特許第6427270号(P6427270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6427270-カルシフェジオール軟カプセル剤 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427270
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】カルシフェジオール軟カプセル剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/593 20060101AFI20181112BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20181112BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20181112BHJP
   A61K 31/663 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 5/18 20060101ALI20181112BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   A61K31/593
   A61K9/48
   A61K47/14
   A61K47/10
   A61K47/42
   A61K33/06
   A61K33/26
   A61K31/714
   A61K31/519
   A61K31/663
   A61P43/00 121
   A61P3/02 102
   A61P7/00
   A61P13/12
   A61P19/00
   A61P19/10
   A61P19/02
   A61P5/18
   A61P1/04
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-525563(P2017-525563)
(86)(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公表番号】特表2017-536358(P2017-536358A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2016052458
(87)【国際公開番号】WO2016124724
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年6月5日
(31)【優先権主張番号】15382042.8
(32)【優先日】2015年2月6日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504389452
【氏名又は名称】ファエス・ファルマ・ソシエダッド・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】FAES FARMA, S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】スニェ ネグレ、ジュゼップ マリア
(72)【発明者】
【氏名】オルテガ アスピタルテ、イグナシオ
(72)【発明者】
【氏名】デル アレナル バリオス、ペパ
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス エレーロ、ゴンサロ
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2001/015702(WO,A1)
【文献】 特表2005−519894(JP,A)
【文献】 特表2009−525985(JP,A)
【文献】 特表2011−529081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
A61K9/00−9/72
A61K47/00−47/69
A61P1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)軟カプセルシェルであって
・40〜80重量%のゼラチンと、
・10〜50重量%の、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤と
を含むものであり、
ここで、重量ベースの量は、該軟カプセルシェルの総重量に対する割合として表される、軟カプセルシェル;および
b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルキルアルコール、C14〜C18アルケニルアルコール、ラノリンアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油状成分、および
・エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒;
を含んでなる軟カプセル剤であって、
前記軟カプセルシェルが前記医薬組成物を封入してなり、かつ
前記医薬組成物がワックスを含まないものである、軟カプセル剤。
【請求項2】
前記医薬組成物が、
・0.001〜0.2重量%のカルシフェジオールと、
・80〜99.9重量%の油状成分と、
・0.3〜6重量%の薬学的に許容される有機溶媒と
を含むものであり、
ここで、前記の重量ベースの量は、該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対する割合として表される、請求項に記載の軟カプセル剤。
【請求項3】
前記油状成分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルケニルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択されるものである、請求項1または2に記載の軟カプセル剤。
【請求項4】
前記油状成分が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであり、および/または前記薬学的に許容される有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群より選択されるもの、好ましくはエタノールである、請求項1〜のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項5】
界面活性剤を含まない、請求項1〜のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項6】
前記医薬組成物が、カルシウムイオンまたはその薬学的に許容される誘導体をさらに含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項7】
前記医薬組成物が、鉄イオンまたはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、および/または必須不飽和脂肪酸、またはそれらの混合物をさらに含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項8】
前記医薬組成物が、ビスホスホネートをさらに含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項9】
前記軟カプセルシェルが、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤をさらに含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項10】
200〜180000IUのカルシフェジオールを含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
【請求項11】
ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の軟カプセル剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項12】
前記軟カプセル剤が、3ヶ月に一回、2ヶ月に一回、1ヶ月に一回、3週間に1回、2週間に1回、1週間に1回、または1日1回の投与用である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の軟カプセル剤を製造する方法であって、
a)カルシフェジオール;油状成分;および薬学的に許容される有機溶媒;ならびに場合により、カルシウムイオンまたはその薬学的に許容される誘導体、鉄イオンまたはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、必須不飽和脂肪酸、および/またはビスホスホネートを含む混合物を調製する工程と、
b)ゼラチン;可塑剤;水;ならびに場合により、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤を含む混合物を調製する工程と、
c)工程b)の混合物からシェルを形成する工程と、
d)工程a)の混合物で前記シェルを満たす工程と、
e)工程d)において得られたカプセル剤を乾燥させる工程と
を少なくとも含んでなることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシフェジオール軟カプセル剤、ビタミンD欠乏に関連する疾患の治療または予防におけるそれらの使用、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシフェジオールは、カルシジオール、25−ヒドロキシコレカルシフェロール、25−ヒドロキシビタミンD(25(OH)Dと略される)、または(6R)−6−[(1R,3aR,4E,7aR)−4−[(2Z)−2−[(5S)−5−ヒドロキシ−2−メチリデン−シクロヘキシリデン]エチリデン]−7a−メチル−2,3,3a,5,6,7−ヘキサヒドロ−1H−インデン−1−イル]−2−メチル−ヘプタン−2−オールとしても知られ、以下に示された化学構造を有する。
【化1】
【0003】
カルシフェジオールは、ビタミンD欠乏に関連する疾患の治療に使用される。
【0004】
カルシフェジオールは、非常に親油性であり、低い水溶解度を有する。これらの物理化学的特性により、カルシフェジオールを好適な経口バイオアベイラビリティを有する経口投与用の即時放出性医薬調剤へと製剤化することは困難である。
【0005】
溶解度、溶解、および胃腸透過性は、薬物吸収速度および吸収の程度ならびに薬物のバイオアベイラビリティを制御する基本的なパラメータである。薬物の水溶解度は、経口投与後の薬物の吸収において重要な役割を果たす基本的特性である。薬物の経口バイオアベイラビリティは、いくつかのパラメータ、例えば、水性溶解度、薬物透過性、溶解速度、初回通過代謝、および流出機構に対する感応性など、に依存する。しかしながら、低い水溶解度を有する薬物の場合、経口投与後のインビボでのバイオアベイラビリティに対する制限因子は、水性溶解度および胃腸液への溶解である。
【0006】
したがって、経口投与される医薬調剤のタイプは、難水溶性の薬物のバイオアベイラビリティに直接的影響を有する。特に、経口投与された調剤のバイオアベイラビリティは、以下の順:溶液剤>懸濁剤>乳剤>カプセル剤>錠剤>コーティングされた錠剤、において減少する。
【0007】
好適なバイオアベイラビリティを有する経口投与用の先行技術の即時放出性カルシフェジオール医薬品は、Hidroferol(登録商標)(Faes Farma)の名前で市販されており、これにおいて、カルシフェジオールは、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび酸化防止剤中における溶液剤として提供される。そのような製剤の一例は、カルシフェジオール(0.266mg;15,960IUのカルシフェジオール)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(1.5ml)、およびα−トコフェロールアセテート(0.266;酢酸ビタミンE)からなる溶液剤である。
【0008】
いくつかの疎水性薬物、例えば、サイクロスポリンA(Gursoy,R.N.,Benita,S.,Biomedicine Pharmacotherapy,2004,58,173−182)など、の経口バイオアベイラビリティは、自己乳化性薬物送達システム(SEDDS)を使用することによって改善された。これらのシステムは、油、界面活性剤、溶媒、および助溶媒/界面活性剤の等方性混合物であり、これは、穏やかに撹拌しながら水相中に導入されたときに急速かつ自然に微細な水中油エマルション、マイクロエマルション、またはナノエマルションを形成する。したがって、SEDDSは、胃腸管内において容易に分散し、その場合、胃および小腸の運動が、乳化に必要な撹拌を提供する。SEDDSによる薬物化合物の経口吸収の効率は、多くの製剤関連パラメータ、例えば、中でも特に、界面活性剤濃度、油/界面活性剤比、エマルションの極性、液滴サイズ、および電荷など、に依存する。したがって、非常に特異的な医薬賦形剤の組み合わせによってのみ、効率的な自己乳化システムが得られるであろう。多くの研究が行われているが、SEDDS(薬物ならびに、油、界面活性剤、溶媒、および助溶媒/界面活性剤の混合物を含む)として製剤化されている薬物製品はほんのわずかしかなく、これは、疎水性薬物化合物をそのような製剤へと製剤化する困難さを裏付けている。
【0009】
カルシフェジオール経口製剤の他のタイプ、例えば、カルシフェジオールを含む制御放出固体製剤など、について記載されているが(国際公開第2007/092755号)、ここで、活性化合物は薬物に放出可能に結合するワックスマトリックス内に提供される。しかしながら、薬物に放出可能に結合する当該ワックスまたは他の化合物が存在することにより、カルシフェジオールの即時放出は可能ではない。
【発明の概要】
【0010】
上記を考慮し、向上したバイオアベイラビリティを有する即時放出性カルシフェジオール固体経口製剤を見出すことが必要とされている。
【0011】
本発明の著者らは、先行技術の液体カルシフェジオール即時放出性経口製剤(すなわち、Hidroferol(登録商標))と比べて、向上したバイオアベイラビリティを有するカルシフェジオール即時放出性経口製剤を見出した。
【0012】
したがって、第一態様によれば、本発明は、
a)軟カプセルシェル、および
b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルキルアルコール、C14〜C18アルケニルアルコール、ラノリンアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油状成分、および
・エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒;
を含んでなる軟カプセル剤であって、
前記軟カプセルシェルが前記医薬組成物を封入してなり、
前記医薬組成物がワックスを含まない、軟カプセル剤を対象とする。
【0013】
さらなる態様によれば、本発明は、医薬品として用いられる、上に定義した軟カプセル剤を対象とする。
【0014】
本発明のさらなる態様は、ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防における使用のための、上に定義した軟カプセルである。
【0015】
本発明のさらなる態様は、ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防のための医薬品の製造における、上に定義した軟カプセル剤の使用を対象とする。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防の方法であって、そのような治療を必要とする患者に、上に定義した軟カプセル剤を投与する工程を含んでなる方法である。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、上に定義した軟カプセル剤を調製する方法であって、
a)カルシフェジオール;油状成分;および薬学的に許容される有機溶媒;ならびに場合により、カルシウムイオン、鉄イオン、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸(levomefolic acid)またはそれらの薬学的に許容される塩、必須不飽和脂肪酸、および/またはビスホスホネート、を含む混合物を調製する工程;
b)ゼラチン;可塑剤;水;ならびに場合により薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤、を含む混合物を調製する工程と、
c)工程b)の混合物からシェルを形成する工程と、
d)工程a)の混合物で当該シェルを満たす工程と、
e)工程d)において得られたカプセル剤を乾燥させる工程と
を少なくとも含んでなる方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例3で得られた、すなわち、本発明によるカルシフェジオール軟カプセル剤(三角形)またはレファレンスのカルシフェジオールアンプル(円形)の投与後の、時間−濃度プロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明との関連において、下記用語は、以下に詳述される意味を有する。
【0020】
用語「AUC0〜72」は、薬物が投与された時間(0時間)において始まり72時間後に終わる、時間に対する血漿中の薬物の濃度のプロットでの曲線の下の面積(数学的に積分として知られる)を意味する。
【0021】
用語「Cmax」は、カルシフェジオールの投与後に達成する最大(またはピーク)血清中濃度を意味する。
【0022】
用語「C14〜C18アルキルアルコール」は、炭素原子および水素原子からなる直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖基であって、不飽和を含まず、14個から18個の間の炭素原子を有し、単結合によってヒドロキシル基(OH)に結合している、炭化水素鎖基を意味し、その例として、ミリスチルアルコール(C14)、セチルアルコール(C16)、ステアリルアルコール(C18)、セトステアリルアルコール(主成分としてセチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物)が挙げられる。
【0023】
用語「C14〜C18アルケニルアルコール」は、炭素原子および水素原子からなる直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖基であって、1つ、2つ、または3つの不飽和を含み、14個から18個の間の炭素原子を有し、単結合によってヒドロキシル基(OH)に結合している、炭化水素鎖基を意味し、その例として、オレイルアルコール(C18)が挙げられる。
【0024】
用語「中鎖脂肪酸トリグリセリド」または「MCT」は、グリセロールおよびC〜C12脂肪酸のトリエステルを意味し、当該脂肪酸の例は、カプロン酸(C)、カプリル酸(C)、カプリン酸(C10)、およびラウリン酸(C12)である。MCTの3つの脂肪酸は、同じであってもまたは異なっていてもよく、好ましくは、2つの異なる脂肪酸が存在する。好ましい中鎖脂肪酸トリグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである(Miglyol(登録商標) 812または810として市販されている)。
【0025】
用語「必須不飽和脂肪酸」は、1つまたは複数の二重結合(C=C)、好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの二重結合を有し、一方の末端にカルボキシル基を有する直鎖状の炭化水素を意味し、この場合、最初の二重結合は、炭素鎖の末端CHから3番目の炭素−炭素結合に(ω−3脂肪酸)、炭素鎖の末端CHから6番目の炭素−炭素結合に(ω−6脂肪酸)、または炭素鎖の末端CHから9番目の炭素−炭素結合に(ω−9脂肪酸)存在する。必須不飽和脂肪酸の例は、ω−3脂肪酸、例えば、α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)、ヘキサデカトリエン酸(HTA)、ステアリドン酸(SDA)、エイコサトリエン酸(ETE)、エイコサテトラン酸(ETA)、ヘネイコサペンタエン酸(HPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、テトラコサペンタエン酸、およびテトラコサヘキサエン酸、ならびにそれらの混合物など;ω−6脂肪酸、例えば、リノール酸(LA)、γ−リノレン酸(GLA)、カレンド酸、エイコサジエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸(DGLA)、アラキドン酸(AA)、ドコサジエン酸、アドレン酸、ドコサぺンタエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、およびそれらの混合物など;ω−9脂肪酸、例えば、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、ミード酸、エルカ酸、およびネルボン酸、ならびにそれらの混合物、である。好ましいω−3脂肪酸は、α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびそれらの混合物である。好ましいω−6脂肪酸は、リノール酸(LA)、γ−リノレン酸(GLA)、ジホモ−γ−リノレン酸(DGLA)、アラキドン酸(AA)、およびそれらの混合物である。好ましいω−9脂肪酸は、オレイン酸およびエルカ酸であり、さらにより好ましくはオレイン酸である。
【0026】
用語「薬学的に許容される」は、生理学的に許容可能でありかつ典型的には、ヒトまたは動物に投与された場合に、アレルギー性反応または類似の有害反応、例えば、胃の不調、めまい感など、を生じない、分子実体および組成物を意味する。好ましくは、本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、動物における使用、より詳細にはヒトにおける使用に対して、米国の連邦政府または州政府の監督機関によって認可されること、または米国薬局方もしくは他の一般的に承認された薬局方に列挙されることを意味する。
【0027】
用語「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩、塩基付加塩、または金属塩を意味し、それらは、従来の化学的方法によって塩基性または酸性部分を有する親化合物から合成することができる。一般的に、そのような塩は、例えば、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中または有機溶媒中またはこれら2つの混合液中において反応させることによって調製される。一般的に、非水性媒体、例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルが好ましい。酸付加塩の例としては、鉱酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩など、ならびに有機酸付加塩、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、およびp−トルエンスルホン酸塩など、が挙げられる。アルカリ付加塩の例としては、無機塩、例えば、アンモニウムなど、ならびに有機アルカリ塩、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N−ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミン、および塩基性アミノ酸塩など、が挙げられる。金属塩の例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、およびリチウム塩が挙げられる。
【0028】
用語「ポリエチレングリコール」または「PEG」は、150〜650ダルトン、好ましくは150〜550ダルトン、より好ましくは150〜450ダルトンの平均分子量を有する、酸化エチレンのオリゴマーまたはポリマーを意味する。エチレングリコールは、PEGの後ろにその平均分子量を示す数字を後ろに伴って言及され、例えば、PEG200は、200ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールを意味する。好ましいポリエチレングリコールは、PEG200、PEG400、およびそれらの混合物であり、より好ましくは、PEG200、PEG400、およびそれらの混合物である。
【0029】
用語「軟カプセル剤」は、当技術分野において周知であり、硬いシェルで構成されている硬カプセル剤とは対照的に、軟カプセルシェルを有するカプセル剤を意味する。軟カプセルシェルは、一般的に、壁部(シェル)に弾力性および柔軟性を付与する様々な混合物中において、ゼラチン、水、および可塑剤によって作製される。軟カプセル剤は、2つのピースを一緒に合わせたシェルで構成される硬カプセル剤とは対照的に、通常、単一のピースにおいて形成される。
【0030】
用語「界面活性剤」は、両親媒性の化合物を意味し、すなわち、それらは、疎水基(テール部分)および親水基(ヘッド部分)を有しており、結果として、界面活性剤は、水不溶性(または油可溶性)構成要素、すなわち、テール部分と、水可溶性構成要素、すなわち、ヘッド部分の両方を有する。界面活性剤の例は、水素添加植物油のポリオキシエチレン生成物、ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルなど、例えば、Nikkol(登録商標)(Nikkol HCO−50)の商標において市販されているポリオキシエチレン(50)水素添加ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)水素添加ヒマシ油(Nikkol HCO−40)、ポリオキシエチレン(60)水素添加ヒマシ油(Nikkol HCO−60);Tween(登録商標)(Tween 20)の商標において市販されているポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリソルベート21(Tween 21)、ポリソルベート40(Tween 40)、ポリソルベート60(Tween 60)、ポリソルベート80(Tween 80)、ポリソルベート81(Tween 81);モノオレイン酸ソルビタン(Span 80);ポリオキシ−35−ヒマシ油(Cremophor(登録商標) EL);ポリオキシエチル化グリセリド(Labrafil(登録商標) M2125Cs)、ポリオキシエチル化オレイングリセリド(Labrafil(登録商標) M1944 Cs);カプリロカプロイルポリオキシル−8−グリセリド(Labrasol(登録商標));D−α−トコフェリルポリエチレングリコール−1000スクシネート(TPGS)である。
【0031】
用語「ワックス」は、室温付近において可塑性(可鍛性)である化学化合物のクラスを意味する。特徴的には、それらは、約45℃を超える温度において溶融して、低粘度液体となる。ワックスは水に不溶性であるが、有機非極性溶媒には可溶性である。ワックスは、カルボン酸と、長鎖アルコールまたは置換炭化水素の混合物、例えば、長鎖脂肪酸および第一級アルコールなど(当該置換炭化水素は、20個を超える炭素原子を含む炭化水素鎖を有する)、とのエステルを含み得る。合成ワックスは、官能基を持たない長鎖炭化水素である。ワックスの例は、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カナウバワックス、蜜蝋、中国蝋(虫白蝋)、セラック蝋、(ラックワックス)、鯨蝋、ラノリン(羊毛蝋)、オウリクリワックス、カンデリラワックス、エスパルトワックス、オゾケライト、およびモンタンワックスである。
【0032】
軟カプセル剤
第一の態様において、本発明は、
a)軟カプセルシェル、および
b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルキルアルコール、C14〜C18アルケニルアルコール、ラノリンアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油状成分、および
・エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒;
を含んでなる軟カプセル剤であって、軟カプセルシェルが医薬組成物を封入してなり、かつ医薬組成物がワックスを含まないものである、軟カプセル剤を提供する。
【0033】
好ましくは、本発明は、
a)軟カプセルシェル、および
b)以下を含む医薬組成物:
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルケニルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油状成分、および
・エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒;
を含んでなる軟カプセル剤であって、軟カプセルシェルが医薬組成物を封入してなり、かつ医薬組成物がワックスを含まないものである、軟カプセル剤を提供する。
【0034】
一つの実施形態において、当該軟カプセルシェルは、ゼラチン、ならびにグリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤;好ましくは、グリセロール、ソルビトール、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤を含む。
【0035】
軟カプセルシェルを作製するために使用されるゼラチンは、薬学的利用または栄養的利用のために地方公共団体によって承認されているものである。これらのゼラチンは、主に、中程度のゲル強度(中程度のブルーム値、例えば、150〜200ブルーム)を有するアルカリ性(タイプB)または酸性(タイプA)の2つの異なるタイプのゼラチンである。両方のタイプを、組み合わせてまたは別々に使用することができる。好ましくは、タイプAのゼラチンおよびタイプBのゼラチンの組み合わせが使用される。タイプBのゼラチンの例は、石灰処理骨ゼラチンおよび石灰処理皮ゼラチンである。タイプAのゼラチンの例は、ブタ皮ゼラチン、酸処理皮ゼラチンおよび魚ゼラチンである。
【0036】
別の実施形態において、当該軟カプセルシェルは、
・40〜80重量%のゼラチン、
・10〜50重量%の、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤;好ましくは、グリセロール、ソルビトール、およびそれらの混合物からなる群より選択される可塑剤、
を含み、なお、重量ベースの量は、当該軟カプセルシェルの総重量に対して表される。
【0037】
特定の実施形態において、当該軟カプセルシェルは、
・40〜80重量%のゼラチン、
・10〜30重量%のグリセロール、および
・5〜15重量%のソルビトール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該シェルの総重量に対して表される。
【0038】
別の特定の実施形態において、当該軟カプセルシェルは、
・60〜70重量%のゼラチン、
・15〜25重量%のグリセロール、および
・5〜15重量%のソルビトール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該シェルの総重量に対して表される。
【0039】
一つの実施形態において、当該軟カプセルシェルはさらに、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤を含む。乳白剤は、軟カプセルシェルを不透明にするため、ならび結果として、当該軟カプセルの充填物、すなわち医薬組成物を光から保護するために、当該シェルに加えられる。好適な乳白剤は、当技術分野において既知であり、そのような乳白剤としては、二酸化チタン、タルクなどが挙げられる。着色剤は、当該軟カプセルシェルに所望の色を付与するために当該シェルに加えられる。好適な着色剤は、当技術分野において既知であり、そのような着色剤としては、サンセットイエローFCF(E−110)、インジゴカーミン(E−132)、エリスロシン(E−127)、キノリンイエロー(E−104)などが挙げられる。
【0040】
特に、当該軟カプセルシェルは、いかなる架橋プロセスも施されていない。
【0041】
当該軟カプセルシェルによって封入される医薬組成物は、カルシフェジオール;中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルキルアルコール、C14〜C18アルケニルアルコール、ラノリンアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油状成分;およびエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒を含む。好ましくは、当該軟カプセルシェルによって封入される医薬組成物は、カルシフェジオール;中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルケニルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される油成分;およびエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒を含む。
【0042】
一つの実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.001〜0.2重量%のカルシフェジオール、
・80〜99.9重量%の油状成分、および
・0.3〜6重量%の薬学的に許容される有機溶媒;
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対して表される。
【0043】
一つの実施形態において、当該油状成分は、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、C14〜C18アルケニルアルコール、およびそれらの混合物から選択される。
【0044】
一つの実施形態において、当該油状成分は、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびミリスチン酸イソプロピルから選択され、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリドから選択され、より好ましくは、当該中鎖脂肪酸トリグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。
【0045】
別の実施形態において、当該薬学的に許容される有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択され、好ましくはエタノールである。
【0046】
一つの実施形態において、当該油状成分は、中鎖脂肪酸トリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであり、ならびに/あるいは当該薬学的に許容される有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群より選択され、好ましくはエタノールである。
【0047】
特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.001〜0.2重量%のカルシフェジオール、
・80〜99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリド(好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)およびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、および
・0.3〜6重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはエタノール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対して表される。
【0048】
特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.001〜0.1重量%のカルシフェジオール、
・80〜99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリド(好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)およびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、および
・0.5〜5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはエタノール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対して表される。
【0049】
別の特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.001〜0.1重量%のカルシフェジオール、
・95〜99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリド(好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)およびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど)、および
・0.5〜1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはエタノール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対して表される。
【0050】
別の特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.01〜0.1重量%のカルシフェジオール、
・95〜99.9重量%の、中鎖脂肪酸トリグリセリド(好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)およびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど)、および
・0.5〜1.5重量%の、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはエタノール、
を含み、ここで、重量ベースの量は、当該医薬組成物中に存在するカルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒の総重量に対して表される。
【0051】
特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.01〜0.5mgのカルシフェジオール、
・400〜500mgの、中鎖脂肪酸トリグリセリド(好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)およびミリスチン酸イソプロピルからなる群より選択される油状成分、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなど)、および
・2〜20mgの、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される薬学的に許容される有機溶媒、好ましくはエタノール、
を含む。
【0052】
別の特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.01〜0.5mgのカルシフェジオール、
・400〜500mgのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、および
・4〜6mgのエタノール、5〜10mgのポリエチレングリコール、および/または2〜8mgプロピレングリコール、好ましくは4〜6mgのエタノール、
を含む。
【0053】
別の特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.2〜0.4mgのカルシフェジオール、
・400〜500mgのミリスチン酸イソプロピル、および
・4〜6mgのエタノール、
を含む。
【0054】
別の特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・0.2〜0.4mgのカルシフェジオール、
・400〜500mgのミリスチン酸イソプロピル、
・3〜6mgのエタノール、および
・10〜25mgのポリエチレングリコーまたはプロピレングリコール、
を含む。
【0055】
さらなる実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、さらに、カルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体、好ましくはカルシウムイオン(Ca2+)を含む。カルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体は、カルシウムまたはカルシウムイオンの任意の薬学的に許容される供給源、例えば、薬学的に許容されるカルシウム塩、水酸化カルシウム、およびヒドロキシアパタイトなど、を意味する。当該薬学的に許容されるカルシウム塩の例は、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化カルシウム六水和物、クエン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、グリシン酸塩、ビスグリシン酸カルシウム、グルコヘプトン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルコノ乳酸(gluconolactate)カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ヒドロゲノリン酸(hydrogenophosphate)カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、ラクトリン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、一塩基性もしくはトリ塩基性リン酸カルシウム、ピドロ酸カルシウム、硫酸カルシウムである。好ましくは、当該カルシウムまたはカルシウムイオンは、グリシン酸カルシウム、ビスグリシン酸カルシウム、水酸化カルシウム、またはそれらの混合物として提供される。より好ましくは、当該カルシウムまたはカルシウムイオンは、グリシン酸カルシウム、ビスグリシン酸カルシウム、またはそれらの混合物として提供される。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、カルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体;鉄またはその薬学的に許容される誘導体;ビタミンB12;ビタミンB9(葉酸または葉酸塩としても知られる);レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩;ならびに/あるいは必須不飽和脂肪酸またはそれらの混合物を含む。
【0057】
鉄およびその誘導体は、鉄の任意の薬学的に許容される供給源、例えば、鉄イオン(Fe2+および/またはFe3+)(これらは、薬学的に許容される鉄塩として提供され得る);および元素鉄(これらは、金属タンパク質としてまたは配位錯体として提供され得、ここで、鉄(Fe(III)またはFe(II))は、タンパク質または別の薬学的に許容される有機化合物のアミノ酸残基に属する窒素、酸素、または硫黄中心によって配位される)を意味する。当該薬学的に許容される鉄塩の例は、第一鉄塩および第二鉄塩、好ましくは、例えば、クエン酸第二鉄アンモニウム、リン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄、フェリチン、フェロコリネート、アスコルビン酸第一鉄、アスパラギン酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、酒石酸第一鉄、フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、グルセプト酸第一鉄、硫酸グリシン第一鉄、乳酸第一鉄、シュウ酸第一鉄、およびコハク酸第一鉄である。当該イオン金属タンパク質または配位錯体の例は、鉄グリシン酸塩錯体、鉄グルコース錯体、鉄フルクトース錯体、鉄ポリマルトース錯体、および鉄スクロース錯体である。
【0058】
特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、
・エタノール、および
・カルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体
を含む。
【0059】
別の特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、
・エタノール、
・カルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体、
・鉄またはその薬学的に許容される誘導体、
・ビタミンB12、
・ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、および
・必須不飽和脂肪酸
を含む。
【0060】
一つの実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、さらに、ビスホスホネートを含む。ビスホスホネートは、骨量の低下を防ぎ、2つのホスホネート基を有する薬物のクラスとして当技術分野において周知である。好ましくは、当該ビスホスホネートは、アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、エチドロン酸、パミドロン酸、ゾレドロン酸、およびそれらの混合物からなる群より選択され;より好ましくは、ビスホスホネートは、アレンドロン酸、イバンドロン酸、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0061】
別の好ましい実施形態において、当該軟カプセル剤の医薬組成物は、10%未満の水を含有する。好ましくは5%未満、より好ましくは2.5%未満、さらにより好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満の水を含有する。
【0062】
特定の実施形態において、本発明の軟カプセル剤の医薬組成物は、
・カルシフェジオール、
・中鎖脂肪酸トリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、
・エタノール、および
・ビスホスホネート、好ましくはアレンドロン酸、イバンドロン酸、またはそれらの混合物
を含む。
【0063】
意外なことに、本発明の軟カプセル剤は、これらのタイプの系の必須成分の1つであることが知られている界面活性剤の不在下において、SEDDSを形成する。したがって、好ましい実施形態において、本発明の軟カプセル剤は、界面活性剤を含有しない。
【0064】
別の好ましい実施形態において、当該軟カプセル剤は、セルロースポリマーを含有しない。セルロースポリマーの例は、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースである。
【0065】
本発明の軟カプセル剤中に封入される医薬組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤を含み得る。用語「薬学的に許容される賦形剤」は、ビヒクル、希釈剤、または有効成分と共に投与される補助剤を意味する。従来の薬学的に許容される賦形剤は、当業者に既知である。例えば、好適な医薬賦形剤は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,第21版,2005に記載されている。
【0066】
特に、本発明の軟カプセル剤に封入される医薬組成物は、液体組成物である。
【0067】
本発明の軟カプセル剤中のカルシフェジオールの量は、好ましくは、200〜180,000IUのカルシフェジオールの範囲において含まれる。
【0068】
一つの実施形態において、本発明の軟カプセル剤は、カルシフェジオール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、およびα−トコフェロールアセテートを含有する経口液体調剤として投与されるカルシフェジオールの当量のCmaxの少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.25倍、より好ましくは少なくとも1.3倍、より好ましくは1.35倍のカルシフェジオールのCmaxを提供する。
【0069】
別の実施形態において、本発明の軟カプセル剤は、カルシフェジオール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、およびα−トコフェロールアセテートを含有する経口液体調剤として投与されるカルシフェジオールの当量のAUC0〜72の少なくとも1.2倍、好ましくは1.25倍のAUC0〜72を提供する。
【0070】
さらなる実施形態において、本発明の軟カプセル剤は、カルシフェジオール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、およびα−トコフェロールアセテートを含有する経口液体調剤として投与される当量のカルシフェジオールのCmaxの少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.25倍、より好ましくは少なくとも1.3倍、より好ましくは1.35倍のカルシフェジオールのCmax;ならびにカルシフェジオール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、およびα−トコフェロールアセテートを含有する経口液体調剤として投与されるカルシフェジオールの当量のAUC0〜72の少なくとも1.2倍、好ましくは1.25倍のAUC0〜72を提供する。
【0071】
当該CmaxおよびAUC0〜72は、Directive 2001/20/ECに従って、当技術分野における標準的手法を用いて特定される。特に、これらのパラメータは、カルシフェジオールを投与し、基底時間(basal time)(−0.5時間、−0.25時間、および0時間において得られる平均値)およびカルシフェジオールの投与後(2、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、8、10、12、24、48、および72時間後)に血液試料(3ml)を採取することによって特定される。当該血液試料におけるカルシフェジオールの血漿濃度は、HPLC−MSによって特定され;Cmaxは、観察される最大カルシフェジオール濃度に対応し、AUC0〜72は、一般的な数学的手法、例えば、台形法則など、によって、時間に対する血漿中の薬物の濃度のプロットの下の面積の積分によって特定される。
【0072】
カルシフェジオール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、およびα−トコフェロールアセテートを含有するレファレンスの経口液体調剤は、Faes FarmaによりHidroferol(登録商標)の名前において市販されているものであり、ここで、カルシフェジオールは、カルシフェジオール(例えば、0.266mg;15,960IUのカルシフェジオール;または本発明による軟カプセル剤中のカルシフェジオールに対して当量)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(1.5ml)、およびα−トコフェロールアセテート(0.266mg;酢酸ビタミンE)からなる溶液を含むアンプルとして提供される。
【0073】
カルシフェジオールの用量範囲(0.105mgから0.700mgの間)における直線性の存在(Haddad JG Jr,Rojanasathit S.Acute administration of 25−hydroxycholecalciferol in man.J Clin Endocrinol Metab.1976; 42(2):284−90)により、0.532mg(2×0.266mg)の研究用量によって、感度の高い比較を保証する暴露における適切な分離を得ることが可能であり、それにより、製剤間の潜在的違いを検出することができる。
【0074】
軟カプセルの医療使用
ビタミンD欠乏に関連する疾患の治療でのカルシフェジオールの使用について説明してきた。
【0075】
したがって、さらなる態様において、本発明は、医薬品での使用のための、上記において説明した軟カプセル剤に関する。
【0076】
本発明のさらなる態様は、ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防での使用のための、上記において説明される軟カプセル剤である。
【0077】
本発明のさらなる態様は、ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防のための医薬品の製造における、上に定義した軟カプセル剤の使用を対象とする。
【0078】
さらなる態様において、本発明は、ビタミンD欠乏症、脱塩、例えば、低カルシウム血症および低リン酸塩血症など、腎性骨ジストリフィー、クル病、骨粗しょう症、骨減少症、骨関節炎、変形性関節症、骨軟化症、副甲状腺機能低下症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患の治療および/または予防の方法であって、そのような治療を必要とする患者に、上に定義した軟カプセル剤を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0079】
用語「治療」または「治療する」は、本明細書の文脈において、疾患またはその疾患に関連する1つまたは複数の症状を改善または排除するために、本発明による化合物または製剤を投与することを意味する。「治療」は、疾患の生理学的後遺症を改善または排除することも包含する。
【0080】
用語「改善する」は、本発明の文脈において、治療される患者の状態に対する任意の改善を意味すると理解される。
【0081】
用語「予防」または「予防する」は、所定の疾患または障害の罹患または発症のリスクの低減、あるいは再発または疾患または障害の低減または阻止を意味する。
【0082】
特に、上に定義した使用のための軟カプセル剤は、3ヶ月に一回、2ヶ月に一回、1ヶ月に一回、3週間に1回、2週間に1回、1週間に1回、または1日1回の投与用である。好ましくは、3ヶ月に1回の投与用の軟カプセル剤は、24000IU〜16000IUのカルシフェジオールを含む。好ましくは、2ヶ月に1回の投与用の軟カプセル剤は、24000IU〜16000IUのカルシフェジオールを含む。好ましくは、1ヶ月に1回の投与用の軟カプセル剤は、24000IU〜16000IUのカルシフェジオールを含む。好ましくは、3週間に1回の投与用の軟カプセル剤は、16000IU〜14000IUのカルシフェジオールを含む。好ましくは、2週間に1回の投与用の軟カプセル剤は、14000IU〜12000IUのカルシフェジオールを含む。好ましくは、1週間に1回の投与用の軟カプセル剤は、10000IU〜8000IUのカルシフェジオール、より好ましくは9000IUのカルシフェジオールを含む。好ましくは、1日1回の投与用の軟カプセル剤は、1000IU〜400IUのカルシフェジオールを含む。
【0083】
特に、上に定義した使用のための軟カプセル剤であって、当該軟カプセル剤に含まれる医薬組成物が、追加的に、ビスホスホネート;好ましくは、アレンドロン酸、リセドロン酸、イバンドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、エチドロン酸、パミドロン酸、ゾレドロン酸、およびそれらの混合物からなる群より選択されるビスホスホネート;より好ましくは、アレンドロン酸、イバンドロン酸、およびそれらの混合物からなる群より選択されるビスホスホネートを含む、軟カプセル剤。上に定義した使用のための当該軟カプセル剤は、1ヶ月に1回または1週間に1回の投与用である。好ましくは、1ヶ月に1回の投与用の軟カプセル剤は、24000IU〜16000IUのカルシフェジオールおよび150mgのイバンドロン酸を含む。ましくは、1週間に1回の投与用の軟カプセル剤は、2800IU〜5600IUのカルシフェジオールおよび70mgのアレンドロン酸を含む。当該軟カプセル剤は、骨関節炎および/または変形性関節症の治療および/または予防にとって特に有用である。
【0084】
軟カプセル剤の調製方法
本発明の軟カプセル剤は、(例えば、Gurava reddy,R.ら,Int.J.Adv.Pharm.Gen.Res.,2013,1,20−29に記載されるような)軟カプセル剤の調製のための、当技術分野において既知の任意の従来の製造プロセス、例えば、ロータリーダイプロセスなど、によって調製することができる。
【0085】
特に、本発明のさらなる態様は、上に定義した軟カプセル剤を調製する方法であって、
a)カルシフェジオール;油状成分;および薬学的に許容される有機溶媒;ならびに場合によりカルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体、鉄またはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、必須不飽和脂肪酸、および/またはビスホスホネートを含む混合物を調製する工程;
b)ゼラチン;可塑剤;水;ならびに場合により薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤、を含む混合物を調製する工程と、
c)工程b)の混合物からシェルを形成する工程と、
d)工程a)の混合物で当該シェルを満たす工程と、
e)工程d)において得られたカプセル剤を乾燥させる工程と
を少なくとも含んでなる方法に関する。
【0086】
工程a)は、当該軟カプセルシェルによって封入される医薬組成物中に存在するであろう原料成分、すなわち、カルシフェジオール、油状成分、および薬学的に許容される有機溶媒、を含む混合物を調製する工程を含む。好ましくは、当該混合物は溶液である。さらに、さらなる原料成分、例えば、カルシウムまたはその薬学的に許容される誘導体、鉄またはその薬学的に許容される誘導体、ビタミンB12、ビタミンB9、レボメフォリック酸またはその薬学的に許容される塩、必須不飽和脂肪酸、および/またはビスホスホネートなど、が当該医薬組成物中に存在する場合、当該原料成分も、工程a)の混合物中に含まれる。好ましくは、当該混合物は、カルシフェジオールを薬学的に許容される有機溶媒に溶解させ、次いで結果として得られる溶液を油状成分に加えることによって調製され、ここで、当該医薬組成物中に存在するであろう任意の追加の原料成分も、当該油状成分に加えられる。好ましくは、工程a)は、不活性雰囲気下、例えば、窒素雰囲気下など、において実施される。
【0087】
工程b)は、軟カプセルシェルを形成するであろう原料成分、すなわち、ゼラチンおよび可塑剤;ならびに存在していてもよい任意の追加の原料成分、例えば、薬学的に許容される乳白剤および/または薬学的に許容される着色剤、の水性混合物を調製する工程を含む。好ましくは、当該混合物は溶液である。
【0088】
工程a)は、工程b)の前に実施してもよく、または工程b)を工程a)の前に実施してもよく、または工程a)およびb)を同時に実施してもよい。
【0089】
工程c)は、工程b)の混合物からシェルを形成する工程を含み、工程d)は、工程a)の混合物で当該シェルを満たす工程を含む。好ましくは、工程c)およびd)は、例えば、ロータリーダイ技術の使用によって同時に実施され、当該技術は、工程b)の混合物からリボンと呼ばれる2つの可塑化されたフィルムを形成することによって始まり、次いで、各リボンをダイ上を通過させて、工程a)の混合物を充填しながら、2つのロータリーが出会う位置において他方のリボンにシーリングされる。特定の実施形態において、工程c)および/または工程d)は、制御された相対湿度(RH)条件下、例えば、20%〜40%RH、好ましくは25%〜35%RH、より好ましくは30%RHなど、において実施される。
【0090】
最後に、工程e)は、先行の工程において得られたカプセル剤を、例えば、回転式乾燥機およびトンネル式乾燥機において、残留水分が約6%未満になるまで乾燥させる工程を含む。特定の実施形態において、工程e)は、制御された相対湿度(RH)条件下、例えば、10%〜30%RH、好ましくは15%〜25%RH、より好ましくは22%RHなど、において実施される。
【0091】
本発明について、以下の実施例によってより具体的に説明する。しかしながら、本発明は、いかなる方法においてもこれらの実施例によって制限されないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0092】
実施例1.カルシフェジオール軟カプセル剤
a)軟カプセルシェル
【表1】
【0093】
b)医薬組成物
・医薬組成物1
【表2】
【0094】
・医薬組成物2
【表3】
【0095】
・医薬組成物3
【表4】
【0096】
・医薬組成物4
【表5】
【0097】
軟カプセル剤の調製:
1.カルシフェジオールを薬学的に許容される有機溶媒に溶解させる。
2.工程1の溶液を、窒素雰囲気下において油状成分に加える。
3.水を供給し、75℃に加熱し、グリセロールおよびソルビトールを加え、75℃に加熱し、ゼラチンを加え、真空および熱によって混合し、サンセットイエローおよび二酸化チタンを加え、混合することによって、軟カプセルシェル成分の混合物を調製する。
4.工程3の混合物で軟カプセルシェルを形成することによって、工程2で得られた混合物を軟カプセル剤へと製剤化する。
【0098】
実施例2.レファレンスのカルシフェジオール製剤
レファレンスのカルシフェジオール製剤は、以下を含むアンプルにパッケージされたカルシフェジオールの溶液であるHidroferol(登録商標)(Faes Farma)であった:
【表6】
【0099】
実施例3.薬物動態研究
HPCL法
概説:
当該方法は、n−ペンタンによる液体−液体−抽出法およびその後の4−フェニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン(PTAD)による誘導体化を伴った。カルシフェジオールおよび内部標準を、直列式質量分析検出器に連結された逆相高速液体クロマトグラフィ(LC/MS/MS)によって測定した。
【0100】
機器
計器システム:
当該モジュール式液体クロマトグラフィシステムは、HTCオートサンプラー(CTC−PAL)、高圧式バイナリポンプ(Agilent 1200シリーズ)、高圧式ポンプ(Perkin Elmer シリーズ200)、質量分析検出器API 4000(MDS Sciex)、カラムヒーター(CROCO−CIL)、および10ポート切換弁(VICI)で構成されていた。
【0101】
データ取得およびデータ統合は、MDS Sciex Analystバージョン1.4.2ソフトウェアを使用して行った。
【0102】
クロマトグラフ条件:
分離は、逆相カラム(Unison UK−C18、2×50 mm、3μm、Imtakt製)において実施した。移動相Aは、1mMのメチルアミン、水において調製した0.1%ギ酸であり、移動相Bは、1mMのメチルアミン、メタノールにおいて調製した0.1%ギ酸であった。クロマトグラフ分離は、40℃において、0.5〜1.00mL/分の間の範囲の流量で傾斜的に実施した。
【0103】
検出条件:
・カルシフェジオール607.5→298.0amu
・カルシフェジオール−d6(内部標準)613.5→298.0amu
【0104】
抽出方法:
100μLの内部標準検量線用溶液を、各試料(研究試料、較正標準、または品質管理)からの100μLの血漿を含有する管に移し、次いで、それをn−ペンタンで抽出した。続いて、それをPTADで誘導体化した。
【0105】
薬物動態研究
健康な志願者への絶食条件下における単回投与後の、医薬組成物1を含む実施例1の軟カプセル剤(カルシフェジオール軟カプセル剤)のバイオアベイラビリティを、レファレンスである実施例2のカルシフェジオール製剤(カルシフェジオールアンプル)と比較するために、無作為の、2期、2群、2期間のクロスオーバー臨床試験を実施した。
【0106】
18〜35歳の72人の志願者(38人の男性および34人の女性)を無作為に2つのグループ、グループAおよびBに分けた。第一期間(P1:6日)において、グループAに2つのカルシフェジオールアンプルを与え、その一方で、グループBには2つのカルシフェジオール軟カプセル剤を与えた。少なくとも105日の休薬期間の後、第二期間(8日間)において、グループAに2つのカルシフェジオール軟カプセル剤を与え、グループBには2つのカルシフェジオールアンプルを与えた。個人的な理由により、2人の志願者が第二期間P2の前に試験を放棄した。最終的に、70人の志願者(36人の男性および34人の女性)によって、当該研究を結論付けた。
【0107】
maxおよびAUC0〜72を、上記において説明したHPLC−MSを使用して血液試料中のカルシフェジオールの血漿濃度を測定することによって特定する。血液試料(3ml)は、基底時間(−0.5時間、−0.25時間、および0時間において得られる平均値)および、軟カプセル剤としてまたはアンプルとしてのカルシフェジオール製剤の投与後、2、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、8、10、12、24、48、および72時間において採取した。時間−血漿濃度プロットを図1に示す。WinNonlin 6.3ソフトウェア(Pharsight Corporation、ケーリー、USA)を使用してCmaxおよびAUC0〜72を得た。結果は、平均値±標準偏差(SD)として下記の表に示す。
【0108】
【表7】
図1