(54)【発明の名称】tert−ブチル 4−((1R,2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【文献】
MANGION,I.K. et al,Organic Letters,2011年,Vol.13, No.20,p.5480-5483
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明(あるいは本明細書中で「プロセスP」と呼ばれる)は、上で発明の概要中に記載されているステップBを含む、式IIIの化合物を調製する方法を包含する。ステップBは、カップリング試薬の使用を伴わない、アミンでのラクトンの求核性開環に直接的に関与する。ステップBは、高価な遷移金属または爆発性危険物、例えばジアゾメタンなどを必要とする、環化を実施するための代替手法の使用、例えばジアゾケトンまたはケトスルホキソニウムイリドの発生などを避けている。ある実施形態において、ステップBはまた、高い収率;すなわち、95%またはそれより高い収率を提供することができる。式IIIの化合物は、ベータ−ラクタマーゼ阻害剤(2S,5R)−7−オキソ−N−ピペリジン−4−イル−6−(スルホキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドの合成のためのプロセスにおける中間体として有用である。(2S,5R)−7−オキソ−N−ピペリジン−4−イル−6−(スルホキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドの合成のための全体的なプロセスは、異なる物質から開始するため、部分的に短くなる。
【0015】
異なる保護基の選択は、多ステップの保護/脱保護および大量の副産物の形成を避けつつ、置換を高収率で実行することを可能にする。保護基および活性化剤の妥当かつ適切な選択は、置換の際の副産物を最小限にするために選択的反応条件を用いることを可能にする(ステップC)。これらの新たな保護基は、試薬の退屈なモニタリングを伴わずに水素添加を実行することを可能にし、保護基スイッチとしての副産物形成はもはや必要でない(ステップE)。最後に、最終の脱保護ステップのための新たな条件セットは、副産物の発生を避けつつ、高収率およびクリーンな反応を生み出す(ステップG)。
【0016】
全体的に、ある実施形態において、本発明は高収率(約42%の全収率)、ハイスループットおよび低コストを提供する。プロセスはまた、現経路と対比して全合成中のいくつかのステップを取り除く(新発明中で7つの単離ステップ、これに対して旧経路中では12)。新たな発明はまた、イリジウム触媒反応を、生体触媒を介して得ることができる中間体で置き換えることにより、改良された持続可能性を提供する。
【0017】
ステップB中の、それが付着しているアミノ窒素との組み合わせにおけるアミン保護基PG1は、カルバメートまたはベンジルアミンまたはスルホンアミドであることができる。それらの形成および切断に適したカルバメート、ベンジルアミンおよびスルホンアミド保護基および保護方法は、
Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973中に、ならびにT.W.Greene & P.G.M.Wuts,
Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,3
rd edition,1999および2
nd edition,1991中に記載されている。1の実施形態において、PG1は、(1)−C(=O)−O−(CH2)0−1−CH=CH2、(2)−C(=O)−O−CH2−AryB(式中、AryBは、各々が独立してハロ、−NO2、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである)、(3)−C(=O)−O−C1−4アルキル、または(4)−CH2−AryC(式中、AryCは、各々が独立してハロ、−NO2、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである)である。別の実施形態において、PG1は、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニルまたはベンジルである。なお別の実施形態において、PG1はBocである。なお別の実施形態において、pG1は、スルホニルハライド、例えばメタンスルホニルクロリド、クロロメタンスルホニルクロリド、ジクロロメタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、p−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、p−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、p−メトキシベンゼンスルホニルクロリド、2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、および2,4−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド、クロロメタンスルホニルクロリド、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、p−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、および2,4−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド、クロロメタンスルホニルクロリド、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドおよびp−ブロモベンゼンスルホニルクロリドなどから生じるスルホニル基である。好ましいスルホニルハライドは、2−ニトロベンゼンスルホニルクロリドである。
【0018】
P
G2は、P
G1基が不安定である条件下で不安定でないアミン保護基である。言い換えれば、P
G2は、P
G1の除去に適した条件下で切断されない基である。それが付着しているアミノ窒素との組み合わせにおけるP
G2は、好適には、アルキルカルバメート、アリールカルバメート、ビニルカルバメート、アリルカルバメート、アセトアミド(トリフルオロアセトアミドを包含する)またはベンジルアミンである。好適なP
G2基としては、Boc、Cbz、Alloc、p−メトキシベンジルおよびベンジルが挙げられる。好ましいP
G2はBocである。
【0019】
式II−Amのアミンは、例えば、対応するケトンの還元的アミノ化により、または対応するイミンのヒドリド還元により調製することができる。式II−Amのアミンの調製に適した方法のさらなる記述は、Richard Larock,
Comprehensive Organic Transformations,2
nd edition,Wiley−VCH Publishers Inc,1999,pp 753−879中に見出すことができる。
【0020】
ステップBは、有機溶媒中で行われる。好適な溶媒としては、DCE、THF、DMF、NMP、DMSO、1,4−ジオキサン、ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、トリフルオロトルエン、2−メチル−THFおよびアセトニトリルが挙げられる。好ましい溶媒は、THFおよびアセトニトリルである。
【0021】
ステップBにおける式II−Amのアミンの添加は、約25℃から約100℃までの温度で2から72時間または10から72時間行うことができ、典型的には約60℃から約85℃までの範囲内の温度で、8から24時間または15から24時間行われる。本明細書中で用いられるとき、用語「約」は、±5%、±10%または±15%の偏差を指すことができる。
【0022】
ステップBにおける式II−Suのスルホニルハライドの添加は、好適には、第三級アミン塩基の存在下、10分間から10時間にわたって、好ましくは30分間から90分間にわたって行うことができる。
【0023】
好適な第三級アミンの分類は、TEA、DIPEA、4−NMMおよび4−ジメチルアミノピリジンを包含する。4−ジメチルアミノピリジンは好ましい塩基である。塩基は、典型的には化合物IIIの当量あたり約1から約3当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1.1から約2当量までの範囲内(例として、約1.6当量)の量で使用される。
【0024】
ステップBにおける使用に適した例示的なスルホニルハライドとしては、メタンスルホニルクロリド、クロロメタンスルホニルクロリド、ジクロロメタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、p−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、p−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、p−メトキシベンゼンスルホニルクロリド、2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリドおよび2,4−ジクロロベンゼンスルホニルクロリドが挙げられる。好適なスルホニルハライドの分類は、クロロメタンスルホニルクロリド、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、p−ブロモベンゼンスルホニルクロリドおよび2,4−ジクロロベンゼンスルホニルクロリドからなる。好適なスルホニルハライドの別の分類は、クロロメタンスルホニルクロリド、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、2−ニトロベンゼンスルホニルクロリドおよびp−ブロモベンゼンスルホニルクロリドからなる。好ましいスルホニルハライドは、p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリドである。別の好ましいスルホニルハライドは、2−ニトロベンゼンスルホニルクロリドである。スルホニルハライドは、典型的には化合物IIIの当量あたり約1から約2当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1から約1.5当量までの範囲内(例として、約1.3当量)の量で使用される。
【0025】
ステップBにおける式II−Suのスルホニルハライドの添加は、約0℃から約50℃までの温度で行うことができ、典型的には約10℃から約30℃までの範囲内の温度で、30分間から90分間にわたって行われる。
【0026】
化合物IIIおよびステップBの他の実施形態は、以下を包含する:
(1a)kは、0または1である;
(1b)kは、0である;
(1c)kは、1である;
(2a)R2はH、C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、−O−Si(−C1−4アルキル)3または−O−Si(−C1−4アルキル)(フェニル)2であり、各々のR3はHまたはC1−4アルキルである;
(2b)R2はH、CH3、−OCH3、−O−トリメチルシリル(TMS)、−O−t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、−O−t−ブチルジメチルシリル(TBS)または−O−トリイソプロピルシリル(TIPS)であり、各々のR3はHまたはCH3である;
(2c)R2はHまたはCH3であり、各々のR3はHまたはCH3である;
(2d)R2はHであり、各々のR3はHである;
(2e)kが1または2であるという条件で、R2およびR2に隣接するR3は、各々が付着している炭素原子と共にC5−6シクロアルキルを形成し;ならびに任意の他のR3はHである。
【0027】
これらの実施形態(1)から(2)のうちの1または複数は、互いに組み合わせることができ、ここで各々のかかる組み合わせは化合物IIIおよびステップBの別々の実施形態である。言い換えれば、グループ1(1a、1bまたは1c)からの任意の実施形態を、グループ2(2a、2b、2c、2dまたは2e)からの任意の実施形態と組み合わせることができる。
【0028】
プロセスPの実施形態は、まさに上で記載されているステップBを含み、さらに以下を含む:
(A)式I:
【化5】
【0029】
の化合物を、水溶性塩基の存在下でP
G1生成剤と接触させ、その後に第三級塩基を添加することで、化合物IIを得ること。1の実施形態において、有機または無機の塩基の存在下で接触を生じさせることで、化合物IIが得られる。
【0030】
ステップAは、有機溶媒および水中で行われる。好適な溶媒としては、アセトン、トルエン、ジクロロメタン、DCE、DMF、DMAC、DMSO、THF、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、シクロペンチルメチルエーテル、アセトニトリル、EtOAc、IPAc、MeOAc、ニトロメタン、トリフルオロメチルベンゼン、メチルエチルケトン、DMEおよび2−MeTHFが挙げられる。好ましい溶媒は、アセトンおよび酢酸エチルである。
【0031】
ステップAにおける反応は、好適には約0℃から約30℃までの範囲内の温度で、10分間から10時間にわたって行うことができ、典型的には約10℃から約25℃までの範囲内の温度で、30分間から60分間にわたって行われる。
【0032】
好適なP
G1生成剤としては、2−ニトロベンゼン−1−スルホニルクロリド、4−ニトロベンゼン−1−スルホニルクロリドおよび(Boc)
2Oが挙げられる。P
G1生成剤は、典型的には約1当量から約5当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1.3から約2当量までの範囲内の量で使用される。
【0033】
好適な有機または無機塩基としては、LiOH、NaOH、KOH、Cs(OH)
2、Li
2CO
3、Na
2CO
3、K
2CO
3、CsCO
3、LiHCO
3、NaHCO
3、KHCO
3、Li
3PO
4、Na
3PO
4、K
3PO
4、Li
2HPO
4、NaHPO
4、KHPO
4、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、モルフォリン、4−メチルモルフォリン、DABCO、DBU、ピリジン、ルチジン、コリジンなどが挙げられる。
【0034】
好適な水溶性塩基としては、NaOH、KOH、LiOH、K
2CO
3、Cs
2CO
3、Na
2CO
3、K
3PO
4およびNa
3PO
4が挙げられる。水溶性塩基は、典型的には約1当量から約10当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1.5から約2.0当量までの範囲内の量で使用される。
【0035】
好適な第三級塩基としては、TEA、DIPEA、4−NMMおよびジエチルイソプロピルアミンが挙げられる。第三級塩基は、典型的には約2.0当量から約10.0当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約3.0から約5.0当量までの範囲内の量で使用される。
【0036】
ステップAにおける第三級アミン塩基は、典型的にトリ−C1−4アルキルアミンである。好適な第三級アミンの分類は、TEA、DIPEA、4−NMMおよびジエチルイソプロピルアミンを包含する。TEAは好ましい塩基である。塩基は、典型的には化合物Iの当量あたり約1から約3当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1.1から約2当量までの範囲内(例として、約1.8当量)の量で使用される。
【0037】
プロセスPの実施形態は、まさに上で記載されているステップBまたはまさに記載されているステップAおよびBを含み、さらに以下を含む:
(C)式IIIの化合物を、塩基の存在下、N−4−ニトロベンゼンスルホニル−O−ベンジルヒドロキシルアミンで処理し、その後に求核性試薬、例えばチオールなどで処理することで、式IV:
【化6】
【0038】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩を得ること。
【0039】
ステップCは、有機溶媒中で行われる。好適な溶媒としては、DMAC、DMF、NMP、THF、メタノールおよびDMEが挙げられる。好ましい溶媒は、DMACおよびメタノールである。
【0040】
ステップCにおける好適な塩基としては、Li t−ブトキシド、Na t−ブトキシド、K t−ブトキシド、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、KHMDSおよびNaHMDSが挙げられる。好適な塩基の分類は、Li t−ブトキシド、Na t−ブトキシド、K t−ブトキシド、炭酸ナトリウムおよび炭酸セシウムからなる。好ましい塩基は、K t−ブトキシドおよび炭酸ナトリウムである。塩基は、典型的には式IIIの化合物の当量あたり約1から約2当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1から約1.5当量までの範囲内(例として、約1.2当量)の量で使用される。
【0041】
N−4−ニトロベンゼンスルホニル−O−ベンジルヒドロキシルアミンは、典型的には化合物IIIの当量あたり約1から約2当量までの範囲内で使用され、より典型的には約1から約1.5当量までの範囲内(例として、約1.2当量)の量で使用される。
【0042】
ステップCにおける反応は、好適には約30℃から約90℃までの範囲内の温度で行うことができ、典型的には約45℃から約70℃までの範囲内の温度で、18から30時間にわたって行われる。
【0043】
ステップCに適したチオールとしては、チオフェノールまたは2−メルカプト酢酸が挙げられる。好ましい求核剤は2−メルカプト酢酸である。酸は、典型的には化合物IIIの当量あたり約1から約10当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約3から約6当量までの範囲内の量で使用される。
【0044】
ステップCの他の実施形態は、IVの以下の特徴を包含する:
(3a)R5は、HまたはCH3である;
(3b)R5は、Hである;
(4a)R6は、HまたはC1−3アルキルである;
(4b)R6は、HまたはCH3である;
(4c)R6は、Hである;
(5a)pは1であり、qは1である;
(5b)pは1であり、qは0である。
【0045】
これらの実施形態(3)から(5)のうちの1または複数は、互いにおよび/または上記の実施形態と組み合わせることができ、ここで各々のかかる組み合わせはステップCにおいて使用される化合物の別々の実施形態である。
【0046】
プロセスPの別の実施形態は、上記のステップBからCまたは上記のステップAからCを含み、さらに以下を含む:
(D)化合物(IV)を、第三級アミンの存在下でホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲンまたはホスゲン等価物、例えばカルボジイミダゾールまたはハロホルメートなどと接触させ、次いで酸の水溶液を加えることで、式V:
【化7】
【0047】
の化合物を得ること。この実施形態の1の態様において、接触をアミン塩基の存在下で行うことができ、水性処理を実施することで式Vの化合物が得られる。
【0048】
ステップDは、有機溶媒中で行われる。好適な溶媒としては、DCMおよびアセトニトリルが挙げられる。好ましい溶媒は、DCMおよびアセトニトリルである。
【0049】
ステップDにおける好適な酸としては、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸およびリン酸が挙げられる。好ましい酸はリン酸である。酸は、典型的には化合物IVの当量あたり約1から約6当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約3から約5当量までの範囲内(例として、約3.2当量)の量で使用される。
【0050】
ステップDにおける第三級アミンは、好適にはトリ−C1−4アルキルアミンである。好適なアミンの分類は、TEA、DIPEAおよびジエチルイソプロピルアミンからなる。DIPEAは好ましいアミンである。アミンは、典型的には化合物IVの当量あたり約1から約6当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約3から約5当量までの範囲内(例として、約3.2当量)の量で使用される。
【0051】
トリホスゲン、ジホスゲンもしくはホスゲンまたはホスゲン等価物、例えばカルボジイミダゾールもしくはハロホルメートなどは、典型的には化合物IVの当量あたり約0.5から1当量までの範囲内の量でステップDにおいて使用され、より典型的には約0.7から約1当量までの範囲内(例として、約0.8当量)の量で使用される。トリホスゲンは、ジホスゲンおよびホスゲンより好ましい。
【0052】
ステップDにおける化合物IVとトリホスゲン、ジホスゲンもしくはホスゲンまたはホスゲン等価物、例えばカルボジイミダゾールもしくはハロホルメートなどとの接触は、好適には約−15℃から約100℃までまたは−15℃から約40℃までの範囲内の温度で行うことができ、典型的には約−5℃から約80℃までまたは−5℃から約25℃までの範囲内の温度で行われる。その後に続く添加および酸との、あるいは水性処理での反応は、好適には約0℃から約40までまたは0℃から約25℃までの範囲内の温度で、5から72時間にわたって、典型的には10から30時間にわたって行うことができる。
【0053】
式Vの化合物は、続いて国際特許出願第WO2010/126820号中に記載されているようにプロセシングすることができ、これによりベータラクタマーゼ阻害剤が得られる。
【0054】
したがって、プロセスPの別の実施形態において、上記のステップBからDまたは上記のステップAからDを含み、さらに以下を含む:
(E)化合物Vを、水素化分解触媒の存在下で水素の供給源と接触させることで、式VI:
【化8】
【0055】
の化合物を得ること;
(F)化合物VIを、有機塩基の存在下で硫酸化剤と接触させることで、式VII:
【化9】
【0056】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩を得ること;
(G)化合物VIIを酸で処理することで、式VIII:
【化10】
【0057】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩を得ること。
【0058】
ステップEは、有機溶媒中で行われる。好適な溶媒としては、酢酸エチル、DMAC、NMP、DMF、t−ブタノール、トリエチルアミンおよびTHFが挙げられる。好ましい溶媒はTHFである。
【0059】
ステップEにおける水素の供給源は、典型的には水素ガスであり、これはステップEで使用される反応条件下で化学的に不活性であるキャリアガス(例として、窒素または希ガス、例えばヘリウムまたはアルゴンなど)との混合物であってもよい。圧力は、ステップEにおける決定的な態様ではないが、大気圧および超大気圧が好都合な傾向がある。水素供給源は、あるいは、水素輸送分子、例えばギ酸アンモニウム、シクロヘキセンまたはシクロヘキサジエンなどであってもよい。
【0060】
水素の取り込みは決定的なプロセスパラメーターではないが、少なくとも化学量論的量の水素ガスまたは他の水素供給源が典型的に使用される。
【0061】
水素化分解触媒は、担持されているもしくは担持されていない遷移金属、または担持されているもしくは担持されていない遷移金属の化合物、塩もしくは錯体を含む。ステップEにおいて典型的に使用される触媒は、担持されているもしくは担持されていないPdおよびPt金属、または担持されているもしくは担持されていないPdおよびPt化合物、塩もしくは錯体である。好適な触媒担体としては、炭素、シリカ、アルミナ、炭化ケイ素、フッ化アルミニウムおよびフッ化カルシウムが挙げられる。好適な触媒の分類は、Pdブラック(すなわち、微細な金属パラジウム粒子)、Pd(OH)2、Pd/C(すなわち、炭素担体上のパラジウム)、PtO
2およびPt/Cからなる。Pd/Cは、好ましい水素化分解触媒である。触媒は、典型的には化合物Vの量に対して約5から約20重量%までの範囲内の量で使用され、より典型的には約5から約15重量%までの範囲内(例として、約10重量%)の量で使用される。
【0062】
ステップEにおける反応は、好適には約10℃から約50℃までの範囲内の温度で行うことができ、典型的には約15℃から約30℃までの範囲内の温度で行われる。
【0063】
ステップFにおける硫酸化剤は、好適には三酸化硫黄とアミンとの錯体であり、ここでアミンは好適には、例えば、非環式アミン(例として、トリメチルアミン、TEA、DIPEA、ジメチルフェニルアミンおよびジメチルベンジルアミン)、環状アミン(例として、1−メチルピロリジンおよび1−メチルピペリジン)および芳香環の一部として1または複数のN原子を持つ芳香族アミン(例として、1−メチルイミダゾール、ピリジンおよびピリミジン)といった第三級アミンである。ハロスルホン酸(例として、クロロスルホン酸)およびSO
3の第三級アミド錯体(例として、DMF−SO
3)もまた好適な硫酸化剤である。好適な硫酸化剤の分類は、以下のアミンの各々と三酸化硫黄との錯体からなる:ピリジン、トリメチルアミンおよびトリエチルアミン。好適な硫酸化剤の別の分類は、ピリジン−SO
3錯体、DMF−SO
3錯体およびクロロスルホン酸からなる。硫酸化試薬は、典型的には化合物VIの当量あたり約1.5から約7.0当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約3.0から約4.5当量までの範囲内の量で使用される。
【0064】
有機塩基は、好適には、ピリジンまたは第三級アミン、例えば2−ピコリン、2,6−ルチジンなど、個々のトリメチルピリジン、または2もしくはそれより多いトリメチルピリジンの混合物である。好適な塩基の分類は、ピコリン(例として、2−ピコリン)、2,6−ルチジンおよび2,4,6−トリメチルピリジンからなる。好ましい実施形態において、塩基は、2−ピコリンまたはピリジンである。塩基は、典型的には化合物VIの当量あたり約1から約3当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1.7から約2.2当量までの範囲内の量で使用される。
【0065】
ステップFは、有機溶媒中で行われる。好適な溶媒としては、ジクロロメタン、アセトニトリル、THF、DMFまたはピリジンが挙げられる。好ましい溶媒はTHFである。
【0066】
ステップFにおける反応は、好適には約0℃から約40℃までの範囲内の温度で行うことができ、典型的には約10℃から約28℃までの範囲内の温度で行われる。
【0067】
ステップGにおける酸処理は、Boc保護基を除去する。酸は、好適には、鉱酸、ルイス酸または有機酸である。好適な鉱酸としては、ハロゲン化水素(HCl、HBrおよびHF、ガスとしてまたは水溶液中)、硫酸、テトラフルオロホウ酸および硝酸が挙げられる。好適な有機酸としては、カルボン酸、アルキルスルホン酸およびアリールスルホン酸が挙げられる。例示的有機酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸が挙げられる。好適なルイス酸としては、BF
3・Et
2O、SnCl
4、ZnBr
2、Me
3SiI、Me
3SiCl、Me
3SiBr、Me
3SiOTfおよびAlCl
3が挙げられる。好適な酸の分類は、Me
3SiOTf、TFAおよびテトラフルオロホウ酸からなる。酸は、典型的には化合物Vの当量あたり約1.0から約2.0当量までの範囲内の量で使用され、より典型的には約1.2から約1.5当量までの範囲内の量で使用される。処理は、好適には約−10℃から約25℃までの範囲内の温度で行われ、典型的には約0℃から約10℃までの範囲内の温度で行われる。ステップGにおけるBoc保護基の除去のために好ましい酸はトリメチルシリルヨージド(TMSI)であり、これは、シリル化試薬、例えばN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)またはN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(TFBSA)の存在下にあってもよい。反応は、0.2当量から1.5当量までまたは0.9当量から1.5当量までの範囲のTMSIを使用して完全な変換を達成することができる。TMSIの好ましい量は、0.2〜1.4当量または1.2〜1.4当量であり、これは少なくとも1時間、反応に加えられる。この反応のために好ましい溶媒としては、約6倍量から12倍量のMeCNおよびDCMが挙げられる。処理は、好適には−20℃から室温までの範囲内の温度で行われ、典型的には−10から25℃までまたは0〜5℃までの範囲内の温度で行われ、これにより最初にTMSカルバメート中間体が形成される。
【0068】
中間体は、水および種々のアルコール(例えば、第1級アルコール、例えばMeOH、EtOH、n−PrOHなど、第2級アルコール、例えばiPAなど、および第三級アルコール、例えばtert−BuOHなど)の添加によりクエンチした。H
2Oは、反応をクエンチすることで一水和物を直接的に結晶固形物として提供するために好ましい試薬である。反応混合物のpHは、一水和物の生成物の単離の前に、有機溶媒、例えばトリエチルアミン、ヒューニッヒ塩基、ジイソプロプリアミン(diisoproplyamine)およびジエチルイソプロピルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウム水酸化物、酢酸、プロピオン酸、ギ酸などに可溶である有機の塩基または酸の添加により中性に調整してもよい。クエンチするために用いられるH
2Oの量が反応プロファイルに対して与える影響は最小限であるが、多量のH
2Oが用いられたときに大量の母液損失が観察された。H
2Oの最適量は3〜6当量である。
【0069】
TMSIが用いられるとき、一水和物としての粗精製の生成物は、反応後のろ過により直接的に単離することができ、その後にMeCN水溶液洗浄をすることで灰白色の固形物を与える。粗精製の生成物は、必要であれば、MeCN/H
2O/1−ブタノール系から再結晶化することができる。
【0070】
式VIIIにより包含される化合物は、β−ラクタマーゼの阻害を呈することができ、したがって、β−ラクタマーゼ阻害剤として、β−ラクタム抗生物質(例として、イミペネム、セフタジジムおよびピペラシリン)と組み合わせて、β−ラクタマーゼの存在のため通常はβ−ラクタム抗生物質に抵抗性である微生物により引き起こされる細菌感染を処置するために用いることができる。とりわけ興味深いのは、R
2=R
3=Hおよびk=1である式VIIIの化合物である。
【0071】
プロセスPの下位実施形態(sub−embodiment)は、化合物3:
【化11】
【0072】
を調製する方法であって:
(B)ラクトン2:
【化12】
【0073】
を、アザシクロアルキルアミン2−Am:
【化13】
【0074】
と接触させ、その後にスルホニルハライド2−Su:
【化14】
【0075】
と、4−ジメチルアミノピリジンの存在下で接触させることを含む方法である。
【0076】
プロセスPの別の下位実施形態は、まさに上で記載されているステップBを含み、さらに以下を含む:
(A)化合物1:
【化15】
【0077】
を、水溶性塩基の存在下で2−ニトロベンゼン−1−スルホニルクロリドと接触させ、その後にTEA、DIPEAまたはジエチルイソプロピルアミンを加えることで、化合物2を得ること。1の実施形態において、有機または無機の塩基の存在下で接触を生じさせることで、化合物2が得られる。
【0078】
プロセスPの実施形態は、まさに上で記載されているステップBまたはまさに記載されているステップAおよびBを含み、さらに以下を含む:
(C)化合物3を、塩基の存在下、N−4−ニトロベンゼンスルホニル−O−ベンジルヒドロキシルアミンで処理し、その後に求核性試薬、例えばチオールなどで処理することで、化合物4:
【化16】
【0079】
または薬学的に許容されるその塩を得ること。
【0080】
プロセスPの別の実施形態は、上記のステップBからCまたは上記のステップAからCを含み、さらに以下を含む:
(D)化合物4を、トリ−C1−4アルキルアミンの存在下でホスゲン、ジホスゲンもしくはトリホスゲン、またはホスゲン等価物、例えばカルボジイミダゾールもしくはハロホルメートなどと接触させ、次いで酸の水溶液を加えることで、化合物5:
【化17】
【0082】
プロセスPの別の実施形態は、上記のステップBからDまたは上記のステップAからDを含み、さらに以下を含む:
(E)化合物5を、Pd触媒ならびに任意選択でジ−t−ブチルカーボネートおよびBoc−ONよりなる群から選択されるBoc生成剤の存在下で水素と接触させることで、化合物6:
【化18】
【0083】
を得ること;
(F)化合物6を、2−ピコリンの存在下でピリジン−SO3錯体、クロロスルホン酸およびDMF−SO3錯体よりなる群から選択される硫酸化剤と接触させることで、化合物7:
【化19】
【0084】
または薬学的に許容されるその塩を得ること;ならびに
(G)化合物7を酸で処理することで、化合物8:
【化20】
【0085】
または薬学的に許容されるその塩を得ること。代替的実施形態において、ステップ(F)は、2−ピコリンの代わりにピリジンの存在下で実施する。
【0087】
化合物VIIIに至るプロセスPにおけるステップAからGのための上記の溶媒、剤、触媒、反応量、反応温度などは、下位実施形態におけるこれらの変数のうちの1または複数に対して明白な限定が付される場合を除き、化合物8に至る先の下位実施形態において記載されているステップAからGに当てはめることができる。
【0088】
プロセスPならびにその実施形態および下位実施形態に関する上記の溶媒、剤、触媒、反応量、反応温度などは、説明することのみが意図され、プロセスの範囲を限定することが意図されるものではないことが理解されるものである。例えば、ステップAからGのいずれかにおいて使用される溶媒は、当該ステップにおいて使用される反応条件下で液相にあり、化学的に不活性であり、反応物および試薬を接触状態にして反応を進行させるために反応物および任意の試薬を溶解、懸濁および/または分散させる任意の有機物質であることができる。同様の考察は、プロセスステップにおいて使用される塩基、触媒および他の試薬の選択に当てはまる。さらに、各々のステップは、所望の生成物を形成する反応を検出可能な程度に進行させることができる任意の温度で行うことができる。所与のステップにおける反応物、触媒および試薬は、所望の生成物のうちの少なくともいくつかの形成をもたらす任意の量で使用することができる。もちろん、所望の生成物の高収率(例として、少なくとも約50%、好ましくはより高い)と組み合わせた出発物質の高変換(例として、少なくとも約60%、好ましくはより高い)は概して各々のステップにおける目標であり、比較的良好な変換および生成物の収率を提供することができる溶媒、剤、触媒、反応量、温度などの選択が好ましく、至適な変換および収率を提供することができる選択がより好ましい。プロセスPならびにその実施形態および下位実施形態に関する上記の特定の溶媒、剤、触媒、反応量、反応温度などは、最適な変換および収率にとって良いものを提供することができる。
【0089】
上記のプロセスステップのための反応時間は、(i)出発基質および他の試薬の選択および相対的割合、(ii)溶媒の選択、(iii)反応温度の選択、ならびに(iv)所望の変換レベルなどの因子に依存する。反応は、典型的に、100%または100%に近い(例として、99.5%、99.0%、98.0%、97.0%または95%)変換を達成するのに十分な時間、行われる。
【0090】
本明細書中に記載されている任意の反応ステップの進行は、反応物の消失および/または所望の生成物の出現を、TLC、HPLC、IR、NMRまたはGCなどの分析技術を用いてモニターすることにより追うことができる。
【0091】
明白に逆に述べられないかぎり、本明細書中で言及されている全ての範囲は包含的であり;すなわち、範囲は、範囲の上限値および下限値、同様に間にある全ての値を包含する。例えば、「1から3個の置換基」で置換されていてもよいと記載されているフェニル環は、その態様として、1から3個の置換基、2から3個の置換基、3個の置換基、1から2個の置換基、2個の置換基および1個の置換基で置換されている環を包含することが意図される。別の例として、本明細書中に記載されている温度範囲、当量の範囲などは、範囲の上限および下限ならびにその間に連続してある任意の値を包含する。
【0092】
用語「アルキル」は、指定されている範囲内で多数の炭素原子を持つ、一価の直鎖または分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。したがって、例えば、「C1−6アルキル」(または「C1−C6アルキル」)は、ヘキシルおよびペンチルアルキルの異性体のうちの任意のもの、同様にn−、iso−、sec−およびt−ブチル、n−およびiso−プロピル、エチルならびにメチルを指す。別の例として、「C1−4アルキル」は、n−、iso−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルならびにメチルを指す。別の例として、「C1−3アルキル」は、n−プロピル、イソプロピル、エチルおよびメチルを指す。
【0093】
用語「分岐鎖アルキル」は、指定されている範囲内の直鎖アルキル基が除外される以外は、上で定義されているアルキル基を指す。本明細書中で定義されているように、分岐鎖アルキルは、アルキルが第二級または第三級炭素を介して化合物の残部に付着しているアルキル基を包含し;例として、イソプロピルは、分岐鎖アルキル基である。
【0094】
用語「ハロゲン」(または「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す(あるいはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードと呼ばれる)。
【0095】
用語「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1または複数がハロゲン(すなわち、F、Cl、Brおよび/またはI)で置き換えられている、上で定義されているアルキル基を指す。したがって、例えば、「C1−4ハロアルキル」(または「C1−C4ハロアルキル」)は、1または複数のハロゲン置換基を有する、上で定義されているC1からC4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。用語「フルオロアルキル」は、ハロゲン置換基がフルオロに限定されていること以外は類似した意味を持つ。好適なフルオロアルキルとしては、系列(CH2)0−4CF3(すなわち、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピルなど)が挙げられる。
【0097】
の化合物であって、式中:
P
G1は、それが付着しているアミノ窒素と共にカルバメート、ベンジルアミンまたはスルホンアミドを形成する第一のアミン保護基であり;
P
G2は、(i)カルバメートおよび(ii)ベンジルアミンから選択される第二のアミン保護基であり;
kは、0、1または2に等しい整数であり;
R
2およびR
3は、以下のように定義され:
(a)R
2は、H、C
1−6アルキル、−O−C
1−6アルキル、−O−Si(−C
1−6アルキル)
3もしくは−O−Si(−C
1−6アルキル)(−フェニル)
2であり、
および各々のR
3は、HもしくはC
1−6アルキルである;または
(b)あるいはkが1もしくは2であるという条件で、R
2およびR
2に隣接するR
3は、各々が付着している炭素原子と共に、その各々が独立してC
1−6アルキル、−O−C
1−6アルキル、−O−Si(−C
1−6アルキル)
3もしくは−O−Si(−C
1−6アルキル)(−フェニル)
2である1から3個の置換基で置換されていてもよいC
5−7シクロアルキルを形成し;ならびに任意の他のR
3は、HまたはC
1−6アルキルである;
R
4は:
(1)その各々が独立してC1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、−O−C1−4アルキル、−O−C1−4ハロアルキル、Cl、Br、FまたはNO2である1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニル;
(2)C1−4アルキル;または
(3)C1−4ハロアルキルであり;
R
5は、HまたはC
1−3アルキルであり;
R
6およびR
8は、独立して、H、C
1−3アルキル、−O−C
1−3アルキルまたは−N(−C
1−3アルキル)
2であり;
各々のR
7およびR
9は、独立して、HまたはC
1−6アルキルであり;
Wは、ハロゲンであり;
pは、0、1または2であり;
qは、0、1または2であり;ならびに
p+q=0、1、2または3である、化合物に関する。
【0100】
本明細書中で使用される略語としては、以下が挙げられる:
【表1】
【0101】
以下の例は、本発明およびその実施を説明するためにのみ役割を果たす。例は、本発明の範囲または趣旨に対する限定として解釈されるものではない。
【実施例】
【0102】
実施例1
(2S,5R)−7−オキソ−N−ピペリジン−4−イル−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド
【化24】
【0103】
ステップA:(1S,4S)−5−((2−ニトロフェニル)スルホニル)−2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2)の調製
【化25】
【0104】
追加の漏斗、窒素注入口および撹拌機を備えたリアクタ(R−1)に、(2S,5S)−5−ヒドロキシピペリジン−2−カルボン酸(77.3重量%)(50.0g、344mmol)および水(150mL)を入れた。撹拌を始め、10N NaOH(約46.5mL)の添加によりpHを10〜11に調整し、リアクタにアセトン(50.0mL)を入れた。
【0105】
撹拌機および窒素注入口を備えた別のリアクタ(R−2)に、2−ニトロベンゼン−1−スルホニルクロリド(97%)(106.0g、478mmol)およびアセトン(80mL)を入れた。R−2の内容物を、23〜30℃で、10N NaOHの同時添加により溶液のpHを10〜11で維持しつつ、R−1に移した。15から30分後、12N HClの添加によりpHを約6に調整した。溶液にEtOAc(500mL)を入れ、12N HClの添加によりpHを3.0に調整した。層を分離し、水層をEtOAc(150mL×2)で逆抽出した。
【0106】
別のリアクタ(R−3)に、合わせた有機層中の生成物1a、2−ニトロベンゼン−1−スルホニルクロリド(73.0g、329mmol)およびトリエチルアミン(130mL)を入れた。R−3中のバッチを20〜28℃で30分間撹拌した。溶液に水(100mL)を入れ、層を分離し、水層をEtOAc(150mL×2)で逆抽出した。合わせたEtOAc層を10% NaHCO
3(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機相を150mLまで濃縮し、その上に結晶スラリーを形成させた。濃縮された溶液を13〜18℃で2〜3時間撹拌し、その後に結晶固形物をろ過した。結果として得られた湿ケークをEtOAc(60mL)で洗浄し、次いで真空オーブン下、25〜30℃で乾燥させることで、2(65.6g、収率79%)、m.p.126.0〜126.7℃を与えた。
1H NMR(CDCl
3、400MHz) δ:8.02(m,1H)、7.80−7.71(m,2H)、7.66(m,1H)、4.88(m,1H)、4.55(dd,J=3.8,2.7Hz,1H)、3.78(dt,J=11.2,3.0Hz,1H)、3.66(dd,J=11.2,1.1Hz,1H)、2.44(m,1H)、2.11(m,2H)、1.91(m,1H);
13C NMR(CDCl
3、100MHz) δ:168.4、148.3、134.4、132.1、131.0、130.7、124.2、73.5、51.4、48.0、25.1、23.2
ステップB:tert−ブチル 4−((2S,5S)−1−((2−ニトロフェニル)スルホニル)−5−(((2−ニトロフェニル)スルホニル)オキシ)ピペリジン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレート(3)の調製
【化26】
【0107】
リアクタ(R−1)に、ラクトン2(65.5g、210mmol)、THF(131mL)およびtert−ブチル 4−アミノピペリジン−1−カルボキシレート(44.5g、222mmol)を入れた。かき混ぜた溶液を還流(典型的温度は72℃)まで約18時間加熱した。反応を25〜35℃まで冷却し、次いでTHF(325mL)および4−ジメチルアミノピリジン(40.1g、328mmol)を入れ、その後に30分間撹拌した。
【0108】
別のリアクタ(R−2)に、2−ニトロベンゼン−1−スルホニルクロリド(60.9g、275mmol)およびTHF(200mL)を入れた。R−2の内容物を、45から75分間にわたって、20から30℃のバッチ温度を維持しつつ、R−1に加えた。R−1中のバッチを2から4時間、20から30℃の温度で撹拌した。
【0109】
別のリアクタ(R−3)に、水(600mL)およびメタノール(600mL)を入れた。R−3の内容物を、45から75分間にわたって、撹拌しながら、20から30℃のバッチ温度を維持しつつ、主バッチに入れた。バッチを5から−5℃まで冷却し、次いで5から−5℃で少なくとも4時間撹拌した。固形物をろ過し、次いでメタノール(130mL×2)で2回洗浄した。湿ケークを真空オーブン内で40から50℃において乾燥させることで、3(144.0g、収率98%)、m.p.131.8〜133.1℃を与えた。
1H NMR(CDCl
3、400MHz) δ:8.14(m,2H)、7.83−7.74(m,6H)、6.50(d,J=7.9Hz,1H)、4.69(m,1H)、4.43(s,1H)、4.11(dd,,J=13.7,4.9Hz,1H)、3.95(m,2H)、3.83(m,1H)、3.47(s,1H)、3.10(dd,J=13.7,11.0Hz,1H)、2.81(m,2H)、2.51(m,1H)、2.12(m,1H)、1.85−1.72(m,4H)、1.45(s,9H)、1.26(m,1H);
13C NMR(CDCl
3、100MHz) δ:166.9、154.6、148.2、147.6、135.2、134.8、132.6、132.5、131.9、131.6、131.4、129.7、124.9、124.7、79.8、76.5、55.0、47.1、46.0、31.8、31.5、28.4、27.3、24.4。
【0110】
N−4−ニトロベンゼン スルホニル−O−ベンジルヒドロキシルアミンの調製
【化27】
【0111】
リアクタ(R−1)に、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(61.0g、382mmol)およびピリジン(400mL)を入れた。溶液を5から−5℃まで冷却した。
【0112】
別のリアクタ(R−2)に、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(89.0g、402mmol)およびピリジン(200mL)を入れた。R−2の内容物を、−5から−5℃の温度範囲を維持する速度でR−1に移した。R−1中のバッチを5から−5℃で15から45分間撹拌し、次いで20から30℃まで、45から75分間温めた。水(250mL)を次いで20から30℃を維持する速度で加え、5から15分間撹拌した。固形物をろ過し、湿ケークを水(100mL×3)で洗浄した。湿ケークを真空オーブン内で50℃において乾燥させることで、N−4−ニトロベンゼンスルホニル−O−ベンジルヒドロキシルアミン(113.3g、収率96%)、m.p.128.4〜130.0℃を与えた。
1H NMR(CDCl
3、400MHz) δ:8.36(d,J=8.9Hz,2H)、8.11(d,J=8.9Hz,2H)、7.36(m,5H)、7.11(s,1H)、5.02(s,2H);
13C NMR(CDCl
3、100MHz) δ:151.0、142.5、134.9、130.2、129.7、129.3、128.9、124.5、80.2。
【0113】
ステップC.tert−ブチル 4−((2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)ピペリジン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレート(4)の調製
【化28】
【0114】
リアクタ(R−1)に、tert−ブチル 4−((2R,5R)−1−((2−ニトロフェニル)スルホニル)−5−(((2−ニトロフェニル)スルホニル)オキシ)ピペリジン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレート(3)(110g、158mmol)、N−4−ニトロベンゼン スルホニル−O−ベンジルヒドロキシルアミン(58g、188mmol)、炭酸カリウム(25.9g、187mmol)およびジメチルアセトアミド(440mL)を入れた。かき混ぜた溶液を60から70℃まで、24〜32時間加熱した。バッチを20から30℃まで冷却し、トルエン(660mL)を入れた。バッチを1N水酸化ナトリウム(3×220mL)で抽出し、次いで水(220mL)で洗浄した。
【0115】
トルエン溶液を約50℃で約1/3の容量になるまで共沸(azotropically)蒸留した。溶液を45〜55℃でMeOHに溶媒切替し、237mLに合わせた。
【0116】
バッチを20〜25℃まで冷却し、チオグリコール酸(57.9g、629mmol)を10℃で入れ、次いで無水K
2CO
3(172.0g、1225mmol)を入れた。バッチを10〜15℃で0.5時間撹拌し、20〜25℃まで温め、20〜25℃で10〜15時間撹拌し、48〜53℃で3〜6時間加熱した。
【0117】
バッチに10重量%塩化ナトリウム(1.10L)およびトルエン(880mL)を約40℃で入れた。層を分離し、水層をトルエン(3×440mL)で逆抽出した。合わせた有機層を10% NaHCO
3(2×220mL)で洗浄した。バッチを40〜50℃で165mLまで濃縮し、次いで35〜40℃まで冷却した。バッチにシード(50mg)を入れ、1時間、35〜40℃で撹拌した。バッチに35〜40℃で1時間かけてヘプタン(110mL)を入れ、次いで15〜20℃まで1時間かけて徐々に冷却した。バッチを3時間撹拌し、固形物をろ過した。湿ケークをトルエン/ヘプタン(137.5mL)で洗浄し、次いで真空オーブン内で30℃において3〜8時間乾燥させることで、4(47.3g、3からの全収率70%)、m.p.117.5〜118.0℃を与えた。
1H NMR(CDCl
3、500MHz) δ:7.37−7.29(m,5H)、6.64(d,J=8.2Hz,1H)、5.36(brs,1H)、4.67(s,2H)、4.00(m,2H)、3.90(m,1H)、3.28(ddd,J=11.8,4.0,1.7Hz,1H)、3.12(dd,J=10.2,3.2Hz,1H)、2.95(m,1H)、2.86(m,2H)、2.46(dd,J=11.8,9.5Hz,1H)、2.10(m,1H)、1.93−1.83(m,3H)、1.58(brs,1H)、1.45(s,9H)、1.41(m,1H)、1.35−1.23(m,3H);
13C NMR(CDCl
3、125MHz) δ:172.8、154.7、137.7、128.4(4C)、127.9、79.6、76.9、59.8、57.0、49.2、46.1、42.8(br、2C)、32.0(2C)、28.4(3C)、28.3、27.2。
【0118】
ステップD:tert−ブチル 4−((1R,2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレート(5)の調製
【化29】
【0119】
リアクタ(R−1)に、tert−ブチル 4−((2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)ピペリジン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレート(4)(46.3g、107mmol)、ジクロロメタン(463mL)およびヒューニッヒ塩基(58.0mL)を入れた。バッチを−18℃まで冷却し、次いでトリホスゲンを4回に分けて(合計25.1g;85mmol)、<−8℃で入れた。バッチを−5から0℃で0.5時間撹拌し、次いで11.4重量% H
3PO
4水溶液を−5から0℃で入れた(347g、3541mmol)。バッチを20〜25℃で15〜20時間撹拌し、次いで相を切り分けた。水層をジクロロメタン(138mL)で逆抽出した。合わせた有機層を10% NaHCO
3(115mL)、次いで水(115mL)で洗浄した。有機溶液を大気圧で約80mLまで濃縮し、次いでMTBE(347mL)を35〜45℃で0.5時間かけて入れ、次いで35〜45℃で231mLまで2回濃縮することで、スラリーを形成させた。
【0120】
スラリーにヘプタン(139mL)を35〜45℃で2時間かけて入れ、次いで15〜20℃まで1時間かけて徐々に冷却した。バッチを15〜20℃で6〜8時間撹拌した。固形物をろ過し、湿ケークをMTBE/ヘプタン(1.4:1、185mL)で洗浄し、次いで真空下、25〜30℃で5〜10時間乾燥させることで、5(43.7g、収率92%)、m.p.161.3〜161.8℃を与えた。
1H NMR(CDCl
3、500MHz) δ:7.45−7.32(m,5H)、6.55(d,J=8.2Hz,1H)、5.05(d,J=11.6Hz,1H)、4.90(d,J=11.6Hz,1H)、4.02(m,2H)、3.90(m,2H)、3.30(m,1H)、2.99(dt,J=11.7,1.1Hz,1H)、2.86(m,2H)、2.64(d,J=11.7Hz,1H)、2.37(dd,J=14.6,6.9Hz,1H)、2.04−1.82(m,4H)、1.58(m,1H)、1.45(s,9H)、1.30(m,2H);
13C NMR(CDCl
3、125MHz) δ:168.3、167.5、154.7、135.6、129.2(2C)、128.8、128.6(2C)、79.7、78.3、60.4、57.8、47.5、46.8、42.5(br,2C)、32.0、31.7、28.4(3C)、20.8、17.2。
【0121】
ステップE:tert−ブチル 4−((2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレートの調製
【化30】
【0122】
tert−ブチル 4−((2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレート(9.2g、20.1mmol)をガラスボトルに入れ、固形物をTHF(150mL)中に溶解した。溶液を次いでPd/Al
2O
3(10重量%、1.5g)と共に水素添加リアクタに入れた。反応物を水素で3回パージし、次いで50psiの水素圧に設定した。反応温度を25℃に合わせ、反応物を22時間撹拌しておいた。HPLC分析により決定された通りに反応が完了した後、溶液をSOLKA−FLOC(登録商標)(Interational Fiber Corporation,North Tonawanda,NY)を通してろ過することで触媒を除去し、ろ過ケークをTHFで洗浄した。ろ液および洗浄液を次いで真空蒸留によりiPrOAcに溶媒切替して、40mLの最終容量にした。結果として得られたiPrOAcスラリーを室温で1時間寝かせた。固形物を次いでろ過し、iPrOAc(20mL)で洗浄し、真空およびN
2下で40℃において乾燥させることで、標題の生成物(6.62g.、17.97mmol、単離収率90%)を与えた。スペクトルデータは参照化合物と一致した。
【0123】
(2S,5R)−7−オキソ−N−ピペリジン−4−イル−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドの調製
【化31】
【0124】
tert−ブチル 4−((2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド)ピペリジン−1−カルボキシレート(20g、54.3mmol)、THF(200mL)、2−ピコリン(10.9mL、309mmol)およびピリジン−SO
3錯体(30.2g、190mmol)を窒素下でフラスコに入れた。不均一な混合物を一晩(約15時間)かき混ぜておいた。反応混合物を−10℃まで冷却し、次いでDCM(200mL)を加えた。0.5M K
2HPO
4(168mL、84mmol)を10分かけて加えた。Bu
4NHSO
4(19.4g、57mmol)を次いで10分かけて加えた。二相性の混合物を30分間かき混ぜ、相を切り分け、水層を40mlのDCMで逆抽出した。合わせたDCM溶液を水(120ml)で洗浄し、相を切り分け、有機溶液を、ベッドボリュームの3倍のMeCN(合計1.0L)を使用した真空蒸留によりMeCN(320ml)に溶媒切替し、そのまま次のステップにおいて用いた。MeCN溶液中のBu
4N
+−OSO
3塩7の溶液を100%(37.5g、54.3mmol)の想定収率で用いた。反応混合物を氷浴中で冷却し、TMSI(10.26ml、70.7mmol)を、追加の漏斗を介して30分かけて0℃から5℃の間で加えた。結果として得られた混合物を1〜2時間撹拌し、次いでH
2O:MeCN(1:1、6ml)でクエンチすることで、スラリーを与えた。スラリーを室温まで温め、12時間撹拌したところ、この時間の後の上清のpHは約3.0であった。テトラブチルアンモニウムアセテート(13.6ml、13.59mmol)を30分かけて徐々に加えた。スラリーを1時間撹拌したところ、上清のpHは約4.0であった。固形物をろ過により回収した。固形物を60mLのMeCN水溶液で洗浄することで、19.5gの粗精製の生成物8を化合物6からの単離収率93%で与えた。
【0125】
このステージにおいて、全ての副産物(TMS−カーボネートの加水分解生成物を包含するもの)および不純物は有機相に可溶であった。
【0126】
生成物を140mlのMeCN:H
2O(1:2)中に戻して室温で溶解した。貧溶媒としての1−ブタノール(390ml)を溶液中に徐々に加えることでスラリーを与えた。スラリーを一晩撹拌した。白色の結晶固形物をろ過し、3:1 IPA:水(40ml)で洗浄し、真空および窒素下で室温において乾燥させることで、結晶水和物形態の標題の生成物を与えた(収率=16.3g、82%)。スペクトルデータは参照化合物と一致した。
【0127】
(2S,5R)−7−オキソ−2−(ピペリジン−1−イウム−4−イルカルバモイル)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−6−イル スルフェート(1)の調製
tert−ブチル 4−({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イル]カルボニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート16(0.54g、1.5mmol)、THF(5.4mL)、2−ピコリン(0.29mL、2.9mmol)およびピリジン−SO3錯体(0.70g、4.4mmol)を窒素下でバイアルに入れた。不均一な混合物を一晩(約15時間)かき混ぜておいた。反応混合物を−10℃まで冷却し、次いでジクロロメタン(5.4mL)を加えた。0.5M K2HPO4(4.5mL、2.3mmol)を10分かけて加えた。Bu4NHSO4(0.53g、1.54mmol)を次いで10分かけて加えた。二相性の混合物を30分間かき混ぜ、相を切り分け、水層を1mlのDCMで逆抽出した。合わせたDCM溶液を水(2.0mL)で洗浄し、相を切り分け、有機溶液を、ベッドボリュームの3倍のMeCNを使用した真空蒸留によりMeCN(3.2mL)に溶媒切替した。生成物をそのまま次のステップにおいて用いた(1000ppm未満の水分含量)。
【0128】
MeCN溶液中のBu
4N
+SO
4−−塩8の溶液を100%(1.0g、1.47mmol)の想定収率で用いた。反応混合物を氷浴中で冷却し、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)(0.41g、1.59mmol)を反応中に加え、10分間かき混ぜておいた。TMSI(0.06g、0.27mmol)を0℃から5℃の間で加えた。結果として得られた混合物を2時間撹拌させておき、次いでH2O(0.07g、4.1mmol)および酢酸(0.08g、1.5mmol)でクエンチすることでスラリーを与えた。スラリーを室温まで温め、12時間撹拌した。ろ過して固形物を回収した。固形物をMeCN/水(94:6、1mL×4)で洗浄することで、結晶生成物1(0.38g)を収率75%で与えた。
【0129】
N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)(0.32g、1.59mmol)が適用された場合、反応が完全な変換を達成するのに24時間を要した。
【0130】
上述の明細書は、説明の目的のために提供された例を伴って本発明の原理を教示しているが、本発明の実施は、以下の特許請求の範囲内に入る通常の変更、適合および/または改変の全てを包含する。