特許第6427192号(P6427192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427192位相変位睡眠障害を処置するためのV1aアンタゴニスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427192
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】位相変位睡眠障害を処置するためのV1aアンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5517 20060101AFI20181112BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   A61K31/5517
   A61P25/20
   A61P25/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】13
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-535416(P2016-535416)
(86)(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公表番号】特表2016-528266(P2016-528266A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014067264
(87)【国際公開番号】WO2015024819
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年8月4日
(31)【優先権主張番号】13180836.2
(32)【優先日】2013年8月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シュニダー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】グルントショーバー,クリストフ
【審査官】 参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−510441(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/176220(WO,A1)
【文献】 特表2004−517872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/5517
A61P 25/00
A61P 25/20
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
I:
【化1】

[式中、
は、アリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はAから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されている)であり、
は、
H、
1−12−アルキル(非置換であるか又は1つ以上のOH、ハロ、シアノ又はC1−12−アルコキシで置換されている)
−(CH−R(式中、Rは、フェニル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、各々非置換であるか又はAから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されている)、
−(CHNRii
−C(O)−C1−12−アルキル(式中、C1−12−アルキルは、非置換であるか又は1つ以上のOH、ハロ、シアノ又はC1−12−アルコキシで置換されている)、
−C(O)(CHOC(O)−C1−12−アルキル、
−C(O)(CHNRii
−C(O)O−C1−12−アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか又は1つ以上のOH、ハロ、シアノ又はC1−12−アルコキシで置換されている)、
−S(O)−C1−12−アルキル、又は
−S(O)NRiiであり、
及びRiiは、各々独立して、H、C1−12−アルキルであるか、又はこれらが結合している窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する3員〜7員ヘテロシクロアルキルを形成し、そのヘテロシクロアルキルは、非置換であるか又はBから独立に選択される1つ以上の置換基によって置換されており、
qは、1、2、3又は4であり、
rは、2、3又は4であり
Aは、ハロ、シアノ、OH、C1−7−アルキル、ハロ−C1−7−アルキル、C1−7−アルコキシ、ハロ−C1−7−アルコキシ、又はヒドロキシ−C1−7−アルキルであり、
Bは、オキソ、ハロ、OH、C1−7−アルキル又はC1−7−アルコキシであり、
は、Cl又はFである]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩
を含有する、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬組成物
【請求項2】
が、
単環式又は二環式の芳香族環からなる一価の環状芳香族炭化水素部分、或いは
N、O又はSから選択される1〜4個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、一価の5員若しくは6員芳香族単環式又は9員若しくは10員芳香族二環式環であり、
各々非置換であるか又はAから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されており;そして
Aが、ハロ、シアノ、OH、C1−7−アルキル、ハロ−C1−7−アルキル、C1−7−アルコキシ、ハロ−C1−7−アルコキシ、又はヒドロキシ−C1−7−アルキルである、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
が単環式芳香族環からなる一価の環状芳香族炭化水素部分である、請求項1又は2に記載の医薬組成物
【請求項4】
がピリジニルである、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項5】
が、
・H、
・C1−12−アルキル(非置換であるか又は1つ以上のOHで置換されている)、
・−(CH−R(式中、Rは、フェニル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、そして、qは、1、2、3又は4、好ましくは1である)、
・−C(O)−C1−12−アルキル、
・−C(O)(CHNRii(式中、R及びRiiは、各々独立して、H又はC1−12−アルキル、好ましくはC1−12−アルキルであり、そして、qは、1、2、3又は4、好ましくは1である)、
・−C(O)O−C1−12−アルキル、
・−S(O)−C1−12−アルキル、又は
・−S(O)NRii(式中、R及びRiiは、各々独立して、H又はC1−12−アルキル、好ましくはC1−12−アルキルである)
である、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項6】
がメチルである、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項7】
がClである、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項8】
式Iで表される化合物が、以下からなる群より選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−1−[8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−イル]−エタノン、
trans−8−クロロ−5−メタンスルホニル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−2−[8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−イル]−エタノール、
trans−8−クロロ−5−イソプロピル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−スルホン酸ジメチルアミド、
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5−ピリジン−2−イルメチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−1−[8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−イル]−2−ジメチルアミノ−エタノン、
trans−8−フルオロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−フルオロ−5−メチル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
cis−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−5−メチル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−シアノ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−4−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−クロロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−クロロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−メトキシ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−メトキシ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−メトキシ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−3−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル、
trans−8−クロロ−1−(4−m−トリルオキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−(4−m−トリルオキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−m−トリルオキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−1−[4−(3−tert−ブチル−フェノキシ)−シクロヘキシル]−8−クロロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−シアノ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−2−[4−(8−クロロ−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル塩酸塩、
trans−2−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル、
trans−8−クロロ−1−(4−o−トリルオキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−o−トリルオキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3,5−ジフルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3,5−ジフルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ナフタレン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ナフタレン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(6−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(6−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリミジン−4−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリミジン−4−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリダジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリダジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリダジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
cis−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−(2,2−ジフルオロ−エチル)−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−(2−フルオロ−エチル)−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−エチル−1−[4−(3−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−エチル−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−エチル−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、及び
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン。
【請求項9】
式Iで表される化合物が以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物:
【化2】
【請求項10】
位相変位睡眠障害の治療のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
位相変位睡眠障害の予防のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
位相変位睡眠障害が時差ぼけである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬の調製のための、請求項のいずれか一項に定義される式Iで表される化合物の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概要
本発明は、特定の化合物及びそれらを含有する医薬組成物の新規医学的利用に関する。本発明は、位相変位睡眠障害、特に時差ぼけを処置するためのV1aアンタゴニストである化合物に関する。別の態様において、本発明は、位相変位睡眠障害の処置における使用のための、本発明に係る化合物と薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物に関する。
【0002】
背景技術
視交叉上核(SCN)は、概日リズムを調節する身体の内因性時計であり、バソプレシンニューロンが豊富であることが知られている(Kalsbeek et al. 2010)。バソプレシンニューロンは、24時間の概日リズムと合わせてバソプレシンを産生及び放出する(Schwartz et al. 1983)。概日リズムに対するバソプレシンの主な調節作用は、先行技術によっては実証されることができなかった。点突然変異が原因でバソプレシンを自然に欠失しているラット系統であるブラットルボローラット(Brattleboro rat)は、概日リズムに明確な欠陥を有さない(Groblewski et al. 1981)。ハムスターSCNへのバソプレシンの直接注射は、概日位相変位に対する効果を有さなかった(Albers et al. 1984)。対照的に、バソプレシンは、概日時計をより繊細に調節するのかもしれない。バソプレシン欠損ブラットルボローラットは、新たな明暗リズムと食餌提示の両方に対して応答する正常なラットとは対照的に、明暗周期の6時間の位相前進に応答しないが、食餌提示に対しては同期したままである(Murphy et al. 1998)
【0003】
より具体的には、V1aノックアウト(KO)マウスを研究することによって、バソプレシンV1a受容体は、概日行動に対する調節的役割を有することが示された。V1a KOマウスは、正常な12時間−12時間の明暗サイクル下では正常に行動するが、光の不在(暗−暗条件)下では、これらのマウスは、活動期の拡大を特徴とする概日リズムの段階的な喪失を示す。それにもかかわらず、これらのマウスは、暗位相の間の短時間の光曝露によって誘導される位相変位に依然として正常に応答する(Li et al. 2009)
【0004】
本発明者らは、驚くべきことに、6時間の位相変位(6時間の明位相の前進)の前の正常なマウスへの単回用量の低分子V1aアンタゴニストの投与がビヒクル処置マウスよりも新たな明暗サイクルに対して顕著に速い再同調を誘導することを見いだした。より具体的には、選択的V1aアンタゴニスト。
【0005】
この知見は、位相変位後の再同調を加速させるためのメラトニンによる処置は、位相前進後に3日間にわたって毎日投与した後に初めて効果的であるという先行技術の教示(Dubocovich et al. 2005)とは対照的である。
【0006】
睡眠不足は、不安、鬱病、過敏症、社会的相互関係障害及び精神運動協調障害などを含む、多数の健康障害を導き得る。
【0007】
WO 2013/176220は、バソプレシン受容体V1a及びV1bを阻害することができる阻害剤を含む、概日リズム調節剤を記載している。
【0008】
V1aアンタゴニストは、先行技術、例えば、EP 0382185、EP 0526348、WO 94/01113、WO 94/18975、WO 95/06035、WO 96/22292、WO 96/22293、WO 97/49707、WO 97/49708、WO 98/24430、WO 99/37637、WO 99/44613、WO 99/55340、WO 99/65525、WO 00/029405、WO 00/066117、WO 01/058880、WO 01/066109、WO 02/002531、WO 02/044179、WO 02/055514、WO 03/031407、WO 03/037901、WO 03/042181、WO 04/074291、WO 04/108138、WO 2005/039565、WO 2005/063754、WO 2006/020491、WO 2006/021213、WO 2006/051851、WO 2006/058705、WO 2006/102283、WO 2006/102308、WO 2007/006688、WO 2007/009906、WO 2007/014851、WO 2007/039438、WO 2007/077122、WO 2007/109615、WO 2008/068159、WO 2008/068183、WO 2008/068184、WO 2008/068185、WO 2008/077810、WO 2008/077811、WO 2008/080842、WO 2008/080844、WO 2008/084005、WO 2010/057795、WO 2010/060836、WO 2011/120877、WO 2011/128265、WO 2011/131596、WO 2011/134877、WO 2011/141396、WO 2012/003436、WO 2012/042534、WO 2013/045373、WO 2013/050334などに記載されている。
【0009】
発明の詳細な説明
本記載において使用される一般用語の以下の定義は、問題となっている用語が単独で現れるか又は他の基との組み合わせで現れるかにかかわらず適用される。
【0010】
用語「位相変位睡眠障害」は、概日リズム、すなわち、生命体(例えば、ヒト)によって生成されるおよそ24時間サイクルの障害として分類される状態を概括したものである。
【0011】
位相変位睡眠障害は、限定されないが、時差ぼけ又は仕事、社会的責任若しくは病気が原因の睡眠スケジュールの変化のような一過性の障害、並びに睡眠相後退症候群(DSPS)、睡眠相後退型(DSPT)、睡眠相前進症候群(ASPS)及び不規則な睡眠覚醒サイクルのような慢性障害を含む。
【0012】
用語「V1aアンタゴニスト」は、V1aバソプレシン受容体サブタイプのアンタゴニストを指す。例は、OPC−21268、OPC−31260、OPC−41061、VPA−985、SR−49059、SR−121463、VP−343、FR−161282、CI−1025、SRX−251、SRX−246、JNJ−17158063、FE−202158、VT−913、LY307174、Org−52186、PF−184563、YM−218、1−({(2R,3S)−5−クロロ−3−(2−クロロフェニル)−1−[(3,4−ジメトキシフェニル)スルホニル]−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−イル}カルボニル)−L−プロリンアミド、[6−クロロ−1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]インドール−3−イル]−スピロ[1H−イソベンゾフラン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル−メタノン、8−クロロ−5−メチル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンなどを含む。用語「選択的V1aアンタゴニスト」は、V1b受容体サブタイプよりもV1aに選択性であることを指す。例は、trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンである。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、単独で又は他の基との組み合わせで、直鎖又は分岐炭素鎖を含む、飽和の、すなわち脂肪族の炭化水素基を示す。さらに明記されていなければ、「アルキル」基は、「C1−12−アルキル」のような1〜12個の炭素原子を有する基を示す。「C1−4−アルキル」は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、そして、「C1−7−アルキル」は、1〜7個の炭素原子を有するアルキル基を示す。「アルキル」についての例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどである。好ましいものは、メチル及びi−プロピルである。
【0014】
用語「アルコキシ」は、単独で又は他の基との組み合わせで、基−O−R’(式中、R’は、上に定義されたようなアルキルである)を示す。「C1−12−アルコキシ」は、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基を示し、「C1−4−アルコキシ」は、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基を示し、そして、「C1−7−アルコキシ」は、1〜7個の炭素原子を有するアルコキシ基を示す。「アルコキシ」についての例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどである。好ましいものは、メトキシである。
【0015】
用語「芳香族」は、ヒュッケル則に従って言えば、環中の電子セクステットの存在を意味する。
【0016】
用語「シアノ」は、基−CNを示す。
【0017】
用語「ヒドロキシ」は、基−OHを示す。
【0018】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、ヨード、フルオロ及びブロモを示す。好ましいものは、クロロ及びフルオロである。
【0019】
用語「ハロ−C1−n−アルキル」及び「C1−n−ハロアルキル」は、単独で又は他の基との組み合わせで、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子、好ましくはフルオロ又はクロロ、最も好ましくはフルオロに置き換わっている、本明細書に定義されるような1〜n個の炭素原子を有する上で定義されたようなC1−n−アルキル基を示す。ハロ−C1−n−アルキルの例は、限定されないが、1つ以上のCl、F、Br又はI原子、特に、1、2又は3個のフルオロ又はクロロによって置換されている、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はn−ヘキシル、並びに以下の本明細書の実施例に具体的に例示される基を含む。中でも、好ましいハロ−C1−n−アルキル基には、ジフルオロ−又はトリフルオロ−メチル又は−エチル並びに−CF、−CH(CH)CHCF、−CH(CH)CHFがある。
【0020】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、単独で又は他の基との組み合わせで、本明細書に定義されるように、N、O又はSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する一価の3〜7員又は4〜7員飽和環を指す。用語「3員〜7員ヘテロシクロアルキル」は、単独で又は他の基との組み合わせで、本明細書に定義されるように、N、O又はSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する一価の3〜7員環を指す。用語「4〜7員ヘテロシクロアルキル」は、単独で又は他の基との組み合わせで、N、O又はSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和環を指す。ヘテロシクロアルキル(heterocycloclakyl)部分についての例は、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル又はピペラジニルである。好ましいヘテロシクロアルキルは、オキセタニル及びテトラヒドロフラニルである。ヘテロシクロアルキルは、本明細書に記載されるように場合により置換されている。
【0021】
用語「ヘテロアリール」は、単独で又は他の基との組み合わせで、N、O又はSから選択される1又は2個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、一価の芳香族5員又は6員単環式環(「5員又は6員ヘテロアリール」)を指す。6員ヘテロアリールが好ましい。ヘテロアリール部分についての例は、限定されないが、ピリジニル、ピリミジニル又はピラジニルを含む。好ましいものは、ピリジニルである。
【0022】
用語「アリール」は、単独で又は他の基との組み合わせで、単環式又は二環式の芳香族環からなる一価の環状芳香族炭化水素部分を示す。特定のアリールは、フェニル又はナフチルである。アリールは、本明細書に記載されるように非置換であっても置換されていてもよい。
【0023】
用語「シクロアルキル」及び「C3−7−シクロアルキル」は、単独で又は他の基との組み合わせで、3〜7員炭素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを指す。
【0024】
用語「オキソ」は、ヘテロシクロアルキル上の置換基について言及する場合、酸素原子がヘテロシクロアルキル環に連結していることを意味する。それによって、「オキソ」は、炭素原子上の2個の水素原子と置き換わっているか、あるいは、硫黄が、酸化型の形態で存在する(すなわち、基−SOのように1又は2個の酸素を有する)ように、単に硫黄に連結されているかのいずれであり得る。
【0025】
置換基の数を指す場合、用語「1つ以上」は、1個の置換基から可能な最大数の置換基、すなわち、置換基による1個の水素の置換から全ての水素の置換までを意味する。それによって、1、2又は3個の置換基が好ましい。さらにより好ましいものは、1若しくは2個の置換基又は1個の置換基である。
【0026】
特に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似の又は等価な方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。
【0027】
用語「薬学的に許容し得る担体」及び「薬学的に許容し得る補助物質」は、製剤の他の成分と適合可能な希釈剤又は賦形剤などの担体及び補助物質を指す。そのような製剤は、薬学的に許容し得る形態の製剤である。
【0028】
用語「プロドラッグ」は、その薬理作用又は治療作用を発揮するために体内で薬物に化学変換される必要がある、薬物の構造誘導体を指す(Patrick10又はGanellin et al.11を参照されたい)。
【0029】
用語「医薬組成物」は、特定の成分を所定の量又は割合で含む生成物、さらには特定の成分を特定の量で混合する結果として直接又は間接的に生ずる任意の生成物を包含する。特に、これは、1つ以上の活性成分と不活性成分を含むオプションの担体とを含む生成物、さらには任意の2つ以上の成分の混合、錯体形成若しくは凝集の結果として、あるいは、1つ以上の成分の解離の結果として、あるいは、1つ以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用の結果として、直接若しくは間接的に生ずる任意の生成物を包含する。
【0030】
「治療有効量」は、疾患状態を処置するために被験体に投与される場合、疾患状態についてそのような処置を行うために十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置されている疾患状態、処置される疾患の重篤度、被検体の年齢及び相対的な健康状態、投与の経路及び形態、診察にあたる医師又は獣医の判断、並びに他の要因に応じて変化する。
【0031】
用語「本明細書に定義されるように」及び「本明細書に記載されるように」は、変数について言及する場合、その変数の広い定義、並びに存在するならば、特定の定義、より特定の定義及び最も特定の定義を、参照によって組み込む。
【0032】
用語「処理する」、「接触させる」及び「反応させる」は、化学反応について言及する場合、2つ以上の試薬を、適切な条件下で加えるか又は混合して、表示及び/又は目的の生成物を生成することを意味する。表示及び/又は目的の生成物を生成する反応が、最初に加えられた2つの試薬を組み合わせた直接の結果であるとは限らないこと、すなわち混合物中に生成された1つ以上の中間体が存在し、最終的にそれが表示及び/又は目的の生成物の形成につながるのでもよいことを理解すべきである。処置は、予防的処置並びに症状の急性的な緩和を含む。
【0033】
用語「芳香族」は、文献、特に、IUPACに定義されるような芳香族性の従来の概念を示す12
【0034】
用語「薬学的に許容し得る賦形剤」は、医薬品の製剤化において使用される、治療活性を有さずかつ無毒の任意の成分、例えば、崩壊剤、結合剤、増量剤、溶剤、緩衝剤、等張化剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤又は潤滑剤を示す。
【0035】
酸との対応する薬学的に許容し得る塩は、当業者に公知の標準的な方法によって、例えば、式Iの化合物を好適な溶媒(例えば、ジオキサン又はTHFなど)に溶解し、適量の対応する酸を加えることによって得られ得る。生成物は、通常、濾過又はクロマトグラフィーによって単離され得る。塩基との薬学的に許容し得る塩への式(I)の化合物の変換は、そのような化合物をそのような塩基で処理することによって実施され得る。そのような塩を形成するための1つの可能な方法は、例えば、1/n当量の塩基性塩[例えば、M(OH)(ここで、M=金属又はアンモニウムカチオン、n=水酸化物アニオンの数)など]を好適な溶媒(例えば、エタノール、エタノール−水混合物、テトラヒドロフラン−水混合物)中の化合物の溶液へ加えて、そして、蒸発又は凍結乾燥によって溶媒を除去するものである。
【0036】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0037】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の処置のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0038】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0039】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害(位相変位睡眠障害は、時差ぼけである)の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0040】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが、式I:
【化1】

[式中、
は、アリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はAから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されている)であり、
は、
・H、
・C1−12−アルキル(非置換であるか又は1つ以上のOH、ハロ、シアノ又はC1−12−アルコキシで置換されている)、
・−(CH−R(式中、Rは、フェニル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、各々非置換であるか又はAから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されている)、
・−(CHNRii
・−C(O)−C1−12−アルキル、(式中、C1−12−アルキルは、非置換であるか又は1つ以上のOH、ハロ、シアノ又はC1−12−アルコキシで置換されている)、
・−C(O)(CHOC(O)−C1−12−アルキル、
・−C(O)(CHNRii
・−C(O)O−C1−12−アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか又は1つ以上のOH、ハロ、シアノ又はC1−12−アルコキシで置換されている)、
・−S(O)−C1−12−アルキル、又は
・−S(O)NRii
であり、
及びRiiは、各々独立して、H、C1−12−アルキルであるか、又はこれらが結合している窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する3員〜7員ヘテロシクロアルキルを形成し、そのヘテロシクロアルキルは、非置換であるか又はBから独立に選択される1つ以上の置換基によって置換されており、
qは、1、2、3又は4であり、
rは、2、3又は4であり、
Aは、ハロ、シアノ、OH、C1−7−アルキル、ハロ−C1−7−アルキル、又はC1−7−アルコキシ、ハロ−C1−7−アルコキシ、又はヒドロキシ−C1−7−アルキルであり、
Bは、オキソ、ハロ、OH、C1−7−アルキル又はC1−7−アルコキシであり、
は、Cl又はFである]
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0041】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための選択的V1aアンタゴニストの使用に関する。
【0042】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の処置のための選択的V1aアンタゴニストの使用に関する。
【0043】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の予防のための選択的V1aアンタゴニストの使用に関する。
【0044】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害(位相変位睡眠障害は、時差ぼけである)の治療及び/又は予防のための選択的V1aアンタゴニストの使用に関する。
【0045】
本発明の1つの実施態様は、Rが、単環式又は二環式の芳香族環からなる一価の環状芳香族炭化水素部分、あるいはN、O又はSから選択される1〜4個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、一価の5員若しくは6員芳香族単環式又は9員若しくは10員芳香族二環式環であり、各々非置換であるか又はAから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されており;そして、Aが、ハロ、シアノ、OH、C1−7−アルキル、ハロ−C1−7−アルキル、C1−7−アルコキシ、ハロ−C1−7−アルコキシ又はヒドロキシ−C1−7−アルキルである、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0046】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが、Rが単一芳香族環からなる一価の環状芳香族炭化水素部分である式Iの化合物である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0047】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが、Rがピリジニルである式Iの化合物である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0048】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが、
が、
・H、
・C1−12−アルキル(非置換であるか又は1つ以上のOHで置換されている)、
・−(CH−R(式中、Rは、フェニル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、そして、qは、1、2、3又は4、好ましくは1である)、
・−C(O)−C1−12−アルキル、
・−C(O)(CHNRii(式中、R及びRiiは、各々独立して、H又はC1−12−アルキル、好ましくはC1−12−アルキルであり、そして、qは、1、2、3又は4、好ましくは1である)、
・−C(O)O−C1−12−アルキル、
・−S(O)−C1−12−アルキル、又は
・−S(O)NRii(式中、R及びRiiは、各々独立して、H又はC1−12−アルキル、好ましくはC1−12−アルキルである)
である、式Iの化合物である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0049】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが、Rがメチルである式Iの化合物である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0050】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが、RがClである式Iの化合物である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0051】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが以下からなる群より選択される式Iの化合物である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する:
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−1−[8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−イル]−エタノン、
trans−8−クロロ−5−メタンスルホニル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−2−[8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−イル]−エタノール、
trans−8−クロロ−5−イソプロピル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−スルホン酸ジメチルアミド、
trans−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5−ピリジン−2−イルメチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−1−[8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−イル]−2−ジメチルアミノ−エタノン、
trans−8−フルオロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−フルオロ−5−メチル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
cis−8−クロロ−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−5−メチル−1−(4−フェノキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−シアノ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−4−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル、
trans−8−クロロ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−クロロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−クロロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−メトキシ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−メトキシ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−メトキシ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−3−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル、
trans−8−クロロ−1−(4−m−トリルオキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−(4−m−トリルオキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−m−トリルオキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−1−[4−(3−tert−ブチル−フェノキシ)−シクロヘキシル]−8−クロロ−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(2−シアノ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−2−[4−(8−クロロ−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル塩酸塩、
trans−2−[4−(8−クロロ−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−1−イル)−シクロヘキシルオキシ]−ベンゾニトリル、
trans−8−クロロ−1−(4−o−トリルオキシ−シクロヘキシル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−o−トリルオキシ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3,5−ジフルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(3,5−ジフルオロ−フェノキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ナフタレン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ナフタレン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(6−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−1−[4−(6−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン塩酸塩、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−クロロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリミジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピラジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリミジン−4−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリミジン−4−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(ピリダジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリダジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリダジン−3−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−カルボン酸tert−ブチルエステル、
cis−8−クロロ−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
cis−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(3−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−(2,2−ジフルオロ−エチル)−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−(2−フルオロ−エチル)−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−エチル−1−[4−(3−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−エチル−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、
trans−8−クロロ−5−エチル−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、及び
trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(6−メチル−ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン。
【0052】
本発明の1つの実施態様は、V1aアンタゴニストが以下である、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【化2】
【0053】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の処置を必要とする被検体における位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための方法であって、前記被検体に治療有効量の本明細書に記載されるような式IのV1aアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。
【0054】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の処置を必要とする被検体における位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための方法であって、前記被検体に治療有効量のV1aアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。
【0055】
本発明の1つの実施態様は、薬学的に許容し得る形態のV1aアンタゴニストを含む医薬組成物に関する。
【0056】
本発明の1つの実施態様は、薬学的に許容し得る形態の本明細書に記載されるような式IのV1aアンタゴニストを含む医薬組成物に関する。
【0057】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための薬学的に許容し得る形態の本明細書に記載されるような式IのV1aアンタゴニストを含む医薬組成物に関する。
【0058】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための薬学的に許容し得る形態のV1aアンタゴニストを含む医薬組成物に関する。
【0059】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防における使用のための、本明細書に記載されるような式IのV1aアンタゴニストに関する。
【0060】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防における使用のための、実施例1である本明細書に記載されるような式Iの選択的V1aアンタゴニストに関する。
【0061】
本発明の1つの実施態様は、時差ぼけの治療及び/又は予防における使用のための、実施例1である本明細書に記載されるような式Iの選択的V1aアンタゴニストに関する。
【0062】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防における使用のためのV1aアンタゴニストに関する。
【0063】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬の調製における使用のためのV1aアンタゴニストに関する。
【0064】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬の調製における使用のための、本明細書に記載されるような式IのV1aアンタゴニストに関する。
【0065】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防における使用のための、本明細書に記載されるような式Iの選択的V1aアンタゴニストに関する。
【0066】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防における使用のための選択的V1aアンタゴニストに関する。
【0067】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬の調製における使用のための選択的V1aアンタゴニストに関する。
【0068】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬の調製における使用のための、本明細書に記載されるような式Iの選択的V1aアンタゴニストに関する。
【0069】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬の調製のためのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0070】
本発明の1つの実施態様は、位相変位睡眠障害の治療及び/又は予防のための医薬の調製のための、本明細書に記載されるような式IのV1aアンタゴニストの使用に関する。
【0071】
医薬組成物
式Iの化合物並びにそれらの薬学的に許容し得る塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用され得る。医薬製剤は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与され得る。しかし、投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内にも、又は例えば注射用液剤の剤形で非経口的にも達成され得る。
【0072】
式Iの化合物及びそれらの薬学的に許容し得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造ため、薬学的に不活性な無機又は有機の賦形剤と共に加工され得る。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような賦形剤として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための好適な賦形剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである。
【0073】
液剤及びシロップ剤の製造に好適な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコースなどである。注射用液剤に好適な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤のための好適な賦形剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0074】
さらに、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香料、浸透圧を変動させるための塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。これらはまた、さらに他の治療有用物質を含有することができる。
【0075】
用量は、広い範囲内で変更することができ、当然ながら、各々の特定の症例における個別の要件に適合されるだろう。一般に、経口投与の場合、1人あたり約10〜1000mgの式Iの化合物の1日用量が適切であろうが、必要に応じてその上限を超えてもよい。
【0076】
本発明による組成物の例は、非限定的に、下記のものである:
実施例A
以下の組成の錠剤を通常の方法で製造する:
【表1】

製造手順
1.成分1、2、3及び4を混合し、精製水で顆粒化する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.成分5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0077】
実施例B−1
以下の組成のカプセル剤を製造する:
【表2】

製造手順
1.成分1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.成分4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
式I−IIIの化合物、乳糖及びトウモロコシデンプンを、最初にミキサーで、次に微粉砕機で混合する。混合物をミキサーに戻し、タルクを加え、十分に混合する。混合物を、機械により適切なカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0078】
実施例B−2
以下の組成の軟ゼラチンカプセル剤を製造する:
【表3】
【0079】
【表4】

製造手順
式Iの化合物を、他の成分の加温溶融物に溶解し、そして混合物を適切な大きさの軟ゼラチンカプセルに充填する。充填された軟質ゼラチンカプセルを、通常の手順に従って処理する。
【0080】
実施例C
以下の組成の坐剤を製造する:
【表5】

製造手順
坐薬用錬剤をガラス又はスチール容器中で融解し、十分に混合し、そして45℃に冷却する。その後、微粉砕した式Iの化合物をそれに加え、それが完全に分散するまで撹拌する。混合物を適切な大きさの坐剤成形型に注ぎ、放置して冷却し、次に坐剤を成形型から取り外し、パラフィン紙又は金属箔で個別に包む。
【0081】
実施例D
以下の組成の注射液を製造する:
【表6】

製造手順
式Iの化合物を、ポリエチレングリコール400と注射液用水(一部)の混合物に溶解する。酢酸でpHを5.0に調整する。水の残量を加えて、容量を1.0mlに調整する。溶液を濾過し、適切な過剰量を使用してバイアルに充填し、滅菌する。
【0082】
実施例E
以下の組成のサシェ剤を製造する:
【表7】

製造手順
式Iの化合物を、乳糖、微晶質セルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースと混合し、ポリビニルピロリドンの水中混合物で顆粒化する。顆粒をステアリン酸マグネシウム及び香味添加剤と混合し、サッシェに充填する。
【0083】
実施例
1)材料及び方法
以下に記載する全ての研究において、雄の若い成熟C57BL/6Jマウス(実験開始時に4週齢)を使用した。動物を、自由に食餌及び水を摂取できかつ温度(22±1℃)及び湿度(55%±5%)に制御された個々のケージ中、明暗サイクル(LD)12:12(8時〜20時の地理学的時間でライトオン;200luxでの光強度;暗期の間5luxの暗赤色灯)に曝露させた。LDサイクルをツァイトゲーバー時間(ZT)として表した(ここで、ZT0はライトオンを表し、ZT12はライトオフを表す)。動物を恒暗条件(DD)に曝露させた場合、概日時間(CT)を時間点基準として使用した(ここで、CT12は、活動開始に相当する)。
【0084】
マウスにおける特異的V1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(実施例1)に対する行動概日応答の特性決定(ZT12及びZT0)
V1a受容体アンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(実施例1)に対する感受性の位相ウィンドウがあるか否かを評価した。ある動物群を2つの時間点(1つは日中、1つは夜)で処置した。動物をLDサイクル条件(少なくとも10日間)に曝露させて、自発運動のリズムのベースラインを得た。4つの群を選択した:(群1)偽操作、口腔にカニューレを導入した動物(いかなる溶液送達もなし);(群2)ビヒクル、及び(群2及び3)V1a受容体アンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンの投与(10mg/kg及び30mg/kgの用量)。ZT/CT12(ライトオフ/活動開始;偽、n=5;ビヒクル、n=5;10mg/kg、n=5;及び30mg/kg、n=5)で投与を実施した(経口的)。ZT/CT12での最初の操作後、動物をDD条件に直ちに曝露させ、行動解析のために少なくとも更に10日間維持し、次に、ZT/CT0(ライトオン/活動消失;偽、n=3;ビヒクル、n=3;10mg/kg、n=5;及び30mg/kg、n=5)での第二の実験操作に再曝露させるために、12−12LDサイクルに最低10日間再同調させた。
【0085】
マウスにおける特異的V1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(実施例1)に対する行動概日応答の特性決定(ZT18及びZT6)
新たな動物群を先の実験とは異なる別の2つの時間点で処置した;ZT/CT6(ライトオンの6時間後/中間休止期;偽、n=3;ビヒクル、n=4;及び30mg/kg、n=5)及びZT/CT18(ライトオフの6時間後/中間活動期;偽、n=3;ビヒクル、n=4;及び30mg/kg、n=5)。この実験(時間点、ZT/CT6及びZT/CT18)のために、trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンを30mg/kg用量でのみ投与した。したがって、3つの群を選択した:(群1)偽操作、(群2)ビヒクル投与及び(群3)trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(30mg/kg)。操作後、動物をDD条件に直ちに曝露させ、行動解析のために少なくとも更に10日間維持し、次に、12−12LDサイクルに最低10日間再同調させた。
【0086】
マウスにおける時計の光同期に対するV1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンの効果
行動概日リズムの光同期に対するV1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンの効果を評価するために、6時間位相変位の時差ぼけプロトコルを使用した。LDサイクル12時間/12時間下(少なくとも10日間)の後、マウスを、明暗サイクルの6時間位相前進(第一の「時差ぼけ」試験、前進位相)に、かつビヒクル又は30mg/kgのV1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンの投与に曝露させた。変位の当日、ライトオフの時間を6時間だけ位相前進させた。ここで、本発明者らは、3つの動物群を使用した:偽群(群1、n=3)、口腔にカニューレを導入した動物(いかなる溶液送達もなし);ビヒクルを与えたビヒクル群(群2、n=4)、及び30mg/kgのtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン群(群3、n=5)。全ての操作は、6時間位相前進の前の最後のLDサイクルでのZT6(ライトオンの6時間後)であった。
【0087】
第二の実験では、ナイーブな動物を使用して、第二の時差ぼけ試験を評価した。したがって、新たな雄のマウス群を使用して、LDサイクルの6時間位相前進への再同期に対する30mg/kgのtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンの効果を試験した。LDサイクル12時間/12時間(少なくとも10日間)下の動物を、ZT/CT6において、LDサイクルの6時間の位相前進に、かつビヒクル又は30mg/kgのV1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンの投与に曝露させた。先の実験と同様に、3つの動物群を使用した:偽群(群1、n=3)、口腔にカニューレを導入した動物(いかなる溶液送達もなし);ビヒクルを与えたビヒクル群(群2、n=4)、及び30mg/kgのtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン群(群3、n=5)。
【0088】
行動の記録及び解析
ケージ及び/又は回し車の上部の赤外線検出器を使用して自発運動リズムを測定した。プログラムClockLab(Actimetrics, Evanston, IL, USA)を使用して、活動データをアクトグラムとして表示し、以下のパラメーターを解析した:
【0089】
位相変位:操作前10日間及び操作後10日間の自発運動の開始に2つの回帰直線をフィットさせることによって位相変位を測定した(ClockLab;Actimetrics, Evanston, IL, USA)。コンピューターアルゴリズムを使用して、毎日の自発運動の主要周期の開始を特定した(ClockLab)。操作(偽、ビヒクル又は薬物投与)の翌日に収集したデータを直線のフィットから排除し、概日位相が定常状態であるようにした。位相変位を刺激前直線と刺激後直線との間の差(時間単位)として定義した。化合物投与の前の10サイクル(LD)及び後の10サイクル(動物を恒暗中に放出した場合)(DD;位相変位を評価するAschoff Type II手順;Mrosovsky, 1996b)を考慮して、位相変位の大きさを線形回帰によって開始にフィットさせた。
【0090】
周期:χ2ピリオドグラム(ClockLab)の解析によって内因性周期を決定した。
【0091】
アルファ:また、処置前後の活動期(アルファ)の期間を計算した。そのために、プログラムClockLabを使用して、活動の開始と消失の両方(LDとDDの両方における)を決定した。これらの2つの基準点間の差(時間単位)は、アルファ、つまり活動周期の期間を表す。ClockLabソフトウェアを使用して、活動の開始及び消失を自動的に特定した。
【0092】
活動プロファイル:活動データを30分幅のビンに収集し、ClockLabを使用して操作後の動物の6時間の活動(薬物投与の当日)を平均する波形としてプロットした。各動物からの操作後の6時間の活動から活動の群平均波形を得た。
【0093】
再同調(時差ぼけ試験):6時間位相変位(時差ぼけプロトコル)について、活動の開始及び消失を考慮して完全再同調についての変位後の日数を定量化した。ClockLabソフトウェアを使用して、活動の開始及び消失を自動的に特定した。したがって、新たなLDサイクル(ライトオフの時間の6時間位相変位後)に対する完全再同期を、活動開始が新たなライトオフの時間±30分で起こる場合に考慮した。各マウスについて再同期に必要な日数(一時的サイクル)を計算した。活動の開始及びその前進を毎日計算(時間単位)して、再同調の速度を評価した。運動に対する操作の効果を評価するために、各処置後の0から6時間の自発運動の変化を30分間隔で定量化した(活動プロファイルの決定を参照されたい)。
【0094】
統計解析
全ての実験の値は、平均±SEMである。独立測定(位相変位、周期、再同調)と繰り返し測定(活動プロファイル、アルファ)の両方について、一元配置分散分析(ANOVA)、続いて、ポストホックフィッシャー(LSD)試験を使用して統計比較を実施した。有意性の臨界値は、全ての実験についてp<0.05であった。統計パッケージStatistica(version 8.0)を使用した。
【0095】
結果
ZT/CT12及びZT/CT0でのtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(実施例1)投与に対する行動概日リズムの位相変位、周期、アルファ及び活動プロファイル
試験した2つの時間点(ZT/CT12及びZT/CT0)での実験の最初の部分については、2つの用量のV1a受容体アンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(10mg/kg及び30mg/kg)を使用した。
【0096】
10mg/kg又は30mg/kgでのV1aアンタゴニストの単回投与後の行動位相変位の評価は、概日位相に対する効果を示さなかった(ZT/CT12、F3,16=0.55、p=0.65;ZT/CT0、F3,12=0.14、p=0.93;図1)。
【0097】
10mg/kg又は30mg/kgでのV1aアンタゴニストの投与後に自発運動の有意な差は測定されなかった。また、ZT/CT12及びZT/CT0に処置した動物において、自発運動の内因性周期の変化はなかった(ZT/CT12、F3,16=0.4、p=0.72;ZT/CT0、F3,12=0.3、p=0.8;図2)。
【0098】
ZT/CT12に処置した動物は処置後にアルファの変化を示したが(プレタイム対ポスタイム(Pre vs. Pos-time)、F1,16=34.5、p=0.00002)、群間の差は観察されなかった(群、F3,16=0.08、p=0.96)。ZT/CT0に10及び30mg/kgの両用量のV1aアンタゴニストを与えたマウスはまた、アルファの増加を示した(プレタイム対ポスタイム、F1,12=81.8、p=0.000001)。V1aアンタゴニストで処置した動物におけるほとんど2時間のアルファの増加にもかかわらず、この効果は統計的に有意ではなかった(F3,12=1.48、p=0.26)。
【0099】
ZT/CT18及びZT/CT6でのtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(実施例1)投与に対する行動概日リズムの位相変位、周期、アルファ及び活動プロファイル
10mg/kgの用量で位相変位、周期及びアルファに対する効果が認められなかったので、実験の二番目の部分について、動物にZT/CT18(中間活動期)又はZT/CT6(中間休止期)にビヒクル又は30mg/kg濃度のtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンのみを与えた。
【0100】
ZT/CT18に、偽操作、ビヒクル投与又は30mg/kg用量のtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンで動物を処置した。30mg/kgでのV1aアンタゴニストの単回投与後の行動位相変位の評価は、ZT/CT18での概日位相に対して有意な効果を示さなかった(F2,9=0.13、p=0.87;またZT/CT6でもなし(F2,9=0.96、p=0.41;図1)。
【0101】
運動の内因性周期もまた、ZT/CT18及びZT/CT6での群間で有意な差を示さない(ZT/CT18、F2,9=0.1、p=0.9;ZT/CT6、F2,9=3、p=0.12;図2)。
【0102】
ZT/CT18又はZT/CT6で処置した動物は、処置後にアルファの変化を示したが(ZT/CT18、プレタイム対ポスタイム、F1,9=26.13、p=0.0006;ZT/CT6、プレタイム対ポスタイム、F1,9=52.31、p=0.00004)、群間の差は観察されなかった(ZT/CT18群、F2,9=1.35、p=0.3;ZT/CT6、F2,9=2.4、p=0.14)。
【0103】
LDサイクルの6時間位相変位に対する行動再同調:trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(実施例1)投与の効果(時差ぼけ試験1)
特異的V1aアンタゴニストが、実験位相変位プロトコルに曝露させた動物における光同期に影響を与えることが実証された。
【0104】
したがって、明暗サイクルの6時間位相前進に曝露させた動物(偽、ビヒクル及びV1aアンタゴニスト群)を、最初のLDサイクルの最終日に、ZT6(ライトオンの6時間後)にビヒクルコントロール投与又は30mg/kgのV1aアンタゴニストで処置した。コントロール偽群からの動物は、新たなLDサイクルに同調するのに5.66±0.27日を費やした。ビヒクル投与を与えた動物は、新たなLDサイクルに再同調するのに5.75±0.54日を要した。対照的に、30mg/kgのV1a受容体アンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンで処置したマウスは、6時間位相変位後に完全行動再同調を示すのにわずか3.2±0.33日を要しただけであった。この効果は統計的に有意であった(F2,9=10.1、p=0.005;図3)。活動の開始は、V1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンを与えた群での変位後の最初の5日間、LDサイクルに対する遥かに速い日調整を示した(F2,9=25、p=0.0002)。操作によって誘導された自発運動は、群間で有意な差を示さなかった(F2,9=1.25、p=0.32)。
【0105】
新しいナイーブマウス(いかなる操作にも事前曝露されていない若い成熟雄マウス)を使用する以外は、最初の実験を同じ実験条件下で繰り返した。
【0106】
コントロール偽群からのナイーブな動物は、新たなLDサイクルに同調するのに5.33±0.88日を要した。ビヒクル投与を受けた動物は、新たなLDサイクルに再同調するのに5.5±0.64日を要した。最初の位相変位実験と同様に、30mg/kgのV1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンで処置したマウスは、6時間位相変位後に完全行動再同調を示すのにわずか3.4±0.24日を要しただけであった。この効果は、統計的に有意であった(F2,9=4.99、p=0.03;図4)。活動の開始は、V1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンで処置した群での変位後の最初の4日間、LDサイクルに対する遥かに速い日調整を示した(F2,9=14、p=0.001)。
【0107】
3つの実験操作(偽、ビヒクル及び化合物投与)は運動の増加を誘導し、これは群間で有意な差を示さなかった(F2,9=2.91、p=0.10)。
【0108】
両方の実験は、V1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンが新たなLDサイクルに対する概日時計の再同調を加速させることを示す。
【0109】
2)材料及び方法
試験化合物の調製
最初に、試験化合物をDMSOに10mMの濃度で溶解した。その後の希釈物をアッセイ緩衝液中0.2%DMSOの最大終濃度で作製した。
【0110】
放射性リガンド結合アッセイ膜の調製
組み換えバソプレシンV1a(ヒト:hV1a;マウス:mV1a)、V1b(ヒト:hV1b)を、一過性形質転換を使用して、ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞中で独立に発現させた。様々な受容体を発現する細胞膜を、溶解緩衝液(50mM HEPES、1mM EDTA、10mM MgCl、pH7.4、プロテアーゼ阻害剤含有)中で細胞培養ペレットをホモジナイズして(Polytronホモジナイザーを使用して)、次いで、得られた懸濁液を500gにて4℃で20分間遠心分離することによって調製した。その後、上清を43’000gにて4℃で1時間再遠心分離した。得られたペレットを溶解緩衝液及び10%スクロースに再懸濁した。タンパク質の濃度を決定し、膜を分割して、さらなる使用まで−80℃で保存した。
【0111】
異なる種からのバソプレシン受容体に対する試験化合物の親和性を評価する放射性リガンド結合アッセイ
全ての放射性リガンド結合アッセイを、96ウェルプレート中、1nM H−AVP(バソプレシン)放射性リガンド及び10種の濃度の試験化合物(hV1a結合について27μM〜1nM又は2.7μM〜0.1nMの範囲)の存在下で実施した。Beckman Biomek 2000 laboratory automation workstationを使用して、アッセイ緩衝液中で化合物の希釈物を作製した。4.2μM非放射性バソプレシンを使用して、非特異的結合を定義した。各ウェルは、膜タンパク質(種々の濃度)、Ysi−ポリ−l−リシンSPAビーズ(マウスV1a濾過アッセイではなくヒト受容体SPAアッセイについてのみ)0.5mgを、最終容量200μlの緩衝液A(Tris 50mM、NaCl 120mM、KCl 5mM、CaCl 2mM、MgCl10mM、1mMシステイン(pH7.4)を含有する)中に含有した。全てのアッセイを2連で実施し、少なくとも2回繰り返した。ヒト受容体(SPA)については遠心分離の前に、又はマウス受容体については濾過の前に、アッセイプレートを室温で1時間インキュベートした。緩衝液B(Tris 50mM、MgCl2 5mM、0.1%BSA(pH7.4)を含有する)に5分間予浸したGF/Cフィルターに真空下で通す急速濾過をし、続いて、氷冷緩衝液Bの5×0.4mlで洗浄することによって、濾過アッセイを停止した。SPAプレートと濾過プレートの両方について、Packard Topcountシンチレーション計数管を使用して結合したリガンドを決定した。各アッセイについて実施した飽和結合実験は、結合部位の単一の均一集団が標識されたことを示した。
【0112】
放射性リガンド結合のデータ算出
競合化合物の各2連の濃度についてのCPM値を平均化し(y1)、次いで、特異的結合%を算出した(((y1−非特異的)/(総結合−非特異的))×100)。XLfit(Levenburg Marquardtアルゴリズムを使用してデータを反復的にプロットする曲線フィッティングプログラム)を使用して特異的結合%でグラフをプロットした。使用したシングルサイト競合解析方程式は、y=A+((B−A)/(1+((x/C))))[式中、yは特異的結合%であり、Aは最小yであり、Bは最大yであり、CはIC50であり、xは競合化合物の濃度のlog10であり、そしてDは曲線の傾き(Hill係数)である]であった。これらの曲線から、IC50(放射性リガンドの50%の特異的結合が置換された阻害濃度)及びHill係数を決定した。Cheng-Prussoff方程式Ki=(IC50/1+([L]/Kd)[式中、[L]は放射性リガンドの濃度であり、そしてKdは放射性リガンドの平衡解離定数である]を使用して親和定数(Ki)を算出した。また、KiをpKiとして対数的に表した。
【0113】
結果
【表8】
【0114】
データは、pKi±SEM(n)又はKi[nM]±SEM(n)を表し、式中、pKiは親和定数(Ki)[M]の−Log10であり、SEMは標準誤差であり、nはアッセイの数である(n.t.は、試験していない)。
【0115】
実施例1
trans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(trans−8−クロロ−5−メチル−1−[4−(ピリジン−2−イルオキシ)−シクロヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾアズレン)
【化3】

式Iの化合物、特に実施例1を、PCT出願WO2010/060836に記載されているように調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1】(上段)ZT/CT12(活動開始)又はZT0/CT0(活動消失)に処置した異なる群の自発運動の代表的なアクトグラム。アクトグラム中のドットは操作の時間を表し、上段の黄色及び黒色の棒は、それぞれ明期及び暗期を示す。(中央)ZT/CT12(活動開始;偽、n=5;ビヒクル n=5;10mg/kg n=5;30mg/kg n=5)又はZT/CT0(活動消失;偽、n=3;ビヒクル n=3;10mg/kg n=5;30mg/kg n=5)に処置したマウスの自発運動のリズムの位相変位の平均±SEM。(下段)ZT/CT18(偽、n=3;ビヒクル n=4;30mg/kg n=5)又はZT/CT6(偽、n=3;ビヒクル n=4;30mg/kg n=5)に処置したマウス(異なる実験条件下)の自発運動のリズムの位相変位の平均値(±SEM)。
図2】ZT/CT12(活動開始;偽、n=5;ビヒクル n=5;10mg/kg n=5;30mg/kg n=5)、ZT0/CT0(活動消失;偽、n=3;ビヒクル n=3;10mg/kg n=5;30mg/kg n=5)、ZT/CT18(真夜中;偽、n=3;ビヒクル n=4;30mg/kg n=5)及びZT/CT6(正午;偽、n=3;ビヒクル n=4;30mg/kg n=5)での各実験処置後の、恒暗条件下のマウスにおける自発運動の内因性周期の平均値(±SEM)。
図3】(上段)(上段)ZT/CT6(中間休止期)に処置した及びLDサイクルの6時間位相前進変位に曝露させた異なる群の自発運動の代表的なアクトグラム。アクトグラム中のドットは操作の時間を表し、上段及び下段の黄色及び黒色の棒は、それぞれ明期及び暗期を示す。(中央)新たなLDサイクル(偽 n=3、ビヒクル n=4、30mg/kg n=5)に対する完全同期を示す再同調の速度(日数)。同調の速度を毎日評価した。1日目から5日目まで、V1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンで処置した30mg/kgの群は、有意に速い再同調を示した。
図4】(上段)ZT/CT6(中間休止期)に処置した及びLDサイクルの6時間位相前進変位に曝露させたナイーブマウスの異なる群の自発運動の代表的なアクトグラム。アクトグラム中のドットは操作の時間を表し、上段及び下段の黄色及び黒色の棒は、それぞれ明期及び暗期を示す。(中央)新たなLDサイクル(偽 n=3、ビヒクル n=4、30mg/kg n=5)に対する完全同期を示す再同調の速度(日数)。同調の速度を毎日評価した。1日目から4日目まで、V1aアンタゴニストtrans−8−クロロ−5−メチル−1−(4−ピリジン−2−イルオキシシクロヘキシル)−4,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピンで処置した30mg/kgの群は、有意に速い再同調を示した。
【表9】
図1
図2
図3
図4