特許第6427164号(P6427164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427164カリウムイオンチャネル阻害剤としてのフタラジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427164
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】カリウムイオンチャネル阻害剤としてのフタラジン
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20181112BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20181112BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20181112BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20181112BHJP
   C07F 9/6558 20060101ALI20181112BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   C07D401/04
   A61P9/06
   A61P9/00
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   C07D401/14CSP
   A61K31/502
   A61K31/664
   C07D403/04
   A61K31/506
   C07F9/6558
   C07D405/14
【請求項の数】6
【全頁数】93
(21)【出願番号】特願2016-500926(P2016-500926)
(86)(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公表番号】特表2016-514129(P2016-514129A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】US2014022252
(87)【国際公開番号】WO2014143608
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/775,748
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/200,063
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】ヘザー・フィンレイ
(72)【発明者】
【氏名】アショク・クマール・アディセチャン
(72)【発明者】
【氏名】プラシャンタ・グナガ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ロイド
(72)【発明者】
【氏名】ポトゥカヌリ・スリニバス
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−503875(JP,A)
【文献】 特表2007−506743(JP,A)
【文献】 特表2008−540666(JP,A)
【文献】 特表2008−533087(JP,A)
【文献】 特表2006−522119(JP,A)
【文献】 特表2004−527459(JP,A)
【文献】 特表2008−517933(JP,A)
【文献】 Ding, Sheng et al.,A combinatorial scaffold approach toward kinase-directed heterocycle libraries,Journal of the American Chemical Society,2002年,vol.124 no.8,pp.1594-1596
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中:
Aは−(CH−R、−CH(R26)−R、または−C(R26−Rであり;

【化2】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよく;
は、フェニルまたはピリミジニルであり、そのいずれも0−2個のR2aで置換され;
2aは、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、またはハロC1−10アルキルであり;
は、フェニルであり、それは0−1個のR3aで置換されてもよく;
3aは、ハロであり;
13は、各々独立して H、−OH、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロC1−10アルキル、−NR14SO14、−CONR1414、−SONR1414、−NR14COR14、−NR14CO14、−CO14、−NR1414、または−NR14CONR1414であり、ここで該アルキルは0−2個のR14aで置換されてもよく;または
13は、SONHP(O)(OH)であり;
14は、各々、水素、C1−10アルキル、またはC6−10アリールより独立して選択され、ここで該アルキルまたはアリールは0−3個のR14aで置換されてもよく、
14aは、各々、−NR24SO24より独立して選択され;
24は、各々、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより独立して選択され
26は、各々、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより独立して選択され;
mは1または2である
で示される化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、または塩。
【請求項2】
以下
【化3】

【化4】
【化5】

に示される化合物より選択される化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマーまたは塩。
【請求項3】
請求項1または2に記載の少なくとも1つの化合物を治療上有効量にて含む医薬組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの別の治療薬をさらに含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
不整脈を治療するための請求項3または4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
心拍数を制御するための請求項3または4に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容がそのまま本明細書に組み込まれる、2014年3月7日付け出願の米国非仮出願番号14/200,063および米国仮出願番号61/775,748の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明はカリウムチャネル機能の阻害剤(特に電位開口型KチャネルのK1サブファミリーの阻害剤、より具体的には(超迅速活性化遅延整流性K電流(IKur)と関連付けられる)K1.5の阻害剤、および/またはK1.3チャネル、および/またはK1.1チャネルの阻害剤)として有用なフタラジン、ならびにかかる化合物を含有する医薬組成物を提供する。本発明はさらには、かかる化合物を用いて、不整脈、IKur関連障害、およびイオンチャネル機能が介在する他の障害の治療および予防する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
超迅速活性化遅延整流性K電流(IKur)は、K1.5と称される、ヒト心房に存在するが、ヒト心室には不在であるような、クローン化カリウムチャネルのネイティブカウンターパートを代表すると考えられる。その上、その活性化が迅速であり、不活性化が遅く限定されるため、IKurはヒト心房における再分極に大いに貢献していると考えられる。その結果、K1.5を遮断する化合物である、IKurの特異的遮断剤は、脱分極後に不整脈を生じさせる心室性再分極の遅れと、現行のクラスIII抗不整脈剤で治療する間に観察される後天性QT延長症候群とを生じさせることなく、ヒト心房における再分極を遅らせることで不応期を長くすることによって他の化合物の欠点を克服するであろう。(クラスIII抗不整脈剤は有意な心抑制なしで活動電位の持続期間を選択的に延長させる薬物である。)
【0004】
免疫調節異常は、全身性紅斑性狼瘡、慢性 関節リウマチ、I型およびII型糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、多発性硬化症、ならびにクローン病、潰瘍性大腸炎、水疱類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、先天性魚鱗癬、グレーブス眼症および喘息などの他の障害を含む、多種多様な自己免疫および慢性炎症疾患に存することが明らかにされた。これらの症状は、その各々で、基礎となる発症機序が異なるかもしれないが、種々の自己抗体および自己反応性リンパ球が存在することで共通している。かかる自己反応性は、一部には、恒常性コントロールを失い、正常な免疫系の機能を下回ったことに起因するかもしれない。同様に、リンパ球が、骨髄または臓器移植後に、外部組織を抗原と認識し、移植片拒絶反応または対宿主移植片拒絶反応に至る免疫メディエータを産生し始める。
【0005】
自己免疫または拒絶反応工程の一の最終結果が、炎症細胞と、炎症細胞が放出するメディエータとにより惹起される組織破壊である。NSAIDなどの抗炎症剤は、主に、これらメディエータの作用または分泌を遮断することで作用するものであり、何ら該疾患の免疫学的原理を修飾するものではない。他方、シクロホスファミドなどの細胞毒性剤は、正常な応答および自己免疫応答の両方をシャットオフするなどの非特異的手段で作用する。事実、かかる非特異的免疫抑制剤で治療される患者は、自身の自己免疫疾患に屈するのと同様に、感染に屈する可能性がある。
【0006】
1983年にUS FDAで承認されたサイクロスポリンAは、近年、臓器移植の拒絶反応を妨げるのに使用されるリーディング薬物である。1993年に、FK−506(PROGRAF(登録商標))が肝移植における拒絶反応を防止するとUS FDAによって承認された。サイクロスポリンAおよびFK−506は、移植体の外部蛋白を拒絶するために体内免疫系が莫大なアーセナルの天然の保護剤を動員することを妨げることで作用する。1994年に、US FDAが、サイクロスポリンAによる重度の乾癬の治療について承認し、欧州規制局がアトピー性皮膚炎の治療について承認した。これらの薬物は移植体の拒絶反応と戦うのに効果的であるが、サイクロスポリンAおよびFK−506は、腎毒性、神経毒性および胃腸の不快感を含む、いくつかの副作用を惹起することが分かっている。従って、これらの副作用のない選択的免疫抑制剤は未だ開発の途中である。例えば、K1.3の阻害剤は免疫抑制剤であるから、本発明のカリウムチャネル阻害剤はこの問題の解決手段である可能性がある。Wulffら、「Potassium channels as therapeutic targets for autoimmune disorders」, Curr. Opin. Drug Discov. Devel., 6 (5) :640-647(Sep. 2003);Shahら、「Immunosuppressive effects of a Kv1.3 inhibitor」、Cell Immunol., 221 (2) :100-106(Feb. 2003);Hansonら、「UK-78,282, a novel piperidine compound that potently blocks the Kv1.3 voltage-gated potassium channel and inhibits human T cell activation」, Br. J. Pharmacol., 126 (8):1707-1716 (Apr. 1999)を参照のこと。
【0007】
1.5および他のK1.xチャネルの阻害剤は、胃腸運動を刺激する。かくして、本発明の化合物は、逆流性食道炎などの運動障害の治療に有用であると考えられる。Freyら、「Blocking of cloned and native delayed rectifier K channels from visceral smooth muscles by phencyclidine」, Neurogastroenterol. Motil., 12 (6):509-516 (Dec. 2000);Hattonら、「Functional and molecular expression of a voltage-dependent K(+) channel(Kv1.1) in interstitial cells of Cajal」, J. Physiol., 533 (Pt2),:315-327 (Jun. 1, 2001);Vianna-Jorgeら、「Shaker-type Kv1 channel blockers increase the peristaltic activity of guinea-pig ileum by stimulating acetylcholine and tachykinins release by the enteric nervous system」, Br. J. Pharmacol., 138 (1):57-62 (Jan. 2003);Kohら、「Contribution of delayed rectifier potassium currents to the electrical activity of murine colonic smooth muscle」、J. Physiol., 515 (Pt. 2):475−487 (Mar. 1, 1999)を参照のこと。
【0008】
1.5の阻害剤は肺動脈平滑筋を弛緩させる。かくして、本発明の化合物は高血圧の治療に、他に血管の健康状態を改善するのに有用であると考えらえる。Daviesら、「Kv channel subunit expression in rat pulmonary arteries」, Lung, 179 (3):147-161 (2001), Epub. Feb. 4, 2002;Pozegら、「In vivo gene transfer of the O2-sensitive potassium channel Kv1.5 reduces pulmonary hypertension and restores hypoxic pulmonary vasoconstriction in chronically hypoxic rats」, Circulation, 107 (15):2037-2044 (Apr. 22, 2003) Epub. Apr. 14, 2003を参照のこと。
【0009】
1.3の阻害剤はインスリン感受性を増大させる。かくして、本発明の化合物は糖尿病の治療に有用であると考えられる。Xuら、「The voltage-gated potassium channel Kv1.3 regulates peripheral insulin sensitivity」, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 101 (9):3112-3117 (Mar. 2, 2004), Epub. Feb. 23, 2004;MacDonaldら、「Members of the Kv1 and Kv2 voltage-dependent K(+) channel families regulate insulin secretion」, Mol. Endocrinol., 15 (8):1423-1435 (Aug. 2001);MacDonaldら、「Voltage-dependent K (+) channels in pancreatic beta cells : role, regulation and potential as therapeutic targets」, Diabetologia, 46 (8):1046-1062 (Aug. 2003), Epub. Jun. 27, 2003を参照のこと。
【0010】
1.1の刺激はニューロンを過分極させることで発作活動を減少させると考えられる。かくして、本発明の化合物は、てんかんおよび他の神経系疾患に付随する発作を含む、発作の治療に有用であると考えられる。Rhoら、「Developmental seizure susceptibility of kv1.1 potassium channel knockout mice」, Dev. Neurosci., 21 (3-5):320-327 (Nov. 1999);Colemanら、「Subunit composition of Kv1 channels in human CNS」, J. Neurochem., 73 (2):849-858 (Aug. 1999);Lopantsevら、「Hyperexcitability of CA3 pyramidal cells in mice lacking the potassium channel subunit Kv1.1」, Epilepsia, 44(12):1506-1512(Dec. 2003);Wickenden, 「potassium channels as anti-epileptic drug targets」, Neuropharmacology, 43(7):1055-1060(Dec. 2002)を参照のこと。
【0011】
1.xチャネルの阻害は動物実験において認識力を改善する。かくして、本発明の化合物は、認識力の改善および/または認知障害の治療に有用であると考えられる。Cochranら、「Regionally selective alterations in local cerebral glucose utilization evoked by charybdotoxin, a blocker of central voltage-activated K+-channels」, Eur. J. Neurosci., 14(9):1455-1463(Nov. 2001);Kourrichら、「Kaliotoxin, a Kv1.1 and Kv1.3 channel blocker, improves associative learning in rats」, Behav. BrainRes., 120(1):35-46(Apr. 8, 2001)を参照のこと。
【発明の概要】
【0012】
本発明によれば、一般的な構造式(I):
【化1】
[式中、A、R、R、およびR24は下記に定義されるとおりである]
で示される化合物および関連する化合物が提供される。
【0013】
本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を個々に効果的な量で使用することで、不整脈、心房細動、心房粗動、上室性不整脈、胃腸障害(逆流性食道炎または運動障害など)、炎症性または免疫学的疾患(慢性閉塞性肺疾患など)、糖尿病、認知障害、片頭痛、てんかん、高血圧症を治療(改善を含む)するか、その危険を減らすか、または防止する方法、IKur関連症状を治療する方法、あるいは心拍数を調整する方法が提供される。
【0014】
治療上有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物、および医薬的に許容されるベヒクルまたは担体を含む医薬組成物も提供される。かかる組成物は1または複数の別の薬剤をさらに含み得る。例えば、少なくとも1つの別の抗不整脈剤(ソタロール、ドフェチリド、ジルチアゼムまたはベラパミルなど)、または少なくとも1つのカルシウムチャンネルブロッカー、または少なくとも1つの抗血小板薬(クロピドグレル、カングレロール(cangrelor)、チクロピジン、CS−747、イフェトロバンおよびアスピリンなど)、または少なくとも1つの抗高血圧剤(ベータアドレナリン作動性遮断剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、チラゾプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、またはリシノプリル)、AIIアンタゴニスト、ETアンタゴニスト、デュアルET/AIIアンタゴニスト、またはバソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(例えば、オマパトリラトまたはゲモパトリラット)など)、または少なくとも1つの抗血栓/抗血栓溶解剤(tPA、組換えtPA、TNK、nPA、VIIa因子阻害剤、Xa因子阻害剤(アピキサバン)、XIa因子阻害剤またはトロンビン阻害剤など)、または少なくとも1つの抗凝血剤(ワルファリンまたはヘパリンなど)、または少なくとも1つのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤(プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104またはZD−4522)、または少なくとも1つの抗糖尿病剤(ビグアナイドまたはビグアナイド/グリブリドの併用など)、または少なくとも1つの甲状腺模倣剤、または少なくとも1つの鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト(スピロノラクトンまたはエプレリノンなど)、または少なくとも1つの強心性配糖体(ジギタリスまたはウワバインなど)が挙げられる。
【0015】
別の態様において、本発明は、カリウムチャネル機能の阻害剤(特に、電位開口型KチャネルのK1サブファミリーの阻害剤、より具体的にはK1.5(極めて迅速に活性化する遅延整流型K電流IKurと関連付けられるチャネル)の阻害剤、および/またはK1.3チャネル、および/またはK1.1チャネルの阻害剤)によって調整されるか、あるいはそうではなく影響を受ける疾患または障害の症状を治療、阻害または改善する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効量の本発明の化合物あるいはその個々の異性体もしくは異性体の混合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法を対象とする。
【0016】
別の態様において、本発明は、不整脈を治療、阻害または改善するか、あるいは洞リズムを正常に維持する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効量の本発明の化合物あるいはその個々の異性体もしくは異性体の混合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法を対象とする。
【0017】
別の態様において、本発明は、心拍数を調整する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効量の本発明の化合物あるいはその個々の異性体もしくは異性体の混合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法を対象とする。
【0018】
定義
「アルク」または「アルキル」なる語は、1〜12個の炭素原子、あるいはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはこれらのいずれかのサブセットなどの1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、または1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。「置換アルキル」なる語は、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、カルボシクロ、置換カルボシクロ、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ(所望により置換されてもよいアルコキシ)、アリールオキシ(所望により置換されてもよいアリールオキシ)、アルキルエステル(所望により置換されてもよいアルキルエステル)、アリールエステル(所望により置換されてもよいアリールエステル)、アルカノイル(所望により置換されてもよいアルカノイル)、アリオール(aryol)(所望により置換されてもよいアリオール)、シアノ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、アミド、ラクタム、尿素、ウレタンまたはスルホニルより、あるいはこれらのいずれかのサブセットより選択されるような1または複数の基で(例えば、R10の定義で上記される基によって)置換されるアルキル基をいう。
【0019】
「アルケニル」なる語は、2〜12個の炭素原子、または2〜4個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素の二重結合(シスまたはトランスのいずれか)を有する、エテニルなどの直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。「置換アルケニル」なる語は、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、カルボシクロ、置換カルボシクロ、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ(所望により置換されてもよいアルコキシ)、アリールオキシ(所望により置換されてもよいアリールオキシ)、アルキルエステル(所望により置換されてもよいアルキルエステル)、アリールエステル(所望により置換されてもよいアリールエステル)、アルカノイル(所望により置換されてもよいアルカノイル)、アリオール(所望により置換されてもよいアリオール)、シアノ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、アミド、ラクタム、尿素、ウレタンまたはスルホニルより、あるいはこれらのいずれかのサブセットより選択されるような1または複数の基で(例えば、R10の定義で上記される基によって)置換されるアルケニル基をいう。
【0020】
「アルキニル」なる語は、2〜12個の炭素原子、または2〜4個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素の三重結合を有する、エチニルなどの直鎖または分岐鎖の炭化水素基をいう。「置換アルキニル」なる語は、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、カルボシクロ、置換カルボシクロ、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ(所望により置換されてもよいアルコキシ)、アリールオキシ(所望により置換されてもよいアリールオキシ)、アルキルエステル(所望により置換されてもよいアルキルエステル)、アリールエステル(所望により置換されてもよいアリールエステル)、アルカノイル(所望により置換されてもよいアルカノイル)、アリオール(所望により置換されてもよいアリオール)、シアノ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、アミド、ラクタム、尿素、ウレタンまたはスルホニルより、あるいはこれらのいずれかのサブセットより選択されるような1または複数の基で(例えば、R10の定義で上記される基によって)置換されるアルキニル基をいう。
【0021】
「アリール」なる語は、フェニル、ナフチルおよびビフェニルなどの、6〜12個の構成員を有するなどの芳香族同素環状(すなわち、炭化水素)の単環、二環または三環式環を含有する基をいう。フェニルはアリール基の一例である。「置換アリール」なる語は、アルキル、置換アルキル、アルケニル(所望により置換されてもよいアルケニル)、アリール(所望により置換されてもよいアリール)、ヘテロシクロ(所望により置換されてもよいヘテロシクロ)、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ(所望により置換されてもよいアルコキシ)、アリールオキシ(所望により置換されてもよいアリールオキシ)、アルカノイル(所望により置換されてもよいアルカノイル)、アロイル(所望により置換されてもよいアロイル)、アルキルエステル(所望により置換されてもよいアルキルエステル)、アリールエステル(所望により置換されてもよいアリールエステル)、シアノ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、アミド、ラクタム、尿素、ウレタンまたはスルホニル、あるいはこれらのいずれかのサブセットより選択されるような1または複数の基で(例えば、R10の定義で上記される基によって)置換されるアリール基をいい、ここで必要とあれば1または複数の置換基の対はそれらの結合する原子と一緒になって3ないし7員の環を形成してもよい。
【0022】
「シクロアルキル」なる語は、3〜15個の炭素原子を有する単環、二環または三環の同素環式環基であって、その各々が、完全に飽和しており、一部が不飽和である、環基をいう。多環式シクロアルキル基の環は縮合しても、架橋しても、および/または1または複数のスピロ結合を介して接合してもよい。「置換シクロアルキル」なる語は、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、カルボシクロ、置換カルボシクロ、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ(所望により置換されてもよいアルコキシ)、アリールオキシ(所望により置換されてもよいアリールオキシ)、アルキルエステル(所望により置換されてもよいアルキルエステル)、アリールエステル(所望により置換されてもよいアリールエステル)、アルカノイル(所望により置換されてもよいアルカノイル)、アリオール(所望により置換されてもよいアリオール)、シアノ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、アミド、ラクタム、尿素、ウレタンまたはスルホニル、あるいはこれらのいずれかのサブセットより選択されるような1または複数の基で(例えば、R10の定義で上記される基によって)置換されるシクロアルキル基をいう。
【0023】
「ハロゲン」または「ハロ」なる語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
【0024】
「ハロアルキル」なる語は、1または複数のハロゲン(最大ペルハロ)で置換された特定数の炭素原子を有する、分岐した、および直鎖の両方の飽和脂肪酸炭化水素基(ペルハロアルキル(あらゆる水素原子がハロゲンで置換されているアルキル)を含む)、例えば、CFを包含するものとする。
【0025】
「ヘテロサイクル」、「ヘテロ環」、「ヘテロ環基」または「ヘテロシクロ」なる語は、完全に飽和しているか、あるいは一部にてまたは完全に不飽和である(芳香族(「ヘテロアリール」)または非芳香族の)環状基(例えば、3〜13個の環構成員の単環式、7〜17個の環構成員の二環式、または10〜20個の環構成員の三環式環系、例えば、ある実施態様において、合計で3〜10個の環原子を含有する単環式または二環式環)であって、少なくとも1個の炭素原子を含有する環において少なくとも1個のヘテロ原子を有する環状基をいう。ヘテロ原子を含有するヘテロ環基の各環は、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有してもよく、ここでその窒素および硫黄のヘテロ原子は、所望により、酸化されてもよく、窒素のヘテロ原子は所望により四級化されてもよい。ヘテロ環基は、環または環系のヘテロ原子または炭素原子のいずれで結合してもよい。多環式ヘテロ環の環は縮合しても、架橋しても、および/または1または複数のスピロ結合を介して接合してもよい。
【0026】
典型的な単環式ヘテロ環基として、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾイル、トリアゾリル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、
【化2】
等が挙げられる。
【0027】
典型的な二環式ヘテロ環基として、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニルなど)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニルなど)、テトラヒドロキノリニル、アザビシクロアルキル(6−アザビシクロ[3.2.1]オクタンなど)、アザスピロアルキル(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカンなど)、イミダゾピリジニル(イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イルなど)、トリアゾロピリジニル(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルなど)、およびヘキサヒドロイミダゾピリジニル(1,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イルなど)、
【化3】
等が挙げられる。
【0028】
典型的な三環式ヘテロ環基として、カルバゾリル、ベンゾインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニル等が挙げられる。
【0029】
「置換ヘテロサイクル」、「置換ヘテロ環」、「置換ヘテロ環基」および「置換ヘテロシクロ」なる語は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、オキソ、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、カルボシクロ(所望により置換されてもよいカルボシクロ)、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ(所望により置換されてもよいアルコキシ)、アリールオキシ(所望により置換されてもよいアリールオキシ)、アルカノイル(所望により置換されてもよいアルカノイル)、アロイル(所望により置換されてもよいアロイル)、アルキルエステル(所望により置換されてもよいアルキルエステル)、アリールエステル(所望により置換されてもよいアリールエステル)、シアノ、ニトロ、アミド、アミノ、置換アミノ、ラクタム、尿素、ウレタン、スルホニル、あるいはこれらのいずれかのサブセットより選択されるような1または複数の基で(例えば、R10の定義で上記される基によって)置換されるヘテロサイクル、ヘテロ環およびヘテロシクロ基をいい、ここで必要とあれば1または複数の置換基の対はそれらの結合する原子と一緒になって3ないし7員の環を形成してもよい。
【0030】
「アルカノイル」なる語は、カルボニル基に連結したアルキル基(上記のように所望により置換されてもよい)(すなわち、−C(O)−アルキル)をいう。同様に、「アロイル」なる語は、カルボニル基に連結したアリール基(上記のように所望により置換されてもよい)(すなわち、−C(O)−アリール)をいう。
【0031】
明細書を通して、基およびその置換基は、安定した部分および化合物を提供するように選択されてもよい。
【0032】
本明細書に記載の化合物は、本発明の範囲内でもある、塩または溶媒和物を形成してもよい。本明細書に記載の化合物への言及は、特記されない限り、その塩への言及を含むものと解される。本明細書で使用される「塩」なる語は、無機および/または有機酸ならびに塩基とで形成される酸性および/または塩基性塩を意味する。加えて、本明細書に記載の化合物が塩基性の部分と酸性の部分の両方を含有する場合、両性イオン(「分子内塩」)が形成されてもよく、本明細書にて使用される「塩」なる語に含まれる。一の実施態様において、当該塩は医薬的に許容される(すなわち、非毒性で、生理学的に許容される)が、その他の塩も、例えば、調製の間に利用され得る単離または精製工程において有用である。本明細書に記載の化合物の塩は、一の化合物を、塩が沈殿する溶媒中、対応量などの一定量の酸または塩基と反応させるか、あるいは水性媒体中で反応させ、続いて凍結乾燥することで形成されてもよい。
【0033】
本発明は、その中性状態にある化合物、それらの化合物の塩、あるいは中性状態にある化合物と1または複数の塩の形態の化合物の混合物、あるいは塩の形態の化合物の混合物を包含するものとする。
【0034】
塩基性の部分を含有する本明細書に記載の化合物は、種々の有機および無機酸と塩を形成し得る。典型的な酸付加塩として、酢酸塩(酢酸またはトリハロ酢酸、例えば、トリフルオロ酢酸で形成される塩など)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩(塩化水素酸で形成される塩)、臭化水素酸塩(臭化水素で形成される塩)、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩(マレイン酸で形成される塩)、メタンスルホン酸塩(メタンスルホン酸で形成される塩)、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(硫酸で形成される塩など)、スルホン酸塩(上記される塩など)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トリラートなどのトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩等が挙げられる。
【0035】
酸性の部分を含有する本明細書に記載の化合物は、種々の有機および無機塩基と塩と形成し得る。典型的な塩基性塩として、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム、リチウムおよびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウム塩、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンで形成されるアミン)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、およびアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩等が挙げられる。
【0036】
塩基性窒素を含有する基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化、臭化またはヨウ化メチル、エチル、プロピルまたはブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルまたはジアミル)、長鎖ハライド(例えば、塩化、臭化またはヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルまたはステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルまたはフェネチル)等などの試薬で四級化されてもよい。
【0037】
インビボにて変換されて生物活性な薬剤(すなわち、式(I)の化合物)を提供しうるいずれの化合物も、本発明の範囲および精神に含まれるプロドラッグである。
【0038】
本明細書で使用される「プロドラッグ」なる語は、式(I)の化合物の1または複数のヒドロキシル基を、アセタート、ピバラ−ト、メチルカルボナート、ベンゾアート等を生成するのに当業者に公知の操作を利用して、アルキル、アルコキシ、またはアリール置換のアシル化剤と反応させることで形成されるエステルまたはカルボナートを包含する。
【0039】
種々の形態のプロドラッグが当該分野にて周知であり、それらは、以下の文献:
a)Wermuth, C.G.ら、The Practice of Medicinal Chemistry, Chapter 31, Academic Press (1996);
b)Design of prodrugs, H, Bundgaard編、Elsevier (1985);
c)Bundgaard, H.、Chapter 5, 「Design and Application of Prodrugs」、Krosgaard-Larsen, P.ら編、A Textbook of Drug Design and Development、pp.113-191、Harwood Academic Publishers (1991);および
d)Testa, B.ら、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism, Wiley-VCH (2003)
に記載される。
【0040】
「医薬的に許容される」なる語は、正当な医学的判断の範囲内にて、合理的な利益/危険の割合に見合うか、さもなければヒトまたは家畜動物における使用にて許容されると米国食品医薬品局で承認されているもので、過度の毒性、刺激、アレルギー応答あるいは他の問題または合併症がなく、ヒトおよび動物の組織との接触に適する、化合物、物質、組成物および/または剤形についていう。
【0041】
本明細書に記載の種々の化合物あるいはその医薬的に許容される塩は1または複数の不斉中心を有してもよく、かくしてエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体などの異性体が得られるかもしれない。かかる形態は、絶対立体化学の立場から、(R)−または(S)−として、あるいはアミノ酸についての(D)−または(L)−として定義されてもよい。本発明は、かかる可能性のある個々の立体異性体およびその混合物(そのラセミ体ならびに光学的に純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーを含む)を包含するものとする。該化合物は、ラセミ体として調製されてもよく、都合よくは、そのままで、または光学活性な(+)および(−)、(R)−および(S)−、もしくは(D)−および(L)−異性体で使用することができ、あるいはキラルシントンまたはキラル試薬を用いて対応するジアステレオマーを調製するか、またはキラルクロマトグラフィーまたは逆相HPLCなどの慣用的操作を用いてラセミ混合物より分割されてもよい。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または幾何非対称の他の中心を有する場合、特に断りがなければ、該化合物はEおよびZの両方の幾何異性体を包含するものとする。
【0042】
本発明はまた、同位体標識された本発明の化合物(1または複数の原子が、原子番号は同じであるが、原子量または質量数が自然界で一般に認められる原子量または質量数と異なる原子と置き換えられている化合物)を包含する。本発明の化合物に含めるのに適する同位体の例として、HまたはDおよびHまたはTなどの水素の同位体、11C、13C、および14Cなどの炭素の同位体、36Clなどの塩素の同位体、18Fなどのフッ素の同位体、123Iおよび125Iなどのヨウ素の同位体、13Nおよび15Nなどの窒素の同位体、15O、17Oおよび18Oなどの酸素の同位体、32Pなどのリンの同位体、および35Sなどの硫黄の同位体が挙げられる。本発明の特定の同位体標識された化合物、例えば放射性同位元素を組み込んだ化合物は、薬物および/または基質の組織分布の実験において有用である。放射性同位元素トリチウム、H、および炭素−14、14Cが、その組み込みの容易性および便利な検出手段の観点から、この目的のために特に有用である。重水素、HまたはDなどの重い同位元素と置き換えることで、結果として代謝安定性が大きくなる、例えばインビボにおける半減期が増大するか、または必要とされる投与量が減るという特定の治療上の利点を得ることができ、かくしてある環境においては好ましいかもしれない。11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出性同位元素での置き換えは、基質受容体占有率を試験するための陽電子放出断層撮影(PET)実験で有用でありうる。
【0043】
本明細書に記載の化合物およびその塩がその互変異性体にて存在し得る限りでは、かかるすべての互変異性体は本発明の一部を形成するものとする。
【0044】
種々の置換基にある不斉炭素のために存在しうる異性体(エナンチオマー(不斉炭素がなくても存在しうる)およびジアステレオマー)などの、本発明の化合物のすべての立体異性体は本発明の範囲内にあるものとする。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないものであってもよく、あるいは例えば、ラセミ体として、または他のあらゆる、もしくは他の選択された立体異性体と混合するものであってもよい。
【0045】
「安定した化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物から単離して有用な純度とし、有効な治療薬に処方しても残存するのに十分に頑丈である化合物をいうものとする。本発明は安定した化合物を含むものとする。
【0046】
「治療上有効量」なる語は、対象に投与した場合に、本明細書に記載の疾患または障害に対する治療を行うのに十分な化合物の量をいう。「治療上有効量」を構成する化合物の量は、その化合物、障害およびその重度、ならびに治療される対象の年齢に応じて変化するであろうが、当業者が慣用的に決定しうる。
【0047】
いずれかの可変基(例えば、R13)が一の化合物のいずれかの構成要素または基にて1回より多く存在する場合、その定義は、各々、その他の定義から独立する。よって、例えば、一の基が0〜2個のR13で置換されて示されているとした場合、該基は2個までのR13基で所望により置換されてもよく、R13は、各々、R13の定義より独立して選択される。また、置換基および/または可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定した化合物をもたらす場合にのみ許容可能である。
【0048】
本明細書にて使用される「治療する」または「治療」なる語は、本明細書に記載の疾患または障害の治療、予防、および/または危険性の減少に、あるいはヒトなどの対象における疾患または障害の症状の治療、予防、および/または危険性の減少にまで及び、次の事象:
i. 疾患または障害の阻害、すなわち、その進行を止めること;または
ii. 疾患または障害の寛解、すなわち、障害の退行を生じさせること
を包含する。
【0049】
「対象」なる語は、本明細書に記載の疾患または障害を1または複数で患っているか、患っている可能性のある、哺乳類、例えばヒトまたは人間の子供などの温血動物をいう。
【0050】
「包含する」、「など」、「例えば」等の語は、典型的な実施態様をいうものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明によれば、式(I):
【化4】
[式中:
Aは−(CH−R、−CH(R26)−R、−(CHn−1−O−R、−(CHn−1−NR25−R、−CH(R26)−CO−R、または−(CHn−1−NR25−CO−Rであり;
は1−2個の−OHで置換されるC1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、C2−12アルケニル、またはC3−10シクロアルキルであり、ここで該シクロアルキルは0−2個のR13で置換されてもよく;あるいは

【化5】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよく;
はフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピリジノン、ピロリジニル、テトラヒドロピラン、またはチアゾリルであり、そのいずれも0−2個のR2aで置換され;
2aは、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロC1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、4ないし12員のヘテロアリール−C1−10アルキル、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、=O、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−(CH−NR14SO14、−(CH−NR14SONR1414、−NR14SONR1414、−CONR1414、−NR14CONR1414、−NR14COR14、−SONR14COR14、−SONR14CONR1414、−NR14CO14、−CO14、−NR1414、−NR14CONR1414、−C(=NOR14)NR1414、−CONR14OR14、または−NCOR14であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
はフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピラン、またはテトラヒドロピランであり、そのいずれも0−1個のR3aで置換されてもよく;
3aはハロ、CN、NH、−O−C1−3アルキル、またはモルホリニルであり;
13は、各々独立して H、−OH、F、Cl、Br、I、CN、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロC1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、4ないし12員のヘテロアリール−C1−10アルキル、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、=O、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−(CH−NR14SO14、−(CH−NR14SONR1414、−NR14SONR1414、−CONR1414、−NR14CONR1414、−NR14COR14、−SONR14COR14、−SONR14CONR1414、−NR14CO14、−CO14、−NR1414、−NR14CONR1414、−C(=NOR14)NR1414、−CONR14OR14、−NCOR14、またはOR14であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
14は、各々、水素、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリールまたは4ないし12員のヘテロサイクリルより独立して選択され、ここで該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−3個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなるか;あるいは
また、2個のR14は、それらの結合する原子と一緒になって、環式環を形成し、ここで該環式環は0−1個のR14aで置換され、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を所望により有してもよく;
14aは、各々、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−CO26、−CONR2424、−OCF、−OR25、=O、−CONR2424、−COR24、−SO24、−NR2424、−NR24CO24、−SONR2424、またはC6−10アリールC1−10アルキルより独立して選択され、ここで該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
24は、各々、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより独立して選択され;
25は、各々、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより独立して選択され;
26は、各々、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより独立して選択され;
mは0ないし4であり;
nは0ないし4であり;および
n−1は2ないし4である]
で示される化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩が提供される。
【0052】
別の態様において、本発明が、式(I)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH−R、−CH(R26)−R、−(CHn−1−O−R、−(CHn−1−NR25−R、−CH(R26)−CO−R、または−(CHn−1−NR25−CO−Rであり;
が1−2個の−OHで置換されるC1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、C2−12アルケニル、またはC3−10シクロアルキルであり、ここで該シクロアルキルは0−2個のR13で置換されてもよく;あるいは

【化6】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよく;
がフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピリジノン、ピロリジニル、テトラヒドロピラン、またはチアゾリルであり、そのいずれも0−2個のR2aで置換され;
2aが、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロC1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、4ないし12員のヘテロアリール−C1−10アルキル、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、=O、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−(CH−NR14SO14、−(CH−NR14SONR1414、−NR14SONR1414、−CONR1414、−NR14CONR1414、−NR14COR14、−SONR14COR14、−SONR14CONR1414、−NR14CO14、−CO14、−NR1414、−NR14CONR1414、−C(=NOR14)NR1414、−CONR14OR14または−NR14COR14であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
がフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピラン、またはテトラヒドロピランであり、そのいずれも0−1個のR3aで置換されてもよく;
3aがハロ、CN、NH、−O−C1−3アルキル、またはモルホリニルであり;
13が、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、CN、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロC1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、4ないし12員のヘテロアリール−C1−10アルキル、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、=O、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−(CH−NR14SO14、−(CH−NR14SONR1414、−NR14SONR1414、−CONR1414、−NR14CONR1414、−NR14COR14、−SONR14COR14、−SONR14CONR1414、−NR14CO14、−CO14、−NR1414、−NR14CONR1414、−C(=NOR14)NR1414、−CONR14OR14、−NR14COR14、またはOR14であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
14が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリールまたは4ないし12員のヘテロサイクリルより選択され、ここで該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−3個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;あるいは
また、2個のR14が、それらの結合する原子と一緒になって、環式環を形成し、ここで該環式環は0−1個のR14aで置換され、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を所望により有してもよく;
14aが、各々独立して、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−CO26、−CONR2424、−OCF、−OR25、=O、−CONR2424、−COR24、−SO24、−NR2424、−NR24CO24、−SONR2424、またはC6−10アリールC1−10アルキルより選択され、ここで該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
24が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
25が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
26が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
mが0〜4であり;
nが0〜4であり;および
n−1が2〜4である、ところの化合物等を提供する。
【0053】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH−R、−CH(R26)−R、−C(R26−R、−(CHn−1−O−R、−(CHn−1−NR25−R、−CH(R26)−CO−R、または−(CHn−1−NR25−CO−Rであり;
が1−2個の−OHで置換されるC1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、C2−12アルケニル、またはC3−10シクロアルキルであり、ここで該シクロアルキルは0−2個のR13で置換されてもよく;あるいは

【化7】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよく;
がフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピリジノン、ピロリジニル、テトラヒドロピラン、またはチアゾリルであり、そのいずれも0−2個のR2aで置換され;
2aが、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロC1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、4ないし12員のヘテロアリール−C1−10アルキル、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、=O、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−(CH−NR14SO14、−(CH−NR14SONR1414、−NR14SONR1414、−CONR1414、−NR14CONR1414、−NR14COR14、−SONR14COR14、−SONR14CONR1414、−NR14CO14、−CO14、−NR1414、−NR14CONR1414、−C(=NOR14)NR1414、−CONR14OR14、または−NR14COR14であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
がフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ジヒドロピラン、またはテトラヒドロピランであり、そのいずれも0−1個のR3aで置換されてもよく;
3aがハロ、CN、NH、−O−C1−3アルキル、またはモルホリニルであり;
13が、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、CN、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、ハロC1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C2−12アルキニル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、4ないし12員のヘテロアリール−C1−10アルキル、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、=O、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−(CH−NR14SO14、−(CH−NR14SONR1414、−NR14SONR1414、−CONR1414、−NR14CONR1414、−NR14COR14、−SONR14COR14、−SONR14CONR1414、−NR14CO14、−CO14、−NR1414、−NR14CONR1414、−C(=NOR14)NR1414、−CONR14OR14、−NR14COR14、またはOR14であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなるか;あるいは
13がSONHP(O)(OH)であり;
14が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、4ないし12員のヘテロアリールまたは4ないし12員のヘテロサイクリルより選択され、ここで該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは0−3個のR14aで置換されてもよく、ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなるか;あるいは
また、2個のR14が、それらの結合する原子と一緒になって、環式環を形成し、ここで該環式環が0−1個のR14aで置換され、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を所望により有してもよく;
14aが、各々独立して、F、Cl、Br、I、C1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、4ないし12員のヘテロアリール、4ないし12員のヘテロサイクリル、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−CO26、−CONR2424、−OCF、−OR25、=O、−CONR2424、−COR24、−SO24、−NR24SO24、−NR2424、−NR24CO24、−SONR2424、またはC6−10アリールC1−10アルキルより選択され、ここで該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり、該アリールおよびヘテロアリールは0−1個のハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、−O−C1−3アルキル、または−O−C1−3ハロアルキルで所望により置換されてもよく;
24が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
25が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、−(CH)−フェニル、またはフェニルより選択され;
26が、各々独立して、水素、−OH、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
mが0〜4であり;
nが0〜4であり;および
n−1が2〜4である、ところの化合物等を提供を提供する。
【0054】
別の態様において、本発明は、式(Ia):
【化8】
で示される化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩を提供する。
【0055】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH−Rであり;
が1−2個の−OHで置換されるC1−6アルキル、C2−6アルケニル、またはC3−6シクロアルキルであり、ここで該シクロアルキルは0−2個のR13で置換されてもよく;あるいは

【化9】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよく;
がフェニルまたはピリジニルであり;
がフェニルであり;
13が、各々独立して、H、C1−6アルキル、−NR14SO14、−CONR1414、−SONR1414、−NR14CONR1414、−NR14COR14、または−NR1414であり、ここで該アルキルは0−2個のR14aで置換されてもよく;
14が、各々独立して、水素、C1−6アルキル、またはフェニルより選択され、ここで該アルキルおよびフェニルは0−3個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロサイクリルはピロリジニルまたはジオキサニルであり;
14aが、各々独立して、F、Cl、Br、I、C1−6アルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、−OR25またはジオキサニルより選択され;
24が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
25が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
26が、各々独立して、水素、C1−10アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
mが0〜4であり;
nが0〜2であり;および
n−1が2〜4である、ところの化合物等を提供する。
【0056】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
が1−2個の−OHで置換されるC1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、またはC3−10シクロアルキルであり、ここで該シクロアルキルは0−2個のR13で置換されてもよく;あるいは

【化10】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよい、ところの化合物等を提供する。
【0057】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
が1−2個の−OHで置換されるC1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、またはC3−10シクロアルキルであり、ここで該シクロアルキルは0−1個のR13で置換されてもよく;あるいは

【化11】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよい、ところの化合物等を提供する。
【0058】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
が1−2個の−OHで置換されるC1−10アルキル、ハロC1−10アルキル、C3−10シクロアルキルであり、ここで該シクロアルキルは0−1個のR13で置換されてもよく;あるいは

【化12】
であり、そのいずれも0−2個のR13で置換されてもよい、ところの化合物等を提供する。
【0059】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、

【化13】
である、ところの化合物等を提供する。
【0060】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
13が、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、4ないし12員のヘテロアリール(該ヘテロアリールはテトラゾリルより選択される)、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−NR14CONR1414、−NR14CONR14b14b、−NR14COR14、−NR14CO14、−CO14、または−NR1414であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、フェニル、およびヘテロアリールは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
14が、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルより選択され、ここで該アルキル、シクロアルキル、およびフェニルは0−3個のR14aで置換されてもよく;あるいは
また、2個のR14bが、それらの結合する原子と一緒になって、環式環を形成し、ここで該環式環はモルホリニル、ピペリジニル、またはピペラジニルであり、0−1個のC1−6アルキルで置換されてもよく;および
14aが、各々独立して、F、Cl、Br、I、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、フェニル、またはC3−6シクロアルキルより選択される、ところの化合物等を提供する。
【0061】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
13が、各々独立して、H、C1−6アルキル、4ないし12員のヘテロアリール(該ヘテロアリールはテトラゾリルより選択される)、−CN、−NR14SO14、−CONR1414、−SONR1414、−NR14CONR1414、−NR14CONR14b14b、−NR14COR14、−CO14、または−NR1414であり、ここで該アルキルおよびヘテロアリールは0−2個のR14aで置換されてもよく;
14が、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され、ここで該アルキル、シクロアルキル、およびフェニルは0−3個のR14aで置換されてもよく;あるいは
2個のR14bが、それらの結合する原子と一緒になって、環式環を形成し、ここで該環式環はモルホリニルであり、0−1個のC1−6アルキルで置換されてもよく;および
14aが、各々独立して、F、Cl、Br、I、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、フェニル、またはC3−6シクロアルキルより選択される、ところの化合物等を提供する。
【0062】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物であって、
13が、各々独立して、H、−OH、F、Cl、Br、I、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、4ないし12員のヘテロアリール(該ヘテロアリールはテトラゾリルより選択される)、−CN、−NO、−(CH−SO14、−NR14SO14、−CONR1414、−(CH−SONR1414、−NR14CONR1414、−NR14CONR141b、−NR14COR14、−NR14CO14、−CO14、または−NR1414であり、ここで該アルキル、シクロアルキル、フェニル、およびヘテロアリールは0−2個のR14aで置換されてもよく、該ヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは炭素原子と、N、SおよびOからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり;
14が、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルより選択され、ここで該アルキル、シクロアルキル、およびフェニルは0−3個のR14aで置換されてもよく;あるいは
また、2個のR14が、それらの結合する原子と一緒になって、環式環を形成し、ここで該環式環はモルホリニル、ピペリジニル、またはピペラジニルであり、0−1個のC1−6アルキルで置換されてもよく;
14aが、各々独立して、F、Cl、Br、I、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、フェニル、C3−6シクロアルキルより選択される、ところの化合物を提供する。
【0063】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
13が、各々独立して、H、−CN、−NHSO14、−CONH、−SONR1414、−NHCONR14b14b、−NHCOR14、または−NHであり;および
14が、各々独立して、水素またはメチルより選択される、ところの化合物等を提供する。
【0064】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
13が、各々、−SONHである、ところの化合物等を提供する。
【0065】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH−R、−CH(R26)−R、−(CHn−1−O−R、−(CHn−1−NR25−R、−CH(R26)−CO−R、または−(CHn−1−NR25−CO−Rであり;
がフェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、またはピリジノンであり、そのいずれも0−2個のR2aで置換され;および
2aが、各々独立して、H、−OH、F、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または6−SONR1414である、ところの化合物等を提供する。
【0066】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH)−Rであり;
がフェニル、
【化14】
であり、そのいずれも0−1個のR2aで置換され;および
2aが、各々独立して、H、−OH、F、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、またはSONR1414である、ところの化合物等を提供する。
【0067】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH)−Rであり;
がフェニル、
【化15】
であり、そのいずれも0−1個のR2aで置換され;および
2aが、各々独立して、H、−OH、F、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、またはSONR1414である、ところの化合物等を提供する。
【0068】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH)−Rであり;および
がフェニルまたは
【化16】
である、ところの化合物等を提供する。
【0069】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
Aが−(CH)−Rであり;
がフェニル、
【化17】
またはC1−6アルキルであり、そのいずれも0−1個のR2aで置換され;および
2aが、各々独立して、HまたはFである、ところの化合物等を提供する。
【0070】
別の態様において、本発明は、Rがフェニルである、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩を提供する。
【0071】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
24が、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;
25が、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択され;および
26が、各々独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、またはフェニルより選択される、ところの化合物等を提供する。
【0072】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
24が、各々独立して、水素、メチルまたはエチルより選択され;
25が、各々独立して、水素 メチルまたはエチルより選択され;および
26が、各々独立して、水素、メチルまたはエチルより選択される、ところの化合物等を提供する。
【0073】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
mが0−2であり;および
n−1が1−2である、ところの化合物等を提供する。
【0074】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、プロドラッグまたは塩であって、
mが1または2であり;
n−1が2であり;および
nが1である、ところの化合物等を提供する。
【0075】
別の態様において、本発明は、R13がSONHP(O)(OH)である、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはその塩を提供する。
【0076】
別の態様において、本発明は、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはその塩であって、
がR13で置換されるピリジニルであり;および
13がSONHP(O)(OH)である、ところの化合物等を提供する。
【0077】
別の態様において、本発明は、R
【化18】
である、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはその塩を提供する。
【0078】
別の態様において、本発明は、R
【化19】
である、式(I)または(Ia)の化合物、あるいはその塩を提供する。
【0079】
別の実施態様において、本発明の化合物、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体または塩は、実施例にて説明される化合物より選択される。
【0080】
一の実施態様において、治療上有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物および/または実施例にて説明される化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0081】
別の実施態様において、治療上有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物および/または実施例にて説明される化合物と、少なくとも1つの他の治療剤、例えば、抗不整脈薬、カルシウムチャンネルブロッカー、抗血小板薬、抗高血圧薬、抗血栓/抗血栓溶解剤、抗凝血剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、抗糖尿病薬、甲状腺ホルモン模倣薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、および強心性配糖体とを含む医薬組成物が提供される。
【0082】
さらに別の実施態様において、治療上有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物または実施例にて説明される化合物と、少なくとも1つの他の治療薬、例えば、ソタロール、ドフェチリド、ジルチアゼム、ベラパミル、クロピドグレル、カングレロール、チクロピジン、CS−747、イフェトロバン、アスピリン、ベータアドレナリン作動性遮断剤、ACE阻害剤、AIIアンタゴニスト、ETアンタゴニスト、デュアルET/AIIアンタゴニスト、バソペプチダーゼ阻害剤、tPA、組換えtPA、TNK、nPA、第VIIa因子阻害剤、第Xa因子阻害剤、第XIa因子阻害剤、トロンビン阻害剤、ワルファリン、ヘパリン、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104、ZD−4522、ビグアナイド、ビグアナイド/グリブリド併用剤、スピロノラクトン、エプレリノン、ジギタリスおよびウワバインとを含む医薬組成物が提供される。
【0083】
もう一つ別の実施態様において、治療上有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物、または実施例にて説明される化合物と、少なくとも1つの他の治療薬、例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラザプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル、オマパトリラト、ゲモパトリラト、およびアピキサバンとを含む医薬組成物が提供される。
【0084】
一の実施態様において、不整脈を治療または防止する方法であって、その治療等を必要とする患者に、有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物、または実施例にて説明される化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0085】
別の態様において、上室性不整脈、例えば心房細動および心房粗動を治療または防止する方法であって、その治療等を必要とする患者に、有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物、または実施例にて説明される化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0086】
一の実施態様において、心拍数を制御する方法であって、その制御を必要とする患者に、有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物、または実施例にて説明される化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0087】
別の態様において、Ikur関連症状、例えば、逆流性食道炎および運動障害などの胃腸障害;慢性閉塞性肺疾患などの炎症性および/または免疫性疾患;糖尿病;認知障害;片頭痛;てんかん;および高血圧症を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、有効量の少なくとも1つの式(I)、(Ia)の化合物、または実施例にて説明される化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0088】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物と、医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを一緒に含む組成物を対象とする。水が担体または希釈剤である場合、該組成物は所望によりさらに別の医薬的に許容される担体または希釈剤および/または医薬的に許容される賦形剤を含んでもよい。かかる組成物を医薬として用いることはこの態様の範囲内である。
【0089】
別の態様において、本発明は、カリウムチャネル機能の阻害に付随する疾患または障害、すなわち心房細動の治療、心拍数の制御、および/または不整脈の予防的処置であって、治療上有効量の本発明の化合物あるいはその個々の異性体もしくは異性体の混合物またはそれらの医薬的に許容される塩を投与することを含む、治療、制御および/または予防的処置を対象とする。
【0090】
本発明の化合物は療法において有用でありうる。
【0091】
本発明の化合物は、カリウムチャネル機能の、すなわち電位開口型KチャネルのK1サブファミリーの、(超迅速活性化遅延整流性K電流(IKur)と関連付けられる)K1.5、および/またはK1.3チャネル、および/またはK1.1チャネルの阻害に付随する疾患または障害の治療および/または予防のための医薬を製造するのに使用されてもよい。
【0092】
本発明の化合物は、単独で、本発明の他の化合物と組み合わさって、あるいは1または複数の、好ましくは1ないし2個の他の薬剤と組み合わさって使用され得る。
【0093】
本発明はその精神および本質から逸脱することなく別の特定の形態に具体化され得る。本発明は、本明細書中に記載される本発明の全ての別個の態様の組み合わせを包含する。本発明のありとあらゆる実施態様が任意の他の実施態様と組み合わさって本発明のさらなる実施態様を記載すると理解される。さらには、実施態様の任意の要素が任意の実施態様のありとあらゆる別の要素と組み合わされ、さらなる実施態様を記載すると理解される。
【0094】
合成
本発明の化合物は有機合成の分野の当業者に公知の多数の方法にて調製され得る。本発明の化合物は、下記の方法を、有機合成化学の分野にて公知の合成方法と一緒に用いて、あるいは当業者に明らかなようにそれに変形を加えて合成され得る。好ましい方法は、以下に限定されないが、下記の方法を包含する。該反応は使用される試薬および材料に適し、変換が行われるのに適する溶媒または溶媒混合液中で実施される。有機合成の分野における当業者であれば、分子上に存在する官能基が提案される変形に整合するものでなければならないことを理解するであろう。このことは、時に、本発明の所望の化合物を得るために、合成工程の順序を修飾するか、他のスキームと比べて優れた一の特定のプロセススキームを選択する判断を迫ることとなる。
【0095】
本発明の新規な化合物はこのセクションに記載の反応および技法を用いて調製され得る。また、下記の合成方法の記載にて、溶媒、反応環境、反応温度、実験の継続期間、後処理の選択を含む、提案される反応条件はすべて、その反応で標準的な条件であるように選択されていると理解すべきであり、そのことは当業者であれば容易に認識するはずである。該反応条件と適合する置換基に対する制限は当業者に明らかであり、制限がある場合、別の方法を用いる必要がある。
【0096】
本発明の化合物は、下記のスキームおよび実施例に記載の典型的な方法、ならびに当業者が使用する関連する公開文献に記載の操作に従って調製されてもよい。これらの反応の典型的な試薬および操作を下記に、および実施例にて示す。該方法における官能基の保護および脱保護は当該分野において周知の操作により実施されてもよい(例えば、Greene, T.W.ら、Protecting Groups in Organic Synthesis, Third Edition, Wiley (1999) を参照のこと)。有機合成および官能基変換の一般的方法は:Trost, B.M.ら編、Comprehensive Organic Synthesis:Selectivity, Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry, Pergamon Press, New York, NY (1991);March, J.、Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure, Fourth Edition, Wiley & Sons, New York, NY (1992);Katritzky, A.R.ら編、Comprehensive Organic Functional Groups Transformations, First Edition, Elsevier Science Inc., Tarrytown, NY (1995);Larock, R.C.、Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers Inc., New York, NY(1989);および本明細書に記載の文献に記載されている。
【0097】
略語
本明細書で使用される略語は、次のように:「1x」が1回に、「2x」が2回に、「3x」が3回に、「℃」が摂氏温度に、「eq」が当量に、「g」がグラムに、「mg」がミリグラムに、、「L」がリットルに、「mL」がミリリットルに、「μL」がマイクロリットルに、「N」が規定に、「M」がモル濃度に、「nM」がナノモル濃度に、「mol」がモルに、「mmol」がミリモルに、、「min」が分に、、「h」が時間に、「rt」が室温に、「RT」が保持時間に、「atm」が大気に、「psi」がポンド毎平方インチに、「conc.」が濃縮液に、「sat」または「sat’d」が飽和に、「MW」が分子量に、「mp」が融点に、「MS」または「Mass Spec」が質量分析に、「ESI」がエレクトロスプレーイオン化質量分析に、「HR」が高分解能に、「HRMS」が高分解能質量分析に、「LCMS」が液体クロマトグラフィー質量分析に、「HPLC」が高速液体クロマトグラフィーに、「RP HPLC」が逆相HPLCに、「TLC」または「tlc」が薄層クロマトグラフィーに、「NMR」が核磁気共鳴分光法に、「nOe」が核オーバーハウザー効果分光学に、「H」がプロトンに、「δ」がデルタに、「s」が一重項に、「d」がニ重項に、「t」が三重項に、「q」が四重項に、「m」が多重項に、「br」がブロードに、「Hz」がヘルツに、ならびに「α」、「β」、「R」、「S」、「E」および「Z」が当業者に周知の立体化学の名称について定義する。
【0098】
溶媒、温度、圧力および他の反応条件は当業者により容易に選択され得る。出発物質は市販品として入手可能であるか、または当業者により既知の方法を用いて容易に調製され得る。下記のスキームおよび化合物のすべてにおいて、X、X、AおよびR等は式(I)の化合物について記載されるとおりである。以下の記載は、実施例にて使用される符号の定義である:
【0099】
【表1】
【0100】
合成
本発明の化合物の調製に適用しうる特に有用な合成方法の概要が、Larock, R.C.、Comprehensive Organic Transformations, VCH, New York (1989)に記載される。好ましい方法として、以下に限定されないが、下記の方法が挙げられる。本明細書中に引用されるすべての参考文献は出典を示すことでその内容のすべてを本明細書に組み込むものとする。
【0101】
本発明の新規な化合物はこのセクションに記載の反応および技法を用いて調製され得る。また、下記の合成方法の記載にて、溶媒、反応環境、反応温度、実験の継続期間、後処理の選択を含む、提案される反応条件はすべて、その反応で標準的な条件であるように選択されていると理解すべきであり、そのことは当業者であれば容易に認識するはずである。該反応条件と適合する置換基に対する制限は当業者に明らかであり、制限がある場合、別の方法を用いる必要がある。
【0102】
当該分野にていずれかの合成経路を計画するにおいてもう一つ別の主に考慮すべきことは、本発明の化合物に存在する反応性官能基の保護に使用される保護基を思慮分別をもって選択することであることも理解されよう。当業者に対して多くの代替となる保護基を記載する権威ある記述がグリーンらによるものである(Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley and Sons (1991))。
【化20】
【0103】
一般式(I)の化合物はスキーム1に従って合成することができる。市販されているニトロフタル酸は、例えばヨウ化メチルを用いて対応するジエステル(2)に変換され得る。ジメチル 3−ニトロフタラート(2)を還元して3−アミノジメチルフタラート(3)とした(例えば、Thottumkaraら、Tetrahedron Letters, 43:569-572(2002))。ジメチル 3−アミノフタラート(3)をジアゾ化条件に付し、つづいてKIと反応させ、ジメチル 3−ヨードフタラート(4)を得た。パラジウム触媒を用い、ボロン酸またはエステルとのパラジウム介在性スズキクロスカップリング反応に供し、構造式(5)で示される化合物(R=アルキル、所望により置換されてもよいアリール、所望により置換されてもよいヘテロアリール)を得た。化合物(5)をヒドラジン水和物と(例えば、水、エタノール、トルエン等などの溶媒中で)反応させて環化させ、フタラジンジオイン(6)を得た。化合物(6)を、塩素化剤、例えばオキシ塩化リンを用い、対応するジクロロフタラジン(7)に変換した。ジクロロ−5−フタラジン(7)を、ボロン酸エステルまたは酸とのパラジウム介在性スズキクロスカップリング反応に付して化合物(8)に変換した。別のクロリドを種々のアミンで置換し、一般式(I)の化合物を生成した。
【0104】
実施例
以下の実施例は、本願の好ましいいくつかの実施態様をより詳細に説明するために付与されており、その実施態様を限定するものではなく、本発明の範囲を限定するものではない。略語および化学的記号は、特記されない限り、その一般的および慣用的意義を有する。特記されない限り、本明細書に記載の化合物はここに開示されているスキームおよび他の方法を用いて調製され、単離され、そして特徴付けられ、あるいはその同じ方法を用いて調製されてもよい。
【0105】
一般的方法
他に注意書きがある場合を除いて、実施例にて次の方法を用いた。
【0106】
実施例の化合物の特徴付けに利用されるHPLCおよびHPLC/MS分析方法
プレパラティブHPLCを、AGILENT(登録商標)1200シリーズ、島津の代表的装置、またはウォーターズ(Waters)システムで行った。プレパラティブSFCをThar製装置で行った。逆相HPLC/MS分析を質量分析計を組み合わせたAGILENT(登録商標)1200システムで行った。LCMSを質量分析計を組み合わせたAGILENT(登録商標)1200またはウォーターズAQUITY(登録商標)システムで行った。キラルLC分析をThar製のSFC分析装置で行った。
【0107】
条件1:
カラム=Ascentis Express C18、2.1x50mm、2.7μm
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.4分;停止時間=4分
無勾配時間=1.6分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0108】
条件2:
カラム=Ascentis Express C8、2.1x50mm、2.7μm
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.5分;停止時間=4分
無勾配時間=1.7分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0109】
条件3:
カラム=Ascentis Express C8、2.1x50mm、2.7μm
溶媒A=CHCN(10%)+10mM NHCOOH/HO(90%)
溶媒B=CHCN(90%)+10mM NHCOOH/HO(10%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.6分;停止時間=4分
無勾配時間=1.6分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0110】
条件4:
カラム=Ascentis Express C18 2.1x50mm、2.7μm
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.5分;停止時間=4分
無勾配時間=1.7分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0111】
条件5:
カラム=XBridge C18、2.1x50mm、2.5μm
溶媒A=CHCN(5%)+10mM NHHCO/HO(95%)
溶媒B=CHCN(95%)+10mM NHHCO/HO(5%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.7分;停止時間=4分
無勾配時間=1.5分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0112】
条件6:
カラム=ZORBAX(登録商標)SB−Aq、4.6x50mm、3.5μm
溶媒A=CHCN(5%)+10mM NHCOOH/HO(95%)
溶媒B=CHCN(95%)+10mM NHCOOH/HO(5%)
出発%B=5;最終%B=95
勾配時間=1.7分;停止時間=4分
無勾配時間=1.5分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0113】
条件7:
カラム=Ascentis Express C8、2.1x50mm、2.7μm
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.5分;停止時間=4分
無勾配時間=1.7分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0114】
条件8:
カラム=XBridge BEH C18、2.1x50mm、2.5μm
溶媒A=0.1%HCOOH/H
溶媒B=0.07%HCOOH/CHCN
出発%B=10;最終%B=100
勾配時間=2.0分;停止時間=4.0分
無勾配時間=1分
流速=1.2mL/分;波長=220nm
【0115】
条件9:
カラム=ZORBAX(登録商標)SB C18、2.1x30mm、3.5μm
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=6;最終%B=100
勾配時間=1.5分;停止時間=3分
無勾配時間=0.7分
流速=1.5mL/分;波長=220nm
【0116】
条件10:
カラム=Kinetex C−18、2.1x50mm、2.6μm
溶媒A=CHCN(2%)+0.1%NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+0.1%NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.7分;停止時間=4分
無勾配時間=1.5分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0117】
条件11:
カラム=Acquity BEH C18、2.1x50mm、1.7μm
溶媒A=緩衝液:CHCN(95:5)
溶媒B=緩衝液:CHCN(5:95)
緩衝液=10mM NHOAc/HO(pH5、HCOOHで調整)
出発%B=5;最終%B=95
勾配時間=1.1分;停止時間=2.4分
無勾配時間=0.6分
流速=0.8mL/分;波長=220nm
【0118】
条件12:
カラム:Acquity BEH C18、2.1x50mm、1.7μm
溶媒A=0.1%TFA/H
溶媒B=0.1%TFA/CHCN
出発%B=2;最終%B=98
勾配時間=1分;停止時間=2.2分
無勾配時間=0.6分
流速=0.8mL/分;波長=220nm
【0119】
条件13:
カラム=SYMMETRY(登録商標) C18、250x19mm、7μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=50;最終%B=90
勾配時間=10分;停止時間=19分
無勾配時間=5分
流速=17mL/分;波長=220nm
【0120】
条件14:
カラム=SunFire C18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
無勾配=A:B(20:80)
流速=16mL/分;波長=220nm
【0121】
条件 15:
カラム=XSelect C18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/H
溶媒B=CHCN
出発%B=30;最終%B=70
勾配時間−1=12分;
出発%B=70;最終%B=100
勾配時間=3分;停止時間=19分
流速=16mL/分;波長=220nm
【0122】
条件16:
カラム=Inertsil ods、19x250mm、5.0μm
溶媒A=10mM NHOAc/H
溶媒B=CHCN
出発%B=30;最終%B=70
勾配時間−1=5分;
最終%B=100
勾配時間−2=8分;停止時間=15分
流速=16mL/分;波長=220nm
【0123】
条件17:
カラム=Inertsil ods、19x250mm、5.0μm
溶媒A=10mM NHOAc/H
溶媒B=CHCN
出発%B=30;最終%B=70
勾配時間−1=12分;
最終%B=100
勾配時間−2=3分;停止時間=20分
流速=16mL/分;波長=220nm
【0124】
条件18:
カラム=XBridge C18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=10;最終%B=40
勾配時間−1=10分;
最終%B=100
勾配時間−2=5分;停止時間=20分
流速=17mL/分;波長=220nm
【0125】
条件19:
カラム=XBridge C18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=30;最終%B=70
勾配時間−1=10分;
最終%B=100
勾配時間−2=5分;停止時間=20分
流速=16mL/分;波長=220nm
【0126】
条件20:
カラム=Kinetex C18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/H
溶媒B=CHCN
出発%B=20;最終%B=50
勾配時間−1=10分;
最終%B=100
勾配時間−2=2分;停止時間=20分
流速=15mL/分;波長=220nm
【0127】
条件21:
カラム=Atlantis C18、19x250mm、7μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=30;最終%B=70
勾配時間−1=11分;
最終%B=100
勾配時間−2=4分;停止時間=20分
流速=16mL/分;波長=220nm
【0128】
条件22:
カラム=SunFire C18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=20;最終%B=70
勾配時間−1=10分;
最終%B=100
勾配時間−2=5分;停止時間=20分
流速=16mL/分;波長=220nm
【0129】
条件23:
カラム=SYMMETRY(登録商標) C18、19x250mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=20;最終%B=90
勾配時間=10分;停止時間=20分
流速=16mL/分;波長=220nm
【0130】
条件24:
カラム=XBridge Phenyl、4.6x150mm、3.5μm
溶媒A=緩衝液:CHCN(95:5)
溶媒B=緩衝液:CHCN(5:95)
緩衝液=0.05%TFA/HO(pH2.5、希アンモニアで調整)
出発%B=10;最終%B=100
勾配時間=12分;停止時間=23分
無勾配時間=3分
流速=1mL/分;波長=220および254nm
【0131】
条件25:
カラム=SunFire C18、4.6x150mm、3.5μm
溶媒A=緩衝液:CHCN(95:5)
溶媒B=緩衝液:CHCN(5:95)
緩衝液=0.05%TFA/HO(pH2.5、希アンモニアで調整)
出発%B=10;最終%B=100
勾配時間=12分;停止時間=23分
無勾配時間=3分
流速=1mL/分;波長=220および254nm
【0132】
条件26:
カラム=SunFire C18、4.6x150mm、3.5μm
溶媒A=緩衝液:CHCN(95:5)
溶媒B=緩衝液:CHCN(5:95)
緩衝液=0.05%TFA/HO(pH2.5、希アンモニアで調整)
出発%B=0;最終%B=50
勾配時間−1=15分
最終%B=100
勾配時間−2=3分
無勾配時間=5分
停止時間=28分
流速=1mL/分;波長=220および254nm
【0133】
条件27:
カラム=SunFire C18、4.6x150mm、3.5μm
溶媒A=緩衝液:CHCN(95:5)
溶媒B=緩衝液:CHCN(5:95)
緩衝液=0.05%TFA/HO(pH2.5、希アンモニアで調整)
出発%B=10;最終%B=100
勾配時間=25分;停止時間=30分
無勾配時間=5分
流速=1mL/分;波長=220および254nm
【0134】
条件28:
カラム=SunFire C18、4.6x150mm、3.5μm
溶媒A=緩衝液:CHCN(95:5)
溶媒B=緩衝液:CHCN(5:95)
緩衝液=0.05%TFA/HO(pH2.5、希アンモニアで調整)
出発%B=10;最終%B=100
勾配時間=12分;停止時間=15分
無勾配時間=3分
流速=1mL/分;波長=220および254nm
【0135】
条件29:
カラム=CHIRALCEL(登録商標)OJH、250x4.6mm、5μm
溶媒A=CO
溶媒B=0.3%DEA/MeOH
無勾配=A:B(85:15)
流速=3mL/分;波長=220nm
【0136】
条件30:
カラム=SunFire C−18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=10;最終%B=45
勾配時間=10分;
流速=16mL/分;波長=220nm
【0137】
条件31:
カラム=KROMASIL(登録商標)充填のC−18、19x250mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=40;最終%B=80
勾配時間−1=10分;
出発%B=80;最終%B=100
勾配時間−2=5分;
流速=16mL/分;波長=220nm
【0138】
条件32:
カラム=XSelect C−18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=30;最終%B=70
勾配時間−1=10分;
出発%B=70;最終%B=100
勾配時間−2=5分;
流速=16mL/分;波長=220nm
【0139】
条件33:
カラム=SYMMETRY(登録商標) C8、19x300mm、7μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=50;最終%B=90
勾配時間=10分;
流速=15mL/分;波長=220nm
【0140】
条件34:
カラム=Ascentis Express C18、2.1x50mm、2.7μ
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.7分;停止時間=4分
無勾配時間=1.5分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0141】
条件35:
カラム=XBridge Phenyl、4.6x150mm、5μ
溶媒A=緩衝液:CHCN(95:5)
溶媒B=緩衝液:CHCN(5:95)
緩衝液=10mM NHOAc/H
出発%B=10;最終%B=100
勾配時間=25分;停止時間=32分
無勾配時間=5分
流速=1mL/分;波長=220および254nm
【0142】
条件36:
カラム=XBridge Prep OBD C18、19x150mm、5μm
溶媒A=10mM NHOAc/HO(pH4.5、AcOHで調整)
溶媒B=CHCN
出発%B=10;最終%B=45
勾配時間−1=8分;
無勾配時間=8分;
出発%B=45;最終%B=100
勾配時間−2=2分;
無勾配時間=3分;
流速=15mL/分;波長=220nm
【0143】
条件37:
カラム=Ascentis Express C18、2.1x50mm、2.7μ
溶媒A=CHCN(5%)+10mM NHOAc/HO(95%)
溶媒B=CHCN(95%)+10mM NHOAc/HO(5%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=3.0分;停止時間=4分
流速=1.1mL/分;波長=220nm
【0144】
条件38:
カラム=Ascentis Express C18、2.1x50mm、2.7μ
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.7分;停止時間=4分
無勾配時間=1.7分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0145】
条件39:
カラム=Kinetex C−18、2.1x50mm、2.6μ
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.7分;停止時間=4分
無勾配時間=1.5分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0146】
条件40:
カラム=Ascentis Express C18、2.1x50mm、2.7μ
溶媒A=CHCN(2%)+10mM NHCOOH/HO(98%)
溶媒B=CHCN(98%)+10mM NHCOOH/HO(2%)
出発%B=0;最終%B=100
勾配時間=1.7分;停止時間=4分
無勾配時間=1.3分
流速=1mL/分;波長=220nm
【0147】
条件41:
カラム=WHELK−O(登録商標)1(R,R)、250x4.6mm、5μ
溶媒A=CO
溶媒B=30mM アンモニア/MeOH
無勾配=A:B(3:2)
流速=4mL/分;波長=210nm
【0148】
条件42:
カラム=Gemini C18、21.1x250mm、5μ
溶媒A=H
溶媒B=CHCN
出発%B=10;最終%B=55
勾配時間=16分;
流速=17mL/分;波長=220nm
【0149】
実施例の化合物の特徴付けに利用されるNMR
H NMRスペクトルを、ブルガー(Bruker)またはJEOL(登録商標)フーリエ変換分光計を用い、以下の周波数で操作して得た:H NMR:400MHzまたは300MHz(ブルガー);13C NMR:100MHzまたは75MHz(ブルガー)。スペクトルデータを化学シフトの形式(多重度、カップリング常数および水素数)にて報告する。化学シフトはテトラメチルシランである内部標準物質の低磁場のppm(δ単位、テトラメチルシラン=0ppm)において特定され、および/またはH NMRスペクトルではCDHSOCDにて2.49ppmで、CDHODにて3.30ppmで、およびCHClにて7.24ppmで現れ、13C NMRスペクトルではCDSOCDにて39.7ppmで、CDODにて49.0ppmで、およびCDClにて77.0ppmで現れる溶媒ピークと関連付けられる。すべての13C NMRスペクトルをプロトンデカップルに付した。
【0150】
実施例1
5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド
【化21】
【0151】
【化22】
【0152】
3−ヨードフタル酸ジエチル(WO2008/115516)(1.00g、3.12ミリモル)、フェニルボロン酸(0.571g、4.69ミリモル)、KCO(0.880g、9.30ミリモル)の1,4−ジオキサン(15mL)および水(4mL)中溶液を窒素で30分間パージした。Pd(dppf)Cl:DCM(0.219g、0.312ミリモル)を加え、その反応混合物を100℃で12時間加熱した。反応混合液をセライト(登録商標)パッドを通して濾過し、該パッドを水(50mL)で洗浄した。濾液をEtOAc(2x100mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をコンビフラッシュ(CombiFlash)(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、12g、20%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、[1,1’−ビフェニル]−2,3−ジカルボン酸ジメチル(0.65g、77.0%)をオフホワイト固体として得た。LCMS(条件11):保持時間 0.96分、[M−MeOH+1]=239.3;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 3.59(s,3H)、3.85(s,3H)、7.33−7.49(m,5H)、7.68−7.70(m,2H)、7.95−8.00(m,1H);
【0153】
【化23】
【0154】
[1,1’−ビフェニル]−2,3−ジカルボン酸ジメチル(0.600g、2.22ミリモル)のヒドラジン水和物(5.00mL、159ミリモル)中溶液を密封管中にて100℃で16時間加熱した。反応混合液を1.5N HClでpHを約3の酸性にした。得られた沈殿物を濾過し、水(3x50mL)およびヘキサン(2x50mL)で洗浄した。沈殿物を減圧下で乾燥させ、5−フェニルフタラジン−1,4−ジオール(0.450g、85.0%)をオフホワイト固体として得た。LCMS(条件11):保持時間 0.76分、[M+1]=239.4;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 7.29−7.34(m,5H)、7.60(d,J=7.6Hz,1H)、7.89(t,J=7.6Hz,1H)、8.13(br s,1H)、11.40(br s,2H);
【0155】
【化24】
【0156】
5−フェニルフタラジン−1,4−ジオール(0.200g、0.839ミリモル)のPOCl(2.00mL、21.5ミリモル)中溶液に、N,N−ジメチルベンゼンアミン(0.106mL、0.839ミリモル)を加え、その中身を密封管中にて100℃で16時間加熱した。反応混合液を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をDCM(50mL)に溶かし、NaHCOの氷冷した飽和溶液(2x5mL)で洗浄した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、12g、20%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、1,4−ジクロロ−5−フェニルフタラジン(0.120g、52.0%)を黄色固体として得た。LCMS(条件11):保持時間 1.12分、[M+1]=275.3;H NMR(300MHz、DMSO−d) δ 7.39−7.52(m,5H)、8.05(dd,J=1.2Hz、J=7.6Hz,1H)、8.26(dd,J=7.2Hz、J=7.6Hz,1H)、8.41(dd,J=1.2Hz、J=7.2Hz,1H);
【0157】
【化25】
【0158】
1,4−ジクロロ−5−フェニルフタラジン(0.400g、1.45ミリモル)およびN−(tert−ブチル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(0.742g、2.18ミリモル)(Johnsonら、WO2011/28741)の1,4−ジオキサン(15mL)および水(3mL)中溶液に、K3PO4(0.617g、2.91ミリモル)を添加し、その中身を窒素で10分間パージした。トリシクロヘキシルホスフィン(10.2mg、0.0360ミリモル)を加え、つづいてPd(dba)(0.0130g、0.0150ミリモル)を添加し、95℃で12時間加熱した。反応混合液を外界温度に冷却した。反応混合液をHCOONH緩衝液(pH約5)で希釈し、EtOAc(3x75mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、12g、30%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、N−(tert−ブチル)−5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(0.500g、76.0%)を淡黄色固体として得た。LCMS(条件11):保持時間 1.04分、[M+1]=453.2;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.20(s,9H)、7.43−7.46(m,2H)、7.50−7.54(m,3H)、7.98(s,1H)、7.99(dd,J=1.2Hz、J=8.0Hz,1H)、8.03(dd,J=1.2Hz、J=7.2Hz,1H)、8.15(dd,J=7.2Hz、J=8.0Hz,1H)、8.58(t,J=2.0Hz,1H)、9.17(d,J=2.0Hz,1H)、9.23(d,J=2.0Hz,1H);
【0159】
【化26】
【0160】
N−(tert−ブチル)−5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(0.400g、0.883ミリモル)のトルエン(5mL)中溶液に、ピリジン−2−イルメタンアミン(0.0950g、0.883ミリモル)を加え、その中身を100℃で12時間加熱した。揮発性成分を減圧下で除去し、得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件16)に付して精製し、N−(tert−ブチル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(35.0mg、7.55%)を白色固体として得た。LCMS(条件4):保持時間 2.47分、[M+1]=525.2;HPLC(条件28):保持時間=6.97分、純度 96.32%;H NMR(400MHz、CDOD) δ 1.30(s,9H)、4.68(s,2H)、7.24(dd,J=4.8Hz、J=7.2Hz,1H)、7.27(d,J=7.6Hz,1H)、7.52(br s,5H)、7.72(dd,J=1.6Hz、J=7.6Hz,1H)、7.77(dd,J=1.2Hz、J=7.2Hz,1H)、7.84(dd,J=1.2Hz、J=8.4Hz,1H)、7.91−7.96(m,1H)、8.31(d,J=4.4Hz,1H)、8.55(t,J=2.0Hz,1H)、9.07(d,J=2.0Hz,1H)、9.18(d,J=2.0Hz,1H);
【0161】
【化27】
【0162】
N−(tert−ブチル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(0.0300g、0.0570ミリモル)をTFA(5.00mL、64.9ミリモル)に溶かし、室温で12時間攪拌した。TFAを減圧下で除去し、反応混合液を飽和NaHCO(50mL)で希釈した。反応混合液をEtOAc(3x30mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件16)に付して精製し、5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(10.0mg、37.3%)を白色固体として得た。LCMS(条件4):保持時間 2.25分、[M+1]=469.2;HPLC(条件28):保持時間=5.73分、純度 99.07%;H NMR(400MHz、CDOD) δ 4.68(s,2H)、7.24(dd,J=4.8Hz、J=7.6Hz,1H)、7.27(d,J=7.6Hz,1H)、7.52(br s,5H)、7.71−7.77(m,2H)、7.88(dd,J=1.6Hz、J=8.4Hz,1H)、7.95(dd,J=7.2Hz、J=8.4Hz,1H)、8.30−8.31(m,1H)、8.57(dd,J=2.0Hz、J=2.4Hz,1H)、9.07(d,J=2.0Hz,1H)、9.21(d,J=2.4Hz,1H);
【0163】
実施例2
N−(5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)アセトアミド
【化28】
【0164】
【化29】
【0165】
5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−アミン(0.800g、収率66.1%)を、実施例1におけるN−(tert−ブチル)−5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミドの調製について記載される方法に基づき、1,4−ジクロロ−5−フェニルフタラジン(1.00g、3.63ミリモル)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−アミン(0.960g、4.36ミリモル、市販品)、K3PO4(0.772g、3.63ミリモル)、Pd(dba)(0.0330g、0.0360ミリモル)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.0200g、0.0730ミリモル)から調製した。粗残渣をさらに精製することなく次の工程に適用した。LCMS(条件11):保持時間 0.86分、[M+1]=333.1;
【0166】
【化30】
【0167】
4−(5−アミノピリジン−3−イル)−N−ベンジル−8−フェニルフタラジン−1−アミン(0.300g、収率30.9%、白色固体)を、実施例1におけるN−(tert−ブチル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミドの調製について記載される方法に基づき、5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−アミン(0.800g、2.40ミリモル)およびベンジルアミン(10.0mL、92.0ミリモル)から調製した。残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、12g、8%MeOH/CHCl)に付して精製した。得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件21)に付してさらに精製した。LCMS(条件5):保持時間 2.03分、[M+1]=404.6;HPLC(条件28):保持時間=5.47分、純度 97.63%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 4.49(d,J=5.2Hz,2H)、4.99(t,J=5.2Hz,1H)、5.52(s,2H)、7.01−7.03(m,2H)、7.15−7.28(m,4H)、7.43−7.50(m,5H)、7.66(dd,J=2.0Hz、J=6.4Hz,1H)、7.85−7.90(m,2H)、7.94(d,J=2.0Hz,1H)、8.09(d,J=2.0Hz,1H);
【0168】
【化31】
【0169】
4−(5−アミノピリジン−3−イル)−N−ベンジル−8−フェニルフタラジン−1−アミン(60.0mg、0.149ミリモル)のDCM(20mL)中溶液に、ピリジン(0.0241mL、0.297ミリモル)を室温で、つづいて塩化アセチル(0.0106mL、0.149ミリモル)を添加し、その同じ温度で5時間攪拌した。揮発性成分を減圧下で除去し、得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件19)に付して精製し、N−(5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)アセトアミド(45.0mg、67.9%)を白色固体として得た。LCMS(条件4):保持時間 2.44分、[M+1]=446.2;HPLC(条件28):保持時間=6.44分、純度 97.94%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 2.13(s,3H)、4.51(d,J=4.8Hz,2H)、5.06(dd,J=4.8Hz、J=5.2Hz,1H)、7.02−7.04(m,2H)、7.23−7.29(m,3H)、7.42−7.52(m,5H)、7.68(dd,J=1.6Hz、J=7.2Hz,1H)、7.85−7.93(m,2H)、8.36(dd,J=2.0Hz、J=2.4Hz,1H)、8.52(d,J=2.0Hz,1H)、8.84(d,J=2.0Hz,1H)、10.37(s,1H);
【0170】
実施例3
N−(5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)メタンスルホンアミド
【化32】
【0171】
【化33】
【0172】
4−(5−アミノピリジン−3−イル)−N−ベンジル−8−フェニルフタラジン−1−アミン(60.0mg、0.149ミリモル)のDCM(20mL)中溶液に、ピリジン(0.0241mL、0.297ミリモル)を室温で、つづいて塩化メタンスルホニル(0.0120mL、0.149ミリモル)を添加し、反応混合液を5時間攪拌した。揮発性成分を減圧下で除去し、得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件22)に付して精製し、N−(5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)メタンスルホンアミド(50.0mg、69.8%)を白色固体として得た。LCMS(条件4):保持時間 2.45分、[M+1]=482.2;HPLC(条件28):保持時間=6.83分、純度 97.53%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 2.97(s,3H)、4.51(d,J=4.8Hz,2H)、5.06(t,J=4.8Hz,1H)、7.02−7.03(m,2H)、7.22−7.28(m,3H)、7.43−7.52(m,5H)、7.68(dd,J=2.4Hz、J=5.6Hz,1H)、7.72(br s,1H)、7.87−7.90(m,2H)、8.35(br s,1H)、8.40(d,J=1.6Hz,1H)、10.25(br s,1H);
【0173】
実施例4
5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)カルバミン酸イソプロピル
【化34】
【0174】
【化35】
【0175】
4−(5−アミノピリジン−3−イル)−N−ベンジル−8−フェニルフタラジン−1−アミン(60.0mg、0.149ミリモル)のDCM(20mL)中溶液に、ピリジン(0.241mL、0.297ミリモル)を室温で、つづいてイソプロピルカルボノクロリダート(18.2mg、0.149ミリモル)を添加し、反応混合液を5時間攪拌した。揮発性成分を減圧下で除去し、得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件23)に付して精製し、(5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)カルバミン酸イソプロピル(50.0mg、68.7%)を白色固体として得た。LCMS(条件4):保持時間 2.60分、[M+1]=490.2;HPLC(条件28):保持時間=7.65分、純度 99.27%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.29(d,J=6.4Hz,6H)、4.51(d,J=4.8Hz,2H)、4.93(sept,J=6.4Hz,1H)、5.06(dd,J=4.8Hz、J=5.2Hz,1H)、7.01−7.03(m,2H)、7.21−7.28(m,3H)、7.42−7.52(m,5H)、7.69(dd,J=1.2Hz、J=6.8Hz,1H)、7.85−7.93(m,2H)、8.16(br s,1H)、8.47(d,J=1.6Hz,1H)、8.80(d,J=2.4Hz,1H)、10.00(s,1H);
【0176】
実施例5
5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド
【化36】
【0177】
【化37】
【0178】
4,4,5,5−テトラメチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル))−1,3,2−ジオキサボロラン(1.54g、6.09ミリモル)およびトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(0.112g、0.304)の外界温度での1,4−ジオキサン(20mL)中溶液に、KOAc(1.71g、17.4ミリモル)を添加し、その反応混合液を窒素ガスで10分間パージした。反応混合液を80℃に加熱した。Pd(dba)(0.199g、0.217ミリモル)を該反応混合液に加え、得られた反応混合液を窒素で10分間80℃にてパージした。反応混合液を90℃に加熱し、5−ブロモニコチン酸エチル(1.00g、4.35ミリモル)の1,4−ジオキサン(5mL)中溶液を加えた。得られた混合液を100℃で16時間攪拌した。反応混合液を外界温度に冷却し、セライト(登録商標)を通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ニコチン酸エチル(1.50g)を得た。残渣をさらに精製することなく次の工程に適用した。LCMS(条件11):保持時間 0.52分、[M+1]=196.1;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.16(s,12H)、1.35(t,J=7.2Hz,3H)、4.36(q,J=7.2Hz,2H)、8.43(dd,J=1.6Hz、J=2.0Hz,1H)、8.95(d,J=1.6Hz,1H)、9.16(br s,1H);
【0179】
【化38】
【0180】
1,4−ジクロロ−5−フェニルフタラジン(5.00g、18.2ミリモル)の1,4−ジオキサン(50mL)および水(9mL)中溶液に、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ニコチン酸エチル(5.32g、27.3ミリモル)およびK3PO4(7.72g、36.3ミリモル)を添加した。中身を窒素で10分間パージした。トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(0.402g、1.09ミリモル)を加え、つづいてPd(dba)(0.416g、0.454ミリモル)を添加し、該反応混合液を95℃で12時間加熱した。反応混合を外界温度に冷却し、HCOONH緩衝液(pH約5)で希釈した。反応混合液をEtOAc(3x75mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAcでトリチュレートし、5−(4−ヒドロキシ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ニコチン酸エチル(3.50g、44.1%)をオフホワイト固体として得、その純度はLC−MSによれば85%である。LCMS(条件1):保持時間 2.52分、[M+1]=372.0;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.37(t,J=7.2Hz,3H)、4.41(q,J=7.2Hz,2H)、7.33−7.42(m,5H)、7.62−7.65(m,2H)、7.92(dd,J=7.6Hz、J=8.0Hz,1H)、8.49(t,J=2.0Hz,1H)、9.07(d,J=2.0Hz,1H)、9.25(d,J=2.0Hz,1H)、12.74(br s,1H);
【0181】
【化39】
【0182】
5−(4−ヒドロキシ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ニコチン酸エチル(3.50g、9.42ミリモル)のトルエン(35mL)中溶液に、POCl(26.4mL、283ミリモル)を添加し、つづいてN,N−ジメチルベンゼンアミン(1.5mL、9.42ミリモル)を加えた。得られた混合物を密封管中にて100℃で12時間加熱した。反応混合液を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)に溶かし、NaHCO(2x50mL)飽和溶液で洗浄した。有機抽出液を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ニコチン酸エチル(3.50g)を黄色固体として得、その純度はLC−MSによれば47%であり、さらに精製することなく次の工程適用した。LCMS(条件12):保持時間 0.97分、[M+1]=390.0;
【0183】
【化40】
【0184】
5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチン酸エチル(3.10g、88.0%、褐色固体)を、実施例1におけるN−(tert−ブチル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミドの調製について記載される方法に基づき、5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ニコチナート(3.00g、7.70ミリモル)および2−(アミノメチル)ピリジン(10.0mL、97.0ミリモル)から調製した。残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件15)に付して精製した。LCMS(条件2):保持時間 1.90分、[M+1]=462.2;HPLC(条件25):保持時間=7.06分、純度 96.07%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.38(t,J=7.2Hz,3H)、4.42(q,J=7.2Hz,2H)、4.67(d,J=4.4Hz,2H)、6.35(dd,J=4.0Hz、J=4.4Hz,1H)、7.21−7.25(m,1H)、7.28(d,J=8.0Hz,1H)、7.50−7.61(m,5H)、7.69−7.73(m,2H)、7.84(dd,J=1.6Hz、J=8.4Hz,1H)、7.93(dd,J=7.2Hz、J=8.4Hz,1H)、8.23(dt,J=0.8Hz、J=4.8Hz,1H)、8.53(t,J=2.0Hz,1H)、9.11(d,J=2.0Hz,1H)、9.24(d,J=2.0Hz,1H);
【0185】
【化41】
【0186】
5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチン酸エチル(230mg、0.288ミリモル)のMeOH(5mL)中溶液をアンモニア気体で5分間−10℃でパージした。反応混合液を密封管中にて70℃で12時間加熱した。揮発性成分を減圧下で除去し、得られた残渣をHPLC(一般的方法に記載される条件20)に付して精製し、5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド(50.0mg、39.8%)を黄色固体として得た。LCMS(条件2):保持時間 1.90分、[M+1]=433.0;HPLC(条件25):保持時間=5.20分、純度 98.63%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 4.66(d,J=4.0Hz,2H)、6.32(dd,J=4.0Hz、J=4.4Hz,1H)、7.22−7.24(m,1H)、7.28(d,J=7.6Hz,1H)、7.51−7.60(m,5H)、7.68−7.73(m,3H)、7.84(dd,J=1.2Hz、J=8.4Hz,1H)、7.93(dd,J=7.2Hz、J=8.4Hz,1H)、8.22−8.24(m,1H)、8.28(br s,1H)、8.51(t,J=2.0Hz,1H)、8.99(d,J=2.0Hz,1H)、9.18(d,J=2.0Hz,1H);
【0187】
実施例6
N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド
【化42】
【0188】
【化43】
【0189】
5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチン酸エチル(0.120g、0.260ミリモル)のEtOH(6mL)およびTHF(6mL)中溶液に、LiOH(0.0620g、2.60ミリモル)/水(3mL)を室温で添加した。反応混合液をその同じ温度で16時間攪拌した。次に該反応混合液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を水(5mL)で希釈した。反応混合液をEtOAcで抽出し、水層を分離した。水層をクエン酸でpH5の酸性にし、EtOAcで抽出した。有機抽出液を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC(一般的方法に記載される条件13)に付して精製し、5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチン酸(0.0150g、13.3%)を得た。LCMS(条件2):保持時間 1.54分、[M−1]=432.0;HPLC(条件25):保持時間=5.86分、純度 95.51%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 4.66(d,J=4.4Hz,2H)、6.25(dd,J=4.0Hz、J=4.4Hz,1H)、7.20−7.24(m,1H)、7.28(d,J=7.6Hz,1H)、7.52−7.59(m,5H)、7.68−7.73(m,2H)、7.82(dd,J=1.2Hz、J=8.4Hz,1H)、7.91(dd,J=7.2Hz、J=8.4Hz,1H)、8.22−8.25(m,1H)、8.35(dd,J=1.6Hz、J=2.0Hz,1H)、8.74(d,J=2.0Hz,1H)、9.09(d,J=1.6Hz,1H);
【0190】
【化44】
【0191】
5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチン酸(0.200g、0.461ミリモル)のDMF(5mL)中溶液に、HATU(0.526g、1.38ミリモル)を外界温度で添加した。DMAP(0.169g、1.38ミリモル)を加え、つづいて(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタンアミン(0.0610g、0.461ミリモル、市販品)を添加し、その中身を外界温度で16時間攪拌した。反応混合液を減圧下で濃縮し、残渣を水で希釈した。反応混合液をEtOAcで抽出した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、12g、50%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、N−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド(0.0300g、11.9%)をオフホワイト固体として得た。LCMS(条件7):保持時間 1.76分、[M+1]=547.2;HPLC(条件24):保持時間 7.68分、純度 96.10%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.27(s,3H)、1.36(s,3H)、3.31−3.51(m,2H)、3.74(dd,J=5.6Hz、J=8.4Hz,1H)、4.03(dd,J=6.0Hz、J=8.4Hz,1H)、4.26(m,1H)、4.66(d,J=4.0Hz,2H)、6.33(dd,J=4.0Hz、J=4.4Hz,1H)、7.22(dd,J=5.2Hz、J=6.4Hz,1H)、7.29(d,J=6.8Hz,1H)、7.50−7.59(m,5H)、7.69−7.73(m,2H)、7.84(dd,J=1.6Hz、J=8.0Hz,1H)、7.93(dd,J=7.2Hz、J=8.0Hz,1H)、8.23(d,J=4.8Hz,1H)、8.51(t,J=2.0Hz,1H)、8.94(dd,J=5.6Hz、J=6.0Hz,1H)、9.0(d,J=2.0Hz,1H)、9.16(d,J=2.0Hz,1H);
【0192】
【化45】
【0193】
N−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド(0.0200g、0.0370ミリモル)に、TFA(0.00282mL、0.0370ミリモル)を室温で添加し、50℃で4時間加熱した。TFAを減圧下で除去し、その反応混合液を飽和NaHCO(50mL)で希釈した。反応混合液をEtOAc(3x30mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件14)に付して精製し、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド(0.0120g、65%)を得た。LCMS(条件7):保持時間 1.59分、[M+1]=507.2;HPLC(条件25):保持時間 5.23分、純度 97.90%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 3.21−3.49(m,4H)、3.63−3.72(m,1H)、4.55−4.60(m,1H)、4.66(d,J=4.0Hz,2H)、4.84(br s,1H)、6.32(dd,J=4.0Hz、J=4.4Hz,1H)、7.22(dd,J=4.8Hz、J=6.8Hz,1H)、7.28(d,J=8.0Hz,1H)、7.50−7.58(m,5H)、7.68−7.73(m,2H)、7.80(dd,J=1.6Hz、J=8.4Hz,1H)、7.93(dd,J=7.2Hz、J=8.4Hz,1H)、8.23(d,J=4.8Hz,1H)、8.51(t,J=2.0Hz,1H)、8.75(t,J=5.6Hz,1H)、8.98(d,J=2.0Hz,1H)、9.16(d,J=2.0Hz,1H);
【0194】
実施例7
1−(5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)エタン−1,2−ジオール
【化46】
【0195】
【化47】
【0196】
ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(7.10g、32.3ミリモル)のDMSO(25mL)中溶液に、NaH(95%、0.774g、32.3ミリモル)を外界温度で少しずつ添加し、つづいて5−ブロモニコチンアルデヒド(3.00g、16.1ミリモル)/DMSO(15mL)を15分かけて滴下して加えた。氷冷水(200mL)を添加して反応混合液をクエンチさせ、得られた混合物をEtOAc(2x150mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、40g、25%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、3−ブロモ−5−(オキシラン−2−イル)ピリジン(1.00g、31.0%)を淡黄色液体として得た。LCMS(条件8):保持時間 1.83分、[M+2]=202.2;H NMR(400MHz、CDCl) δ 2.79(dd,J=2.4Hz、J=5.2Hz,1H)、3.20(dd,J=4.0Hz、J=5.2Hz,1H)、3.87(dd,J=2.4Hz、J=4.0Hz,1H)、7.69(dd,J=1.6Hz、J=2.0Hz,1H)、8.50(d,J=1.6Hz,1H)、8.62(d,J=2.0Hz,1H);
【0197】
【化48】
【0198】
3−ブロモ−5−(オキシラン−2−イル)ピリジン(1.00g、5.00ミリモル)のアセトン(25mL)中溶液に、BF・OEt(0.950mL、7.50ミリモル)を外界温度で滴下して加え、該反応混合液を14時間攪拌した。該反応混合液を水(15mL)で希釈し、EtOAc(2x50mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、40g、25%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、3−ブロモ−5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリジン(0.700g、54.2%)を淡黄色液体として得た。LCMS(条件8):保持時間 2.17分、[M+2]=260.0;H NMR(400MHz、CDCl) δ 1.48(s,3H)、1.55(s,3H)、3.72(dd,J=7.6Hz、J=8.4Hz,1H)、4.36(dd,J=6.4Hz、J=8.4Hz,1H)、5.08(dd,J=6.4Hz、J=7.6Hz,1H)、7.85−7.86(m,1H)、8.49(d,J=1.6Hz,1H)、8.62(d,J=2.0Hz,1H);
【0199】
【化49】
【0200】
3−ブロモ−5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリジン(100mg、0.387ミリモル)、ビス(ピナコラト)ジボロン(148mg、0.581ミリモル)およびKOAc(114mg、1.16ミリモル)の1,4−ジオキサン(10mL)中溶液を窒素で30分間パージした。次にPd(dppf)Cl−CHCl(32.0mg、0.0390ミリモル)を加え、該反応混合液を密封管中にて100℃で14時間加熱した。反応混合液を外界温度に冷却し、セライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(90.0mg、76.0%)を粘稠性の油状物として得、それをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS(条件11):保持時間 0.95分、[M+1]=306.1;
【0201】
【化50】
【0202】
4−クロロ−1−(5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリジン−3−イル)−5−フェニルフタラジン(1.00g、収率82.0%)を、実施例1におけるN−(tert−ブチル)−5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミドの調製について記載される方法に基づき、1,4−ジクロロ−5−フェニルフタラジン(0.800g、2.91ミリモル)、3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(0.887g、2.91ミリモル)、K3PO4(0.617g、2.91ミリモル)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.0160g、0.0580ミリモル)およびPd(dba)(0.0270g、0.0290ミリモル)から調製した。該粗生成物を精製することなく次の工程に適用した。LCMS(条件11):保持時間 1.05分、[M+1]=418.1;
【0203】
【化51】
【0204】
4−クロロ−1−(5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)ピリジン−3−イル)−5−フェニルフタラジン(1.00g、2.39ミリモル)のトルエン(5mL)中溶液に、ピリジン−2−イルメタンアミン(5.00mL、48.5ミリモル)を加え、その中身を100℃で12時間加熱した。反応混合液をDCM(200mL)で希釈し、1.5N HCl(2x20mL)で洗浄した。有機抽出液を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件18)に付して精製し、1−(5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル) アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)エタン−1,2−ジオール(55.0mg、5.11%)を白色固体として得た。ラセミ生成物(50mg)をキラルSFC(一般的方法に記載される条件29)の操作で個々のエナンチオマーに分割した。
【0205】
エナンチオマー−1:
1−(5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)エタン−1,2−ジオール(18.0mg);キラルHPLC(条件29):保持時間 7.38分、純度 100%;LCMS(条件4):保持時間 2.15分、[M+1]=450.2;
【0206】
エナンチオマー−2:
1−(5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)エタン−1,2−ジオール(15.0mg);キラルHPLC(条件29):保持時間 8.83分、純度 98.16%;LCMS(条件2):保持時間 1.65分、[M+1]=450.2;
【0207】
H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 3.53−3.66(m,2H)、4.65(d,J=4.4Hz,2H)、4.68−4.75(m,1H)、4.87(dd,J=5.6Hz、J=6.0Hz,1H)、5.54(d,J=4.4Hz,1H)、6.26(t,J=4.4Hz,1H)、7.18−7.24(m,1H)、7.27(d,J=8.0Hz,1H)、7.51−7.58(m,5H)、7.68−7.73(m,2H)、7.84−7.93(m,2H)、8.01(t,J=2.0Hz,1H)、8.23(dd,J=3.2Hz、J=4.4Hz,1H)、8.69(d,J=2.0Hz,1H)、8.73(d,J=2.0Hz,1H);
【0208】
【表2】
【0209】
実施例10
1−(5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)尿素
【化52】
【0210】
【化53】
【0211】
4−(5−アミノピリジン−3−イル)−N−ベンジル−8−フェニルフタラジン−1−アミン(60.0mg、0.149ミリモル)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、イソシアン酸クロロスルホニル(0.0191mL、0.223ミリモル)を0℃で滴下して加え、その反応混合液を、外界温度に加温しながら、2時間攪拌させた。揮発性成分を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を0℃に冷却した。1.5N HClを添加し、反応混合液をさらに2時間攪拌させた。水性炭酸水素ナトリウムを添加して、反応混合液のpHを約8に調整した。得られた溶液を酢酸エチル(3x5mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件30)に付して精製し、1−(5−(4−(ベンジルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)尿素(2.00mg、3.01%)を白色固体として得た。LCMS(条件4):保持時間 2.32分、[M+1]=447.2;HPLC(条件28):保持時間=6.13分、純度 98.80%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 4.51(d,J=4.8Hz,2H)、5.04(t,J=4.8Hz,1H)、6.10(s,2H)、7.02(dd,J=1.2Hz、J=6.8Hz,2H)、7.22−7.28(m,3H)、7.43−7.51(m,5H)、7.68(dd,J=1.2Hz、J=7.6Hz,1H)、7.85−7.92(m,2H)、8.24(dd,J=2.0Hz、J=2.4Hz,1H)、8.37(d,J=2.0Hz,1H)、8.64(d,J=2.4Hz,1H)、8.94(s,1H);
【0212】
実施例11
N−(5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)アセトアミド
【化54】
【0213】
【化55】
【0214】
4−(5−アミノピリジン−3−イル)−8−フェニル−N−(ピリジン−2−イルメチル)フタラジン−1−アミン(50.0mg、0.124ミリモル)の外界温度でのジクロロメタン(5mL)中溶液に、ピリジン(0.0200mL、0.247ミリモル)を、つづいて塩化アセチル(0.0132mL、0.185ミリモル)を添加した。室温で5時間攪拌した後、その反応混合液をジクロロメタン(50mL)で希釈し、有機部分を水(10mL)で、つづいて食塩水(10mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件31)に付して精製し、N−(5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)アセトアミド(25.0mg、45.3%)を白色固体として得た。LCMS(条件4):保持時間 2.08分、[M+1]=447.2;HPLC(条件28):保持時間=5.63分、純度 94.65%;H NMR(400MHz、CDOD) δ 2.21(s,3H)、4.65(s,2H)、7.21−7.26(m,2H)、7.49(br s,5H)、7.69−7.73(m,2H)、7.88−7.94(m,2H)、8.28−8.30(m,1H)、8.42(dd,J=2.0Hz、J=2.4Hz,1H)、8.55(d,J=2.0Hz,1H)、8.90(d,J=2.4Hz,1H);
【0215】
実施例12
5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イルカルバミン酸イソプロピル
【化56】
【0216】
【化57】
【0217】
4−(5−アミノピリジン−3−イル)−8−フェニル−N−(ピリジン−2−イルメチル)フタラジン−1−アミン(50.0mg、0.124ミリモル)の室温でのジクロロメタン(5mL)中溶液に、ピリジン(0.0200mL、0.247ミリモル)を、つづいてイソプロピルカルボノクロリダート(18.2mg、0.148ミリモル)を添加した。反応混合液を外界温度で12時間攪拌し、ついでジクロロメタン(50mL)で希釈し、有機部分を水(10mL)で、つづいて食塩水(10mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件32)に付して精製し、(5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)カルバミン酸イソプロピル(35.0mg、57.7%)を得た。LCMS(条件4):保持時間 2.16分、[M+1]=491.0;HPLC(条件28):保持時間=6.66分、純度 95.13%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.29(d,J=6.0Hz,6H)、4.65(d,J=4.0Hz,2H)、4.93(sept,J=6.0Hz,1H)、6.28(t,J=4.0Hz,1H)、7.22(dd,J=6.0Hz、J=7.6Hz,1H)、7.28(d,J=8.0Hz,1H)、7.45−7.60(m,5H)、7.68−7.73(m,2H)、7.84−7.93(m,2H)、8.17(t,J=2.0Hz,1H)、8.22−8.24(m,1H)、8.48(d,J=2.0Hz,1H)、8.81(d,J=2.0Hz,1H)、10.00(s,1H);
【0218】
実施例13
N−ベンジル−4−(2−tert−ブトキシピリジン−4−イル)−8−フェニルフタラジン−1−アミン
【化58】
【0219】
【化59】
【0220】
1,4−ジクロロ−5−フェニルフタラジン(0.400g、1.45ミリモル)、2−(tert−ブトキシ)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(0.484g、1.75ミリモル)のジオキサン(20mL)および水(2mL)中溶液に、リン酸カリウム塩(0.617g、2.91ミリモル)を添加した。反応混合液を窒素ガスで30分間パージし、次にPd(dba)(0.013g、0.015ミリモル)を、つづいてトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(11mg、0.029ミリモル)を加えた。パージ操作をさらに15分間続け、反応混合液を95℃で12時間加熱した。反応混合液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、コンビフラッシュ・イスコ(Combiflash Isco)(REDISEP(登録商標)、SiO、12g、0−30%酢酸エチル/石油エーテル)を用いるフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、1−(2−(tert−ブトキシ)ピリジン−4−イル)−4−クロロ−5−フェニルフタラジン(0.400g、33.2%)を褐色固体として得た。LCMS(条件11):保持時間 1.22分、[M+1]=390.2;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.70(s,9H)、6.84(br s,1H)、7.05(dd,J=1.2Hz、J=5.2Hz,1H)、7.36−7.44(m,2H)、7.47−7.51(m,3H)、8.06(dd,J=1.2Hz、J=7.6Hz,1H)、8.15(dd,J=0.8Hz、J=4.8Hz,1H)、8.26(dd,J=7.2Hz、J=8.0Hz,1H)、8.47(d,J=1.2Hz、J=8.4Hz,1H);
【0221】
【化60】
【0222】
ベンジルアミン(5.00mL、45.8ミリモル)を1−(2−(tert−ブトキシ)ピリジン−4−イル)−4−クロロ−5−フェニルフタラジン(0.200g、0.513ミリモル)に加え、密封管中にて100℃で12時間加熱した。反応混合液をジクロロメタン(100mL)で希釈し、水(50mL)で、つづいて食塩水(25mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をコンビフラッシュ・イスコ(REDISEP(登録商標)、塩基性Al、80g、0−70%酢酸エチル/石油エーテル)を用いるフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、過剰量のベンジルアミンを除去した。次に得られた残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件33)に付して精製し、N−ベンジル−4−(2−(tert−ブトキシ)ピリジン−4−イル)−8−フェニルフタラジン−1−アミン(0.120g、50.8%)を白色固体として得た。LCMS(条件34):保持時間 2.67分、[M+1]=461.2;HPLC(条件35):保持時間=21.80分、純度 99.30%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.63(s,9H)、4.50(d,J=5.2Hz,2H)、5.07(t,J=5.2Hz,1H)、6.90(dd,J=0.4Hz、J=0.8Hz,1H)、7.00−7.03(m,2H)、7.17(dd,J=1.6Hz、J=5.2Hz,1H)、7.22−7.28(m,3H)、7.42−7.50(m,5H)、7.67(dd,J=1.2Hz、J=6.8Hz,1H)、7.85−7.93(m,2H)、8.31(dd,J=0.4Hz、J=5.2Hz,1H);
【0223】
実施例14
N−(3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド
【化61】
【0224】
【化62】
【0225】
5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチン酸(15.0mg、0.0350ミリモル)をN−(3−アミノフェニル)メタンスルホンアミド(7.73mg、0.0420ミリモル)に加え、HATU(19.7mg、0.0520ミリモル)およびDIPEA(0.0180mL、0.104ミリモル)のDMF(0.5mL)中溶液を加えた。反応混合液を室温で5時間攪拌した。揮発性成分を高真空下で除去し、残渣を逆相プレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件36)に付して精製し、N−(3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ニコチンアミド(5.79mg、26.4%)を白色固体として得た。LCMS(条件37):保持時間 1.63分、[M+1]=602.1、純度 95.02%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 3.01(s,3H)、4.67(d,J=4.4Hz,2H)、6.34(t,J=4.4Hz,1H)、6.95−6.99(m,1H)、7.21−7.24(m,1H)、7.28(d,J=8.0Hz,1H)、7.30(t,J=8.0Hz,1H)、7.50−7.58(m,6H)、7.68−7.77(m,3H)、7.90−7.94(m,2H)、8.22−8.24(m,1H)、8.61(t,J=2.0Hz,1H)、9.05(d,J=2.0Hz,1H)、9.26(d,J=2.0Hz,1H)、10.60(s,1H);
【0226】
実施例15
5−(4−(3−フルオロフェニルアミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド
【化63】
【0227】
【化64】
【0228】
N−(tert−ブチル)−5−(4−クロロ−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(1.00g、2.21ミリモル)/3−フルオロアニリン(2.94g、26.5ミリモル)を密封管中にて100℃で12時間加熱した。冷却した後、揮発性成分を減圧下で除去し、得られた残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、24g、60%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、N−(tert−ブチル)−5−(4−((3−フルオロフェニル)アミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(0.70g、60%)を褐色固体として得た。LCMS(条件11):保持時間 1.20分、[M+1]=528.4;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 1.94(s,9H)、6.50(dd,J=1.2Hz、J=8.4Hz,1H)、6.76(td,J=2.5Hz、J=8.4Hz,1H)、7.19−7.25(m,2H)、7.53−7.66(m,6H)、7.88−7.93(m,3H)、8.05(dd,J=6.8Hz、J=8.4Hz,1H)、8.54(t,J=2.0Hz,1H)、9.15(d,J=2.0Hz,1H)、9.16(d,J=2.0Hz,1H);
【0229】
【化65】
【0230】
N−(tert−ブチル)−5−(4−((3−フルオロフェニル)アミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(0.600g、1.14ミリモル)をTFA(10.0mL、130ミリモル)に溶かし、65℃で4時間加熱した。TFAを減圧下で除去し、得られた残渣を飽和NaHCO(100mL)で希釈した。反応混合液をEtOAc(3x100mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をコンビフラッシュ(REDISEP(登録商標)、シリカゲル、40g、0−6%MeOH/DCM)に付して精製し、5−(4−((3−フルオロフェニル)アミノ)−5−フェニルフタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(0.15g、27%)をオフホワイト固体として得た。LCMS(条件38):保持時間 2.12分、[M+1]=472.2;HPLC(条件25):保持時間=9.61分、純度 99.78%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 6.50(dd,J=1.6Hz、J=8.0Hz,1H)、6.76(td,J=2.0Hz、J=8.4Hz,1H)、7.19−7.25(m,2H)、7.53−7.66(m,6H)、7.76(br s,2H)、7.90(dd,J=1.2Hz、J=7.2Hz,1H)、7.95(dd,J=1.2Hz、J=8.0Hz,1H)、8.05(dd,J=7.2Hz、J=8.0Hz,1H)、8.54(dd,J=2.0Hz、J=2.4Hz,1H)、9.15(d,J=2.0Hz,1H)、9.16(d,J=2.4Hz,1H);
【0231】
実施例16
5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イルスルホニルホスホロアミド酸
【化66】
【0232】
【化67】
【0233】
5−(5−フェニル−4−((ピリジン−2−イルメチル)アミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−スルホンアミド(1.00g、2.13ミリモル)のジクロロメタン(25mL)中溶液に、DIPEA(1.49mL、8.54ミリモル)を0℃で添加し、該反応混合液を10分間攪拌した。POCl(0.597mL、6.40ミリモル)を0℃で加え、反応混合液を外界温度にまで加温しながら3時間攪拌させた。DCMおよび過剰量のPOClを減圧下で蒸発させた。その得られた残渣に、氷冷水(5mL)を加え、得られた混合物を外界温度で30分間攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、固体をアセトニトリル(10mL)およびアセトン(10mL)で連続して洗浄した。該固体を1.5N HCl(10mL)に溶かし、外界温度で3時間攪拌させ、残渣をプレパラティブHPLC(一般的方法に記載される条件42)に付して精製した。生成物を含有するフラクションを集め、合わせ、減圧下にて低温(30℃)で蒸発させた。残渣を水と一緒に凍結乾燥させて5−(5−フェニル−4−(ピリジン−2−イルメチルアミノ)フタラジン−1−イル)ピリジン−3−イルスルホニルホスホロアミド酸(600mg、51.3%)を白色固体として得た。LCMS(条件2):保持時間 1.60分、[M+1]=549.2;HPLC(条件26):保持時間=11.16分、純度 99.05%;H NMR(400MHz、DMSO−d) δ 4.67(d,J=3.6Hz,2H)、6.48(br s,1H)、7.21−7.25(m,1H)、7.28(d,J=8.0Hz,1H)、7.51−7.59(m,5H)、7.69−7.74(m,2H)、7.91−7.94(m,2H)、8.21−8.23(m,1H)、8.51(t,J=2.0Hz,1H)、9.10(t,J=2.0Hz,1H)、9.13(t,J=2.0Hz,1H);
【0234】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【表3-16】
【表3-17】
【0235】
有用性
一般に、上記の実施例に開示される具体的な化合物等の本発明の化合物は、(例えば、以下に示されるアッセイなどの、一のアッセイにて0.3マイクロモルの濃度で、14%の、好ましくは30%の、より好ましくは40%の、その上より好ましくは50%の阻害%の値を示すことで)電位開口型KチャネルのK1サブファミリーを阻害することが明らかにされた。電位開口型KチャネルのK1サブファミリーの阻害剤としての活性を示すことにより、本発明の化合物は、電位開口型KチャネルのK1サブファミリーと関連するヒト疾患の治療で有用であると考えられる。
【0236】
化合物の、IKur阻害剤としての活性度を測定するアッセイは当該分野にて周知であり、J.Gen.Physiol., 101(4):513-543(Apr. 1993)、およびBr.J.Pharmacol., 115(2):267-274(May 1995)等の文献に記載される。
【0237】
化合物の、Kサブファミリーの他のメンバーの阻害剤としての活性度を測定するアッセイも当該分野にて周知である。例えば、K1.1、K1.2およびK1.3の阻害は、Grissmer,S.ら、Mol.Pharmacol., 45(6):1227-1234(Jun. 1994)に記載の操作を用いて測定することができ;K1.4の阻害は、Petersen,K.R.ら、Pflugers Arch., 437(3):381-392(Feb. 1999)に記載の操作を用いて測定することができ;K1.6の阻害は、Bowlby,M.R.ら、J.Neurophysiol. 73(6):2221-2229(Jun. 1995)に記載の操作を用いて測定することができ;およびK1.7の阻害は、Kalman,K.ら、J.Biol.Chem., 273(10):5851-5857(Mar. 6, 1998)に記載の操作を用いて測定することができる。
【0238】
表2に示される実施例1−50を、ヒトK1.5mRNAと一緒に注入し、(下記の文献にて記載されるように)IKur蛋白を安定して発現する、パッチクランプされた哺乳動物のL−929細胞におけるIKur電流の遮断についてアッセイした。実施例の化合物が0.3mM濃度での阻害データを表2に示す。
【0239】
1.Synders,D.J.ら、「A rapidly activating and slowly inactivating potassium channel cloned from human heart:functional analysis after stable mammalian cell culture expression」, J.Gen.Physiol., 101:513-543(1993);
【0240】
2.Zhou,Z.ら、「Block of HERG potassium channels by the antihistamine astemizole and its metabolites desmethylastemizole and norastemizole」, J.Cardiovasc.Electrophysiol., 10(6):836-843(1999)
【0241】
【表4-1】




【表4-2】
【0242】
実施例16は実施例1のプロドラッグである。個々の親化合物となるプロドラッグの切断は、インビボでのラットPK評価試験において、あらゆる用量をPO投与して明らかにされた。また、ペンタガストリンまたはファモチジンでの前処理を行うPOのPKでのpH調整剤の効果を測定するのにラットにて評価したプロドラッグは、該プロドラッグがこの実験にてpH依存性吸収作用を緩和することを示した。従って、実施例16はカリウムチャネル機能を阻害するのに有用であり、不整脈、IKur関連性障害、ならびにイオンチャネル機能が介在する他の障害(カリウムチャネル機能の阻害剤であることが明らかにされている実施例1を提供することで治療される他の障害)の治療および予防にて有用である。
【0243】
本発明の範囲内にある化合物は、電位開口型KチャネルのK1サブファミリーを阻害し、それ自体が、種々の疾患:心律動異常(上室性不整脈、心房性不整脈、心房粗動、心房細動、心臓虚血の合併症を含む);狭心症(プリンツメタル型症候群、血管攣縮性症候群および変形症候群の軽減を含む);胃腸障害(逆流性食道炎、機能性消化不良、自動運動性障害(便秘および下痢を含む)、および過敏性大腸症候群を含む);血管および内臓平滑筋の障害(喘息、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、末梢血管性疾患(間欠性跛行を含む)、静脈不全、勃起不全、脳性および冠攣縮およびレイノー病を含む);炎症性および免疫性疾患(炎症性腸疾患、関節リウマチ、移植片拒絶反応、喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症およびアテローム性動脈硬化症を含む);細胞増殖性障害(再狭窄および癌(白血病を含む)を含む);聴覚系障害;黄斑変性症および白内障を含む視覚系障害;糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害および糖尿病性神経障害を含む糖尿病;筋緊張症および筋肉の萎縮を含む筋疾患;末梢神経障害;認知障害;片頭痛;アルツハイマー病および認知症を含む記憶障害;パーキンソン病および運動失調症を含むCNS介在性運動機能不全;てんかん;および他のイオン介在性障害の治療および/または予防において、ならびに正常洞調律の維持を含む心拍数の調整剤として用いるのに有用であると考えられる。
【0244】
電位開口型KチャネルのK1サブファミリーの阻害剤としての本発明の化合物は、臓器または組織の移植による耐性、骨髄移植により生じる対宿主移植片疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、若年性または再発性真性糖尿病、後部ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、病原菌により惹起される感染症、炎症性および過増殖性皮膚疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管性浮腫、血管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリトマトーゼス、ざ瘡、円形脱毛症、角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に付随するブドウ膜炎、角膜炎、疱疹性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼天疱瘡、モーレン潰瘍強膜炎、グレーブス眼症、フォークト・小柳・原田症候群、サルコイドーシス、花粉アレルギー、可逆性閉塞性気道、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性または常習性喘息、遅発型喘息および気道過敏反応症、気管支炎、胃潰瘍、虚血性疾患および血栓症により惹起される血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性小腸大腸炎、熱損傷およびロイコトリエンB4介在性疾患に付随する腸病変、コイライアス(Coeliaz)疾患、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、片頭痛、鼻炎、湿疹、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒性症候群、糖尿病性腎障害、多発筋炎、ギランバレー症候群、メニエール病、多発神経炎、多発性神経筋炎、単神経炎、神経根疾患、甲状腺機能亢進症、バセドウ疾患、純赤血球無形成症、再生不良性貧血、形成不全性貧血、突発性血小板減少性紫斑病、自己免疫溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤眼球性貧血、赤血球形成不全症、骨粗鬆症、サルコイドーシス、肺類線維腫、突発性間質性肺炎、皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性鱗癬、光アレルギー性過敏症、皮膚T細胞リンパ腫、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発動脈炎、心筋症、強皮症、ヴェグナー肉芽腫、シェーグレン症候群、脂肪過多症、好酸球性筋膜炎、歯肉、歯周組織、歯槽骨、および歯のセメント質の病変、糸球体腎炎、脱毛を防止するか、または発毛を提供および/または発毛および育毛を促進することによる男性型脱毛症あるいは老人性脱毛症、筋ジストロフィー;膿皮症およびセザリー症候群、アジソン病、臓器の保存、移植または虚血性疾患の際に生じる虚血−再灌流傷害、エンドトキシンショック、偽膜性大腸炎、薬物または放射線照射により惹起される大腸炎、虚血性急性腎不全、慢性腎不全、肺−酸素または薬物により惹起される中毒症、肺癌、肺気腫、白内障、鉄沈着症、網膜炎、色素変性症(pigentosa)、老人性黄斑変性症、硝子体瘢痕化、角膜アルカリ熱傷、皮膚炎紅斑多形、リニアIgA水疱性皮膚炎およびセメント皮膚炎、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染により惹起される疾患、老化、発癌(carcinogenis)、癌転移および高山病、ヒスタミンまたはロイコトリエンC4の放出により惹起される疾患、ベーチェット病、自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、肝臓部分的切除、急性肝臓壊死、トキシンにより惹起される壊死、ウイルス性肝炎、発作または無酸素症、B型ウイルス肝炎、非A/非B型肝炎、硬変症、アルコール性肝硬変、肝不全、劇症肝不全、遅発型肝不全、「アキュート−オン−クロニック」肝不全、化学療法作用の促進(augention)、サイトメガロウイルス感染、HCMV感染、AIDS、癌、老人性痴呆、トラウマ、および慢性細菌性感染を含む、さらなる種々の障害を治療するのに有用であると思われる。
【0245】
本発明の化合物は、不整脈の予防および治療(部分的な軽減または治癒を含む)において有用である抗不整脈薬であると考えられる。K1.5の阻害剤としての本発明の範囲内にある化合物は、心房細動および心房粗動などの上室性不整脈の選択的予防および治療にて特に有用である。「上室性不整脈の選択的予防および治療」とは、心房の効果的な不応性期間の延長の、心室の効果的な不応性期間の延長に対する割合が1:1よりも大きい、上室性不整脈の予防または治療を意味する。この割合はまた、4:1よりも大きく、さらには10:1よりも大きくすることができる。加えて、この割合は、心房の効果的な不応性期間の延長が検出可能な心室の効果的な不応性期間の有意な延長を伴うことなく、達成されるようにしてもよい。
【0246】
加えて、本発明の範囲内にある化合物はIKurを遮断し、かくしてあらゆるIKur関連症状の予防および治療にて有用であり得る。「IKur関連症状」とは、IKur遮断薬の投与により予防、部分的に軽減、または治癒され得る障害である。K1.5遺伝子は、胃組織、腸/結腸組織、肺動脈、および膵臓ベータ細胞にて発現されることが知られている。かくして、IKur遮断剤の投与は、逆流性食道炎、機能性消化不良、便秘、喘息および糖尿病などの障害において有用な治療作用を提供しうる。加えて、K1.5は脳下垂体前葉中で発現することも知られている。よって、IKur遮断剤の投与は成長ホルモンの分泌を刺激し得る。IKur阻害剤はさらに、白血病などの細胞増殖性障害、および関節リウマチおよび移植片拒絶反応などの自己免疫疾患において有用であり得る。
【0247】
かくして、本発明は、上記される1または複数の障害の予防または治療方法であって、その予防または治療を必要とする対象に、有効量の式(I)または(Ia)の化合物、あるいは実施例で説明される化合物を少なくとも一つ投与する工程を含む、方法を提供する。下記の治療剤などの他の治療薬を本発明の方法にて本発明の化合物と一緒に利用してもよい。本発明の方法にて、かかる他の治療薬は、本発明の化合物を投与する前に、同時に、あるいはその後に投与してもよい。
【0248】
投与量および製剤化
本発明はまた、上記した1または複数の障害の予防または治療能を有する少なくとも1の式(I)または(Ia)の化合物、または実施例にて説明される化合物、あるいはその塩をそのために有効量にて含み、さらに医薬的に許容されるベヒクルまたは希釈剤を含む、医薬組成物を提供する。本発明の組成物は、下記の他の治療薬を有してもよく、例えば、通常の固体または液体ベヒクルまたは希釈剤、ならびに所望の投与経路に適する型の医薬用添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、保存剤、安定化剤、矯味矯臭剤等))を利用することで、製薬の分野にて周知の方法に従って、処方されてもよい。
【0249】
式(I)または(Ia)の化合物、あるいは実施例にて説明される化合物は、錠剤、カプセル、顆粒または散剤の形態のようないずれか適当な手段により、例えば経口的に;舌下的に;バッカル的に;皮下、静脈内、筋肉内または胸骨内注射または注入技法(例えば、滅菌注射用水性または非水性溶液または懸濁液等)によるように非経口的に;吸入スプレーによるように経鼻的に;クリームまたは軟膏の形態のように局所的に;坐剤の形態のように経直腸的に;非毒性の医薬的に許容されるベヒクルまたは希釈剤を含む用量単位製剤にて、投与されてもよい。本発明の化合物は、例えば、即時放出または長期放出に適する形態にて投与されてもよい。即時放出または長期放出は、本発明の化合物を含む適当な医薬組成物の使用により達成されてもよく、あるいは特に長期放出の場合は、皮下用インプラントまたは浸透圧性ポンプなどの装置の使用により達成されてもよい。式(I)または(Ia)の化合物、あるいは実施例にて説明される化合物が不整脈の予防または治療に投与される場合には、該化合物は正常な洞調律への化学的変換を達成するために投与されてもよく、あるいは所望により電気的除細動(electrical cardioconversion)と組み合わせて使用されてもよい。
【0250】
経口投与用の典型的な組成物として、懸濁液(例えば、バルクを分け与えるための微結晶セルロース、沈殿防止剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および甘味剤または香料(当該分野にて知られている甘味剤または香料等)を含有してもよい);および即放性錠剤(例えば、微結晶セルロース、リン酸ジカルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび/または乳糖 および/または他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤(当該分野にて知られているもの等)を含有してもよい)が挙げられる。式(I)または(Ia)の化合物、あるいは実施例にて説明される化合物はまた、舌下および/またはバッカル投与により口腔を通して送達されてもよい。成型錠、圧縮錠または凍結乾燥錠は使用され得る典型的な形態である。典型的な組成物として、本発明の化合物を急速溶解希釈剤(マンニトール、乳糖、ショ糖および/またはシクロデキストリンなど)と一緒に処方した組成物が挙げられる。そのような製剤にはまた、セルロース(アビセル(登録商標))またはポリエチレングリコール(PEG)などの高分子量賦形剤が含まれてもよい。かかる製剤はまた、粘膜接着を助けるための賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、ガントレッツ(Gantrez))等)、および放出を調整するための試剤(例えば、ポリアクリル酸コポリマー(例えば、カルボポール(Carbopol)934)等)を含んでもよい。滑沢剤、流動促進剤、芳香剤、着色剤、および安定化剤も、製造および使用を容易にするために添加されてもよい。
【0251】
経鼻用エアロゾルまたは吸入投与のための典型低な組成物として、例えば、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増大するための吸収促進剤、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤(当該分野にて知られるもの等)が挙げられる。
【0252】
非経口投与用の典型的な組成物として、注射用溶液または懸濁液が挙げられ、それは、例えば、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒(マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンガー溶液、等張性塩化ナトリウム溶液等)、あるいは他の適当な分散剤または湿潤剤および沈殿防止剤(合成モノ−またはジ−グリセリド、および脂肪酸(オレイン酸を含む))を含んでもよい。
【0253】
経直腸投与のための典型的な組成物として、例えば、適切な非刺激性賦形剤(常温で固体であるが、直腸腔で液化および/または溶解して薬物を放出する、カカオ脂、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコール等)を含有してもよい坐剤が挙げられる。
【0254】
局所投与のための典型的な組成物は、プラスチベース(Plastibase)(ポリエチレンでゲル化された鉱油)などの局所用担体を含む。
【0255】
本発明の化合物の有効量は、当業者であれば決定することができ、成人では典型的な投与量として、活性化合物が一日当たり約0.001ないし100mg/体重kgであり、これを単回投与で、または個別に分割された投与の形態で(1日当たり1ないし4回等で)投与されてもよい。どの特定の対象の具体的な用量レベルおよび投与頻度も変更可能であり、それは種々の因子(使用する具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用期間、対象の種類、年齢、体重、一般的な健康、性別および食餌、投与の様式および時間、排泄の割合、薬物の組み合わせ、および特定の病態の重篤度)に依存すると理解される。治療するのに好ましい対象として、上記した障害に罹患している動物が、最も好ましくはヒトなどの哺乳動物の種類、およびイヌ、ネコ等などの家庭内の動物が挙げられる。
【0256】
本発明の化合物は、単独で、または相互に組み合わせて、および/または上記した障害または他の障害の治療に有用な他の適切な治療剤と組み合わせて利用されてもよく、その他の適切な治療剤として、他の抗不整脈薬(クラスI薬(例えば、プロパフェノン)、クラスII薬(例えば、カルバジオールおよびプロプラノロール)、クラスIII薬(例えば、ソタロール、ドフェチリド、アミオダロン、アジミライドおよびイブチリド)、クラスIV薬(例えば、ジルチアゼムおよびベラパミル)、5HTアンタゴニスト(例えば、スラムセロド、セラリンおよびトロプセトロン)およびドロネダロン等);カルシウムチャンネル遮断薬(L型およびT型の両方)(ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン、およびミベフラジル等);シクロオキシゲナーゼ阻害剤(すなわち、COX−1および/またはCOX−2阻害剤)(アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、セレブレックス(登録商標)、ビオックス(登録商標)およびNSAID等);抗血小板薬(GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチドおよびチロフィバン)、P2Y12アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、カングレロール、チクロピジンおよびCS−747)、P2Y1アンタゴニスト、トロンボキサン受容体アンタゴニスト(例えば、イフェトロバン)、アスピリン、およびアスピリンを含むまたは含まないPDE−III阻害剤(例えば、ジピリダモール)等);利尿薬(クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン、クロルサリドン、フロセミド、ムソリミン、ブメタニド、トリアムトレネン、アミロライド、およびスピロノラクトン等);降圧剤(アルファアドレナリン作動性遮断薬、ベータアドレナリン作動性遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、利尿薬、レニン阻害剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ソフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラゾプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AIIアンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ETアンタゴニスト(例えば、シタキシセンタン、アトルセンタン、および米国特許第5,612,359号および第6,043,265号に開示の化合物)、デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば、WO00/01389に開示の化合物)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤(デュアルNEP−ACE阻害剤)(例えば、オマパトリラトおよびゲモパトリラト)、硝酸塩、およびかかる降圧薬の組み合わせ等);抗血栓薬/血栓溶解薬(組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、組換えtPA、テネクテプラーゼ(TNK)、ラノテプラーゼ(nPA)、第VIIa因子阻害剤、第Xa因子阻害剤(ラザキサバン等)、第XIa因子阻害剤、トロンビン阻害剤(例えば、ヒルジンおよびアルガトロバン)、PAI−1阻害剤(すなわち、組織プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤の失活剤)、α2−抗プラスミン阻害剤、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化剤複合体、および動物または唾液腺プラスミノーゲンアクチベーター等);抗凝血剤(ワルファリンおよびヘパリン等(未分画および低分子量ヘパリン(エノキサパリンおよびダルテパリン等)を含む);HMG−CoA還元酵素阻害剤(プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104(別名:イタバスタチン、ニスバスタチンまたはニスバスタチン)およびZD−4522(別名:ロスバスタチン、アタバスタチンまたはビサスタチン)等);他のコレステロール/脂質低下薬(スクアレン合成酵素阻害剤、フィブラート、および胆汁酸金属イオン封鎖剤(例えば、ケストラン(登録商標))等);抗増殖性薬(サイクロスポリンA、タキソール(登録商標)、FK506、およびアドリアマイシン等);抗腫瘍薬(タキソール(登録商標)、アドリアマイシン、エポシロン、シスプラチンおよびカルボプラチン等);抗糖尿病性薬(ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インスリン、メグリチナイド(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリドおよびグリピジド)、ビグアナイド/グリブリドの併用薬(すなわち、グルコバンス(登録商標))、チオゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、PPAR−ガンマアゴニスト、ap2阻害剤、およびDP4阻害剤等);甲状腺模倣薬(甲状腺受容体アンタゴニストを含む)(例えば、サイロトロピン、ポリチロイド、KB−130015、およびドロネダロン);鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト(スピロノラクトンおよびエピレリノン等);成長ホルモン分泌促進物質;抗骨粗鬆症薬(例えば、アレンドロネートおよびラロキシフェン);ホルモン補充治療薬(エストロゲン(プレマリン中結合型エストロゲンを含む)およびエストラジオール等);抗うつ薬(ネファゾドンおよびセルトラリン等);抗不安薬(ジアゼパム、ロラゼパム、ブスピロン、およびヒドロキシジン・パモ酸塩等);経口避妊薬;抗潰瘍および胃食道逆流症薬(ファモチジン、ラニチジン、およびオメプラゾール等);抗肥満薬(オーリスタット等);強心性配糖体(ジギタリスおよびウワバインを含む);ホスホジエステラーゼ阻害剤(PDEIII阻害剤(例えば、シロスタゾール)、およびPDEV阻害剤(例えば、シルデナフィル)等);タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;ステロイド系抗炎症薬(プレドニゾンおよびデキサメタゾン等);および他の抗炎症薬(エンブレル(登録商標)等)が挙げられる。併用薬は一緒に処方することも、あるいは共投与するめの適切な投与量を提供するのにパッケージしたキットの形態とすることもできる。
【0257】
上記した他の治療薬が、本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合、該治療薬は、例えば、Physicians' Desk Reference(PDR)に記載の用量で使用されてもよく、さもなければ当業者が決定してもよい。
【0258】
特許および特許出願に限定されるものではないが、本明細書中に引用される刊行物および参考文献は、たとえ個々の各刊行物および参考文献が十分に記載されている場合に出典明示によりその明細書の一部とすると記載するとしても、その内容すべてを出典を明示することで本明細書に組み込まれるものとする。
【0259】
本発明が特定の実施態様を強調して記載されるとしても、特定の化合物および方法における変形を用いてもよく、本発明が明細書に具体的に記載される以外の態様で実施されるものとすることは当業者に明らかである。従って、本発明は、添付する特許請求の範囲により限定される発明の精神および範囲内に含まれるすべての修飾を包含するものである。