ハウジング9の電線29の引出部側の外周には、第2ハウジング9に撓み可能な係止部39を介して仮係止位置(図5参照)にキャップハウジング41が組付けられている。
【0034】
このキャップハウジング41は、第1ハウジング5と第2ハウジング9とが半嵌合である場合、仮係止位置から移行することができず、第1ハウジング5と第2ハウジング9とが嵌合した場合、係止部39の係止位置が移行し、本係止位置(図1参照)に移行する。
【0035】
このようなキャップハウジング41の仮係止位置と本係止位置との移行により、第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合状態を検知することができる。
【0036】
このような第2ハウジング9は、第2嵌合部31が第1ハウジング5の第1嵌合部21と嵌合することにより、第1ハウジング5に収容された第1端子3と第2ハウジング9に収容された第2端子7とが電気的に接続される。
【0037】
ここで、メンテナンスなどによって、第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合を解除した状態では、エアバック回路に接続された第1ハウジング5に収容された複数の第1端子3の間に、静電気などによって電位差が生じるとエアバックが誤爆する恐れがあった。
【0038】
そこで、複数の第1端子3の間に電位差を生じなくさせるために、複数の第1端子3のうち隣り合う2つの第1端子3,3を電気的に接続する複数の短絡端子13が第1ハウジング5に収容されている。
【0039】
複数の短絡端子13は、それぞれプレス加工や折り曲げ加工を施された1枚の導電性材料からなり、端部に弾性変形可能な2つの接触片11,11を有している。
【0040】
この接触片11は、上下方向、左右方向のいずれの方向にも弾性変形可能に設けられ、自由端側に、第1ハウジング5内に収容された状態で第1端子3に向けて突出された接点部45が設けられている。
【0041】
この接点部45は、隣り合う2つの第1端子3,3の外周面に接触片11の所定の付勢力によって接触され、隣り合う2つの第1端子3,3が短絡端子13を介して電気的に接続された状態となる。
【0042】
このように短絡端子13を介して2つの第1端子3,3の間を電気的に接続することにより、2つの第1端子3,3の間に電位差が生じることがなく、エアバックの誤爆を防止することができる。
【0043】
このような短絡端子13の接触片11は、第1ハウジング5と第2ハウジング9とが嵌合された状態で、第2ハウジング9に設けられた解除部15によって変位され、接点部45と第1端子3との接触が解除された状態となる。
【0044】
解除部15は、第2ハウジング9の第1ハウジング5との嵌合方向の前側に配置されると共に、第2ハウジング9が第1ハウジング5と嵌合するときに第1ハウジング5に収容された複数の短絡端子13の接触片11と当接可能な位置に配置され、第2ハウジング9と連続する一部材で複数形成されている。
【0045】
この解除部15は、第1ハウジング5側の先端側に、第1ハウジング5側から第2ハウジング9側に向けて上り傾斜となる傾斜面を有している。
【0046】
このような解除部15は、第1ハウジング5と第2ハウジング9とが嵌合するときに、先端が短絡端子13の接触片11の自由端側に当接し、第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合が進むと、接触片11の自由端側が傾斜面に沿って摺動し、接触片11が上方に向けて変位される。
【0047】
この解除部15による接触片11の変位により、接触片11の接点部45と第1端子3との接触が解除され、隣り合う第1端子3,3の間の電気的な接続が解除され、第1ハウジング5と第2ハウジング9とが嵌合すると、第1端子3と第2端子7とが電気的に接続される。
【0048】
このようなコネクタ1において、第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合力を低減させるために、短絡端子13の接触片11の付勢力が低減されており、製造コストを低減するために、第1端子3と短絡端子13の接触片11との接触面に、金めっきよりも安価な錫めっきが形成されている。
【0049】
しかしながら、錫めっきは、金めっきよりも安価ではあるが、表面に酸化膜が形成されてしまい、第1端子3と接触片11との接触抵抗が増大して接続信頼性が低下する恐れがあった。
【0050】
そこで、錫めっきの表面に形成された酸化膜を除去するために、第2ハウジング9には、摺動部17が設けられている。
【0051】
摺動部17は、第2ハウジング9と連続する一部材で第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合方向に沿ってリブ状に設けられ、第1ハウジング5側の先端が解除部15より嵌合方向前側に配置されている。
【0052】
この摺動部17は、第1ハウジング5側の先端に先細りとなるテーパ面が設けられ、第1ハウジング5に収容された複数の短絡端子13の接触片11,11の間にそれぞれ位置するように複数配置されている。
【0053】
このような摺動部17は、第1ハウジング5と第2ハウジング9とが嵌合するときに、図9図10に示すように、短絡端子13の2つの接触片11,11の間に挿入され、両側に位置する接触片11,11と摺動しながら接触片11,11を互いに離間する方向に向けて変位させる。
【0054】
このとき、摺動部17は、解除部15より嵌合方向前側に配置されているので、短絡端子13の接触片11,11が解除部15によって上方に向けて変位されておらず、接触片11,11の接点部45,45が第1端子3,3に接触した状態となっている。
【0055】
この状態から解除部15によって接触片11が上方に向けて変位され、第1ハウジング5と第2ハウジング9とが嵌合した状態では、接触片11の接点部45と第1端子3との接触が解除された状態となる。
【0056】
この第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合状態から、メンテナンスなどによって、第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合を解除すると、解除部15と接触片11との摺動が終了して接触片11が下方に向けて復元し、接触片11の接点部45が第1端子3に接触される。
【0057】
そして、さらに第1ハウジング5と第2ハウジング9との嵌合解除を進めると、短絡端子13の接触片11,11の間から摺動部17が抜け出し、接触片11,11が互いに近接する方向に向けて復元するように変位する。
【0058】
この接触片11,11の変位により、接触片11,11の接点部45,45が第1端子3,3との接触面を摺動し、接点部45と第1端子3との接触面に形成された酸化膜を除去することができる。
【0059】
このように摺動部17によって接触片11の接点部45を第1端子3に摺動させて酸化膜を除去することにより、接触片11の接点部45と第1端子3とが錫めっきの新生面で接触することができ、第1端子3と短絡端子13との接続信頼性を保持することができる。
【0060】
このようなコネクタ1では、第1端子3と接触片11との接触面に、錫めっきが形成されているので、金めっきより安価にすることができるが、第1端子3と接触片11との接触面に接触抵抗を増大させる酸化膜が形成される。
【0061】
この酸化膜は、第2ハウジング9に、接触片11を変位させて接触片11を第1端子3に摺動させる摺動部17が設けられているので、摺動部17による接触片11と第1端子3との摺動によって除去され、第1端子3と接触片11とを新生面で接触させることができる。
【0062】
従って、このようなコネクタ1では、接触片11の接触荷重を小さくし、第1端子3と接触片11との接触面に安価な錫めっきを形成させても、摺動部17による接触片11と第1端子3との摺動によって酸化膜を除去でき、第1端子3と短絡端子13との接続信頼性を保持し、低コスト化することができる。
【0063】
また、摺動部17は、短絡端子13の接触片11,11の間に位置されているので、1つの摺動部17によって2つの接触片11,11を変位させることができ、摺動部17の大型化を抑制することができる。
【0064】
なお、本発明の実施の形態に係るコネクタでは、摺動部を短絡端子の接触片の間に位置させて1つの摺動部で2つの接触片を変位させているが、これに限らず、2つの摺動部を短絡端子の2つの接触片に対してそれぞれ設けてもよい。
【0065】
また、解除部は、短絡端子の接触片を第1端子から離れる方向に変位させる機能のみを有しているが、これに限らず、例えば、解除部の表面に複数の凹凸部を設け、第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合解除の際に、接触片と第1端子との接触面に摺動して接触面に形成された酸化膜を除去する機能を解除部が有してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…コネクタ
3…第1端子
5…第1ハウジング
7…第2端子
9…第2ハウジング
11…接触片
13…短絡端子
15…解除部
17…摺動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10