特許第6427175号(P6427175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427175サイクリング用途用の選択的通気ヘルメット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427175
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】サイクリング用途用の選択的通気ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/28 20060101AFI20181112BHJP
【FI】
   A42B3/28
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-518629(P2016-518629)
(86)(22)【出願日】2014年6月12日
(65)【公表番号】特表2016-520733(P2016-520733A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】IB2014062160
(87)【国際公開番号】WO2014199329
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年4月6日
(31)【優先権主張番号】MI2013A000978
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514154905
【氏名又は名称】カスク ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ゴッティ アンジェロ
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0064873(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04009036(DE,A1)
【文献】 特開2009−024300(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/041656(WO,A1)
【文献】 特開2000−129529(JP,A)
【文献】 実開平01−147219(JP,U)
【文献】 特開2005−068582(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0136932(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0222782(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0180199(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00 − 3/32、7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクリング用途用のヘルメット(10)であって、
前記ヘルメットは、
外面及び内部空間を有するキャップ構造体(11)であって、前記外面から当該キャップ構造体の内部空間へ通る複数の通気チャネルが設けられたキャップ構造体(11)と、
前記通気チャネルに配置され、前記通気チャネルの閉鎖位置と前記通気チャネルを少なくとも部分的に開放するための少なくとも1つの位置との間で前記キャップ構造体(11)に対して移動可能なセレクタ(13)と、を含み、前記セレクタ(13)は、前記通気チャネルにおいて前記キャップ構造体(11)に一体化された案内フレーム上で移動可能である、ヘルメットにおいて、
前記セレクタ(13)は、前記キャップ構造体(11)の外面の座部に収容され、前記通気チャネルの前記閉鎖位置において、前記セレクタは前記キャップ構造体(11)と面一になり、当該閉鎖位置において前記キャップ構造体と前記セレクタとの間に段差の不連続がない、ことを特徴とする、ヘルメット。
【請求項2】
前記案内フレームは、前記キャップ構造体(11)に一体成形されることを特徴とする、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記案内フレームは、前記キャップ構造体(11)に部分的に埋め込まれ、前記通気チャネルにおいて部分的にアクセス可能であることを特徴とする、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記案内フレームは、ピン(18)を受けるための長穴(15)を含み、前記長穴(15)は前記セレクタの内側に配置され、前記長穴は当該長穴内に配置された前記ピンを有するように構成されている、ことを特徴とする、請求項3に記載のヘルメット。
【請求項5】
前記ヘルメットがさらに前記ピン(18)を前記長穴(15)内に保持するための保持要素(17)を含むことを特徴とする、請求項4に記載のヘルメット。
【請求項6】
前記セレクタ(13)は、前記ヘルメットの両側の前記通気チャネルを同時に開閉するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項7】
前記セレクタ(13)は、前記キャップ構造体(11)と面一になるように座部内に収容されることを特徴とする、請求項6に記載のヘルメット。
【請求項8】
前記ヘルメットは、前記通気チャネル(14)と部分的に重なる前部グリッド(16)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項9】
前記セレクタ(13)は、前記前部グリッド(16)の上方で移動可能であることを特徴とする、請求項8に記載のヘルメット。
【請求項10】
前記前部グリッド(16)は前記キャップ構造体から取り外し可能であることを特徴とする、請求項8に記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクリング用途用の選択的通気ヘルメットに関する。
特定的には、上述の用語「サイクリング用途用の(for cycling use)」とは、本発明のヘルメットを、純粋にサイクリングに関するもの以外の、自動車、オートバイ、又は他の分野に用いられるヘルメットと区別することを意図する。
【背景技術】
【0002】
サイクリングの分野においては、今日、2つの異なる使用を目的とした2つの異なるタイプのヘルメット、すなわち
−「通気式(vented)」ヘルメット、すなわち複数の通気チャネルが設けられたヘルメット、及び
−通気チャネルがない、空気力学的プロファイルにより特徴付けられる「クロノ(chrono)」型ヘルメット
がある。
【0003】
要件に応じて、今日ユーザは、一方及び他方の利点と欠点を認識した上で、一方又は他方のタイプのヘルメットを着用する。
実際に、通気式ヘルメットは、夏にはより優れた快適さを与えるが、前進運動に対する抵抗が大きく、雨からの保護がなされない。
逆に、クロノ型ヘルメットは、そのプロファイルのため、前進運動に対する抵抗はより少ないが、制限された方法でしか、ユーザの頭部の通気を行うことができない。
【0004】
言い換えれば、今日、ユーザが、使用中に、着用したヘルメットが反対の特徴を有することを望む場合、異なるヘルメットを着用する以外に選択肢がないという事実を認識して、どのタイプのヘルメットを使うかについての予備的な決定を行う。
【0005】
通気式ヘルメットの例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載される。
【0006】
しかしながら、これらのヘルメットのどれも、「クロノ」型の活動に適したものであり、それと同時に、必要に応じて、ユーザの頭部の通気を管理する可能性をユーザに与えるヘルメットを作成するという問題に対する解決法を提供するものでも、提案するものでもない。
【0007】
特に、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載されるヘルメットは、開口部を開閉するセレクタが開口部自体と同一平面上に配置されておらず、従って、かなりの空気力学的抵抗を生み出すため、「クロノ」型の活動には適していない。
【0008】
こうした従来技術から、本発明の目的は、周知のものとは異なり、特に効率的であり、典型的な通気式ヘルメットの特性又はクロノ型ヘルメットの特性を選択的に有することができる、サイクリング用途用の選択的通気ヘルメットを作ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第2007136932号明細書
【特許文献2】日本国特開2005−68582号明細書
【特許文献3】国際公開第2007041656号
【特許文献4】独国公開特許第4009036号明細書
【発明の概要】
【0010】
本出願の一般的な発明の原理によると、このような目的は、通気のための貫通チャネルを生じさせる複数の細隙部(split)が設けられたキャップ構造体と、細隙部に配置され、通気チャネルが閉鎖された1つの位置と通気チャネルを少なくとも部分的に開放するための少なくとも1つの位置との間で移動可能なセレクタとを提供することによって達成される。
【0011】
セレクタは、ヘルメットの外部に配置され、セレクタが開口部を閉鎖すると、構造体の残りの部分と完全に同一平面上になり、空気力学的チクロ型ヘルメットになる。
特定的には、セレクタは、細隙部においてキャップ構造体に一体化される案内手段上で移動可能である。案内手段は、ヘルメット自体の内部に一体成形される。
【0012】
このように、セレクタが閉鎖位置にあるとき、ヘルメットは、今日市場で周知のチクロ型ヘルメットと同じ空気力学的特性を有し、セレクタが開放位置にあるとき、ヘルメットは、今日市場で周知の通気式ヘルメットと同じ特性を有する。
【0013】
1つの構成から他の構成への変形は、ユーザの簡単な手動操作によって行うことができる。
さらに、本発明の特徴は、従属請求項から明らかになる。
【0014】
本発明によるサイクリング用途用の選択的通気ヘルメットの特徴及び利点は、添付の概略的図面を参照して、限定のためではなく一例として与えられる以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるヘルメットの一実施形態を示す。
図2図1のヘルメットの分解図を示す。
図3図1のヘルメットの幾つかの要素を示す。
図4図1のヘルメットの異なる使用を示す。
図5図1のヘルメットの異なる使用を示す。
図6図1のヘルメットの異なる使用を示す。
図7】本発明によるヘルメットの第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図を参照すると、参照番号10は、本発明によるサイクリング用途用の選択的通気ヘルメットを示す。
こうしたヘルメットは、サイクリング用途用であり、
−今日使用されているクロノ型ヘルメットのような空気力学的方法で成形され、ヘルメット10の内部から外部に通る通気チャネルを作成する複数の細隙部14が設けられたキャップ構造体11と、
−通気チャネルが閉鎖された1つの位置と通気チャネルを少なくとも部分的に開放するための少なくとも1つの位置との間でキャップ構造体11に対して移動可能な、細隙部14に配置されたセレクタ13と、
を含むタイプのものである。
特定的には、本発明によると、セレクタ13は、細隙部14においてキャップ構造体11に一体化される案内手段12上で移動可能である。
【0017】
ここで構造的な詳細に入ると、案内手段12は、直接、キャップ構造体11内に一体成形され、キャップ11内に部分的に埋め込まれ、開口部14において部分的にアクセス可能なフレームを含む。
案内手段は、セレクタ13の内部に配置されたピン18を受けるための長穴(slotted hole)15を含むことが好ましい。
保持要素17は、ピン18を長穴15内に保持し、セレクタ13の移動を可能にするために提供される。
【0018】
セレクタをフレームに接続する保持システム17又はねじに加えて、歯フック(teeth hooking)を提供することも可能であり、この歯は、セレクタ上に得られ、対応する軌道に接続する。要素又はねじ及び歯を保持する2つのフック・システムは、互いに別々に、しかし同時に使用することもできる。
【0019】
図示される例によれば、セレクタ13は、ヘルメット10の両側のチャネル14を同時に開閉するようにU字形状である。
当然、セレクタは、本発明の目的のために動作するいずれの他の形状のものにしてもよい。空気力学的となることができるように、セレクタ13は、キャップ11と同一平面上になるように、該キャップ11の座部内に収容される。
【0020】
このように、閉鎖状態において、ヘルメットは、キャップと閉鎖したセレクタとの間を通る際に段差の不連続がない、完全に空気力学的な外部プロファイルを有する。
ヘルメットが通気式に使用されるとき、チャネル14の前部に部分的に重ねるための前部グリッド16が存在してもよい。
【0021】
グリッドは、選択的に取り外し可能にすることも又は固定することも可能であり、固定される場合、セレクタ13は、グリッド16自体の上方で移動可能であることが好ましい。
従って、本発明によるサイクリング用途用の選択的通気を有するヘルメットが、前記の目的を達成することが分かった。
【0022】
非常に簡潔に言うと、実際に、次の利点を認識することが可能である。
−ユーザは、典型的なサイクリング用ヘルメット、従って、通気式ヘルメットを得ることができ、そして、簡単なジェスチャで、該ヘルメットを、閉鎖された空気力学的クロノ型ヘルメットに変換し、その性能を高めることを可能にできる。
−単一の製品を冬にも(これを閉鎖する)及び夏にも(これを開放する)、晴雨にかかわらず、同じく簡単なスイッチ・ジェスチャで使用することができ、ヘルメットが閉鎖されたときに、水が内部に染み込むことはない。
−製品を開放状態又は閉鎖状態で使用できることに加えて、セレクタの段階的移動により、空気流の量を調整する中間ステップも存在する。
−前部通気孔において、プラスチック製の、又は布若しくは金属などの他の材料製の虫よけ用グリッドを付加することが可能である。
【0023】
このように考えられた本発明のサイクリング用途用の選択的通気ヘルメットに、全て同じ発明概念により網羅される多数の修正及び変更を行い、全ての詳細を技術的に同等の要素に置き換えることができる。実際に、使用される材料、並びにその寸法は、技術的要件に従ったいずれのタイプのものにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
10:ヘルメット
11:キャップ(構造体)
12:案内手段
13:セレクタ
14:細隙部
15:長穴
16:グリッド
17:保持要素
18:ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7