特許第6427186号(P6427186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427186シート繰出システム及びこれを用いたシート繰出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427186
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】シート繰出システム及びこれを用いたシート繰出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/18 20060101AFI20181112BHJP
   B65H 26/08 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   B65H19/18
   B65H26/08
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-531264(P2016-531264)
(86)(22)【出願日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】JP2015067595
(87)【国際公開番号】WO2016002532
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2016年12月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-134735(P2014-134735)
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】西村 陽佑
(72)【発明者】
【氏名】永渕 慎一郎
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−123152(JP,A)
【文献】 特開平07−048056(JP,A)
【文献】 特開平11−058676(JP,A)
【文献】 特開2011−051788(JP,A)
【文献】 特開2009−208912(JP,A)
【文献】 特開平02−023139(JP,A)
【文献】 特開2006−143351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00−19/30
B65H 21/00−21/02
B65H 23/18−23/198
B65H 26/00−26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを連続的に繰り出すためのシート繰出システムであって、
シートがそれぞれ巻き付けられた複数の原反ロールを前記シートの繰り出しが許容された状態で保持するロール保持部と、
前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの繰出側原反ロールから繰り出されているシートの途中部に対し、前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの前記繰出側原反ロール以外の待機側原反ロールのシートの端部を接ぐための接ぎ部と、
前記待機側原反ロールからシートの端部を取り出すとともに当該シートの端部を前記接ぎ部に搬送する端部搬送装置と、
前記接ぎ部の動作を制御するコントローラとを備え、
前記接ぎ部は、前記端部搬送装置により搬送された前記待機側原反ロールのシートの端部を吸着可能な吸着面を有する吸着保持部材と、前記待機側原反ロールと前記吸着保持部材との間のシートに張力が与えられるように予め設定された経路に沿って前記吸着保持部材の吸着面を前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動可能な移動機構と、前記張力により前記シートの端部が前記吸着保持部材に対して移動するのを規制する規制状態と前記吸着保持部材に対する前記シートの端部の移動を許容する許容状態との間で切換可能な規制機構とを有し、
前記コントローラは、前記吸着面が前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動する期間中、前記規制機構を規制状態に切り換え
前記規制機構は、前記規制状態において前記吸着保持部材との間でシートを挟むように前記吸着保持部材に対向する部分を有する押え部材を有し、
前記接ぎ部は、前記吸着保持部材及び前記押え部材を支持する支持部材を有する、シート繰出システム。
【請求項2】
前記規制機構は、前記規制状態において前記吸着保持部材に対して前記原反ロールから前記吸着面の縁部を超えて前記吸着面の外側に配置された前記シートの先端部のみを拘束する、請求項1に記載のシート繰出システム。
【請求項3】
前記端部搬送装置は、前記待機側原反ロールのシートの端部を保持するシート保持部と、前記シート保持部を駆動する保持部駆動機構とを有し、
前記コントローラは、前記シート保持部が前記シートの端部を前記吸着保持部材の吸着面に載せ、前記シート保持部が前記シートの端部の保持を解除し、さらに前記シート保持部が前記吸着面に載せられた前記シートの端部を前記吸着面に沿って撫でるように前記保持部駆動機構を制御する、請求項1又は2に記載のシート繰出システム。
【請求項4】
シートを連続的に繰り出すためのシート繰出システムであって、
シートがそれぞれ巻き付けられた複数の原反ロールを前記シートの繰り出しが許容された状態で保持するロール保持部と、
前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの繰出側原反ロールから繰り出されているシートの途中部に対し、前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの前記繰出側原反ロール以外の待機側原反ロールのシートの端部を接ぐための接ぎ部と、
前記待機側原反ロールからシートの端部を取り出すとともに当該シートの端部を前記接ぎ部に搬送する端部搬送装置と、
前記接ぎ部の動作を制御するコントローラとを備え、
前記接ぎ部は、前記端部搬送装置により搬送された前記待機側原反ロールのシートの端部を吸着可能な吸着面を有する吸着保持部材と、前記待機側原反ロールと前記吸着保持部材との間のシートに張力が与えられるように予め設定された経路に沿って前記吸着保持部材の吸着面を前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動可能な移動機構と、前記張力により前記シートの端部が前記吸着保持部材に対して移動するのを規制する規制状態と前記吸着保持部材に対する前記シートの端部の移動を許容する許容状態との間で切換可能な規制機構とを有し、
前記コントローラは、前記吸着面が前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動する期間中、前記規制機構を規制状態に切り換え、
前記端部搬送装置は、前記待機側原反ロールのシートの端部を保持するシート保持部と、前記シート保持部を駆動する保持部駆動機構とを有し、
前記コントローラは、前記シート保持部が前記シートの端部を前記吸着保持部材の吸着面に載せ、前記シート保持部が前記シートの端部の保持を解除し、さらに前記シート保持部が前記吸着面に載せられた前記シートの端部を前記吸着面に沿って撫でるように前記保持部駆動機構を制御し、
前記吸着保持部材は、前記吸着面の縁部から当該吸着面が向く方向と逆向きに延びる被押え面を有し、
前記規制機構は、前記被押え面との間で前記シートの先端部を挟むための押え面を有する押え部材と、前記押え面が前記被押え面に近づく及び遠ざかるように前記押え部材を駆動する押え駆動機構とを備え、
前記コントローラは、前記シートの先端部が前記吸着面の縁部を超えて当該吸着面の外側に配置されるように前記シート保持部が前記シートの端部を前記吸着面に載せ、前記シート保持部が前記シートの端部の保持を解除し、さらに前記シート保持部が前記シートの先端部が前記被押え面に沿って屈曲するように前記シートの先端部を被押え面に沿って押し込むように前記保持部駆動機構を制御するとともに、被押え面に沿って押し込まれたシートの先端部が被押え面と押え面との間に挟まれるように前記押え駆動機構を制御するシート繰出システム。
【請求項5】
前記シート繰出システムは、前記繰出側原反ロールのシートの途中部に前記待機側原反ロールのシートの端部を貼り付けるための粘着材を前記吸着面に吸着された前記シートの端部に取り付けるための粘着材取付機構と、前記粘着材を前記シートの端部に取り付けるために前記粘着材取付機構が前記吸着面と対向する粘着材取付位置と前記吸着保持部材の移動を許容するように前記粘着材取付機構が前記吸着保持部材の移動経路から退避した退避位置との間で移動可能となるように前記粘着材取付機構を支持する移動支持機構とを備えている、請求項1〜4の何れか1項に記載のシート繰出システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のシート繰出システムを用いたシート繰出方法であって、
前記繰出側原反ロールからシートを繰り出す繰出工程と、
前記繰出工程により前記繰出側原反ロールのシート残量が予め設定された残量未満となった場合に、前記端部搬送装置を用いて前記待機側原反ロールのシートの端部を取り出すとともに当該シートの端部を前記接ぎ部の吸着保持部材に搬送する搬送工程と、
前記規制機構を用いて前記シートの端部が吸着保持部材に対して移動するのを規制しつつ、前記移動機構を用いて前記吸着保持部材の吸着面を前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動させることにより、前記繰出側原反ロールのシートの途中部に対して前記待機側原反ロールのシートの端部を接ぐ接ぎ工程とを含んでいる、シート繰出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを連続的に繰り出すためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートが巻き付けられた原反ロールからシートを連続的に繰り出すための装置が知られている。
【0003】
この種の装置において原反ロールのシート残量が少なくなった場合、例えば、図29図32に示すようなシートの接ぎ作業が行われる。
【0004】
具体的に、接ぎ作業を行うために、図29に示すようにシートWを繰り出している原反ロール(以下、繰出側原反ロールという)R1に隣接して、シートWの繰り出しを待機する原反ロール(以下、待機側原反ロールという)R2が予め設置されている。
【0005】
図30に示すように、繰出側原反ロールのシートWの残量が少なくなると、待機側原反ロールR2からシートWの端部を取り出して、当該シートWの端部に粘着剤(例えば、テープT)を張り付ける。
【0006】
次いで、図31に示すように、テープTを利用して待機側原反ロールR2のシートWの端部を繰出側原反ロールR1のシートWの途中部に接続し、テープTの上流位置(図の三角印の位置)で繰出側原反ロールR1のシートWを切断する。
【0007】
これにより、図32に示すように、両原反ロールR1、R2の下流側においてシートWに加えられる張力がテープTを介して待機側原反ロールR2のシートWに加えられ、当該待機側原反ロールR2からシートWが繰り出される。つまり、待機側原反ロールR2が次の繰出側原反ロールR1としての役割を果たす。
【0008】
上記接ぎ作業を自動的に行うための装置として、例えば、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0009】
特許文献1に記載の装置は、繰出側原反ロール及び待機側原反ロールを保持するためのロール保持部と、繰出側原反ロールのシートに対して待機側原反ロールのシートを継ぐための接ぎ部と、待機側原反ロールのシートの端部を取り出して吸着保持部に導くためのXY移動ロボットとを備えている。
【0010】
接ぎ部は、待機側原反ロールのシートの端部を吸着することにより保持可能な吸着保持部材を有する。
【0011】
吸着保持部材上に保持されたシートの端部には粘着テープが取り付けられており、当該シートの端部は、粘着テープの粘着力によって繰出側原反ロールのシートの途中部に接がれる。
【0012】
特許文献1では、吸着保持部材に保持されたシートの端部をどのように繰出側原反ロールのシートに接ぐのか明らかでない。
【0013】
例えば、吸着保持部材を繰出側原反ロールのシートに向けて移動させることにより、当該吸着保持部材に保持されたシートの端部を繰出側原反ロールのシートに接ぐことが考えらえる。
【0014】
ここで、吸着保持部材が繰出側原反ロールのシートに向かって移動するときに吸着保持部材が待機側原反ロールに近づく方向に移動すると、吸着保持部材と待機側原反ロールとの間のシートに弛みが生じ、接ぎ作業後のシートの繰出速度が変化するおそれがある。
【0015】
そのため、吸着保持部材と待機側原反ロールとの間のシートに弛みが生じないように、吸着保持部を繰出側原反シートに対して移動させる必要がある。
【0016】
しかしながら、この場合、吸着保持部材と待機側原反ロールとの間のシートに生じる張力によって吸着保持部材に対するシートの先端部の保持位置が変化してしまい、当該シートの端部を繰出側原反ロールのシートに対して正確に接ぐことができなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平7−101602号公報
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、吸着保持部材の移動時に当該吸着保持部材に対するシートの保持位置が変化するのを防止することができるシート繰出システム及びこれを用いたシート繰出方法を提供することにある。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明は、シートを連続的に繰り出すためのシート繰出システムであって、シートがそれぞれ巻き付けられた複数の原反ロールを前記シートの繰り出しが許容された状態で保持するロール保持部と、前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの繰出側原反ロールから繰り出されているシートの途中部に対し、前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの前記繰出側原反ロール以外の待機側原反ロールのシートの端部を接ぐための接ぎ部と、前記待機側原反ロールからシートの端部を取り出すとともに当該シートの端部を前記接ぎ部に搬送する端部搬送装置と、前記接ぎ部の動作を制御するコントローラとを備え、前記接ぎ部は、前記端部搬送装置により搬送された前記待機側原反ロールのシートの端部を吸着可能な吸着面を有する吸着保持部材と、前記待機側原反ロールと前記吸着保持部材との間のシートに張力が与えられるように予め設定された経路に沿って前記吸着保持部材の吸着面を前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動可能な移動機構と、前記張力により前記シートの端部が前記吸着保持部材に対して移動するのを規制する規制状態と前記吸着保持部材に対する前記シートの端部の移動を許容する許容状態との間で切換可能な規制機構とを有し、前記コントローラは、前記吸着面が前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動する期間中、前記規制機構を規制状態に切り換える、シート繰出システムを提供する。
【0020】
また、本発明は、前記シート繰出システムを用いたシート繰出方法であって、前記繰出側原反ロールからシートを繰り出す繰出工程と、前記繰出工程により前記繰出側原反ロールのシート残量が予め設定された残量未満となった場合に、前記端部搬送装置を用いて前記待機側原反ロールのシートの端部を取り出すとともに当該シートの端部を前記接ぎ部の吸着保持部材に搬送する搬送工程と、前記規制機構を用いて前記シートの端部が吸着保持部材に対して移動するのを規制しつつ、前記移動機構を用いて前記吸着保持部材の吸着面を前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動させることにより、前記繰出側原反ロールのシートの途中部に対して前記待機側原反ロールのシートの端部を接ぐ接ぎ工程とを含んでいる、シート繰出方法を提供する。
【0021】
本発明によれば、吸着保持部材の移動時に当該吸着保持部材に対するシートの保持位置が変化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るシート繰出システムの全体構成を示す正面図である。
図2図2は、図1のシート繰出システムの側面図である。
図3図3は、図1の作業ロボットの一部を拡大して示す概略図である。
図4図4は、図3のIV−IV線断面図である。
図5図5は、図1の端部取出部を拡大して示す平面一部断面図である。
図6図6は、図5のVI−VI線断面図である。
図7図7は、図5のVII−VII線断面図である。
図8図8は、図1の接ぎ部を拡大して示す正面図である。
図9図9は、図8のIX−IX線断面図であり、テープ貼り部が退避位置に移動した状態を示す。
図10図10は、図9のX−X線断面図である。
図11図11は、図10のXI−XI線断面図である。
図12図12は、図8のIX−IX線断面図に相当するものであり、テープ貼り部がテープ取付位置に移動した状態を示す。
図13図13は、図9のXIII−XIII線断面図である。
図14図14は、図1のシート繰出システムの電気的構成を示すブロック図である。
図15図15は、図14のコントローラにより実行される処理の前半部分を示すフローチャートである。
図16図16は、図14のコントローラにより実行される処理の後半部分を示すフローチャートである。
図17図17は、図14のコントローラによるシートの端部の位置の変化量の算出方法を説明するための概略図である。
図18図18は、作業ロボットの動作を示す側面断面図であり、端部取出部におけるシートを把持した状態を示す。
図19図19は、作業ロボットの動作を示す正面図であり、ハンドによるシートの移動の軌跡を示すものである。
図20図20は、作業ロボットの動作を示す正面図であり、吸着保持部材にシートが導かれた状態を示す。
図21図21は、作業ロボットの動作を示す正面図であり、吸着保持部材にシートが載せられた状態を示す。
図22図22は、作業ロボットの動作を示す正面図であり、吸着保持部材上のシートが均されているとともに当該シートの先端部が押し込まれた状態を示す。
図23図23は、接ぎ部の動作を示す正面図であり、押え部材によってシートの先端部が押えられた状態を示す。
図24図24は、接ぎ部の動作を示す正面図であり、待機側の接ぎ機構が繰出側の接ぎ機構に向けて移動した状態を示す。
図25図25は、接ぎ部の動作を示す正面図であり、繰出側原反ロールのシートがテープを介して待機側原反ロールのシートに接がれた状態を示す。
図26図26は、接ぎ部の動作を示す正面図であり、繰出側原反ロールのシートを切断する状態を示す。
図27図27は、接ぎ部の動作を示す正面図であり、待機側原反ロールのシートの繰出が開始された状態を示す。
図28図28は、本発明の第2実施形態に係るシート繰出システムの全体構成を示す正面図である。
図29図29は、接ぎ作業を説明するための概念図であり、繰出側原反ロールからシートが繰り出されている状態を示す。
図30図30は、接ぎ作業を説明するための概念図であり、待機側原反ロールのシートの先端部にテープが貼り付けられた状態を示す。
図31図31は、接ぎ作業を説明するための概念図であり、繰出側原反ロールのシートの途中部が待機側原反ロールのシートの先端部に継がれた状態で当該繰出側原反ロールのシートが切断される状態を示す。
図32図32は、接ぎ作業を説明するための概念図であり、待機側原反ロールのシートの繰出が開始された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
<第1実施形態>
図1及び図2を参照して、シート繰出システム1は、シートWを連続的に繰り出すように構成されている。
【0025】
具体的に、シート繰出システム1は、シートWがそれぞれ巻き付けられた原反ロールR1、R2を保持するとともに原反ロールR1、R2のシートWを連続的に繰り出すためのシート繰出装置2と、シート繰出装置2において一方の原反ロール(例えば、原反ロールR1)のシートWの残量が少なくなった場合に他方の原反ロール(例えば、原反ロールR2)のシートWを取り出して当該シートWをシート繰出装置2の接ぎ部8に搬送する作業ロボット(端部搬送装置)3と、シート繰出装置2及び作業ロボット3の動作を制御するコントローラ70(図14参照)とを備えている。
【0026】
シート繰出装置2は、原反ロールR1、R2をシートWの繰り出しが許容された状態で保持するロール保持部5と、ロール保持部5に保持された原反ロールR1、R2のシートを予め設定された経路に沿って案内するための案内部6と、前記ロール保持部5に保持された原反ロールR1、R2のシートをそれぞれ取り出すための端部取出部7A、7Bと、原反ロールR1のシートと原反ロールR2のシートとを継ぐための接ぎ部8と、原反ロールR1、R2のシートに対してそれぞれテープT(図23参照)を貼り付けるためのテープ貼り部9A、9Bと、これらを支持するための支持部材4とを備えている。
【0027】
支持部材4は、設置面と平行に配置される底板10と、底板10上に立設された4本の支柱11と、支柱11の側面に固定された支持板12とを備えている。
【0028】
4本の支柱11は、1列に並んで配置されている。
【0029】
支持板12は、18枚の支持板片12aを有し、これら支持板片12aの主面によって上述した構成を取り付けるための取付面が形成されている。具体的に、18枚の支持板片12aは、互いに隣り合う2本の支柱11同士の間に亘って当該2本の支柱11に対して取り外し可能に取り付けられている。また、互いに隣り合う2本の支柱11には、当該支柱11の高さ方向に並ぶ6枚の支持板片12aが取り付けられている。さらに、18枚の支持板片12aは、当該18枚の支持板片12aの主面が同一平面上に配置されるように支柱11に固定されている。
【0030】
以下、4本の支柱11が並ぶ方向をX方向とし、支持板片12aの主面と直交する方向をY方向とし、支柱11の高さ方向をZ方向として説明する。
【0031】
なお、支持板片12aの各々は、シート繰出装置2の構成要素の一部を容易に置換可能となるように当該構成要素を保持している。
【0032】
例えば、図1における最も右側の列の最上段に設けられた支持板片12aは、後述する第2端部取出部7Bを保持している。また、最も右側の列の上から3段目の支持板片12aは、後述する第2ロール保持部5Bを保持している。さらに、最も右側の列の上から4番目の支持板片12aは、後述するテープ貼り部9Bを保持している。これらの支持板片12aを支柱11から取り外すとともに、他の構成要素を保持する支持板片12aを取り付けることにより、構成要素の置換を容易に行うことができる。
【0033】
ロール保持部5は、原反ロールR1を保持するための第1ロール保持部5Aと、原反ロールR2を保持するための第2ロール保持部5Bとを備えている。なお、両ロール保持部5A、5Bは、X方向に対称の構成を有するため、第2ロール保持部5Bのみを説明し、第1ロール保持部5Aの説明を省略する。
【0034】
第2ロール保持部5Bは、原反ロールR2の中心を貫通した状態で当該原反ロールR2を支持する保持軸14と、保持軸14を回転駆動するロール駆動モータ15と、原反ロールR2のシートWの残量を検出可能なシート残量検出器16とを備えている。
【0035】
保持軸14は、支持板12をY方向に貫通し、さらに支持板12に対してY方向に沿った軸を中心として回転可能な状態で当該支持板12に固定されている。
【0036】
ロール駆動モータ15は、原反ロールR1、R2をその中心軸を中心として回転駆動する原反ロール駆動部に相当する。具体的に、ロール駆動モータ15は、保持軸14の原反ロールR2を支持する端部と反対側の端部に取り付けられている。
【0037】
シート残量検出器16は、保持軸14に支持された原反ロールR2から離れた位置で支持板12に取り付けられている。また、シート残量検出器16は、当該シート残量検出器16から原反ロールR2の外周面までの距離を検出可能なセンサを有する。後述するコントローラ70は、シート残量検出器16による検出結果と保持軸14の位置とに基づいて原反ロールR1、R2の半径、つまり、シート残量を算出する。
【0038】
案内部6は、原反ロールR1、R2から繰り出されたシートWを所定の経路に沿って支持する複数の支持ローラ6a〜6gと、原反ロールR1、R2から繰り出されたシートWの所定量を一時的にため込むことができるシート溜め機構6hとを備えている。
【0039】
支持ローラ6a〜6gのうち、支持ローラ6c〜6gは、両原反ロールR1、R2のシートWに共通に利用される。一方、支持ローラ6aは、第1原反ロールR1のシートWを後述する接ぎ部8に導くために利用される。また、支持ローラ6bは、第2原反ロールR2のシートWを接ぎ部8に導くために利用される。
【0040】
シート溜め機構6hは、複数のローラにより構成される上部ローラ群6Aと、複数のローラにより構成される下部ローラ群6Bと、これらローラ群6A、6Bを相対的に近づける又は遠ざける方向に移動可能な移動機構(図示せず)とを備えている。上部ローラ群6Aと下部ローラ群6Bとを離した状態で上部ローラ群6Aと下部ローラ群6Bとの間にシートWを掛け渡し、この状態から上部ローラ群6Aと下部ローラ群6Bとを近づけることにより、原反ロールR1、R2の回転を停止した状態で両ローラ群6A、6Bの下流側にシートWを繰り出すことができる。このシート溜め機構6hにより、両原反ロールR1、R2の回転を停止した状態で後述するシートWの接ぎ作業を行うことができる。
【0041】
第1、第2端部取出部7A、7Bは、ロール保持部5の両保持軸14の上で、かつ、X方向で両保持軸14の間となる位置で支持板12に取り付けられている。なお、第1、第2端部取出部7A、7Bは、X方向に対称の構成を有するため、第2端部取出部7Bの構成を説明し、第1端部取出部7Aの説明を省略する。
【0042】
図1図2及び図5を参照して、第2端部取出部7Bは、支持板12からY方向に延びる回転軸17と、回転軸17に固定された基端部をそれぞれ有する一対のアーム18a、18bと、アーム18a、18bの先端部同士の間に亘って設けられた支持軸19と、支持軸19の外周面に対して複数の軸受け20を介して回転可能に取り付けられた複数の吸着ローラ21と、両アーム18a、18bを回転駆動する回転用シリンダ22と、回転用シリンダ22の伸縮動作を制御する回転用弁24と、回転軸17の回転角度を検出する回転角検出器25と、支持軸19に接続された吸引用弁26と、支持軸19に取り付けられた端部検出器27とを備えている。
【0043】
回転軸17は、支持板12をY方向に貫通し、さらに支持板12に対してY方向に沿った軸を中心として回転可能な状態で当該支持板12に固定されている。回転軸17の回転角は、回転軸17の基端部に取り付けられた回転角検出器25により検出される。
【0044】
アーム18a、18bは、後述する支持軸19と原反ロールR2の中心軸(保持軸14)との距離が調整可能となるように原反ロールR2の中心軸と平行な回転軸17を中心としてロール保持部5(支持板12)に対して回転可能な回転支持部材に相当する。
【0045】
具体的に、アーム18a、18bは、回転用シリンダ22の伸縮動作に応じて回転軸17の軸線を中心として回転する。回転用シリンダ22の基端部(ヘッド側の端部)は、軸22bによってY方向に沿った軸を中心として支持板12に対して回転可能な状態で当該支持板12に取り付けられている。一方、回転用シリンダ22の先端部(ロッド側の端部)は、軸22aによってY方向に沿った軸を中心として両アーム18a、18bに対して回転可能な状態で当該両アーム18a、18bの途中部に取り付けられている。回転用弁24は、回転用シリンダ22に対するエアの供給及び回転用シリンダ22からのエアの排出を制御可能である。
【0046】
支持軸19は、その内部に吸引室19aを有する中空の軸である。支持軸19の先端部は、吸引室19aを閉じるための底壁を有する一方、支持軸19の基端部は、吸引用弁26を介して図外の吸引源に接続されている。したがって、吸引用弁26が開放することにより、吸引源によって吸引室19a内の空気が吸い出される。
【0047】
また、図6に示すように、支持軸19は、その外周壁を貫通する貫通穴19bを有する。複数の軸受け20は、支持軸19の軸方向(Y方向)において貫通穴19bから外れた位置に設けられ、吸着ローラ21は、隣接する軸受け20同士の間に跨って設けられている。吸着ローラ21は、当該吸着ローラ21をその径方向に貫通する貫通穴21aを有している。これにより、吸引室19aは、互いに隣接する軸受け20同士の間のスペース及び貫通穴21aを通じて吸着ローラ21の径方向の外側に開放される。したがって、吸引用弁26が開放した状態で吸着ローラ21の外周面にシートWが接触することにより、当該シートWは、吸着ローラ21に吸着される。
【0048】
このように、複数の吸着ローラ21は、支持軸19の軸線を中心として回転可能な状態で当該支持軸19に取り付けられているとともに前記軸線と平行な方向(Y方向)で互いに離れて配置されている。また、吸着ローラ21は、原反ロールR2の回転駆動に応じて当該原反ロールR2の外周面に対して転がり接触可能で、かつ、原反ロールR2からシートWの端部を引き離すためにシートWの端部を吸着可能な外周面を有する。
【0049】
端部検出器27は、吸着ローラ21により引き離された原反ロールR2のシートWの端部の位置を検出可能である。具体的に、端部検出器27は、図7に示すように、2つの吸着ローラ21の外周面の径方向の内側の位置で、かつ、当該2つの吸着ローラ21同士の間の位置で支持軸19に取り付けられている。
【0050】
後述のコントローラ70は、端部検出器27により原反ロールR2のシートWの端部が検出されたときに原反ロールR2の回転駆動を停止し、この状態でシートWの端部は、作業ロボット3のハンド60によって把持される。つまり、吸着ローラ21に吸着され、かつ、端部検出器27により検出されたシートWの端部の位置は、原反ロールR2からシートWを取り出すためのシート取出位置に相当する。シート取出位置は、原反ロールR2、つまり、第1端部取出部7Aにも同様に設定されている。
【0051】
図1及び図2を参照して、接ぎ部8は、ロール保持部5に保持された原反ロールR1、R2のうちの繰出側原反ロールから繰り出されているシートWの途中部に対し、ロール保持部5に保持された原反ロールR1、R2のうちの繰出側原反ロール以外の待機側原反ロールのシートWの端部を接ぐためのものである。シート繰出システム1では、ロール保持部5に保持された原反ロールR1、R2の各々が繰出側原反ロールと待機側原反ロールとに順次切り替わるが、以下の説明では、原反ロールR1を繰出側原反ロールとし、原反ロールR2を待機側原反ロールとして説明する。
【0052】
図8図10を参照して、接ぎ部8は、支持板12に対向するとともに当該支持板12との間でY方向に延びる2本の軸28aを支持する軸支板23と、軸28aを中心としてそれぞれ回転可能な状態で支持板12に取り付けられた接ぎ機構28A、28Bと、接ぎ機構28Aを回転駆動する回転シリンダ29Aと、接ぎ機構28Bを回転駆動する回転シリンダ29Bと、回転シリンダ29Aの駆動を制御する回転用弁30Aと、回転シリンダ29Bの駆動を制御する回転用弁30Bとを備えている。
【0053】
接ぎ機構28A、28Bは、回転シリンダ29A、29Bの伸縮動作に応じて、シートWを案内部6に沿って繰り出すための繰出位置(図8の接ぎ機構28Aの位置)と、繰出されているシートWの途中部に接がれるシートWの端部を装着するための装着位置(図8の接ぎ機構28Bの位置)との間で軸28aを中心として回転可能な状態で支持板12に取り付けられている。
【0054】
回転シリンダ29A、29Bは、Y方向に延びる軸29aを中心として回転可能な状態で支持板12に対して取り付けられたシリンダ本体と、Y方向に延びる軸29bを中心として回転可能な状態で接ぎ機構28A、28B(後述する対向板31a、31b)に取り付けられたロッドとを有する。接ぎ機構28A、28Bは、回転シリンダ29A、29Bのシリンダ本体に対してロッドが縮小することにより装着位置に回転し、シリンダ本体からロッドが伸長ことにより繰出位置に回転する。
【0055】
回転用弁30A、30Bは、回転シリンダ29A、29Bに対するエアの供給及び回転シリンダ29A、29Bからのエアの排出を制御することにより回転シリンダ29A、29Bの伸縮動作を制御する。
【0056】
なお、接ぎ機構28A、28Bは、それぞれX方向に対称の構成を有するため、接ぎ機構28Bの構成を主に説明する。
【0057】
接ぎ機構28Bは、互いにY方向に対向する対向板31a、31bと、対向板31a、31b同士の間に設けられた、保持ローラ32、吸着保持部材33、押え部材34、切断刃35、押え刃36、押込用シリンダ37、切断用シリンダ38、及びシート押え用シリンダ39とを備えている。
【0058】
保持ローラ32は、両対向板31a、31b同士の間でY方向に延びる回転軸32aを中心として回転可能な状態で対向板31a、31bに取り付けられている。また、保持ローラ32は、支持ローラ6bと支持ローラ6cとの間でシートWを支持するためのものである(接ぎ機構28Aの保持ローラ32は、支持ローラ6aと支持ローラ6cとの間でシートWを保持する)。具体的に、装着位置に回転した接ぎ機構28Bにおいて、当該接ぎ機構28Bの保持ローラ32の上端は、支持ローラ6bの下端と略同一の高さ位置に配置され、支持ローラ6bから保持ローラ32に案内されるシートWは、略水平に配置される。一方、繰出位置に回転した接ぎ機構28Aにおいて、当該接ぎ機構28Aの保持ローラ32は、支持ローラ6aよりも上に配置されている。これにより、シートWは、支持ローラ6aから保持ローラ32に向けて上向きに案内され、当該保持ローラ32から支持ローラ6cに向けて下向きに導かれる。
【0059】
図10及び図11を参照して、吸着保持部材33は、シートWの端部を吸着可能な吸着面33dを有する。具体的に、吸着保持部材33は、当該吸着保持部材33の内部に設けられた減圧室33aと、吸着面33dを有する側壁を貫通して減圧室33aを減圧室33aの外部に開放する貫通穴33bと、吸着面33dと反対側の側壁に設けられているとともに減圧室33aに連通する配管33cとを備えている。配管33cは、吸引用弁43を介して図外の吸引源に接続されている。そのため、吸引用弁43が開くことにより減圧室33a内の空気が吸い出され、吸着面33dにシートWを吸着することができる。
【0060】
ここで、吸着保持部材33は、軸28aと保持ローラ32との間に設けられている。また、吸着保持部材33は、接ぎ機構28Bが繰出位置に回転した状態で吸着面33dがYZ平面と略平行に配置され(図24参照)、かつ、接ぎ機構28Bが装着位置に回転した状態で吸着面33dがXY平面と略平行に配置されるように、対向板31a、31bに取り付けられている。そのため、図23に示すように、接ぎ機構28Bを装着位置に回転した状態で原反ロールR2のシートWを吸着面33d上に載せ、この状態で、図24に示すように接ぎ機構28Bを繰出位置に回転すると、原反ロールR2と吸着保持部材33との間でシートWに張力を与えつつ吸着保持部材33の吸着面33dが繰出側原反ロールR1のシートWの途中部(接ぎ機構28A)に向けて移動する。つまり、軸28a、対向板31a、31b、回転シリンダ29A、29B、回転用弁30A、30Bは、原反ロールR1、R2と吸着保持部材33との間のシートWに張力が与えられるように予め設定された経路に沿って吸着面33d繰出側原反ロールR1、R2の途中部に向けて移動可能な移動機構に相当する。
【0061】
さらに、吸着保持部材33は、図10において実線及び二点鎖線で示すように、押込用シリンダ37の伸縮動作に応じて吸着面33dが当該吸着面33dと直交する方向に往復動作可能となるように対向板31a、31bに取り付けられている。具体的に、押込用シリンダ37は、両対向板31a、31bに固定されたシリンダ本体と、シリンダ本体に対して伸縮可能なロッドとを備え、このロッドの先端部は、吸着保持部材33に固定されている。押込用シリンダ37には、当該押込用シリンダ37に対するエアの供給及び押込用シリンダ37からのエアの排出を制御することにより押込用シリンダ37の伸縮動作を制御する押込用弁40が接続されている。
【0062】
押え部材34は、吸着保持部材33の被押え面33eとの間でシートWの先端部を押えるための押え面34bを有している。ここで、被押え面33eは、吸着面33dの縁部から当該吸着面33dが向く方向と逆向きに延びる吸着保持部材33の側面である。
【0063】
具体的に、押え部材34は、シート押え用シリンダ39の伸縮動作に応じて、被押え面33eとの押え面34bとの間でシートWの先端部を挟む規制位置(図10の実線で示す位置)と、押え面34bが被押え面33eから離れた許容位置(図10の二点鎖線で示す位置)との間で、軸28aを中心として対向板31a、31bに対して回転可能な状態で当該対向板31a、31bに取り付けられている。シート押え用シリンダ39は、Y方向に延びる軸39aを中心として回転可能な状態で対向板31a、31bに取り付けられたシリンダ本体と、シリンダ本体に対して伸縮可能で、かつ、Y方向に延びる軸39bを中心として回転可能な状態で押え部材34に取り付けられたロッドとを有する。シート押え用シリンダ39には、当該シート押え用シリンダ39に対するエアの供給及びシート押え用シリンダ39からのエアの排出を制御することによりシート押え用シリンダ39の伸縮動作を制御するシート押え用弁42が接続されている。
【0064】
つまり、対向板31a、31b、軸39a、39b、シート押え用シリンダ39、及びシート押え用弁42は、押え面34bが被押え面33eに近づく及び遠ざかるように押え部材34を駆動する押え駆動機構に相当する。そして、この押え駆動機構は、前記張力によりシートWの端部が吸着保持部材33に対して移動するのを規制する規制状態(規制位置)と吸着保持部材33に対するシートWの端部の移動を許容する許容状態との間で切換可能な規制機構に相当する。ここで、押え部材34は、図23に示すように、吸着保持部材33との間でシートWの先端部のみを挟み込む(拘束する)。
【0065】
切断刃35及び押え刃36は、吸着保持部材33と保持ローラ32との間に掛け渡されたシートWを切断するためのものである。具体的に、切断刃35及び押え刃36は、図10において実線及び二点鎖線で示すように、切断用シリンダ38の伸縮動作に応じて吸着保持部材33の往復動作の方向と平行する方向に往復動作可能となるように対向板31a、31bに取り付けられている。切断用シリンダ38は、対向板31a、31bに固定されたシリンダ本体と、シリンダ本体に対して伸縮可能で、かつ、切断刃35及び押え刃36が固定されたロッドとを有している。切断用シリンダ38には、当該切断用シリンダ38に対するエアの供給及び切断用シリンダ38からのエアの排出を制御することにより切断用シリンダ38の伸縮動作を制御するシート切断用弁41が接続されている。
【0066】
図8図9及び図12を参照して、テープ貼り部9Aは、接ぎ機構28Aの吸着保持部材33に保持されたシートWの端部にテープT(粘着材)を貼り付けるものであり、テープ貼り部9Bは、接ぎ機構28Bの吸着保持部材33に保持されたシートWの端部にテープTを貼り付けるものである。テープ貼り部9A、9Bは、X方向に対称の構成を有するため、テープ貼り部9Bのみを説明し、テープ貼り部9Aの説明を省略する。
【0067】
テープ貼り部9Bは、支持板12に固定された固定フレーム44と、固定フレーム44に対してY方向に移動可能に取り付けられた移動フレーム45と、移動フレーム45を駆動する駆動機構66と、移動フレーム45に取り付けられたテープ取付機構(粘着材取付機構)46とを備えている。
【0068】
図9図12及び図13を参照して、固定フレーム44は、支持板12からY方向で接ぎ部8と反対側に延びる天板44aと、天板44aのX方向の両端部から下向きに延びる側板44b、44cと、側板44b、44cの互いに対向する面に固定されているとともにY方向に延びるレール44dとを備えている。
【0069】
移動フレーム45は、支持板12をY方向に貫通する貫通穴12bを通じて当該支持板12から接ぎ機構28B側に突出した位置(図12に示す位置)と、接ぎ機構28Bの移動(回転)を許容するように接ぎ機構28Bの移動経路(回転経路)から貫通穴12bを通じて支持板12の裏側に退避した位置(図9に示す位置)との間で移動可能となるように、固定フレーム44に取り付けられている。
【0070】
具体的に、移動フレーム45は、基板45aと、基板45aのX方向の両端部上に立設された側板45b、45cと、基板45aのX方向の一方の端部から垂下された支持板45dと、側板45b、45cの互いに反対側を向く面に固定されたスライダ45eと、スライダ45eに係合するスライドレール45fとを備えている。スライダ45eは、Y方向にスライド可能となるようにスライドレール45fに係合しており、スライドレール45fは、Y方向にスライド可能となるようにレール44dに係合している。
【0071】
駆動機構66は、Y方向に沿った軸を中心として回転可能な状態で固定フレーム44に取り付けられたボールねじ66aと、ボールねじ66aに螺合するとともに移動フレーム45(基板45a)に固定されたナット66bと、ボールねじ66aを回転駆動する移動モータ66cとを備えている。移動モータ66cによりボールねじ66aが回転することにより、ナット66b及びこれに固定された移動フレーム45がY方向に沿って移動する。
【0072】
テープ取付機構46は、接ぎ機構28Bの吸着面33dに吸着されたシートWの端部にテープTを取り付けるためのものである。
【0073】
また、テープ取付機構46は、移動フレーム45の支持板45dに取り付けられている。したがって、テープ取付機構46は、移動モータ66cの駆動により、テープTをシートWの端部に取り付けるためにテープ取付機構46が吸着面33dと対向するテープ取付位置(図12に示す位置)と、吸着保持部材33の移動(回転)を許容するようにテープ取付機構46が吸着保持部材33の移動経路(回転経路)から退避した退避位置(図9に示す位置)との間で移動可能である。つまり、固定フレーム44、移動フレーム45、及び駆動機構66は、テープ取付位置と退避位置との間で移動可能となるようにテープ取付機構46を支持する移動支持機構に相当する。
【0074】
具体的に、テープ取付機構46は、テープTが巻き付けられたロールをテープTの繰出が許容された状態で保持する繰出ローラ46aと、テープTの剥離紙を巻き取るための巻取ローラ46bと、テープTの粘着層のみを切断するカッタ46cと、テープTの粘着層をシートWに押し付けるための押し具46dと、押し具46dをZ方向に駆動する押し具用シリンダ46eと、巻取ローラ46bを回転駆動する巻取モータ46fと、押し具用シリンダ46eの駆動を制御する押し具用弁46gとを備えている。
【0075】
テープTの粘着層をシートWに取り付ける場合、テープ取付機構46を退避位置からテープ取付位置に移動する過程において、巻取モータ46fを駆動するとともに押し具用シリンダ46eを駆動して押し具46dによりテープTをシートW側に押し付ける。これにより、カッタ46cにより切断されたテープTの粘着層(図面では便宜上粘着層についても符号Tを付している)の一部の範囲がシートW上に取り付けられる。
【0076】
図1及び図2を参照して、作業ロボット3は、待機側原反ロールR2からシートWの端部を取り出すとともに当該シートWの端部を接ぎ部8に搬送する。特に、作業ロボット3は、シート繰出システム1に設定された2つのシート取出位置(吸着ローラ21に吸着されたシートWの端部の位置)の各々から接ぎ部8にシートWの端部を搬送可能である。したがって、ロール保持部5に保持された原反ロールR1、R2の保持位置を変化させることなく、両原反ロールR1、R2から接ぎ部8へシートWの端部を搬送することが可能である。
【0077】
具体的に、作業ロボット3は、シートWの端部を搬送するためのロボット本体47と、ロボット本体47をX方向に移動可能に支持する移動機構48とを備えている。
【0078】
ロボット本体47は、移動機構48により移動可能に支持される移動体54と、移動体54上に設けられた多関節アーム55とを備えている。
【0079】
多関節アーム55は、Z軸方向に沿った旋回軸J1を中心として旋回可能な状態で移動体54に取り付けられた旋回部56と、水平方向の第1軸J2を中心として揺動可能な状態で旋回部56に取り付けられた第1アーム57と、水平方向の第2軸J3を中心として揺動可能な状態で第1アーム57に取り付けられた第2アーム58と、水平方向の第3軸J4を中心として回転可能な状態で第2アーム58に取り付けられた第3アーム59と、第3軸J4と直交する軸J5を中心として揺動可能な状態で第3アーム59に取り付けられたハンド60とを備えている。
【0080】
また、多関節アーム55は、移動体54に対して旋回部56を旋回駆動する第1モータ61と、旋回部56に対して第1アーム57を駆動する第2モータ62と、第1アーム57に対して第2アーム58を駆動する第3モータ63と、第2アーム58に対して第3アーム59を回転駆動する第4モータ64と、第3アーム59に対してハンド60を駆動する第5モータ65とを備えている。
【0081】
図5及び図7を参照して、ハンド60は、原反ロールR1、R2のシートWの端部を把持可能な把持部又はシート保持部に相当する。ハンド60は、第3アーム59から延びる延出部60aと、延出部60aの先端部に設けられた一対の把持用アクチュエータ60bと、把持用アクチュエータ60bに取り付けられた把持部60d、60eと、把持部60d、60eに設けられた複数の把持爪60fと、把持用アクチュエータ60bの駆動を制御する把持用弁60cとを備えている。
【0082】
把持用アクチュエータ60bは、アクチュエータ本体(符号省略)と、アクチュエータ本体から突出する一対の駆動部60g、60hとを有する。一対の駆動部60g、60hは、アクチュエータ本体にエアが供給されることにより互いに近づく一方、アクチュエータ本体からエアが排出されることにより互いに遠ざかる。把持用弁60cは、把持用アクチュエータ60bに対するエアの供給及び把持用アクチュエータ60bからのエアの排出を制御可能である。
【0083】
把持部60dは、駆動部60gに取り付けられている一方、把持部60eは、駆動部60hに取り付けられている。
【0084】
把持爪60fは、図5に示すように、互いに隣接する吸着ローラ21同士の間のスペースのピッチと同一のピッチで配置されている。また、把持爪60fの各々は、互いに隣接する吸着ローラ21同士の間のスペースに挿入可能な大きさ及び形状を有する。さらに、把持部60dに設けられた把持爪60fと把持部60eに設けられた把持爪60fとは互いに対向している。したがって、図18に示すように、吸着ローラ21同士の間に把持爪60fを挿入した状態で当該吸着ローラ21に吸着されたシートWの端部を把持爪60fによって把持することができる。
【0085】
つまり、多関節アーム55において旋回部56、アーム57〜59、及びモータ61〜65は、ハンド60が予め設定された移動範囲内で移動可能な状態で当該ハンド60を支持する支持機構に相当する。
【0086】
一方、図1に示す移動機構48は、接ぎ部8及び原反ロールR1、R2に対するシートWの取出位置(吸着ローラ21)が支持機構の移動範囲内に含まれる作業位置(図3の二点鎖線で示す位置)と、作業位置と比較して支持機構が接ぎ部8から遠ざかる待機位置(図3の実線で示す位置)との間で支持機構を移動可能に支持する。
【0087】
具体的に、図3及び図4に示すように、移動機構48は、本体部49と、本体部49に対してY方向に沿った軸を中心として回転可能に支持された一対のプーリ50a、50bと、プーリ50a、50b間に掛け渡されたベルト51と、プーリ50aを回転駆動する移動用モータ52と、本体部49に固定されたレール53(図4参照)とを備えている。
【0088】
一方、ロボット本体47の移動体54は、本体部49上に設けられた移動体本体54aと、移動体本体54aの下面に固定されているとともにX方向にスライド可能な状態でレール53に係合するスライダ54bと、両プーリ50a、50b間に位置するベルト51の一部に固定された固定部54cとを備えている。
【0089】
移動用モータ52によりプーリ50aが回転すると、両プーリ50a、50b間に位置するベルト51の一部の移動に伴い、これに固定された固定部54cがX方向に移動する。これにより、レール53に対してスライダ54bがスライドし、これに伴いスライダ54bに固定された移動体本体54a及びこれに支持されたロボット本体47がX方向に移動する。
【0090】
また、移動機構48の本体部49には、ロボット本体47(移動体54)が待機位置に移動したことを検出可能な待機位置検出器49a(図4参照)と、ロボット本体47が作業位置まで移動したことを検出可能な作業位置検出器49b(図14参照)とを備えている。両検出器49a、49bは、それぞれ移動体54の固定部54cが待機位置に相当する位置に到達したか否か、又は固定部54cが作業位置に相当する位置に到達したか否かを検出可能である。
【0091】
なお、作業ロボット3のうちハンド60以外の部分は、ハンド60を駆動する保持部駆動機構に相当する。
【0092】
図1及び図14を参照して、コントローラ70は、シート残量検出器16、回転角検出器25、端部検出器27、待機位置検出器49a、及び作業位置検出器49bによる検出結果に基づいて、ロール保持部5A、5B、端部取出部7A、7B、接ぎ部8、テープ貼り部9A、9B、及び作業ロボット3の駆動を制御する。
【0093】
具体的に、コントローラ70は、ロール保持部5A、5Bの駆動を制御する保持制御部71と、端部取出部7A、7Bの駆動を制御する取出制御部72と、テープ貼り部9A、9Bの駆動を制御する貼り制御部73と、接ぎ部8の駆動を制御する接ぎ制御部74と、作業ロボット3の駆動を制御するロボット制御部75とを備えている。
【0094】
保持制御部71は、シート残量検出器16により繰出側原反ロールR1のロール残量が予め設定された残量未満であることが検出された場合にロール駆動モータ15の駆動を開始する。一方、保持制御部71は、端部検出器27により吸着ローラ21上に待機側原反ロールR2の端部が検出された場合にロール駆動モータ15を停止する。
【0095】
取出制御部72は、シート残量検出器16及び回転角検出器25による検出結果に基づいて、吸着ローラ21が原反ロールR1、R2に接触するように回転用弁24の駆動を制御する。
【0096】
ここで、このように原反ロールR1、R2のシートWの残量に応じて吸着ローラ21の位置を変化させると、この変化に伴って作業ロボット3によるシートWの取出位置が変化する。
【0097】
そこで、取出制御部72は、図17に示すように、回転軸17及び端部検出器27の位置関係(回転半径R)と、回転角検出器25により検出されたアーム18a、18bの回転角度とに基づいて、予め設定された基準位置(例えば、図17で二点鎖線で示す位置)に対するシートWの端部の位置の変化量を算出する。
【0098】
具体的に、取出制御部72は、アーム18a、18bの基準位置と現在位置との角度差θ1及び回転半径Rに基づいて移動距離D1を算出する。また、取出制御部72は、アーム18a、18bの基準位置から現在位置への移動方向のX方向に対する角度差θ2と移動距離D1とに基づいてX方向の変化量ΔX及びZ方向の変化量ΔZを算出する。
【0099】
また、取出制御部72は、予め設定されたタイミングで吸引用弁26を開放することにより吸着ローラ21を用いてシートWを原反ロールR1、R2から引き離す。
【0100】
ロボット制御部75は、原反ロールR1、R2の一方からシートWが繰り出されている状況においてロボット本体47が待機位置に移動する一方、シートWの接ぎ作業が必要な状況においてロボット本体47が作業位置に移動するように、待機位置検出器49a及び作業位置検出器49bの検出結果に基づいて移動用モータ52を制御する。
【0101】
また、ロボット制御部75は、取出制御部72により算出されたシート取出位置に向けてハンド60が移動するように第1〜第5モータ61〜65を制御し、図18に示すように吸着ローラ21に吸着されたシートWをハンド60で把持するように把持用弁60cを制御する。
【0102】
さらに、ロボット制御部75は、図19に示すように、シートWを把持したハンド60が支持ローラ6bの上、右、及び下を通って接ぎ機構28Bに至る経路で移動するように第1〜第5モータ61〜65の駆動を制御する。
【0103】
また、ロボット制御部75は、図20図22に示すように、ハンド60がシートWの端部を吸着保持部材33の吸着面33dに載せ、ハンド60がシートWの端部の保持を解除し、さらにハンド60が吸着面33dに載せられたシートWの端部を吸着面33dに沿って撫でるように、第1〜第5モータ61〜65及び把持用弁60cを制御する。
【0104】
ここで、ロボット制御部75は、図21及び図22に示すように、シートWの先端部が吸着面33dの縁部を超えて当該吸着面33dの外側に配置されるようにハンド60がシートWの端部を吸着面33dに載せ、ハンド60がシートWの端部の保持を解除し、さらにシートWの先端部が被押え面33eに沿って屈曲するようにハンド60がシートWの先端部を被押え面33eに沿って押し込むように、第1〜第5モータ61〜65及び把持用弁60cを制御する。
【0105】
接ぎ制御部74は、図27に示すように、原反ロールR1、R2のうちの一方のシートWの繰出期間中には接ぎ機構28A、28Bが繰出位置に配置されるように回転用弁30A、30Bを制御する。一方、接ぎ制御部74は、接ぎ作業が必要となった場合には、図19に示すように待機側原反ロールR2のシートWの端部を装着するために接ぎ機構28Bが装着位置に配置されるように回転用弁30Bを制御するとともに、吸着面33dにシートWが吸着可能となるように吸引用弁43を開放する。
【0106】
また、接ぎ制御部74は、図22に示すようにハンド60により被押え面33eに沿ってシートWの先端部が屈曲された後、図23に示すようにシートWの先端部が被押え面33eと押え部材34との間で挟まれるようにシート押え用弁42を制御する。詳しくは後述するが、この状態において、吸着面33d上のシートWの端部にテープTが張り付けられる。また、接ぎ制御部74は、少なくとも接ぎ機構28Bが装着位置から繰出位置まで移動する期間中、シートWの先端部の押えを継続する。
【0107】
さらに、接ぎ制御部74は、図24に示すように接ぎ機構28Bが装着位置から繰出位置まで移動するように回転用弁30Bを制御するとともに、図25に示すように接ぎ機構28Aの吸着保持部材33が接ぎ機構28Bの吸着保持部材33に近づくように押込用弁40を制御する。これにより、テープTを介して繰出側原反ロールR1のシートWと待機側原反ロールR2のシートWとが接がれる。
【0108】
この状態で、接ぎ制御部74は、図26に示すように接ぎ機構28Aの切断刃35及び押え刃36が接ぎ機構28B側に突出するようにシート切断用弁41を制御する。これにより、繰出側原反ロールR1のシートWが切断される。
【0109】
貼り制御部73は、図23に示すように、接ぎ機構28Bが装着位置に回転した状態において、図12に示すようにテープ取付機構46がテープ取付位置となり、かつ、接ぎ機構28Bが繰出位置に回転する前の段階でテープ取付機構46が退避位置となるように移動モータ66cを制御する。
【0110】
また、貼り制御部73は、テープ取付機構46がテープ取付位置まで移動する過程においてテープTの剥離紙を巻き取るとともに押し具46dをシートW側に押し付けることにより、当該テープTの粘着層がシートWに取り付けられるように巻取モータ46f及び押し具用弁46gを制御する。
【0111】
以下、図15及び図16を参照して、コントローラ70により実行される処理を説明する。
【0112】
コントローラ70による処理は、図27に示すように両接ぎ機構28A、28Bが繰出位置に配置されている状態(図27では、原反ロールR2のシートWが繰り出されているが現段階では原反ロールR1が繰り出されている状態)において開始される。つまり、繰出側原反ロールR1からシートWが繰り出されている繰出工程が実行されている状態でコントローラ70による処理が開始された場合を説明する。
【0113】
まず、シート残量検出器16による検出結果に基づいて繰出側原反ロールR1のシート残量が予め設定された残量未満であるか否かが判定される(ステップS1)。
【0114】
ここで、シート残量が予め設定された残量未満であると判定されると、図19に示すように接ぎ機構28Bを装着位置に回転させるとともに吸着保持部材33における吸引を開始する(ステップS2)。
【0115】
次いで、吸着ローラ21が待機側原反ロールR2に近づくように両アーム18a、18bを回転させるとともに吸着ローラ21の吸引を開始する(ステップS3)。これにより、吸着ローラ21は、待機側原反ロールR2の回転駆動に応じて当該待機側原反ロールR2に転がり接触可能な状態となる。
【0116】
この状態で、待機側原反ロールR2を図19において反時計回りに回転させる(ステップS4)。つまり、ステップS1及びステップS4では、繰出側原反ロールR1のシートWの残量が予め設定された残量未満となった場合に待機側原反ロールR2を回転駆動する回転駆動工程が行われる。
【0117】
次いで、吸着ローラ21に吸着されたシートWの端部が端部検出器27により検出されたか否かが判定される(ステップS5:検出工程)。
【0118】
シートWの端部が検出されていないと判定されると、ステップS4による待機側原反ロールR2の駆動が継続される。
【0119】
一方、図17に示すようにシートWの端部が検出されたと判定されると、待機側原反ロールR2の駆動を停止するとともに(ステップS6)、図1の二点鎖線で示すようにロボット本体47を作業位置に移動させるとともにハンド60を端部取出部7Bの近傍位置(準備位置)に配置する(ステップS7)。
【0120】
次いで、図17に示すように、端部検出器27により検出されたシートWの端部の位置を演算し(ステップS8)、図18に示すように吸着ローラ21に保持されたシートWの端部をハンド60によって把持する(ステップS9)。
【0121】
この状態で、図19及び図20に示すように、ハンド60によって把持されたシートWが支持ローラ6bを経由して接ぎ機構28Bの吸着保持部材33の吸着面33dに導かれるように、予め設定された経路に沿ってハンド60を移動させる(ステップS10)。
【0122】
つまり、ステップS1〜S10においては、繰出側原反ロールR1のシートWの残量が予め設定された残量未満となった場合、作業ロボット3を用いて待機側原反ロールR2のシートWの端部を取り出すとともに当該シートWの端部を吸着保持部材33に搬送する搬送工程が行われる。
【0123】
ステップS10を実行することにより、図21に示すようにシートWの端部が吸着面33dに吸着されると、ハンド60を開放するとともに当該ハンド60により吸着面33dに載せられたシートWの端部を吸着面33dに沿って撫でることにより当該シートWを均す(ステップS11)。これにより、吸着面33dに吸着されたシートWが弛んでいる場合であっても、後述するようにテープTを貼り付ける前の段階で、シートWの弛みを緩和することができる。
【0124】
次いで、図22に示すように、ハンド60によりシートWの先端部を被押え面33eに沿って折り込むとともに(ステップS12)、ハンド60を接ぎ機構28Bから離間させてロボット本体47を図1の実線で示す待機位置に移動させる(ステップS13)。
【0125】
この状態で、押え部材34を回転させることにより押え部材34と被押え面33eとの間でシートWの先端部を押える(ステップS14)。
【0126】
次いで、吸着ローラ21が待機側原反ロールR2から離れるように両アーム18a、18bを回転させるとともに(ステップS15)、待機側原反ロールR2を逆転(図19の時計回り)に回転させることにより吸着面33d上のシートWの弛みを除去する(ステップS16)。
【0127】
この状態で、テープ取付機構46を図9に示す退避位置から予め設定された位置まで前進させ(ステップS17)、押し具46dを下げるとともにテープ取付機構46を前進させる(ステップS18)ことにより、図23に示すようにシートWにテープTの粘着層を取り付ける。
【0128】
次いで、押し具46dを上げるとともにテープ取付機構46を退避位置に後退させ(ステップS19)、図24に示すように接ぎ機構28Bを繰出位置に回転させる(ステップS20)。
【0129】
この状態で、繰出側原反ロールR1の回転を停止させる(ステップS21)。このステップS21では、繰出側原反ロールR1の回転停止と同時に、図1に示すシート溜め機構6hの上部ローラ群6Aと下部ローラ群6Bとを近づける。これにより、繰出側原反ロールR1の回転停止後においても、シート溜め機構6hにおけるシートWの経路が短くなる分だけシートWの繰出を継続することができる。
【0130】
次いで、図24に示すように押え部材34によるシートWの押えを解除するとともに(ステップS22)、図25に示すように接ぎ機構28Aの吸着保持部材33を接ぎ機構28Bの吸着保持部材33側に突出させる(ステップS23)。これにより、繰出側原反ロールR1のシートWの途中部に対して待機側原反ロールR2のシートWの端部が接がれる。
【0131】
つまり、ステップS12〜S23では、シートWの端部が吸着保持部材33に対して移動するのを規制しつつ、吸着保持部材33の吸着面33dを繰出側原反ロールR1のシートWの途中部に向けて移動させることにより、繰出側原反ロールR1のシートWの途中部に対して待機側原反ロールR2のシートWの端部を接ぐ接ぎ工程が行われる。
【0132】
この状態で、図26に示すように接ぎ機構28Aの切断刃35及び押え刃36を接ぎ機構28B側に突出させることにより(ステップS24)、繰出側原反ロールR1のシートWを切断する。
【0133】
これにより、シートWに与えられた張力に応じて、図27に示すように待機側原反ロールR2からシートWが繰り出される(待機側原反ロールR2が次の繰出側原反ロールとなる)。その後、ロール保持部5Aに対して新たな待機側原反ロールR1を取り付けることにより、繰出側原反ロールR2のシートWの残量が少なくなったときに当該シートWに待機側原反ロールR1のシートWの端部を継ぐことができる。
【0134】
以上説明したように、吸着面33dが繰出側原反ロールR1のシートWの途中部に向けて移動する期間中、吸着保持部材33の規制機構(対向板31a、31b、軸39a、39b、シート押え用シリンダ39、シート押え用弁42、及び押え部材34)によってシートWの端部が吸着保持部材33に対して移動するのを規制することができる。
【0135】
したがって、吸着保持部材33の移動時に当該吸着保持部材33に対するシートWの保持位置が変化するのを防止することができる。
【0136】
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0137】
規制状態においてシートWの先端部のみを拘束するため、シートWに与えられる張力を利用してシートWに形成された弛みを引き伸ばすことができる。
【0138】
吸着面33d上でシートWの端部に弛みが形成されている場合に、ハンド60がシートWを撫でるように移動することにより、シートWに形成された弛みを均すことができる。
【0139】
吸着面33dの向く方向と逆向きに延びる被押え面33eと押え部材34との間でシートWの先端部を押えることができるので、吸着面33dを繰出側原反ロールR1に近づける過程において規制機構(押え部材34)が邪魔になることなくシートWの移動を規制することができる。
【0140】
さらに、このようなシートWの移動の規制をハンド60及び押え部材34によって自動的に行うことができる。
【0141】
テープ取付機構46を図12に示すテープ取付位置に移動させることによって吸着面33dに吸着されたシートWの端部にテープTを取り付けることができるとともに、テープ取付機構46を図9に示す退避位置に移動させることによって吸着保持部材33を移動させることができる。
【0142】
したがって、吸着保持部材33との干渉を避けつつシートWの端部にテープTを取り付けることができる。
【0143】
<第2実施形態>
第1実施形態では、原反ロールR1のシートWと原反ロールR2のシートWとを継ぐための1つの接ぎ部8を有しているが、接ぎ部8は複数個設けられていてもよい。
【0144】
具体的に、図28に示す第2実施形態に係るシート繰出システム1は、上述したシート繰出装置2を2つ備えている。具体的に、シート繰出システム1は、上述した原反ロールR1、R2とは別の原反ロールR1、R2(別繰出側原反ロール及び別待機側原反ロール)のシートWの接ぎ作業を行うことができる接ぎ部8(別接ぎ部)をさらに備えている。したがって、2種類のシートWを連続して繰り出すことができる。
【0145】
一方、第2実施形態に係るシート繰出システム1は、4つのシート取出位置(端部取出部7A、7B)の各々から両接ぎ部8にシートWの端部を搬送可能な1つの作業ロボット3を有している。
【0146】
具体的に、第2実施形態に係る作業ロボット3は、ハンド60の移動範囲内に1つの接ぎ部8、1つの端部取出部7A及び1つの端部取出部7Bが配置される2つの作業位置(図28の二点鎖線で示す位置)と、作業位置と比較してロボット本体47が遠ざかる待機位置(図28の実線で示す位置)との間でロボット本体47を支持する移動機構48を有する。
【0147】
これにより、2つの接ぎ部8における接ぎ作業を1台の作業ロボット3によって実行することができる。
【0148】
なお、2つの接ぎ部8が設けられている例を説明したが、複数の接ぎ部8が設けられている場合であっても1台の作業ロボット3により接ぎ作業を行うこともできる。
【0149】
また、第2実施形態に係るシート繰出システム1は、吸着ローラ21を回転駆動するローラ駆動モータ(吸着ローラ駆動部)76を備えている。そのため、ハンド60がシートWを保持するためのシート保持位置を常に一定にすることができる。
【0150】
例えば、図17の実線で示す吸着ローラ21(シートWの端部)の位置がシート保持位置として予め設定されている場合について説明する。図17の二点鎖線で示す位置においてシートWの端部が検出された場合、回転角検出器25の検出結果に基づいて両アーム18a、18bを回転することにより吸着ローラ21をシート保持位置に回転することができる。
【0151】
しかし、両アーム18a、18bを回転させると、シートWに生じる張力によって吸着ローラ21が回転して、シートWの端部の位置が変化してしまう。
【0152】
そこで、ローラ駆動モータ76により吸着ローラ21を回転することにより、シートWの端部の位置が再び端部検出器27により検出される位置、つまり、シート保持位置に戻すことができる。
【0153】
なお、1つの接ぎ部8に対して2つの原反ロールR1、R2が保持されている例について説明したが、1つの接ぎ部8に対して複数の原反ロールが保持されていてもよい。
【0154】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0155】
すなわち、本発明は、シートを連続的に繰り出すためのシート繰出システムであって、シートがそれぞれ巻き付けられた複数の原反ロールを前記シートの繰り出しが許容された状態で保持するロール保持部と、前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの繰出側原反ロールから繰り出されているシートの途中部に対し、前記ロール保持部に保持された前記複数の原反ロールのうちの前記繰出側原反ロール以外の待機側原反ロールのシートの端部を接ぐための接ぎ部と、前記待機側原反ロールからシートの端部を取り出すとともに当該シートの端部を前記接ぎ部に搬送する端部搬送装置と、前記接ぎ部の動作を制御するコントローラとを備え、前記接ぎ部は、前記端部搬送装置により搬送された前記待機側原反ロールのシートの端部を吸着可能な吸着面を有する吸着保持部材と、前記待機側原反ロールと前記吸着保持部材との間のシートに張力が与えられるように予め設定された経路に沿って前記吸着保持部材の吸着面を前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動可能な移動機構と、前記張力により前記シートの端部が前記吸着保持部材に対して移動するのを規制する規制状態と前記吸着保持部材に対する前記シートの端部の移動を許容する許容状態との間で切換可能な規制機構とを有し、前記コントローラは、前記吸着面が前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動する期間中、前記規制機構を規制状態に切り換える、シート繰出システムを提供する。
【0156】
本発明によれば、吸着面が繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動する期間中、吸着保持部材の規制機構によってシートの端部が吸着保持部材に対して移動するのを規制することができる。
【0157】
したがって、本発明によれば、吸着保持部材の移動時に当該吸着保持部材に対するシートの保持位置が変化するのを防止することができる。
【0158】
ここで、前記規制部材は、吸着保持部材に対してシートの端部の全体を拘束してもよい。しかし、この場合、吸着面上でシートの端部に弛み(しわ)が形成されていると、規制部材による拘束によってシートの端部の全体の移動が規制されるため、シートに形成された弛みをとることができない。シートの端部上に粘着材を取り付ける場合、シートの弛みは粘着材を取り付けることの障害となる。
【0159】
そこで、前記シート繰出システムにおいて、前記規制機構は、前記規制状態において前記吸着保持部材に対して前記シートの先端部のみを拘束することが好ましい。
【0160】
この態様によれば、規制状態においてシートの先端部のみを拘束するため、シートに与えられる張力を利用してシートに形成された弛みを引き伸ばすことができる。
【0161】
前記シート繰出システムにおいて、前記端部搬送装置は、前記待機側原反ロールのシートの端部を保持するシート保持部と、前記シート保持部を駆動する保持部駆動機構とを有し、前記コントローラは、前記シート保持部が前記シートの端部を前記吸着保持部材の吸着面に載せ、前記シート保持部が前記シートの端部の保持を解除し、さらに前記シート保持部が前記吸着面に載せられた前記シートの端部を前記吸着面に沿って撫でるように前記保持部駆動機構を制御することが好ましい。
【0162】
この態様によれば、吸着面上でシートの端部に弛みが形成されている場合に、シート保持部がシートを撫でるように移動することにより、シートに形成された弛みを均すことができる。
【0163】
ここで、規制機構によるシートの規制は、例えば、吸着面との間でシートの端部を挟み込むことによって行うことも可能であるが、この場合、吸着面を繰出側原反ロールのシートの途中部に近づける過程で規制機構を退避させることが必要になる。
【0164】
そこで、前記シート繰出システムにおいて、前記吸着保持部材は、前記吸着面の縁部から当該吸着面が向く方向と逆向きに延びる被押え面を有し、前記規制機構は、前記被押え面との間で前記シートの先端部を挟むための押え面を有する押え部材と、前記押え面が前記被押え面に近づく及び遠ざかるように前記押え部材を駆動する押え駆動機構とを備え、前記コントローラは、前記シートの先端部が前記吸着面の縁部を超えて当該吸着面の外側に配置されるように前記シート保持部が前記シートの端部を前記吸着面に載せ、前記シート保持部が前記シートの端部の保持を解除し、さらに前記シート保持部が前記シートの先端部が前記被押え面に沿って屈曲するように前記シートの先端部を被押え面に沿って押し込むように前記保持部駆動機構を制御するとともに、被押え面に沿って押し込まれたシートの先端部が被押え面と押え面との間に挟まれるように前記押え駆動機構を制御することが好ましい。
【0165】
この態様によれば、吸着面の向く方向と逆向きに延びる被押え面と押え部材との間でシートの先端部を押えることができるので、吸着面を繰出側原反ロールに近づける過程において規制機構(押え部材)が邪魔になることなくシートの移動を規制することができる。
【0166】
さらに、このようなシートの移動の規制をシート保持部及び押え部材によって自動的に行うことができる。
【0167】
前記シート繰出システムは、前記繰出側原反ロールのシートの途中部に前記待機側原反ロールのシートの端部を貼り付けるための粘着材を前記吸着面に吸着された前記シートの端部に取り付けるための粘着材取付機構と、前記粘着材を前記シートの端部に取り付けるために前記粘着材取付機構が前記吸着面と対向する粘着材取付位置と前記吸着保持部材の移動を許容するように前記粘着材取付機構が前記吸着保持部材の移動経路から退避した退避位置との間で移動可能となるように前記粘着材取付機構を支持する移動支持機構とを備えていることが好ましい。
【0168】
この態様によれば、粘着材取付機構を粘着材取付位置に移動させることによって吸着面に吸着されたシートの端部に粘着材を取り付けることができるとともに、粘着材取付機構を退避位置に移動させることによって吸着保持部材を移動させることができる。
【0169】
したがって、吸着保持部材との干渉を避けつつシートの端部に粘着材を取り付けることができる。
【0170】
また、本発明は、前記シート繰出システムを用いたシート繰出方法であって、前記繰出側原反ロールからシートを繰り出す繰出工程と、前記繰出工程により前記繰出側原反ロールのシート残量が予め設定された残量未満となった場合に、前記端部搬送装置を用いて前記待機側原反ロールのシートの端部を取り出すとともに当該シートの端部を前記接ぎ部の吸着保持部材に搬送する搬送工程と、前記規制機構を用いて前記シートの端部が吸着保持部材に対して移動するのを規制しつつ、前記移動機構を用いて前記吸着保持部材の吸着面を前記繰出側原反ロールのシートの途中部に向けて移動させることにより、前記繰出側原反ロールのシートの途中部に対して前記待機側原反ロールのシートの端部を接ぐ接ぎ工程とを含んでいる、シート繰出方法を提供する。
【0171】
本発明によれば、規制機構によってシートの端部が吸着保持部材に対して移動するのを規制することができるため、吸着保持部材の移動時に吸着保持部材に対するシートの保持位置が変化するのを防止することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32