【実施例】
【0045】
[47]ここで、以下の非限定的な実施例によって本発明を示す。添付の特許請求の範囲において規定される発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正を以下の実施例及びプロセスに加えることができることを留意すべきである。したがって、以下の実施例は例示のみとして解釈すべきであり、いかなるようにも限定として解釈すべきではないことを留意すべきである。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例1:C
6F
13−PVDF−Iマクロ開始剤;M
n=62000g/モルの合成:
[48]本発明にしたがって、C
6F
13−PVDF−Iマクロ開始剤を調製した。マクロ開始剤は、マノメーター、破裂板、並びに内部バルブ及び出口バルブを備えた100mLのHastelloy Parrオートクレーブ内で調製した。オートクレーブを30barの窒素圧でパージして漏れを阻止した。次に、20mmHgの真空を15分間運転した。開始剤として過硫酸アンモニウム((NH
4)
2S
2O
8)(0.07g、0.30ミリモル、0.1当量)、連鎖移動剤としてペルフルオロヘキシルヨージド(C
6F
13I)(1.40g、3.20ミリモル、1当量)、及び溶媒として脱イオン水(50mL)を含む反応物質を、漏斗を通してオートクレーブ中に投入した。液体窒素/アセトン混合物中で冷却した後、フッ化ビニリデン(VDF)モノマー(23g、360ミリモル、100当量)を、二重秤量(即ち、オートクレーブにVDFを供給する前後の重量差)によって移した。反応器を80℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で65barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=0bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のVDFをパージした後、VDFの転化率は60%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をクロロホルム中に懸濁し、次に冷ペンタンから沈澱させた。濾過した後、マクロ開始剤を高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、16gのC
6F
13−PVDF−I(収率70重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F(
図1)及び
1H(
図2)−NMR分光法によって分析したところ、次式3:
【0048】
【化1】
【0049】
(式中、∫
−xは、連鎖移動剤(CTA)のCF
3又はCF
2基か又は与えられたF−モノマーのCF
2基のいずれか(δ−92ppmにおけるVDF、又はδ−108ppmにおけるCTFE)に割り当てられたδ−xppmに中心を有する信号の積分値を表し、M
yは、与えられた化合物yの分子量(g/モル)(例えば、M
VDF=64、M
CTFE=116.56、M
C6F13I=446)を表す)にしたがって62000g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図1を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、次の式:
【0050】
【化2】
【0051】
(式中、[x]
0は、化合物xの初期モル濃度を表し、α
Mは与えられたF−モノマーの転化率を表す)
にしたがって4700g/モルであると求められた(詳細に関しては
図1を参照)。更に、マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、α及びβ相に対応する160及び170℃の2つの融点(T
m)値が示された(T
m値は吸熱ピークの頂部において測定される)(
図21)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において387℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図20)。
【0052】
実施例2:C
6F
13−PVDF−Iマクロ開始剤;M
n=8500g/モルの合成:
[49]実施例1にしたがって、C
6F
13−PVDF−Iマクロ開始剤を調製した。開始剤としてジマンガンデカカルボニル(Mn
2(CO)
10)(0.12g、0.30ミリモル、0.1当量)、連鎖移動剤としてペルフルオロヘキシルヨージド(C
6F
13I)(1.40g、3.20ミリモル、1当量)、及び溶媒としてジメチルカーボネート(60mL)を含む反応物質を、漏斗を通してオートクレーブ中に投入した。冷却した後、VDF(20g、320ミリモル、100当量)を、二重秤量によって移した。反応器を100℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で36barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=36bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。パージの後に気体は排出されず、これはVDFが完全に転化したことを示す。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をクロロホルム中に懸濁し、次に冷ペンタンから沈澱させた。濾過した後、マクロ開始剤を高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、14gのC
6F
13−PVDF−I(収率65重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F(
図3)及び
1H(
図4)−NMR分光法によって分析したところ、実施例1において与えた式にしたがって8500g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図3を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって7000g/モルであると求められた(詳細に関しては
図3を参照)。更に、DMF中におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(PMMA標準試料を使用)によって、10000g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(PDI:1.44)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、−34℃のガラス転移温度(T
g)値が示され、α及びβ相に対応する160及び170℃の2つの融点(T
m)値が示された(
図23)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において395℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図22)。
【0053】
実施例3:C
6F
13−PCTFE−Iマクロ開始剤;M
n=4600g/モルの合成:
[50]実施例1にしたがって、C
6F
13−PCTFE−Iマクロ開始剤を調製した。開始剤としてジマンガンデカカルボニル(Mn
2(CO)
10)(0.07g、0.17ミリモル、0.1当量)、連鎖移動剤としてペルフルオロヘキシルヨージド(C
6F
13I)(0.77g、1.72ミリモル、1当量)、及び溶媒としてジメチルカーボネート(60mL)を含む反応物質を、漏斗を通してオートクレーブ中に投入した。冷却した後、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)モノマー(20g、172ミリモル、100当量)を、二重秤量によって移した。反応器を100℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で10barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=2bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のCTFEをパージした後、CTFE転化率は約47%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をクロロホルム中に懸濁し、次に冷ペンタンから沈澱させた。濾過した後、マクロ開始剤を高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、3gのC
6F
13−PCTFE−I(収率14重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F−NMR分光法によって分析したところ(
図5)、実施例1において与えた式にしたがって4600g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図5を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって5600g/モルであると求められた(詳細に関しては
図5を参照)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって40℃のガラス転移温度(T
g)値が示され、162℃の融点(T
m)値が示された(
図25)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において377℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図24)。
【0054】
実施例4:I−PVDF−C
4F
8−PVDF−Iマクロ開始剤;M
n=700g/モルの合成:
[51]本発明にしたがって、I−PVDF−C
4F
8−PVDF−Iマクロ開始剤を調製した。マクロ開始剤は、マノメーター、破裂板、並びに内部バルブ及び出口バルブを備えた600mLのHastelloy Parrオートクレーブ内で調製した。オートクレーブを30barの窒素圧でパージして漏れを阻止した。次に、20mmHgの真空を15分間運転した。開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレート(TBPPi)(2.10g、9.10ミリモル、1.1当量)、連鎖移動剤として1,4−ジヨードペルフルオロブタン(IC
4F
8I)(39g、86ミリモル、11当量)、及び溶媒としてC
4H
5F
5(400mL)を含む反応物質を、漏斗を通してオートクレーブ中に投入した。冷却した後、VDF(50g、781ミリモル、100当量)を、二重秤量によって移した。反応器を74℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で12barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=3bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のVDFをパージした後、VDFの転化率は約78%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をDMF中に溶解し、次に冷水、次に冷ペンタンから沈澱させた。濾過した後、マクロ開始剤を高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、12gのI−PVDF−C
4F
8−PVDF−I(収率46重量%)を黄色の固体として生成させた。生成物を
19F(
図6)及び
1H(
図7)−NMR分光法によって分析したところ、実施例1において与えた式にしたがって700g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図6を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって780g/モルであると求められた(詳細に関しては
図6を参照)。更に、DMF中におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(PMMA標準試料を使用)によって、2100g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(PDI:1.38)(
図16)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、α及びβ相に対応する50及び60℃の2つの融点(T
m)値が示された(
図27)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において224℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図26)。
【0055】
実施例5:I−PVDF−C
6F
12−PVDF−Iマクロ開始剤;M
n=1100g/モルの合成:
[52]実施例4にしたがって、I−PVDF−C
6F
12−PVDF−Iマクロ開始剤を調製した。開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレート(TBPPi)(0.40g、1.60ミリモル、0.1当量)、連鎖移動剤として1,6−ジヨードペルフルオロヘキサン(IC
6F
12I)(8.90g、16ミリモル、1当量)、及び溶媒としてジメチルカーボネート(60mL)を含む反応物質を、漏斗を通して160mLのオートクレーブ中に投入した。冷却した後、VDF(20g、320ミリモル、20当量)を、二重秤量によって移した。反応器を74℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で31barに達した。6時間後に反応を停止し(ΔP=16bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のVDFをパージした後、VDFの転化率は約65%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をTHF中に溶解し、次に冷ペンタンから沈澱させた。濾過した後、マクロ開始剤を高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、18gのI−PVDF−C
6F
12−PVDF−I(収率62重量%)を黄色の固体として生成させた。生成物を
19F(
図8)及び
1H(
図9)−NMR分光法によって分析したところ、実施例1において与えた式にしたがって1100g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図8を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって1200g/モルであると求められた(詳細に関しては
図8を参照)。更に、DMF中におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(PMMA標準試料を使用)によって、1200g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(PDI:1.01)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、α及びβ相に対応する100及び120℃の2つの融点(T
m)値が示された(
図29)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において305℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図28)。
【0056】
実施例6:C
6F
13−ポリ(CTFE−co−VDC)−Iマクロ開始剤;M
n=8300g/モルの合成:
[53]実施例4にしたがって、C
6F
13−ポリ(CTFE−co−VDC)−Iマクロ開始剤を調製した。開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレート(TBPPi)(2.10g、9.1ミリモル、2モル%)、連鎖移動剤としてペルフルオロヘキシルヨージド(C
6F
13I)(5.00g、9.1ミリモル、2モル%)、塩化ビニリデン(VDC)コモノマー(2.50g、26ミリモル、供給材料中6モル%)、及び溶媒混合物としてC
4H
5F
5:H
2O(200mL:200mL)を含む反応物質を、漏斗を通して600mLのオートクレーブ中に投入した。冷却した後、CTFE(50g、429ミリモル、94モル%)を、二重秤量によって移した。反応器を74℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で6barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=0bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のCTFEをパージした後、CTFEの転化率は約70%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をクロロホルム中に溶解し、次に冷水から沈澱させた。濾過した後、マクロ開始剤を高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、22gのC
6F
13−(CTFE−co−VDC)−I(収率38重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F(
図10)及び
1H(
図11)−NMR分光法によって分析したところ、実施例1において与えた式にしたがって8300g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図10を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって6500g/モルであると求められた(詳細に関しては
図10を参照)。外部標準試料として2,5−ジクロロベンゾトリフルオリドを用いた
1H−NMR分光法によって、コポリマー中のVDCのモル%(22モル%)が求められた(詳細に関しては
図11を参照)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、29℃のガラス転移温度(T
g)値及び180℃の融点(T
m)値が示された(
図31)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において375℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図30)。
【0057】
実施例7:I−ポリ(CTFE−co−VDC)−C
4F
8−ポリ(CTFE−co−VDC)−Iマクロ開始剤;M
n=10600g/モルの合成:
[54]実施例4にしたがって、I−ポリ(CTFE−co−VDC)−C
4F
8−ポリ(CTFE−co−VDC)−Iマクロ開始剤を調製した。開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレート(TBPPi)(2.10g、9.1ミリモル、2モル%)、連鎖移動剤として1,4−ジヨードペルフルオロブタン(IC
4F
8I)(4.13g、9.1ミリモル、供給材料中2モル%)、塩化ビニリデン(VDC)コモノマー(2.5g、26ミリモル、供給材料中6モル%)、及び溶媒混合物としてC
4H
5F
5:H
2O(200mL:200mL)を含む反応物質を、漏斗を通して600mLのオートクレーブ中に投入した。冷却した後、CTFE(51g、438ミリモル、94モル%)を、二重秤量によって移した。反応器を74℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で6barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=2bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のCTFEをパージした後、CTFEの転化率は約93%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をクロロホルム中に溶解し、次に冷ペンタンから沈澱させた。濾過した後、マクロ開始剤を高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、21gのI−ポリ(CTFE−co−VDC)−C
4F
8−ポリ(CTFE−co−VDC)−I(収率40重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F(
図12)及び
1H(
図13)−NMR分光法によって分析したところ、実施例1において与えた式にしたがって10600g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図12を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって10200g/モルであると求められた(詳細に関しては
図12を参照)。外部標準試料として2,5−ジクロロベンゾトリフルオリドを用いた
19F及び
1H−NMR分光法によって、コポリマー中のVDCのモル%(20モル%)が求められた(詳細に関しては
図13を参照)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、29℃のガラス転移温度(T
g)値、及び178℃の融点(T
m)値が示された(
図33)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において382℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図32)。
【0058】
【表2】
【0059】
実施例8:PCTFE−ブロック−PVDF−ブロック−PCTFEトリブロックコポリマー;M
n=6800g/モルの合成:
[55]実施例1にしたがって、PCTFE−ブロック−PVDF−ブロック−PCTFEトリブロックコポリマーを調製した。開始剤としてジマンガンデカカルボニル(Mn
2(CO)
10)(67mg、0.172ミリモル、0.1当量)、実施例4からのI−PVDF−Iマクロ連鎖移動剤(1.55g、2.21ミリモル、1当量)、及び溶媒としてジメチルカーボネート(60mL)を含む反応物質を、漏斗を通して160mLのオートクレーブ中に投入した。冷却した後、CTFE(20g、172ミリモル、100当量)を、二重秤量によって移した。反応器を100℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で9barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=2bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のCTFEをパージした後、CTFEの転化率は約60%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をTHF中に懸濁し、次に冷ペンタン、次に冷アセトンから沈澱させた。濾過した後、トリブロックコポリマーを高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、7gのPCTFE−ブロック−PVDF−ブロック−PCTFE(収率32重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F(
図14)及び
1H(
図15)−NMR分光法によって分析したところ、次式:
【0060】
【化3】
【0061】
にしたがって6800g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図14を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって7500g/モルであると求められた(詳細に関しては
図14を参照)。更に、DMF中におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC;
図16)(PMMA標準試料を使用)によって、7200g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(PDI:2.05)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、180℃の融点(T
m)値が示された(
図35)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において388℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図34)。
【0062】
実施例9:PCTFE−ブロック−PVDF−ブロック−PCTFEトリブロックコポリマー;M
n=2500g/モルの合成:
[56]実施例8にしたがって、PCTFE−ブロック−PVDF−ブロック−PCTFEトリブロックコポリマーを調製した。開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレート(TBPPi)(210mg、0.9ミリモル、0.1当量)、実施例4からのI−PVDF−Iマクロ連鎖移動剤(7.74g、11.1ミリモル、1当量)、及び溶媒としてジメチルカーボネート(60mL)を含む反応物質を、漏斗を通して160mLのオートクレーブ中に投入した。冷却した後、CTFE(20g、172ミリモル、20当量)を、二重秤量によって移した。反応器を74℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で9barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=2bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のCTFEをパージした後、CTFEの転化率は約65%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をTHF中に懸濁し、次に冷ペンタン、次に冷アセトンから沈澱させた。濾過した後、トリブロックコポリマーを高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、9gのPCTFE−ブロック−PVDF−ブロック−PCTFE(収率32重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F(
図17)及び
1H(
図18)−NMR分光法によって分析したところ、実施例8において与えた式にしたがって2500g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図17を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって3200g/モルであると求められた(詳細に関しては
図17を参照)。更に、DMF中におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC;
図16)(PMMA標準試料を使用)によって、4200g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(PDI:1.06)。マクロ開始剤の示差走査熱量測定(DSC)によって、175℃の融点(T
m)値が示された(
図37)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において378℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図36)。
【0063】
実施例10:C
6F
13−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFEジブロックコポリマー;M
n=39000g/モルの合成:
[57]実施例4にしたがって、C
6F
13−(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFEジブロックコポリマーを調製した。開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレート(TBPPi)(1.2g、9.2ミリモル、8当量)、実施例6からのC
6F
13−(CTFE−co−VDC)−Iマクロ連鎖移動剤(10g、1.18ミリモル、1当量)、及び溶媒混合物としてC
4H
5F
5:H
2O(200mL:200mL)を含む反応物質を、漏斗を通してオートクレーブ中に投入した。冷却した後、CTFE(29g、249ミリモル、200当量)を、二重秤量によって移した。反応器を74℃まで徐々に加熱し、600mLのオートクレーブ内の圧力は最高で5barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=0bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のCTFEをパージした後、CTFEの転化率は約71%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をクロロホルム中に懸濁し、次に冷水から沈澱させた。濾過した後、ジブロックコポリマーを高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、17gのC
6F
13−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFE(収率45重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F−NMR分光法によって分析した(
図19)ところ、式:
【0064】
【化4】
【0065】
にしたがって39000g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図19を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって23500g/モルであると求められた(詳細に関しては
図19を参照)。更にジブロックコポリマーの示差走査熱量測定(DSC)によって、35℃のガラス転移温度(T
g)値及び160℃の融点(T
m)値が示された(
図39)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において364℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図38)。
【0066】
実施例11:PCTFE−ブロック−ポリ(CTFE−co−VDC)−C
4F
8−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFEトリブロックコポリマー;M
n=28000g/モルの合成:
[58]実施例4にしたがって、PCTFE−ブロック−ポリ(CTFE−co−VDC)−C
4F
8−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFEトリブロックコポリマーを調製した。開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレート(TBPPi)(1.0g、4.3ミリモル、5当量)、実施例7からのI−(CTFE−co−VDC)−C
4F
8−(CTFE−co−VDC)−Iマクロ連鎖移動剤(10g、0.91ミリモル、1当量)、及び溶媒混合物としてC
4H
5F
5:H
2O(200mL:200mL)を含む反応物質を、漏斗を通してオートクレーブ中に投入した。冷却した後、CTFE(29g、249ミリモル、300当量)を、二重秤量によって移した。反応器を74℃まで徐々に加熱し、オートクレーブ内の圧力は最高で10barに達した。16時間後に反応を停止し(ΔP=2bar)、オートクレーブを室温まで冷却した。未反応のCTFEをパージした後、CTFEの転化率は約78%であると判定された。反応混合物を濾過し、得られた生成物混合物全体をクロロホルム中に溶解し、次に冷水から沈澱させた。濾過した後、トリブロックコポリマーを高真空下80℃において一定重量になるまで乾燥して、17gのPCTFE−ブロック−ポリ(CTFE−co−VDC)−C
4F
8−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFE(収率44重量%)を白色の粉末として生成させた。生成物を
19F−NMR分光法によって分析した(
図20)ところ、実施例10において与えた式にしたがって28000g/モルの実験数平均分子量(M
n)値が示された(詳細に関しては
図20を参照)。理論数平均分子量(M
n)は、実施例1において与えた式にしたがって33000g/モルであると求められた(詳細に関しては
図20を参照)。更にトリブロックコポリマーの示差走査熱量測定(DSC)によって、35℃のガラス転移温度(T
g)値及び170℃の融点(T
m)値が示された(
図41)。熱重量測定(TGA)分析によって、空気下において375℃の10%重量損失における分解温度(T
d10%)の値が示された(
図40)。
【0067】
[59]このように、広範囲の用途において用いるのに好適なCTFEベースのブロックコポリマーの幾つかの態様をここに記載する。本CTFEベースのブロックコポリマーは、光学的に透明であり、化学的に不活性であり、不燃性であり、並びに可塑剤及び安定剤を含まない。本CTFEベースのブロックコポリマーは、優れた湿分バリア特性を示す。更に、本発明のCTFEベースのブロックコポリマーは、既存の処理装置を用いて容易に熱成形される。
【0068】
[60]上記の発明の詳細な説明において少なくとも1つの代表的な態様を示したが、膨大な数のバリエーションが存在することを認識すべきである。また、代表的な態様又は代表的な複数の態様は例に過ぎず、いかなるようにも発明の範囲、適用性、又は構成を限定することは意図しないことも認識すべきである。むしろ、上記の詳細な説明は、発明の代表的な態様を実施するための簡便な指針を当業者に与えるものであり、特許請求の範囲に示す範囲及びその法律的均等範囲から逸脱することなく、幾つかの代表的な態様において記載されている機能及び構成要素の配置において種々の変更を行うことができることが理解される。
以下に本発明の態様を記載する。
態様1
ラジカル開始剤の存在下において、フルオロモノマー「M」を、式:
X−Y、又はY−X−Y
(式中、Xは、C1〜C3炭化水素、C1〜C6ヒドロフルオロカーボン、C1〜C6ヒドロクロロフルオロカーボン、又はC1〜C6フルオロカーボンを表し、Yは、ヨウ素又は臭素を表す)
の連鎖移動剤と反応させて、それによって式:
X−ポリ(M)−Y、又はY−ポリ(M)−X−ポリ(M)−Y
(式中、ポリ(M)は該モノマーのポリマーを表す)
のマクロ開始剤を形成し;そして
ラジカル開始剤の存在下において、マクロ開始剤をクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と反応させて、それによって式:
X−ポリ(M)−ブロック−PCTFE、又はPCTFE−ブロック−ポリ(M)−X−ポリ(M)−ブロック−PCTFE
のジブロック又はトリブロックのCTFEベースのブロックコポリマーを形成する;
ことを含む、ヨウ素移動重合によってCTFEベースのブロックコポリマーを合成する方法。
態様2
フルオロモノマー「M」を反応させることが、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、塩化ビニリデン(VDC)、及びCTFEと塩化ビニリデン、CTFEとフッ化ビニリデン(VDF)、CTFEとエチレンの組み合わせ、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるフルオロモノマーを反応させることを含む、態様1に記載の方法。
態様3
フルオロモノマーを連鎖移動剤と反応させることが、フルオロモノマーを、CF3(CF2)n−Y、及びY−(CF2)n−Y(式中、nは、0、1、2、3、4、5、又は6に等しい)からなる群から選択される連鎖移動剤と反応させることを含む、態様1に記載の方法。
態様4
形成されるマクロ開始剤が、C6F13−ポリ(CTFE−co−VDC)−I、C6F13−ポリ(VDF)−I、I−ポリ(CTFE−co−VDC)−C6F12−ポリ(CTFE−co−VDC)−I、I−ポリ(CTFE−co−VDC)−C4F8−ポリ(CTFE−co−VDC)−I、及びI−ポリ(VDF)−C4F8−ポリ(VDF)−Iからなる群から選択される、態様1に記載の方法。
態様5
形成されるCTFEベースのブロックコポリマーが、C6F13−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFE、及びC6F13−ポリ(VDF)−ブロック−PCTFEのジブロックコポリマー、並びにPCTFE−ブロック−ポリ(CTFE−co−VDC)−C6F12−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFE、PCTFE−ブロック−ポリ(CTFE−co−VDC)−C4F8−ポリ(CTFE−co−VDC)−ブロック−PCTFE、及びPCTFE−ブロック−ポリ(VDF)−C4F8−ポリ(VDF)−ブロック−PCTFEのトリブロックコポリマーからなる群から選択される、態様1に記載の方法。
態様6
フルオロモノマーをラジカル開始剤の存在下において連鎖移動剤と反応させることが、フルオロモノマーを、(NH4)2S2O8、K2S2O8、Na2S2O8、Mn2(CO)10、tert−ブチルペルオキシピバレート、ジベンゾイルペルオキシド、及びジ−tert−ブチルペルオキシドからなる群から選択されるラジカル開始剤の存在下において連鎖移動剤と反応させることを含む、態様1に記載の方法。
態様7
フルオロモノマーを連鎖移動剤と反応させることが、フルオロモノマーを、約20℃〜約130℃の温度において連鎖移動剤と反応させることを含む、態様1に記載の方法。
態様8
フルオロモノマーを連鎖移動剤と反応させることが、フルオロモノマーを、約200kPa〜約20,000kPaの圧力において連鎖移動剤と反応させることを含む、態様1に記載の方法。
態様9
フルオロモノマーを連鎖移動剤と反応させることが、フルオロモノマーを、約1〜約30時間の間、連鎖移動剤と反応させることを含む、態様1に記載の方法。
態様10
フルオロモノマー又はマクロ開始剤を反応させることが、式:R−COOR’(式中、R及びR’は、独立して、C1〜5アルキル基、エステルOR”(式中、R”は1〜5個の炭素原子を含むアルキルである)であり、Rは水素であってもよい)のエステル、フッ素化溶媒、1,2−ジクロロエタン、イソプロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、ブチロニトリル、及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で反応させることを含む、態様1に記載の方法。