特許第6427184号(P6427184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427184変化する磁場を生成する磁気センサのための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427184
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】変化する磁場を生成する磁気センサのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20181112BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20181112BHJP
   G01R 33/07 20060101ALI20181112BHJP
   H01L 43/06 20060101ALI20181112BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   G01R33/02 U
   G01R33/09
   G01R33/07
   H01L43/06 Z
   H01L43/08 Z
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-528006(P2016-528006)
(86)(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公表番号】特表2016-525216(P2016-525216A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】US2014044993
(87)【国際公開番号】WO2015009442
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】13/946,400
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド,ポール・エイ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ウィリアム・ピー
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−222524(JP,A)
【文献】 特開2009−250725(JP,A)
【文献】 特開2001−153683(JP,A)
【文献】 特開2009−250931(JP,A)
【文献】 特開昭60−152950(JP,A)
【文献】 米国特許第06566872(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00−33/26
H01L 43/06
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
コイル内の変化する電流に応答して、前記コイルがその上で支持される前記半導体基板の表面に平行な方向を有する変化する磁場を提供するように構成される、前記コイルと、
1つのブリッジ構成で配置される4つ以上の磁場感知素子であって、前記半導体基板によって支持され、ターゲットによって引き起こされる前記変化する磁場の変化を検出することにより、前記ターゲットを検出する、4つ以上の磁場感知素子と
を備え
前記1つのブリッジ構成で配置される前記磁場感知素子のうちの第1の対の磁場感知素子は、前記コイルの一端部に配置され、前記1つのブリッジ構成で配置される前記磁場感知素子のうちの第2の対の磁場感知素子は、前記コイルの反対側の端部に配置される、磁場センサ。
【請求項2】
前記コイルは、前記半導体基板の表面に配置された少なくとも1つの金属層から形成される、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項3】
複数の前記磁場感知素子は、巨大磁気抵抗(GMR)トランスデューサを含む、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項4】
前記磁場感知素子は、ホール素子である、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項5】
前記コイルに接続された電流源を更に含む、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項6】
前記コイルに接続されたパルス電流源又は過渡電流源を更に含む、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項7】
前記コイルは、前記半導体基板の上方又は下方に配置される、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項8】
前記コイルは、前記半導体基板と同一のパッケージに含まれる、別個に形成された要素である、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項9】
磁場を検出する方法であって、
半導体基板を用意するステップと、
コイルがその上で支持される前記半導体基板の表面に平行な方向を有する変化する磁場を前記コイルが生成するように、変化する電流を前記コイルを通して駆動するステップと、
ターゲットによって引き起こされる前記変化する磁場の変化を検出することにより、前記半導体基板に支持される磁場感知素子によって、前記ターゲットを検出するステップと、
1つのブリッジ構成で配置される4つ以上の磁場感知素子の形で前記磁場感知素子を用意するステップと
前記1つのブリッジ構成で配置される前記磁場感知素子のうちの第1の対の磁場感知素子を、前記コイルの一端部に配置するステップと、
前記1つのブリッジ構成で配置される前記磁場感知素子のうちの第2の対の磁場感知素子を、前記コイルの反対側の端部に配置するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記コイルを、前記半導体基板の表面に配置された1つ又は複数の金属層から形成するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記磁場感知素子を、ホール素子の形で用意するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記コイルにパルス電流又は過渡電流を供給するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記コイルを前記半導体基板の上面又は下面に取り付けるステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記コイルを前記半導体基板と同一のパッケージの内部に別個に形成された要素として用意するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、磁場センサ、より詳細には、集積されたコイル又は磁石を有する磁場センサに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ホール効果素子、磁気抵抗素子、磁気トランジスタを含むがそれらに限定されない様々な種類の磁場感知素子がある。また、周知のように、様々な種類のホール効果素子、例えば、平面ホール素子、縦型ホール素子、及び円型縦型ホール(CVH:circular vertical Hall)素子がある。また、周知のように、様々な種類の磁気抵抗素子、例えば、異方性磁気抵抗素子(AMR:anisotropic magnetoresistance element)、巨大磁気抵抗(GMR)素子、トンネリング磁気抵抗(TMR:tunneling magnetoresistance)素子、アンチモン化インジウム(InSb)素子、及び磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)素子がある。
【0003】
[0003]ホール効果素子は、磁場の強さに比例した出力電圧を生み出す。対照的に、磁気抵抗素子は、磁場に比例して抵抗を変化させる。回路において、磁気抵抗素子を通して電流を誘導し、磁場に比例した電圧出力信号を生み出すことができる。
【0004】
[0004]磁場感知素子を使用する磁場センサは、電流搬送導体によって運ばれる電流によって生み出される磁場を感知する電流センサ、強磁性物体又は磁性物体の近接を感知する磁気スイッチ(本明細書において、近接検出器とも称される)、通過する強磁性物品、例えば、歯車の歯を感知する回転検出器、及び磁場又は磁場の磁束密度を感知する磁場センサなどの、様々な装置で使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
変化する磁場を生成する磁気センサのための方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0005]本発明の例示的な実施形態は、集積されたコイルと、励起されたコイルによって生み出される磁場における、強磁性体の歯車の歯などのターゲットの移動に起因する変化を検出する感知素子と、を有する磁気センサのための方法及び装置を提供する。一実施形態において、感知素子は、巨大磁気抵抗(GMR)素子を備え、これは比較され得るホール素子よりも、より磁場変化に対して敏感である。GMRトランスデューサは、ブリッジ構成された複数のGMR素子を備え得、この場合においては、H−ブリッジのGMR素子の第1の組は、コイルの一端部に配置され得、GMR素子の第2の組は、コイルの反対側の端部に配置され得る。代替的には、磁場感知素子は、ホール素子でもよい。
【0007】
[0006]一実施形態において、磁場センサは、半導体基板と、コイル内の変化する電流に応答して、変化する磁場を提供するように構成されるコイルと、基板に支持され、強磁性ターゲットの存在によって影響を受けた磁場を感知するように構成される磁場感知素子と、を含む。電流は、コイルに接続されたパルス電流源又は過渡電流源によって提供され得る。特徴として、以下のうちの1つ又は複数を含み得る。コイルは、基板の表面に配置された少なくとも1つの金属層から形成され得る。磁場感知素子の少なくとも一部分は、コイルのループの内部に配置され得る。電流源が、コイルに接続され得る。コイルは、基板の上方又は下方に配置され得る。コイルは、基板と同一のパッケージに含まれる、別個に形成された要素であり得る。
【0008】
[0007]別の実施形態において、磁場を検出する方法は、半導体基板を用意するステップと、コイルが変化する磁場を生み出すように、変化する電流をコイルに駆動するステップと、強磁性ターゲットの近接に起因する変化する磁場の変化を、基板に支持される磁場感知素子によって感知するステップと、を含む。特徴として、以下のうちの1つ又は複数を含み得る。方法は、誘導コイルを、基板の表面に配置された1つ又は複数の金属層から形成するステップ及び/又はブリッジ構成された複数のGMR素子の形で磁場感知素子を用意するステップを含み得、この場合、GMR素子の第1の組は、誘導コイルの一端部に配置され得、GMR素子の第2の組は、コイルの反対側の端部に配置され得る。磁場感知素子の少なくとも一部分は、誘導コイルのループの内部に配置され得る。磁場感知素子は、ホール素子の形で用意され得る。方法は、コイルにパルス電流又は過渡電流を供給するステップと、コイルを基板の上面又は下面に取り付けるステップと、及び/又はコイルを基板と同一のパッケージの内部の別個に形成された要素として用意するステップと、を含み得る。
【0009】
[0008]図面は、開示される技術の説明に役立ち、様々な例示的実施形態を図示する。それらは、本発明の範囲を限定することを意図しておらず、また、すべての可能な実施形態を提供することも意図していない。図中の類似の数字は類似の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0009]集積されたコイルを有する磁気センサの実施形態の図である。
図2】[0010]磁気センサシステムの回路図である。
図3】[0011]集積されたコイルを有する磁気センサの別の実施形態の図である。
図4A】[0012]例示的コイルの上面図である。
図4B】例示的コイルの上面図である。
図5】[0013]集積されたコイル及びターゲットを有する磁気センサの実施形態の図である。
図6】[0014]集積されたコイルを有する磁気センサの実施形態の図である。
図7】[0015]集積されたコイルを有する磁気センサの実施形態の図である。
図8】[0016]磁気センサ組立体の図である。
図9】[0017]磁気センサ組立体の分解図である。
図10A】[0018]磁気センサ及びターゲットの図である。
図10B】磁気センサ及びターゲットの図である。
図11】[0019]ターゲットを感知するための方法の流れ図である。
図12】[0020]ターゲットを感知するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0001]本発明について説明する前に、いくつかの情報が提供される。本明細書において使用されるとき、「磁場感知素子」という用語は、磁場を感知することができる様々な電子的素子を記述するために使用される。磁場感知素子は、ホール効果素子、磁気抵抗素子、又は磁気トランジスタとすることができるが、これらに限定されない。周知のように、様々な種類のホール効果素子、例えば、平面ホール素子、縦型ホール素子、及び円型縦型(CVH)ホール素子がある。また、周知のように、様々な種類の磁気抵抗素子、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)などの半導体磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗素子(AMR)、トンネリング磁気抵抗(TMR)素子、及び磁気トンネル接合(MTJ)がある。磁場感知素子は、単一の素子であっても、又は、様々な構成、例えば、ハーフブリッジ又はフル(ホイートストン)ブリッジに構成された2つ以上の磁場感知素子を含んでもよい。装置の種類及び他の適用要件に応じて、磁場感知素子は、シリコン(Si)若しくはゲルマニウム(Ge)などのタイプIVの半導体材料、又はガリウムヒ素(GaAs)若しくはインジウム化合物、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)のようなタイプIII−Vの半導体材料から形成される装置であってよい。
【0012】
[0002]周知のように、上述の磁場感知素子のうちのいくつかは、磁場感知素子を支持する基板に平行な最大感度の軸を有する傾向があり、上述した磁場感知素子のうちの他のものは、磁場感知素子を支持する基板に垂直な最大感度の軸を有する傾向がある。特に、平面ホール素子は、基板に対して垂直な感度の軸を有する傾向があり、一方、金属ベースの又は金属の磁気抵抗素子(例えば、GMR、TMR、AMR)及び縦型ホール素子は、基板に平行な感度の軸を有する傾向がある。
【0013】
[0003]本明細書において使用されるとき、「磁場センサ」という用語は、磁場感知素子を使用、概して他の回路と組合わせて使用する回路を記述するために使用される。磁場センサは、磁場の方向の角度を感知する角度センサ、電流搬送導体によって運ばれる電流によって生み出される磁場を感知する電流センサ、強磁性物体の近接を感知する磁気スイッチ、通過する強磁性物品、例えば、リング磁石又は強磁性ターゲット(例えば、歯車の歯)の磁気領域を感知し、磁場センサはバックバイアスのかかった又は他の磁石と組合わせて使用される回転検出器、及び磁場の磁場密度を感知する磁場センサを含むがこれらに限定されない様々な用途で使用される。本明細書において使用されるとき、「ターゲット」という用語は、磁場センサ又は磁場感知素子によって感知又は検出されるべき物体を記述するために使用される。
【0014】
[0004]図1は、磁場センサ10及びターゲット12の例示的実施形態の図である。磁場センサ10は、パッケージ14と、感知素子16(トランスデューサ)と、コイル18と、を含み得る。半導体ダイ又は集積回路20と、リードフレーム22と、リード24a及び24bと、もまた含まれる。ワイヤーボンド26及び28はダイ20をリード24a及び24bに接続する。他の実施例において、ダイ20は、半田バンプ、半田ボール、又はピラーバンプを含むがこれらに限定されない他の標準的なパッケージ方法を使用してリード24a及び24bに接続されてもよい。他の実施形態において、ダイは、例えば、フリップチップ、(flip−chip)又はチップオンリード(chip−on−lead)構成で取り付けられてもよい。
【0015】
[0005]一実施形態において、ターゲット12は、磁場を生成又は提供する。例えば、実施形態において、ターゲット12は、磁場を生成する硬強磁性ターゲットを備える。代替的には、ターゲット12は、電磁石又は他の種類の回路を含むがそれに限定されない、磁場を生成する任意の種類の材料でよい。実施形態において、ターゲット12は、内部に渦電流を誘導可能な非強磁性材料をも備え得る。ターゲット12は、ターゲットに近い又は近接した磁場の大きさ及び/又は方向を変化させる軟強磁性材料をも備え得る。
【0016】
[0006]パッケージ14は、プラスチックパッケージ、セラミックパッケージ、ガラス密封セラミックパッケージ(glass sealed ceramic package)、低温共焼成セラミック、又はチップオンボード封入剤を含むがそれに限定されない、当技術分野で周知の任意の種類のチップ又は集積回路パッケージでよい。半導体ダイ20は、コイル18及び感知素子16を駆動する1つ又は複数の集積回路を備え得る。
【0017】
[0007]いくつかの実施形態において、コイル18は、磁場を生成する。コイル18は、材料中を流れる電流によって電圧を加えられた際に磁場を誘導する導電性材料のコイルである。集積回路20は、コイル18に変化する電流を駆動し、コイル18によって生成される変化する磁場をもたらすように構成され得る。変化する電流は、交流電流、傾斜電流(ramped current)、パルス電流、過渡電流、又は同じように変化する、すなわち相補形の磁場をコイル18に生成させる任意の種類の電流でよい。コイル18によって生成される変化する磁場は、ターゲット12の本体及び/又はターゲット12中の誘導渦電流と交差するのに十分な大きさを有し得る。
【0018】
[0008]図1に図示されるように、コイル18は、集積回路20に隣接する。しかしながら、これは必須ではない。様々な実施形態において、コイル18は、コイル18によって生成される磁場がターゲット12に渦電流を生み出し、感知素子16によって検出されることを可能にする任意の位置に配置されてよい。したがって、コイル18は、パッケージ14の内部、集積回路20の表面上、パッケージ14の外部、パッケージ14の表面上、集積回路20とは独立したパッケージ14の内部の別個の基板上などに配置され得る。
【0019】
[0009]コイル18は、パッケージ14から独立していてもよく、例えば、パッケージ14から離間して実装されてもよい。コイル18は、それ自体のパッケージに封入されてもよい。実施形態において、コイル18がパッケージ14から離間しているならば、コイル18は、リード24a及び24bなどのリードを介して集積回路20に電気的に接続され得る。他の実施形態において、コイル20は、磁場を生成するためにコイル18に電流を駆動し得る別個の回路に、電気的に接続され得る。静的であるか、ゆっくりと変化するか、又は殆ど一定である磁場が望まれる他の実施形態において、コイル18は、硬強磁性材料(すなわち、永久磁石)によって置き換えられてもよい。硬強磁性材料もまた、強磁性材料が感知素子16によって検出されることを可能にする任意の位置に配置されてよい。したがって、強磁性材料は、パッケージ14の内部、集積回路20の表面上、パッケージ14の外部、パッケージ14の表面上、集積回路20とは独立したパッケージ14の内部の別個の基板上などに配置され得る。強磁性材料は、パッケージ14から独立していてもよく、例えば、パッケージ14から離間して実装されてもよい。
【0020】
[0010]感知素子16は、磁場感知素子、又は磁場を検出し得、検出した磁場に応答して電気信号を生成し得る任意の他の種類の回路でよい。信号の強さ又は大きさは、検出される磁場の強さ又は大きさに比例し得る。一実施形態において、感知素子16は、ホール効果素子、磁気抵抗素子又は回路、巨大磁気抵抗(GMR)素子又は回路などである。
【0021】
[0011]動作の際、感知素子16は、コイル18によって生成される磁場を検出し、ターゲット12の存在に影響を受ける。ターゲット12が存在しないとき、検出される磁場は(したがって、結果として感知素子16によって生成される信号は)、既知の値を有する。この既知の値が検出されるとき、それはターゲット12が存在しないことを示す。
【0022】
[0012]ターゲット12が、センサ10に対して移動すると、ターゲット12は、コイル18によって生み出され、感知素子16によって検出される磁場に影響を与える。ターゲット12はそれ自体の磁場を生成し得ることを思い出されたい。したがって、ターゲット12がセンサ10に接近すると、ターゲット12によって生成される磁場は、コイル18によって生成される磁場と結合される。したがって、ターゲット12の存在は、コイル18によって生成される磁場の既知の値の動揺又は変動を引き起こす。これらの動揺は、感知素子16によって検出され得る。例えば、感知素子16によって検出される磁束は、ターゲット12によって生成される磁場とコイル18によって生成される磁場とのベクトル和である。それ故、感知素子16によって生成される信号は、2つの磁場の結合、すなわち、結合された磁場の大きさを表す。実施形態において、ターゲット12は、コイル18によって生成される磁場に及ぼす影響が大きくなるように配置され得る。例えば、磁場の可算的な影響を増加するために、ターゲット12は、その磁場ベクトルがコイル18の磁場ベクトルと一直線になる(すなわち、同じ方向若しくは反対方向を向くか、及び/又は整列する)ように、及び/又はターゲット12がコイル18にできる限り近くなるように配置され得る。
【0023】
[0013]集積回路20は、検出される磁場の大きさをコイル18によって生成される磁場の期待値と比較し得る。測定された値が期待値と異なるならば、それはターゲット12の存在又は近接を示す。実施形態において、集積回路は、ターゲット12の相対距離もまた検出し得る。例えば、ターゲット12の磁場は、ターゲット12がセンサ10のより近くに接近すると、ターゲット12によって生成される磁場が、コイル18によって生成される磁場に対してより大きな影響を持つように、整列され得る。したがって、ターゲット12がセンサ10に接近すると、測定された磁場と期待される磁場との間により大きな差を作り出す。この差が変化することにより、センサ10は、ターゲット12とセンサ10との間の相対距離を示すことができる。測定された、結合された磁場に基づいて、センサ10はターゲットの存否を検出することもできる。
【0024】
[0014]一実施形態において、ターゲット12は、動作中に、センサ10に向かって及び/又はセンサ10から離れるように移動し得る。感知素子において磁場を測定することによって、センサ10は、ターゲット12の存在及び/又は近接を検出できる。一実施形態において、ターゲット12は、回転する車輪又は歯車の(歯などの)特徴(feature)であり得る。歯がセンサ10のそばを通過すると、センサ10は、歯車の歯又は谷(すなわち間隙)がセンサ10に隣接するか否かを示す信号を(例えば、ピン24a及び/又は24bを介して)作り出すことができる。歯が存在するならば、センサ10は、歯とセンサ10との間の相対距離を示すこともできる。例えば、センサ10によって生成される信号は、歯の近接の感知に基づいて、振幅において変化し得る。更に、歯が存在しないならば、センサ10は、信号の振幅に基づいて、間隙の相対距離(例えば、相対深さ)を示すこともできる。当然のことであるが、センサ10によって生成される信号は、アナログ信号又はデジタル信号であり得、又は切り替えられ得る。信号が切り替えられるならば、高出力はターゲット12(又はその歯)の存在を示し得、低出力はターゲット12の非存在を示し得、又はその逆である。
【0025】
[0015]図2を参照すると、ターゲット12の速度、方向及び/又は近接を検出するための回路30の例が図示されている。調整可能な変化する電流源32は電流ドライバ34及び36を制御し、電流ドライバ34及び36はコイル18を駆動して、信号線38に差動電流を生成する。変化する電流源は、交流電流源、傾斜電流源、スイッチド電流源、パルス電流源、過渡電流源、又は時間とともに大きさの変わる電流を作り出す任意の他の電流源でよい。コイル18を流れる電流は、感知素子16によって検出される変化する磁場を生成する。(図2において、感知素子16は巨大磁気抵抗(GMR)ブリッジとして図示される。)感知素子16は、信号線40に差動電圧信号を生成する。差動電流増幅器42はコイル18に印加される差動電流を増幅し、ピーク検出器44と結合する。差動電圧増幅器46は、感知素子16から差動電圧信号を受信し、ピーク検出器48と結合する。比較器50は、ピーク検出器44及び48からの信号を比較し、出力信号52を生成する。
【0026】
[0016]コイルドライバ34及び36によって生成される電流、及び増幅器46及び42の出力は、調整可能である。したがって、ターゲット12が存在しないとき、信号線38の差動電流は既知の値になり、信号線40の感知素子16によって生成される差動電圧は既知の値となる。ターゲット12が感知素子16に対して移動すると、ターゲット12によって影響を受けた磁場は、信号線40の差動電圧に影響を与え得る。この変化は、信号線38の既知の値と比較され得る。したがって、ターゲット12の存在及び/又は近接は、増幅器46、ピーク検出器48及び/又は比較器50の出力を変化させ得る。
【0027】
[0017]図3は、図1のセンサ10の代替的実施形態を図示する。図3において、コイル18は、コイル18によって生成される磁場ベクトルが集積回路20の上面と平行になるように配置される。この配列において、感知素子16は、複数の構成部品(例えば、複数のホール効果素子及び/又は複数のGMR素子)を備え得、それらは、コイル18のどちらの側にも配置される。この配列は、ターゲット12がセンサ10のどちらかの「側」に位置するときに、ターゲット12を検出するセンサ10の能力を最適化又は向上させ得る。コイル18によって生成される磁場ベクトルは、矢印300又は矢印302によって図示される方向を有するので(コイル18を流れる電流の方向に依存する)、ターゲット12がセンサ10のどちらかの側に位置するとき、ターゲット12によって生成される磁場は、感知素子16によって検出される磁場により大きな影響を有し得る。
【0028】
[0018]図4は、オンチップコイル400及び感知素子402の上面図である。実施形態において、コイル400は、コイル18と同一又は類似のものでよく、感知素子402は、感知素子16と同一又は類似のものでよい。コイル400は、図3に示されるような環状コイルを備え得る。あるいは、コイル400は、加工された実質的に2次元的な要素を備え得る。例えば、コイル400は、集積回路20の表面にマスクされ、加工されて、集積回路20の異なる2つのレベル又は層の上に、直線及び斜線の金属ラインの交互のパターンを作り出す導電層であってもよい。このパターンは、加工プロセス及び使用されるデザインに応じて、単一の導電層又は複数の導電層から集積回路20上に形成され得る。図4に示されるように、導電層は、例えば、複数の金属層で形成される。単一の導電層の例としては、導体がジグザグ形をしているが自分自身と交差することはない、蛇行パターン(meander type of pattern)がある。
【0029】
[0019]集積回路20がプリントされたコイルに電流を駆動すると、上述のようにコイルは磁場を生成する。図3に図示されるコイルと同様に、コイル400は、ダイ又は基板の表面と接する(平行な)磁場ベクトルを生成し得る。感知素子402は、GMR素子406、408、410、及び410を備え得る。これらのGMR素子は、磁場への感度を増加させるために、コイル400のどちらの側にも、コイル400によって生成される磁場ベクトルと一直線に配置され得る。
【0030】
[0020]図4Bは、オンチップコイル152と、感知素子156を支持するダイ154と、を有する例示的な磁場センサの代替的な上面レイアウトを図示する。感知素子156は、コイル152に近接して配置される。単純化のために、磁場センサの他の回路は省略されている。
【0031】
[0021]図4Bに図示された実施形態において、感知素子156の位置は、コイル152の一「側」と整列する。すなわち、感知素子156は、ダイの一側に対して電流が同じ方向に流れるコイル152の一部分と整列する。感知素子の位置に対するコイルの他の配列も可能である。例えば、感知素子は、コイルに対して全体的に中央に位置してもよい。そのような実施形態においては、平面ホール素子を備える感知素子が好適であり得る。また、再び図4Bに図示される例示的実施形態を参照すると、コイル152は、感知素子156の上方に位置するように示されている。しかしながら、コイル152は、代わりに、感知素子156の下方に配置されてもよいことは理解されよう。他の実施形態において、コイル152は、感知素子156の上方及び下方に層又は導体を有し得る。後者の配列においては、コイルは、標準的なICプロセスで加工され、次いで、別個のプロセスにおいて感知素子156と一体化される。図示される実施形態は、縦型ホール素子、GMR、AMR、スピンバルブ(spin−valve)、又はTMR素子などの、ダイの面において感度の良いセンサのために有利である。
【0032】
[0022]センサ及び基板材料の選択によって材料及びコイルが短絡しないように求められる場合は、絶縁層がコイルとセンサ材料及び/又はダイ基板との間に配置されてもよい。
【0033】
[0023]コイルの特定の大きさ及び形状は、特定の適用例での必要に応じるように変化し得る。コイルは、(図4A及び図4Bの上面図において図示されるような)正方形若しくは長方形、又は円形、楕円形などの他の形状、又は複数の層など、巻き(turns)が任意の実用的な形状を有するように形成され得る。
【0034】
[0024]例示的な「オンチップ」コイルの実施形態において、コイルは、当業者には周知である従来の堆積及び/又はエッチングプロセス、又はパターニング及び電気めっきプロセスを使用して形成される。概して、部分的には電圧分離要件及び必要とされる磁気結合の結果として、コイルから感知素子までの間隔は変化し得、磁気結合とは、コイルを流れる電流のmA又は他の単位当たりのコイルによって生成される磁場である。概して、磁気結合レベルが高いほど、所与の磁場レベルに対してより少ない電力を使用する。装置内の他の電機層とのコイルの短絡を防ぐために、コイルとセンサ及び/又は他のダイ材料との間に絶縁層が配置されてよいことも理解される。
【0035】
[0025]図4Bにおいて、コイルは平面的な螺旋形状を有するように図示されている。バイア及び結線は(明確さのために)図では省略されているが、当業者には明らかであろう。他の金属形状と同様に複数の金属層が使用され得ることを理解されたい。蛇行コイル及びソレノイドを含むがそれに限定されない他のコイル形状が使用されてもよい。例えば、実質的に均一な径のコイルの巻きを有する筒状コイル(すなわち、ソレノイドタイプコイル)が使用され得る。コイル装置は、コイルによって生み出される磁束の改良のために、軟磁性材料から形成され得る磁束集中器を含み得る。例えば、コイルによって生み出される磁場を集中させるために、軟強磁性コアがソレノイドタイプコイルの内側に設けられ得る。
【0036】
[0026]筒状コイルでは、磁力線の方向はコイルの長さ方向(つまり、コイルの長手方向経路)と平行になる。平面的な螺旋のコイルデザインでは、コイルの中心での磁力線の方向は、コイル面に対して実質的に垂直になるが、コルの巻きの下ではダイ表面に対して実質的に平行になる。感知素子の適切な位置及び種類を選ぶ際には、様々な位置におけるコイルによって生み出される場の方向についての考慮がなされ得る。
【0037】
[0027]図4A及び図4Bに図示される「オンチップ」コイルの大きさは、センサ、センサ組立体又は適用例の他の場所に位置するコイルよりもかなり小さくなる傾向があることが理解されよう。比較的小さな「オンチップ」コイルによって生み出される磁場は特段に強いものではないので、オンチップコイルデザインにはGMなどの高感度素子の方が、ホール素子などの感度の低い種類の素子よりもより適し得る。
【0038】
[0028]導電コイルをセンサダイ上に提供するための更なる詳細又は代替的な技術は、2012年5月10日に出願された「Methods and Apparatus for Magnetic Sensor Having Integrated Coil(集積されたコイルを有する磁場センサのための方法及び装置)」と題される米国特許出願第13/468,478号、及び米国特許公開第2010/00211347号、米国特許第8,030,918号、及び米国特許第8,063,634号を参照することで得ることができ、これらはそれぞれ、本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0039】
[0029]図5を参照すると、磁場センサ160の別の実施形態は、磁場感知素子又は感知素子164がその中に形成される第1の活性面162a及びリードフレーム168の第1の面168aのダイ取付領域166に取り付けられる第2の反対の面162bを有する半導体ダイ162と、ダイ及びリードフレームの少なくとも一部分を取り囲む非導電性モールド材料170からなる第1のモールド部と、非導電性モールド材料に固定される第2のモールド部172と、を含む。非導電性材料又は強磁性材料であり得る第2のモールド部172は、リードフレーム168に近接する第1の端部172aからリードフレームから遠位にある第2の端部172bに向かって先細り形状になるように図示されているが、これは必須ではない。
【0040】
[0030]本実施形態及び他の実施形態における感知素子164は、感知素子16と同一又は類似のものでよい。
【0041】
[0031]本明細書において、半導体ダイ162の活性面162aは、ある種の磁場素子(例えば、ホール板(Hall plate))の場合のように、その「中(in)」に磁場感知素子が配置又は形成される面として説明されるが、素子は、活性半導体面の「上方(over)」又は「表面上(on)」に配置(例えば、磁気抵抗素子)されてもよいことが、当業者には理解されよう。しかしながら、説明の単純化のために、本明細書において説明される実施形態は、任意の好適な種類の磁場感知素子を使用し得るが、そのような素子は、本明細書においては、全体的に、活性半導体面の「中」に形成又は配置されるものとして説明される。
【0042】
[0032]使用に際しては、本明細書で説明される他のセンサの実施形態と同様に、磁場センサ160は、図示されている歯車12’などの強磁性ターゲットに近接して配置され得、磁場感知素子164は物品12’に隣接し、したがって物品の移動によって変化する磁場に晒される。磁場感知素子164は、磁場に比例した磁場信号を生み出す。
【0043】
[0033]磁場センサ160は概して、感知素子164によって提供される磁場信号を処理するために、ダイ162の活性面162a中に形成された追加的な回路を含む。リードフレーム168は、回路を電源やマイクロコンピュータなどのシステム構成部品(不図示)に接続するためのリード174a〜174cを含む。リード174a〜174cと半導体ダイ162との間の電気的接続は、図示されるように、それぞれワイヤーボンド176a〜176cによって提供され得る。センサ160は3本のリード174a〜174cを含むように図示されているが、様々な本数のリードが可能であることが当業者には理解されるであろう。リードフレームのリードをセンサ構成部品に電気的に接続するための他の技術としては、半田バンプ若しくはボール、又はピラーバンプなどがある。センサ160は、2から6ピンの又は必要に応じた他のピン数のシングルインライン(SIP)パッケージの形で提供され得る。
【0044】
[0034]第1のモールド部170は、ダイ162とリードフレームの168の取り囲まれた部分とを電気的に絶縁し機械的に保護するために、非導電性材料から成る。非導電性モールド材料170に適切な材料には、熱硬化熱可塑性モールド化合物及び他の市販のICモールド化合物などがある。
【0045】
[0035]第1のモールド部170の非導電性モールド材料は、ダイ162とリードフレーム168の一部とを取り囲むように、成形プロセス中にリードフレーム/ダイ組立部品に適用される。非導電性の第1のモールド部170は、第1の面170aと、第2の反対の面170bと、を有する。非導電性の第1のモールド部の形状及び寸法は、特定のICパッケージに適するように選択される。
【0046】
[0036]第2のモールド部172は、第1のモールド部170の形成に使用されたものと同一の非導電性モールド化合物でよい。いくつかの実施形態において、第2のモールド部172は、第1のモールド部170に使用された材料とは異なる非導電性モールド化合物又は他のモールド可能な材料である。
【0047】
[0037]いくつかの実施形態において、第2のモールド部172は、集中器を形成するために軟強磁性材料から成る。当業者には明らかなように、軟強磁性材料の形で強磁性モールド材料172を提供するために、様々な材料が適している。いくつかの実施形態において、軟強磁性モールド材料は比較的低い飽和保磁力及び高い透磁率を有することが望ましい。適切な軟強磁性材料には、パーマロイ、NiCo合金、NiFe合金、鋼材、ニッケル、及び軟磁フェライトなどがあるがこれらに限定されない。
【0048】
[0038]第2のモールド部172は、1又は複数の成形プロセス中に、又は熱硬化接着剤(例えば、二液型エポキシ(two part epoxy))などの接着剤を使用して、第1のモールド部170に固定され得る。
【0049】
[0039]いくつかの実施形態において、第2のモールド部172と接触する第1のモールド部170の一部及び/又は非導電性モールド材料と接触するそのモールド材料の一部は、2つの材料の間の接着性を高め、材料間の横方向の滑り又はずれを防止又は低減するために、固定機構を有する。一例として、図示されるように、リードフレーム168は、非導電性モールド材料を超えて延在して第2のモールド部172のモールド材料に取り囲まれる延長部168c(又は、「返し部(barb)」)を有する。このようなリードフレームの延長部は、第2のモールド部/材料のリードフレーム自体への接着性を更に向上させる。第2のモールド部172のモールド材料がこのようなリードフレーム部に接触するようにして、リードフレーム部を固定機構として利用するこのような実施形態においては、リードが電気的に短絡して装置が意図したとおりに動作しなくなることを防止するために、第2のモールド部172は、非導電性であるか又は十分に低い導電性を有さなければならばないことが理解されよう。代替的な形態の固定機構が使用されてもよい。
【0050】
[0040]引き続き図5を参照すると、センサ160は、この図では参照番号178で示されるコイルも含む。実施形態において、コイル178は、パッケージレベルコイル、すなわち、パッケージモールド部172に組み込まれるコイルである。コイル178は、コイル18と同一又は類似の機能を実行し得る。コイル178は、バックバイアス磁場を提供するように感知素子164に対して位置決めされ、バックバイアス磁場は、ターゲットがセンサを通過するときにターゲットの輪郭を検出するために使用され得る。この目的を達成するために、図示されるように、感知素子164がコイル178よりもターゲット12’に近くなるように、コイル178は、非導電性モールド材料170の第2の面170bに隣接して配置される。ある適用例においては、センサ160を180度回転させてコイル178が感知素子よりもターゲットに近くなるようにすること、又はセンサを90度回転させて感知素子の主面がターゲットに垂直になるようにすることが望ましくなり得ることがあり、それによって、例えば、感知素子が平面ホール素子とは異なる感知素子感度軸を有する磁気抵抗素子である場合などに望ましくなり得るような、異なる種類の磁気感受性のセンサを達成することは理解されよう。一実施形態においては、あるセンサ構成及び感知素子の組み合わせのために、コイル178をその中央軸がダイ162の表面に平行になるように回転させることが望ましくなり得る。
【0051】
[0041]コイル178を形成するために、様々な技術及び材料が使用され得る。例えば、コイル178は、コイルの巻き線の間に絶縁体を提供するように、様々な大きさの銅ワイヤから及び様々な自動プロセスによって形成され得る。コイル材料の選択、ワイヤゲージの選択、巻き数、及び他のデザイン上の選択は、特定の用途に適するために、所望の強さの磁場を生成するように容易に変更可能である。特定の用途及びパッケージ配列に適するために望ましいように、コイル178は、巻きのそれぞれが、円形、長方形の一般的形状若しくはほぼその形状、又は楕円形などの他の一般的形状であるように形成され得る。
【0052】
[0042]コイル178は、非導電性モールド材料170の第2の面170bに様々な手段によって固定され得る。一例として、エポキシのような接着剤が、コイルを所定位置に固定するために使用され得る。一たび所定位置に固定されたら、モールド材料172は、適切な成形プロセス、例えば、射出成形などで形成され得る。
【0053】
[0043]第2のモールド部が、ここでは非導電性モールド材料の第2の面170bから第2のモールド部の第2の端部172bまで延在する中央開口180を有するリング形状構造を形成するように、第2のモールド部172を画定するために使用される型穴は心棒を含み得る。モールド材料172は、従来からのO形状のリング構造又はD形状の構造を形成してよい。あるいは、モールド材料172は、「C」又は「U」形状の構造などと説明され得るような、部分的にのみリング状の構造を形成してもよい。より全体的には、モールド材料172は、非連続的な中央領域を備え、中央領域が外側領域と一体的に形成されない。このような中央領域は、図8の開口180の場合のような、空き領域でもよく、又は、例えば強磁性モールド材料などのモールド材料を収容してもよい。第3のモールド材料は、追加的な成形ステップ、又は「注封(potting)」若しくは別の成形ステップを含むがそれに限定されない他の適切な加工技術によって、第2のモールド部172に固定されるように形成され得る。第3のモールド材料は、硬強磁性材料、軟強磁性材料、又は非強磁性モールド化合物から成り得る。
【0054】
[0044]図5の側面図から明らかなように、第2のモールド部172は、その第1の端部172a(又は、第1の端部付近の位置)からその第2の端部172bへと先細り形状になる。具体的には、第2のモールド部は、その外周面182aに第1の先細り形状を有し、その内側中央開口面182bに第2の先細り形状を有する。先細り形状の目的は、センサ160を型穴から取り出し易くすることにある。面182a、182bの先細り形状の角度は、互いに対して同一又は類似でよく、概して、面182a、182bの先細り形状の角度は、約15度から20度未満である。いくつかの実施形態において、先細り形状の角度は、約2度から7度程度である。いくつかの実施形態において、先細り形状182bは2つ以上の斜面を有し得る。
【0055】
[0045]センサは、リードフレームがダイの上方に配置されたリードオンチップ(lead on chip)構成にも配列され得る。リードフレームをダイの活性面に固定するために、接着剤が使用され得る。
【0056】
[0046]図6を参照すると、代替的な磁場センサ190は、磁場感知素子194がその中に配置された第1の活性面192a及びリードフレーム198の第1の面198aのダイ取付領域196に取り付けられる第2の反対の面192bを有する半導体ダイ192と、ダイ及びリードフレームの少なくとも一部分を取り囲む第1のモールド部又は非導電性モールド材料200と、非導電性モールド材料の一部に固定される第2のモールド部又はモールド材料202と、を含む。固定機構又は他の適切な機構が、第1及び第2のモールド材料の間の接着性を高めるために設けられ得る。実施形態において、センサ190は、センサ10と同一又は類似のものでよい。
【0057】
[0047]非導電性モールド材料200は、図示されるように、リードフレーム198の第2の面198bから離れる方向に延在する突起204を有する。突起204は、(モールド材料の第2の端部202bに隣接する)センサ190の底面に空洞ができるのを防止する。これは、空洞の存在がオーバーモールドをより難しくする可能性があるからである。突起は、第2のモールド材料202の第2の端部202bまでの全体又はその一部のみに延在し得ることが、当業者には理解されよう。図6に図示された実施形態においては、突起204は、第2のモールド材料202の第2の端部202bの手前で終わっている。したがって、図示されるように、突起204の遠位端204aは、第2のモールド材料202によって覆われる。コイル206を超えて(例えば、コイル206よりも下方まで)延在するように図示される突起204は、コイル206の下方ではない位置まで延在してもよいこともまた理解されよう。突起204が、コイル206の下方ではない位置まで延在する場合、第2のモールド材料202は、全体的に、突起204及びコイル206を取り囲む。
【0058】
[0048]センサ190は、図1のコイル18と同一又は類似のものでよいコイル206を含む。ここで、コイル206は、非導電性モールド材料200の突起204に対して同心状に位置決めされているが、同心状の位置決めは必須ではないことは理解されよう。突起204の先細り形状は、特定の適用例に適するように、廃され又は変更されてもよいことは理解されよう。いくつかの適用例において、突起は、組立て又は製造中に、コイル206のための位置合わせ機構として有用であり得る。ここでもまた、コイル206は、接着剤によってモールド材料200に固定され得る。しかしながら、代替的に、コイル206は、突起204に対する締り嵌めを提供するような大きさ及び形状に形成され得、接着剤を不要とし、モールド材料200、リードフレーム198及びダイ192などの組立部品がモールド材料202の形成のために型穴に設置されるときに、締り嵌めによってコイル206がモールド材料200に対して所定の位置に十分に保持され得るようにすることができる。
【0059】
[0049]センサ190は、モールド材料202を貫通して部分的にのみ延在し第2のモールド材料202の第2の端部202bの手前で終わっている突起204を有するように図示されているが、非導電性モールド材料の突起に対して(必須ではないが)同心状に配置され得るコイルを含む類似のセンサは、第2のモールド材料202の第2の端部202bまで延在するような種類の突起を備えてよいこと、又は突起204は、第2のモールド材料202の第2の端部202bを超えて延在してよいことは理解されよう。
【0060】
[0050]第2のモールド材料202は、リードフレーム198に近接した第1の端部202aからリードフレームから遠位にある第2の端部202bへと先細り形状になる。第2のモールド材料202は、その外周面208a及びその内面208bの双方に沿って、その第1の端部202aからその第2の端部202bへと先細り形状になる。ここでもまた、面208aの先細り形状の角度は、約15度から20度未満程度でよい。内面208bの先細り形状の角度は、外周面208aの先細り形状の角度と同一又は類似でよい。
【0061】
[0051]第2のモールド材料202は、ここでは、内面208bに画定される中央開口の形で、非連続的な中央領域を有する。このモールド材料202の非連続的な中央領域は、例えば、O形状、D形状、C形状又はU形状の構造を形成するように、様々な形状を取り得る。
【0062】
[0052]第2のモールド材料は、非導電性材料、又は軟強磁性材料若しくは硬強磁性材料などの強磁性材料の形で提供され得る。例えば、材料が軟強磁性材料である実施形態においては、コイルによって生み出される磁場は、軟強磁性モールド材料によって要望通りに集束又は別の方法で集中させられる。あるいは、材料が硬強磁性材料である実施形態においては、コイルによって提供される磁場は、硬強磁性材料によって提供される磁場を変調させるために使用され得、そうでない場合には(すなわち、硬強磁性モールド材料が存在しない場合には)、コイルだけによって同一の磁場の強さを提供するために必要となるピーク電流を減少することができる。バックバイアス機能がコイルによって提供されるので、第2のモールド部/材料は、(図10に図示されるように)全体的に廃され得、この場合、コイルがその表面に取り付けられた非導電性モールド材料がパッケージされ、その結果としてセンサICを提供し得る。このような配列は、それぞれ本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,265,865号又は米国特許第5,581,179号に記載されるような種類のパッケージにおいて提供され得る。
【0063】
[0053]第2のモールド部/材料を含む適用例においては、そのようなモールド材料は、リードフレームに近接した第1の端部からリードフレームから遠位にある第2の端部(又はそのある部分)へと先細り形状になり得、装置を保護し電気的に絶縁するために、センサは、任意に、第3のモールド材料をオーバーモールドの形で含み得る。
【0064】
[0054]装置を保護し電気的に絶縁するために、センサ190は任意に、第3のモールド材料210をオーバーモールドの形で含み得る。第3のモールド材料210は、第3のモールドステップ/プロセス中に又は任意の適切な加工方法によって適用され得る。オーバーモールド210は、その目的が電気的な絶縁を提供することであるため、任意的なものであると考えられる。強磁性モールド材料202が十分な絶縁性を提供する(例えば、ある適用例において、約1メガオームを超える抵抗を提供する)実施形態においては、オーバーモールド210は廃され得る。オーバーモールド210は、図1図3図4図5及び他の実施形態のセンサにも提供され得ることは理解されよう。オーバーモールド材料210を提供するための適切な材料には、PPS、ナイロン、住友ベークライト株式会社のSUMIKON(登録商標)EME、又はHenkel AG&Co.KGaAのHysol(登録商標)モールド化合物などの標準的なダイ封入モールド化合物(die encapsulation mold compound)などがあるが、それらに限定されない。
【0065】
[0055]図7を参照すると、代替的な磁場センサ220は、磁場感知素子224がその中に配置された第1の活性面222a及びリードフレーム228の第1の面228aのダイ取付領域226に取り付けられる第2の反対の面222bを有する半導体ダイ222と、ダイ及びリードフレームの少なくとも一部分を取り囲む非導電性モールド材料230と、を含む。一実施形態において、センサ220は、センサ10と同一又は類似のものでよい。
【0066】
[0056]センサ220は、非導電性モールド材料230に固定、より詳細には、非導電性モールド材料230によって取り囲まれたコイル232を含む。コイル232のワイヤは、図示されるように、心棒又はボビン234の周りに巻かれ得る。例示的な一実施形態において、心棒234は、軟強磁性材料又はプラスチックから成り得、最終的な装置の一部に残存し得る。他の実施形態において、心棒234は、コイル巻き工程において使用されるが、最終的なパッケージの一部とはされない。心棒234及びコイル232は、リードフレーム228のダイ222とは反対側の面228bに、接着剤又は他の固定機構によって固定され得、組立部品が型穴に設置されて非導電性モールド材料230が形成されるときに、コイル232がリードフレーム228に固定されるようになされ得る。
【0067】
[0057]1つ又は複数のモールド材料を有するパッケージを提供するための更なる詳細又は代替的な技術は、2013年1月24日に出願された「Magnetic Field Sensor Integrated Circuit with Integral Ferromagnetic Material(一体的強磁性材料を有する磁場センサ集積回路)」と題される米国特許出願第13/748,999号を参照することで得ることができ、これは、本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。固定機構の他の実例は、接着材料、及び/又はモールド材料間に干渉及び/又は連結機構を提供するように設計された様々な他の機構、の使用を含む。
【0068】
[0058]信号は、追加のピンを介してコイルに提供され得、コイルの外部接続を可能にする。信号は、交流信号、傾斜信号(ramped signal)、パルス信号、又はコイルに与えられたときに、変化する磁場を生成し得る任意の他の種類の変化する(例えば、直流でない)信号でよい。あるいは、信号は、ダイへの結線を介して提供されてもよい。例えば、コイル端子に接続されたワイヤは、ダイに半田付けされてよく、又はワイヤーボンドを介してダイに接続されてもよい。代替的実施形態において、リードフレームの一部が、コイルワイヤ及びダイへの(例えば、ワイヤーボンドを介した)接続に使用されてよい。モールド及びトリミング工程の後で、リードフレームのこれらの接続領域はリードフレームの残りの部分との接続を解除されてよい。任意の他の適切な接続手段が使用され得る。
【0069】
[0059]図8及び図9は、コイルを有する磁場センサのための更に別の種類のパッケージングを図示する。図8及び図9を参照すると、磁場センサ組立体240は、パッケージングされた磁場センサIC242と、コイルユニット244と、ケース(又は筐体シェル)246及び終端キャップ248を有する筐体と、を含む。ケース246は、開口(不図示)を有する第1の端部250aと、窓252を含む第2の端部250bと、を有する。これらの要素のそれぞれが、ケース246の開口250aを介して(図9の分解図に示されるように、センサIC242、次にコイルユニット244、続いて終端キャップ248の順に)逐次配置されると、「完全に組み立てられた」磁場センサ組立体240は、図8に図示される構成に示される形をとる。筐体は、全体として筒状の二分割筐体として図示されているが、他の種類の筐体も同様に使用され得る。
【0070】
[0060]パッケージングされた磁場センサIC242は、保護パッケージ本体の内部の磁場センサチップに対応する第1のパッケージ部254と、導電リード256の形での第2のパッケージ部と、を含むように図示される。電源と接地接続とに対応するリード及び出力信号のためのリードの3つの導電リード256(図3及び図6の実施形態に示されるように、「3線式(three−wire)」装置のため)があってよく、又は他の本数のリードがあってもよい。コイルユニット244は、コイル(例えば、螺旋コイル、ソレノイドタイプコイル、軟強磁性コアを有するソレノイドタイプコイル、又は他の種類のコイル構成であり得る)を収容するコイル本体部257と、導電リード258a及び258bと、を含み得る。コイル本体部257全体(内部のコイルを除く)のための材料は、プラスチック(又は他のモールド化合物)又は非強磁性材料を含む。
【0071】
[0061]あるいは、磁束集中器又はガイドを一体化するコイルユニットデザインのためには、コイル本体部257の上部(すなわち、コイルとセンサ242ICの感知素子との間の部分)は、プラスチック(又は、他のモールド化合物)又は非強磁性材料から形成されてよく、コイル本体部257の側部及び底部は軟強磁性材料から形成されてよく、磁気抵抗経路(reluctance path)の減少、すなわちより効果的な磁束の案内、を助ける。
【0072】
[0062]リードのうちの1つ、例えばリード258aは、信号源への接続のための信号入力である(例えば、図1に図示されるコイル入力線26)。上述のように、信号源は、コイルに与えられたときに、変化する磁場を生成し得る変化する信号(すなわち、直流信号でない)であり得る。他のリード、例えばリード258bは、基準電位(例えば、地面)への接続のための接地端子である。コイルユニット244のコイルは、センサIC242と共通のノードがなくセンサIC242から電気的に絶縁された状態で駆動され得る。しかしながら、センサICの接地とコイルユニットの接地とが結合されるならば、組立体240は、外部接続のために1つ少ないピン/リードを有するように設計され得る。組立体240において、パッケージングされたセンサICのリード256及びコイルユニット244のリード258は、ケース246の第1の端部250aの開口部から、外に向かって延在する。第1のパッケージ部254は、第1の本体面260がケース246の第2の端部250bから外側に延在するように、窓252を通してケース246の内部に途中まで配置される。センサ組立体240が適用先に実装されたとき、第1の本体面260は、ターゲットの輪郭の近傍に位置することになる。
【0073】
[0063]図8及び図9の例示的な筐体は、上で参照された米国特許第5,581,179号に記載されたものと類似の技術又は他の適切な技術によって組み立てられてよい。ケース246は、前述の特許に記載されるようにポリマー絶縁材料で形成され得、又は、軟強磁性材料で形成され得る。他の実施形態において、別個の磁束集中器が、組立体に含まれ得る。
【0074】
[0064]図10A及び図10Bは、非強磁性ターゲット1001を検出するための磁気センサシステム1000の例を図示する。図10Aに図示されるように、センサシステム1000は、1つ又は複数の磁場感知素子1002及び1004を有する磁場センサ1003を含む。センサ1003は、センサ集積回路又はダイ1015と、磁場1006を生成し得る1つ又は複数の磁気源(例えば、コイル又は、バックバイアス磁石などの磁石)1005と、を含み得る。2つの磁場感知素子1002及び1004を有するように図示されているが、センサ1003は、より少ない、又は3つ以上の感知素子を含んでよい。単一の磁気源を有するように図示されているが、センサ1003は、複数の磁気源を含んでよい。当業者は認識するであろうが、センサ1003が2つ以上の磁気源を有するならば、それらの磁気源によって生成される磁場は、複数の個別の磁気源によって生成される単一の、結合された磁場1006とみなされ得る。図10A及び図10Bに図示される1つ又は複数の感知素子に対する磁気源の向きは事実上概略的なものであり、様々な実施形態において変更され得ることにも留意されたい。例えば、センサ1003(及び/又はダイ1015)は、磁気源1005とターゲット1001との間に位置してもよい。他の実施形態において、1つ又は複数の磁気源及び1つ又は複数の感知素子は、ターゲットに対して異なる位置を有してもよい。
【0075】
[0065]感知素子1002及び1004は、前述の図1から図9に対して上述した任意の又はすべてのセンサと同一又は類似のものでよい。他の実施形態において、感知素子1002及び1004は、いくつかの共通の回路で接合された個別の磁場センサ、又は、それぞれの感知素子を有する2つのセンサが個別のパッケージ内にあるならば、1つのセンサの出力が別のセンサに対する電気的入力として使用される個別の磁場センサであってよい。上述のように、感知素子1002及び1004は、磁場1006を生成するために磁気源1005(例えば、コイル及び/又は磁石)を含み得る。あるいは、磁気源1005は、ダイ1015から離れて実装されてもよい。このような実施形態においては、磁気源1005は、磁場1006がターゲット1001の本体と交差するように、ターゲット1001に対して位置決めされ得る。図10A及び図10Bにおいては、磁気源1005はダイ1015の一部として図示されているが、これは必須ではない。様々な実施形態において、磁気源1005は、ダイ1015とは別体であっても、ダイ1015の一部であっても、ダイ1015に近接して又はダイ1015上に実装又は配置されるなどしてもよい。例えば、様々な実施形態において、磁気源1005は、感知素子1002及び/又は1004によって検出され得る磁場1006を磁気源1005が生成し得るような、任意の構成又は配列に配置され得る。このような構成及び配列の例は、図1から図9に関連して上述されている。
【0076】
[0066]上述のように、磁場1006は、永久磁石(例えば、硬強磁性材料)又は直流電流若しくはゆっくりと変化する電流によって磁場を生成する電磁石によって生成される静磁場であり得る。
【0077】
[0067]2つの感知素子1002及び1004を有するように図示されているが、システム1000は、ただ1つの感知素子を含んでもよく、又は3つ以上の感知素子を含んでもよい。後述するように、1つ又は複数の感知素子は、ターゲット1001の近接、存在、速度、方向、及び他の特性の検出に使用され得る。
【0078】
[0068]一実施形態において、ターゲット1001は、非強磁性ターゲットである。ターゲット1001は、銅、アルミニウム、チタニウムなどの導電性材料を備え得、ターゲット1001の表面内部、表面上、又は表面近くに渦電流が生じることを可能にする大きさ及び厚さを有し得る。
【0079】
[0069]動作の際、磁気源1005は、磁場1006を生成し、感知素子1002及び1004は、磁場1006に応答又は磁場1006を感知する。一実施形態において、感知素子1002及び1004は、信号1002a及び1004aをそれぞれ生み出す。増幅器1030及び1032は、これらの信号を受信して増幅し、プロセッサ1034に供給する。プロセッサ1034は、次いで、信号を処理して、ターゲット1001の存在、速度、方向、位置、及び他の特性を判定する。他の実施形態において、回路の他の変形例が、ターゲットの感知に使用され得る。
【0080】
[0070]ファラデーの電磁誘導の法則の作用を通じ、ターゲット1001の本体は導電性(及び/又は常磁性)であるので、磁場1006は、ターゲット1001の表面上又はその近傍に渦電流(例えば、渦電流1010及び/又は渦電流1012)を誘導する。磁場1006が変化する磁場である場合、磁場における変化がターゲット1001中に渦電流を誘導する。磁場1006が静磁場である場合、導電性のターゲットの磁場を通る運動が、渦電流1010及び1012をターゲット1001又は1001’の内部に発生させる。ターゲットの不規則な特徴又は形状は、誘導される渦電流の存在又は大きさに影響を与え得る。
【0081】
[0071]説明を容易にするために、複数の渦電流1010及び1012が図示されている。当業者は認識するであろうが、磁場1006は、単一の渦電流又は複数の渦電流をターゲット1001中に誘導し得、それらは足し合わされ、又は互いに結合されてターゲット1001の内部に結合された渦電流を形成する。ある実施形態において、磁気源1005は、整形された磁場1006を生成するように構成され得る。換言すれば、磁気源1005は、様々なパターンへと互いに足し合わされる複数の磁場を生成し得、結果としての結合された磁場は、相対的に強い局所領域と相対的に弱い局所領域とを有する。このような実施形態においては、磁気源1005は、複数のコイル、磁石、又は他の磁気源を備え得る。磁場1006を整形することによって、磁気源1005は、ターゲット1001中に誘導される渦電流1010及び1012の位置、方向及び強さを制御することができる。
【0082】
[0072]ターゲット1001の内部に形成された渦電流1010及び1012は、それら自身の2次的な磁場を作り出し、これらの磁場はターゲット1001中の磁場1006の変化に対抗する。磁場のこれらの変化は、例えば、磁気源1005が磁場1006の強さ又は形状を時間とともに変化させることに起因し得る。他の実施形態において、磁場1006が、静磁場(例えば、変化しない又はゆっくりと変化する磁場)であるならば、磁場1006を通るターゲット1001の運動(例えば、回転)が、ターゲット1001に、磁場1006への変化に帰結するような渦電流を生成させる。渦電流1010及び1012によって起こされる磁場は、磁場1006における変化に対抗する傾向があり、磁気感知素子1002及び1004を流れる磁束の量を増加又は減少させ得る。したがって、渦電流1010及び1012は、磁場感知素子1002及び1004によって生成される信号の振幅を増加又は減少させる傾向がある。対照的に、ターゲット1001が存在しないならば、渦電流又は対抗する磁場は誘導されず、したがって、磁場感知素子によって生成される信号の振幅は増加又は減少しない。それ故、システム1000は、ターゲットにおける渦電流の存在に起因する、感知素子1002及び1004によって生成される信号の振幅の変化を検出することによって、ターゲット1001の存在を検出することができる。
【0083】
[0073]磁場1006が静磁場である場合、磁場を通るターゲットの運動は、渦電流1010及び1012に変化を起こす。図10Aに図示されるように、ターゲット1001の表面上の点1020は、それが磁気源1005から比較的遠いときには無視し得る磁場を有し得る。点1020がセンサ1003上の点1022に接近すると、点1020は磁場1006の増加する大きさに晒され、それによって、変化に対抗する渦電流1010を作り出す。同様に、点1020がセンサ1003上の点1024を通過すると、磁気源1005からの磁場の減少に遭遇し、したがって、この変化に対抗する渦電流1012を作り出す。
【0084】
[0074]ターゲットの回転方向が矢印1026に示される方向であるならば、渦電流1010は、磁場感知素子1004によって感知される場を減少させ、渦電流1012は、磁場感知素子1002によって感知される場を増加させる。回転の方向が逆であるならば、渦電流1012及び1010は反対の大きさになり、すなわち、渦電流1010は、磁場感知素子1004によって感知される場を増加させ、渦電流1012は、磁場感知素子1002によって感知される場を減少させる。したがって、磁場感知素子1002及び1004によって生成される信号の振幅は、ターゲットの回転方向に依存する。それ故、システム1000は、システム1000内に空間的に配置された感知素子1002及び1004によって生成される信号の変化を検出することで、ターゲット1001の回転方向を検出できる。
【0085】
[0075]磁場感知素子1002及び1004は、それらの間に物理的な距離があるように空間的に配置され得る。このように感知素子の間を空けることで、各感知素子1002及び1004が、ターゲット1001の異なる局所的領域で渦電流によって生成される磁場を検出することを可能にする。例えば、図示されるように、感知素子1002は、渦電流1012により近く、感知素子1004は、渦電流1010により近い。したがって、感知素子1002によって感知される磁場は、渦電流1012からより大きな影響を受け、感知素子1004によって感知される磁場は、渦電流1010からより大きな影響を受ける。
【0086】
[0076]ターゲット1001は、特徴1014のような不規則な特徴も有し得る。特徴1014は、谷、間隙、窪み、非導電性領域、導電性のより小さい領域、又は磁場1006及び1008によって誘導される渦電流1010及び1012を変化させる任意の種類の領域であり得る。別の実施形態において、特徴1014は、ターゲットの歯、隆起、突起であるかもしれない。別の実施形態において、例えば、それに限られるわけではないが、回転中心からのおよそ3つの異なる径方向の距離、すなわち谷、通常の径、及び歯のような、間隙及び突起の組み合わせも可能である。したがって、特徴1014が、磁場1006又は1008に隣接するとき、ターゲット1001中に誘導される渦電流は、特徴1014が磁場1006又は1008に隣接しないときに誘導される渦電流とは異なり得る。例えば、特徴1014が、間隙又は非導電性領域であるならば、領域1014中に渦電流は誘導され得ず、対抗する磁場は発生し得ない。あるいは、渦電流は特徴1014中に誘導され得るが、この渦電流は、ターゲット1001の本体中に誘導される渦電流1012又は1010とは異なる強さ又は大きさを有し得る。
【0087】
[0077]センサ1003及び感知素子1002又は1004は、特徴1014の存在に起因する磁場の変化を検出し得、特徴1014が検出されたことを示す信号を生成し得る。ターゲットが特定の速度で回転しているとするならば、特徴1014が感知素子1002及び1004のそばを通過するときに、信号1002a及び1004aに山又は谷が現れ得る。プロセッサ1034は、これらの山及び谷を検出して処理し、速度、存在、位置、回転方向などを判定し得る。
【0088】
[0078]別の実施形態において、ターゲット1001の本体は非導電性で、一方、特徴1014は導電性であり得る。この場合、渦電流は特徴1014中には誘導され得るが、ターゲット1001の本体中には誘導され得ない。したがって、特徴1014がセンサ1002又は1004に隣接するときのみ、対抗する磁場が存在し得る。
【0089】
[0079]図10Bは、不規則な形状のターゲット1001’を有するシステム1000の別の実施形態を図示する。(図10Bにおいて楕円形として示されるような)不規則な形状に起因して、ターゲット1001’が回転してセンサ1002及び1004を通過するとき、ターゲット1001’の本体のある部分はセンサ1002及び1004により近くなり得る一方、他の部分はより離れ得る。例えば、図示されるように、ターゲット1001’の領域1016はセンサ1004に対して、領域1018がセンサ1002に対するよりも、近くにある。
【0090】
[0080]領域1016は、領域1018よりも磁界1006の近くにあり、渦電流は磁界1006によって誘導されるので、渦電流1010は、渦電流1012よりも強くなり得る。したがって、渦電流1010によって生成される磁場は、渦電流1012によって生成される磁場よりも強くなり得る。更に、渦電流1010によって生成される磁場はセンサ1004に対して、渦電流1012によって生成される磁場がセンサ1002に対するよりも、近くにあるので、渦電流1010は、センサ1004の内部の磁気感知素子を流れる磁束に対してより大きい影響を有し得る。したがって、領域1016中に誘導される磁場は、領域1018中に誘導される磁場とは、異なる応答をセンサに提供し得る。換言すれば、センサ1002及び1004は、センサに隣接するターゲット1001’の領域が、センサから相対的に近くにあるか又は相対的に離れているかを、センサによって検出される磁場に渦電流が影響を与える程度に基づいて、検出することができる。したがって、システム1000は、ターゲット1001’が移動するとき、不規則な形状のターゲット1001’のどの領域がセンサに隣接するかに基づいて、ターゲット1001’の位置、速度、及び/又は方向を判定することができる。
【0091】
[0081]楕円形のターゲットとして図示されているが、ターゲット1001’は、ターゲット1001’のある領域がセンサにより近くなり得る一方、他の領域がより離れ得る限りは、任意の不規則形状を有してよい。例えば、ターゲット1001’は、歯車、ラックピニオンシステムの歯の付いたラック、角を有する正方形若しくは長方形、又はセンサ1002及び1004に対して移動可能な突起若しくは他の特徴を有する任意の他の形状であってよい。
【0092】
[0082]磁場1006及び1008が静的な(すなわち、直流)場である場合、ターゲット1001及び1001’の不規則な特徴若しくは形状及び/又はターゲットの運動は、ターゲット中に渦電流を誘導し得る。渦電流は、導体を通る変化する磁場によって起こされることを思い出されたい。したがって、ターゲットが静止しており、磁場が静的であるならば、ターゲットと交差する磁場は変化していないため、渦電流は生じない。しかしながら、ターゲットが静磁場を通って移動又は回転すると、ターゲットの本体中に渦電流が作り出される。ターゲット1001又は1001’が不規則な特徴又は形状を含まないならば、ターゲットが回転すると、ターゲットの1001の本体中に一定の強さを有する渦電流が誘導される。ターゲットが移動している限り、これらの渦電流はターゲット1001の存在の検出に使用され得る。ターゲット1001の速度が変化すると、渦電流の大きさ及び渦電流によって生成される磁場の強さもまた変化する。したがって、センサは、渦電流によって生成される磁場の強さを測定することによって、ターゲットの速度も検出することができる。
【0093】
[0083]ターゲット1001及びターゲット1001’の特徴及び不規則な形状が磁場を通って移動すると、渦電流(及び、したがって、渦電流によって生成される磁場)は変化する。例えば、ターゲット1001が回転し、特徴1014が磁場を通って移動すると、磁場を通過する特徴1014の不規則な形状又は導電性が、ターゲット1001中の渦電流の変化を引き起こす。同様に、ターゲット1001’の不規則な形状が磁場を通って回転するにつれて、ターゲット1001’の領域がセンサに対して相対的により近づくように又は相対的により離れるように移動する。これもまた、ターゲット1001’中に誘導された渦電流を変化させる。これらの変化は、センサ1002及び1004によって、ターゲットの存在、ターゲットの運動、ターゲットの速度などとして検出され得る。
【0094】
[0084]ある構成おいて、システム1000は、ターゲット1001の運動の方向を検出することが可能であり得る。一実施形態において、システムは、ターゲットの異なる位置を検出するような方向に向けられた2つのセンサ1002、1004から成る。例えば、ターゲット1001が時計回り方向に回転しているならば、特徴1014は、まずセンサ1002のそばを通過し、次にセンサ1004のそばを通過する。したがって、センサ1002によって生成される特徴1014の存在を示す信号が、センサ1004によって生成される信号よりも先行する。逆に、ターゲット1001が反時計回り方向に回転しているならば、センサ1004によって生成される特徴1014の存在を示す信号が、センサ1002によって生成される信号よりも先行する。センサ1002及びセンサ1004によって生成される位相関係信号を監視することによって、システム1000は、ターゲット1001の速度及び方向を判定できる。
【0095】
[0085]回転するターゲットとして図示されているが、ターゲット1001は、ラックピニオンシステムのラックなどの直線状のターゲット、又はセンサ1002及び1004に対して移動し得る任意の他の種類のターゲットでもよい。
【0096】
[0086]図11は、磁場を感知するためのプロセス1100の流れ図である。ブロック1102において、回路(例えば、図1の集積回路20)は、コイル(例えば、コイル18)に変化する電流を駆動し得る。一実施形態において、変化する電流は、交流電流、鋸波パターン電流、パルス電流、直流電流、又はほぼ直流の電流などの周期的な電流でよい。上述のように、コイルを流れる電流は、変化する磁場を生成する。ブロック1104において、センサ(例えば、センサ10)は、ターゲットに対して位置決めされる。あるいは、ターゲットがセンサに対して位置決めされてもよい。ターゲットは、導電性ターゲット、強磁性ターゲット、磁石、電磁石、又は磁場を生み出す他の種類のターゲットでよい。ブロック1106において、コイルからの結合された磁場及びターゲットからの磁場の強さを表す信号が生み出される。信号は、例えば、感知素子16によって生み出される。ブロック1108において、信号は、磁場の強さの期待値と比較される。ブロック1110において、ターゲット12の存在によって生成される期待される磁場への変化を表す信号が生み出される。この信号は、ターゲットのセンサへの近接を表し得る。この信号は、ターゲットの特性のうち、ターゲットの近接、位置、速度及び方向を演算するために使用され得る。
【0097】
[0087]図12は、磁場を感知するための別のプロセス1200の流れ図である。ブロック1202において、非強磁性ターゲットが、磁場源に近接して配置される。例えば、図10Aのターゲット1001が、センサ1002及び/又は1004に近接して配置され得る。ブロック1204において、磁石又は電磁石によって磁場が生成される。磁場はターゲットと交差し、感知素子1002及び/又は1004によって感知され得る。ブロック1206において、渦電流がターゲット中に誘導され、渦電流によって起こされる磁場の変化が検出される。
【0098】
[0088]変化する磁場を生成する磁気センサ及びシステムの例示的な実施形態は、多種多様な用途に適用可能であることを理解されたい。例えば、一実施例においては、集積されたコイルを有する磁気センサは、シートベルト検出のために最適化される。別の実施例においては、磁気センサは、約0.5mmから約3mm程度のエアギャップでの座席位置検出のために最適化される。他の実施形態においては、センサは、1cmほどのエアギャップのために最適化され得る。別の実施形態においては、磁気センサは、自動車の変速機、車輪、又は回転軸の運動の検出に最適化される。
【0099】
[0089]本特許の主題である様々な概念、構造及び技術を説明するのに役立つ好ましい実施形態について説明したが、これらの概念、構造、及び技術を含む他の実施形態を用いることができることは当業者にとって明らかであろう。様々な実施形態に関連して図示され説明された様々な特徴は、選択的に組み合わせ得ることが理解されよう。したがって、本特許の範囲は説明された実施形態に限定されるべきものではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲によってのみ限定されるべきであると考えられる。本明細書で引用されるすべての参考文献は、これによってその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12