特許第6427265号(P6427265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427265
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】水活性化両面粘着テープまたはシート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20181112BHJP
   C09J 7/32 20180101ALI20181112BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20181112BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20181112BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20181112BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20181112BHJP
   A63B 53/14 20150101ALI20181112BHJP
   A63B 60/06 20150101ALI20181112BHJP
   A63B 60/14 20150101ALI20181112BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20181112BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J7/32
   C09J7/21
   C09J201/00
   C09J11/08
   B32B27/00 M
   A63B53/14 B
   A63B60/06
   A63B60/14
   A63B102:32
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-519175(P2017-519175)
(86)(22)【出願日】2016年5月13日
(86)【国際出願番号】JP2016064233
(87)【国際公開番号】WO2016186017
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-99963(P2015-99963)
(32)【優先日】2015年5月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391046562
【氏名又は名称】株式会社倉本産業
(74)【代理人】
【識別番号】100108350
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘尾 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】大森 悠司
(72)【発明者】
【氏名】梅津 恭子
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−511771(JP,A)
【文献】 特開平11−140401(JP,A)
【文献】 特開2013−117004(JP,A)
【文献】 特開2006−283034(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0378242(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
A63B 53/14
A63B 60/06
B32B
B62K 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一面に粘着剤層を設け、他面に、水を適用することにより滑り性が付与される水活性化粘着剤層を設けた水活性化両面粘着テープにおいて、基材が水透過性基材であり、前記一面側の粘着剤層が吸水性粘着剤からなることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【請求項2】
請求項1に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記吸水性粘着剤は、吸水性高分子を含む粘着剤からなることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【請求項3】
請求項2に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記吸水性高分子の吸水量は、20g/g以上であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【請求項4】
請求項3に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記吸水性高分子が、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール架橋物、ポリエチレングリコール架橋物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物およびその架橋物、およびポリエチレンオキサイドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記水透過性基材が、不織布、和紙、または洋紙であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記水を適用することにより滑り性が付与される水活性化粘着剤層が、水の吸収により滑り特性を付与することのできる水溶性または吸水性高分子から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【請求項7】
請求項6に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記水溶性または吸水性高分子が、デンプン、エーテルデンプン、デキストリン、ゼラチン、セルロースエステル、硫酸セルロース、アラビアガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール架橋物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物およびその架橋物、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール架橋物、ポリビニルピロリドン、およびポリエチレンオキサイド、から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水活性化両面粘着テープまたはシートに関する。より詳細には、ゴルフクラブなどのスポーツ用品や自転車ハンドルなどにグリップを挿入、固定する際に好ましく用いることができる水活性化両面粘着テープまたはシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフクラブにおいては、シャフトにグリップが取り付けられており、使用者は必要に応じグリップ交換を業者に依頼する、あるいは自ら交換することが広く行われている。ゴルフシャフトへグリップを挿入、固定する方法としては、両面粘着テープを用いる方法が広く知られている。この方法においては、例えばクラブシャフト後端部に両面粘着テープを巻き付け、その表面に揮発性の有機溶剤を塗布して粘着テープの粘着剤面を膨潤、液化させ、この液化した粘着剤面の滑りを利用してグリップをシャフト後端から挿入し、その後放置することで粘着剤面の溶剤を揮散させ、粘着剤の粘着力を回復させることでグリップをシャフトに固定するものである。
【0003】
しかし、この方法においては、グリップ取り付け後溶剤が乾燥するまではゴルフクラブの使用ができない。このため、ゴルフクラブをできるだけ早く使用できるよう、揮発性の高い溶剤を使用することが一般的である。しかし、揮発性が高いとグリップの挿入に手間取ると、グリップを挿入する途中、あるいは挿入後グリップ位置の微調整を行う前にグリップがシャフトに固定されてしまう。このような場合には、取り付けようとしたグリップを切断、廃棄した後、再度粘着テープの巻き付け、新しいグリップの挿入、固定を行わなければならないという問題がある。また、揮発性有機溶剤は危険物であることから、安全性や環境面に注意が必要となる。
【0004】
このような揮発性有機溶剤を用いた場合の問題を解決するために、活性化溶剤として水を用い、グリップ挿入時の溶剤の揮発による問題を解決することのできる両面粘着テープが提案されている。例えば、実開平05−085834号公報(特許文献1)には、テープ状となった基材の一面に、剥離紙を剥して使用するようになった粘着剤層を、他面に、水を付加することにより粘着性を生じる水溶性接着剤層を設けた接着テープを用い、粘着剤層の面をシャフトへ貼り付けた後、水溶性接着剤層に水を付加し接着剤層を粘液状とし、グリップを挿入し固定化する方法が記載されている。また、特開平11−140401号公報(特許文献2)には、基材の一面に、テープをシャフトに接着するための感圧接着剤層、他面に石鹸−水混合物、従来の溶剤のいずれかに接触すると活性化し得る活性化接着剤層が設けられた両面粘着テープが記載されている。この粘着テープは、感圧接着剤層をシャフトに貼り付けた後、例えば活性化接着剤面に石鹸水を接触させると接着剤が活性化され、滑り性が発現される。このような水で活性化される粘着剤層を有するグリップ固定用の両面粘着テープも市販されている。しかし、従来提案あるいは市販されている水により活性化し得る粘着剤層を用いた両面粘着テープによりグリップの挿入、固定化を図る場合、水の乾燥に時間がかかり、グリップ挿入後クラブを使用できるまでに長時間を要するという問題があるとともに、グリップ材料によってはグリップを固定化できないものもあるという問題があった。
【0005】
その他、圧縮空気を利用して、グリップをゴルフシャフトに挿入、固定化する方法も知られている。この方法においては、グリップエンドからエアコンプレッサーで空気を注入することでグリップを膨らませ、この状態でシャフトへグリップを押し込み、微調整後エアーの注入をやめることで、シャフトとグリップ内部の間が真空状態となり密着することで、グリップが固定されるものである。この方法においては、挿入するときの滑りを良くするために必要に応じ水が用いられるが、固定のために両面粘着テープを用いるものでないことから、上記両面粘着テープを用いる際の問題はない。しかし、この方法では特殊な加工を施したグリップを使用することが必要とされ、装着可能なグリップが限定されるとともに、専用のコンプレッサーが必要とされることから、汎用性に欠け、個人が手軽に利用できる方法といえるものではない。
【0006】
なお、上記ではゴルフクラブのグリップを固定する両面粘着テープについて述べたが、ゴルフクラブ以外のスポーツ用品のグリップの挿入、固定化、さらには自転車のハンドルなどにおけるグリップの取り付け、固定化においても同様の問題がある。また、粘着テープでなく粘着シートであっても同様であることは言うまでもないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平05−085834号公報
【特許文献2】特開平11−140401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ゴルフクラブのグリップなどを挿入する際に、シャフトに両面粘着テープまたはシートを貼り付け、非貼り付け面に水を塗布することで粘着剤面に滑り性が発現し、この滑り性を利用してグリップをシャフトに挿入することができ、挿入後早期にグリップを固定することが可能な水活性化両面粘着テープまたはシートを提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、挿入されるグリップの材料にかかわりなくグリップの固定化が図れる、前記水活性化両面粘着テープまたはシートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、基材の一面に粘着剤層を設け、他面に水活性化粘着剤層を設けた水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、基材を水透過性とするとともに、前記基材の一面に設けられた粘着剤層(シャフト側の粘着剤層)を吸水性粘着剤とすることにより、上記目的が達成できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に示す水活性化両面粘着テープまたはシートに関する。
【0012】
(1)基材の一面に粘着剤層を設け、他面に、水を適用することにより滑り性が付与される水活性化粘着剤層を設けた水活性化両面粘着テープにおいて、基材が水透過性基材であり、前記一面側の粘着剤層が吸水性粘着剤からなることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【0013】
(2)上記(1)に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記吸水性粘着剤は、吸水性高分子を含む粘着剤からなることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【0014】
(3)上記(2)に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記吸水性高分子の吸水量は、20g/g以上であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【0015】
(4)上記(3)に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記吸水性高分子が、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール架橋物、ポリエチレングリコール架橋物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物およびその架橋物、およびポリエチレンオキサイドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【0016】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記水透過性基材が、不織布、和紙、または洋紙であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【0017】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記水を適用することにより滑り性が付与される水活性化粘着剤層が、水の吸収により滑り特性を付与することのできる水溶性または吸水性高分子から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【0018】
(7)上記(6)に記載の水活性化両面粘着テープまたはシートにおいて、前記水溶性または吸水性高分子が、デンプン、エーテルデンプン、デキストリン、ゼラチン、セルロースエステル、硫酸セルロース、アラビアガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール架橋物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物およびその架橋物、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール架橋物、ポリビニルピロリドン、およびポリエチレンオキサイドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする水活性化両面粘着テープまたはシート。
【発明の効果】
【0019】
従来、有機溶剤を用いることなく水を適用することによりグリップを挿入することが可能な両面粘着テープは知られているが、これら従来知られた両面粘着テープは挿入後の乾燥性が悪く、長時間の乾燥時間を要し、またグリップの種類によっては時間が経過してもグリップを固定化することが不可能だったが、本発明の水活性化両面粘着テープまたはシートでは、シャフト側粘着剤に吸水性を有する粘着剤を使用していることからグリップ側の粘着剤層の乾燥性が向上し、これにより従来の水活性化両面粘着テープまたはシートに比べ短時間で確実に、しかもグリップの材料を選ぶことなく固定化することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の水活性化両面粘着テープまたはシートの模式断面図である。
図2】ゴルフクラブのシャフトのグリップエンド側に水活性化両面粘着テープを縦に貼り付けた図である。
図3】ゴルフクラブのシャフトのグリップエンド側に水活性化両面粘着テープを螺旋状に貼り付けた図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の水活性化両面粘着テープまたはシート(以下では、これらを総称して、「水活性化両面粘着テープ」ということもある。)を、図を参照しつつ、具体的に説明する。図1は、本発明の水活性化両面粘着テープの模式断面図であり、図2、3は水活性化両面粘着テープをシャフトのグリップエンド側に貼り付けた図である。なお、図は本発明を説明するためのものであり、図中の寸法、形状などが正確に記載されているものではない。
【0022】
本発明の水活性化両面粘着テープまたはシートは、前記したように、ゴルフクラブのグリップなどのスポーツ用品や自転車のハンドルなどのグリップをシャフトなどに挿入、固定する際に好ましく使用されるものであり、図1に示されるように、水透過性基材1の一方の面に、吸水性粘着剤からなる吸水性粘着剤層2、他面に、水により活性化し、滑り性が発現する水活性化粘着剤層3を有し、吸水性粘着剤層2上および水活性化粘着剤層3上には、必要に応じ剥離シート4、5が設けられた積層構造を有している。なお、水活性化粘着剤層3上に設けられた剥離シート5は、水活性化粘着剤層3が感圧接着剤でない場合、例えば水の付与により粘着性が付与される接着剤(いわゆる水賦活型粘着剤)である場合には、水活性化粘着剤層3上に設けなくてもよい。また、剥離シート4は、例えば、水活性化両面粘着テープとして巻かれた状態で市場に供給される場合には設けなくてもよいし、またその場合、水活性化粘着剤層3が吸水性粘着剤層2に対し粘着性を有しない、あるいは易剥離性である場合には、剥離シート5も省略することができる。
【0023】
本発明の水活性化両面粘着テープまたはシートは、使用の際、剥離シート4を剥離し、例えば図2または図3に示されるようにゴルフクラブのシャフトのグリップエンド側に、或いは自転車ハンドルのグリップ取り付け部に吸水性粘着剤層2を縦巻きまたは螺旋巻きに貼り付け、剥離シート5を剥離した後、表面が露出した水活性化粘着剤層3に水を噴霧するなどして活性化し、水活性化粘着剤層3に滑り性を発現させる。その後グリップエンドからグリップを挿入し、乾燥させることによりグリップが固定される。以下、本発明の水活性化両面粘着テープを構成する各層について順次具体的に説明する。
【0024】
〔基材〕
本発明の水活性化両面粘着テープは、水活性化粘着剤層に含有された水分が、基材を通して水吸収性粘着剤層に移動し、吸水性粘着剤層に吸収されることが必要とされる。このため、基材1としては、できるだけ多くの水分がスムースに基材を通過することができるものが好ましい。このような水分透過性の基材としては、不織布や和紙、洋紙などが好ましいものとして挙げられる。その厚み、坪量などは任意であり、通常、例えば30〜100μm程度の厚み、14〜70g/m2程度の坪量であるものが好ましく用いられる。不織布原綿としては、ポリエステル、アクリロニトリル、セルローズアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨンなどのポリマー、麻などの天然繊維、その他従来不織布原綿として用いられているいずれのものであってもよい。
【0025】
〔吸水性粘着剤層〕
本発明の最大の特徴点であるシャフト側粘着剤層である吸水性粘着剤層2においては、粘着剤として、従来知られた粘着剤に、吸水性高分子を添加、含有させたものが好ましく使用される。粘着剤としては感圧接着剤が好ましく用いられるが、溶剤の付与により粘着性が付与されるものであってもよい。
【0026】
粘着剤に含有される吸水性高分子としては、自重の20倍以上の吸水量、即ち20g/g以上の吸水量のものであればよい。ここでいう吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法:ティーバック法」に準拠し、ナイロンの織物製ティーバッグに高吸水樹脂を一定量はかり取り、総重量を測定後、脱イオン水に一定時間浸漬し、これを水切り後に重量をはかって吸水量を求めて算出する方法を用いて測定することで得ることができる。特に限定されるものではないが、このような吸収性高分子としては、例えば、天然物由来の吸水性高分子である、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアスパラギン酸塩およびその誘導体、ポリグルタミン酸塩およびその誘導体、ポリアルギン酸塩およびその誘導体などや合成ポリマーである、ポリビニルアルコール架橋物、ポリエチレングリコール架橋物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物およびその架橋物、ポリスルホン酸塩、無水マレイン酸共重合体塩、アクリルアミド、およびポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。吸水量が多く、また入手が容易なカルボキシメチルセルロースまたはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、SAP(Superabsorbent polymer)に代表されるような高吸水性樹脂、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ポリアクリル酸部分ナトリウム架橋物、ポリビニルアルコール架橋物、ポリエチレングリコール架橋物などが好ましいものとして挙げられる。これら添加剤は、粉末、例えば平均粒径100μm以下の粉末として用いることが好ましい。
【0027】
上記添加剤は、粘着剤100重量部に対して固形分比で1〜50重量部であることが好ましい。添加剤の配合量が50重量部より多い場合は、シャフトへの接着性が低下し、1重量部より少ない場合は、グリップの固定性が、固定されるまでの時間をも含め低下することがある。
【0028】
また、粘着剤を構成するために用いられる粘着剤主剤としては、特に限定なく、従来粘着剤を構成するために使用されている粘着剤主剤のいずれもが使用できる。このような粘着剤主剤としては、例えば、感圧接着剤に用いられるアクリル系、ゴム系、ウレタン系粘着剤が挙げられる。
【0029】
アクリル系粘着剤としては、粘着性を発現させるための構成成分として、主モノマー、凝集力を高めるコモノマー、接着力向上及び架橋剤と反応させるための官能基を有するモノマーの共重合体が挙げられ、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
【0030】
主モノマーとしては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−オクチルなどアルキル基の炭素数2〜14のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸イソブチルやメタクリル酸n−オクチルなどアルキル基の炭素数が4〜14のメタクリル酸アルキルエステルなどがあり、これらのうち2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0031】
凝集力を高めるためのコモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどがあり、これらのうち2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0032】
接着力向上及び架橋剤と反応させるための官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、グルタミン酸などの多価カルボン酸やそれらの無水物、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基を有するカルボン酸誘導体などがあり、これらのうち2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0033】
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなど任意の架橋剤を選択でき、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であるポリイソシアネート化合物が架橋剤として好ましい。ポリイソシアネート架橋剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなど、さらにこれらのトリメチロールプロパンアダクト体、ビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体などが挙げられる。これらは1種でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
これらアクリル系粘着剤には、必要に応じ、従来アクリル系粘着剤の添加剤として用いられている粘着付与剤、充填材、酸化防止剤、増粘剤、着色剤、可塑剤、その他の添加剤が添加されてもよい。例えば、充填材としては、クレー、炭酸カルシウム、珪酸塩、アルミニウム三水和物、雲母などが挙げられる。
【0035】
ゴム系粘着剤は、エラストマーと呼ばれる天然ゴム、合成ゴム及び再生ゴムを主成分とし、このエラストマーに粘着付与剤、老化防止剤を加えた成分からなっている。さらに必要に応じて軟化剤、架橋剤、充填剤など種々の材料が添加されてもよい。
【0036】
ウレタン系粘着剤としては、例えば、ポリオールと前記多官能イソシアネート化合物の反応物に粘着付与剤を添加した組成物、ウレタン結合を含み末端に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー等が挙げられる。
【0037】
ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基を有していれば特に制限は無く、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール等を挙げることができる。
【0038】
また、ウレタン結合を含み末端に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーは、例えば、アルキレンジオールやポリエーテル化合物等の末端にヒドロキシル基を有するジオール分子とジイソシアナート分子との反応によるウレタンオリゴマーを生成し、その末端の官能基に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させたり、末端にヒドロキシル基を有するポリエーテル化合物やポリエステル化合物と(メタ)アクリロイル基とイソシアナート基を有する化合物を反応させたりして得られる。
【0039】
吸水性粘着剤層の厚さは任意であるが、通常、10〜80μmであることが好ましい。
【0040】
〔水活性化粘着剤層〕
本発明の水活性化粘着剤層3は、グリップ側粘着剤層となるものであり、粘着剤面に水が付着することで、粘着剤中の添加剤に水が吸収されて液状化され粘液状となり、滑り性が発現するものである。このような特性を付与することのできる添加剤としては、前記水の吸収により滑り特性を付与することのできる水溶性または水吸収性高分子を使用することができる。水活性化粘着剤層で用いられる水溶性または水吸収性高分子は、水を吸収することにより粘着剤層に滑り性を付与できるものであればよく、水吸収性高分子は水膨潤性高分子であってもよい。このような水溶性または水吸収性高分子としては、例えば、デンプン、エーテルデンプン、デキストリン、ゼラチン、セルロースエステル、硫酸セルロース、アラビアガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アンモニア処理カゼイン、グリセリン、乳化ワックス、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール架橋物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物およびその架橋物、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール架橋物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、界面活性剤などが挙げられる。これら添加剤は、粉末、例えば平均粒径100μm以下の粉末として用いることが好ましい。
【0041】
上記添加剤は、通常、粘着剤100重量部に対して固形分比で10〜100重量部であることが好ましい。添加剤の配合量が100重量部より多い場合や10重量部より少ない場合はグリップの挿入性や固定性が低下することがある。
【0042】
本発明の水活性化粘着剤層3の粘着剤を構成するために用いられる粘着剤は、吸水性粘着剤層2で用いられるものと同様、従来粘着剤として知られたもののいずれをも用いることができ、吸水性粘着剤層2で説明したと同様の粘着剤主剤(アクリル系、ゴム系、ウレタン系粘着剤など)、架橋剤などを用いることができる。なお、水活性化粘着剤層の粘着剤としては、水の付加により活性化され、接着性が付与されるようなものであってもよいが、感圧接着剤であることが好ましい。
【0043】
また、水活性化粘着剤層の厚さは任意であるが、通常、20〜80μmであることが好ましい。
【0044】
〔剥離シート〕
本発明の水活性化両面粘着テープの吸水性粘着剤層2、水活性化粘着剤層3上には、夫々必要に応じ剥離シート4、5が積層される。この剥離シートは、本発明の水活性化両面粘着テープが使用されるまでの間、吸水性粘着剤層、水活性化粘着剤層を保護するために用いられるものである。
【0045】
本発明の水活性化両面粘着テープで用いられる剥離シートは、従来粘着テープ、粘着シートなどの粘着剤層を保護するために用いられている剥離シートのいずれをも用いることができ、例えば、シリコーン樹脂等により表面処理された剥離紙や剥離性表面処理されたプラスチックシート、剥離性を有するプラスチックシートなどが挙げられる。
【0046】
本発明の水活性化両面粘着テープまたはシートは、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、粘着剤主剤と架橋剤、および上記添加剤、更には粘着剤を形成するための他の添加剤から、本発明の水活性化両面粘着テープまたはシートに用いられる水活性化粘着剤および吸水性粘着剤を作製する。こうして作製された水活性化粘着剤および吸水性粘着剤を各々剥離シートに塗布して、異なる剥離シート上に水活性化粘着剤層および吸水性粘着剤層を形成する。これら水活性化粘着剤層および吸水性粘着剤層を剥離シートが貼着された状態で基材両面に貼着して、水活性化両面粘着シートを作製することができる。水活性化両面粘着テープとする場合には、これをスリット切断し、必要に応じ吸水性粘着剤層の剥離シートを剥離した後、巻き取ることにより、あるいは作成された両面粘着シートを、必要に応じ吸水性粘着剤層の剥離シートを剥離した後巻き取り、テープ幅に切断することにより水活性化両面粘着テープとすることもできる。なお、水活性化両面粘着テープまたはシートを作成する方法はこれら方法に限定されるものではなく、例えば、吸水性粘着剤層は吸水性粘着剤を基材に直接塗布することにより形成し、一方水活性化粘着剤は剥離シートに塗布して水活性化粘着剤層とし、この水活性化粘着剤層を、吸水性粘着剤層を有する基材に貼着する方法、あるいはこれとは逆に、水活性化粘着剤層を基材上に直接設け、剥離シート上に設けられた吸水性粘着剤層を前記基材に貼着する方法、さらには基材の両面に水活性化粘着剤および吸水性粘着剤が直接塗布され、水活性化粘着剤層および吸水性粘着剤層が形成されるなど、任意の方法を採用することができる。塗布方法は、従来粘着剤を基材あるいは剥離シート上に塗布する方法として知られた何れの方法であってもよい。また、塗工装置も、例えば、グラビヤコーター、ロールコーター、ナイフコーター、メイヤーバーコーターなど、従来公知の塗工装置のいずれが用いられてもよい。
【0047】
本発明の水活性化両面粘着テープまたはシートの使用に際しては、吸水性粘着剤層2上に剥離シート4が存在する場合には剥離シート4を剥し、吸水性粘着剤層を図2、3に示されるようにシャフトに貼着し、その後水活性化粘着剤層3上の剥離シートを剥離し、水を噴霧するなどして水活性化粘着剤層表面に水を供給して水活性化粘着剤層を活性化し、水活性化粘着剤層に滑り性が付与される。その後、グリップを滑り性の付与された水活性化粘着剤層上に挿入し、グリップの位置を微調整した後放置することにより乾燥させる。これにより、グリップは所定位置に固定される。
【実施例】
【0048】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例、比較例により何ら限定されるものではない。
【0049】
実施例1
アクリル酸n−ブチル90重量部、アクリル酸10重量部を酢酸エチル中で溶液重合したアクリル系粘着剤の重合体100重量部に対し、ポリイソシアネート(コロネートL:日本ポリウレタン製)1重量部と水溶性樹脂としてケン化度88mol%のポリビニルアルコール粉末(PVA−205S:株式会社クラレ製)を20重量部添加して、グリップ側水活性化粘着剤を作製し、得られた粘着剤混合物を剥離紙の離型剤処理面に、乾燥後厚みが50μmになるように塗布した。乾燥後、得られた水活性化粘着剤層を、基材となる坪量14g/mの不織布(ミキロン#805:三木特殊製紙株式会社製)の一方の面に貼り合わせた。
【0050】
また、アクリル酸n−ブチル90重量部、アクリル酸10重量部を酢酸エチル中で溶液重合したアクリル系粘着剤の重合体100重量部に対し、架橋型ポリアクリル酸(ジュンロンPW121:東亜合成株式会社製)を固形分比で20重量部添加してシャフト側吸水性粘着剤を作製し、得られた吸水性粘着剤を剥離紙の離型剤処理面に、乾燥後厚みが50μmになるように塗布した。乾燥後、得られた吸水性粘着剤層を前記基材の他面に貼り合わせて、水活性化両面粘着シートを作製した。
【0051】
作成された水活性化両面粘着シートを用いて、以下の試験方法によりグリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。なお、保持力テストは、グリップ側水活性化粘着剤の乾燥性を評価するために行ったものであり、保持力が低いことは乾燥が遅いことを示している。グリップ挿入テストおよび保持力テストの結果を表1に示す。
【0052】
<グリップ挿入テスト>
(1)実施例で作製したサンプルを、45mm×280mmにカットした。
(2)カットしたサンプルのシャフト側吸水性粘着剤面の剥離紙を剥がし、図2に示すように、カーボンシャフトの先端を塞ぐようにシャフト側吸水性粘着剤面をカーボンシャフトに貼り付け(縦巻き貼り付け)、2本の粘着シート貼付カーボンシャフトを作製した。
(3)グリップ側水活性化粘着剤面の剥離紙を剥がし、霧吹きにて全面に水を吹き付けた。
(4)水を吹き付けた後1分放置し、グリップ硬度の異なる次の2種のゴルフグリップをそれぞれのカーボンシャフトに挿入した。
ゴルフグリップ1(硬いグリップ) :ニオン イエロー (日本フェイウィック製)
ゴルフグリップ2(柔らかいグリップ):DD2ラバーグリップ(日本フェイウィック製)
(5)1日放置後にグリップを手で捻じり固定性を確認し、以下の評価基準に基づいて固定性を評価した。
【0053】
(評価基準)
○: 手で捻った際に動かない
×: 手で捻った際に動く
【0054】
<保持力テスト>
(1)作製したサンプルの吸水性粘着剤面の剥離紙を剥がし、25μmポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り付け、25mm×150mmにサンプルをカットした。
(2)カットしたサンプルのグリップ側水活性化粘着剤面の剥離紙を剥がし、水を張った水槽中にグリップ側水活性化粘着剤面が接するように1分間放置した。
(3)1分後スキージーを用いてグリップ側水活性化粘着剤面をステンレス板に貼り付けた。
(4)貼り付け面積が25mm×25mmになるようにカットし、12時間室温に放置した。
(5)JIS Z 0237の保持力試験に規定されているテストスタンドにサンプルを固定し、500gの荷重を加え、24時間後の落下の有無を、下記評価基準に基づいて評価した。
【0055】
(評価基準)
○: 24時間落下なし
×: 24時間前に落下あり
【0056】
実施例2
実施例1のシャフト側吸水性粘着剤の添加剤の架橋型ポリアクリル酸に替えて、カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルCMC1120:ダイセルファインケム株式会社製)を用いることを除き実施例1と同様にして、水活性化両面粘着シートを作製した。
【0057】
得られた水活性化両面粘着シートについて、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0058】
実施例3
実施例1のシャフト側吸水性粘着剤の添加剤の架橋型ポリアクリル酸に替えて、メチルセルロース(メトローズSM−4000:信越化学工業株式会社製)を用いることを除き実施例1と同様にして、水活性化両面粘着シートを作製した。
【0059】
得られた水活性化両面粘着シートについて、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0060】
実施例4
実施例1のグリップ側水活性化粘着剤の添加剤のポリビニルアルコール粉末に替えて、カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルCMC1120:ダイセルファインケム株式会社製)を用いることを除き実施例1と同様にして、水活性化両面粘着シートを作製した。
【0061】
得られた水活性化両面粘着シートについて、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0062】
実施例5
実施例1のグリップ側水活性化粘着剤の添加剤のポリビニルアルコール粉末に替えて、メチルセルロース(メトローズSM−4000:信越化学工業株式会社製)を用いることを除き実施例1と同様にして、水活性化両面粘着シートを作製した。
【0063】
得られた水活性化両面粘着シートについて、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0064】
比較例1
実施例1のシャフト側吸水性粘着剤における添加剤の架橋型ポリアクリル酸を配合することなく、シャフト側粘着剤を作製したことを除き実施例1と同様にして、水活性両面粘着シートを作製した。
【0065】
得られた水活性化両面粘着シートについて、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0066】
比較例2
実施例1のシャフト側吸水性粘着剤の添加剤の架橋型ポリアクリル酸に替えて炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム:丸尾カルシウム株式会社製)を用いることを除き実施例1と同様にして、水活性化両面粘着シートを作製した。
【0067】
得られた水活性化両面粘着シートについて、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0068】
比較例3
実施例1のシャフト側吸水性粘着剤の添加剤の架橋型ポリアクリル酸に替えて、シリカ(サイリシア320:富士シリシア化学株式会社製)を用いることを除き実施例1と同様にして、水活性化両面粘着シートを作製した。
【0069】
得られた水活性化両面粘着シートについて、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0070】
比較例4
市販のゴルフグリップ交換用の水活性型両面テープを使用し、実施例1と同様にして、グリップ挿入テスト、および保持力テストを行い、グリップ固定性及び保持力について評価した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
上記表1に示されるように、実施例1〜5の両面粘着シートによる場合、シャフト側粘着剤に吸水性高分子を配合しているため、グリップ側粘着剤に付着、吸収された水は、基材を通してシャフト側粘着剤に吸水され、グリップ側粘着剤が乾燥し、グリップを固定することができた。
【0073】
一方、比較例1〜3の両面シートではシャフト側粘着剤がグリップ側の粘着剤に含まれる水を吸水しないためグリップ側の粘着剤に水分が残留しているためと思われるが、グリップは1日経過後も固定されなかった。また、市販品は、グリップ側粘着剤の乾燥性が悪く、グリップ2の柔らかいグリップに対しては24時間後もグリップを固定することができず、グリップによっては固定が行えない結果となった。
【符号の説明】
【0074】
1 基材
2 吸水性粘着剤層
3 水活性化粘着剤層
4、5 剥離シート
図1
図2
図3