【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名(平成29年 コンバーティングテクノロジー総合展) 展示日 (平成29年2月15日) 開催場所(東京ビッグサイト 東京都江東区有明3−11−1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに平行に配設された軸受部と、これら軸受部に装着された版胴ローラーおよび圧胴ローラーとを備えたグラビア校正機を用い、原シートに色サンプルを印刷した後、原シートの色サンプル印刷面に積層シートを接着する方法であって、
前記圧胴ローラーと平行に配置された原シートロールから繰り出した原シートを前記圧胴ローラーに仮固定し、その圧胴ローラーと前記版胴ローラーとを押し付けた状態で、前記版胴ローラーにインクを供給し、前記版胴ローラーまたは前記圧胴ローラーを回転駆動して前記原シートに色サンプルを印刷する工程と、
前記版胴ローラーを前記軸受部から取り外してその軸受部に圧着ローラーを装着し、その圧着ローラーと前記圧胴ローラーとを押し付けた状態で、前記圧着ローラーに接着剤を供給し、前記圧着ローラーまたは前記圧胴ローラーを回転駆動して前記原シートの色サンプル印刷面に接着剤を塗布する工程と、
前記圧胴ローラーと平行に配置された積層シートロールから繰り出した積層シートを、前記原シートの色サンプル印刷面と重なるように前記圧胴ローラーに仮固定し、その圧胴ローラーと前記圧着ローラーとを押し付けた状態で、前記圧着ローラーまたは前記圧胴ローラーを回転駆動して、前記原シートの色サンプル印刷面に前記積層シートを接着する工程と、を有することを特徴とするグラビア校正機を用いた積層シートの接着方法。
前記グラビア校正機が、前記版胴ローラーに対して接触離間自在であり、接触時に前記版胴ローラーに供給されたインクを前記版胴ローラーの表面に凹設されたセルを除いて掻き落とし、離間時に前記圧胴ローラーの上方に位置するドクターブレードと、該ドクターブレードが前記圧胴ローラーの上方の位置に移動したときそのドクターブレードを覆うドクターカバーとを備えており、
前記グラビア校正機を用いた積層シートの接着装置の取付部が、前記ドクターカバーに取り付けられるものである、ことを特徴とする請求項2に記載のグラビア校正機を用いた積層シートの接着装置。
前記ドクターカバーに取り付けられる前記取付部に係合部を設け、前記前記ドクターカバーに覆われる前記ドクターブレードに、前記係合部と係合する被係合部を設けた、ことを特徴とする請求項3に記載のグラビア校正機を用いた積層シートの接着装置。
前記ドクターカバーが、リンク機構を介して前記グラビア校正機のハウジングに取り付けられ、前記リンク機構の作動により前記圧胴ローラーの上方に位置する前記ドクターブレードを覆う位置とそのドクターブレードから離間する位置とに移動自在であり、
前記ドクターカバーが前記圧胴ローラーの上方に位置する前記ドクターブレードを覆う位置となったとき、前記リンク機構を構成する部材同士の隙間に嵌って前記リンク機構の姿勢を安定させるスタビライザーを有する、ことを特徴とする請求項3または4に記載のグラビア校正機を用いた積層シートの接着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、従来、上述した多層シートの色校正を行う場合、グラビア校正機によって色サンプルが印刷された原シートの色サンプル印刷面に、作業員が手作業によって積層シートを接着していた。具体的には、作業員は、色サンプルが印刷された原シートをグラビア校正機から取り外し、印刷面が上向きとなるように平坦な基台に載せ、基台上の原シートの印刷面に接着剤をスプレーした後、接着剤がスプレーされた印刷面に積層シートを載せ、押し付けて接着していた。しかし、かかる接着作業を適切に行うためには作業員に一定の技量が必要であり、作業員の技量に因っては、原シートの色サンプル印刷面に接着される積層シートに皺や撚れが生じてしまい、適切な色判断が困難となっていた。
【0007】
なお、本番用のグラビア印刷機およびラミネート装置を用いて多層シートのサンプルを製造すれば、最終製品と同じ発色のサンプルが得られるため、的確な色の判断が行える。しかし、このサンプルを得るためには、本番用のグラビア印刷機およびラミネート装置をサンプル用に使用しなければならず、その間、製品の製造ができないため、グラビア印刷機およびラミネート装置の稼働率の低下を招く。また、サンプルを得るためには、或る程度の長さの原シートを本番用のグラビア印刷機およびラミネート装置に流さなければならず、原材料ロスが生じ、不経済である。
【0008】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、グラビア校正機によって原シートに色サンプルを印刷した後、原シートをグラビア校正機から取り外すことなく、原シートの色サンプル印刷面に積層シートを適切に接着でき、多層シートの色校正を容易に適確に低コストで実施できるグラビア校正機を用いた積層シートの接着方法及び接着装置並びにグラビア校正機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、互いに平行に配設された軸受部と、これら軸受部に装着された版胴ローラーおよび圧胴ローラーとを備えたグラビア校正機を用い、原シートに色サンプルを印刷した後、原シートの色サンプル印刷面に積層シートを接着する方法であって、圧胴ローラーと平行に配置された原シートロールから繰り出した原シートを圧胴ローラーに仮固定し、その圧胴ローラーと版胴ローラーとを押し付けた状態で、版胴ローラーにインクを供給し、版胴ローラーまたは圧胴ローラーを回転駆動して原シートに色サンプルを印刷する工程と、版胴ローラーを軸受部から取り外してその軸受部に圧着ローラーを装着し、その圧着ローラーと圧胴ローラーとを押し付けた状態で、圧着ローラーに接着剤を供給し、圧着ローラーまたは圧胴ローラーを回転駆動して原シートの色サンプル印刷面に接着剤を塗布する工程と、圧胴ローラーと平行に配置された積層シートロールから繰り出した積層シートを、原シートの色サンプル印刷面と重なるように圧胴ローラーに仮固定し、その圧胴ローラーと圧着ローラーとを押し付けた状態で、圧着ローラーまたは圧胴ローラーを回転駆動して、原シートの色サンプル印刷面に前記積層シートを接着する工程と、を有することを特徴とするグラビア校正機を用いた積層シートの接着方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上述したグラビア校正機を用いた積層シートの接着方法に用いる積層シートの接着装置であって、原シートの色サンプル印刷面に接着される積層シートが巻き付けられる積層シートロールと、積層シートロールを回転自在に支持する支持部と、支持部に設けられ、積層シートロールの回転にブレーキを加えると共にブレーキ力を調整可能なブレーキ機構と、支持部に設けられ、積層シートロールの中心軸がグラビア校正機の圧胴ローラーの中心軸と平行となるようにグラビア校正機に取り付けられる取付部と、を備えたことを特徴とするグラビア校正機を用いた積層シートの接着装置が提供される。
【0011】
本発明に係るグラビア校正機を用いた積層シートの接着装置においては、グラビア校正機が、版胴ローラーに対して接触離間自在であり、接触時に版胴ローラーに供給されたインクを版胴ローラーの表面に凹設されたセルを除いて掻き落とし、離間時に圧胴ローラーの上方に位置するドクターブレードと、ドクターブレードが圧胴ローラーの上方の位置に移動したときそのドクターブレードを覆うドクターカバーとを備えており、上記取付部が、ドクターカバーに取り付けられるものであってもよい。
【0012】
本発明に係るグラビア校正機を用いた積層シートの接着装置においては、ドクターカバーに取り付けられる取付部に係合部(凹部等)を設け、ドクターカバーに覆われるドクターブレードに、係合部と係合する被係合部(支持ピン等)を設けてもよい。
【0013】
本発明に係るグラビア校正機を用いた積層シートの接着装置においては、ドクターカバーが、リンク機構を介してグラビア校正機のハウジングに取り付けられ、リンク機構の作動により圧胴ローラーの上方に位置するドクターブレードを覆う位置とそのドクターブレードから離間する位置とに移動自在であり、ドクターカバーが圧胴ローラーの上方に位置するドクターブレードを覆う位置となったとき、リンク機構を構成する部材同士の隙間に嵌ってリンク機構の姿勢を安定させるスタビライザーを有していてもよい。
【0014】
また、本発明によれば、被印刷物としての原シートが巻き付けられる原シートロールと、互いに平行に配設された軸受部と、これら軸受部に装着された版胴ローラーおよび圧胴ローラーと、記版胴ローラーに対して接触離間自在なドクターブレードと、ドクターブレードが版胴ローラーから離間して圧胴ローラーの上方に移動したときそのドクターブレードを覆うドクターカバーと、版胴ローラーを軸受部から取り外したときその軸受部に装着される圧着ローラーと、原シートの色サンプル印刷面に接着される積層シートが巻き付けられる積層シートロールと、積層シートロールを回転自在に支持する支持部と、支持部に設けられ、積層シートロールの中心軸が圧胴ローラーの中心軸と平行となるようにドクターカバーに取り付けられる取付部と、を備えたことを特徴とするグラビア校正機が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、次の如き効果を発揮できる。
(1)グラビア校正機によって原シートに色サンプルを印刷した後、印刷用の版胴ローラーを接着用の圧着ローラーに代え、原シートをグラビア印刷機から取り外すことなく、原シートの色サンプル印刷面に接着剤を塗布して積層シートを接着している。
(2)すなわち、グラビア校正機によって原シートに色サンプルを印刷するときに用いる版胴ローラーを接着用の圧着ローラーに代え、その圧着ローラーと圧胴ローラーを、積層シートを原シートの色サンプル印刷面に接着する際の挟み送りローラーとして用いている。
(3)ここで、原シートに色サンプルを印刷する際、原シートを挟んで送り出す版胴ローラーの軸受部と圧胴ローラーの軸受部とは、送り出される原シートに皺や撚れを生じさせないようにするため、一定の精度で平行に配置されている。このため、色サンプルが印刷された原シートに積層シートを接着する際、版胴ローラーを軸受部から取り外し圧着ローラーに付け替えることで、圧着ローラーと圧胴ローラーとが印刷時と同等の精度で平行に配置されることになり、接着される積層シートに皺や撚れが生じる事態を抑制できる。
(4)上述のように、グラビア校正機によって原シートに色サンプルを印刷した後、版胴ローラーを圧着ローラーに代えることで、原シートをグラビア校正機から取り外すことなく、原シートの色サンプル印刷面に積層シートを適切に接着でき、多層シートの色校正を、グラビア校正機を用いて、容易に適確に低コストで実施できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
(グラビア校正機1の概要)
図1及び
図2を用いて、本発明の一実施形態に係るグラビア校正機を用いた積層シートの接着方法に用いられるグラビア校正機1について説明する。グラビア校正機1は、既述のように、本番用のグラビア印刷機を用いて実際に印刷(グラビア印刷)する前に、被印刷物としての原シートにテストとして色サンプルを印刷し、その発色の状態を確認(色校正)するための装置である。グラビア校正機1で印刷された色サンプルの発色が所望の状態であれば、そのインクを用いて本番用のグラビア印刷機で実際に印刷することになる。
【0019】
図1、
図2に示すように、このグラビア校正機1は、ハウジング2と、ハウジング2の側壁3に軸受部4を介して回転自在に支持された圧胴ローラー5と、同様に、側壁3に軸受部6を介して回転自在に支持された版胴ローラー7と、側壁3に軸受部8を介して回転自在に支持された原シートロール9とを備えている。これら軸受部4、6、8は、互いに平行に配設されており、各軸受部4、6、8に装着される圧胴ローラー5と版胴ローラー7と原シートロール9とは、互いに平行に配置されている。
【0020】
(原シートロール9)
原シートロール9には、被印刷物としての透明な原シート10が巻き付けられている。原シートロール10から繰り出された透明な原シート10は、それに色サンプルを印刷する際、版胴ローラー7と圧胴ローラー5との間に挟まれ、送り出される。なお、原シート10を透明ではないシート(アルミ蒸着フィルム等)とし、原シート10に接着される後述の積層シート31を透明なシートとしてもよい。この場合、透明な積層シート31を通して原シート10の印刷面が視認されることになる。
【0021】
(版胴ローラー7)
図1、
図2に示す版胴ローラー7の外周面には、原シートロール9から繰り出された原シート10に色サンプルとして印刷すべき文字、図形、記号、模様等が、細かな凹状のセル(グラビア印刷用セル)として形成されている。版胴ローラー7は、ハウジング2内に設けられた駆動装置(図示せず)により、正回転または逆回転駆動され、回転速度、回転角度が調節可能となっている。
【0022】
版胴ローラー7は、軸受部6に対し、着脱自在となっている。詳しくは、
図1に示すように、版胴ローラー7の軸受部6には、水平方向に延出されたセンターシャフト11が設けられており、センターシャフト11に、一対のコーン状部材12が着脱可能に挿通されている。これらコーン状部材12の間には、筒状の版胴ローラー7が挟まれており、センターシャフト11の端部に、固定用のハンドル13がネジによって装着されている。
【0023】
固定用ハンドル13を締め込むことで、
図1の左方のコーン状部材12が右方に移動され、コーン状部材12の間に版胴ローラー7が挟持される。コーン状部材12に挟持された版胴ローラー7は、ハウジング2内に設けられた駆動装置(図示せず)により、回転駆動される。一方、固定用ハンドル13を緩めてセンターシャフト11から取り外すことで、
図1の左方のコーン状部材12をセンターシャフト11から左方に抜き取って、版胴ローラー7を取り外すことができる。
【0024】
(圧胴ローラー5)
圧胴ローラー5は、
図2に仮想線で示すように、版胴ローラー7に対し、接触離間自在となっている。すなわち、
図1に示すように、圧胴ローラー7が支持される軸受部4は、ハウジング2の側壁3に回動自在に取り付けられたクランク部材14に装着されており、作業員が圧胴ハンドル15を操作してクランク部材14を回動させることで、圧胴ローラー5は、
図2に仮想線で示すように、クランク部材14のシャフト16を中心として回動し、版胴ローラー7に対して接触離間する。圧胴ハンドル15は、圧胴ローラー5を回転自在に支持する静止シャフト17の端部に取り付けられている。
【0025】
圧胴ローラー5は、
図2に実線で示すように、版胴ローラー7に接触する位置となったとき、ハウジング2内に設けられた図示しない付勢手段(バネ等)によって版胴ローラー7に所定の力(印圧)で押し付けられる。かかる圧胴ローラー5は、版胴ローラー7の回転に伴って従動回転され、版胴ローラー7との間に原シートロール9から繰り出された原シート10を挟み込んで送り出す。
【0026】
このように、版胴ローラー7と圧胴ローラー5との間に原シート10を所定の力(印圧)で挟み込んで送り出すことで、原シート10に色サンプルを印刷する。この際、版胴ローラー7の軸受部6と圧胴ローラー5の軸受部4とは、送り出される原シート10に皺や撚れを生じさせないようにするため、一定の必要な精度で平行に配置されており、且つ、上述した所定の挟み力に対する耐久性を確保するため、一定の必要な剛性を有している。
【0027】
(ドクターブレード18)
図1、
図2に示すように、グラビア校正機1は、版胴ローラー7に対して接触離間自在なドクターブレード18を備えている。ドクターブレード18は、下端がクサビ状に尖った板体を備えており、グラビア校正機1のハウジング2の側壁3にシャフト19を介して回動自在に取り付けられたアーム20に、装着されている。ドクターブレード18は、作業員がアーム20の先端に取り付けられたドクターハンドル21を操作してアーム20をシャフト19を中心に回動させることで、版胴ローラー7に対して接触離間される。
【0028】
ドクターブレード18は、
図5、
図6に示すように、版胴ローラー7に接触したとき、版胴ローラー7に供給されたインク47を、版胴ローラー7の回転に伴って、版胴ローラー7の表面に凹設されたセルを除いて掻き落とす部材である。かかるドクターブレード18は、
図9、
図10に示すように、版胴ローラー7と交換された圧着ローラー48に接触したとき、圧着ローラー48に供給された接着剤49を圧着ローラー48の表面に凹設されたセルを除いて掻き落とす部材を兼用する。また、ドクターブレード18は、版胴ローラー7から離間したとき、
図2に仮想線で示すように、圧胴ローラー5の上方に位置される。ドクターブレード18は、圧胴ローラー5を版胴ローラー7から離間させるときなど、必要に応じて版胴ローラー7から離間され、圧胴ローラー5の上方に移動される。
【0029】
(ドクターカバー22)
図1、
図2に示すように、グラビア校正機1は、ドクターブレード18が版胴ローラー7から離間して圧胴ローラー5の上方の位置に移動されたとき、そのドクターブレード18を覆うドクターカバー22を備えている。ドクターカバー22は、底面および背面が開口された略直方体状に形成されており、
図2に仮想線で示すように、版胴ローラー7から離間されたドクターブレード18の上方を覆うことで、作業員がドクターブレード18の先端(下端)に接触して怪我をする事態を防止する。
【0030】
図1に示すように、ドクターカバー22は、リンク機構23を介してグラビア校正機1のハウジング2の頂面24に取り付けられ、リンク機構23の作動により、圧胴ローラー5の上方に移動されたドクターブレード18を覆う位置と、そのドクターブレード18から離間してハウジング2の頂面24の上方に退避する位置とに移動自在となっている。リンク機構23は、細長い板状の第1部材25と、同様の第2部材26とを有する。第1部材25および第2部材26の上部がドクターカバー22に夫々ピンで回動自在に取り付けられ、第1部材25および第2部材26の下部がグラビア校正機1のハウジング2の頂面24にボルトナットで装着された取付ブラケット(L字型ブラケット)27に夫々ピンで回動自在に取り付けられている。第1部材25と第2部材26とは、本実施形態では平行に配置されていないが、平行に配置されて平行リンクを構成するようになっていてもよい。
【0031】
ドクターカバー22は、作業員がカバー側面に設けられたカバーハンドル28を操作して、
図1に示す第1部材25および第2部材26を下部のピンを中心に時計回りに回動させることで、仮想線で示すドクターブレード18から右方に離間し、ハウジング2の頂面24の上方に退避する位置に移動する。これにより、第1部材25および第2部材26がドクターブレード18のアーム20の回動軌跡と干渉しない位置に移動し、ドクターブレード18のアーム20がシャフト19を中心として回動可能となり、ドクターブレード18を仮想線の位置と実線の位置とに移動させることができる。ドクターカバー22は、
図1に示すように、仮想線で示すドクターブレード18の上方を覆う位置となったとき、カバー上面22aが水平となるように第1部材25および第2部材26を介してグラビア校正機1のハウジング2に支持される。
【0032】
(グラビア校正機1を用いた積層シート31の接着装置30)
上述のように、
図1、
図2を用いて説明したグラビア校正機1には、色サンプルが印刷された原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31を接着するために、本発明の一実施形態に係るグラビア校正機1を用いた積層シート31の接着装置30が付設されている。かかる積層シート31の接着装置30は、グラビア校正機1とは別に販売されてグラビア校正機1に後付けされてもよいし、最初からグラビア校正機1に取り付けられた状態で一体的に販売されてもよい。
【0033】
図1、
図2に示すように、本実施形態に係るグラビア校正機1を用いた積層シート31の接着装置30は、ドクターカバー22に付設されるものであり、色サンプルが印刷された原シート10の色サンプル印刷面に接着される積層シート(アルミ蒸着シート等)31が巻き付けられた積層シートロール32と、積層シートロール32を回転自在に支持する支持部33と、支持部33に設けられ、積層シートロール32の回転にブレーキを加えると共にブレーキ力を調整可能なブレーキ機構34と、支持部33に設けられ、積層シートロール32の中心軸がグラビア校正機1の圧胴ローラー5の中心軸と平行となるようにグラビア校正機1のドクターカバー22に取り付けられる取付部35と、を備えている。なお、既述したように、積層シート31を透明シートとし、原シート10を透明ではないシート(アルミ蒸着フィルム等)としてもよい。この場合、透明な積層シート31を通して原シート10の印刷面が視認されることになる。
【0034】
(支持部33)
図1に示すように、積層シートロール32の両端部には、ロール32の中心にシャフト36が設けられており、左右のシャフト36は、軸受として機能する支持部33に、夫々回転自在に支持されている。
図1の右方にシャフト36の端部には円板が設けられており、円板には積層シートロール32を回転させるためのハンドル36aが偏芯して設けられている。
【0035】
(ブレーキ機構34)
図1に示すように、積層シートロール32の右側のシャフト36の支持部33には、シャフト36が挿通される孔と連通するように径方向にネジ孔37が形成されており、ネジ孔37には、蝶ボルト38がネジ込まれている。蝶ボルト38の先端のネジ孔37には、ブレーキシュー39がシャフト36に摺接するように配設されている。蝶ボルト38のネジ孔37へのネジ込み度合を調節することで、ブレーキシュー39がシャフト36を押圧する力(ブレーキ力)を調節できる。これらネジ孔37、蝶ボルト38、ブレーキシュー39が、ブレーキ機構34を構成する。
【0036】
ブレーキ機構34は、積層シートロール32から繰り出される積層シート31に適度なテンション(張力)を付与することで、積層シート31に皺や撚れを生じさせないようにし、積層シート31を張った状態として適切に原シート10に接着するために設けられる。なお、ブレーキ機構34は、積層シートロール32の左側のシャフト36の支持部33に設けられてもよい。
【0037】
(取付部35)
図1に示すように、積層シートロール32の左右のシャフト36の支持部(軸受)33には、取付部35としてのブラケット(L字ブラケット等)がネジによって取り付けられており、これらブラケット(取付部35)は、ボルトナット等によって、ドクターカバー22に取り付けられている。ブラケット(取付部35)は、積層シートロール32の中心軸がグラビア校正機1の圧胴ローラー5の中心軸と平行となるように、ドクターカバー22に取り付けられている。
【0038】
(係合部40、被係合部41)
図1の左方のブラケット(取付部35)の下端には、
図2に示すように、U字状の凹部(係合部)40が形成されている。凹部40には、ドクターブレード18を仮想線で示すように版胴ローラー7から離間させて圧胴ローラー5の上方に移動させたとき、ドクターブレード18の端部に設けられた支持ピン(被係合部)41が係合するようになっている。これにより、積層シートロール32から積層シート31が下方に繰り出される際、ドクターカバー22に加わる下向きの荷重の一部が、凹部(係合部)40、支持ピン(被係合部)41、ドクターブレード18、アーム20およびシャフト19を介してハウジング2に支持されることになり、ドクターカバー22の支持剛性を高めることができる。
【0039】
この点を詳述すると、
図2に示すドクターブレード18は、印刷を綺麗に行うべく版胴ローラー7のインクをセルを除いて適切に掻き落とす必要があるため、精度よく版胴ローラー7に接しなければ成らず、ドクターブレード18を回動自在に支持するアーム20およびシャフト19の剛性は高い。よって、かかるアーム20に装着されたドクターブレード18に取り付けた支持ピン41に、ドクターカバー22に取り付けられた取付部35の凹部41を係合することで、ドクターカバー22の支持剛性を高めることができる。
【0040】
この結果、ドクターカバー22に取付部35を介して取り付けられた積層シートロール32から積層シート31が下方にが繰り出される際、ブレーキ機構34のブレーキ力などによってドクターカバー22に下向きの力が加わっても、積層シートロール32の圧胴ローラー5に対する平行度を高精度に保持できる。従って、積層シートロール32から繰り出した積層シート31を、後述にように原シート10に接着する際に、皺や撚れを適切に抑制できる。なお、係合部40および被係合部41は、凹部および支持ピンに限られず、逆の関係でもよく、下向きの荷重を伝達できればどのような形状でも構わない。
【0041】
(スタビライザー42)
図1、
図2に示すように、ドクターカバー22が、リンク機構23の作動により仮想線で示すドクターブレード18を覆う位置となったとき、リンク機構23を構成する第1部材25と第2部材26との隙間に嵌ってリンク機構23の姿勢を安定させるスタビライザー42が設けられている。スタビライザー42は、円柱体43と、円柱体43に側部に形成されたスリット44と、スリット44に差し入れられた第1部材25の板厚部を押さえるネジ45とを備えている。スリット44に差し入れられる第1部材25の位置をその長手方向に変更することで、ドクターカバー22の高さや水平度などを調節できる。
【0042】
リンク機構23に設けられたスタビライザー43は、ドクターカバー22に取り付けられた積層シートロール32から下方に積層シート31が繰り出される際、リンク機構23の姿勢を安定させることで、積層シートロール32の圧胴ローラー5に対する平行度を高める機能を発揮する。従って、積層シートロール32から繰り出した積層シート31を、後述にように原シート10に接着する際に、皺や撚れを適切に抑制できる。
【0043】
(グラビア校正機1を用いた積層シート31の接着方法)
次に、上述したグラビア校正機1およびそれに付設された積層シート31の接着装置30を用いた積層シート31の接着方法について、すなわち、本発明の一実施形態に係るグラビア校正機1を用いた積層シート31の接着方法について、
図3以降を用いて説明する。以下、本方法について、色サンプルの印刷、接着剤の塗布、積層シート31の接着の順番で説明する。
【0044】
(色サンプルの印刷)
先ず、
図1、
図2に示す原シートロール32から繰り出した透明な原シート31に、色サンプルを印刷する工程を、
図3〜
図6を用いて説明する。
図3に示すように、圧胴ローラー5を版胴ローラー7から離間させ、原シートロール9から繰り出した透明な原シート10を、テープ46(両面テープでもよい)等で圧胴ローラー5に仮固定する。このとき、ドクターブレード18は、版胴ローラー7から離間されて圧胴ローラー5の上方に位置し、ドクターカバー22は、そのドクターブレード18を覆う位置となっている。
【0045】
図4に示すように、圧胴ローラー5を版胴ローラー7に接触させ、所定の力で押し付ける。これにより、圧胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10が、版胴ローラー7に所定の力(印圧)で押し付けられる。
図5に示すように、ドクターブレード18を版胴ローラーに接する位置に移動させる。これに先立って、
図4示すドクターカバー22をリンク機構23によってハウジング2の頂面24の上方に退避させておき、
図1に示すリンク機構23がドクターブレード18の移動の邪魔にならないようにしておく。
図5に示すように、ドクターブレード18と版胴ローラー7とで形成されるV溝部に、色サンプル印刷用のインク47を供給する。
【0046】
図6に示すように、版胴ローラー7を回転(半回転程度)させて、圧胴ローラー5を従動回転させ、原シート10を版胴ローラー7と圧胴ローラー5との間に挟み込んで送り出す。これにより、原シート10に色サンプルが印刷される。すなわち、版胴ローラー7の回転に伴って、ドクターブレード18が版胴ローラー7に供給されたインク47を版胴ローラー7の表面に凹設されたセルを除いて掻き落とし、版胴ローラー7のセルの部分のインク47が原シート10に転写され、原シート10に色サンプルが印刷(グラビア印刷)される。その後、圧胴ローラー5を版胴ローラー7から離間させ、色サンプルが印刷された原シート10を、原シートロール9に巻き戻す(
図7参照)。
【0047】
(接着剤の塗布)
次に、原シート10の色サンプル印刷面に接着剤を塗布する工程を、
図7〜
図10を用いて説明する。
図7に示すように、圧胴ローラー5を版胴ローラー7から離間させ、ドクターブレード18を圧胴ローラー5の上方の退避位置に移動させ、ドクターカバー18をドクターブレード18を覆う位置に移動した状態で、版胴ローラー7を軸受部6(
図1参照)から取り外す。なお、ドクターブレード18を退避位置に移動させる前に、ドクターブレード18に付着したインクをウエスや薬剤等で洗浄し、版胴ローラー7を取り外す前に、版胴ローラー7に付着したインクを同様に洗浄しておく。
【0048】
図8に示すように、版胴ローラー7を取り外した軸受部6(
図1参照)に、圧着ローラー48(
図8以降にドットで表示)を取り付ける。圧着ローラー48は、外周面に複数の細かなセル(数十μm程度)が一様に凹設されたローラーであり、後述するように、各セルに保持された接着剤を原シート10の色サンプル印刷面に転写して塗布する機能を発揮する。圧着ローラー48は、版胴ローラー7と同径となっている。
【0049】
図9に示すように、圧胴ローラー5を圧着ローラー48に接触させ、所定の力で押し付ける。これにより、圧胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10(色サンプル印刷済)が、圧着ローラー48に所定の力で押し付けられる。
図9に示すように、ドクターブレード18を圧着ローラー48に接する位置に移動させる。これに先立って、
図8に示すドクターカバー22をリンク機構23によってハウジング2の頂面24の上方(
図1参照)に退避させておき、リンク機構23がドクターブレード18の移動の妨げにならないようにしておく。
図9に示すように、ドクターブレード18と圧着ローラー48とで形成されるV溝部に、接着剤49を供給する。
【0050】
図10に示すように、圧着ローラー48を回転(半回転程度)させて、圧胴ローラー5を従動回転させ、原シート10の色サンプル印刷面に接着剤49を塗布する。すなわち、圧着ローラー48の回転に伴って、ドクターブレード18が圧着ローラー48に供給された接着剤49を圧着ローラー48の表面に一様に凹設されたセルを除いて掻き落とし、圧着ローラー48のセルの部分に保持された接着剤49が原シート10の色サンプル印刷面に一様に転写され、原シート10の色サンプル印刷面に接着剤49が均等に塗布される。その後、圧胴ローラー5を圧着ローラー48から離間させ、色サンプル印刷面の上に接着剤49が塗布された原シート10を、原シートロール9に巻き戻す(
図11参照)。
【0051】
(積層シート31の接着)
次に、接着剤が塗布された原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31を接着する工程を、
図11〜
図13を用いて説明する。
図11に示すように、圧胴ローラー5を圧着ローラー48から離間させ、ドクターブレード18を圧胴ローラー5の上方の退避位置に移動させ、ドクターカバー22をドクターブレード18を覆う位置に移動した状態で、積層シートロール32から繰り出した積層シート31(アルミ蒸着シート等)を、原シート10の色サンプル印刷面(接着剤塗布面)と重なるように、圧胴ローラー5にテープ50(両面テープでもよい)等で仮固定する。なお、ドクターブレード18を退避位置に移動させる前に、ドクターブレード18に付着した接着剤をウエスや薬剤等で洗浄し、圧着ローラー48に付着した接着剤を同様に洗浄しておく。
【0052】
図12に示すように、圧胴ローラー5を圧着ローラー48に接触させ、所定の力で押し付ける。これにより、圧胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10(色サンプル印刷面に接着剤が塗布済)が、積層シート31を介して、圧着ローラー48に所定の力(接着圧)で押し付けられる。その状態で、
図13に示すように、圧着ローラー48を回転(半回転程度)させて、圧胴ローラー5を従動回転させる。これにより、接着剤が塗布された原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31が押し付けられて送り出され、原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31が接着される。
【0053】
(切断)
その後、
図14に示すように、積層シート31を、カッター等の刃具51で切断し、
図15に示すように、圧胴ローラー5を圧着ローラー48から離間させ、積層シート31が接着された原シート10を原シートロール9に巻き戻し、原シート10および積層シート31から成る多層シートをカッター等の刃具51で切断する。最後に、多層シート(積層シート31が接着された原シート10)を原シートロール9から取り外すことで、原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31が接着された多層シートのサンプル(色校正見本)が得られる。
【0054】
(作用・効果)
本実施形態に係るグラビア校正機1を用いた積層シート31の接着方法によれば、次の如き作用、効果を発揮できる。
【0055】
図5、
図6に示すように、グラビア校正機1によって原シート10に色サンプルを印刷した後、
図7、
図8に示すように、印刷用の版胴ローラー7を接着用の圧着ローラー48に代え、原シート10をグラビア印刷機1から取り外すことなく、原シート10の色サンプル印刷面に接着剤を塗布して積層シート31を接着している。
【0056】
すなわち、グラビア校正機1によって原シート10に色サンプルを印刷するときに用いる版胴ローラー7を接着用の圧着ローラー48に代え、その圧着ローラー48と圧胴ローラー5を、
図12に示すように、積層シート31を原シート10の色サンプル印刷面に接着する際の挟み送りローラーとして用いている。
【0057】
ここで、
図5、
図6に示すように、原シート10に色サンプルを印刷する際、原シート10を挟んで送り出す版胴ローラー7と圧胴ローラー5とは、送り出される原シート10に皺や撚れを生じさせないようにするため、一定の精度で平行に配置されている。すなわち、版胴ローラー7の軸受部6(
図1参照)と圧胴ローラー5の軸受部4(
図1参照)とは、グラビア校正機1の機能上、一定の精度で平行に配置されている。
【0058】
従って、原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31を接着するに先立って、
図7、
図8に示すように、版胴ローラー7を軸受部6(
図1参照)から取り外して圧着ローラー48に付け替えることで、付け替えられた圧着ローラー48が、圧胴ローラー5に対して印刷時の版胴ローラー7と同等の精度で平行に配置されることになる。
【0059】
よって、この圧着ローラー48によって、
図9、
図10に示すように、圧着ローラー48とドクターブレード18とで形成されるV溝部に供給された接着剤49を、版胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10に、バランスよく均等に塗布でき、
図11〜
図13に示すように、積層シートロール32から繰り出した積層シート31を、版胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10に、ブレなく適切に押し付けて接着できる。
【0060】
すなわち、
図7、
図8に示すように、版胴ローラー7を軸受部6から取り外し圧着ローラー48に付け替えることで、圧着ローラー48と圧胴ローラー5とが印刷時と同等の精度で平行に配置されることになるため。
図9、
図10に示すように、圧胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10の色サンプル印刷面に、圧着ローラー48に供給された接着剤49を塗布する際、圧着ローラー5が原シート10に均一に押し付けられ、原シート10に接着剤49を均一にむら無く塗布することができる。
【0061】
また、
図11〜
図13に示すように、圧着ローラー48と圧胴ローラー5との間に、積層シートロール32から繰り出した積層シート31を挟み、圧胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10の色サンプル印刷面(接着剤塗布面)に積層シート31を接着する際、積層シート31を挟む圧着ローラー48と圧胴ローラー5とが印刷時と同等の精度で平行に配置された状態となるため、積層シートロール32から繰り出した積層シート31を、圧胴ローラー5に巻き掛けられた原シート10に、ブレなく適切に押し付けて接着でき、接着される積層シート31に皺や撚れが生じる事態を抑制できる。
【0062】
以上説明したように、グラビア校正機1によって原シート10に色サンプルを印刷した後、版胴ローラー7を圧着ローラー48に代えることで、原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31を適切に接着でき、多層シートの色校正を、グラビア校正機1を用いて、容易に適確に低コストで実施できる。
【0063】
また、
図12、
図13に示すように、積層シートロール32から積層シート31が繰り出される際、積層シートロール32の回転が
図1に示すブレーキ機構34によって適度に制動されるため、積層シート31に適切なテンション(張力)が加わる。よって、積層シート31は、積層シートロール32において緩んでバックラッシュ等を起こすことなく、皺や撚れが生じることなく適切に原シート10に接着される。ここで、
図1に示す蝶ボルト38のねじ込み度合を調節し、ブレーキ機構34の制動力を調整することで、積層シート31に最適なテンションを付与できる。
【0064】
図12、
図13に示すように、積層シートロール32から積層シート31が下方に繰り出される際、ドクターブレード18の側部の支持ピン(被係合部)41に、ドクターカバー22に装着された取付部35の凹部(係合部)40が係合した状態となるので、ブレーキ機構34のブレーキ力などによってドクターカバー22に加わる下向きの荷重の一部が、凹部(係合部)40、支持ピン(被係合部)41、ドクターブレード18、アーム20およびシャフト19を介してハウジング2に支持される。従って、ドクターカバー22の支持剛性が高められ、積層シートロール32から積層シート31が下方に繰り出される際、積層シートロール32の圧胴ローラー5に対する平行度を高精度に保持でき、繰り出した積層シート31を原シート10に接着するときの皺や撚れを適切に抑制できる。
【0065】
図1、
図2に示すように、リンク機構23に設けられたスタビライザー43は、ドクターカバー22に取り付けられた積層シートロール32から下方に積層シート31が繰り出される際、リンク機構23を構成する第1部材25と第2部材26との隙間に嵌った状態となり、リンク機構23の姿勢を安定させる。従って、積層シートロール32から下方に積層シート31が繰り出される際、積層シートロール32の圧胴ローラー5に対する平行度のブレが抑制され、積層シートロール32から繰り出した積層シート31を原シート10に接着するときの皺や撚れを適切に抑制できる。
【0066】
図1、
図2に示すように、積層シートロール32は、グラビア校正機1に元々備えられているドクターカバー22に支持される。よって、積層シートロール32を支持する専用の部材(ブラケット等)をグラビア校正機1に追加して設ける必要はなく、コストダウンに繋がる。また、ドクターカバー22は、
図12、
図13に示すように、圧胴ローラー5の上方に位置されるため、圧胴ローラー5と圧着ローラー48とに挟まれる積層シート31が繰り出される積層シートロール32を設置する部材として好適である。
【0067】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0068】
例えば、
図1、
図2に示す版胴ローラー7を回転駆動するのではなく、圧胴ローラー5を回転駆動するようにしてもよい。また、圧胴ローラー5を版胴ローラー7に対して移動させて版胴ローラー7に接触離間自在とするのではなく、版胴ローラー7を圧胴ローラー5に対して移動させて圧胴ローラー5に接触離間自在としてもよい。
【課題】グラビア校正機によって原シートに色サンプルを印刷した後、原シートをグラビア校正機から取り外すことなく、原シートの色サンプル印刷面に積層シートを適切に接着できる方法および装置を提供する。
【解決手段】原シートロール9から繰り出した原シート10を圧胴ローラー5に仮固定し、版胴ローラーにインクを供給し、版胴ローラーを回転駆動して原シート10に色サンプルを印刷し、版胴ローラーを取り外して圧着ローラー48を装着し、圧着ローラー48に接着剤を供給し、圧着ローラー48を回転駆動して原シート10の色サンプル印刷面に接着剤を塗布し、積層シートロール32から繰り出した積層シート31を、原シート10の色サンプル印刷面と重なるように圧胴ローラー5に仮固定し、圧着ローラー48を回転駆動し、原シート10の色サンプル印刷面に積層シート31を接着する。