特許第6427286号(P6427286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427286データ分析予測装置およびデータ分析予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6427286
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】データ分析予測装置およびデータ分析予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20181112BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20181112BHJP
【FI】
   G06Q50/22
   G06Q10/04
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-73262(P2018-73262)
(22)【出願日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年4月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597129229
【氏名又は名称】チェスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久原 聡
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6301573(JP,B1)
【文献】 特開2018−015327(JP,A)
【文献】 特開2012−064065(JP,A)
【文献】 特表2009−509638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理部と、
前記治療装置にネットワークを介して接続されたサーバに、複数の前記治療装置から送信されてきた複数の被検者のデータが保存されており、当該サーバに保存されている被検者のデータに基づいて、前記治療装置による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習部と、
前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測部と、を備え、
前記学習部は、複数の被検者のデータに基づいて、前記治療装置の使用を停止した期間が第1期間以上である、被検者のデータを特定し、
前記学習部は、特定した被検者のデータの中から第2期間のデータを抽出し、抽出した前記第2期間のデータに基づいて学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する、記載のデータ分析予測装置。
【請求項2】
前記学習部は、前記特定した被検者が前記治療装置の初期の被検者であった場合、前記第2期間より短い期間のデータに基づいて学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する請求項に記載のデータ分析予測装置。
【請求項3】
前記学習部は、前記治療装置の使用が前記第1期間以上停止されていたが、その後、前記治療装置の使用が再開された場合には、再開された被検者のデータを前記特定した被検者のデータから除外する請求項1または2に記載のデータ分析予測装置。
【請求項4】
前記学習部は、前記特定した被検者のデータである被検者の属性情報、前記治療装置の使用日数に関する情報、使用時間に関する情報、無呼吸および低呼吸に関する情報、圧力に関する情報、リークに関する情報の中のいずれか一つの情報または複数の情報を学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ分析予測装置。
【請求項5】
治療装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理部と、
前記治療装置にネットワークを介して接続されたサーバに、複数の前記治療装置から送信されてきた複数の被検者のデータが保存されており、当該サーバに保存されている被検者のデータに基づいて、前記治療装置による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習部と、
前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測部と、を備え、
前記学習部は、複数の被検者のデータに基づいて、前記治療装置の使用を停止した期間が第1期間以上である、被検者のデータを特定し、特定した被検者のデータに基づいて学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成し、
前記学習部は、前記特定した被検者のデータである被検者の属性情報、前記治療装置の使用日数に関する情報、使用時間に関する情報、無呼吸および低呼吸に関する情報、圧力に関する情報、リークに関する情報の中のいずれか一つの情報または複数の情報を学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する、データ分析予測装置。
【請求項6】
前記サーバには、前記分析予測部により前記治療装置の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、専門家の指示により当該被検者が使用する治療装置の設定値と、が対応付けて保存されており、
前記学習部は、前記サーバに対応付けて保存されている前記被検者のデータと当該被検者が使用する治療装置の設定値とに基づいて、前記分析予測部により脱落者になり得ると予測されたが、治療装置の設定値を変更することにより、脱落しなかった被検者のデータと、治療装置の変更後の設定値とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成し、
前記分析予測部は、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者が使用する治療装置の変更後の設定値を予測する請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ分析予測装置。
【請求項7】
治療装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理部と、
前記治療装置にネットワークを介して接続されたサーバに、複数の前記治療装置から送信されてきた複数の被検者のデータが保存されており、当該サーバに保存されている被検者のデータに基づいて、前記治療装置による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習部と、
前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測部と、を備え、
前記サーバには、前記分析予測部により前記治療装置の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、専門家の指示により当該被検者が使用する治療装置の設定値と、が対応付けて保存されており、
前記学習部は、前記サーバに対応付けて保存されている前記被検者のデータと当該被検者が使用する治療装置の設定値とに基づいて、前記分析予測部により脱落者になり得ると予測されたが、治療装置の設定値を変更することにより、脱落しなかった被検者のデータと、治療装置の変更後の設定値とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成し、
前記分析予測部は、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者が使用する治療装置の変更後の設定値を予測する、データ分析予測装置。
【請求項8】
前記学習部は、複数の被検者のデータに基づいて、前記治療装置の使用を停止した期間が第1期間以上である、被検者のデータを特定し、特定した被検者のデータに基づいて学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する請求項7に記載のデータ分析予測装置。
【請求項9】
前記分析予測部により被検者が使用する治療装置の変更後の設定値を予測した場合、その変更後の設定値に基づいて、対象となる治療装置の設定値を変更する変更部を備える請求項6または7に記載のデータ分析予測装置。
【請求項10】
前記サーバには、前記分析予測部により治療装置の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、当該被検者が使用するマスクに関する情報と、が対応付けて保存されており、
前記学習部は、前記サーバに対応付けて保存されている被検者のデータとマスクに関する情報とに基づいて、前記分析予測部により脱落者になり得ると予測されたが、マスクを交換することにより、脱落しなかった被検者のデータと、この交換されたマスクに関する情報とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成し、
前記分析予測部は、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者に適したマスクに関する情報を予測する請求項1から9のいずれか一項に記載のデータ分析予測装置。
【請求項11】
治療装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理部と、
前記治療装置にネットワークを介して接続されたサーバに、複数の前記治療装置から送信されてきた複数の被検者のデータが保存されており、当該サーバに保存されている被検者のデータに基づいて、前記治療装置による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習部と、
前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測部と、を備え、
前記サーバには、前記分析予測部により治療装置の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、当該被検者が使用するマスクに関する情報と、が対応付けて保存されており、
前記学習部は、前記サーバに対応付けて保存されている被検者のデータとマスクに関する情報とに基づいて、前記分析予測部により脱落者になり得ると予測されたが、マスクを交換することにより、脱落しなかった被検者のデータと、この交換されたマスクに関する情報とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成し、
前記分析予測部は、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者に適したマスクに関する情報を予測する、データ分析予測装置。
【請求項12】
治療装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理工程と、
前記治療装置にネットワークを介して接続されたサーバに、複数の前記治療装置から送信されてきた複数の被検者のデータが保存されており、当該サーバに保存されている複数の被検者のデータに基づいて、前記治療装置の使用を停止した期間が第1期間以上である、被検者のデータを特定し、特定した被検者のデータの中から第2期間のデータを抽出し、抽出した前記第2期間のデータに基づいて学習し、学習した結果から、前記治療装置の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する学習工程と、
前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理工程により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測工程と、をコンピュータに実行させるデータ分析予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸療法装置で取得されたデータを分析するデータ分析予測装置およびデータ分析予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の高まりから、在宅での酸素療法や人工呼吸療法の普及が進んでいる。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS、Sleep Apnea Syndrome)の患者に対する呼吸療法は、一般にも広く知られるようになった。
【0003】
ここで、睡眠時無呼吸症候群の治療には、顔にマスクを固定して、ファンで空気を強制的に気道に送り込むCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)装置が用いられている。CPAP装置は、人体から離れた位置にファンや制御部等を内蔵した本体装置を置き、本体装置と顔に固定するマスクとの間がホースで接続され、そのホースを経由して空気を送り込む構造になっている。
【0004】
例えば、特許文献1には、患者の気道抵抗に対して治療圧を常時最適なレベルに維持するCPAP装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−264181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、CPAP装置による治療を開始してから初期段階(例えば、半年程度)に30%近い患者がCPAP装置による治療から脱落してしまう。脱落の原因としては、器具を付けて寝ることへの抵抗感などに加え、適切な処方(治療装置の設定)が行われていないことなどが考えられる。よって、CPAP装置による治療から患者が脱落しないように、適切なフォローを行うことが重要である。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測することができるデータ分析予測装置およびデータ分析予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るデータ分析予測装置は、治療装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理部と、複数の前記治療装置から送信されてきた複数の被検者のデータがクラウドサーバに保存されており、当該クラウドサーバに保存されている被検者のデータに基づいて、前記治療装置による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習部と、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測部と、を備える。
【0009】
これにより、データ分析予測装置は、AI(artificial intelligence)を活用して被検者が将来的に治療装置(CPAP装置など)による治療から脱落するかどうかを予測することができる。例えば、データ分析予測装置により予測した結果を専門家に提示することにより、専門家は、被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、被検者が治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。専門家とは、医師、検査技師、看護師等の医療従事者などである。
【0010】
また、前記学習部は、複数の被検者のデータに基づいて、前記治療装置の使用を停止した期間が第1期間以上である、被検者のデータを特定し、特定した被検者のデータに基づいて学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する。
【0011】
第1期間とは、例えば、14日間である。治療装置の使用を停止してから第1期間以上経過する場合には、治療装置の治療から脱落していると考えられる。データ分析予測装置は、治療装置の治療から脱落した被検者のデータに基づいて、治療装置の脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。よって、データ分析予測装置は、生成したニューラルネットワークを利用することにより、被検者のデータが治療装置の治療から脱落した被検者と同じような傾向を示すかどうかにより、この被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。例えば、専門家は、治療装置の治療から脱落しそうな被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、被検者が治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0012】
また、前記学習部は、前記特定した被検者のデータの中から第2期間のデータを抽出し、抽出した前記第2期間のデータに基づいて学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する。
【0013】
第2期間とは、例えば、治療装置の使用を停止した最初の日から遡って6ヶ月間である。なお、第2期間は、6ヶ月間に限られず、1ヶ月間または3ヶ月間などでもよい。学習部は、治療装置の治療を停止するまでの6ヶ月間のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。よって、データ分析予測装置は、生成したニューラルネットワークを利用することにより、第2期間の被検者のデータが治療装置の治療から脱落した被検者と同じような傾向を示すかどうかにより、この被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。例えば、専門家は、治療装置の治療から脱落しそうな被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、被検者が治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0014】
また、前記学習部は、前記特定した被検者が前記治療装置の初期の被検者であった場合、前記第2期間より短い期間のデータに基づいて学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する構成でもよい。
【0015】
第2期間より短い期間とは、例えば、10日間である。治療装置の初期の被検者、すなわち、治療装置による治療を始めたばかりの被検者は、早期に治療装置の治療から脱落する傾向にある。よって、学習部は、治療装置の初期の被検者であった場合、第2期間より短い期間のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。よって、データ分析予測装置は、生成したニューラルネットワークを利用することにより、治療装置による治療を始めたばかりの被検者のデータが治療装置の治療から脱落した初期の被検者と同じような傾向を示すかどうかにより、この被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。例えば、専門家は、治療装置による治療を始めたばかりの被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、初期の被検者が治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0016】
また、前記学習部は、前記治療装置の使用が前記第1期間以上停止されていたが、その後、前記治療装置の使用が再開された場合には、再開された被検者のデータを前記特定した被検者のデータから除外する構成でもよい。
【0017】
治療装置の使用を停止してから第1期間以上経過していても、治療装置の治療を再開する場合がある。例えば、長期に海外などへ出張していた場合、旅行していた場合、および入院していた場合などが考えられる。このような場合には、治療装置の治療を一時的に停止していただけであり、治療装置の治療から脱落していない。学習部は、治療装置の使用が再開された場合には、再開された被検者のデータを特定した被検者のデータから除外して、ニューラルネットワークを生成する。よって、データ分析予測装置は、治療装置の治療を再開した被検者のデータを除いて生成されたニューラルネットワークを利用することにより、被検者が将来的に治療装置による治療から脱落するかどうかを正確に予測することができる。
【0018】
また、前記学習部は、前記特定した被検者のデータである被検者の属性情報、前記治療装置の使用日数に関する情報、使用時間に関する情報、無呼吸および低呼吸に関する情報、圧力に関する情報、リークに関する情報の中のいずれか一つの情報または複数の情報を学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークを生成する構成でもよい。
【0019】
被検者の属性情報とは、例えば、性別、生年月日および年齢などである。治療装置の使用日数に関する情報とは、例えば、1ヶ月間の使用日数、1ヶ月間の使用可能日数、1ヶ月間で使用されなかった日数、および1ヶ月間の使用されなかった日数の割合などである。使用時間に関する情報とは、例えば、1ヶ月間における規定時間以上の使用日数、1ヶ月間における規定時間以上の使用日数の割合、1ヶ月間における合計使用時間、1ヶ月間における平均使用時間、および1ヶ月間における使用時間の中央値などである。無呼吸および低呼吸に関する情報とは、例えば、AHI(Apnea Hypopnea Index、無呼吸低呼吸指数)、AI(Apnea Index、無呼吸指数)、およびHI(Hypopnea Index、低呼吸指数)などである。圧力に関する情報とは、例えば、治療装置の1ヶ月間の平均圧力および治療装置の1ヶ月間の最大圧力などである。リークに関する情報とは、例えば、治療装置の1ヶ月間の平均リーク量および治療装置の1ヶ月間の最大リーク量などである。学習部は、被検者の属性情報などから治療装置の脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。よって、データ分析予測装置は、生成されたニューラルネットワークを利用することにより、具体的な被検者のデータに基づいて、被検者が将来的に治療装置による治療から脱落するかどうかを予測することができる。
【0020】
また、前記クラウドサーバには、前記分析予測部により前記治療装置の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、専門家の指示により当該被検者が使用する治療装置の設定値と、が対応付けて保存されており、前記学習部は、前記クラウドサーバに対応付けて保存されている前記被検者のデータと当該被検者が使用する治療装置の設定値とに基づいて、前記分析予測部により脱落者になり得ると予測されたが、治療装置の設定値を変更することにより、脱落しなかった被検者のデータと、治療装置の変更後の設定値とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成し、前記分析予測部は、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者が使用する治療装置の変更後の設定値を予測する構成でもよい。
【0021】
治療装置の設定値とは、例えば、自動開始のオンまたはオフ、上限圧、下限圧、ランプ開始圧、およびランプ時間などである。ここで、治療装置の設定が適切でないために、治療装置による治療から脱落する場合がある。学習部は、脱落者になり得ると予測されたが脱落しなかった被検者のデータと、この被検者の治療装置の変更後の設定値とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。よって、データ分析予測装置は、生成されたニューラルネットワークを利用することにより、将来的に治療装置の脱落者になり得る被検者に対して、治療装置の設定値をどのように変更すればよいのか予測することができる。
【0022】
また、前記分析予測部により被検者が使用する治療装置の変更後の設定値を予測した場合、その変更後の設定値に基づいて、対象となる治療装置の設定値を変更する変更部を備える構成でもよい。
【0023】
データ分析予測装置は、将来的に治療装置の脱落者になり得る被検者の治療装置の設定値を適した設定値に変更することができ、治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0024】
また、前記クラウドサーバには、前記分析予測部により治療装置の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、当該被検者が使用するマスクに関する情報と、が対応付けて保存されており、前記学習部は、前記クラウドサーバに対応付けて保存されている被検者のデータとマスクに関する情報とに基づいて、前記分析予測部により脱落者になり得ると予測されたが、マスクを交換することにより、脱落しなかった被検者のデータと、この交換されたマスクに関する情報とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成し、前記分析予測部は、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理部により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者に適したマスクに関する情報を予測する構成でもよい。
【0025】
医師などの専門家は、被検者が将来的に治療装置による治療から脱落するかどうかの分析予測部による予測結果と、被検者のマスクに関する情報に基づいて、被検者に適合するマスクを選定することができ、治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0026】
本発明に係るデータ分析予測プログラムは、治療装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理工程と、複数の前記治療装置から送信されてきた複数の被検者のデータがクラウドサーバに保存されており、当該クラウドサーバに保存されている被検者のデータに基づいて、前記治療装置による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習工程と、前記ニューラルネットワークを利用して、前記データ処理工程により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的に前記治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測工程と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0027】
これにより、データ分析予測プログラムは、AI(artificial intelligence)を活用して被検者が将来的に治療装置による治療から脱落するかどうかを予測することができる。例えば、データ分析予測プログラムにより予測した結果を専門家に提示することにより、専門家は、被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、被検者が治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被検者が将来的に治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、情報処理システムの構成を示す図である。
図2図2は、データ分析予測装置の構成を示す図である。
図3図3は、クラウドサーバに保存されている被検者のデータの一例を示す図である。
図4図4は、クラウドサーバに保存されている被検者のデータの一例を示す図である。
図5図5は、CPAP装置による治療から脱落すると疑われるデータであるが、正当理由により脱落するデータとは扱われないデータの一例を示す図である。
図6図6は、CPAP装置による治療から脱落されると疑われるデータの一例を示す図である。
図7図7は、被検者ごとに作成されるCPAP装置の使用情報の一例を示す図である。
図8図8は、CPAP装置の脱落の兆候を監視する手順についての説明に供するフローチャートである。
図9図9は、CPAP装置からの脱落を防止する手順についての説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、以下では、治療装置の一例としてCPAP装置について説明する。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)とは、持続陽圧呼吸療法のことである。
【0031】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。情報処理システム1は、ネットワークNを介して、複数台のCPAP装置2a,2b、・・・と、クラウドサーバ3と、データ分析予測装置4とが接続されて構成されている。なお、以下では、複数台のCPAP装置2a,2b、・・・を「CPAP装置2」と称する。また、データ分析予測装置4は、CPAP装置2a,2b、・・・ごとにデータを分析し、CPAP装置2a,2b、・・・の各被検者が将来的に脱落者になり得るかどうかを個別的に予測する。
【0032】
CPAPとは、CPAP装置2により圧力をかけた空気を鼻などから気道に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法である。CPAP装置2は、あらかじめ設定した圧力で空気を送るチューブと、鼻などに当てるマスクとから構成される。
【0033】
また、圧力の大きさなどのCPAP装置2の設定は、被検者の病状に応じて医師により行われる。また、CPAP治療を行った場合には、CPAP治療を行わなかった場合に比べて、CPAP治療を行った被検者の方が長生きできたなど、多くの研究によって、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAPの効果が証明されている。現在では、睡眠時無呼吸症候群(SAS、Sleep Apnea Syndrome)の患者に対する標準的な治療法として広く用いられている。
【0034】
CPAP装置2は、あらかじめ定められたタイミングで、装置の使用日数に関する情報などの装置の使用状態を把握できる情報をネットワークNを介して、クラウドサーバ3に送信する。
【0035】
クラウドサーバ3は、CPAP装置2から送信されてきた情報を受信し、保存する。つまり、クラウドサーバ3には、複数のCPAP装置2a,2b,・・・から送信されてきた複数の被検者のデータが保存されている。
【0036】
データ分析予測装置4は、クラウドサーバ3に保存されているCPAP装置2から送信されてきた情報を分析し、被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測する。以下に、データ分析予測装置4の具体的な構成と動作について説明する。
【0037】
図2は、データ分析予測装置4の構成を示す図である。データ分析予測装置4は、通信部40と、データ処理部41と、学習部42と、分析予測部43とを備える。
【0038】
通信部40は、クラウドサーバ3およびCPAP装置2と通信を行う。データ処理部41は、通信部40を介してCPAP装置2から送信されてきた被検者のデータを処理する。本実施形態では、データ処理部41は、通信部40を介してクラウドサーバ3に保存されている被検者のデータを読み出し、読み出した被検者のデータを処理する構成であるとするが、この構成に限られず、通信部40を介してCPAP装置2から送信されてきた被検者のデータを直接受信して、処理する構成でもよい。
【0039】
例えば、データ処理部41は、被検者のデータに対して前処理を行う。前処理とは、被検者のデータから必要なデータを抽出する処理、または、分析予測部43による処理に適した形式にデータを加工する処理などをいう。
【0040】
学習部42は、通信部40を介してクラウドサーバ3と通信を行う。学習部42は、クラウドサーバ3に保存されている被検者のデータに基づいて、CPAP装置2による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。なお、本実施形態における学習とは、教師あり学習でもよいし、教師なし学習でもよい。
【0041】
ここで、CPAP装置2による治療から脱落する脱落者のデータについて説明する。なお、本実施形態では、被検者ごとに時系列でCPAP装置2の使用時間が管理されているものとする。
【0042】
図3は、クラウドサーバ3に保存されている被検者のデータの一例であって、CPAP装置2による治療を継続している被検者のデータの一例を示す。図3(a)中のAは、一定時間(4時間)を示している。図3(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間の一例を示す。図3(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
【0043】
CPAP装置2が適切に使用されている場合には、比較的規則的な時間帯に一定時間以上使用されていることが分かる。なお、一定時間は、図3(a),(b)に示す例では、4時間であるが、4時間に限定されない。
【0044】
図4は、クラウドサーバ3に保存されている被検者のデータの一例であって、CPAP装置2が適切に利用されていない被検者のデータの一例を示す。図4(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日の使用時間の一例を示す。図4(a)中のAは、一定時間(4時間)を示している。図4(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
【0045】
CPAP装置2が適切に使用されていない場合には、不規則な使用が目立ち、一定時間以上の使用が少ないことが分かる。
【0046】
図5は、CPAP装置2による治療から脱落すると疑われるデータであるが、正当理由により脱落するデータとは扱われないデータの一例を示す図である。図5(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間の一例を示す。図5(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
【0047】
図5は、被検者にCPAP装置2の使用の中止を行った場合、CPAP装置2が割り当てられていない場合、被検者が転院した場合、被検者が治癒した場合、被検者が死亡した場合、または、機器が故障した場合などのデータを示す。これらのデータは、正当な理由によりCPAP装置2が利用されなくなったものであり、脱落したデータとして扱われない。つまり、図5中のBで示した範囲よりも以前の使用状況が図3に示すように、適切であれば、正当な理由によるものと判断し、CPAP装置2による治療からの脱落とは判断されない。
【0048】
図6は、CPAP装置2による治療から脱落すると疑われるデータの一例を示す図である。図6(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間の一例を示す。図6(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
【0049】
図6は、一定期間CPAP装置2の使用がない場合のデータである。なお、一定期間とは、図6に示す例では、連続14日間であるが、連続14日間に限定されない。
【0050】
なお、海外旅行やCPAP装置2の故障などの理由でCPAP装置2の使用ができなかったが、その後、CPAP装置2の使用が再開された場合には、CPAP装置2による治療からの脱落とは判断されない。また、CPAP装置2の初期使用の場合には、データは、図6に示すようなパターンになることが多い。なお、初期使用とは、例えば、半年未満の使用をいうが、半年未満に限定されない。
【0051】
学習部42は、クラウドサーバ3に保存されている被検者のデータの中から、図4に示すような、CPAP装置2による治療から脱落すると疑われる被検者の一定期間のデータを抽出する。一定期間とは、後述する第2期間である。学習部42は、抽出した第2期間のデータに基づいて学習し、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向(CPAP装置2による治療から脱落が疑われるデータの特徴)に関するニューラルネットワークを生成する。
【0052】
分析予測部43は、学習部42により生成されたニューラルネットワークを利用して、データ処理部41により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測する。
【0053】
これにより、データ分析予測装置4は、AI(artificial intelligence)を活用して被検者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかを予測することができる。例えば、データ分析予測装置4により予測した結果を専門家に提示することにより、専門家は、被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、被検者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。専門家とは、医師、検査技師、看護師等の医療従事者などである。
【0054】
また、学習部42は、複数の被検者のデータに基づいて、CPAP装置2の使用を停止した期間が第1期間である、被検者のデータを特定し、特定した被検者のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する構成でもよい。
【0055】
第1期間とは、CPAP装置2の使用を停止した期間を定めるものであり、例えば、14日間である。CPAP装置2の使用を停止してから第1期間を経過する場合には、CPAP装置2の治療から脱落していると考えられる。データ分析予測装置4は、CPAP装置2の治療から脱落した被検者のデータに基づいて学習し、学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する。
【0056】
よって、データ分析予測装置4は、生成したニューラルネットワークを利用することにより、被検者のデータがCPAP装置2の治療から脱落した被検者と同じような傾向を示すかどうかにより、この被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。
【0057】
例えば、専門家は、データ分析予測装置4の予測結果に基づいて、CPAP装置2の治療から脱落しそうな被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、被検者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0058】
また、学習部42は、特定した被検者のデータの中から第2期間のデータを抽出し、抽出した第2期間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する構成でもよい。
【0059】
第2期間とは、被検者のデータの中からデータを抽出する期間を定めるものであり、例えば、CPAP装置2の使用を停止した最初の日から遡って6ヶ月間である。学習部42は、CPAP装置2の治療を停止するまでの6ヶ月間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する。なお、第2期間は、6ヶ月間に限られず、1ヶ月間または3ヶ月間などでもよい。
【0060】
よって、データ分析予測装置4は、生成したニューラルネットワークを利用することにより、第2期間の被検者のデータがCPAP装置2の治療から脱落した被検者と同じような傾向を示すかどうかにより、この被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。
【0061】
例えば、専門家は、データ分析予測装置4の予測結果に基づいて、CPAP装置2の治療から脱落しそうな被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、被検者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0062】
また、学習部42は、特定した被検者がCPAP装置2の初期の被検者であった場合、第2期間より短い期間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する構成でもよい。
【0063】
第2期間より短い期間とは、例えば、10日間である。CPAP装置2の初期の被検者、すなわち、CPAP装置2による治療を始めたばかりの被検者は、早期にCPAP装置2の治療から脱落する傾向にある。よって、学習部42は、CPAP装置2の初期の被検者であった場合、第2期間より短い期間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する。
【0064】
よって、データ分析予測装置4は、生成したニューラルネットワークを利用することにより、CPAP装置2による治療を始めたばかりの被検者のデータがCPAP装置2の治療から脱落した初期の被検者と同じような傾向を示すかどうかにより、この被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。
【0065】
例えば、専門家は、データ分析予測装置4の予測結果に基づいて、CPAP装置2による治療を始めたばかりの被検者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、初期の被検者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0066】
また、学習部42は、CPAP装置2の使用が第1期間以上停止されていたが、その後、CPAP装置2の使用が再開された場合には、再開された被検者のデータを特定した被検者のデータから除外する構成でもよい。
【0067】
CPAP装置2の使用を停止してから第1期間以上経過していても、CPAP装置2の治療を再開する場合がある。例えば、長期に海外などへ出張していた場合、旅行していた場合、および入院していた場合などが考えられる。このような場合には、CPAP装置2の治療を一時的に停止していただけであり、CPAP装置2の治療から脱落していない。
【0068】
学習部42は、CPAP装置2の使用が再開された場合には、特定した被検者のデータから再開された被検者のデータを除外して、ニューラルネットワークを生成する。
【0069】
よって、データ分析予測装置4は、CPAP装置2の治療を再開した被検者のデータを除いて生成されたニューラルネットワークを利用することにより、被検者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかを正確に予測することができる。
【0070】
また、データ処理部41は、クラウドサーバ3に保存されている被検者のデータを集約し、被検者ごとの使用情報を生成する機能を有していてもよい。
【0071】
図7は、各CPAP装置2から送信されてくるデータを集約し、被検者ごとに作成される使用情報Dの一例を示す図である。専門家は、使用情報Dまたは使用情報Dの印刷物を閲覧することにより、被検者によるCPAP装置2の使用状況を把握することができる。
【0072】
使用情報Dは、被検者の属性情報である患者属性情報D1と、CPAP装置2のセッティング情報である処方情報D2と、CPAP装置2の使用日数に関する情報である使用日数情報D3と、CPAP装置2の使用時間に関する情報である使用時間情報D4と、無呼吸および低呼吸に関する情報である無呼吸低呼吸情報D5と、CPAP装置2により使用されている圧力の情報である使用圧力情報D6と、CPAP装置2の漏れ(リーク)に関する情報であるリーク情報D7と、例えば、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間を示すグラフD8と、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細を示すグラフD9と、無呼吸低呼吸情報D5に基づくOAI、CAI、HIの時間的な変化を示すグラフD10とから構成されている。なお、使用情報を構成する要素は、上述以外でもよい。
【0073】
また、使用日数情報D3と、使用時間情報D4と、無呼吸低呼吸情報D5と、使用圧力情報D6と、リーク情報D7とは、被検者のCPAP装置2の使用状況を把握するための情報である。また、図7に示す無呼吸低呼吸情報D5に含まれる項目は、一例であり、CPAP装置2の機能向上により、他の項目や割合が追加される。学習部42は、追加された項目や割合も含めて学習を行い、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向(CPAP装置2による治療から脱落が疑われるデータの特徴)に関するニューラルネットワークを生成する。
【0074】
よって、専門家は、被検者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかの分析予測部43による予測結果と、データ処理部41による被検者の使用情報に基づいて、被検者に対して、早期に適切なフォローを行うことができ、CPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0075】
また、学習部42は、特定した被検者のデータである被検者の属性情報、CPAP装置2の使用日数に関する一定期間の情報の傾向、使用時間に関する一定期間の情報の傾向、無呼吸および低呼吸に関する一定期間の情報の傾向、圧力に関する一定期間の情報の傾向、リークに関する一定期間の情報の傾向の中のいずれか一つまたは複数を学習し、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する構成でもよい。例えば、CPAP装置2の使用日数に関する一定期間の情報の傾向に基づけば、CPAP装置2の使用が改善しているのか、悪くなっているのかなどの傾向が分かる。
【0076】
被検者の属性情報とは、患者属性情報D1に相当し、例えば、性別、生年月日および年齢などである。CPAP装置2の使用日数に関する一定期間の情報とは、使用日数情報D3に相当し、例えば、1ヶ月間の使用日数、1ヶ月間の使用可能日数、1ヶ月間で使用されなかった日数、および1ヶ月間の使用されなかった日数の割合などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間または6ヶ月間などでもよい。
【0077】
使用時間に関する一定期間の情報とは、使用時間情報D4に相当し、例えば、1ヶ月間における規定時間以上の使用日数、1ヶ月間における使用時間インデックス、1ヶ月間における合計使用時間、1ヶ月間における平均使用時間、および1ヶ月間における使用時間の中央値などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間または6ヶ月間などでもよい。
【0078】
無呼吸および低呼吸に関する一定期間の情報とは、無呼吸低呼吸情報D5に相当し、例えば、AHI(Apnea Hypopnea Index、無呼吸低呼吸指数)、AI(Apnea Index、無呼吸指数)、およびHI(Hypopnea Index、低呼吸指数)などである。
【0079】
圧力に関する一定期間の情報とは、使用圧力情報D6に相当し、例えば、CPAP装置2の1ヶ月間の平均圧力およびCPAP装置2の1ヶ月間の最大圧力などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間または6ヶ月間などでもよい。
【0080】
リークに関する一定期間の情報とは、リーク情報D7に相当し、例えば、CPAP装置2の1ヶ月間の平均リーク量およびCPAP装置2の1ヶ月間の最大リーク量などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間または6ヶ月間などでもよい。
【0081】
学習部42は、被検者の属性情報などに基づいて学習し、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークを生成する。
【0082】
よって、データ分析予測装置4は、生成されたニューラルネットワークを利用することにより、具体的な被検者のデータに基づいて、被検者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかを予測することができる。
【0083】
つぎに、データ分析予測装置4によるCPAP装置2の脱落の兆候を監視する手順について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0084】
ステップST1において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2から脱落する被検者のデータを蓄積する。例えば、CPAP装置2による治療から脱落になり得ると疑われるデータ(例えば、図5,6に示すデータ)の被検者を特定し、特定した被検者の情報(例えば、図7に示す各種情報)を過去6ヶ月分蓄積する。なお、CPAP装置2の初期使用の被検者が脱落する場合があり、6ヶ月分のデータの蓄積がない場合がある。よって、6ヶ月よりも短い期間のデータを蓄積する構成でもよい。
【0085】
ステップST2において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2から脱落する被検者のデータに基づいて学習する。ステップST1の工程で蓄積されたデータから、各種情報の6ヶ月のトレンドを求め、CPAP装置2から脱落する被検者の傾向をパターン化する。なお、ステップST2の工程における分析とパターン化の項目としては、例えば、図7に示す患者属性情報D1、使用日数情報D3、使用時間情報D4、無呼吸低呼吸情報D5、使用圧力情報D6、リーク情報D7などである。
【0086】
ステップST3において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2から脱落しそうな被検者の兆候の監視と警告とを行う。データ分析予測装置4は、被検者のCPAP装置2の使用情報(例えば、CPAP装置2の1日ごとの使用時間)から脱落する被検者の傾向(パターン)に当てはまっているかをチェックし、同一または類似の兆候(使用パターン)を示す場合、被検者がCPAP装置2による治療から脱落する可能性があると判断し、この被検者の情報を専門家に提供する。なお、データ分析予測装置4は、被検者がCPAP装置2の初期使用者の場合には、主に、使用開始からの初期使用の被検者のパターンに当てはまっているかどうかをチェックする。
【0087】
よって、データ分析予測装置4は、CPAP装置2による治療から脱落しそうな被検者の兆候を監視し、また、被検者がCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかの予測結果に基づいて、専門家に警告を発することができる。
【0088】
また、クラウドサーバ3には、分析予測部43によりCPAP装置2の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、専門家の指示により当該被検者が使用するCPAP装置2の設定値と、が対応付けて保存されている。
【0089】
学習部42は、クラウドサーバ3に対応付けて保存されている被検者のデータと当該被検者が使用するCPAP装置2の設定値とに基づいて、分析予測部43により脱落者になり得ると予測されたが、CPAP装置2の設定値を変更することにより、脱落しなかった被検者のデータと、CPAP装置2の変更後の設定値とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。
【0090】
分析予測部43は、学習部42により生成されたニューラルネットワークを利用して、データ処理部41により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者が使用するCPAP装置2の変更後の設定値を予測する。
【0091】
CPAP装置2の設定値とは、例えば、自動開始のオンまたはオフ、上限圧、下限圧、ランプ開始圧、およびランプ時間などである。
【0092】
学習部42は、脱落者になり得ると予測されたが脱落しなかった被検者のデータと、この被検者が使用するCPAP装置2の変更後の設定値とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。
【0093】
よって、データ分析予測装置4は、生成されたニューラルネットワークを利用することにより、将来的にCPAP装置2の脱落者になり得る被検者に対して、CPAP装置2の設定値をどのように変更すればよいのか予測することができる。CPAP装置2の設定が適切でないために、CPAP装置2による治療から脱落する場合があるが、データ分析予測装置4によりCPAP装置2の設定値をどのように変更すればよいのか予測することができるので、CPAP装置2による治療からの脱落を効果的に防止することができる。
【0094】
ここで、データ分析予測装置4によるCPAP装置2からの脱落を防止する手順について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0095】
ステップST11において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2による治療からの脱落の兆候を示していたが、CPAP装置2の設定を変更したことにより、適切な使用に変化した場合におけるCPAP装置2の変更後の設定(処方)パターンを蓄積する。
【0096】
ステップST12において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2の設定(処方)の成功事例について学習する。データ分析予測装置4は、ステップST11の工程により蓄積されたデータから、CPAP装置2に対して適切な使用に変化した設定(処方)を求め、適切な使用に変化した設定(処方)をパターン化する。このパターンは、成功事例とする。
【0097】
また、データ分析予測装置4は、CPAP装置2から送信されるデータ(セッティング情報である処方情報D2)に基づいて、CPAP装置2の設定がいつから変更されたのかを示す変更日付情報を保有する。例えば、データ分析予測装置4は、変更日付情報に基づいて、CPAP装置2の1日ごとの使用時間を示すグラフD8またはCPAP装置2を使用している時間帯の詳細を示すグラフD9に変更した日が分かるように印または記号などを挿入する。データ分析予測装置4は、CPAP装置2の設定が変更される前の使用状態のデータと、CPAP装置2の設定が変更された後の使用状態のデータとに基づいて、CPAP装置2に対して適切な使用に変化した設定(処方)を求め、適切な使用に変化した設定(処方)をパターン化してもよい。
【0098】
また、データ分析予測装置4は、専門家の設定(処方)パターンを蓄積する構成でもよい。例えば、データ分析予測装置4は、専門医療機関を設定し、そこで設定された設定を患者属性情報やCPAP装置2ごとに蓄積する。この構成の場合、データ分析予測装置4は、ステップST11の工程により蓄積されたデータと、専門家の設定(処方)パターンとに基づいて、CPAP装置2に対して適切な使用に変化した設定(処方)を求め、適切な使用に変化した設定(処方)をパターン化する。つまり、適切な使用に変化した設定(処方)パターンであって、専門家の設定(処方)パターンに該当するパターンのみが成功事例となる。
【0099】
ステップST13において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2による治療から脱落しそうな被検者のCPAP装置2の設定値をどのように変更すればよいのかを予測し、提示する。
【0100】
具体的には、データ分析予測装置4は、ステップST3の工程により被検者がCPAP装置2による治療から脱落する可能性があると判断した場合、ステップST12の工程によりパターン化した設定(処方)の中から適合するものを抽出し、抽出した設定(処方)を提示する。
【0101】
よって、データ分析予測装置4は、将来的にCPAP装置2の脱落者になり得る被検者に対して、CPAP装置2の設定値をどのように変更すればよいのか提示することができる。
【0102】
また、CPAP装置2による治療には、マスクを用いるが、CPAP装置2による治療を継続するには、マスクの選定も大事な要素になる。被検者ごとに鼻の形や大きさや鼻の下の長さなどが異なるため、被検者に適合する大きさのマスクを選ぶ必要がある。また、マスクには、鼻タイプ、鼻孔タイプ、フルフェイスタイプなどの複数のタイプがある。
【0103】
本実施形態に係るデータ分析予測装置4は、被検者に適合するマスクのサイズやタイプを提示する機能を有する。
【0104】
クラウドサーバ3には、分析予測部43によりCPAP装置2の脱落者になり得ると予測された被検者のデータと、当該被検者が使用するマスクに関する情報と、が対応付けて保存されている。マスクに関する情報とは、マスクのサイズやタイプである。
【0105】
学習部42は、クラウドサーバ3に対応付けて保存されている被検者のデータとマスクに関する情報とに基づいて、分析予測部43により脱落者になり得ると予測されたが、マスクを交換することにより、脱落しなかった被検者のデータと、この交換されたマスクに関する情報とに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。
【0106】
分析予測部43は、ニューラルネットワークを利用して、データ処理部41により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得ると予測した場合、当該被検者に適合するマスクに関する情報を予測する。
【0107】
例えば、データ分析予測装置4は、マスクが変更される前の無呼吸低呼吸情報D5、使用圧力情報D6、およびリーク情報D7と、マスクが変更された後の無呼吸低呼吸情報D5、使用圧力情報D6、およびリーク情報D7とに基づいて、CPAP装置2が適切な使用に変化したときのマスクに関する情報を求め、適切な使用に変化したときのマスクに関する情報をパターン化しておく。
【0108】
データ分析予測装置4は、被検者がCPAP装置2による治療から脱落する可能性があると判断した場合、パターン化したマスクに関する情報の中から被検者に適合するものを抽出し、抽出したマスクに関する情報を提示する。
【0109】
よって、専門家は、被検者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかの分析予測部43による予測結果と、被検者のマスクに関する情報に基づいて、被検者に適合するマスクを選定することができ、CPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0110】
また、データ分析予測装置4は、分析予測部43により被検者が使用するCPAP装置2の変更後の設定値を予測した場合、その変更後の設定値に基づいて、対象となるCPAP装置2の設定値を変更する変更部44を備える構成でもよい。
【0111】
例えば、変更部44は、CPAP装置2から送信されてくるデータ(CPAP装置2の固有の番号(S/N)やCPAP装置2のMAC(Media Access Control)アドレスなど)により対象となるCPAP装置2を特定し、通信部40を介して特定したCPAP装置2にアクセスし、CPAP装置2の設定値を変更する。なお、クラウドサーバ3によりCPAP装置2の設定値を変更する構成でもよい。この構成の場合、変更部44は、通信部40を介してクラウドサーバ3にアクセスし、特定したCPAP装置2の情報(MACアドレスなど)と、変更する設定値を通知する。クラウドサーバ3は、変更部44により特定されたCPAP装置2にアクセスし、CPAP装置2の設定値を変更する。
【0112】
このような構成によれば、データ分析予測装置4は、将来的にCPAP装置2の脱落者になり得る被検者のCPAP装置2の設定値を適した設定値に変更することができ、CPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
【0113】
また、本実施形態では、主に、被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測するためのデータ分析予測装置4の構成と動作について説明したが、これに限られず、各構成要素を備え、被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測するためのデータ分析予測プログラムとして構成されてもよい。
【0114】
さらに、データ分析予測プログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたデータ分析予測プログラムをコンピュータに読み込ませ、実行することによって実現されてもよい。
【0115】
具体的には、データ分析予測プログラムは、CPAP装置2から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理工程と、複数のCPAP装置2から送信されてきた複数の被検者のデータがクラウドサーバに保存されており、当該クラウドサーバに保存されている被検者のデータに基づいて、CPAP装置2による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習工程と、学習工程により生成されたニューラルネットワークを利用して、データ処理工程により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測工程をコンピュータに実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0116】
1 情報処理システム
2 CPAP装置
3 クラウドサーバ
4 データ分析予測装置
40 通信部
41 データ処理部
42 学習部
43 分析予測部
44 変更部
【要約】      (修正有)
【課題】被検者が将来的にCPAP装置の脱落者になり得るかどうかを予測することができるデータ分析予測装置およびデータ分析予測プログラムを提供する。
【解決手段】CPAP装置から送信されてきた被検者のデータを処理するデータ処理部41と、複数のCPAP装置から送信されてきた複数の被検者のデータがクラウドサーバ3に保存されており、当該クラウドサーバ3に保存されている被検者のデータに基づいて、CPAP装置による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する学習部42と、ニューラルネットワークを利用して、データ処理部41により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、被検者が将来的にCPAP装置の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測部43とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9