特許第6427181号(P6427181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427181メモリセル、動作方法および製造方法、半導体デバイス構造およびメモリシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427181
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】メモリセル、動作方法および製造方法、半導体デバイス構造およびメモリシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20181112BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20181112BHJP
   G11B 5/39 20060101ALI20181112BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20181112BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   H01L27/105 447
   G11B5/39
   H01L29/82 Z
   H01L43/08 Z
【請求項の数】7
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-524252(P2016-524252)
(86)(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公表番号】特表2016-524341(P2016-524341A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014044630
(87)【国際公開番号】WO2015002839
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2016年2月26日
【審判番号】不服2017-11470(P2017-11470/J1)
【審判請求日】2017年8月2日
(31)【優先権主張番号】13/932,497
(32)【優先日】2013年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(72)【発明者】
【氏名】サンデュ,ガーテ エス.
(72)【発明者】
【氏名】クラ,ヴィトルド
【合議体】
【審判長】 飯田 清司
【審判官】 加藤 浩一
【審判官】 小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/134378(WO,A1)
【文献】 特開2005−64050(JP,A)
【文献】 特開2005−109201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L27/10
H01L27/105
H01L21/8239
H01L21/8246
H01L43/08-12
H01L29/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気セルコアを含む少なくとも一つのメモリセルを備える半導体デバイスであって、
前記磁気セルコアは、
磁場配向が切り替え可能な自由領域と、
磁場配向が固定された固定領域と、
前記自由領域および前記固定領域間に配置された非磁性領域と、
前記自由領域に付随して設けられたストレッサと、を含み、
前記ストレッサは、前記自由領域よりも高い熱膨張係数を有することにより、前記磁気セルコアを通るプログラミング電流による発熱に基づき、前記自由領域に垂直方向の圧縮応力および横方向の引張応力の少なくとも一方の応力を与えるように構成され、
前記ストレッサは、スペーサによって互いに分離された複数の個別のストレッサ形体を含む不連続ストレッサ構造を備え、
前記自由領域は、前記自由領域および前記固定領域が共に垂直方向の磁場配向を示すように構成されるときは、正の磁気歪みを持たせられて、前記少なくとも一方の応力により前記自由領域の垂直磁性異方性(PMA)が減少されるように構成され、
前記自由領域は、前記自由領域および前記固定領域が共に水平方向の磁場配向を示すように構成されるときは、負の磁気歪みを持たせられて、前記少なくとも一方の応力により前記自由領域の平面内磁性異方性(IMA)が減少されるように構成された、
半導体デバイス。
【請求項2】
前記磁気セルコアは、前記固定領域に付随して設けられた付加ストレッサをさらに含むように構成され、
前記付加ストレッサは、前記磁気セルコアを通るプログラミング電流による発熱に基づき、前記固定領域に対し、前記自由領域および前記固定領域が共に垂直方向の磁場配向を示すように構成されるときは、前記固定領域の垂直磁性異方性(PMA)の低下を抑制するような応力を与え、前記自由領域および前記固定領域が共に水平方向の磁場配向を示すように構成されるときは、前記固定領域の平面内磁性異方性(IMA)の低下を抑制するような応力を与えるように構成された、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
磁気セルコアを含む少なくとも一つのメモリセルを備える半導体デバイスであって、
前記磁気セルコアは、
切り替え可能な垂直方向の磁場配向を示す自由領域と、
固定された垂直方向の磁場配向を示す固定領域と、
前記自由領域および前記固定領域間に配置された非磁性領域と、
前記自由領域に付随して設けられたストレッサと、
前記ストレッサに接触し、かつ、前記ストレッサへ又は前記ストレッサから熱を伝達するヒータ構造と、を含み、
前記ストレッサは、前記自由領域よりも高い熱膨張係数を有することにより、前記磁気セルコアを通るプログラミング電流による発熱に基づき、前記自由領域に垂直方向の圧縮応力および横方向の引張応力の少なくとも一方の応力を与えるように構成され、
前記自由領域は、正の磁気歪みを持たせられて、前記少なくとも一方の応力により前記自由領域の垂直磁性異方性(PMA)が減少されるように構成された、
半導体デバイス。
【請求項4】
前記磁気セルコアは、前記固定領域に付随して設けられた付加ストレッサをさらに含むように構成され、
前記付加ストレッサは、前記磁気セルコアを通るプログラミング電流による発熱に基づき、前記固定領域に対し、前記固定領域の垂直磁性異方性(PMA)の低下を抑制するような応力を与えるように構成された、
請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
磁気セルコアを含む少なくとも一つのメモリセルを備える半導体デバイスであって、
前記磁気セルコアは、
切り替え可能な水平方向の磁場配向を示す自由領域と、
固定された水平方向の磁場配向を示す固定領域と、
前記自由領域および前記固定領域間に配置された非磁性領域と、
前記自由領域に付随して設けられたストレッサと、を含み、
前記ストレッサは複数のストレッササブ領域を含み、各ストレッササブ領域は、前記複数のストレッササブ領域のうちの他のストレッササブ領域とは異なる材料を含み、
前記ストレッサは、前記自由領域よりも高い熱膨張係数を有することにより、前記磁気セルコアを通るプログラミング電流による発熱に基づき、前記自由領域に垂直方向の圧縮応力および横方向の引張応力の少なくとも一方の応力を与えるように構成され、
前記自由領域は、負の磁気歪みを持たせられて、前記少なくとも一方の応力により前記自由領域の平面内磁性異方性(IMA)を減少するように構成された、
半導体デバイス。
【請求項6】
前記磁気セルコアは、前記固定領域に付随して設けられた付加ストレッサをさらに含むように構成され、
前記付加ストレッサは、前記磁気セルコアを通るプログラミング電流による発熱に基づき、前記固定領域に対し、前記固定領域の平面内磁性異方性(IMA)の低下を抑制するような応力を与えるように構成された、
請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記ストレッサは、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)を含んで構成される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年7月1日に出願された米国特許出願整理番号13/932,497“MEMORY CELLS, METHODS OF OPERATION AND FABRICATION,SEMICONDUCTOR DEVICE STRUCTURES,AND MEMORY SYSTEMS”の出願日の利益を享受する権利を主張する。
【0002】
本開示は、種々の実施形態において、概して、メモリデバイス設計および製造分野に関する。より詳細には、本開示は、スピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)セルとして特徴づけられるメモリセルの設計および製造に関する。
【背景技術】
【0003】
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、磁気抵抗に基づいた不揮発性コンピュータメモリ技術である。一種のMRAMセルは、スピントルクトランスファーMRAM(STT−MRAM)セルであり、STT−MRAMセルは、基板によって支持される磁性セルコアを含む。磁性セルコアは、例えば、“固定領域(fixed region)”および“自由領域(free region)”などの少なくとも二つの磁性領域を含み、その間に非磁性領域を有する。STT−MRAMセルの自由領域および固定領域は、領域の幅で水平方向に配向される(“平面内(in−plane)”)か、または垂直方向に配向された(“平面外(out−of−plane)”)磁性配向(方位、orientation)を示すことがある。
【0004】
固定領域は、実質的に固定された(例えば、スイッチングできない)磁性配向を有する磁性材料を含む。一方、自由領域は、“パラレル”構造と“アンチパラレル”構造との間でセル動作中に、スイッチングされ得る磁性配向を有する磁性材料を含む。パラレル構造においては、固定領域および自由領域の磁性配向は、同一方向に向けられる(例えば、其々、北と北、東と東、南と南または西と西)。アンチパラレル構造においては、固定領域および自由領域の磁性配向は、逆方向に向けられる(例えば、其々、北と南、東と西、南と北、または西と東)。
【0005】
パラレル構造においては、STT−MRAMセルは、磁気抵抗素子、即ち固定領域および自由領域にわたってより低い電気抵抗を示す。この低電気抵抗状態は、MRAMセルの“0”の論理状態として定義されてもよい。アンチパラレル構造においては、STT−MRAMセルは、磁気抵抗素子、即ち磁性材料の領域、例えば、固定領域および自由領域にわたって、より高い電気抵抗を示す。この高電気抵抗状態は、STT−MRAMセルの“1”の論理状態として定義されてもよい。
【0006】
自由領域の磁性配向のスイッチングは、磁性セルコアおよびその固定領域、自由領域にプログラミング電流を通すことによって達成されてもよい。磁性セルコア内の固定領域は、プログラミング電流の電子スピンを分極させ、スピン分極電流がコアを通ると、トルクが生成される。スピン分極電流は、自由領域にトルクを及ぼすことによって自由領域と相互作用する。コアを通るスピン分極電流のトルクが、自由領域の臨界スイッチング電流密度(J)よりも大きいとき、スピン分極電流によって及ぼされるトルクは、自由領域の磁性配向の方向をスイッチングするのに十分である。したがって、プログラミング電流は、磁性領域にわたって電気抵抗を変化させるために使用することができる。結果として生じる磁気抵抗素子にわたる高電気抵抗状態または低電気抵抗状態は、従来のMRAMセルの書き込みおよび読み出し動作を可能とする。所望の論理状態に関連付けられたパラレル構造およびアンチパラレル構造のうちの一構造を達成するために自由領域の磁性配向をスイッチングした後、自由領域の磁性配向は、“保存(storage)”段階(ステージ)の間、MRAMセルが異なる構造(configuration)(即ち、異なる論理状態)に再書き込みされるまで、保持されることが通常望ましい。
【0007】
磁性領域の磁性異方性(“MA”)は、磁性配向の強さの指標であり、したがって、磁性配向の変化に対する磁性材料の抵抗の指標である。高いMA強度を有する磁性配向を示す磁性材料は、より低いMA強度を有する磁性配向を示す磁性材料よりも、その磁性配向の他の磁性配向への変化を受けにくい可能性がある。
【0008】
パラレル構造からアンチパラレル構造へ自由領域をスイッチングするために必要なプログラミング電流の量は、磁性領域のMA強度によって影響される。より強い(即ち、より高い)MA強度を有する自由領域は、より弱い(即ち、より低い)MA強度を有する自由領域よりもその磁性配向をスイッチングするために、より大きなプログラミング電流を必要とすることがある。しかしながら、弱いMA強度を有する自由領域も、しばしば保存中に安定性が低い。即ち、弱いMA強度を有する自由領域は、特にMRAMセルの固定領域が強いMA強度を有するときには、そのプログラムされた構造(即ち、プログラムされたパラレルまたはアンチパラレル構造)外への時期尚早な変化を受けやすい。したがって、プログラムされた論理状態を失敗なく記憶するためのセルの性能を低下させることなく(即ち、自由領域の磁性配向を時期尚早にスイッチングすることなく)、最小のプログラミング電流でスイッチングすることが可能なMA強度を有する自由領域および固定領域を有するMRAMセルを形成することは、しばしば課題である。
【発明の概要】
【0009】
メモリセルが開示される。メモリセルは、磁性領域およびストレッサ構造を含む磁性セルコアを含む。ストレッサ構造は、ストレッサ構造が磁性領域の磁性配向をスイッチングする間に、磁性セルコアを通るプログラミング電流に晒されるときに、磁性領域に対する応力を及ぼし、磁性領域の磁性異方性を変化させるように構成される。
【0010】
スピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)セルの動作方法も開示される。本方法は、STT−MRAMセルの論理状態をプログラムするために、磁性領域およびSTT−MRAMセルの磁性セルコアの別の磁性領域にわたる電気抵抗を変化させることを含む。電気抵抗を変化させることは、磁性領域のスイッチング可能な磁性配向をスイッチングするために、磁性セルコアに電流を通すことを含む。電気抵抗を変化させることは、少なくとも部分的に電流を通すことに応じて、磁性領域および別の磁性領域のうちの一領域に応力を及ぼし、磁性領域および別の磁性領域のうちの一領域の磁性異方性を変化させるために、磁性領域および別の磁性領域のうちの一領域に隣接するストレッサ構造の少なくとも一次元を変化させることも含む。
【0011】
メモリセルの形成方法も開示される。本方法は、基板上に磁性材料を形成することを含む。非磁性材料は、磁性材料上に形成される。別の磁性材料は、非磁性材料上に形成される。ストレッサ材料は、磁性材料および別の磁性材料のうちの少なくとも一つに隣接して形成される。ストレッサ材料は、磁性材料および別の磁性材料のうちの最も近い一材料の熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有する。
【0012】
半導体デバイスも開示される。半導体デバイスは、STT−MRAMセルを含むスピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)アレイを含む。STT−MRAMセルのうちの一つのSTT−MRAMセルは、磁性セルコアを含む。磁性セルコアは、磁性領域と別の磁性領域との間に非磁性領域を含む。磁性セルコアは、磁性領域に隣接したストレッサ構造も含む。ストレッサ構造は、磁性領域とは異なる熱膨張係数を有する。ストレッサ構造は、磁性領域の磁性異方性を変化させるために、STT−MRAMセルのスイッチング中に、プログラミング電流に晒されるときに、少なくとも一つの次元を変化させて、磁性領域に応力を及ぼすように構成される。
【0013】
スピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)システムも開示される。STT−MRAMシステムは、磁性セルコアと、その磁性セルコアと通信するように動作可能な導電性材料とを含む。磁性セルコアは、磁気領域に隣接したストレッサ構造を含む。ストレッサ構造は、磁性領域にわたって電気抵抗を変化させるために、スイッチング中に磁性セルコア内のストレッサ構造を通る電流に応じて、寸法を変化させ、磁性領域に応力を及ぼすように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】平面外STT−MRARMセルの自由領域に隣接するストレッサ構造を含む磁性セル構造の断面、概略立面図である。
図2A】保存構造における図1の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、正の磁気歪みおよび主に垂直方向の磁性配向を有する磁性材料によって形成された自由領域を含む。
図2B】スイッチング構造における図2Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成されたストレッサ構造を含む。
図2C】スイッチング構造における図2Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に膨張するように構成されたストレッサ構造を含む。
図3A】保存構造における図1の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、負の磁気歪みおよび主に垂直方向の磁性配向を有する磁性材料によって形成された自由領域を含む。
図3B】スイッチング構造における図3Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に収縮するように構成されたストレッサ構造を含む。
図3C】スイッチング構造における図3Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に収縮するように構成されたストレッサ構造を含む。
図4】平面内STT−MRAMセルの自由領域に隣接するストレッサ構造を含む磁性セル構造の断面概略立面図である。
図5A】保存構造における図4の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、負の磁気歪みおよび主に水平方向の磁性配向を有する磁性材料で形成された自由領域を含む。
図5B】スイッチング構造における図5Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成されたストレッサ構造を含む。
図5C】スイッチング構造における図5Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に膨張するように構成されたストレッサ構造を含む。
図6A】保存構造における図4の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、正の磁気歪みおよび主に水平方向の磁性配向を有する磁性材料で形成された自由領域を含む。
図6B】スイッチング構造における図6Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に収縮するように構成されたストレッサ構造を含む。
図6C】スイッチング構造における図6Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に収縮するように構成されたストレッサ構造を含む。
図7】平面外STT−MRAMセルの自由領域に隣接する上部ストレッサ構造と、固定領域に隣接する低部ストレッサ構造とを含む磁性セル構造の断面概略立面図である。
図8A】保存構造における図7の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、正の磁気歪みおよび主に垂直方向の磁性配向を有する磁性材料によって形成された固定領域を含む。
図8B】スイッチング構造における図8Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に収縮するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図8C】スイッチング構造における図8Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に収縮するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図9A】保存構造における図7の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、負の磁気歪みおよび主に垂直方向の磁性配向を有する磁性材料で形成された固定領域を含む。
図9B】スイッチング構造における図9Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図9C】スイッチング構造における図9Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に膨張するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図10A】保存構造における磁性セル構造の断面概略立面図であって、磁性セル構造は、平面外STT−MRAMセルの自由領域に隣接する上部ストレッサ構造と、固定領域に隣接する低部ストレッサ構造とを含み、自由領域および固定領域は、正の磁気歪みを有する磁性材料で形成される。
図10B】スイッチング構造における図10Aの磁性セル構造の断面概略立面図であって、上部ストレッサ構造は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成され、低部ストレッサ構造は、スイッチング中に垂直方向に収縮するように構成される。
図11A】保存構造における磁性セル構造の断面概略立面図であって、磁性セル構造は、平面外STT−MRAMセルの自由領域に隣接する上部ストレッサ構造と、固定領域に隣接する低部ストレッサ構造とを含み、自由領域は、正の磁気歪みを有する磁性材料で形成され、固定領域は負の磁気歪みを有する磁性材料で形成される。
図11B】スイッチング構造における図11Aの磁性セル構造の断面概略立面図であって、上部ストレッサ構造および低部ストレッサ構造は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成される。
図12】平面内STT−MRAMセルの自由領域に隣接する上部ストレッサ構造と、固定領域に隣接する低部ストレッサ構造とを含む磁性セル構造の断面概略立面図である。
図13A】保存構造における図12の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、負の磁気歪みおよび主に水平方向の磁性配向を有する磁性材料で構成された固定領域を含む。
図13B】スイッチング構造における図13Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に収縮するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図13C】スイッチング構造における図13Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に収縮するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図14A】保存構造における図12の磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、正の磁気歪みおよび主に水平方向の磁性配向を有する磁性材料で形成された固定領域を含む。
図14B】スイッチング構造における図14Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図14C】スイッチング構造における図14Aの磁性セル構造の部分的断面概略立面図であって、磁性セル構造は、スイッチング中に横方向に膨張するように構成された低部ストレッサ構造を含む。
図15A】保存構造における磁性セル構造の断面概略立面図であって、磁性セル構造は、平面内STT−MRAMセルの自由領域に隣接する上部ストレッサ構造と、固定領域に隣接する低部ストレッサ構造とを含み、自由領域は負の磁気歪みを有する磁性材料で形成され、固定領域は、正の磁気歪みを有する磁性材料で形成される。
図15B】スイッチング構造における図15Aの磁性セル構造の断面概略立面図であって、上部ストレッサ構造および低部ストレッサ構造はスイッチング中に垂直方向に膨張するように構成される。
図16A】保存構造における磁性セル構造の断面概略立面図であって、磁性セル構造は、平面内STT−MRAMセルの自由領域に隣接する上部ストレッサ構造と、固定領域に隣接する低部ストレッサ構造とを含み、自由領域および固定領域は、正の磁気歪みを有する磁性材料で形成される。
図16B】スイッチング構造における図16Aの磁性セル構造の断面概略立面図であって、上部ストレッサ構造は、スイッチング中に垂直方向に収縮するように構成され、低部ストレッサ構造は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成される。
図17】複数のストレッササブ領域で形成されたストレッサ構造を有する磁性セル構造の部分的断面概略立面図である。
図18】不連続ストレッサ構造を有する磁性セル構造の部分的断面概略立面図である。
図19】磁性領域に隣接するストレッサ構造と、ストレッサ構造と磁性領域との間に配置された中間構造と、を有する磁性セル構造の部分的断面概略立面図である。
図20】ストレッサ構造に隣接するヒータ構造を有する磁性セル構造の部分的断面概略立面図である。
図21】本開示の一実施形態による磁性セル構造を有するメモリを含むSTT−MRAMシステムの概略図である。
図22】本開示の一実施形態による磁性セル構造を有するメモリセルを含む半導体デバイス構造の簡略化ブロック図である。
図23】本開示の一つ以上の実施形態により実現されるシステムの簡略化ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
メモリセル、このようなメモリセルを含む半導体デバイス構造、メモリシステム、このようなメモリセルの形成方法および動作方法が開示される。メモリセルは、自由領域または固定領域などの磁性領域を含む磁性セルコアと、スイッチング中に磁性領域の磁性異方性(MA)を変化させるために、スイッチング中の磁性領域に応力を及ぼすように構成されたストレッサ構造とを含む。応力は、圧縮応力または引張応力であってもよい。スイッチング中(即ち、プログラミング中)に磁性セルコアを通るプログラミング電流は、膨張または収縮などのストレッサ構造における構造変化をもたらし、膨張または収縮によって、近傍の磁気領域に及ぼされる圧縮応力または引張応力を引き起こす可能性がある。磁性領域に結果として生じる歪みは、磁性領域の磁性異方性を変化させることがある。例えば、ストレッサ構造は、加熱されると(例えば、横方向、垂直方向、またはその双方に)膨張するように構成され、磁性セルコアにプログラミング電流を通すことによってストレッサ構造を加熱してもよい。プログラミング中のストレッサ構造の膨張は、近傍の自由領域に応力を(例えば、圧縮応力または引張応力で)及ぼしてもよい。自由領域は、応力を及ぼされると、領域の主な磁性配向の方向に(即ち、STT−MRAMセルが平面内STT−MRAMセルである場合には水平方向に、またはSTT−MRAMセルが平面外STT−MRAMセルである場合には垂直方向に)おける磁性異方性強度を減少させるように構成された磁性材料で形成されてもよい。したがって、磁性セルコアを通るプログラミング電流の通過は、ストレッサ構造を加熱し、この加熱によって、ストレッサ構造の膨張を引き起こし、この膨張は自由領域に応力を引き起こし、この応力の結果、自由領域のMA強度の低下を引き起こす。このように、スイッチング中に、自由領域に応力が及ぼされない場合に必要とされるよりも、応力が及ぼされた自由領域の磁性配向をスイッチングするために使用され得るプログラミング電流を低下させる。例えば、応力が及ぼされていない場合に自由領域をスイッチングするために必要とされ得るプログラミング電流よりも、プログラミング電流は、約5倍(5×)低下する(即ち、応力を及ぼされていない自由領域に対して必要なプログラミング電流は、応力を及ぼされた自由領域をスイッチングするために必要なプログラミング電流の約500%までである可能性がある)。スイッチング後、自由領域のMA強度がその元のMA強度に戻るように増加し得るように、プログラミング電流は終了し、ストレッサ構造は冷却され、元の寸法に収縮し、自由領域に対する応力を軽減する。このように、STT−MRAMセルは、保存中にデータ保持および信頼性を悪化させることなく、低いプログラミング電流の使用を可能とするように構成されてもよい。
【0016】
本明細書で用いられるように、“基板(substrate)”という語は、メモリセル内などのコンポーネントが形成されるベース材料または他の構造を意味し、含む。基板は、半導体基板、支持構造上のベース半導体材料、金属電極、または一つ以上のその上に形成された材料、構造もしくは領域を有する半導体基板であってもよい。基板は、従来のシリコン基板または半導電性材料を含む他のバルク基板であってもよい。本明細書で用いられるように、“バルク基板”という語は、シリコンウェーハだけではなく、シリコンオンサファイア(“SOS”)基板、シリコンオングラス(“SOG”)基板、ベース半導体基板上のシリコンエピタキシャル層、またはシリコンゲルマニウム(Si1−xGe、ここでxは例えば、0.2から0.8の間のモル分率である)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、もしくはリン化インジウム(InP)などの他の半導体もしくは光電子材料などのシリコンオンインシュレータ(“SOI”)基板も意味し、含む。さらに、以下の説明において“基板”に対して参照が行われるときには、それ以前の処理段階は、ベース半導体構造または基板内の材料、領域または接合を形成するために使用されてもよい。
【0017】
本明細書で用いられるように、“STT−MRAMセル(STT−MRAM cell)”という語は、自由領域と固定領域との間に配置された非磁性領域を含む磁性セルコアを含む磁性セル構造を意味し、含む。非磁性領域は、磁性トンネル接合(“MJT”)構造においては、電気的な絶縁(例えば、誘電)領域であってもよい。或いは、非磁性領域は、スピンバルブ構造においては、導電性領域であってもよい。
【0018】
本明細書で用いられるように、“磁性セルコア(magnetic cell core)”という語は、自由領域および固定領域を含み、メモリセルの使用および動作中に、自由領域および固定領域の磁性配向のパラレル構造またはアンチパラレル構造をもたらすためにそこを通って電流が通る(即ち、流れる)メモリセル構造を意味し、含む。
【0019】
本明細書で用いられるように、“磁性領域(magnetic region)”という語は、磁性を示す領域を意味する。磁性領域は、磁性材料を含み、一つ以上の非磁性材料も含むことがある。
【0020】
本明細書で用いられるように、“磁性材料(magnetic material)”という語は、強磁性材料、フェリ磁性材料、反強磁性材料の双方を意味し、含む。
【0021】
本明細書で用いられるように、“固定領域(fixed region)”という語は、磁性材料を含み、STT−MRAMセルの使用および動作中に固定された磁性配向を有するSTT−MRAMセル内の磁性領域のことを意味し、含み、セルコアの一つの磁性領域、例えば、自由領域の磁化方向内の変化をもたらす電流または印加された電界は、固定領域の磁化方向内の変化をもたらさないことがある。固定領域は、一つ以上の磁性材料を含んでもよく、任意で、一つ以上の非磁性材料を含んでもよい。例えば、固定領域は、磁性サブ領域によって隣接するルテニウム(Ru)のサブ領域を含む合成反強磁性体(SAF)として構成されてもよい。磁性サブ領域の各々は、一つ以上の材料および一つ以上の領域をその中に含んでもよい。別の例として、固定領域は、単一の均質な磁性材料として構成されてもよい。したがって、固定領域は、均一な磁化を有するか、STT−MRAMセルの使用中および動作中に固定された磁性配向を有する固定領域を全体としてもたらす様々な磁化のサブ領域を有してもよい。
【0022】
本明細書で用いられるように、“自由領域(free region)”という語は、磁性材料を含み、STT−MRAMセルの使用中および動作中にスイッチング可能な磁性配向を有するSTT−MRAMセル内の磁性領域を意味し、含む。磁性配向は、電流または印加される電界の適用によって、パラレル構造とアンチパラレル構造との間でスイッチングされてもよい。
【0023】
本明細書で用いられるように、“スイッチング(switching)”という語は、自由領域および固定領域の磁性配向のパラレル構造またはアンチパラレル構造をもたらすために、STT−MRAMセルの磁性セルコアをプログラミング電流が通る間の、メモリセルの使用および動作の段階を意味し、含む。
【0024】
本明細書で用いられるように、“保存(storage)”という語は、STT−MRAMセルの磁性セルコアを通ってプログラミング電流が通っておらず、自由領域および固定領域の磁性配向のパラレル構造またはアンチパラレル構造が変化しない間の、メモリセルの使用および動作段階のことを意味し、含む。
【0025】
本明細書で用いられるように、“膨張する(expand)”および“膨張(expansion)”という語は、材料の寸法の変化について用いられるときには、ある軸に沿った隣接する材料の寸法の増加よりも、その軸に沿って材料の寸法がより大きく増加することを意味し、含む。この語は、ある軸に沿った材料の寸法増加のことも称するが、隣接する材料は、軸に沿って、寸法が変化しないか、または寸法が減少する。言及された“隣接する材料(neighboring material)”とは、膨張する材料の寸法が増加するのと同一軸に沿って、膨張材料に隣接する材料のことである。寸法変化の最終結果は、膨張後の隣接材料に対する材料の寸法の割合が、膨張前の隣接材料に対する材料の寸法の割合よりも大きくなることである。したがって、長さまたは高さにおいて三倍になる材料は、隣接する材料が長さまたは高さにおいて単に二倍になる場合にも、“膨張する(expand)”と言われることがある。さらに、隣接する材料は寸法が変化しないか、または寸法が減少するときに、寸法が増加する材料も“膨張する(expand)”と言われることがある。“横方向の膨張(lateral expansion)”という文脈においては、言及される隣接材料は、膨張材料に横方向に隣接する材料である。このように、横方向に膨張する材料は、横方向に隣接する材料に関して“膨張し(expanded)”、このような隣接材料に対して横方向の圧縮応力を及ぼすことがある。横方向に膨張する材料は、垂直方向の隣接材料に対して横方向引張応力を及ぼし、横方向引張応力は、垂直方向の隣接材料の横方向膨張をもたらすことがある。“垂直方向の膨張(vertical expansion)”の文脈においては、言及される隣接材料は、膨張材料に垂直方向に隣接する材料である。このように、垂直方向に膨張する材料は、垂直方向に隣接する材料に対して“膨張し(expanded)”、このような隣接材料に対して垂直方向の圧縮応力を及ぼすことがある。垂直方向に膨張する材料は、横方向に隣接する材料に対して垂直方向の引張応力を及ぼし、垂直方向引張応力は、垂直方向に隣接する材料の垂直方向膨張をもたらすことがある。
【0026】
本明細書で用いられるように、“収縮する(contract)”および“収縮(contraction)”という語は、材料の寸法変化について使用されるとき、ある軸に沿って隣接する材料の寸法が減少するよりも、その軸に沿って材料の寸法がより大きく減少することを意味し、含む。この語は、ある軸に沿って寸法が減少する材料のことを称し、隣接材料は、その軸に沿って寸法が変化しないか、または寸法が増加する。言及される“隣接材料(neighboring material)”とは、収縮材料の寸法が減少する同一軸に沿って、収縮材料に隣接する材料のことである。寸法変化の最終結果は、収縮後の隣接材料に対する材料の寸法の割合が、収縮前の隣接材料に対する材料の寸法の割合よりも小さくなることである。したがって、隣接材料の寸法が膨張するか変化しない場合に、寸法が縮小する材料は、“収縮する(contract)”と言われることがある。さらに、隣接する材料の寸法が縮小するよりも多く寸法が縮小する材料も“収縮する(contract)”と言われることがある。しかしながら、さらに、隣接する材料が長さまたは高さにおいて三倍になる場合に、長さまたは高さにおいて二倍になる材料は、“収縮する(contract)”と言われることがある。“横方向収縮(lateral contraction)”の文脈においては、言及される隣接材料は、収縮する材料に横方向に隣接する材料である。このように、横方向に収縮する材料は、横方向に隣接する材料に対して“収縮する(contracted)”ものであって、このような隣接材料に対する横方向の引張応力を及ぼすことがある。横方向に収縮する材料は、垂直方向に隣接する材料に対して横方向の圧縮応力も及ぼし、この横方向圧縮応力は、垂直方向に隣接する材料の横方向収縮をもたらすことがある。“垂直方向収縮(vertical contraction)”の文脈においては、言及される隣接材料は、膨張する材料に垂直方向に隣接する材料である。このように、垂直方向に収縮する材料は、垂直方向に隣接する材料に対して“収縮する(contracted)”ものであって、このような隣接材料に垂直方向引張応力を及ぼすことがある。垂直方向に収縮する材料は、横方向に隣接する材料に垂直方向の圧縮応力を及ぼし、この垂直方向圧縮応力は、横方向に隣接する材料の垂直方向収縮をもたらすことがある。
【0027】
本明細書で用いられるように、“垂直方向(vertical)”という語は、其々の領域の幅および長さに垂直な方向を意味し、含む。“垂直方向(vertical)”とは、STT−MRAMセルが配置される基板の主面に対して垂直な方向を意味し、含む。
【0028】
本明細書で用いられるように、“水平方向(horizontal)”という語は、其々の領域の幅および長さのうちの少なくとも一つに平行な平行を意味し、含む。“水平方向(horizontal)”とは、STT−MRAMセルが配置される基板の主面に平行な方向も意味し、含む。
【0029】
本明細書で用いられるように、“サブ領域(sub−region)”という語は、別の領域に含まれる領域を意味し、含む。このように、ある磁性領域は、非磁性サブ領域、即ち、非磁性材料のサブ領域とともに、一つ以上の磁性サブ領域、即ち、磁性材料のサブ領域を含んでもよい。
【0030】
本明細書で用いられるように、“間(between)”という語は、少なくとも二つの他の材料、領域またはサブ領域について、一つの材料、領域またはサブ領域の相対的配置を記述するために使用される空間的相対語である。“間(between)”という語は、他の材料、領域またはサブ領域に直接隣接する一つの材料、領域、またはサブ領域の配置と、他の材料、領域またはサブ領域に直接隣接しない一つの材料、領域、またはサブ領域の配置との双方を包含する可能性がある。
【0031】
本明細書で用いられるように、別の構成要素の“上(on)”または“上方(over)”にあるものとして言及される一構成要素は、他の構成要素の上部に直接存在する構成要素、他の構成要素と隣接する構成要素、他の構成要素の下部の構成要素または他の構成要素と直接は接触していない構成要素を意味し、含む。また、その間に存在する他の構成要素の上部に間接的に存在する構成要素、他の構成要素に隣接する構成要素、他の構成要素の下部にある構成要素、または他の構成要素の近傍にある構成要素も含む。対照的に、ある構成要素は、別の構成要素の“直接上(directly on)”または“直接隣接して(directly adjacent to)”いるものとして言及されるとき、介在する構成要素は存在しない。
【0032】
本明細書で用いられるように、“下(beneath)”“下(below)”“低部(lower)”“底部(bottom)”“上(above)”“上部(upper)”“上部(top)”“前(front)”“後ろ(rear)”“左(left)”“右(right)”などの他の空間的相対語は、図面に示されるような、他の(複数の)構成要素または(複数の)形体に対するある構成要素または形体の関係を記述するために、記述を容易にするために用いられることがある。特に指定されない限りは、この空間的相対語は、図面に示されるような方向に加えて、材料の異なる方向も包含することを意図される。例えば、図面内の材料が反転される場合、他の構成要素または形体の“下(below)”または“下(beneath)”または“下(under)”または“底部(on bottom of)”にあるものとして記述される構成要素は、今度は、他の構成要素または形体の“上(above)”または“上部(on top of)”に方向づけられる。したがって、“下(below)”という語は、その語が用いられる文脈に依存して、上部および下部の方向づけの双方を包含することができ、そのことは、当業者に明らかであろう。材料は、他に方向づけられてもよく(90度回転される、反転される、など)、本明細書で用いられる空間的相対語は、それに従って解釈される。
【0033】
本明細書で用いられるように、“含む(comprises)”“含む(comprising)”“含む(includes)”および/または“含む(including)”という語は、言及される特徴、領域、整数、段階、動作、構成要素、材料、コンポーネントおよび/または集合の存在を特定するものであるが、一つ以上の他の特徴、領域、整数、段階、動作、構成要素、材料、コンポーネントおよび/またはその集合の存在または追加を排除することはない。
【0034】
本明細書で用いられるように、“および/または(and/or)”は、関連付けられた記載項目のうちの一つ以上の任意の組み合わせおよび全ての組み合わせを含む。
【0035】
本明細書で用いられるように、“一つの(a)”“一つの(an)”および“その(the)”という単数形は、明確に指定されない限りは、複数形をさらに含むと意図される。
【0036】
本明細書に提示される図面は、任意の特定のコンポーネント、構造、デバイスまたはシステムの実際の外観を意味するものではなく、本開示の実施形態を記述するために使用される単なる理想的表現に過ぎない。
【0037】
実施形態は、概略図である断面図を参照して、本明細書に記述される。したがって、本明細書に記述される実施形態は、図示された特定の形状または領域に限定すると解釈されるべきではなく、例えば、製造技術の結果として生じる形状における誤差を含んでもよい。例えば、箱形として図示されるかまたは記述される領域は、粗い形体および/または非線形形体を有することがある。さらに、図示される鋭角は、丸まっていることがある。このように、図面に示される材料、特徴および領域は、本質的に概略であって、これらの形状は材料、特徴または領域の正確な形状を図示することを意図するものではなく、本請求項の範囲を限定することはない。
【0038】
以下の記述は、開示されるデバイスおよび方法の実施形態の十分な理解を提供するために、材料種および処理条件などの具体的詳細事項を提供する。しかしながら、これらの具体的詳細事項がなくても、デバイスおよび方法の実施形態が実現され得ることを当業者には理解されたい。実際には、デバイスおよび方法の実施形態は、本産業で使用される従来の半導体製造技術と組み合わせて実現されることがある。
【0039】
本明細書で記述される製造プロセスは、半導体デバイス構造を処理するための完全なプロセスフローを形成しない。プロセスフローの残りは、当業者には既知のものである。したがって、本デバイスおよび本方法の実施形態を理解するのに必要な方法および半導体デバイス構造のみが本明細書に記述される。
【0040】
特に指定しない限りは、本明細書で記述される材料は、スピンコーティング、ブランケットコーティング、化学蒸着(“CVD”)、原子層堆積(“ALD”)、プラズマ増強ALDまたは物理蒸着(“PVD”)を含むがそのいずれにも限定はされない任意の好適な技術によって形成されてもよい。或いは、材料は、insituで成長してもよい。形成される特定の材料に依存して、材料を堆積または成長するための技術は、当業者によって選択されてもよい。
【0041】
特に指定されない限りは、本明細書で記述される材料の除去は、エッチング、イオンミリング、研磨による平坦化または他の既知の方法を含むがそのいずれにも限定はされない任意の好適な技術によって達成されてもよい。
【0042】
ここで、図面に対して参照が行われ、類似の参照番号は、図面を通して類似のコンポーネントのことを称する。図面は、必ずしも同じ縮尺で描かれるとは限らない。
【0043】
メモリセルが開示される。メモリセルは、少なくとも一つの磁性領域(例えば、自由領域または固定領域)と、磁性領域に隣接するストレッサ構造とを含む磁性セルコアを含む。ストレッサ構造は、メモリセルのスイッチング中に磁性領域に対して応力を及ぼすように構成される。応力は、スイッチング中に応力を及ぼされた磁性領域の磁性異方性(“MA”)における変化をもたらす。スイッチング後、応力は軽減され、磁性領域のMAは、実質的にその以前のレベルに戻ってもよい。ストレッサ構造は、このように、スイッチング中に自由領域のMA強度における減少を引き起こすか、スイッチング中の固定領域のMA強度における増加を引き起こすように構成されてもよい。
【0044】
本開示の実施形態のメモリセルは、平面内STT−MRAMセルまたは平面外STT−MRAMセルのいずれかとして構成されてもよい。“平面内”STT−MRAMセルは、主に水平方向に方向づけられた磁性配向を示す磁性領域を含むが、“平面外”STT−MRAMセルは、主に垂直方向に方向づけられた磁性配向を示す磁性領域を含む。本明細書で用いられるように、磁性配向について言及されるときの“direction(方向)”とは、磁性配向の主な方向のことを称する。
【0045】
図1から図3Cは、平面外STT−MRAMセルの一実施形態を示す。図1を参照すると、本開示の一実施形態による平面外STT−MRAMセルの磁性セル構造100が図示される。磁性セル構造100は、基板102上の磁性セルコア101を含む。磁性セルコア101は、上部電極104上と低部電極105下との間に配置されてもよい。磁性セルコア101は、例えば、その間に非磁性領域130を有する“固定領域”110と“自由領域”120の少なくとも二つの磁性領域を含む。一つ以上の低部中間領域140および一つ以上の上部中間領域150は、任意で、磁性セル100構造の磁性領域(例えば、固定領域110および自由領域120)の下および上に其々配置されてもよい。
【0046】
幾つかの実施形態においては、図1に示されるように、磁性セルコア101は、基板102上のシード領域160を形成する任意の導電性材料を含んでもよい。存在する場合にはシード領域160が、またはシード領域160が存在しない場合には低部中間領域140が低部電極105の底部導電性材料上に形成され、低部電極105は、例えば、限定することなく、銅、タングステン、チタン、タンタル、前述された任意の元素の窒化物またはその組み合わせを含んでもよい。シード領域160は、もし存在する場合には、例えば、限定することなく、ニッケルベース材料を含み、被覆材料または被覆領域の結晶構造を制御するように構成されてもよい。底部中間領域140は、もし存在する場合には、磁性セルコア101内の被覆材料の所望の結晶構造を保証するように構成される材料を含んでもよい。
【0047】
磁性セル構造100は、幾つかの実施形態においては、任意で酸化物キャッピング領域170を含み、酸化物キャッピング領域170は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、五酸化タンタル(Ta)またはその組み合わせを含んでもよい。幾つかの実施形態においては、酸化物キャッピング領域170は、非磁性領域130と同一の材料、同一の構造またはその双方を含み、例えば、酸化物キャッピング領域170および非磁性領域130は、双方とも、酸化マグネシウム(例えば、MgO)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ハフニウム、酸化ルテニウムまたは酸化タンタルを含んでもよい。酸化物キャッピング領域170および非磁性領域130は、一つ以上の非磁性材料を含んでもよい。
【0048】
任意の上部中間領域150は、存在する場合には、磁性セルコア101の隣接する材料内の所望の結晶構造を保証するように構成された材料を含んでもよい。上部中間領域150は、磁性セルコア101の製造中のパターン化プロセスを支援するように構成された金属材料、バリア材料、または従来のSTT−MRAMセルコア構造の他の材料を代替的または追加的に含んでもよい。幾つかの実施形態においては、図1に示されたように、上部中間領域150は、導電性キャッピング領域を含み、導電性キャッピング領域は、銅、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、窒化タンタルまたは窒化チタンなどの一つ以上の材料を含んでもよい。
【0049】
図1に示されたように、STT−MRAMセルは、磁性領域(例えば、固定領域110および自由領域120)の少なくとも一つにおける垂直方向磁性配向を示すように構成されてもよい。示された垂直方向磁性配向は、垂直磁性異方性(“PMA”)強度によって特徴づけられてもよい。矢印112および両矢印122によって図1に示されるように、幾つかの実施形態においては、固定領域110および自由領域120の各々は、垂直方向磁性配向を示すことがある。固定領域110の磁性配向は、例えば、図1の矢印112によって示される方向に、STT−MRAMセルの動作中を通して、実質的に同一の方向に方向づけられたままであってもよい。一方、自由領域120の磁性配向は、図1の両矢印122によって示されるように、パラレル構造とアンチパラレル構造との間で、セルの動作中に、スイッチングされてもよい。
【0050】
磁性セルコア101は、自由領域120および固定領域110の少なくとも一つに隣接するストレッサ構造180も含む。図1の実施形態に示されるように、ストレッサ構造180は、自由領域120に隣接してもよい。ストレッサ構造180は、例えば、STT−MRAMセルのプログラミング中に少なくとも一次元(例えば、高さ、幅)において形状が変化するように構成された材料、例えば非磁性材料で形成されてもよい。ストレッサ構造180の構造的構成、位置、および材料組成のうちの一つ以上は、隣接する領域に対して、所望の大きさおよび方向の応力を適用するために、プログラミング中にストレッサ構造180が変化することを可能にするように適合されてもよい。本明細書で用いられるように、“構成される(configured)”という語は、ストレッサ構造180について言及されるときには、ストレッサ構造180が“構成される(configured)”と記述された結果を可能とするように適合された、その構造的構成、(影響を及ぼされる磁性材料に対する)位置および材料組成のうちの少なくとも一つを有するストレッサ構造180を意味し、含む。
【0051】
ストレッサ構造180は、温度上昇または電圧降下などのプログラミング中の条件の変化に応じて、プログラミング中に膨張または収縮(即ち、隣接する材料よりも寸法が減少するか、または隣接する材料よりも小さく膨張する)するように構成されてもよい。例えば、STT−MRAMセルのスイッチング中に、ストレッサ構造180を含む磁性セルコア101をプログラミング電流が通ると、ストレッサ構造180の材料および磁性セルコア101内の他の材料を加熱することがある。したがって、プログラミング中に温度変化に応じるように構成された場合には、ストレッサ構造180の寸法は変化して、隣接する磁性材料上で変化したストレッサ構造180によって及ぼされる物理的応力を引き起こす。この応力は、プログラミング電流が停止すると軽減され、スイッチング前のレベルに温度を戻し、ストレッサ構造180をスイッチング前の寸法に戻す。
【0052】
ストレッサ構造180が温度変化に応じるように構成された実施形態においては、ストレッサ構造180は、隣接材料、例えば、隣接する磁性領域の隣接する磁性材料の熱膨張係数とは異なる(例えば、少なくとも約0.1%大きいか、または少なくとも約0.1%小さい)熱膨張係数を有する材料で形成されてもよい。このように、ストレッサ構造180は、隣接材料、例えば、隣接する磁性材料とは異なる速度で、温度変化に晒されたときに、膨張または収縮するように構成されてもよい。例えば、限定することなく、ストレッサ構造180は、(例えば、少なくともストレッサ構造180によって応力を及ぼされる磁性領域の材料の熱膨張係数と比較して)より高い熱膨張係数を有する金属(例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)または他の材料(例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge))で形成されるか、そのような金属を含んでもよく、したがって、ストレッサ構造180を加熱するスイッチング中にプログラミング電流に晒されたときに、隣接材料よりも大きく膨張して、隣接する磁性領域に応力を及ぼすように構成されてもよい。他の実施形態においては、ストレッサ構造180は、ストレッサ構造180を加熱するスイッチング中にプログラミング電流に晒されたときに、体積が減少して、隣接する磁性領域に応力を及ぼすように構成されてもよい。このようなストレッサ構造180は、負の熱膨張係数を有する材料で形成されてもよい。或いは、材料を加熱するスイッチング中に磁性セルコア101の材料がプログラミング電流に晒されたときに、ストレッサ構造180が隣接材料よりも小さく膨張するように、ストレッサ構造180は、隣接材料よりも低い熱膨張係数を有する材料で形成されるか、そのような材料を含んでもよい。このように、ストレッサ構造180は、隣接材料に対して収縮してもよい。
【0053】
ストレッサ構造180が電圧変化に応じるように構成される実施形態においては、ストレッサ構造180は、プログラミング中にその厚さにおける電圧変化に応じて形状を変化する(例えば、隣接材料に対して膨張するか収縮する)圧電材料で形成されてもよい。
【0054】
磁性セルコア101内または磁性セルコア101外のストレッサ構造180に隣接する材料に依存して、ストレッサ構造180は、主に一方向に寸法を変化するように構成されてもよい。例えば、ストレッサ構造180は、スイッチング段階の状態に晒されたときに、垂直方向に膨張するか、垂直方向に収縮するか、横方向に膨張するか、または横方向に収縮するように構成されてもよい。このように、ストレッサ構造180の材料および構造的構成は、所望の寸法変化と、隣接する磁性領域に対する対応する応力の適用を達成するために適合されてもよい。ストレッサ構造180の材料は、処理温度で隣接材料に対して不活性である(例えば、化学反応しない)ように組み立てられてもよい。
【0055】
自由領域120および固定領域110は、正の磁気歪みを有する磁性材料220(図2A参照)もしくは負の磁気歪みを有する磁性材料320(図3A参照)から形成されるか、またはそれらを含んでもよい。本明細書で用いられるように、“磁気歪み(magnetorestriction)”とは、磁化プロセス中に、材料の形状または寸法の変化を引き起こす磁性材料の特性を称する。“正の磁気歪み(positive magnetorestriction)”を有する磁性材料220は、その磁化方向(即ち、その磁性配向の方向)に延びる傾向があるが、“負の磁気歪み(negative magnetorestriction)”を有する磁性材料320は、その磁化方向に収縮する傾向がある。磁性材料220がその磁性配向の方向に膨張する(例えば、引き延ばされる)とき、正の磁気歪みを有する磁性材料220の主な磁性配向の方向におけるMA強度は増加するが、磁性材料220がその磁性配向の方向に反して圧縮される(例えば、押し込まれる)とき、減少することがある。磁性材料320がその磁性配向の方向に膨張する(例えば、引き延ばされる)とき、負の磁気歪みを有する磁性材料320の主な磁性配向の方向におけるMA強度は減少するが、磁性材料320がその磁性配向の方向に反して圧縮される(例えば、押し込まれる)とき増加することがある。このように、本開示の実施形態により、自由領域120および固定領域110のうちの少なくとも一つは、スイッチング中に膨張する領域または収縮する領域内のMA強度変化をもたらすために、スイッチング中に主な磁性配向の方向にそって、膨張するか圧縮するように構成されてもよい。物理的膨張または物理的圧縮は、上述されたように、プログラミング中に変化するにつれて、ストレッサ構造180によって磁性領域に及ぼされる応力の結果生じることがある。
【0056】
磁性セルコア101の磁性領域(例えば、固定領域110および自由領域120)のうちの一つまたはその双方は、正の磁気歪みまたは負の磁気歪みのいずれかを示す磁性材料を含むか、正の磁気歪みまたは負の磁気歪みのいずれかを示す磁性材料で実質的に構成されるか、正の磁気歪みまたは負の磁気歪みのいずれかを示す磁性材料で構成されてもよい。正の磁気歪みを示す磁性材料220は、例えば、コバルト(Co)および鉄(Fe)を9:1より小さいコバルト・イオン(Co:Fe)比で含む強磁性材料(例えば、CoFe,CeFeB)を限定することなく含んでもよい。負の磁気歪みを有する磁性材料320は、例えば、9:1を超えるコバルト・イオン(Co:Fe)比でコバルト(Co)および鉄(Fe)を含む強磁性材料(例えば、CoFe,CeFeB)を限定することなく含んでもよい。任意で、固定領域110、自由領域120またはその双方に含まれ得る他の磁性材料は、例えば、限定することなく、Co、Fe,Niもしくはその合金、NiFe,CoNiFe、またはドープされた合金CoX、CoFeX、CoNiFeX(X=B、Cu,Re,Ru,Rh,Hf,Pd,Pt,C)または他の半金属強磁性材料(例えば、NiMnSbおよびPtMnSbなど)を含む。
【0057】
幾つかの実施形態においては、磁性領域(例えば、固定領域110および自由領域120)は、磁気歪みを示す磁性材料および磁気歪みを示さない磁性材領域の双方を含む。それにもかかわらず、磁性領域のMA強度は、磁性領域に応力が及ぼされると、減少するか増加してもよい。
【0058】
代替的または追加的に、幾つかの実施形態においては、自由領域120、固定領域110、またはその双方は、複数の材料で形成されるか、複数の材料を含んでもよく、複数の材料のうちのいくつかは、磁性材料(例えば、磁気歪みを示す磁性材料および磁気歪みを示さない磁性材料)であり、複数の材料のうちのいくつかは、非磁性材料であってもよい。例えば、このような複数材料の自由領域、固定領域またはその双方のうちのいくつかは、複数のサブ領域を含んでもよい。例えば、限定することなく、自由領域120、固定領域110またはその双方は、コバルトおよびプラチナの繰り返しサブ領域から形成されるか、コバルトおよびプラチナの繰り返しサブ領域を含み、プラチナのサブ領域は、コバルトのサブ領域の間に配置されてもよい。別の例として、限定することなく、自由領域120、固定領域110またはその双方は、コバルトおよびニッケルの繰り返しサブ領域を含んでもよく、ニッケルのサブ領域は、コバルトのサブ領域の間に配置されてもよい。
【0059】
自由領域120および固定領域110の組成および構造(例えば、厚さおよび他の物理的寸法)は、同一であってもよいし、異なってもよい。
【0060】
図1の磁性セル構造100の自由領域120が図示された図2Aを参照すると、自由領域120は、正の磁気歪みを有する磁性材料220で形成される。図2Aは、保存状態中のストレッサ構造180および自由領域120を示し、保存状態において、プログラミング電流は磁性セルコア101(図1)を通っていない。このような“保存構造(storage configuration)”における自由領域120は、矢印PMAで表される、ある大きさで垂直方向の磁性異方性を有する垂直方向の磁性配向を示す。
【0061】
実施形態においては、ストレッサ構造180が、スイッチング段階の条件下で、例えば、プログラミング電流が磁性セルコア101(図1)を通り、ストレッサ構造180を加熱するとき、垂直方向に膨張するように構成される。このような実施形態においては、図2Bに示されたように、矢印Vによって示された方向における膨張は、隣接する磁性材料220に対する垂直方向の圧縮力を及ぼす垂直方向に膨張したストレッサ構造180VEを生成する。結果として生じた垂直方向に圧縮された自由領域120VCは、図2Aの矢印PMAの大きさと比較すると、より小さいPMAの大きさによって示されるように、PMAの低下を示すことがある。このように、スイッチング中のプログラミング電流の結果、垂直方向に膨張したストレッサ構造180VE、垂直方向に圧縮された自由領域120VC、低下したPMAを生じる。低下したPMAによって、その他の場合に使用されるプログラミング電流よりも低いプログラミング電流で、垂直方向に圧縮された自由領域120VCの磁性配向のスイッチングが可能となる。
【0062】
スイッチング後、プログラミング電流の印加は停止され、その結果、温度も含めて、スイッチング前の状態に戻り、その間に、垂直方向に膨張したストレッサ構造180VEは、図2Aに示された保存構造に戻って、垂直方向に圧縮された自由領域120VCを形成するために以前に及ぼされた応力を軽減する。このように、垂直方向に圧縮された自由領域120VCは、図2Aに示される保存構造に膨張し、低下したPMAは、図2Aにおける自由領域120のPMAへと増加することがある。このように、低下したPMAは、スイッチング中に垂直方向に圧縮された自由領域120VCによって示されるが、元のPMAは、保存中の自由領域120によって示されてもよい。したがって、自由領域120は、保存中のデータ保持を悪化させることなく、より低いプログラミング電流でスイッチングすることを可能とする。
【0063】
スイッチング中および保存中のPMA強度間の差異は、磁性セル構造100のスケーラビリティを収容してもよい。例えば、保存中の固定領域110のPMA強度を悪化させることなく、より低いプログラミング電流で固定領域110のスイッチングを可能とすることによって、固定領域110の機能を悪化させることなく、より小さい固定領域110を製造することを可能とすることができる。
【0064】
他の実施形態においては、ストレッサ構造180(図2A)は、スイッチング段階の条件下で、例えば、プログラミング電流が磁性セルコア101(図1)を通り、ストレッサ構造180を加熱するときに、横方向に膨張するように構成されてもよい。このような実施形態においては、図2Cに示されるように、矢印Lによって示される方向における膨張は、隣接する磁性材料220に対する横方向の引張力を及ぼす、横方向に膨張したストレッサ構造180LEを生成する。結果として生じる横方向に膨張した自由領域120LEは、図2Aの矢印PMAの大きさと比較するとより小さい大きさの矢印PMAによって示されるように、より低いPMAを示すことがある。このように、スイッチング中のプログラミング電流の結果、横方向に膨張したストレッサ構造180LE、横方向に膨張した自由領域120LEおよび低下したPMAを生じる。低下したPMAは、他の場合に必要とされるプログラミング電流よりも低いプログラミング電流で、横方向に膨張した自由領域120LEの磁性配向のスイッチングを可能とすることができる。
【0065】
図3Aから図3Cを参照すると、図1の磁性セル構造100の自由領域120が示され、自由領域120は、負の磁気歪みを有する磁性材料320で形成される。幾つかの実施形態においては、ストレッサ構造180は、矢印Vによって示されるように垂直方向に収縮するように構成され、その結果、自由領域120に垂直方向の引張応力を及ぼす垂直方向に収縮したストレッサ構造180VCを生じ、その結果、垂直方向に膨張した自由領域120VEを生じる。垂直方向に膨張した自由領域120VEの磁性材料320は、低下したPMAを示すことがある。したがって、垂直方向に膨張した自由領域120VEの磁性配向は、低いプログラミング電流でスイッチング可能である可能性がある。
【0066】
図3Cを参照すると、他の実施形態においては、ストレッサ構造180は、矢印Lによって示されるように、横方向に収縮するように構成され、その結果、自由領域120に横方向の圧縮応力を及ぼす横方向に収縮したストレッサ構造180LCを生じ、その結果、横方向に圧縮された自由領域120LCを生じる。横方向に圧縮された自由領域120LCの磁性材料320は、低いプログラミング電流でスイッチング可能であり得る磁性配向とともに、低下したPMAを示すことがある。
【0067】
図4を参照すると、平面内STT−MRAMセルの磁性セル構造400が示され、磁性セルコア401内の固定領域110および自由領域120の磁性材料は、矢印412および両矢印422によって示されるように、水平方向の磁性配向を示す。
【0068】
図5Aを参照すると、幾つかの実施形態においては、平面内STT−MRAMセルの自由領域120は、負の磁気歪みを示す磁性材料320で形成されてもよい。磁性材料320によって示される水平方向の磁性配向は、平面内磁性異方性(“IMA”)強度によって特徴づけられることがある。幾つかの実施形態においては、ストレッサ構造180は、スイッチング中に、図5Bの矢印Vの方向、つまり垂直方向に膨張するように構成され、その結果、隣接する磁性材料320に垂直方向の圧縮応力を及ぼす垂直方向に膨張したストレッサ構造180VEを生じ、その結果、垂直方向に圧縮された自由領域120VCを生じる。したがって、垂直方向に圧縮された自由領域120VCの磁性配向が、低いプログラミング電流でスイッチング可能であり得るように、垂直方向に圧縮された自由領域120VCは、低下したIMAを示すことがある。スイッチング後、垂直方向に膨張したストレッサ構造180VEおよび垂直方向に圧縮された自由領域120VCは、図5Aに示される構造に戻ってもよい。
【0069】
図5Cを参照すると、幾つかの実施形態においては、ストレッサ構造180は、スイッチング中に矢印Lの方向、つまり横方向に膨張するように構成され、その結果、磁性材料320に横方向の引張応力を及ぼす横方向に膨張したストレッサ構造180LEを生じ、横方向に膨張した自由領域120LEを生じる。したがって、横方向に膨張した自由領域120LEの磁性配向が低いプログラミング電流でスイッチング可能であり得るように、横方向に膨張した自由領域120LEは、低下したIMAを示すことがある。スイッチング後、横方向に膨張したストレッサ構造180LEおよび横方向に膨張した自由領域120LEは、図5Aに示される構造に戻ってもよい。
【0070】
他の実施形態においては、平面内STT−MRAMメモリセルの磁性セルコア401の自由領域120(図4)は、図6Aに示されるように、正の磁気歪みを示す磁性材料220から形成されてもよい。このように、図6Bを参照すると、ストレッサ構造180は、自由領域120に垂直方向の引張応力を及ぼすために、スイッチング中に垂直方向に収縮するように構成され、その結果、垂直方向に収縮したストレッサ構造180VC、垂直方向に膨張した自由領域120VE、および低下したIMAを生じる。図6Cを参照すると、ストレッサ構造180は、代替的または追加的に、自由領域120に横方向の圧縮応力を及ぼすために、スイッチング中に横方向に収縮するように構成され、その結果、横方向に収縮したストレッサ構造180LC、横方向に圧縮された自由領域120LCおよび低下したIMAを生じる。スイッチング後、領域および構造は、図6Aに示された構造に戻ってもよい。
【0071】
したがって、磁性領域およびストレッサ構造を含む磁性セルコアを含むメモリセルが開示される。ストレッサ構造が磁性領域の磁性配向のスイッチング中に磁性セルコアを通るプログラミング電流に晒されるとき、ストレッサ構造は、磁性領域に応力を及ぼし、磁性領域の磁性異方性を変化するように構成される。
【0072】
正の磁気歪みを示す磁性材料220は、隣接するストレッサ構造180によって生成される垂直方向および横方向の圧縮応力および引張応力に対して異なるように反応するため、ストレッサ構造180は、磁性材料(例えば、正の磁気歪みを示す磁性材料220、負の磁気歪みを示す磁性材料320)のMA強度の増加をもたらすために、好適な応力(例えば、(図2Bのような)垂直方向圧縮応力、(図2Cのような)横方向引張応力、(図3Bのような)垂直方向引張応力、(図3Cのような)横方向圧縮応力)を及ぼすように構成され、方向づけられると考えられる。ストレッサ構造180によって影響を受ける磁性領域が自由領域120である実施形態においては、ストレッサ構造180は、自由領域120によって示される磁性配向のMA強度を低下させる応力を及ぼすように構成されると考えられる。
【0073】
STT−MRAMセルが平面外セル(図1から図3Cなど)かまたは平面内セル(図4から図6Cなど)か、磁性領域(例えば、自由領域120)の磁性材料が、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成されるかまたは負の磁気歪みを示す磁性材料320で形成されるか、ストレッサ構造180が垂直方向に膨張するか、垂直方向に収縮するか、横方向に膨張するか、または横方向に収縮するかに関わらず、スイッチング段階中に磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4))をプログラミング電流が通過することによって、自由領域120の磁性配向を変化させ、それによって、磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4))の自由領域120および固定領域110にわたる電気抵抗を変化させる。さらに、ストレッサ構造180の少なくとも一次元(dimension)における変化は、磁性セルコアを電流が通る間に達成され、ストレッサ構造180内の変化は、磁性領域のMA強度を変化させるために、隣接する磁性領域(例えば、自由領域120または固定領域110)にストレスを及ぼす。
【0074】
このように、スピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)セルの動作方法が開示される。方法は、STT−MRAMセルの論理状態をプログラムするために、STT−MRAMセルの磁性セルコアの磁性領域および他の磁性領域にわたる電気抵抗を変化させることを含む。電気抵抗を変化させることは、磁性領域のスイッチング可能な磁性配向をスイッチングするために、磁性セルコアに電流を通すことを含む。電流の通過に少なくとも部分的に応じて、磁性領域および別の磁性領域のうちの一つに隣接するストレッサ構造の少なくとも一次元が、磁性領域および別の磁性領域のうちの一つに応力を及ぼし、磁性領域および別の磁性領域のうちの一つの磁性異方性を変化させるために変化する。
【0075】
図7を参照すると、幾つかの実施形態においては、磁性セル構造700は、自由領域120に隣接する上部ストレッサ構造781および固定領域110に隣接する低部ストレッサ構造782を含む磁性セルコア701を含んでもよい。上部ストレッサ構造781は、図1から図3Cを参照して上述されたように、ストレッサ構造180のうちの任意の構造に類似して構成されてもよい。このように、上部ストレッサ構造781は、スイッチング中に自由領域120のMA強度を低下させるために、スイッチング中に自由領域120に応力を及ぼすように構成され、スイッチング中に使用されるプログラミング電流を低下することを可能とする。
【0076】
低部ストレッサ構造782は、固定領域110に隣接して配置され、スイッチング中に固定領域110のMA強度を変化させるために、スイッチング中に固定領域110に応力を及ぼすように構成されてもよい。低部ストレッサ構造782は、固定領域110内のより高い(例えば、より大きい)MA強度を生じる応力を及ぼすように構成されてもよい。より高いMA強度は、自由領域120の磁性配向をスイッチングすることを可能とすることがある。なぜなら、磁性セルコア701をプログラミング電流が通ると、固定領域110のMA強度は、生成されるトルクを高めることがあるからである。
【0077】
低部ストレッサ構造782は、プログラミング中に固定領域110の磁性異方性の減少を抑制することがある。例えば、固定領域110の磁性材料は、温度上昇に晒されたときに、MA強度を低下する傾向があり、その後、低部ストレッサ構造782によって固定領域に及ぼされる応力は、MA強度の低下を抑制することがある。
【0078】
図8Aを参照すると、幾つかの実施形態においては、固定領域110は、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成され、図8Aの矢印PMAの大きさによって示されるようなPMA強度によって特徴づけられる垂直方向磁性配向を示すことがある。スイッチング中にPMA強度を増加させるために、低部ストレッサ構造782は、スイッチング中に、図8Bの矢印Vによって示されるように、垂直方向に収縮するように構成され、この垂直方向収縮は、正の磁気歪みを示す磁性材料220に垂直方向引張応力を及ぼし、磁性材料220のPMA強度を増加させる。したがって、スイッチング中に、プログラミング電流は、垂直方向に収縮したストレッサ構造782VC、垂直方向に膨張した固定領域110VEおよびより高いPMAを生じる。スイッチング後、構造は、図8Aに示される保存構造に戻ってもよい。
【0079】
代替的または追加的に、低部ストレッサ構造782は、図8Cの矢印Lの方向、つまり横方向に収縮するように構成されてもよい。横方向の収縮の結果、固定領域110に横方向圧縮応力を及ぼす横方向に収縮したストレッサ構造782LCを生じ、その結果、より高いPMAを示す横方向に圧縮された自由領域110LCを生じる。スイッチング後、構造は、図8Aに示された構造に戻ってもよい。
【0080】
図9Aを参照すると、幾つかの実施形態においては、固定領域110は、負の磁気歪みを示す磁性材料320で形成されてもよい。このように、低部ストレッサ構造782は、磁性材料320に垂直方向圧縮応力を及ぼすために、図9Bの矢印Vの方向、つまり垂直方向に膨張するように構成され、より高いPMAを示す垂直方向に圧縮された固定領域110VCを生じる。他の実施形態においては、低部ストレッサ構造782は、磁性材料320に横方向の引張応力を及ぼすために、図9Cの矢印Lの方向、つまり横方向に膨張するように構成され、より高いPMAを示す横方向に膨張した固定領域110LEを生じる。
【0081】
幾つかの実施形態においては、固定領域110および自由領域120の双方は、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成されてもよい。このような実施形態においては、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782は、自由領域120のMA強度を低下させるため、かつ、固定領域110のMA強度を増加させるために、スイッチング中に少なくとも一つの次元で反対方向に変化するように構成されてもよい。例えば、図10Aおよび図10Bを参照すると、平面外STT−MRAMセルの磁性セル構造1000Aは、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成された二つの磁性領域を有する磁性セルコア1001を含んでもよい。図10Aは、保存構造における磁性セル構造1000Aを示す。上部ストレッサ構造781は、垂直方向に膨張して自由領域120を圧縮するように構成されるが、低部ストレッサ構造782は、垂直方向に収縮して、固定領域110を膨張させるように構成されてもよい。このように図10Bに示されるように、図10Aの磁性セル構造1000Aの其々の領域のPMA強度と比較すると、磁性セル構造1000Bにおいて、結果として生じる垂直方向に圧縮された自由領域120VCは、低下したPMAを示すが、垂直方向に膨張した固定領域110VEは、より高いPMAを示すことがある。
【0082】
他の実施形態においては、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782の双方は、同一の次元で変化するように構成され、固定領域110および自由領域120は、反対方向の磁気歪み材料で形成されてもよい。例えば、図11Aおよび図11Bを参照すると、平面外STT−MRAMセルの磁性セル構造1100Aは、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成された自由領域120と、負の磁気歪みを示す磁性材料320で形成される固定領域110とを有する磁性セルコア1101を含んでもよい。上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782の双方は、垂直方向に膨張するように構成され、自由領域120および固定領域110を膨張させる。このように、図11Bに示されるように、図11Aの磁性セル構造1100Aの其々の領域のPMA強度と比較すると、磁性セル構造1100Bにおいて、結果として生じる垂直方向に圧縮された自由領域120VCは、低下したPMAを示すが、垂直方向に圧縮された固定領域110VCは、より高いPMAを示すことがある。このような実施形態においては、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782は、同一の材料から形成されてもよい。
【0083】
二以上のストレッサ構造(例えば、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782)は、STT−MRAMセルが平面内セルとして構成される実施形態にも含まれてもよい。図12を参照すると、例えば、磁性セル構造1200は、自由領域120に隣接する上部ストレッサ構造781および固定領域110に隣接する低部ストレッサ構造782を有する磁性セルコア1201を含んでもよい。上部ストレッサ構造781は、図4から図6Cを参照して上述されたようなストレッサ構造180のうちの任意の構造に類似して構成されてもよい。
【0084】
幾つかの実施形態においては、固定領域110は、図13Aに示されるように負の磁気歪みを示す磁性材料320で形成されてもよい。したがって、固定領域110に垂直方向引張応力を及ぼすために、低部ストレッサ構造782は、図13Bの矢印Vの方向、つまり垂直方向に収縮するように構成され、結果として、図13Aの構造と比較するとより高いIMAを有する垂直方向に膨張した固定領域110VEを生じる。代替的または追加的に、低部ストレッサ構造782は、固定領域110に横方向圧縮応力を及ぼすために、図13Cの矢印Lの方向、つまり横方向に収縮するように構成され、図13Aの構造と比較すると、より高いIMAを有する横方向に圧縮された固定領域110LCを生じる。
【0085】
他の実施形態においては、固定領域110は、図14Aに示されるように、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成されてもよい。このように、低部ストレッサ構造782は、固定領域110に垂直方向圧縮応力を及ぼすために、図14Bの矢印Vの方向、つまり垂直方向に膨張するように構成され、その結果、図14Aの構造と比較するとより高いIMAを有する垂直方向に圧縮された固定領域110VCを生じる。代替的または追加的に、低部ストレッサ構造782は、図14Cの矢印Lの方向、つまり横方向に膨張するように構成され、結果として生じる横方向に膨張したストレッサ構造782LEは、固定領域110に横方向引張応力を及ぼし、その結果として、図14Aの構造と比較すると、より高いIMAを有する横方向に膨張した固定領域110LEを生じる。
【0086】
幾つかの実施形態においては、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782の双方は、スイッチング中に垂直方向に膨張するように構成され、自由領域120および固定領域110は、反対方向の磁気歪みを示す磁性材料で形成されてもよい。例えば、図15Aおよび図15Bに示されるように、平面内STT−MRAMセルの磁性セル構造1500Aは、負の磁気歪みを示す磁性材料320で形成された自由領域120と、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成された固定領域110とを有する磁性セルコア1501を含み、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782の双方は、図15Bの矢印Vの方向、つまり垂直方向に膨張するように構成されてもよい。したがって、スイッチング中に、結果として生じる垂直方向に膨張したストレッサ構造781VEおよび垂直方向に膨張したストレッサ構造782VEは、其々磁性材料320および220に垂直方向圧縮応力を及ぼし、その結果、磁性セル構造1500B内の低下したIMAを示す垂直方向に圧縮された自由領域120VCおよびより高いIMAを示す垂直方向に圧縮された固定領域110VCを生じる。
【0087】
他の実施形態においては、正の磁気歪みを示す磁性材料220または負の磁気歪みを示す磁性材料320は、固定領域110および自由領域120の双方を形成するために使用されるが、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782は、スイッチング中にある次元において反対方向に変化するように構成される。例えば、図16Aおよび図16Bに示されるように、平面内STT−MRAMセルの磁性セル構造1600Aは、正の磁気歪みを示す磁性材料220で形成された固定領域110および自由領域120を有する磁性セルコア1601を含んでもよい。上部ストレッサ構造781は、図16Bの矢印Vの方向、つまり垂直方向に収縮するように構成され、結果として垂直方向に収縮したストレッサ構造781VCを生じるが、低部ストレッサ構造782は、矢印Vの方向、つまり垂直方向に膨張するように構成され、結果として、低下したIMAを有する磁性セル構造1600Bの垂直方向に膨張した自由領域120VEおよびより高いIMAを有する垂直方向に圧縮された固定領域110VCを生じる。
【0088】
このように、磁性セルコアを含むメモリセルが開示される。磁性セルコアは、スイッチング可能な磁性配向を示すように構成された自由領域を含む。磁性セルコアは、固定磁性配向を示すように構成された固定領域も含む。非磁性領域は、自由領域と固定領域との間に配置される。自由領域に隣接するストレッサ構造は、スイッチング中に自由領域に応力を及ぼすために、スイッチング可能な磁性配向のスイッチング中に寸法を変化するように構成される。固定領域に隣接する別のストレッサ構造は、スイッチング中に固定領域に応力を及ぼすために、スイッチング可能な磁性配向のスイッチング中に寸法を変化するように構成される。
【0089】
二以上のストレッサ構造が磁性セルコア内に含まれる実施形態のうちの任意の実施形態について、自由領域120に応力を及ぼすように構成されたストレッサ構造(例えば、上部ストレッサ構造781)は、自由領域120の低下したMAを結果として生じる応力を及ぼすように構成されるが、固定領域110に応力を及ぼすように構成されたストレッサ構造(例えば、低部ストレッサ構造782)は、固定領域110のより高いMAを結果として生じる応力を及ぼすように構成されてもよいと考えられる。しかしながら、他の実施形態においては、自由領域120および固定領域110の双方のMA強度を増加させるか、または自由領域120および固定領域110の双方のMA強度を減少させることが望ましいことがあると考えられる。このような実施形態においては、磁性領域を形成する磁性材料は、適切な磁気歪み(例えば、正か負のいずれか)、磁性材料のMA強度に所望の変化をもたらすために好適な応力(例えば、其々、垂直方向引張応力、垂直方向圧縮応力、横方向引張応力、横方向圧縮応力またはその任意の組み合わせ)を与えるために、垂直方向に膨張するか、垂直方向に収縮するか、横方向に膨張するか、横方向に収縮するか、または、その任意の組み合わせになるように構成されたストレッサ構造(例えば、上部ストレッサ構造781および低部ストレッサ構造782)を有するように選択されてもよい。
【0090】
幾つかの実施形態においては、ストレッサ構造(例えば、任意のストレッサ構造180)(図1から図6C)、上部ストレッサ構造781(図7から図16B)および低部ストレッサ構造782(図7から図16B)は、図17に示されるように、複数のストレッササブ領域1781を有する複数領域ストレッサ構造1780として構成されてもよい。上部ストレッサ構造781の各々は、スイッチング中に少なくとも一次元で変化するように構成された複数領域ストレッサ構造1780を形成するために、互いに重なる異なる個別領域内の異なる材料または同一材料で形成されてもよいし、または、横並びに配置されてもよい。
【0091】
幾つかの実施形態においては、ストレッサ構造(例えば、任意のストレッサ構造180)(図1から図6C)、上部ストレッサ構造781(図7から図16B)および低部ストレッサ構造782(図7から図16B)は、固定領域110および自由領域120のうちの一つに隣接する連続的な均質領域として形成されてもよい。しかしながら、他の実施形態においては、図18に示されるように、ストレッサ構造(例えば、任意のストレッサ構造180(図1から図6C))、上部ストレッサ構造781(図7から図16B)および低部ストレッサ構造782(図7から図16B))は、互いにスペーサ1882によって分離された複数の個別のストレッサ形体1881を有する不連続ストレッサ構造1880として構成されてもよい。このような実施形態においては、個別のストレッサ形体1881の各々は、隣接する磁性材料に応力を及ぼすために、スイッチング中に少なくとも一次元が変化するように構成されてもよい。
【0092】
幾つかの実施形態においては、ストレッサ構造(例えば、任意のストレッサ構造180(図1から図6C))、上部ストレッサ構造781(図7から図16B)および低部ストレッサ構造782(図7から図16B)は、磁性領域(例えば、固定領域110または自由領域120)の直接上に配置されてもよい。このような実施形態においては、ストレッサ構造(例えば、任意のストレッサ構造180(図1から図6C)、上部ストレッサ構造781(図7から図16B)および低部ストレッサ構造782(図7から図16B))の膨張または収縮は、隣接する磁性領域に直接応力を及ぼしてもよい。
【0093】
他の実施形態においては、図19に示されるように、中間構造1990は、ストレッサ構造180と隣接する磁性材料(例えば、自由領域120)との間に配置されてもよい。このような幾つかの実施形態においては、ストレッサ構造180は、酸化物キャッピング領域170と中間領域1990との間にあってもよい。このような他の実施形態においては、酸化物キャッピング領域170が中間構造1990として機能するように、酸化物キャッピング領域170は、ストレッサ構造180と自由領域120との間にあってもよい。このように、ストレッサ構造180は、酸化物キャッピング領域170と上部中間領域150(図1)との間にあってもよい。上部中間領域150(図1)が含まれていない場合、ストレッサ構造180は、酸化物キャッピング領域170と上部電極104(図1)との間にあってもよい。したがって、ストレッサ構造180によって磁性材料に対して及ぼされる応力は、中間構造1990を介して及ぼされてもよい。
【0094】
幾つかの実施形態においては、磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))は、図20に示されるようにヒータ構造2090も含んでもよい。ヒータ構造2090は、例えば、限定することなく、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物またはその任意の組み合わせから形成されてもよい。ヒータ構造2090は、スイッチング中にストレッサ構造180の変化を促進するために、ストレッサ構造180へ熱を伝達するか、またはストレッサ構造180から熱を伝達するように構成されてもよい。例えば、ストレッサ構造180が膨張するように構成される実施形態においては、ヒータ構造2090は、ヒータ構造2090がない場合に膨張するよりも多く、スイッチング中にストレッサ構造180を膨張させるために、ストレッサ構造180に熱を伝達するように構成されてもよい。ストレッサ構造180が収縮するように構成される実施形態においては、ヒータ構造2090がない場合に収縮するよりも大きく、スイッチング中にストレッサ構造180を収縮するために、熱が、ストレッサ構造180からヒータ構造2090に伝達するように、ヒータ構造2090は、ストレッサ構造180を冷却するように構成されてもよい。このように、ヒータ構造2090は、ヒータ構造2090とストレッサ構造180との間の熱交換を可能とするために、動作可能なように加熱素子または冷却素子に接続されてもよい。
【0095】
図面は、固定領域110上に配置された自由領域120を図示しているが、自由領域120および固定領域110は、互いに対してそれとは異なるように配置されることがあることに留意されたい。例えば、任意の磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))は、上部電極104と低部電極105との間でひっくり返されることがあるが、その磁性セルコアは、まだ本開示の範囲内にある。
【0096】
磁性セル構造(例えば、磁性セル構造100(図1)、磁性セル構造400(図4)、磁性セル構造700(図7)、磁性セル構造1000A(図10A)、磁性セル構造1100A(図11A)、磁性セル構造1200(図12)、磁性セル構造1500A(図15A)、磁性セル構造1600A(図16A))の材料は、他方の上部上に一方が、底部から上部に向かって、連続的に形成され、その後、その下およびその上に底部電極05と上部電極104とを有する構造を形成するために、パターン化されてもよい。上述されたような領域および構造の材料を形成しパターン化する方法は、本技術分野で既知であり、本明細書では詳細には議論されない。
【0097】
したがって、メモリセルの形成方法が開示される。本方法は、基板上に磁性材料を形成することを含む。非磁性材料は、磁性材料上に形成され、別の磁性材料は非磁性材料上に形成される。ストレッサ材料は、磁性材料および別の磁性材料のうちの少なくとも一つに隣接して形成される。ストレッサ材料は、磁性材料および別の磁性材料のうちの隣接する磁性材料の熱膨張係数とは異なる熱膨張係数を有する。
【0098】
図21を参照すると、STT−MRAMセル2114と動作可能なように通信する周辺デバイス2112を含むSTT−MRAMシステム2100が図示され、STT−MRAMセル2114のグループ化は、システム要件および製造技術に依存して、多数の行および列または種々の他の配列を含むグリッドパターンでメモリセルのアレイを形成するために製造され得る。STT−MRAMセル2114は、磁性セルコア2102、アクセストランジスタ2103、データ/センス線2104(例えば、ビット線)として機能し得る導電性材料、アクセス線2105(例えば、ワード線)として機能し得る導電性材料、ソース線2106として機能し得る導電性材料を含む。STT−MRAMシステム2100の周辺デバイス2112は、読み出し/書き込み回路2107、ビット線参照2108、センス増幅器2109を含んでもよい。セルコア2102は、上述された磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))のうちの任意の磁性セルコアであってもよい。セルコア2102の構造(即ち、少なくとも一つのストレッサ構造180、781、782)によって、セルコア2102内の磁性領域のMA強度は、例えば、より低いスイッチング電流の使用を可能とするために、スイッチング中に変化してもよい。
【0099】
使用および動作においては、STT−MRAMセル2114がプログラムするために選択されるとき、プログラミング電流がSTT−MRAMセル2114に対して印加され、電流は、セルコア2102の固定領域によってスピン分極され、セルコア2102の自由領域に対するトルクを及ぼし、STT−MRAMセル2114に“書き込む”または“プログラムする”ために、自由領域の磁化をスイッチングする。STT−MRAMセル2114の読み出し動作においては、電流は、セルコア2102の抵抗状態を検出するために使用される。
【0100】
STT−MRAMセル2114のプログラミングを開始するために、読み出し/書き込み回路2107は、データ/センス線2104およびソース線2106に書き込み電流(即ち、プログラミング電流)を生成してもよい。データ/センス線2104とソース線2106との間の電圧の極性は、セルコア2102内の自由領域の磁性配向におけるスイッチングを決定する。スピン極性を有する自由領域の磁性配向を変化させることによって、自由領域はプログラミング電流のスピン極性に従って磁化され、プログラムされる論理状態がSTT−MRAMセル2114に書き込まれる。
【0101】
STT−MRAMセル2114を読み出すために、読み出し/書き込み回路2107は、セルコア2102およびアクセストランジスタ2103を通して、データ/センス線2104およびソース線2106に読み出し電圧を生成する。STT−MRAMセル2114のプログラムされた状態は、セルコア2102にわたる電気抵抗に関連し、データ/センス線2104とソース線2106との間の電圧差によって決定されてもよい。幾つかの実施形態においては、電圧差は、ビット線参照2108と比較されて、センス増幅器2109によって増幅されてもよい。
【0102】
図21は、動作可能なSTT−MRAMセル2100の一例を示す。しかしながら、磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))は、磁性領域を有する磁性セルコアを組み込むように構成された任意のSTT−MRAMシステム内に組み入れられるか使用されてもよいと考えられる。
【0103】
したがって、磁性領域に隣接するストレッサ構造を含む磁性セルコアを含むスピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)システムが開示される。ストレッサ構造は、磁性領域にわたる電気抵抗を変化させるためのスイッチング中に、磁性セルコア内のストレッサ構造を通る電流に応じて、磁性領域に対する応力をもたらすように構成される。STT−MRAMシステムは、磁性セルコアと動作可能なように通信する導電性材料も含む。
【0104】
図22を参照すると、本明細書に記述された一つ以上の実施形態により実現される半導体デバイス2200の簡略化ブロック図が示される。半導体デバイス2200は、メモリアレイ2202と制御論理コンポーネント2204とを含む。メモリアレイ2202は、上述された磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))のうちの任意の磁性セルコアを含む複数のSTT−MRAMセル2114(図21)を含んでもよく、この磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))は、上述された方法により形成され、上述された方法に従って動作してもよい。制御論理コンポーネント2204は、メモリアレイ2202内の任意のメモリセルまたは全てのメモリセル(例えば、STT−MRAMセル2114(図21))から読み出すか、任意のメモリセルまたは全てのメモリセルに書き込むために、メモリアレイ2202と動作可能なように相互作用するように構成されてもよい。
【0105】
したがって、STT−MRAMセルを含むスピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)アレイを含む半導体デバイスが開示される。STT−MRAMセルのうちの一つのSTT−MRAMセルは磁性セルコアを含む。磁性セルコアは、磁性領域と別の磁性領域との間に非磁性領域を含む。磁性セルコアは、磁性領域に隣接するストレッサ構造も含む。ストレッサ構造は、磁性領域とは異なる熱膨張係数を有し、磁性領域の磁性異方性を変化させるために、STT−MRAMセルのスイッチング中に、プログラミング電流に晒されると、少なくとも一次元において変化して、磁性領域に応力を及ぼすように構成される。
【0106】
図23を参照すると、プロセッサベースシステム2300が図示される。プロセッサベースシステム2300は、本開示の実施形態により製造された種々の電子デバイスを含んでもよい。プロセッサベースシステム2300は、コンピュータ、ページャ、携帯電話、パーソナルオーガナイザ、制御回路または他の電子デバイスなどの様々な種類のうちの任意のものであってもよい。プロセッサベースシステム2300は、プロセッサベースシステム2300内のシステム機能および要求の処理を制御するためのマイクロプロセッサなど、一つ以上のプロセッサ2302を含んでもよい。プロセッサベースシステム2300内のプロセッサ2302および他のサブコンポーネントは、本開示の実施形態により製造された磁性メモリデバイスを含んでもよい。
【0107】
プロセッサベースシステム2300は、電源2304を含んでもよい。例えば、プロセッサベースシステム2300がポータブスシステムである場合、電源2304は、燃料電池、電源掃気デバイス、永久電池、置換可能電池および再充電可能電池のうちの一つ以上を含んでもよい。電源2304は、ACアダプタを含んでもよい。したがって、プロセッサベースシステム2300は、例えば、壁付コンセントにプラグを挿されてもよい。電源2304は、プロセッサベースシステム2300が、例えば、自動車の煙草用ライターまたは自動車の電源ポートにプラグを挿されてもよいように、DCアダプタも含んでもよい。
【0108】
プロセッサベースシステム2300が実施する機能に依存して、種々の他のデバイスがプロセッサ2302に結合されてもよい。例えば、ユーザインターフェイス2306が、プロセッサ2302に結合されてもよい。ユーザインターフェイス2306は、ボタン、スイッチ、キーボード、ライトペン、マウス、デジタイザーおよびスタイラス、タッチスクリーン、音声認識システム、マイクロフォン、またはその組み合わせなどの入力デバイスを含んでもよい。ディスプレイ2308も、プロセッサ2302に結合されてもよい。ディスプレイ2308は、LCDディスプレイ、SEDディスプレイ、CRTディスプレイ、DLPディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLEDディスプレイ、LEDディスプレイ、三次元投影、音声ディスプレイ、またはその組み合わせを含んでもよい。さらに、RFサブシステム/ベースバンドプロセッサ2310もプロセッサ2302に結合されてもよい。RFサブシステム/ベースバンドプロセッサ2310は、RF受信機およびRF送信機(図示せず)に結合されたアンテナを含んでもよい。通信ポート2312、または二以上の通信ポート2312も、プロセッサ2302に結合されてもよい。通信ポート2312は、例えば、モデム、プリンタ、コンピュータ、スキャナもしくはカメラ、またはローカルエリアネットワーク、リモートエリアネットワーク、イントラネットもしくはインターネットなどのネットワークなど、一つ以上の周辺デバイス2314に結合されるように適応されてもよい。
【0109】
プロセッサ2302は、メモリ内に記憶されたソフトウェアプログラムを実装することによってプロセッサベースシステム2300を制御してもよい。ソフトウェアプログラムは、例えば、オペレーティングシステム、データベースソフトウェア、ドラフティングソフトウェア、ワープロソフトウェア、メディア編集ソフトウェア、またはメディア再生ソフトウェアを含んでもよい。種々のプログラムを記憶し、種々のプログラムの実行を容易にするために、メモリがプロセッサ2302に動作可能なように結合される。例えば、プロセッサ2302は、システムメモリ2316に結合されてもよく、システムメモリ2316は、スピントルクトランスファー磁気ランダムアクセスメモリ(STT−MRAM)、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、レーストラックメモリおよび他の既知の種類のメモリのうちの一つ以上を含んでもよい。システムメモリ2316は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはその組み合わせを含んでもよい。システムメモリ2316は、動的にロードされたアプリケーションおよびデータを記憶できるように、典型的には大型である。幾つかの実施形態においては、システムメモリ2316は、図22の半導体デバイス2200などの半導体デバイスと、磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))のうちの任意の磁性セルコアを含むメモリセルまたはその組み合わせを含んでもよい。
【0110】
プロセッサ2302は、不揮発性メモリ2318に結合され、不揮発性メモリ2318は、システムメモリ2316が必ずしも揮発性であることを示唆しないためのものである。不揮発性メモリ2318は、システムメモリ2316と組み合わせて使用されるSTT−MRAM、MRAM、EPROMなどのリードオンリーメモリ(ROM)、抵抗性リードオンリーメモリ(RROM)およびフラッシュメモリのうちの一つ以上を含んでもよい。不揮発性メモリ2318の寸法は、あらゆる必要なオペレーティングシステム、アプリケーションプログラムおよび固定データを記憶するのに十分大きいように典型的に選択される。さらに、不揮発性メモリ2318は、例えば、抵抗性メモリまたは他の種類の不揮発性ソリッドステートメモリを含む、ハイブリッドドライブなどのディスクドライブメモリなどの高容量メモリを含んでもよい。不揮発性メモリ2318は、図22の半導体デバイス2200などの半導体デバイスと、磁性セルコア(例えば、磁性セルコア101(図1)、磁性セルコア401(図4)、磁性セルコア701(図7)、磁性セルコア1001(図10)、磁性セルコア1101(図11)、磁性セルコア1201(図12)、磁性セルコア1501(図15)、磁性セルコア1601(図16))のうちの任意の磁性セルコアを含むメモリセル、またはその組み合わせを含んでもよい。
【0111】
本開示は、種々の改変およびその実現における代替的形態が可能であるが、特定の実施形態が、例示として図面に示され、本明細書に詳細に記述される。しかしながら、本開示は、開示された特定の形態に限定することを意図するものではない。むしろ、本開示は、以下に添付する請求項およびその法的均等物によって定義されるように、本開示の範囲内にある全ての改変、組み合わせ、均等物、変形および代替物を包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23