特許第6427178号(P6427178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427178特にスポーツ用の脱落防止保護ヘルメット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427178
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】特にスポーツ用の脱落防止保護ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 7/00 20060101AFI20181112BHJP
【FI】
   A42B7/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520789(P2016-520789)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公表番号】特表2016-524661(P2016-524661A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】IB2014062367
(87)【国際公開番号】WO2014203180
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年4月6日
(31)【優先権主張番号】MI2013A001005
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514154905
【氏名又は名称】カスク ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ゴッティ アンジェロ
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05042093(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0054947(US,A1)
【文献】 特開2000−160424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にスポーツ用の保護ヘルメット(10)であって、
ーザの頭部を少なくとも部分的に覆うような形状にされ、目のアーチから始まり、上部及び側方の両方の項部領域までの頭蓋骨部分における強打から頭部を保護するように構成されたシェル構造体(11)と、
前記ユーザの前記項部領域において前記シェル構造体に固定的に接続された項部レスト要素(12)と、
を含み、
前記項部レスト要素(12)は、前記シェル構造体(11)の内後壁(14)と接触し、頭蓋骨の後頭隆起を通過するのを可能にする前記ヘルメット(10)の装着位置と、前記シェル構造体(11)の前記内後壁(14)から離れ、前記ヘルメット(10)を着用している前記ユーザの前記項部領域と接触する前記ヘルメット(10)の使用位置との間で可動であるように前記シェル構造体(11)に拘束され、
前記ヘルメット(10)は、前記項部レスト要素(12)を、前記シェル構造体(11)の前記内後壁(14)から離れ、前記ヘルメット(10)を着用している前記ユーザの前記項部領域と接触する前記使用位置に押し付けるばね(13)を含み、
前記項部レスト要素(12)は、前記ユーザに対していかなる手動操作も要求することなく、前記装着位置から前記使用位置へと自然にばね式に移行するように構成され、使用中に前記ヘルメット(10)を着用している前記ユーザに密着するように構成された内側プロファイルと、装着中に前記シェル構造体(11)の前記内後壁(14)に密着するように構成された外側プロファイルとを有するC字形状のものであり、
前記ばね(13)は、前記項部レスト要素(12)と前記シェル構造体(11)の前記内後壁(14)との間に配置された板ばねであり、中央部分(16)が前記シェル構造体(11)の前記内後壁(14)と接触し、側方部分(17)が前記シェル構造体(11)の前記内後壁(14)から離れ、前記シェル構造体(11)の内側に向けられたC字形状のばね板(15)を含むことを特徴とする、ヘルメット(10)。
【請求項2】
前記ばね(13)は、前記C字形状のばね板(15)に対して直交する方向に前記中央部分(16)から延びるステム部分(18)を含み、前記ステム部分(18)は、前記シェル構造体(11)に拘束されることを特徴とする、請求項に記載のヘルメット(10)。
【請求項3】
前記ステム部分(18)は、異なる傾斜を有する複数のセクション(19、19’、19’’)を含むことを特徴とする、請求項に記載のヘルメット(10)。
【請求項4】
前記項部レスト要素(12)は、後部に、前記C字形状のばね板(15)を受けるための座部を含むことを特徴とする、請求項〜請求項のいずれかに記載のヘルメット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にスポーツ用の脱落防止(anti−release)保護ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、運動選手、及び/又は、例えばサイクリング、スケート、スキー、オートバイに乗ること、乗馬、及び/又はその他のような、特定の活動及び/又はスポーツを練習している人々が、起こり得る落下及び/又は事故が発生した場合に彼ら自身を保護するためにヘルメット及び/又は類似の保護ヘッドギアを着用する、スポーツの分野で用いられることが意図される。
【0003】
本発明の目的はまた、例えば、言及する価値がある建設での作業で、又は、安全上の理由で適切なヘルメット又は類似の保護ヘッドギアを備えることが強制又は推奨されるいずれかの他の分野のような、スポーツ以外の分野でも特に用いられる。
【0004】
周知のように、対象とするスポーツに応じてその形状及び構造的特徴が異なる、多数の異なるタイプのスポーツ用ヘルメットがある。
【0005】
種々の周知のスポーツ用ヘルメット間の多数の差意にもかかわらず、現在市場に存在するスポーツ用ヘルメットには、ユーザの頭部の殆どを囲むことが意図された、実質的にアーチ形又はラップアラウンド(wrap−around)形状を有する保護又はシェル構造体が与えられる。
【0006】
そうしたヘルメットの保護構造体は、ユーザの頭部を接触状態で受け入れるように、一般に詰めものが入った凹状収容空間と、ユーザの落下及び/又は事故の際、起こり得る身体又は物体への打撃又は衝突を意図した、通常は1つ又はそれ以上の抵抗材料層で覆われた外面とを有する。
【0007】
上述のヘルメットにはさらに、例えば、所定の位置に応じてユーザの頭部でブロックされるように保護構造体と関連付けられた顎紐及び/又は類似の調整可能なストラップのような適切な固定用手段が設けられる。
【0008】
そうしたヘルメットにはまた、一方ではヘルメットをより実用的かつ快適なものにし、他方ではユーザを潜在的な危険な状況から保護するのに役立ち得る所定の機能を実行するように、保護構造体と係合することができる1つ又はそれ以上のアクセサリ要素を設けることもできる。
【0009】
以下の説明から理解できるように、本発明のヘルメットは、ユーザを強打又は衝撃から保護する通常の能力に加えて、ヘルメットの使用中に、快適性、装着の簡単さ及び安定性を与えることも意図しているので、脱落防止と称される。
【0010】
もちろん、そのような目的に達するために、ヘルメットが、ユーザの頭部に最適な方法で密着している必要がある。
【0011】
過去において、最も一般的な解決法は、市場で入手可能な異なるサイズを有するヘルメットを作製することにあった。
【0012】
しかしながら、そのような解決法は、ユーザの頭部の形状を考慮すると、又はより詳細には、人間の頭蓋骨の後頭部又は項部領域のプロファイルに関して、最適な解決法を提供するものではない。
【0013】
実際、そのような後頭部分又は項部部分には、ヘルメットを正しく着用するために、ヘルメットが、使用位置に正しく配置されるように最初に「通過する」必要がある特定の隆起がある。
【0014】
調整機構を備えていない周知のヘルメットにおいては、ヘルメットがそうした隆起を通過するようなサイズを有する場合、ひとたびこの隆起を通過すると、ヘルメットを項部領域に正しく密着させることができないことは明らかである。
【0015】
逆に、項部領域の最適な密着が、ヘルメットを、この後頭隆起を超えて装着させることを困難にする。
【0016】
そうした欠点を解決するために、もっと厳密に言えば、項部領域への容易な装着及び最適な密着をもたらすために、命令に従ってヘルメットの項部部分を緩めたり又は締め付けたりする手動調整を備えているヘルメットが、今日知られている。
【0017】
そうした方法で、ヘルメットを緩めた状態にしておくことにより、ヘルメットを容易に着用することが可能であり、ひとたび着用されると、ヘルメットを、正しく密着するまでユーザの項部上に締め付けることが可能である。
【0018】
そのような解決法の欠点は、そうした機構の破壊を引き起こすことが多いヘルメットの複雑さに加えて、ユーザが、いずれの場合にも、ヘルメット上で手動操作を行わざるを得ず、ヘルメットの装着が遅くなるという事実である。
【0019】
そのようなタイプのヘルメットの例は、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されており、これらのヘルメットは、ヘルメットの内後壁と実質的に接触し、頭蓋骨の後頭隆起を通過するのを可能にする装着位置と、ヘルメットの内後壁から離れ、ユーザの項部領域と実質的に接触する使用位置との間で可動の項部レスト(nape−rest)要素を含む。
【0020】
ユーザの安全性を高めるように、そうした項部レスト要素を使用位置に押し付けるための手段がさらに提供される。
【0021】
例えば、特許文献1は、項部レスト要素を使用位置に押し付けるためのばね要素を含む。
【0022】
しかしながら、特許文献1においては、特許文献2及び特許文献3と同様に、装着位置から使用位置への移行は、自然に行われるのではなく、項部レスト要素を装着位置にロックするのに適したツールによって行われる。
【0023】
換言すれば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されるヘルメットにおいても、装着後に、ユーザは、項部レスト要素を解放するために又はユーザの頭部との接触を調整するために、ヘルメット上で手動操作を行わざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第6,226,802号明細書
【特許文献2】米国特許第6,401,261号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/255370号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の主な目的は、周知のものとは異なると同時に安定しており、最適な方法で項部に密着し、いかなる手動調整も必要とせずに着用が容易な保護ヘルメットを作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一般的な態様によれば、特許請求されるヘルメットは、ユーザによるいかなる手動操作も必要とせずに、自然で弾力的な方法で装着位置から使用位置へもたらすように構成された、ヘルメットの項部領域に配置されたユーザの項部レスト要素を含む。
【0027】
そのような要素は、後頭隆起を通過するのを可能にするようにヘルメット自体のシェルの内後壁と実質的に接触するヘルメットの装着位置と、シェル構造体の内後壁から離れ、ユーザの項部領域と実質的に接触する使用位置との間で可動であるように、固定的に接続される。
【0028】
手動調整なしで、そのように自動的に密着するように、上述の項部レスト要素を使用位置に押し付けるように構成されたばね要素が存在する。
【0029】
このようにして、ヘルメットの装着中、ばねにより、要素が後退して後頭隆起を通過し、次いで該要素を、ユーザの項部領域に密着する位置に自動的にもたらし、強打が発生した場合にも、ヘルメットが脱げにくくすることが可能になる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、本出願人は、上述の目的のために特に機能的なばねの形状を識別した。
【0031】
上で特定された目的及びさらに他のものは、以下の特許請求の範囲で示され説明される、特にスポーツ用の保護ヘルメットによって実質的に達成される。
【0032】
ここで一例として、本発明による、特にスポーツ用の脱落防止保護ヘルメットの、限定ではない好ましい実施形態の説明が報告される。そうした説明は、純粋に表示として与えられ、従って限定目的ではない添付図面を参照して、説明の残りの部分で行われるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による脱落防止保護ヘルメットの分解図で示される実施形態を示す。
図2図1のヘルメットの詳細を示す。
図3】いかなる手動調整もなしに得ることができる異なる構成における図1のヘルメットを示す。
図4】いかなる手動調整もなしに得ることができる異なる構成における図1のヘルメットを示す。
図5】いかなる手動調整もなしに得ることができる異なる構成における図1のヘルメットを示す。
図6】いかなる手動調整もなしに図3図5に示される構成を実現することを可能にするばね要素の実施形態を示す。
図7】いかなる手動調整もなしに図3図5に示される構成を実現することを可能にするばね要素の実施形態を示す。
図8】いかなる手動調整もなしに図3図5に示される構成を実現することを可能にするばね要素の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付図面を参照すると、参照符号10が、全体として、本発明による脱落防止保護ヘルメットを示す。
【0035】
本発明による脱落防止保護ヘルメット10は、
−ユーザの頭部を少なくとも部分的に覆うような形状にされ、実質的に目のアーチから始まり、上部及び側方の両方の項部領域までの頭蓋骨部分における強打から頭部を保護するように構成されたシェル構造体11と、
ユーザの項部領域においてシェル構造体に固定的に接続された項部レスト要素12と、
を含む。
【0036】
シェル構造体11は周知のタイプのものであり、本発明の特有の態様に直接関係しないので、説明を明瞭にするために、これを形成する材料及びアクセサリ要素の両方については列挙しない。
【0037】
説明の残りの部分から明らかになるように、項部レスト要素12は、着用したヘルメットを安定させ、かつ、ユーザの項部に密着させることによってヘルメットが偶発的に脱げるのを防止するという主機能を有する。
【0038】
シェル11及び項部レスト要素12は、本発明による脱落防止保護ヘルメット10の実施形態の分解図を示す図1に見ることができる。
【0039】
本発明によれば、図3図5に見ることができるように、項部レスト要素12は、これがシェル構造体11の内後壁14と実質的に接触するヘルメット10の装着位置と、これがシェル構造体11の内後壁14から離れ、ヘルメット10を着用しているユーザの項部領域と実質的に接触するヘルメット10の使用位置との間で可動であるようにシェル構造体11に拘束される。
【0040】
さらにより具体的には、ヘルメット10は、項部レスト要素12を、これがシェル構造体11の内後壁14から離れ、ヘルメット10を着用しているユーザの項部領域と実質的に接触するヘルメットの使用位置に押し付けるように構成されたばね要素13を含む。
【0041】
このように、ヘルメットの装着中、ばね13は、項部レスト要素12が後退して後頭隆起を通過し、次いで自動的に、いかなる手動調整もなしに、該項部レスト要素12をユーザの項部に密着する位置に戻すことを可能にする。
【0042】
図示されるように、項部レスト要素12は、使用中にユーザの項部に密着するように構成された内側プロファイルと、装着時にシェル構造体11の内後壁14に密着するように構成された外側プロファイルとを有する、実質的にC字形状の要素である。
【0043】
図2に見ることができるような、ばね13は、項部レスト要素12とシェル構造体11の内後壁14との間に配置された板ばねである。
【0044】
より詳細には、示される構成例において、ばね13は、中央部分16がシェル構造体11の内後壁14と実質的に接触し、側方部分17が内後壁14から離れ、シェル構造体11の内側に向けられたC字形状のばね板15を含む。
【0045】
このような方法で、側方部分17が圧縮されると、側方部分17は項部レスト要素12に作用し、該項部レスト要素12をヘルメット11に対して内方に押し、従って、ユーザの項部に密着する。
【0046】
図6図8に見ることができるように、ばね13は、C字形状のばね板15に対して直交する方向に、中央部分16から延びるステム部分18を含む。
【0047】
ステム部分18は、可変の傾斜を有する複数のセクション19、19’、19’’を含み、例えばステムを受けるためのポケットによってシェル構造体11に拘束される。
【0048】
次に、ばね13は、例えば、ねじによって項部レスト要素12に固定的に接続される。
【0049】
最後に、項部レスト要素12は、後部に、C字形状のばね板15を受けるための下方座部を含む。
【0050】
従って、本発明による脱落防止保護ヘルメットが、上述の強調された目的を実現することが分かる。
【0051】
非常に手短に言えば、以下の利点を列挙することができる。
−項部領域への密着性が高く、自動式の迅速な閉鎖システムのおかげで、ヘルメットが頭部上に固定されかつ安定したままとなる能力が高いことに起因する、ユーザのためのより高い安全性
−項部領域の形状への完璧な適合性
−向上した快適性
−使用の容易さ。
【0052】
このように考えられた本発明の脱落防止保護ヘルメットに、全て同じ発明概念により網羅される多数の修正及び変形を施し、さらに、全ての詳細を技術的に同等の要素に置き換えることができる。実際に、使用される材料並びにそのサイズは、技術的要件に応じて、いずれのタイプのものにすることもできる。
【符号の説明】
【0053】
10:脱落防止保護ヘルメット
11:シェル構造体
12:項部レスト要素
13:ばね要素
14:内後壁
15:ばね板
16:中央部分
17:側方部分
18:ステム部分
19、19’、19’’:セクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8