【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、これらのガスタービンプラントは、定格容量の約50%まで小さくすることができる。これらは、コンプレッサの入口ガイドベーンを閉じることによってこれを行い、それは、ガスタービンの空気量を低減し、一定の燃料空気比が燃焼プロセスにおいて望まれるように燃料量が抑えられて駆動する。安全な圧縮動作及び排気を維持することは、典型的に、実際に達成されることができる減量運転のレベルを制限する。
【0004】
安全なコンプレッサの低動作制限は、通常、コンプレッサからの中期段階のブリード抽出からガスタービンの入り口まで暖かい空気を導入することによって現在のガスタービンを改善する。時には、この暖かい空気は、氷結を防止するために入口に導入される。どちらの場合でも、これが行われるとき、コンプレッサによってこの空気に行われる仕事は、低レベルでガスタービンを作動させることができる利益のためにプロセスにおいて犠牲にされ、従って、減量運転能力を増加させる。これは、取り出された空気に実行される作業が失われるので、システムの効率に悪影響を及ぼす。従って、燃焼システムは、システムの限界を提示する。
【0005】
燃焼システムは、通常、より少ない燃料が追加されると、火炎温度が低下して、生成される一酸化炭素(“CO”)の排出量を増加するため、システムが減量運転できる量を制限する。火炎温度とCOの排出量との関係は、低下した温度と指数関数的であり、その結果、ガスタービンシステムが限界に近くなるにつれて、COの排出量は、急激に上昇し、有益なマージンがこの制限から維持される。この特徴は、全てのガスタービンシステムを約50%の減量運転能力に制限し、あるいは、100MWのガスタービンに対して、実現可能な最低電力は、約50%又は50MWである。ガスタービン質量流量が絞られると、コンプレッサ及びタービンの効率も同じく落ちて、機械の熱消費率の増加を引き起こす。一部の事業者は、毎日この状況と直面し、その結果として、負荷需要が低下すると、ガスタービンプラントは、その低動作制限に達し、機械の電源をオフにする必要があり、それ
は、それらに多大なメンテナンスコスト不利益を費やさせる。
【0006】
典型的なガスタービンの別の特徴は、周囲温度が上昇するにつれて、電力出力は、空気の温度が上昇する際の減少密度の線形効果のせいで、比例的に(直線的に)低下することである。電源出力は、暑い日の間に、一般的には、ピークにあるガスタービンが上述の限界エネルギーを供給することが最も頼まれるときに、59°F標準の日(ISO条件)から10%以上まで下げることができる。
【0007】
典型的なガスタービンの別の特徴は、ガスタービンの圧縮セクションで圧縮されて加熱される空気が、様々なコンポーネントを冷却するのに使用されるガスタービンのタービンセクションの異なる部分に送られることである。この空気は、典型的には、ガスタービンに関して当技術分野で知られている“タービン冷却及び気密漏れ”用語を表す“TCLA”と呼ばれる。圧縮プロセスから加熱されるが、TCLA空気は、依然としてタービン温度よりも著しく低温であるため、従って、これらのコンポーネントを冷却するのに有効である。典型的には、コンプレッサの入口に入る空気の10%乃至15%は、燃焼器及びタービンを迂回し、この冷却プロセスのために使用される。このTCLAは、ガスタービンシステムの性能に重大な不利益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、低負荷でプラントの効率及び電力出力を改善するため、及び、ガスタービンの電力出力の下限値を減らしながら同時にガスタービンの発電出力の上限値を増やし従って新規または既存のガスタービンシステムの容量及び調整機能を増加するために、特定のプラントに依存して、いくつかのオプションを提供する。
【0009】
本発明の一態様は、好ましくは効率的な加熱
空気導入充填器を提供しながら、ガスタービン(GT)発電プラントの既存の源から有用な仕事量を得るためのエネルギー蓄電及び回復システムに関する。
【0010】
本発明の別の態様は、ガスタービンシステムが、ガスタービン及び発電機の既存の能力の範囲内に留まりながら、ピーク需要の期間中により効果的に追加の電力を提供することを可能とする方法及びシステムに関する。
【0011】
本発明の別の態様は、ガスタービンシステムが、ピーク需要の期間中により効果的に低下させることを可能とする方法及びシステムに関する。
【0012】
本発明の別の態様は、そうでない場合は、タンクから排出される空気を加熱するためにタンクを解放(discharge)しながら、タンクを充填し後で蓄えられた熱エネルギーを用
いる期間中に排出された熱を蓄積することである。
【0013】
本発明の別の態様は、貯蔵タンクの空気出口の全てを押すための油圧作動システムを使用することである。
【0014】
本発明の別の態様は、そうでない場合は、システムの全体的な効率を改善するために、
複合サイクルプラントあるいは地域暖房のような他の給湯システムのような別のプロセスへの入力として、タンクを充填する期間中に排出された熱を使用することである。
【0015】
本発明の別の態様は、同時に、タンクから空気を排出してそれをガスタービンTCLAと混合し、注入された空気を適当な温度まで加熱して冷却効果を改善して、両方ともガスタービン効率を改善することである。
【0016】
本発明の別の態様は、同時に、補助圧縮システムからの空気を供給してその空気をタンクから排出された空気と混合し、注入された空気の加熱の本質的な必要性を提供しながら、ガスタービンからの増加されたパワーブーストを提供することである。
【0017】
本発明の一実施形態は、既存のガスタービン、燃焼ケース排出マニホールド、及び、第1熱交換回路及び第2熱交換回路を有する高温熱交換器、に接続されたエアブースターポンプ(ABP)を備えるシステムに関する。
【0018】
好適実施形態の一つの利点は、既存の圧縮機によって行われると共に、既存のコントロールで現在の動作限界内に制御される最大の圧縮効果である。
【0019】
本発明の好適実施形態の別の利点は、本発明のいくつかの好適実施形態に従って、熱い空気がインタークーラーの第2回路からガスタービンの入り口に投入される際にガスタービンからのブリード空気(抽気)が必要とされないため、入口(ブリード)加熱システムに関連された効率低下が、最小化されることである。
【0020】
好適実施形態の別の利点は、ブースト圧縮機空気がインタークーラーの周りに転送され、エアタンクから排出された空気と混合されることができ、蓄積された空気をガスタービンへの注入の前に加熱するための手段またはメカニズムを提供することである。
【0021】
他の好適実施形態の別の利点は、誘導加熱器で加熱された流体の形態のガスタービン発電機からの熱エネルギーを蓄積すると共に高需要の期間中に後でそのエネルギーを戻すことにより、低需要の期間中にガスタービンシステムの低下した性能を増加すると共に、高需要の期間中にガスタービンシステムの効率及び出力を改善することができることである。
【0022】
さらに別の実施形態の別の利点は、熱交換器及び蓄熱流体で加熱された流体の形態のガスタービン発電機からの熱エネルギーを蓄積することにより、好ましくは、高需要の期間中に後でそのエネルギーを戻すことにより、低需要の期間中にガスタービンシステムの低下したエネルギーを増加することができることである。
【0023】
さらに別の実施形態の別の利点は、圧縮空気の形態のガスタービン発電機からの熱エネルギーを蓄積することにより、及び、圧縮機のブリード空気を直接的に使用する代わりにガスタービンの入口の加熱された空気を導入することによって動作効率を同時に改善しながら高需要の期間中に後でそのエネルギーを戻すことにより、低需要の期間中にガスタービンシステムの低下した性能を増加することができることである。
【0024】
好適実施形態の別の利点は、貯蔵システムの一部として既存のガスタービンシステムの圧縮機、タービン及び発電機を使用することにより、エネルギー貯蔵システムのコストを大幅に減らすことである。
【0025】
好適実施形態の別の利点は、他のオプションと比較してコスト競争力のあるピーク需要期間中の追加の発電を提供することである。
【0026】
本発明の別の利点は、ガスタービンシステム自体を減量運転するのではなく、ガスタービンシステムの電力出力を調整できるように高温流体タンク内の抵抗型ヒーターを使用することができることである。
【0027】
本発明の別の利点は、迅速な送電網の安定性制御を提供することができるように高温流体タンク内の抵抗型ヒーターを使用することができることである。
【0028】
本発明の別の利点は、特定のプラントの目的を達成するために、既存のガスタービンに実施形態の選択的な部分を組み込むことができることである。
【0029】
好適実施形態の別の利点は、より単純な設置及び低コストを生じる様々な理由のために使用されるガスタービンシステムの既存の抽気システムに本発明の全て又は一部を組み込むことができることである。
【0030】
本実施形態の別の利点は、貯蔵タンク及び/又は昇圧圧縮機からの空気をタービン冷却回路に注入することができることであり、従って、貯蔵プロセスのために空気を冷却することにより付与された熱の全てを回収することは、冷却空気が非常に望ましいために必要がない。
【0031】
従って、本発明の一好適実施形態にかかるその場のガスタービンエネルギー貯蔵(“IGTES”)システムは、高圧空気タンクに貯蔵された圧縮空気を生成するためにエアブースタポンプを用いてインタークーラー圧縮回路を含み、圧縮空気から吸収された中間冷却プロセス熱は、周囲空気に導入され、次いでガスタービンの入り口に供給されて、ガスタービン圧縮機の低流量効率及び減量運転を改善し、エネルギー貯蔵プロセス中に蓄熱システムに熱を加えるため及び必要に応じて蓄熱システムに熱を加えるための補助誘導ヒーターで増加した電力出力の期間中ガスタービン燃焼ケースに再導入される圧縮空気に熱を加えるために、圧縮機吐出ケース空気とインタークーラーとの間の熱交換器でガスタービン圧縮機で発生された熱の一部分を捕捉する蓄熱システムを改善し、迅速な送電網の安定性制御を提供する。選択的に、蓄熱システムに代えて、熱は、地域暖房又は複合サイクルシステムに有用なエネルギーを提供するために使用されることができる。選択的に、蒸気サイクルをもつ複合サイクルガスタービンプラントと統合される場合、蒸気サイクルからの蒸気又は水は、ガスタービンに入る前にタンクを出る空気を加熱するために、蓄熱システムに代えて、使用されることができる。
【0032】
ガスタービンに直接的にこの空気を発射することに関連した高圧空気貯蔵タンクの使用は、ガスタービンシステムの圧縮によってタービンに一般に供給される空気の最大流量が空気タンク及び/又は過給機からの空気で補充されるために、異なって製造されるよりも、ガスタービンにより多くの電力を供給する能力を与える。既存のガスタービンでは、これは、ガスタービンシステムの出力を暑い日の現在の発生限界値まで増加させることができ、それは、同時に現在の技術水準よりも25−30%まで減量運転能力を増加しながら、追加の20%の電力出力と同じにすることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、(a)互いに流体接続された圧縮機、燃焼器ケース、燃焼器及びタービンを備える既存のガスタービンシステムを動作させるステップと、(b)(i)圧縮機及び/又は(ii)燃焼器ケースから抽出された圧縮空気を抜き取るステップと、(c)抽出された圧縮空気を空気貯蔵タンク内に貯蔵すると共に、熱エネルギーを高温流体タンク内に蓄積するステップと、(d)空気貯蔵タンクから抽出された圧縮空気を放出し、それを高温流体タンクからの熱エネルギーで加熱し、抽出された圧縮空気をガスタービンシステム内に注入し、システムからの電力を増加させるステップと、を備える、ガスタービンエネルギーシステムを動作させる方法に関する。
【0034】
好ましくは、その方法は、空気貯蔵タンクに貯蔵する前に、抽出された圧縮空気を冷却及び加圧するステップを更に備える。好ましくは、圧縮空気を冷却及び加圧するステップは、空気貯蔵タンクに貯蔵する前に、インタークーラーシステムを使用して行われる。
【0035】
一好適実施形態によれば、その方法は、空気貯蔵タンクに貯蔵する前に、空気ブースタ
ーポンプを用いて抽出された圧縮空気を加圧するステップを更に備える。好ましくは、抽出された圧縮空気は、空気貯蔵タンクに貯蔵する前に、冷却及び加圧するステップに対して少なくとも一度空気ブースターポンプとインタークーラーシステムとの間で循環され、それによって、空気貯蔵タンクに貯蔵するための圧力を増加させながら温度を下げる。
【0036】
さらに別の好適実施形態によれば、その方法は、空気貯蔵タンクに貯蔵する前に、熱交換器システムを使用して、抽出された圧縮空気から熱を抽出する工程を更に備える。
【0037】
さらに別の好適実施形態によれば、その方法は、インタークーラーシステムにおける冷却及び加圧するステップの前に、熱交換器システムを使用して抽出された圧縮空気から熱を抽出する工程を更に備える。好ましくは、熱交換器システムは、高温流体を形成する抽出された圧縮空気から抽出された熱を使用して、流体を加熱する。好ましくは、高温流体は、好ましくは加熱された後に、高温流体タンクに貯蔵される。
【0038】
有利には、本発明の実施形態による好適な方法及びシステムは、ガスタービンシステムが、低負荷条件で及び/又はより高い効率で動作することを可能にする。好ましくは、余分な容量を提供することは、極端なピークのために又は暑い天候の非定格発電を補うために、蓄える。本発明の好適な方法及びシステムは、ほとんどの代替の貯蔵技術の固定された1/1比率特性と比較して、可変エネルギーに、1/1及び4+/1の範囲で電力(MWH/MW)比率を可能とする。電池とは異なり、方法及びシステムは、反復性完全
空気排出サイクルのために設計されており、そして、集中的使用の30年以上長持ちする。好ましくは、本発明に記載された方法及びシステムは、空気圧縮及び注入を伴う電力増強に対して1分未満で、抵抗性加熱システムに対してミリ秒単位で、電圧変動に対するグリッドスケール高速応答を提供する。
【0039】
本発明の他の利点、特徴及び特性、並びに、動作方法、及び、構造の関連要素及び部品の組み合わせの機能は、その全てが本明細書の一部を構成する添付の図面を参照して、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を考慮してより明らかになるであろう。