(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CNS腫瘍が、神経上皮組織の腫瘍、頭蓋および傍脊柱神経の腫瘍、髄膜の腫瘍、造血系の腫瘍、胚細胞腫瘍、トルコ鞍部の腫瘍、リンパ系腫瘍、白血病腫瘍、色素細胞腫瘍、癌性腫瘍、および肉腫性腫瘍からなる群より選択される腫瘍である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
白血病腫瘍が、緑色白血病腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)腫瘍、急性前骨髄性白血病腫瘍、および混合系統白血病腫瘍からなる群より選択される、請求項22に記載の組成物。
分散安定剤が、PEG化ひまし油、Cremophor EL、Cremophor RH 40、PEG化ビタミンE、ビタミンE TPGS、およびジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)からなる群より選択される、請求項49に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明および好ましい実施形態
I. 定義
本明細書において使用される場合、「中枢神経系(CNS)腫瘍」は、脊髄、脳、および目の少なくとも1つに存在する腫瘍であると理解される。腫瘍は、原発性腫瘍、すなわち、CNSの細胞に由来する腫瘍であり得る。腫瘍は離れた部位、すなわち、CNSの外の部位に由来する転移性腫瘍であり得る。また、CNS腫瘍は、CNSのある部位からCNS内の別の部位に、例えば、脳から脊椎に転移し得る。CNS腫瘍としては、神経上皮組織腫瘍、頭蓋および/または傍脊柱神経の腫瘍、髄膜の腫瘍、造血系の腫瘍、胚細胞腫瘍、トルコ鞍部の腫瘍、リンパ腫、白血病、黒色腫、癌腫、および肉腫性腫瘍のうちの1種以上を挙げることができる。白血病腫瘍としては、例えば、緑色白血病腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)腫瘍、急性前骨髄性白血病腫瘍、および混合系統白血病腫瘍が挙げられる。
【0038】
用語「癌」または「腫瘍」は当業者に周知であり、制御されない増殖、不死、転移能、速い成長および増殖速度、細胞死/アポトーシスの減少、およびある特有の形態的特徴などの癌を起こす細胞に典型的な特徴を有する細胞の、例えば被験体における存在を指す。本明細書において使用される場合、用語「癌」は、前癌状態ならびに悪性の癌を含む。
【0039】
本明細書において使用される場合、「癌」は、白血病、リンパ腫、黒色腫、癌腫および肉腫を含むがこれらに限定されない、ヒトにおいて見いだされるすべてのタイプの癌または新生物または悪性腫瘍を指す。本明細書において使用される場合、用語または言葉「癌」、「新生物」、および「腫瘍」は互換的に、また単数形または複数形のいずれでも使用され、悪性形質転換を受けて宿主生物体に対して病原となった細胞を指す。原発性癌細胞(すなわち、悪性形質転換の部位の近くから得られる細胞)は、確立した技術、特に組織学的試験により、容易に非癌細胞と識別することができる。本明細書において使用される癌細胞の定義には原発性癌細胞のみでなく、癌幹細胞、ならびに癌前駆細胞または癌細胞の祖先に由来するいかなる細胞も含まれる。これには、転移した癌細胞、ならびに癌細胞に由来するin vitro培養物および細胞系が含まれる。通常固形腫瘍として現れる癌のタイプについて述べる場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えば、CATスキャン、MR画像、X線、超音波または触診などの方法により腫瘍の塊に基づいて検出可能であるもの、および/または患者から得られるサンプルにおける1種以上の癌特異的抗原の発現のために検出可能であるものである。
【0040】
本明細書において使用される場合、「小児腫瘍」または「小児癌」は、18歳以下の年齢の被験体に最初に確認された腫瘍または癌である。小児腫瘍としては、ユーイング肉腫、白血病、神経芽細胞腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟組織肉腫、およびウィルムス腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「中枢神経系(CNS)異常」は、腫瘍の存在の結果として被験体の行動または身体的健康に変化をもたらすCNS腫瘍の存在の兆候または症状であると理解される。被験体はCNS腫瘍の結果として1種以上のCNS異常を経験し得る。特定のCNS異常は、典型的には、CNS腫瘍の位置、大きさ、およびタイプに少なくとも部分的に依存するであろう。CNS異常としては、頭痛、発作、記憶の変化、特に短期記憶の喪失、気質の変化、例えば、身近な状況により誘発されるパニック発作の突然の発症、知的機能の変化、例えば、数学をおこなうことまたは明瞭な視界の中で物体を見つけることの不可能;錯乱、見当識障害、例えば、身近な場所で道に迷うこと;視力障害、視力喪失、周辺視力の喪失、複視、めまい、聴覚障害、高い耳鳴り(ringing in ears)、低い耳鳴り(buzzing in ears)、発作、筋肉制御の低下、協調の欠除、感覚の低下、衰弱、麻痺、例えば、対麻痺、四肢麻痺、歩行困難または足取りの変化、発語困難、および平衡障害が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において使用される場合、CNS異常は、直接または間接的に被験体を観察している者により、例えば、CNS異常を有する被験体自身により、CNS異常を有する被験体の伴侶もしくは介護者により、または当業者により、報告され得る。CNS異常には、触診により検出される身体的異常、または画像研究において、例えば、CATスキャン、MR画像、X線、超音波などの方法(CNS異常を検出する目的以外の理由でおこなった画像研究を含む)により観察される身体的異常も含まれる。CNS異常は、そのCNS異常の発症の前の時点と比較して定量的または定性的に分析される必要はない。本明細書において使用される場合、CNS異常は、治療を求める前に被験体により認知され得る。ある実施形態において、CNS異常は、他の方法(例えば、CNS異常以外の理由でおこなった画像研究)によるCNS腫瘍の診断の後に認知される。ある実施形態において、CNS腫瘍は、被験体がCNS異常の治療を求めた時に検出される。
【0042】
本明細書において使用される場合、用語「治療する」、「治療すること」または「治療」は、好ましくは、検出可能であるか検出不可能であるかに関わらず、疾患または状態の1つ以上の兆候または症状の軽減または改善、疾患の範囲の縮小、病状の安定(すなわち、悪化しないこと)、病状の改善または一次的緩和、進行速度または進行までの時間の減少、および寛解(部分的または完全のいずれであっても)を含むがこれらに限定されない有益なまたは所望の臨床結果を得るための行為を指す。癌の「治療」は、治療をおこなわない場合に予測される生存期間と比較して延長された生存期間をも意味し得る。治療は治癒的である必要はない。
【0043】
本明細書において使用される場合、「続発性CNS腫瘍の予防」は、例えば、CNSへの癌細胞の溢出を防止することにより、癌にかかっている被験体または癌の治療を受けた被験体における続発性CNS腫瘍の、開始を遅らせること、重篤度を制限すること、または発症の発生率を減少させることであると理解される。ある実施形態において、癌は白血病、例えば緑色白血病である。ある実施形態において、腫瘍は小児腫瘍である。種々の腫瘍タイプのCNSへの腫瘍転移の発症の時期および頻度は当業者に公知である。
【0044】
本明細書において使用される場合、「少なくとも1種のCNS異常の改善」は、CNS腫瘍の治療の結果として被験体が経験する1種以上(例えば、少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種等)のCNS異常の重篤度または頻度の減少であると理解される。少なくとも1種のCNS異常の改善は、1〜10種、2〜10種、3〜10種、4〜10種、5〜15種、またはそれ以上のCNS異常の改善であると理解することができる。改善は、異常の兆候または症状の完全な除去を含む必要はない。
【0045】
「化学療法剤」は、癌の治療に使用される薬物であると理解される。化学療法剤としては、小分子および生物製剤(例えば、抗体、ペプチド薬、核酸薬)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「治療的有効量」は、被験体における疾患を治療するのに十分な量である。治療的有効量は1回またはそれ以上の投与で投与することができる。
【0047】
用語「投与する」、「投与すること」または「投与」は、医薬組成物または薬剤を被験体の全身または被験体の体内もしくは体表面の特定の領域に送達する任意の方法を含む。ある実施形態において、薬剤は経口送達される。ある実施形態において、薬剤は非経口投与される。ある実施形態において、薬剤は注射または注入により送達される。ある実施形態において、薬剤は局所送達(経粘膜を含む)される。本発明のある実施形態において、薬剤は、静脈内、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む、非経口送達により投与される。一実施形態において、本明細書に提供される組成物は腫瘍に直接注射することにより投与し得る。いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、静脈内注射または静脈内注入により投与し得る。ある実施形態において、投与は全身投与である。ある実施形態において、投与は局所投与である。いくつかの実施形態において、例えば、静脈内と腫瘍内、または静脈内と経口(peroral)、または静脈内と経口(oral)、静脈内と局所、または静脈内と経皮もしくは経粘膜などの、1つ以上の投与経路を組み合わせることができる。ある実施形態において、薬剤はCNSに直接投与されない。例えば、薬剤は、髄腔内、腫瘍内、頭蓋内、脳室内、髄内、または眼内送達されない。薬物の投与は、協力して働く多くの人々により実施され得る。薬剤の投与には、例えば、被験体に投与されるべき薬剤の処方、および/または、例えば、経口送達、皮下送達、中心ラインを通した静脈内送達等による自己送達により特定の薬物を服用するための;または例えば、静脈内送達、筋肉内送達、腫瘍内送達等の訓練された専門家による送達のための、直接のまたは他を介した指示の提供が含まれる。
【0048】
本明細書において使用される場合、「製薬上許容される」成分は、合理的な利益/リスク比に見合って、過度の有害副作用(例えば、毒性、刺激、およびアレルギー反応)を伴うことなく、ヒトおよび/または動物に使用するのに適したものである。
【0049】
本明細書において使用される場合、「製剤」は、製薬上許容される担体と組み合わされた活性成分、例えばCoQ10、CoQ10の代謝産物、CoQ10の生合成前駆物質、またはCoQ10関連化合物であると理解される。製剤としては、水性製剤、リポソーム製剤、懸濁剤、エマルション、マイクロエマルション、局所投与のためのクリーム、ローション、および軟膏製剤などの特定の投与経路のための製剤、および経口投与のための固体製剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「安全で治療的に有効な量」は、本開示の方式で使用される場合に、合理的な利益/リスク比に見合って、過度の有害副作用(例えば、毒性、刺激、およびアレルギー反応)を伴うことなく、所望の治療反応をもたらすのに十分な成分の量を指す。「治療的有効量」は、所望の治療反応、例えば、少なくとも1つのCNS腫瘍の兆候または症状の改善(少なくとも1種のCNS異常の改善を含む)をもたらすのに有効な本開示の化合物の量を意味する。特定の安全で有効な量または治療的有効量は、治療される特定の状態、患者の健康状態、治療される哺乳動物または動物のタイプ、治療の期間、(存在する場合には)同時におこなう治療の性質、使用する特定の製剤および化合物またはその誘導体の構造などの要因により変化するであろう。
【0051】
「治療的有効量」は、疾患を治療するために患者に投与される場合に、該疾患の治療に効果を及ぼすのに十分な化合物の量を意味する。疾患を予防するために投与される場合には、量は疾患の開始を回避または遅延するのに十分なものである。「治療的有効量」は、化合物、疾患およびその重篤度、ならびに治療される患者の年齢、体重等に依存して変化するであろう。
【0052】
用語「治療効果」は、薬理活性物質により引き起こされる動物、特に哺乳類、より特定的にはヒトにおける局所的または全身的効果を指す。ここで、前記用語は疾患の診断、治癒、緩和、治療もしくは予防において、または動物またはヒトにおける望ましい身体的または精神的発達および状態の増強において、使用することが意図される任意の物質を意味する。用語「治療的有効量」は、任意の治療に適用可能な合理的な利益/リスク比で何らかの所望の局所的または全身的効果を引き起こす前記物質の量を意味する。ある実施形態において、化合物の治療的有効量は、その治療指数、溶解度等に依存するであろう。例えば、本発明の方法により発見されたある化合物は、前記治療に適用可能な合理的な利益/リスク比を生じさせるのに十分な量で投与することができる。
【0053】
本明細書において使用される場合、「共投与」または「併用療法」は、2種以上の活性薬剤を、別々の製剤もしくは単一の医薬製剤を用いて投与すること、または両方(もしくは全部)の活性薬剤がその生物活性を同時に及ぼす期間が存在するように、任意の順序で連続的に投与することであると理解される。共投与は、薬剤が同時に、同じ頻度で、または同じ投与経路で投与されることを必要としない。化学療法剤の例は本明細書に提供される。
【0054】
本明細書において使用される場合、「共投与」または「併用療法」には、CoQ10化合物を1種以上の化学療法剤と共に投与すること、または2種以上のCoQ10化合物を投与することが含まれる。
【0055】
本明細書において使用される場合、用語「生存」は、疾患または状態、例えば癌の治療を受けた被験体の生命の存続を指す。生存の期間は、臨床試験への参加の時間、以前の治療レジメンの終了または失敗からの時間、診断からの時間などの任意の時点から定義することができる。
【0056】
本明細書において使用される場合、用語「被験体」は、獣医学的被験体を含む、ヒトおよび非ヒト動物を指す。用語「非ヒト動物」としては、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類動物、マウス、ウサギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生動物、および爬虫類動物などの哺乳動物および非哺乳動物が挙げられる。好ましい実施形態において、被験体はヒトであり、患者と呼ばれることがある。
【0057】
本明細書において、冠詞「a」、「an」および「the」は、それに反して他に明白に指示されない限り、1つまたは1つよりも多い(すなわち、少なくとも1つの)該冠詞の文法的対象を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つよりも多い要素を意味する。
【0058】
本明細書において、用語「含む」は、「含むが、それらに限定されない」という表現と同じ意味で使用され、これと互換的に使用される。
【0059】
本明細書において、用語「または」は、文脈により他に明白に指示されない限り、用語「および/または」と同じ意味で使用され、これと互換的に使用される。
【0060】
本明細書において、用語「などの」は、「などであるが、それらに限定されない」という表現と同じ意味で使用され、これと互換的に使用される。
【0061】
本明細書において使用される場合、特に記載されるか文脈から明白でない限り、用語「約」は、当技術分野における通常の許容誤差の範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内であると理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内であると理解することができる。文脈から他に明白でない限り、本明細書に提供されるすべての数値は約という用語を付けることができる。
【0062】
本明細書に提供される範囲は、範囲内のすべての値の省略表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群に属する任意の数、数の組合せ、または部分範囲を含むと理解される。
【0063】
本明細書における可変基の定義における化学基のリストの列挙は、任意の単一の基または挙げられた基の組合せとしてのその可変基の定義を含む。本明細書における可変基の実施形態または態様の列挙は、任意の単一の実施形態としての、または任意の他の実施形態もしくはその一部と組み合わせての、その実施形態を含む。
【0064】
本明細書に提供される任意の組成物または方法は、本明細書に提供される1つ以上の任意の他の組成物および方法と組み合わせることができる。
【0065】
II. コエンザイムQ10化合物
コエンザイムQ10化合物には、CoQ10化合物のクラスが含まれることが意図される。本明細書に記載される方法に有効なコエンザイムQ10化合物としては、CoQ10、CoQ10の代謝産物、CoQ10の生合成前駆物質、CoQ10の類似物質、CoQ10の誘導体、およびCoQ10関連化合物が挙げられる。CoQ10の類似物質には、イソプレニル反復を持たないまたは1つ以上有する類似物質が含まれる。CoQ10は次の構造:
【化1】
【0066】
[式中、xは10である]
を有する。本発明において、CoQ10としては、xが4〜10の任意の数のイソプレニル単位、または6〜10の任意の数のイソプレニル単位、または8〜10の任意の数のイソプレニル単位、または9〜10のイソプレニル単位であるCoQ10の誘導体を挙げることができる。CoQ10としては、完全に酸化された型(ユビキノンとしても知られる)、部分的に酸化された型(セミキノンまたはユビセミキノンとしても知られる)、もしくは完全に還元された型(ユビキノールとしても知られる);またはそれらの任意の混合物もしくは組合せが挙げられる。ある実施形態において、CNS腫瘍を治療するための薬剤はユビキノンである。ある実施形態において、CNS腫瘍を治療するための薬剤はユビキノールである。
【0067】
本発明のある実施形態において、治療薬はコエンザイムQ10(CoQ10)である。コエンザイムQ10は、本明細書においてCoQ10とも呼ばれるが、ユビキノン、またはユビデカレノンとしても知られる。CoQ10は当該技術分野において認められており、さらに国際公開WO 2005/069916に記載されている(その開示全体を参照により本明細書に組み入れる)。CoQ10は、真核細胞のミトコンドリア電子伝達系に存在する一連のポリプレニル2,3-ジメトキシ-5-メチルベンゾキノン(ユビキノン)うちの1つである。ヒト細胞はCoQ10のみを生産し、それは細胞およびすべてのヒト細胞のミトコンドリア膜に見いだされ、中でも肝臓および心臓などの高いエネルギー要求を有する器官において最も高いレベルで見いだされる。CoQ10の体内貯蔵は約2グラムであると推定され、そのうちの50%以上が内因性である。1日およそ0.5グラムのCoQ10を食餌または生合成により得ることが要求される。CoQ10は世界中のサプリメント市場からトン単位の量で製造され、Pasadena、Texasおよび日本、高砂市に工場を有するKanekaから入手することができる。
【0068】
コエンザイムQ10関連化合物としては、ベンゾキノン、イソプレノイド、ファルネソール、ファルネシルアセテート、ファルネシルピロホスフェート、1-フェニルアラニン、d-フェニルアラニン、dl-フェニルアラニン、1-チロシン、d-チロシン、dl-チロシン、4-ヒドロキシ-フェニルピルベート、4-ヒドロキシ-フェニルラクテート、4-ヒドロキシ-シンナメート、チロシンまたはフェニルアラニンのジペプチドおよびトリペプチド、3,4-ジヒドロキシマンデレート、3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール、3-メトキシ-4-ヒドロキシマンデレート、バニリン酸、フェニルアセテート、ピリドキシン、S-アデノシルメチオニン、パンテノール、メバロン酸、イソペンチルピロホスフェート、フェニルブチレート、4-ヒドロキシ-ベンゾエート、デカプレニルピロホスフェート、ベータ-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタレート、アセチルカルニチン、アセトアセチルカルニチン、アセチルグリシン、アセトアセチルグリシン、カルニチン、酢酸、ピルビン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルカルニチン;セリン、アラニン、システイン、グリシン、スレオニン、ヒドロキシプロリン、リジン、イソロイシン、およびロイシンのすべての異性体;カルニチンおよびグリシンの偶数の炭素数を有するC4〜C8脂肪酸(酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸)塩、例えば、パルミトイルカルニチンおよびパルミトイルグリシン;および4-ヒドロキシ-ベンゾエートポリプレニルトランスフェラーゼ、これらの化合物の任意の塩、ならびにそれらの任意の組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、このような薬剤はCNS腫瘍の治療に使用することができる。
【0069】
CoQ10の代謝産物および生合成前駆物質としては、チロシンおよびアセチルCoAからユビキノールへの化学的/生物学的変換の間に形成される化合物が挙げられるが、それらに限定されない。コエンザイム生合成経路の中間物質としては、チロシン、アセチルCoA、3-ヘキサプレニル-4-ヒドロキシベンゾエート、3-ヘキサプレニル-4,5-ジヒドロキシベンゾエート、3-ヘキサプレニル-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾエート、2-ヘキサプレニル-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-ヘキサプレニル-3-メチル-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-ヘキサプレニル-3-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、3-オクタプレニル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-オクタプレニルフェノール、2-オクタプレニル-6-メトキシフェノール、2-オクタプレニル-3-メチル-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-オクタプレニル-3-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-デカプレニル-3-メチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-デカプレニル-3-メチル-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-デカプレニル-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノン、2-デカプレニル-6-メトキシフェノール、3-デカプレニル-4-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾエート、3-デカプレニル-4,5-ジヒドロキシベンゾエート、3-デカプレニル-4-ヒドロキシベンゾエート、4-ヒドロキシフェニルピルベート、4-ヒドロキシフェニルラクテート、4-ヒドロキシ-ベンゾエート、4-ヒドロキシシンナメート、およびヘキサプレニルジホスフェートが挙げられる。ある実施形態において、このような薬剤はCNS腫瘍の治療に使用することができる。
【0070】
III. 組成物
本開示は、癌の治療および予防のためのCoQ10化合物を含有する組成物を提供する。本開示の組成物は、単独で、または好適な担体または賦形剤と混合した医薬組成物として、患者に投与することができる。対象の障害を示す患者の治療において、治療的有効量のこれらなどの薬剤(1種または複数種)を投与する。治療的有効用量は、患者において症状の改善または生存の延長をもたらす化合物の量を指す。
【0071】
本発明の組成物の好適な投与経路としては、いくつかの例を挙げると、静脈内、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む、非経口送達を挙げることができる。一実施形態において、本明細書に提供される組成物は腫瘍に直接注射することにより投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、静脈内注射または静脈内注入により投与することができる。一実施形態において、本発明の組成物は静脈内注射により投与される。一実施形態において、本発明の組成物は静脈内注入により投与される。投与経路が、例えば、静脈内注入である場合、本明細書において、IV注入がおよそ40 mg/mLの濃度の活性薬剤(例えば、CoQ10)を含む実施形態が提供される。組成物をIV注入により投与する場合、組成物をリン酸緩衝食塩水または通常生理食塩水などの製薬上許容される水溶液により希釈することができる。いくつかの実施形態において、例えば、静脈内と腫瘍内、または静脈内と経口(peroral)、または静脈内と経口(oral)、または静脈内と局所、経皮もしくは経粘膜などの、1つ以上の投与経路を組み合わせることができる。
【0072】
本明細書に記載される組成物は、任意の好適な製剤として被験体に投与することができる。これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射溶液および注入溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸剤、粉剤、クリーム、ローション、塗布薬、軟膏、またはペースト、目、耳または鼻への投与のための滴剤、リポソーム、および坐剤などの液体、半固体、および固体の剤形が含まれる。好ましい剤形は意図される投与方式および治療的適用に依存する。
【0073】
ある実施形態において、CoQ10化合物は、植込錠、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤のように、急速な放出に対して保護する担体を用いて調製することができる。エチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生物分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤の調製のための多くの方法が特許を取得しており、または当業者に周知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。
【0074】
例えば、CoQ10化合物は、非経口送達のために、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、または腫瘍内注射のために製剤することができる。組成物は単一のボーラスとして、複数回の注射により、または連続的な注入により(例えば、静脈内もしくは腹膜透析により)、投与することができる。非経口投与のために、組成物は滅菌された発熱物質を含まない形態で製剤され得る。
【0075】
本発明を実施するために、全身投与に適した投薬量の中に、本明細書に開示される化合物を製剤するための製薬上許容される担体を使用することは本開示の範囲に含まれる。担体および好適な製造実務を適正に選択することにより、本開示の組成物、特に溶液として製剤されるものは、静脈内注射などにより非経口投与することができる。
【0076】
前記化合物の毒性および治療効果は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的方法、例えば、LD50(個体数の50%が死に至る用量)およびED50(個体数の50%に治療効果がある用量)を測定するための方法により決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは比LD50/ED50として表すことができる。大きい治療指数を示す化合物が望ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータをヒトにおける使用のための投与量の範囲を処方するために使用することができる。前記化合物の投与量は、ED50を含み、毒性をほとんどまたは全く示さない血中濃度の範囲内とすることができる。投与量は、この範囲内で、使用する剤形および利用する投与経路に依存して変化し得る。
【0077】
本発明における使用に好適な医薬組成物には、その意図される目的を達成するのに有効な量で活性成分が含有される組成物が含まれる。有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示を参照して、当業者が容易に実施することができる。活性成分に加えて、これらの医薬組成物は、好適な製薬上許容される担体(活性成分の薬学的に使用することができる調製物への加工を容易にする賦形剤および助剤を含む)を含有し得る。静脈内投与のために製剤される調製物は、コロイド分散物の溶液の形態であり得る。
【0078】
非経口投与のための医薬組成物には、水溶性の形態の活性化合物の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁液を適切な油性注射懸濁液として調製してもよい。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増大させる物質を含有してもよい。場合により、懸濁液は、好適な安定剤、または化合物の溶解度を増大させて高度に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤を含有してもよい。
【0079】
IV. 製剤
活性薬剤、例えばCoQ10化合物は、所望の投与経路のための任意の製薬上許容される担体中で送達することができる。本明細書において使用される場合、CoQ10化合物を含む製剤は、他に明白に指示されない限り、任意の投与経路のために製剤される。好ましい実施形態において、製剤は、注射、注入、または局所投与による投与のためのものである。
【0080】
本発明の方法に使用するための好ましい治療用製剤は、例えば静脈内投与のための微粒子製剤中に活性薬剤(例えば、CoQ10化合物)を含む。このような静脈内製剤は、例えば、WO2011/112900(その全文を参照により本明細書に組み入れる)に提供されており、静脈内製剤は下に記載する実施例において使用される。高圧均質化により、活性薬剤(例えば、CoQ10化合物)粒子が縮小して、200 nm滅菌フィルターを通るのに十分な程度に小さい粒子が作られる。200 nm滅菌フィルターを通るのに十分な程度に小さい粒子は静脈内注射することができる。これらの粒子は血球よりもはるかに小さいので、毛細血管に塞栓を形成しない。例えば、赤血球は6ミクロン×2ミクロンの円盤状である。粒子は分散し、安定剤により包まれてまたは囲まれている。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、安定剤は疎水性治療薬に引きつけられ、分散された疎水性治療薬の粒子が安定剤により取り囲まれて懸濁液またはエマルションを形成すると考えられる。懸濁液またはエマルション中に分散された粒子は、安定剤の表面および固体粒子の形態(懸濁液)または非混和性液体の形態(エマルション)の疎水性治療薬(例えば、CoQ10化合物)からなるコアを含む。分散された粒子はリポソームの親油性領域の中に定着することができる。
【0081】
分散されたコロイド系により、共溶媒を使用することなく薬物含有量の高い製剤を製造することが可能になる。さらに、低濃度の内在性リポタンパク質担体に依存することなく、比較的再現性のある高い血漿レベルが達成される。より重要なことは、該製剤は、疎水性治療薬のコロイド粒子の受動的蓄積のために、固形腫瘍中に持続的な高い薬物レベルをもたらす。
【0082】
好ましい静脈内製剤は、実質的に、水の連続相および分散された固体(懸濁液)または分散された非混和性の液体(エマルション)を含む。粒子の大部分が活性薬剤(薬物)自体から構成される分散されたコロイド系は、系に十分な安定性を与えることができれば、連続的な可溶化系と比較して、多くの場合、単位体積あたりより多くの薬物を送達することが可能である。
【0083】
製剤媒体として、水溶液としては、ハンクス液、リンゲル液、リン酸緩衝食塩水(PBS)、生理食塩水または非経口送達製剤に適切なpHおよびモル浸透圧濃度を達成するための他の好適な塩または組合せが挙げられる。水溶液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの溶液の粘度を増大させる物質を含有してもよい。
【0084】
活性薬剤(例えば、CoQ10化合物)は、疎水性治療薬のナノ分散粒子が分散安定剤により覆われまたは包まれまたは取り囲まれて活性薬剤(例えば、CoQ10化合物)粒子のナノ分散物を形成しているコロイド分散液が形成されるように、水溶液中に分散される。ナノ分散された活性薬剤(例えば、CoQ10化合物)粒子は、疎水性治療薬により形成されるコアを有し、それが安定剤により取り囲まれている。同様に、ある態様において、安定剤は親水性部分および疎水性部分の両方を有するリン脂質である。リン脂質は均質化されるとリポソームまたは他のナノ粒子を形成する。ある態様において、これらのリポソームは二重層を有する単層リポソームであり、一方、他の実施形態において、リポソームは二重層を有する多層リポソームである。分散された活性薬剤(例えば、CoQ10化合物)粒子は、リン脂質により形成されたリポソームの二重層構造の親油性部分に分散される。ある別の態様において、リポソームのコアは、活性薬剤(例えば、CoQ10化合物)粒子のナノ分散物のコアと同様に、疎水性治療薬により形成され、外層はリン脂質の二重層構造により形成される。ある実施形態において、コロイド分散物は、凍結乾燥法により処理することにより、ナノ粒子分散物を乾燥した粉末に変換される。
【0085】
いくつかの実施形態において、使用される注射または注入用製剤は、WO2011/112900において調製された通りの、ナノ懸濁液にCoQ10を含有する4%滅菌水性コロイド分散物である。ある実施形態において、製剤は、水溶液;分散されて粒子のコロイドナノ分散物を形成する疎水性活性薬剤、例えば、CoQ10、CoQ10前駆物質もしくは代謝産物またはCoQ10関連化合物;ならびに分散安定剤およびオプソニン化抑制剤の少なくとも1種を含み、活性薬剤のコロイドナノ分散物は200 nm未満の平均粒径を有するナノ分散物粒子に分散されている。
【0086】
ある実施形態において、分散安定剤としては、PEG化ひまし油、Cremphor EL、Cremophor RH 40、PEG化ビタミンE、ビタミンE TPGS、およびジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
ある実施形態において、オプソニン化抑制剤はポロキサマーまたはポロキサミンである。
【0088】
ある実施形態において、コロイドナノ分散物は懸濁液またはエマルションであり、場合により、コロイドナノ分散物は結晶の形態または過冷却溶融物の形態である。
【0089】
ある実施形態において、製剤は、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、ノイラミン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、N-メチルグルコサミン、マンニトール、ソルビトール、アルギニン、グリシンおよびスクロース、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない栄養糖などのリオプロテクタントを含む。
【0090】
ある実施形態において、注射用製剤は、水溶液;分散されて粒子のコロイドナノ分散物を形成する疎水性活性薬剤;および分散安定剤およびオプソニン化抑制剤の少なくとも1つを含む。活性薬剤のコロイドナノ分散物は200 nm未満の粒径を有するナノ分散物粒子に分散されている。いくつかの実施形態において、分散安定剤は天然または半合成リン脂質より選択される。例えば、好適な安定剤としては、ポリエトキシ化(a/k/a PEG化)ひまし油(Cremophor(登録商標)EL)、ポリエトキシ化水素化ひまし油(Cremophor(登録商標)RH 40)、トコフェロールポリエチレングリコールサクシネート(PEG化ビタミンE、ビタミンE TPGS)、ソルビタン脂肪酸エステル(Spans(登録商標))、胆汁酸および胆汁酸塩またはジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)が挙げられる。いくつかの実施形態において、安定剤はDMPCである。
【0091】
ある実施形態において、製剤は、静脈内、腹腔内、同所、頭蓋内、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、鼻腔内、または眼内注射を含む非経口投与に適している。ある実施形態において、製剤は、CoQ10、ジミリストイルホスファチジルコリン、およびポロキサマー188を、それぞれ4:3:1.5の比で含有する。これは、粒子のナノ懸濁液を安定化するために設計されたものである。いくつかの実施形態において、製剤は、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよび水を含有する注射用リン酸緩衝食塩水を含む。ある実施形態において、ナノ懸濁液中にCoQ10を含有する4%滅菌水性コロイド分散物は、リン酸緩衝食塩水により、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20または任意の2つの値により囲まれた他の適切な比を与えるように希釈される。
【0092】
いくつかの実施形態において、製剤は局所製剤である。CoQ10化合物の局所製剤は、例えば、WO2010/132507、WO2009/126764、WO2008116135、およびWO2005/069916に提供されており、それぞれの全文を参照により本明細書に組み入れる。
【0093】
局所投与に好適な製剤としては、塗布薬、ローション、クリーム、軟膏またはペーストなどの皮膚を通した浸透に好適な液体または半液体調製物、および目、耳または鼻への投与に好適な滴剤が挙げられる。本開示の滴剤としては滅菌された水性または油性の溶液または懸濁液が挙げられ、活性成分を殺細菌剤および/または殺真菌剤および/または他の好適な保存剤(およびいくつかの実施形態において界面活性剤を含む)の好適な水溶液に溶解することにより調製することができる。次に、得られた溶液を濾過により浄化および滅菌して、無菌技術により容器に移す。滴剤に含有させるのに適した殺細菌剤および殺真菌剤の例は、硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製に好適な溶媒としては、グリセリン、希アルコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0094】
本開示のローションとしては、皮膚または目への適用に好適なものが挙げられる。点眼剤は、場合により殺細菌剤を含有する滅菌水溶液を含み、滴剤の調製と同様の方法により調製することができる。皮膚に適用するためのローションまたは塗布薬は、アルコールなどの乾燥を促進して皮膚を冷却するための薬剤、および/またはグリセリンなどの保湿剤またはひまし油もしくは落花生油などの油を含んでもよい。
【0095】
本発明の方法において有用なクリーム、軟膏またはペーストは、活性成分の外部適用のための半固体製剤である。それらは、微細に粉砕された形態または粉末の形態の活性成分を、単独でまたは水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、好適な機械を用いて、グリース状のまたはグリース状でない基剤と混合することにより製造することができる。基剤としては、硬、軟もしくは液体パラフィンなどの炭化水素、グリセリン、蜜蝋、金属石鹸;ゴム糊;アーモンド油、コーン油、落花生油、ひまし油またはオリーブ油などの天然起源の油;羊毛脂またはその誘導体、またはプロピレングリコールもしくはマクロゲル(macrogels)などのアルコールと共に用いるステアリン酸もしくはオレイン酸などの脂肪酸を挙げることができる。製剤には、ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体などのアニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤などの任意の好適な界面活性剤を組み入れることができる。天然ゴム、セルロース誘導体またはシリカ(silicaceous silica)などの無機材料などの懸濁剤、およびラノリンなどの他の成分を含んでもよい。
【0096】
いくつかの実施形態において、局所送達ビヒクルの残りの成分は、水または水相、例えば精製水、例えば脱イオン水、グリセリン、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、フェノキシエタノール、および架橋アクリル酸ポリマーであり得る。このような送達ビヒクル組成物は、組成物の総重量に対して約50〜約95%の量の水または水相を含有し得る。存在する水の特定の量は重要でなく、所望の粘度(通常約50 cps〜約10,000 cps)および/または他の成分の濃度を得るために調節することができる。局所送達ビヒクルは、約30センチポイズ以上の粘度を有し得る。
【0097】
局所製剤は、油相を含んでもよく、油相は、例えば、皮膚軟化剤、脂肪アルコール、乳化剤、それらの組み合わせ等を含み得る。例えば、油相は、C12〜15アルキルベンゾエート(FINSOLV(商標)TNとしてFinetex Inc. (Edison, N.J.)より市販されている)、カプリン酸-カプリル酸トリグリセリド(MIGLYOL(商標)812としてHulsより市販されている)等などの皮膚軟化剤を含み得る。利用することができる他の好適な皮膚軟化剤としては、植物由来の油(コーン油、ベニバナ油、オリーブ油、マカダミアナッツ油等);カプリン酸エステル、リノール酸エステル、ジリノール酸エステル、イソステアリン酸エステル、フマル酸エステル、セバシン酸エステル、乳酸エステル、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステル等を含む種々の合成エステル;合成中鎖トリグリセリド、シリコーン油またはポリマー;セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ラウリルアルコール、それらの組合せ等などの脂肪アルコール;およびグリセリルステアレート、PEG-100ステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルステアレーSE、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等を含む中和または部分中和された脂肪酸を含む乳化剤;脂肪酸を含有する植物油抽出物、セテアレス-20、セテス-20、PEG-150ステアレート、PEG-8ラウレート、PEG-8オレエート、PEG-8ステアレート、PEG-20ステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-150ジステアレート、PEG-8ジステアレート、それらの組合せ等;または当業者の権限の範囲で皮膚軟化剤として使用される化粧品製造上または製薬上許容される他の無極性材料、それらの組合せ等が挙げられる。
【0098】
また、局所製剤は、例えば、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、およびそれらの組合せなどのリン脂質、少なくとも1種の親油性生物活性剤、ならびに少なくとも1種の可溶化剤を含むリポソーム濃縮物を含み得る。リポソーム濃縮物は、少なくとも1種の透過促進剤を組成物の約0.5重量%〜約20重量%の量で有する少なくとも1種の製薬上許容される担体と組み合わせてもよい。リン脂質は組成物の約2重量%〜約20重量%の量で組成物中に存在することができ、生物活性剤は組成物の約0.5重量%〜約20重量%の量で存在し得る。
【0099】
CoQ10の送達を促進するために経皮皮膚透過促進剤を使用することもできる。例としては、エトキシジグリコール、1,3-ブチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2-ペンタンジオール、プロピレングリコール、2-メチルプロパン-2-オール、プロパン-2-オール、エチル-2-ヒドロキシプロパノエート、ヘキサン-2,5-ジオール、ジ(2-ヒドロキシプロピル)エーテル、ペンタン-2,4-ジオール、アセトン、ポリオキシエチレン(2)メチルエーテル、2-ヒドロキシプロピオン酸、2-ヒドロキシオクタン酸、プロパン-1-オール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ブタン-1,4-ジオール、プロピレングリコールジペラルゴネート、ポリオキシプロピレン15ステアリルエーテル、オクチルアルコール、オレイルアルコールのポリオキシエチレンエステル、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ジオクチルアジペート、ジカプリルアジペート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート、ジメチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジブチルスベレート、ジオクチルアゼレート、ジベンジルセバケート、ジブチルフタレート、ジブチルアゼレート、エチルミリステート、ジメチルアゼレート、ブチルミリステート、ジブチルサクシネート、ジデシルフタレート、デシルオレエート、エチルカプロエート、エチルサリチレート、イソプロピルパルミテート、エチルラウレート、2-エチル-ヘキシルペラルゴネート、イソプロピルイソステアレート、ブチルラウレート、ベンジルベンゾエート、ブチルベンゾエート、ヘキシルラウレート、エチルカプレート、エチルカプリレート、ブチルステアレート、ベンジルサリチレート、2-ヒドロキシオクタン酸、ジメチルスルホキシド、メチルスルホニルメタン、n,n-ジメチルアセトアミド、n,n-ジメチルホルムアミド、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン、1,5-ジメチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、ホスフィンオキシド、糖エステル、テトラヒドロフルフラルアルコール、尿素、ジエチル-m-トルアミド、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、およびそれらの組合せなどのスルホキシドである。
【0100】
可溶化剤、特に局所投与のための可溶化剤としては、ポリオキシアルキレンデキストラン、サッカロースの脂肪酸エステル、オリゴグルコシドの脂肪アルコールエーテル、グリセリンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ソルビタンのポリエトキシ化脂肪酸エステル、ポリ(エチレンオキシド)の脂肪酸エステル、ポリ(エチレンオキシド)の脂肪アルコールエーテル、ポリ(エチレンオキシド)のアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、エトキシ化油、およびそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0101】
局所製剤は、C12〜15アルキルベンゾエート、カプリン-カプリルトリグリセリド、植物由来の油、カプリン酸エステル、リノール酸エステル、ジリノール酸エステル、イソステアリン酸エステル、フマル酸エステル、セバシン酸エステル、乳酸エステル、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステル、合成中鎖トリグリセリド、シリコーン油、ポリマーおよびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない皮膚軟化剤を含むことができ;脂肪アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ラウリルアルコールおよびそれらの組合せからなる群より選択され;乳化剤は、グリセリルステアレート、ポリエチレングリコール100ステアレート、中和された脂肪酸、部分中和された脂肪酸、ポリエチレングリコール150ステアレート、ポリエチレングリコール8ラウレート、ポリエチレングリコールオレエート、ポリエチレングリコール8ステアレート、ポリエチレングリコール20ステアレート、ポリエチレングリコール40ステアレート、ポリエチレングリコール150ジステアレート、ポリエチレングリコール8ジステアレート、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0102】
局所製剤は、水、アミン、乳酸ナトリウム、および乳酸のうちの1種以上を含む中和相を含み得る。
【0103】
水相はさらに、場合により、架橋アクリル酸ポリマー、プルラン、マンナン、スクレログルカン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、キサンタンガム、アカシアガム、アラビアガム、トラガカント、ガラクタン、カロブガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、カラギーニン、ペクチン、アミロペクチン、寒天、クインスシード、米デンプン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、藻類抽出物、デキストラン、サクシノグルカン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトナイト、および無水ケイ酸からなる群より選択される粘度調節剤と組み合わせて、透過促進剤を含む1以上の水相を含んでもよい。
【0104】
また、局所製剤は、二酸化チタンなどの顔料を含み得る。
【0105】
一実施形態において、本発明の方法において使用するための局所製剤は、C12〜15アルキルベンゾエート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、グリセリルステアレート、およびポリエチレングリコール100ステアレートを組成物の約5重量%〜約20重量%の量で含む油相;グリセリン、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、フェノキシエタノール、水、および架橋アクリル酸ポリマーを組成物の約60〜約80重量%の量で含む水相;水、トリエタノールアミン、乳酸ナトリウム、および乳酸を組成物の約0.1重量%〜約15重量%の量で含む中和相;二酸化チタンを組成物の約0.2重量%〜約2重量%の量で含む顔料;ならびにソルビタンのポリエトキシ化脂肪酸エステル、コエンザイムQ10、ホスファチジルコリンレシチン、フェノキシエタノール、プロピレングリコール、および水を組成物の約0.1重量%〜約30重量%の量で含むリポソーム濃縮物を含み、プロピレングリコールとエトキシジグリコールが合計で組成物の3重量%〜約15重量%の量で存在し、コエンザイムQ10が組成物の約0.75重量%〜約10重量%の量で存在する。本発明の方法において使用するための他の製剤は、例えば、WO2008/116135に提供されており、これを参照により本明細書に組み入れる。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明において使用するための任意の投与経路のための製剤は、約0.001%〜約20%(w/w)のCoQ10、より好ましくは、約0.01%〜約15%、さらに好ましくは、約0.1%〜約10%(w/w)のCoQ10を含み得る。一実施形態において、製剤は約4%(w/w)のCoQ10を含む。一実施形態において、製剤は約8%(w/w)のCoQ10を含む。さまざまな実施形態において、製剤は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%(w/w)のCoQ10、または列挙された任意の2つの値により囲まれた任意の範囲のCoQ10を含む。CoQ10は、Kaneka Q10よりKaneka Q10(USP UBIDECARENONE)として、粉末の形態で入手することができる(Pasadena, Texas, USA)。本明細書に例示される方法に使用されるCoQ10は以下の特徴を有する:残留溶媒はUSP 467の要件を満たし;水含有量は、0.0%未満、0.05%未満、または0.2%未満であり;強熱残分は0.0%、0.05%未満、または0.2%未満であり;重金属含有量は0.002%未満、または0.001%未満であり;純度は98〜100%または99.9%または99.5%の間である。
【0107】
ある実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は、1 mg/mL〜150 mg/mLの間である。一実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は5 mg/mL〜125 mg/mLの間である。一実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は10 mg/mL〜100 mg/mLの間である。一実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は20 mg/mL〜90 mg/mLの間である。一実施形態において、CoQ10の濃度は30 mg/mL〜80 mg/mLの間である。一実施形態において、CoQ10の濃度は30 mg/mL〜70 mg/mLの間である。一実施形態において、CoQ10の濃度は30 mg/mL〜60 mg/mLの間である。一実施形態において、CoQ10の濃度は30 mg/mL〜50 mg/mLの間である。一実施形態において、CoQ10の濃度は35 mg/mL〜45 mg/mLの間である。上限または下限として前記の値の任意の1つを有する別の範囲、例えば、10 mg/mL〜50 mg/mLの間、または20 mg/mL〜60 mg/mLの間も、この発明の一部であることが意図されると理解されるべきである。
【0108】
ある実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は、約10、15、20、25、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95 mg/mLである。一実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は約50 mg/mLである。一実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は約60 mg/mLである。一実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は約30 mg/mLである。好ましい実施形態において、製剤中のCoQ10の濃度は約40 mg/mLである。上限または下限としてこれらの値の任意の1つを有する範囲、例えば、37 mg/mL〜47 mg/mLの間、または31 mg/mL〜49 mg/mLの間も、この発明の一部であることが意図されると理解されるべきである。
【0109】
CoQ10前駆物質、代謝産物、および関連化合物を含有する製剤も同様に調製することができると理解される。
【0110】
V. 癌の治療
本開示の製剤は、原発性腫瘍および続発性腫瘍を含む癌の治療に利用することができる。したがって、本発明は、本発明の製剤を癌を治療または予防するのに十分な量で被験体に投与し、それにより癌を治療または予防することを含む、被験体における癌を治療または予防する方法を提供する。本発明の製剤は、腫瘍細胞の成長を阻害するためにも利用することができる。したがって、本発明はさらに、本発明の製剤を、腫瘍細胞の成長が阻害されるように、被験体に投与することを含む、被験体における腫瘍細胞の成長を阻害する方法を提供する。本発明はまた、製剤をCNSへの直接投与以外の経路により、すなわち、髄腔内、頭蓋内、脳室内、髄内、または眼内ではない経路により被験体に投与する実施形態を提供する。ある実施形態において、薬剤はCNS腫瘍の中に投与されない。ある実施形態において、被験体はヒト被験体である。
【0111】
前記製剤は、疎水性治療薬、例えばCoQ10、その代謝産物、またはCoQ10関連化合物を、製薬上許容される担体中に含み得る。いくつかの実施形態において、このような製剤は、約0.001%〜約20%(w/w)のCoQ10、より好ましくは約0.01%〜約15%、さらに好ましくは約0.1%〜約10%(w/w)のCoQ10を含み得る。一実施形態において、製剤は約4%(w/w)のCoQ10を含む。一実施形態において、製剤は約8%(w/w)のCoQ10を含む。さまざまな実施形態において、製剤は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%(w/w)のCoQ10、またはそれらの値により囲まれる任意の範囲のCoQ10を含む。本明細書に記載される通り、本開示の組成物は、当業者の権限の範囲に含まれる任意の手段または投与経路により被験体に導入することができる液体の形態であってよい。例えば、組成物は、静脈内、腫瘍内、それらの組合せ等を含むがそれらに限定されない投与経路により投与することができる。
【0112】
本発明のある実施形態において、CoQ10、CoQ10前駆物質、代謝産物、または関連化合物の製剤を、治療または予防が引き起こされるようにヒトに静脈内投与することによるヒトにおける癌を治療または予防するための方法が提供され、この方法において、ヒトは、好ましくは、CoQ10が約0.5 mg/kg〜約10,000 mg/kg、約5 mg/kg〜約5,000 mg/kg、約10 mg/kg〜約3,000 mg/kgの範囲で投与されるような製剤の用量を投与される。一実施形態において、好ましくは、CoQ10が約10 mg/kg〜約1,400 mg/kgの範囲で投与されるように製剤を投与する。一実施形態において、好ましくは、CoQ10が約10 mg/kg〜約650 mg/kgの範囲で投与されるように製剤を投与する。一実施形態において、好ましくは、CoQ10が約10 mg/kg〜約200 mg/kgの範囲で投与されるように製剤を投与する。さまざまな実施形態において、好ましくは、CoQ10が約2 mg/kg、5 mg/kg、10 mg/kg、15 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、35 mg/kg、40 mg/kg、45 mg/kg、50 mg/kg、55 mg/kg、56 mg/kg、57 mg/kg、58 mg/kg、59 mg/kg、60 mg/kg、65 mg/kg、70 mg/kg、75 mg/kg、76 mg/kg、77 mg/kg、78 mg/kg、79 mg/kg、80 mg/kg、85 mg/kg、90 mg/kg、95 mg/kg、100 mg/kg、101 mg/kg、102 mg/kg、103 mg/kg、104 mg/kg、105 mg/kg、106 mg/kg、107 mg/kg、108 mg/kg、109 mg/kg、110 mg/kg、120 mg/kg、130 mg/kg、140 mg/kg、150 mg/kg、160 mg/kg、170 mg/kg、180 mg/kg、190 mg/kgまたは200 mg/kgの用量で投与されるように製剤を投与する。さまざまな実施形態において、好ましくは、CoQ10が2 mg/kg、5 mg/kg、10 mg/kg、15 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、35 mg/kg、40 mg/kg、45 mg/kg、50 mg/kg、55 mg/kg、56 mg/kg、57 mg/kg、58 mg/kg、59 mg/kg、60 mg/kg、65 mg/kg、70 mg/kg、75 mg/kg、76 mg/kg、77 mg/kg、78 mg/kg、79 mg/kg、80 mg/kg、85 mg/kg、90 mg/kg、95 mg/kg、100 mg/kg、101 mg/kg、102 mg/kg、103 mg/kg、104 mg/kg、105 mg/kg、106 mg/kg、107 mg/kg、108 mg/kg、109 mg/kg、110 mg/kg、120 mg/kg、130 mg/kg、140 mg/kg、150 mg/kg、160 mg/kg、170 mg/kg、180 mg/kg、190 mg/kgまたは200 mg/kg以上の用量で投与され、その際にその用量が何らの制限的な毒性をもたらさないように製剤を投与する。上限または下限としてこれらの値の任意の1つを有する範囲、例えば、約50 mg/kg〜約200 mg/kg、または約650 mg/kg〜約1400 mg/kg、または約55 mg/kg〜約110 mg/kgもこの発明の一部であることが意図されると理解されるべきである。一実施形態において、投与される用量は、約1 mg/kg以上、約5 mg/kg以上、約10 mg/kg以上、約12.5 mg/kg以上、約20 mg/kg以上、約25 mg/kg以上、約30 mg/kg以上、約35 mg/kg以上、約40 mg/kg以上、約45 mg/kg以上、約50 mg/kg以上、約55 mg/kg以上、約60 mg/kg以上、約75 mg/kg以上、約100 mg/kg以上、約125 mg/kg以上、約150 mg/kg以上、約175 mg/kg以上、約200 mg/kg以上、約300 mg/kg以上、または約400 mg/kg以上である。ある実施形態において、投与される用量は、約20 mg/kg、約25 mg/kg、約30 mg/kg、約35 mg/kg、約40 mg/kg、約45 mg/kg、約50 mg/kg、約55 mg/kg、約60 mg/kg、約75 mg/kg、約100 mg/kg、約125 mg/kg、約150 mg/kg、約175 mg/kg、約200 mg/kg、約300 mg/kg、約400 mg/kg、約500 mg/kg、約600 mg/kg、約700 mg/kg、約800 mg/kg、約900 mg/kg、約1000 mg/kg、約1100 mg/kg、約1200 mg/kg、または約1300 mg/kg以下である。任意の下限値および上限値を組み合わせて範囲を作ることが可能であると理解される。ある実施形態において、投与される用量は、75 mg/kgまたは100 mg/kg以上、またはヒトにおける約12.2または16.2 mg/kg/日以上に対するラットの同等値、または1週間で85 mg/kg以上、または1週間で113 mg/kg以上である。
【0113】
一実施形態において、製剤、好ましくはCoQ10製剤は週1回投与される。一実施形態において、製剤、好ましくはCoQ10製剤は週3回投与される。別の実施形態において、製剤、好ましくはCoQ10製剤は週5回投与される。一実施形態において、製剤、好ましくはCoQ10製剤は1日1回投与される。製剤が注入により投与されるIV製剤であるいくつかの実施形態において、投与量は約1時間、2時間、3時間、4時間またはそれ以上に渡って注入により投与される。一実施形態において、IV製剤は約4時間に渡って注入により投与される。
【0114】
ある実施形態において、製剤、好ましくはCoQ10製剤は、1サイクルまたはそれ以上のサイクルで投与することができる。例えば、CoQ10は、2、3、4、5、6、7、8週間またはそれ以上に渡って継続的に投与した後、1、2、3、4週間またはそれ以上の期間に渡って投与をおこなわないという投与サイクルで提供することができる。投与サイクルの数は、例えば、被験体の反応、疾患の重篤度、および被験体に対して使用される他の治療的介入に依存する。
【0115】
別の実施形態において、製剤、好ましくはCoQ10製剤は、CoQ10 IV製剤の形態で、約10 mg/kg〜約10,000 mg/kgのCoQ10、約20 mg/kg〜約5000 mg/kg、約50 mg/kg〜約3000 mg/kg、約100 mg/kg〜約2000 mg/kg、約200 mg/kg〜約1000 mg/kg、約300 mg/kg〜約500 mg/kg、または約55 mg/kg〜約110 mg/kg(ここで、CoQ10製剤は約1%〜10%のCoQ10を含む)の投与量で投与される。一実施形態において、CoQ10製剤は約4%のCoQ10を含む。一実施形態において、CoQ10 IV製剤は約8%のCoQ10を含む。他の実施形態において、CoQ10 IV製剤は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%または10%のCoQ10を含む。上限または下限としてこれらの値のうちの任意の1つを有する範囲もこの発明の一部であることが意図されると理解されるべきである。
【0116】
CNS癌の治療において、製剤は、製薬上許容される担体中の製剤とすることができ、これを単剤療法として、与えられた適応症のための1種以上の他の化学療法剤と組み合わせて、放射線療法と組み合わせて、腫瘍を根本的に除去するための外科的介入の後に、他の代替的および/または補足的な受容可能な癌治療と組み合わせて等のいずれかで、治療的有効量で被験体に投与することができる。
【0117】
一般的に、本明細書に記載されるCoQ10製剤は、任意の新生物を治療するために予防的または治療的に使用し得る。特定の実施形態において、製剤は原発性および続発性CNS腫瘍の両方を含むCNS腫瘍を治療するために使用される。続発性CNS新生物に冒されている者は、体内の1箇所以上の他の部位において新生物に冒されている可能性があると理解される。一実施形態において、本明細書に記載されるCoQ10製剤は、緑色白血病、例えば中枢神経系に存在する、移動するまたは転移する、例えば続発性または転移性緑色白血病を治療するために使用することができる。
【0118】
ある実施形態において、癌細胞に対して有し得るCoQ10の効果は、癌細胞が示す代謝フラックスおよび酸化フラックスのさまざまな状態に部分的に依存し得る。CoQ10は、発癌細胞の解糖への依存性および増大する乳酸利用の変化の遮断および/または妨害を利用し得る。癌の状態に関連するので、腫瘍微小環境の解糖フラックスおよび酸化フラックスに対するこの妨害は、癌細胞の発達を減少させる方式でアポトーシスおよび血管新生に影響を与え得る。いくつかの実施形態において、CoQ10と解糖および酸化フラックス因子との相互作用が、癌にその回復性アポトーシス効果を及ぼすCoQ10の能力を増強し得る。本開示はCoQ10およびその代謝産物に焦点を当ててきたが、CoQ10の代わりに、またはCoQ10と組み合わせて投与し得るCoQ10に関連する他の化合物としては、ベンゾキノン、イソプレノイド、ファルネソール、ファルネシルアセテート、ファルネシルピロホスフェート、1-フェニルアラニン、d-フェニルアラニン、dl-フェニルアラニン、1-チロシン、d-チロシン、dl-チロシン、4-ヒドロキシ-フェニルピルベート、4-ヒドロキシ-フェニルラクテート、4-ヒドロキシ-シンナメート、チロシンまたはフェニルアラニンのジペプチドおよびトリペプチド、3,4-ジヒドロキシマンデレート、3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール、3-メトキシ-4-ヒドロキシマンデレート、バニリン酸、フェニルアセテート、ピリドキシン、S-アデノシルメチオニン、パンテノール、メバロン酸、イソペンチルピロホスフェート、フェニルブチレート、4-ヒドロキシ-ベンゾエート、デカプレニルピロホスフェート、ベータ-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタレート、アセチルカルニチン、アセトアセチルカルニチン、アセチルグリシン、アセトアセチルグリシン、カルニチン、酢酸、ピルビン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルカルニチン;セリン、アラニン、システイン、グリシン、スレオニン、ヒドロキシプロリン、リジン、イソロイシン、およびロイシンのすべての異性体;カルニチンおよびグリシンの偶数の炭素数を有するC4〜C8脂肪酸(酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸)塩、例えば、パルミトイルカルニチンおよびパルミトイルグリシン;および4-ヒドロキシ-ベンゾエートポリプレニルトランスフェラーゼ、これらの化合物の任意の塩、ならびにそれらの任意の組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
一実施形態において、本明細書に記載されるCoQ10の投与は、CNS腫瘍の大きさを減少させ、CNS腫瘍の成長を阻害し、および/またはCNS腫瘍を有する被験体の生存期間を適切な対照と比較して延長する。したがって、本発明はまた、有効で無毒の量のCoQ10をヒトまたは他の動物に投与することによる、ヒトまたは他の動物におけるCNS腫瘍を治療する方法に関する。例えば、IV投与により有効量を投与することによる。または、例えば、局所投与により有効量を投与することによる。当業者は、本明細書に提供される指針を用いた通常の実験により、悪性腫瘍の治療の目的に適したCoQ10の有効で無毒の量を決定することが可能であろう。例えば、CoQ10の治療的有効量は、被験体の病状(例えば、ステージIとステージIV)、年齢、性別、内科的合併症(例えば、免疫抑制状態または疾患)および体重、ならびに被験体に所望の反応を引き出すCoQ10の能力などの要因により変化し得る。投与レジメンは最適な治療反応を提供するように調節することができる。例えば、毎日数回に分けた用量を投与してもよく、または治療状況の要求により示される通りに用量を比例的に減少させてもよい。
【0120】
本発明のある実施形態において、方法には、さらに、手術、放射線、ホルモン療法、抗体療法、成長因子療法、サイトカイン、および化学療法のうちの任意の1つまたは組合せを含む治療レジメンが含まれる。
【0121】
このような治療法は、CoQ10前駆物質、代謝産物、および関連化合物の投与によっても同様に実施することができると理解される。
【0122】
VI. 続発性悪性腫瘍の予防および治療
小児癌、特に小児白血病の予後は非常に高いが、長期生存者は治療の晩発効果を経験することが増えている。例えば、1972年〜1988年に急性リンパ芽球性白血病の診断を与えられ、標準的な治療を受けた9720例の小児の研究により、中央値4.7年の追跡で7倍過剰のすべての癌および22倍過剰のCNSの新生物を有することが見いだされた(Neglia et al., NEJM, 325:1330-1336, 1991、参照により本明細書に組み入れる)。英国小児がん生存者研究(British Childhood Cancer Survivor Study)は、小児癌の診断の後に少なくとも5年間生存した17,980人の国家的な集団ベースのコホート研究であるが、247例のCNSの続発性原発新生物(SPN)を確認した。この研究において、一般集団と比較して、髄膜腫のリスクが、髄膜組織への放射線の用量の増加により479倍にまで、また、髄腔内メトトレキセートの用量の増加により36倍にまで、急速に増大することが見いだされた(Taylor et al., J Clin Oncol 28:5287-5293, 2010、参照により本明細書に組み入れる)。より長期の追跡により、続発性腫瘍、特に続発性CNS腫瘍の発症率がさらに増大することが明らかになった。例えば、急性リンパ球性白血病(ALL)の治療を受けた1612例の継続的に登録された患者の研究は、1.39%の20年間の脳腫瘍の累積発症率を有した(Walter et al., J Clin Oncol., 16:3761-3767, 1998、参照により本明細書に組み入れる)。Hijiyaらは、2007年に(JAMA, 297:1207-1215、参照により本明細書に組み入れる)、1962年〜1998年の間に治療されて完全な寛解を達成し、18.7年の追跡期間中央値(2.4〜41.3年の範囲)を有する2169例の急性リンパ芽球性白血病患者の遡及的研究を報告した。123例の患者において最初の事象として続発性新生物が発生し、46例の骨髄悪性腫瘍、3例のリンパ腫、14例の基底細胞癌、16例の他の癌、6例の肉腫、16例の髄膜腫、および22例の他の脳腫瘍を含み、15年間の続発性新生物の累積発症率は4.17%(SE、0.46%)であり、20年以後には実質的に増加し、30年後には10.85%(SE、1.27%)に達した。30年後のそれぞれの腫瘍タイプの累積発症率は、骨髄悪性腫瘍で2.19%(SE、0.32%)、リンパ腫で0.17%(SE、0.10%)、脳腫瘍で3.00%(SE、0.59%)、癌で4.91%(SE、1.04%)、および肉腫で0.57%(SE、0.37%)であった。続発性新生物の累積発症率は、ALLの治療後30年間に渡って着実に増加することが証明された。
【0123】
続発性腫瘍はまた、成人腫瘍の治療を受けた被験体においても観察される。しかしながら、長い潜伏期のために、そのような腫瘍が観察される頻度は低い。
【0124】
ある実施形態において、本明細書に提供されるCoQ10化合物は、原発性腫瘍の治療および寛解の後に続発性腫瘍を予防および/または治療するために使用することができる。ある実施形態において、該方法は、すべてのタイプの続発性腫瘍の予防に使用することができる。ある実施形態において、該方法は続発性CNS腫瘍の予防に使用することができる。ある実施形態において、該方法は続発性腫瘍の治療に使用することができる。続発性腫瘍としては、例えば、CNSの続発性腫瘍が挙げられる。CNSの続発性腫瘍は、例えば、続発性CNS腫瘍の発症の高いリスクを有する被験体、例えば、小児腫瘍、特に小児白血病の寛解期にある被験体を、特に該被験体がCNSへの放射線によりまたはCNSに送達される化学療法剤により治療された場合に、CNS異常の発症についてモニターすることにより、確認することができる。CNS異常は、機能テスト、CNS異常(例えば、頭痛、発作)の報告もしくは確認、または画像分析により検出することができる。
【0125】
実施例により、本明細書に提供されるCoQ10化合物がこのような続発性腫瘍の治療に有用であることが証明される。具体的には、実施例において、ラットに白血病を誘導して、次いでそのラットに白血病の治療をおこなった。治療の結果として、ラットの約半分が生存し、寛解期に入った。しかしながら、時間と共に、生存するラットの約20%がCNS腫瘍を発症したことが、CNS異常の発現により証明された。すなわち、ラットが続発性CNS腫瘍を発症し、それは本明細書に提供されるCoQ10化合物により効果的に治療された。
【0126】
本明細書に提供されるCoQ10化合物は有意な毒性を示さないので、原発性腫瘍、例えば原発性白血病の治療の終了の時点で被験体にCoQ10化合物を投与することにより、続発性CNS腫瘍を含む続発性腫瘍の発症を予防するために化合物を使用することができる。CoQ10化合物の投与は、白血病の治療の終了後の任意の時点で、例えば、特定の時間間隔、例えば1か月、6か月、1年、2年、3年、5年、10年等の時間間隔を開けて;または特定の事象の後に、例えば、寛解の確認の後に、または寛解の確認の後のある時間間隔、例えば、寛解の後1か月、6か月、1年、2年、3年、5年、10年等の時間間隔の後に、開始することができる。CoQ10化合物は本明細書に提供される方法および製剤を用いて投与することができる。
【0127】
VII. 併用療法
ある実施形態において、本発明の製剤、例えば、CoQ10製剤は、少なくとも1種の他の治療薬との併用療法において使用することができる。好ましい実施形態において、CoQ10は単独で送達された場合に治療的に有効である量で投与される。すなわち、CoQ10は治療薬であって、主に他の化学療法または他の癌治療の副作用を改善するための薬剤ではない。CoQ10および/またはその医薬製剤および他の治療薬は相加的に、またはより好ましくは相乗的に作用し得る。一実施形態において、CoQ10および/またはその製剤は別の治療薬の投与と同時に投与される。別の実施形態において、化合物および/またはその医薬製剤は別の治療薬の投与の前または後に投与される。一実施形態において、CoQ10および追加の治療薬は相乗的に作用する。一実施形態において、CoQ10および追加の治療薬は相加的に作用する。
【0128】
一実施形態において、本発明の治療法はさらに、1種以上の追加の薬剤、例えば1種以上の治療薬の投与を含む。例えば、一実施形態において、本発明の治療法において使用するための追加の薬剤は化学療法剤である。
【0129】
化学療法剤は、一般に、例えば、1. アントラサイクリン系/アントラセンジオン系、例えば、ドキソルビシン(doxorubicin)、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン(idarubicin)およびネモルビシン(nemorubicin)、アントラキノン系、例えば、ミトキサントロン(mitoxantrone)およびロソキサントロン(losoxantrone)、およびポドフィロトキシン系、例えば、エトポシド(etoposide)およびテニポシド(teniposide)などのトポイソメラーゼII阻害剤;2. 植物アルカロイド(例えば、生物活性および細胞毒性を有する植物に由来するアルカリ性の窒素含有分子のファミリーに属する化合物)、例えば、タキサン系、例えば、パクリタキセル(paclitaxel)およびドセタキセル(docetaxel)、およびビンカアルカロイド系(vinka alkaloids)、例えば、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、およびビノレルビン(vinorelbine)、およびポドフィロトキシンの誘導体などの微小管形成に作用する薬剤(有糸分裂阻害剤);3. ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネートおよびアルキル化作用を有する他の化合物、例えば、ニトロソ尿素、ダカルバジン(dacarbazine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、イホスファミド(ifosfamide)およびメルファラン(melphalan)などのアルキル化剤;4. 代謝拮抗薬(ヌクレオシド阻害剤)、例えば、葉酸系、例えば、葉酸、フィウロピリミジン(fiuropyrimidines)、プリンまたはピリミジン誘導体、例えば5-フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、メトトレキセート(methotrexate)、およびエダトレキセート(edatrexate);5. トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、および9-ニトロカンプトテシン(9-nitrocamptothecin)、カンプトテシン(camptothecin)誘導体、およびレチノイン酸などのトポイソメラーゼI阻害剤;ならびに6. シスプラチン(cisplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、およびカルボプラチン(carboplatin)などの白金化合物/錯体を含む種々のクラスに属する。本発明の方法に使用するための代表的な化学療法剤としては、アミホスチン(amifostine)(エチオール(ethyol))、シスプラチン(cisplatin)、ダカルバジン(dacarbazine)(DTIC)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、メクロレタミン(mechlorethamine)(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン(streptozocin)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、カルヌスチン(carrnustine)(BCNU)、ロムスチン(lomustine)(CCNU)、ドキソルビシン(doxorubicin)(アドリアマイシン(adriamycin))、ドキソルビシン・リポ(doxorubicin lipo)(ドキシル(doxil))、ゲムシタビン(gemcitabine)(ジェムザール(gemzar))、ダウノルビシン(daunorubicin)、ダウノルビシン・リポ(daunorubicin lipo)(ダウノキソーム(daunoxome))、プロカルバジン(procarbazine)、ミトマイシン(mitomycin)、シタラビン(cytarabine)、エトポシド(etoposide)、メトトレキセート(methotrexate)、5-フルオロウラシル(5-FU)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ブレオマイシン(bleomycin)、パクリタキセル(paclitaxel)(タキソール(taxol))、ドセタキセル(docetaxel)(タキソテレ(taxotere))、アルデスロイキン(aldesleukin)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、ブスルファン(busulfan)、カルボプラチン(carboplatin)、クラドリビン(cladribine)、カンプトテシン(camptothecin)、CPT-I l、lO-ヒドロキシ-7-エチル-カンプトテシン(SN38)、ダカルバジン(dacarbazine)、S-Iカペシタビン(S-I capecitabine)、フトラフル(ftorafur)、5'-デオキシフルロウリジン(5'deoxyflurouridine)、UFT、エニルウラシル(eniluracil)、デオキシシチジン、5-アザシトシン、5-アザデオキシシトシン、アロプリノール(allopurinol)、2-クロロアデノシン、トリメトレキセート(trimetrexate)、アミノプテリン(aminopterin)、メチレン-10-デアザアミノプテリン(MDAM)、オキサプラチン(oxaplatin)、ピコプラチン(picoplatin)、テトラプラチン(tetraplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、DACH白金、オルマプラチン(ormaplatin)、CI-973、JM-216、およびそれらの誘導体、エピルビシン(epirubicin)、エトポシドホスフェート(etoposide phosphate)、9-アミノカンプトテシン(9-aminocamptothecin)、10,11-メチレンジオキシカンプトテシン(10,11-methylenedioxycamptothecin)、カレニテシン(karenitecin)、9-ニトロカンプトテシン(9-nitrocamptothecin)、TAS 103、ビンデシン(vindesine)、L-フェニルアラニンマスタード、イフォスファミドメホスファミド(ifosphamidemefosphamide)、ペルホスファミド(perfosfamide)、トロホスファミド(trophosphamide)、カルムスチン(carmustine)、セムスチン(semustine)、エポチロンA-E(epothilones A-E)、トムデックス(tomudex)、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アムサクリン(amsacrine)、エトポシドホスフェート(etoposide phosphate)、カレニテシン(karenitecin)、アシクロビル(acyclovir)、バラシクロビル(valacyclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)、アマンタジン(amantadine)、リマンタジン(rimantadine)、ラミブジン(lamivudine)、ジドブジン(zidovudine)、ベバシズマブ(bevacizumab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、リツキシマブ(rituximab)、5-フルオロウラシル、カペシタビン(Capecitabine)、ペントスタチン(Pentostatin)、トリメトレキセート(Trimetrexate)、クラドリビン(Cladribine)、フロクスリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、ヒドロキシ尿素、イホスファミド(ifosfamide)、イダルビシン(idarubicin)、メスナ(mesna)、イリノテカン(irinotecan)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、トポテカン(topotecan)、ロイプロリド(leuprolide)、メゲストロール(megestrol)、メルファラン(melphalan)、メルカプトプリン、プリカマイシン(plicamycin)、ミトタン(mitotane)、ペグアスパルガーゼ(pegaspargase)、ペントスタチン(pentostatin)、ピポブロマン(pipobroman)、プリカマイシン(plicamycin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、タモキシフェン(tamoxifen)、テニポシド(teniposide)、テストラクトン(testolactone)、チオグアニン(thioguanine)、チオテパ(thiotepa)、ウラシルマスタード、ビノレルビン(vinorelbine)、クロラムブシル(chlorambucil)、シスプラチン(cisplatin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、パクリタキセル(paclitaxel)(タキソール(taxol))、ブレオマイシン(bleomycin)、mTor、上皮成長因子受容体(EGFR)、および線維芽細胞成長因子(FGF)、および特定の腫瘍または癌の治療の適切な標準に基づいて当業者に容易に明らかになるそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
別の実施形態において、本発明の併用療法において使用するための追加の薬剤は生物学的薬剤である。
【0131】
生物学的薬剤(生物製剤とも呼ばれる)は、生物系、例えば、生物体、細胞、または組換え系の産物である。このような生物学的薬剤の例としては、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子)、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、抗体、例えばモノクローナル抗体、抗血管新生剤、およびサイトカインが挙げられる。代表的な生物学的製剤は、下により詳細に議論するが、一般に、例えば、1. ホルモン、ホルモン類似物質、およびホルモン複合体、例えば、エストロゲンおよびエストロゲン類似物質、プロゲステロン、プロゲステロン類似物質およびプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質ステロイド、抗エストロゲン薬、抗アンドロゲン薬、抗テストステロン薬、副腎ステロイド阻害剤、および抗黄体形成ホルモン(anti-leuteinizing hormones);ならびに2. インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子等などの、酵素、タンパク質、ペプチド、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体を含む種々のクラスに属する。
【0132】
一実施形態において、生物製剤はインターフェロンである。インターフェロン(IFN)は、体内に天然に生成する1種の生物学的薬剤である。インターフェロンは実験室でも製造され、生物学的療法において癌患者に与えられる。それらは癌患者の免疫系が癌細胞に対して作用する方法を改善することが示されている。
【0133】
インターフェロンは癌細胞に直接作用してそれらの成長を遅くするか、またはそれらは癌細胞をより正常な挙動を有する細胞に変化させる可能性がある。いくつかのインターフェロンはナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、および血流中の白血球の1種であり癌細胞との戦いを助けるマクロファージを刺激する可能性がある。
【0134】
一実施形態において、生物製剤はインターロイキンである。インターロイキン(IL)は多くの免疫細胞の成長および活性を刺激する。それらは体内に天然に生成するタンパク質(サイトカインおよびケモカイン)であるが、実験室でも製造することができる。
【0135】
いくつかのインターロイキンは、癌細胞を破壊する働きをする、リンパ球などの免疫細胞の成長および活性を刺激する。
【0136】
別の実施形態において、生物製剤はコロニー刺激因子である。
【0137】
コロニー刺激因子(CSF)は、骨髄の中の幹細胞により多くの血球を生産するように働きかけるために患者に与えられるタンパク質である。体は、特に癌が存在する場合には、常に新しい白血球、赤血球、および血小板を必要とする。CSFは、化学療法と共に、免疫系を高めるために与えられる。癌患者が化学療法を受ける場合、骨髄の新しい血球を生産する能力が抑制され、患者はより感染症に罹りやすくなる。免疫系の一部は血球なしでは機能できないので、コロニー刺激因子が骨髄幹細胞に白血球、血小板、および赤血球を生産するように働きかける。
【0138】
適切な細胞生産により、患者がより高い用量の化学療法を安全に受けることが可能になって、他の癌治療を続けることができる。
【0139】
別の実施形態において、生物製剤は抗体である。抗体、例えば、モノクローナル抗体は、実験室で製造され、癌細胞に結合する薬剤である。
【0140】
モノクローナル抗体剤は健康な細胞を破壊しない。モノクローナル抗体はさまざまなメカニズムによりその治療効果を達成する。それらはアポトーシスまたはプログラム細胞死を起こすことに直接的効果を有し得る。それらは、成長因子受容体を遮断して、腫瘍細胞の増殖を有効に抑止することができる。モノクローナル抗体を発現する細胞において、それらは抗イディオタイプ抗体の形成を引き起こすことができる。
【0141】
本発明の併用療法に使用可能な抗体の例としては、抗CD20抗体、例えば、これらに限定されないが、セツキシマブ(cetuximab)、トシツモマブ(Tositumomab)、リツキシマブ(rituximab)、およびイブリツモマブ(Ibritumomab)が挙げられる。抗HER2抗体も、癌の治療のために環境影響物質(environmental influencer)と組み合わせて使用し得る。一実施形態において、抗HER2抗体はトラスツヅマブ(Trastuzumab)(ハーセプチン(Herceptin))である。癌の治療のために環境影響物質と組み合わせて使用し得る抗体の他の例としては、抗CD52抗体(例えば、アレムツズマブ(Alemtuzumab))、抗CD-22抗体(例えば、エプラツズマブ(Epratuzumab))、および抗CD33抗体(例えば、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin))が挙げられる。抗VEGF抗体も癌の治療のために環境影響物質と組み合わせて使用し得る。一実施形態において、抗VEGF抗体はベバシズマブ(bevacizumab)である。他の実施形態において、生物学的薬剤は、抗EGFR抗体、例えばセツキシマブ(cetuximab)である抗体である。別の例は抗糖タンパク質17-1A抗体のエドレコロマブ(edrecolomab)である。多くの他の抗腫瘍抗体が当業者に公知であり、本明細書に包含されることが当業者に理解されるであろう。
【0142】
別の実施形態において、生物製剤はサイトカインである。サイトカイン療法は、被験体の免疫系が癌性の細胞を認識して破壊するのを助けるためのタンパク質(サイトカイン)を使用する。サイトカインは体内で免疫系により天然に生産されるが、実験室で製造することも可能である。この治療法は、進行した黒色腫および補助療法(癌一次治療の後にまたは癌一次治療に加えておこなわれる治療)に使用される。サイトカイン療法は体のすべての部分に届いて癌細胞を殺し、腫瘍の成長を予防する。
【0143】
別の実施形態において、生物製剤は融合タンパク質である。例えば、組換えヒトApo2L/TRAIL(GENETECH)を併用療法に使用し得る。Apo2/TRAILは、アポトーシス(プログラム細胞死)の調節に関与するアポトーシス促進性受容体DR4およびDR5の両方を活性化するように設計された最初の二重アポトーシス促進性受容体アゴニストである。
【0144】
一実施形態において、生物製剤はアンチセンス核酸分子である。
【0145】
本明細書において使用される場合、「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的な、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的な、mRNA配列に相補的な、または遺伝子のコード鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。したがって、アンチセンス核酸はセンス核酸に水素結合することができる。
【0146】
一実施形態において、生物学的薬剤は、例えば、血管新生を増強する分子(例えばbFGF、VEGFおよびEGFR)のsiRNA分子である。一実施形態において、血管新生を阻害する生物学的薬剤はRNAiを仲介する。RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNA(dsRNA)を使用してdsRNAと同じ配列を含むメッセンジャーRNA(mRNA)を分解する転写後標的化遺伝子サイレンシング技術である(Sharp, P.A. and Zamore, P.D. 287, 2431-2432 (2000); Zamore, P.D., et al. Cell 101, 25-33 (2000). Tuschl, T. et al. Genes Dev. 13, 3191-3197 (1999); Cottrell TR, and Doering TL. 2003. Trends Microbiol. 11:37-43; Bushman F.2003. MoI Therapy. 7:9-10; McManus MT and Sharp PA. 2002. Nat Rev Genet. 3.737-47)。この過程は内在性リボヌクレアーゼが長いdsRNAを開裂させて、より短い、例えば、小干渉RNAまたはsiRNAと呼ばれる21または22ヌクレオチド長のRNAを生成する場合に起こる。次に、より小さいRNセグメントが標的のmRNAの分解を仲介する。RNAi合成用キットが、例えば、New England Biolabs(登録商標)またはAmbion(登録商標)より市販されている。一実施形態において、アンチセンスRNAにおいて使用するための1つ以上の化学をRNAiを仲介する分子において使用することができる。
【0147】
別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸は、RNAiを仲介する化合物である。RNA仲介剤としては、標的遺伝子またはゲノム配列と相同であるRNA分子、「短鎖干渉RNA」(siRNA)、「短鎖ヘアピン」または「小ヘアピンRNA」(shRNA)を含む核酸分子、およびRNA干渉(RNAi)により標的遺伝子の発現に干渉するまたはこれを阻害する小分子が挙げられるが、これらに限定されない。RNA干渉は、二本鎖RNA(dsRNA)を使用してdsRNAと同じ配列を含むメッセンジャーRNA(mRNA)を分解する転写後標的化遺伝子サイレンシング技術である(Sharp, P.A. and Zamore, P.D. 287, 2431-2432 (2000); Zamore, P.D., et al. Cell 101, 25-33 (2000). Tuschl, T. et al. Genes Dev. 13, 3191-3197 (1999))。この過程は内在性リボヌクレアーゼが長いdsRNAを開裂させて、より短い小干渉RNAまたはsiRNAと呼ばれる21または22ヌクレオチドの長さのRNAを生成する場合に起こる。次に、より小さいRNセグメントが標的のmRNAの分解を仲介する。RNAi合成用キットが、例えば、New England BiolabsおよびAmbionより市販されている。一実施形態において、アンチセンスRNAにおいて使用するための1つ以上の上記の化学を使用することができる。
【0148】
本発明の方法に使用するための代表的な生物学的薬剤としては、ゲフィチニブ(gefitinib)(イレッサ(Iressa))、アナストラゾール(anastrazole)、ジエチルスチルベステロール(diethylstilbesterol)、エストラジオール(estradiol)、プレマリン(premarin)、ラロキシフェン(raloxifene)、プロゲステロン、ノルエチノドレル(norethynodrel)、エスチステロン(esthisterone)、ジメスチステロン(dimesthisterone)、メゲストロール・アセテート(megestrol acetate)、メドロキシプロゲステロン・アセテート(medroxyprogesterone acetate)、ヒドロキシプロゲステロン・カプロエート(hydroxyprogesterone caproate)、ノルエチステロン(norethisterone)、メチルテストステロン、テストステロン、デキサムタゾン(dexamthasone)、プレドニゾン(prednisone)、コルチゾール(Cortisol)、ソルメドロール(solumedrol)、タモキシフェン(tamoxifen)、フルベストラント(fulvestrant)、トレミフェン(toremifene)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、テストラクトン(testolactone)、ドロロキシフェン(droloxifene)、アナストロゾール(anastrozole)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ゴセレリン(goserelin)、フルタミド(flutamide)、ロイプロリド(leuprolide)、トリプトレリン(triptorelin)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、ゴセレリン(goserelin)、セツキシマブ(cetuximab)、エルロチニブ(erlotinib)、イマチニブ(imatinib)、トシツモマブ(Tositumomab)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、ゲムツズマブ(Gemtuzumab)、リツキシマブ(Rituximab)、イブリツモマブ・チウキセタン(Ibritumomab tiuxetan)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、デニロイキン・ジフチトックス(Denileukin diftitox)、ダクリズマブ(Daclizumab)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、抗4-lBB抗体、抗4-lBBL抗体、抗CD40抗体、抗CD 154抗体、抗OX40抗体、抗OX40L抗体、抗CD28抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体、抗CD70抗体、抗CD27抗体、抗HVEM抗体、抗LIGHT抗体、抗GITR抗体、抗GITRL抗体、抗CTLA-4抗体、可溶性OX40L、可溶性4-IBBL、可溶性CD154、可溶性GITRL、可溶性LIGHT、可溶性CD70、可溶性CD80、可溶性CD86、可溶性CTLA4-Ig、GVAX(登録商標)、および、特定の腫瘍または癌の治療の適切な標準に基づいて当業者に容易に明らかになるそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。薬剤の可溶化型は、薬剤を、例えばIg-Fc領域と効果を有するように連結することにより、例えば融合タンパク質として作ることができる。
【0149】
1種よりも多い追加の薬剤(例えば、1種、2種、3種、4種、5種)を本明細書に提供されるCoQ10製剤と組み合わせて投与し得ることに留意しなければならない。例えば、一実施形態において、2種の化学療法剤をCoQ10と組み合わせて投与することができる。別の実施形態において、化学療法剤、生物学的薬剤、およびCoQ10を投与することができる。本明細書に提供される化学療法剤の適切な用量および投与経路は当業者に公知である。
【0150】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に記載する。発明を好ましい実施形態と関連して説明するが、発明をそれらの好ましい実施形態に限定することは意図されていないことが理解されよう。反対に、添付される特許請求の範囲により定義される通りの発明の趣旨および範囲に含まれる代替物、変更、および等価物が包含されることが意図される。
【実施例】
【0151】
実施例1 - コエンザイムQ10を用いる中枢神経系緑色白血病の治療
Fischer 344ラットを用いてCNS緑色白血病のモデルを作った。ラット新生仔に緑色白血病細胞を注射して、治療の第一選択としてリポ多糖(LPS)を投与した。このレジメンの治癒率はおよそ50%であり、生存ラットのおよそ10%がCNS白血病を発症したことが、それらの運動技能ならびに四肢麻痺および対麻痺の存在により診断された。
【0152】
この研究のために、2400個体のFischer 344新生仔に緑色白血病細胞系MIAC51を注射して、LPSにより治療した。白血病、すなわち、全身疾患の明白な兆候を有するすべての動物を第26日までに屠殺した。第35日までに、生存ラットは、腫瘍がCNSに局在化していることを示唆するCNS異常を示し始めた。第40日に、このコホートのうち、後肢対麻痺を有する150個体の動物を選択した。
図1Aおよび1Bを参照されたい。次に、これらの動物を5群に再ランダム化し、4週間に渡り、1日3回で、群1には治療を受けさせず、群2には賦形剤対照IVを投与し、群3には5mg/kgのCoQ10 IV(すなわち、15 mg/kg/日)を投与し、群4には10 mg/kg IV(すなわち、30 mg/kg/日)を投与し、群5には25 mg/kg IV(すなわち、75 mg/kg/日)を投与した。
【0153】
群1、2、3および4のラットは改善の兆候を示さず、転移性悪性腫瘍および重度のCNS異常(例えば、ラットが摂食またはセルフケアをおこなうことを不可能にする筋肉制御の減少、協調の欠除、衰弱、麻痺、歩行困難をもたらす)のために屠殺された(
図2)。これらの知見は、MRIによる腫瘍細胞の存在として記録された。際だって対照的に、1日3回25 mg/kg IV(すなわち、75 mg/kg/日)を注射された動物は、それらの運動技能の著しい回復および歩行能力の回復を示した。MRIはこの群に腫瘍細胞がないことを明白に示す(
図3AおよびB)。総合すると、これらの結果は、CoQ10がCNS白血病に対する有効な治療であること、およびCNSにおける白血病細胞の溢出を防止し、それにより続発性腫瘍の形成を予防、遅延、または限定するための有効な予防剤でもあり得ることを強く示している。
【0154】
実施例2 - 中枢神経系緑色白血病のCoQ10治療の長期的効果
実施例1において提供されたFischer 344ラットにおけるCNS緑色白血病のモデルを転移性白血病CNS腫瘍の治療の長期研究に使用した。実施例1の通りに、ラット新生仔に緑色白血病細胞を注射して、治療の第一選択としてリポ多糖(LPS)を投与した。このレジメンの治癒率はおよそ50%であり、生存ラットのおよそ10%がCNS白血病を発症したことが、それらの運動技能ならびに四肢麻痺および対麻痺の存在により診断された。
【0155】
このCNS白血病に対するCoQ10の長期的効果の研究のために、明白なCNS白血病を有する300個体の対麻痺の動物をそれぞれ150個体の2つの群にランダム化した。群1には食塩水対照を投与した。群2には、第1日に開始して第28日まで1日1回100 mg/kgのCoQ10を投与した(第1サイクル)。第2サイクルは第35日に開始して第62日まで続けた。この研究において、動物は2サイクルの28日間のCoQ10を投与された。
【0156】
対照群のラットは改善の兆候を示さず、転移性悪性腫瘍および重度のCNS異常(例えば、ラットが摂食またはセルフケアをおこなうことを不可能にする筋肉制御の減少、協調の欠除、衰弱、麻痺、歩行困難をもたらす)のために屠殺された(
図4)。際だって対照的に、100 mg/kg IVを注射された動物は、それらの運動技能の著しい回復および歩行能力の回復を示した。第173日および第195日に、100 mg/kgのCoQ10により治療された5個体の動物を屠殺して、剖検および病理学的分析をおこなった。緑色白血病またはCNS腫瘍の証拠は見いだされなかった。
【0157】
総合すると、これらの結果は、CoQ10がCNS白血病に対する有効な治療であること、およびCNSにおける白血病細胞の溢出を防止し、それにより続発性腫瘍の形成を予防、遅延、または限定するための有効な予防剤でもあり得ることを強く示している。