(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鋼板は、490〜650MPaの引張強度、366〜600MPaの降伏強度及び16〜30%の延伸率を有することを特徴とする請求項1に記載の表面品質の優れた高強度熱延鋼板。
【背景技術】
【0002】
高強度熱延鋼板を素地鋼板とする高強度亜鉛メッキ鋼板(hot galvanized iron、HGI)は、構造材などに広く使われている。
【0003】
前記高強度亜鉛メッキ鋼板の素地鋼板である高強度熱延鋼板としては、通常Nbを含む鋼種が使われてきた。
【0004】
前記高強度熱延鋼板は、通常Nbを含む鋼スラブを加熱してAr3以上のオーステナイト領域で熱間圧延した後、巻取して製造される。
【0005】
しかし、前記のようにNbを含む鋼スラブをAr3以上のオーステナイト領域で熱間圧延する場合には、Nbが熱間圧延時に再結晶を遅延させて仕上げ圧延の圧延荷重が増加するようになり、これによって、ロール表面粗さを発生させて鋼板の通板性不良及び表面欠陥、特に砂型スケールなどの欠陥が発生するという問題点がある。
【0006】
このような表面欠陥、特にスケール性欠陥を改善するための従来技術としては、粗圧延の前方でデスケーリングを行うとき冷却水の噴射回数を増加させるか、バーの厚さを下向きにするか、FSB(finishing scale breaker)条件を強化させてスケール欠陥を改善させる方法などが知られている。
【0007】
しかし、前記従来技術は、熱延通板性の誤作及びサイズ変更頻発などをもたらすようになるので根本的な解決策であるとは言えない。
【0008】
したがって、操業上の問題なしに表面スケール性欠陥問題を解決して表面特性の優れた熱延鋼板、特に亜鉛メッキ鋼板用熱延鋼板が提供できる技術が要求されているのが実情である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
高強度亜鉛メッキ鋼板の素地鋼板に使用される熱延鋼板としては、通常Nbを含む鋼種が使用されてきた。
【0020】
しかし、前記のようにNbを含む鋼スラブをAr3以上のオーステナイト領域で熱間圧延して熱延鋼板を製造する場合には、Nbが熱間圧延時に再結晶を遅延させて仕上げ圧延の圧延荷重が増加するようになり、これによって、ロール表面粗さを発生させて鋼板の通板性不良及び表面欠陥、特に砂型スケールなどの欠陥が発生するという問題点がある。
【0021】
そこで、本発明者らは、このようなスケールなどの欠陥が発生する問題点を解決するために長時間研究及び実験を行った結果に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明は、砂型スケール欠陥を誘発するNbを添加せずに、Si及びMnの含量、Mn/Siの重量比、C/Siの重量比及びSi/Pの重量比を適切に制御してスケール欠陥を改善させて優れた表面特性を確保する。
【0023】
また、本発明は、Nbの未添加による強度低下を補償するために、Mnの含量を増加させて固溶強化を通じて強度を向上させるだけではなく、巻取温度を制御して低温組織であるベイナイトを形成させて高強度を確保する。
【0024】
すなわち、本発明は、表面特性が優秀で且つ高い強度を有する熱延鋼板、特に亜鉛メッキ鋼板(HGI)用熱延鋼板及びその製造方法に関する。
【0025】
本発明の一側面である表面品質の優れた高強度熱延鋼板は、重量%で、 C:0.05〜0.15%、Si:0.03〜0.10%、Mn:0.7〜1.39%、P:0.001〜0.05%、S:0.001〜0.03%、Al:0.002〜0.035%、残部Fe及びその他不可避な不純物を含み、Mn/Siの重量比が15〜25であり、C/Siの重量比が1〜5であり、Si/Pの重量比が3〜10であり、微細組織が面積分率で10〜40%のベイナイト、20〜30%のパーライト及び40〜60%のフェライトからなり、表面から50μm以内にFeO、Fe
2SiO
4、Fe
3(PO)
4の三元共晶(ternary eutectic)化合物が形成されている。
【0026】
以下、熱延鋼板の組成に対して説明する。
【0027】
炭素(C):0.05〜0.15重量%
炭素は、鋼の強化において一番効果的な元素であるが、多量添加される場合には熔接性及び低温靱性を低下させる元素である。炭素の含量が過度に少ない場合、本発明で意図する目標強度を具現しにくい。一方、炭素の含量が過度に多い場合、成形性、熔接性、衝撃特性及び低温靱性が劣化し得る。したがって、炭素の含量は、0.05〜0.15重量%、好ましくは、0.08〜0.14重量%、より好ましくは、0.11〜0.13重量%であり得る。
【0028】
シリコン(Si):0.03〜0.10重量%
シリコンは、脱酸剤として使用され、2次スケールの密着性を向上させ、鋼の高強度化に有効な元素である。Siの添加量が増加するに従って高温の粗圧延温度でも表面欠陥が顕著に減り、特に、Siが0.05重量%以上含まれる場合表面欠陥がほとんど発生しないこともある。しかし、シリコンの含量が多すぎる場合、赤スケールがひどく発生して表面品質がむしろ低下し得る。したがって、シリコンの含量は、0.03〜0.10重量%、好ましくは、0.04〜0.08重量%、より好ましくは、0.05〜0.07重量%であり得る。
【0029】
マンガン(Mn):0.7〜1.39重量%
マンガンは、鋼の固溶強化に効果的な元素である。マンガンの含量が過度に少ない場合、鋼板強度が低下し、粗大なMnSが形成されて鋼材が非常に脆弱になり得る。しかし、マンガンの含量が多すぎる場合、合金原価が増加し、熔接性が低下し、延伸率などの物性は低いながら鋼板強度が過度に高くなり得る。したがって、マンガンの含量は、0.7〜1.39重量%、好ましくは、0.9〜1.3重量%、より好ましくは、1.1〜1.3重量%であり得る。
【0030】
リン(P):0.001〜0.05重量%
リンは、セメンタイトの形成を抑制して強度向上に有利な成分である。リンの含量が過度に少ない場合、鋼板強度が低下し得る。反対に、リンの含量が多すぎる場合、鋼板の中心部に偏析して衝撃靱性を低下させ得る。したがって、リンの含量は、0.001〜0.05重量%、好ましくは、0.003〜0.04重量%、より好ましくは、0.005〜0.02重量%であり得る。
【0031】
硫黄(S):0.001〜0.03重量%
硫黄は、不可避に含有される不純物元素として、多量に含有される場合、Mnなどと結合して非金属介在物を形成することで鋼の衝撃靱性を大きく損傷させるから、その含量を最大限抑制することが好ましい。理論上硫黄の含量は、0%に制限することが有利であるが、製造工程上必然的に含有されるほかない。したがって、上限を管理することが重要であり、具体的に硫黄の含量は、0.001〜0.03重量%、好ましくは、0.001〜0.02重量%、より好ましくは、0.001〜0.01重量%であり得る。
【0032】
アルミニウム(Al):0.002〜0.035重量%
アルミニウムは、製鋼時にSiとともに脱酸剤として添加され、固溶強化効果がある。アルミニウムの含量が過度に少ない場合、添加効果を得ることができず、反対に、アルミニウムの含量が多すぎる場合、連続鋳造時にノズル詰まりを誘発し得る。したがって、アルミニウムの含量は、0.002〜0.035重量%、好ましくは、0.005〜0.03重量%、より好ましくは、0.01〜0.03重量%であり得る。
【0033】
Mn/Siの重量比:15〜25
本発明では、Mn及びSi各々の含量も重要であるが、Mn及びSiの比、すなわち、Mn/Siの重量比も重要である。Mn/Siの重量比が過度に小さい場合、表面品質が低下するか強度などの物性が低下し得る。反対に、Mn/Siの重量比が過度に大きい場合、熔接性などの物性が低下するか、延伸率などの物性は低いながら鋼板強度が過度に高くなり得る。したがって、Mn/Siの重量比は、15〜25、好ましくは、17〜23、より好ましくは、19〜21であり得る。
【0034】
C/Siの重量比;1〜5
本発明では、C及びSi各々の含量も重要であるが、C及びSiの割合、すなわち、C/Siの重量比も重要である。C/Siの重量比が過度に小さい場合、表面品質が低下するか強度などの物性が低下し得る。反対に、C/Siの重量比か過度に大きい場合、表面品質などの物性が低下されるか延伸率が落ち得る。したがって、C/Siの重量比は、1〜5、好ましくは、1〜4、より好ましくは、1.5〜3であり得る。
【0035】
Si/Pの重量比:3〜10及び三元共晶化合物
Si成分とP成分はいずれもスケールとスチール界面に濃化しやすく、添加量の増加によって濃化量が増加する。しかし、Si量の増加によって、緻密なスケールが形成されて表面欠陥が減少し得る。前記SiとPを前記範囲で複合添加する場合、表面から50μm以内にFeO、Fe
2SiO
4、Fe
3(PO)
4の三元共晶化合物が形成されて融点低下でスケール剥離力が増加し、これによって、表面品質が改善され得る。鋼板の表面特性の改善のためのSi/Pの重量割合は、3〜10、好ましくは、3〜8、より好ましくは、5〜7であり得る。
【0036】
一方、三元共晶化合物は、XRD(X−ray diffraction)、SEM(scanning electron microscope)、EDX(energy dispersive X−ray spectroscopy)、XPS(X−ray photoelectron spectroscopy)などを利用して確認し得る。
【0037】
その他の成分
上述した成分元素に加えて、鋼板の機械的な物性などを改善するため、必要な場合選択的に、本発明の熱延鋼板は、重量%で、N:0.01%以下(0除外)、Ti:0.02%以下(0除外)、Cu:0.05%以下(0除外)、Ni:0.08%以下(0除外)、Cr:0.10%以下(0除外)、V:0.01%以下(0除外)及びMo:0.03%以下(0除外)からなる群から選択された1種または2種以上を含み得る。
【0038】
前記窒素(N)は、オーステナイト結晶粒内で凝固過程でアルミニウムと作用して微細な窒化物を析出させて双晶発生を促進することで、鋼板の成形時に強度と軟性を向上させるが、窒素の含量が増加するほど窒化物が過多に析出して熱間加工性及び延伸率を低下させるので、窒素の含量は、0.01重量%以下に制限することが好ましい。
【0039】
前記Crを添加する場合、Siの内部酸化を促進する効果を得ることができ、Cr含量が多すぎる場合、むしろCrが外部酸化されるためメッキ性が劣化され得る。したがって、Crの含量は、0.10重量%以下であることが好ましい。
【0040】
前記Moを添加する場合、強度増大効果を得ることができ、Ni及び/またはCuとの複合添加時にSiの内部酸化を促進する効果を得ることができるが、Mo含量が多すぎる場合、費用上昇をもたらす。したがって、Moの含量は、0.03重量%以下であることが好ましい。
【0041】
前記Tiを添加する場合、強度増大効果を得ることができるが、Tiの含量が多すぎる場合、メッキ性の劣化をもたらす。したがって、Tiの含量は、0.02重量%以下であることが好ましい。
【0042】
前記Cuを添加する場合、残留ガンマ相形成を促進し、Ni及び/またはMoとの複合添加時にSiの内部酸化を促進する効果を得ることができるが、Cuの含量が多すぎる場合、費用上昇をもたらす。したがって、Cuの含量は、0.05重量%以下であることが好ましい。
【0043】
前記Niを添加する場合、残留ガンマ相形成を促進し、Cu及び/またはMoとの複合添加時にSiの内部酸化を促進する効果を得ることができるが、Niの含量が多すぎる場合、費用上昇をもたらす。したがって、Niの含量は、0.08重量%以下であることが好ましい。
【0044】
前記Vを添加する場合、結晶粒微細化による降伏強度を向上させ、鋼の濡れ性を増加させるのに有利である。しかし、その含量が多すぎる場合、鋼の靭性が悪化して熔接部にクラックが発生する危険があるので、Vの含量は、0.01重量%以下であることが好ましい。
【0045】
残りの成分は、鉄(Fe)であり、その他不可避な不純物が含まれ得る。通常の熱延鋼板製造過程では、原料または周りの環境から意図されない不純物が不可避に混入され得るので、これを排除することはできない。これら不純物は、通常の技術者であれば、誰でも分かるものであるので、本明細書ではその全ての内容には特に言及しない。
【0046】
微細組織
本発明の熱延鋼板は、面積分率で、10〜40%のベイナイト、20〜30%のパーライト及び40〜60%のフェライトからなる微細組織を有する。前記ベイナイトの含量が多すぎる場合には、強度は向上するが、フェライトの含量が少なくて延伸率が低下し、その含量が過度に少ない場合には、フェライト含量が多すぎて強度が弱くなるので、前記ベイナイトの含量は、面積分率で、10〜40%に限定する。好ましくは、20〜40%であり得る。
【0047】
スケール個数
本発明による熱延鋼板の両側表面(前面+背面)に形成された点状の砂型スケールの数は、平均0.1個/m
3以下、好ましくは、0.08個/m
3以下、より好ましくは、0.06個/m
3以下であり得る。長さ1km及び幅1066mmサイズの面積を基準とすれば、平均100個以下、好ましくは、80個以下、より好ましくは、60個以下であり得る。スケールの個数は、SDD(Surface Defect Detector)を利用して測定し得る。スケールは、主に砂型スケールであり得る。砂型スケールは、表面欠陥として熱延工程で発生し、比較的丸い点模様で板に砂をまいたように発生し、比較的浅い深さで幅全面に散発的に発生し、黒茶色を示す。砂型スケールが存在すれば、メッキと塗装不良が発生し、加工時に表面クラックに進展して表面不良が発生し得る。本発明では、鋼板成分の含量制御などを通じて熱延鋼板の表面スケール欠陥を著しく減少させ得る。
【0048】
強度と延伸率
本発明による熱延鋼板は、490MPa以上の引張強度、366MPa以上の降伏強度及び16%以上の延伸率を有し得る。例えば、前記熱延鋼板は、490〜650MPaの引張強度、366〜600MPaの降伏強度及び16〜30%の延伸率を有し得る。
【0049】
メッキ鋼板
本発明による熱延鋼板は、亜鉛メッキ層を含み得る。前記のように亜鉛メッキ層を含む熱延鋼板は、例えば、HGIなどのような亜鉛メッキ鋼板であり得る。
【0050】
鋼板の厚さなど
本発明による熱延鋼板の厚さは、1.0〜5mm、好ましくは、1.0〜1.6mmであり得る。本発明による鋼板の幅は、500〜2000mm、コイルの重さは、5〜40tonであり得る。
【0051】
以下、本発明の熱延鋼板の製造方法に対して説明する。
【0052】
本発明の他の一側面である表面品質の優れた高強度熱延鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.03〜0.10%、Mn:0.7〜1.39%、P:0.001〜0.05%、S:0.001〜0.03%、Al:0.002〜0.035%、残部Fe及びその他不可避な不純物を含み、Mn/Siの重量比が15〜25であり、C/Siの重量比が1〜5であり、Si/Pの重量比が3〜10であるスラブを1000〜1250℃で加熱する段階;加熱されたスラブを990〜1090℃で粗圧延してバーを得る段階;前記バーを810〜910℃の仕上げ圧延温度で仕上げ圧延して熱延鋼板を得る段階;及び前記熱延鋼板を510〜610℃の巻取温度で巻取する段階を含む。
【0053】
熱間圧延時の通板性と表面品質は相反関係にある。具体的に、通板性を確保するためには、スラブ加熱温度、粗圧延温度(RDT)、バーの厚さを増加させた方がよい。反対に、表面品質を確保するためには、抽出温度とRDTを減少させてデスケーリングを強化した方がよい。
【0054】
前記スラブの加熱温度(加熱炉の抽出温度、SRT)は、1000〜1250℃、好ましくは、1100〜1220℃、より好ましくは、1150〜1200℃であり得る。
【0055】
前記スラブの加熱温度が過度に低いと、通板性が低下し、過度に高いと、表面品質が低下し得る。
【0056】
前記粗圧延温度(RDT)は、990〜1090℃、好ましくは、1010〜1070℃、より好ましくは、1030〜1050℃であり得る。
【0057】
前記粗圧延温度が過度に低いと、通板性が低下し、過度に高いと、表面品質が低下し得る。
【0058】
前記仕上げ圧延温度(FDT)は、810〜910℃、好ましくは、830〜890℃、より好ましくは、850〜870℃であり得る。
【0059】
前記仕上げ圧延温度が過度に低いと、変形抵抗が増加して通板性が低下し、過度に高いと、析出により再結晶が遅延されてスケールが発生して表面品質が低下し得る。本発明で圧延荷重(roll force)は、従来と同様な水準であるが、実際の圧延温度は、既存製品に比べ低いためスケール低減に有利である。
【0060】
また、仕上げ圧延は、平均変形抵抗が250〜500MPa、好ましくは、300〜450MPa、より好ましくは、350〜450MPaの条件で実行し得る。平均変形抵抗が過度に小さいと、析出により再結晶が遅延されてスケールが発生して表面品質が低下し、平均変形抵抗が過度に大きいと、通板性が低下し得る。
【0061】
前記巻取温度(CT)は、510〜610℃、好ましくは、530〜590℃、より好ましくは、550〜570℃であり得る。
【0062】
前記のように仕上げ圧延して熱延鋼板を得た後、前記巻取温度、すなわち、510〜610℃まで冷却した後に巻取する。
【0063】
前記のように巻取温度まで冷却すれば、低温組織であるベイナイト相が形成される。
【0064】
巻取温度が過度に低いと、ベイナイト形成量が多すぎて延伸率が低下し、過度に高いと、ベイナイト形成量が少なすぎて相対的にフェライト含量が多く強度が減少し得る。
【0065】
本発明による熱延鋼板の製造方法は、熱間圧延後に亜鉛メッキ層を形成する段階をさらに含み得る。
【0066】
前記亜鉛メッキ層は、溶融亜鉛メッキ層であり得る。
【0067】
本発明によってメッキ鋼板を製造する場合、メッキ前に熱処理を行い、例えば、1次加熱セクション(Heating Section)では鋼板を340〜440℃で加熱し、2次加熱セクションでは鋼板を400〜500℃で加熱し得る。前記2次加熱は、誘導加熱方式で行うことができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。
【0069】
(実施例)
下記表1の組成を有するスラブを、スラブ加熱温度1170℃、粗圧延温度1040℃、仕上げ圧延温度860℃、平均変形抵抗約400MPaの条件で熱間圧延し、560℃の条件で巻取して熱延鋼板を製造した。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例及び比較例による熱延鋼板の表面品質、形状、通板性、訂正実収率、メッキ性などを各々測定した。その結果は表2の通りである。
【0072】
表面品質
表面品質は、SDD及びFGS(Ferrite Grain Size)を利用して測定した。評価基準は次の通りである。
◎:SDDのスケールの個数0.06個/m
3以下
○:SDDのスケールの個数0.07個/m
3以下
△:SDDのスケールの個数0.07個/m
3超過
【0073】
形状
形状は、肉眼確認を通じて評価した。評価基準は次の通りである。
◎:波高2mm以内
○:波高2〜7mm以内
△:波高9mm以上
【0074】
通板性
通板性は、ねじれ発生有無を肉眼で判断して評価した。評価基準は次の通りである。
◎:ねじれ未発生
△:ねじれ発生
【0075】
メッキ性
メッキ性は、表面等級を通じて評価した。評価基準は次の通りである。
○:表面等級4等級以内
△:表面等級5等級以上
【0076】
組織
EBSD(Electro Back Scatter Deflector)を利用して微細組織の面積分率を測定した。
【0077】
三元共晶
XRDなどを利用して三元共晶有無を確認した。
○:形成
×:未形成
【0078】
【表2】
【0079】
前記表2によれば、実施例1〜実施例5による熱延鋼板の物性が比較例より優秀であり、特に、表面品質、通板性及び訂正実収率が優れていた。
【0080】
比較例1〜3の場合、Siの含量が過度に低くMnの含量も低くて、特に、比較例2及び3の場合、過量のNbを含み、比較例1及び2の場合、Mn/Siの重量割合が過度に高くて、比較例3の場合、Mn/Siの重量割合が過度に低いため、表面品質などの物性が低下した。また、比較例の場合、Siの含量が低くて三元共晶が形成されなかった。
【0081】
一方、EBSDを利用して微細組織を測定した結果、実施例の鋼板は微細組織の面積分率で30%のベイナイト、25%のパーライト及び45%のフェライトからなった。
【0082】
図1は、比較例2の熱延鋼板に対するスケール個数を示した図であり、
図2は、実施例4の熱延鋼板に対するスケール個数を示した図である。1km及び幅1066mmサイズの面積を基準として、比較例2の鋼板では76個のスケールが存在したが、実施例4の鋼板では6個のスケールのみが確認された。
図1で、x軸は幅(mm)、y軸は長さ(m)を示す。
【0083】
巻取温度(CT)による物性変化を観察し、その結果を下記表3及び
図3に示した。
【0084】
下記表3で、比較例4は、比較例1の鋼板を使用し、比較例5は、比較例2の鋼板を使用し、比較例6及び実施例6〜8は、実施例4の鋼板を使用したものである。
【0085】
下記表3で、引張強度(TS)、降伏強度(YP)、延伸率(EL)は、日本工業規格JIS Z 2241に規定されている金属材料の引張試験方法によって、JIS Z 2201に規定されている5号試験片を利用して測定した。
【0086】
【表3】
【0087】
図3は、巻取温度による実施例4の熱延鋼板の物性(引張強度、降伏強度、延伸率)を示したグラフであって、
図3で点線は、比較例2の平均値を示す。
【0088】
前記表3及び
図3に示したように、本発明に符合する巻取温度で巻取する場合、優秀な引張強度(TS)、降伏強度(YP)、延伸率(EL)特性を得ることが可能であることが分かる。