特許第6427300号(P6427300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6427300全天球カメラ撮像画像表示システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427300
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】全天球カメラ撮像画像表示システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2343 20110101AFI20181112BHJP
   H04N 21/2187 20110101ALI20181112BHJP
【FI】
   H04N21/2343
   H04N21/2187
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-524677(P2018-524677)
(86)(22)【出願日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】JP2016069506
(87)【国際公開番号】WO2018003081
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2018年8月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】 富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−220595(JP,A)
【文献】 特開2016−10021(JP,A)
【文献】 特開2011−249865(JP,A)
【文献】 特開2015−170866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を、複数のユーザ端末に表示する全天球カメラ撮像画像表示システムであって、
前記全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を取得する撮像画像取得手段と、
前記取得された撮像画像を複数のユーザ端末に配信する撮像画像配信手段と、
前記複数のユーザ端末のそれぞれのユーザから、操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、
前記受付けたそれぞれのユーザからの操作入力に基づいて、前記配信された撮像画像の360度の内の任意の一部分を、それぞれユーザ端末に表示する撮像画像表示手段と、
全天球カメラの周囲の音を集音する複数の集音手段と、
記表示させた任意の一部分の中心が、他の位置に移動した場合、当該移動にあわせて段階的に合成した音を、集音した音として出力する音出力手段と、
を備えることを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項2】
前記操作入力受付手段が、前記受付けた操作入力とは異なる操作入力を受付けた場合に、
前記撮像画像表示手段は、前記表示された撮像画像の360度の内の任意の一部分以外の部分を表示することを特徴とする請求項1に記載の全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項3】
前記それぞれのユーザから要求を受付ける要求受付手段と、
前記受付けた要求に基づく要求画像を、前記それぞれのユーザが操作するユーザ端末に配信する要求画像配信手段と、を備え、
前記撮像画像表示手段は、前記配信された要求画像を、前記それぞれのユーザが操作するユーザ端末に表示することを特徴とする請求項1に記載の全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項4】
前記表示された撮像画像の360度の内の任意の一部分の方向に応じて、前記音出力手段で出力する音を調整する音調整手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項5】
前記音調整手段は、前記複数の集音手段によって集音された音を合成して音を調整することを特徴とする請求項4に記載の全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項6】
前記取得された撮像画像のキャッシュを作成するキャッシュ作成手段と、を備え、
前記撮像画像配信手段は、前記作成された撮像画像のキャッシュを複数のユーザ端末に配信することを特徴とする請求項1に記載の全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項7】
前記撮像画像配信手段は、前記複数のユーザ端末に順次配信することを特徴とする請求項1に記載の全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項8】
前記撮像画像配信手段は、前記複数のユーザ端末に均等になるように配信することを特徴とする請求項1に記載の全天球カメラ撮像画像表示システム。
【請求項9】
全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を、複数のユーザ端末に表示する全天球カメラ撮像画像表示システムが実行する方法であって、
前記全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を取得するステップと、
前記取得された撮像画像を複数のユーザ端末に配信するステップと、
前記複数のユーザ端末のそれぞれのユーザから、操作入力を受け付けるステップと、
前記受付けたそれぞれのユーザからの操作入力に基づいて、前記配信された撮像画像の360度の内の任意の一部分を、それぞれユーザ端末に表示するステップと、
全天球カメラの周囲の音を集音するステップと、
記表示させた任意の一部分の中心が、他の位置に移動した場合、当該移動にあわせて段階的に合成した音を、集音した音として出力するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を、複数のユーザ端末に表示する全天球カメラ撮像画像表示システムに
前記全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を取得するステップ、
前記取得された撮像画像を複数のユーザ端末に配信するステップ、
前記複数のユーザ端末のそれぞれのユーザから、操作入力を受け付けるステップ、
前記受付けたそれぞれのユーザからの操作入力に基づいて、前記配信された撮像画像の360度の内の任意の一部分を、それぞれユーザ端末に表示するステップ、
全天球カメラの周囲の音を集音するステップ、
記表示させた任意の一部分の中心が、他の位置に移動した場合、当該移動にあわせて段階的に合成した音を、集音した音として出力するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を、複数のユーザ端末に表示する全天球カメラ撮像画像表示システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レンズの位置を中心に360度の範囲を撮像可能な全天球カメラが普及している。このような全天球カメラは、広範囲の撮像が可能なため、様々な状況で利用されている。
【0003】
例えば、構造物の点検装置は、無線操縦式の回転翼機に、構造物表面の画像を連続的に撮影する全天球カメラが搭載され、全天球カメラで撮影された画像が、管理端末に送信され、処理部で画像を画像解析して、構造物に不良があるか否かを判定する構造物の点検装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の点検装置によれば、全天球カメラを用いることで、構造物表面を、より広範囲に撮像できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−194069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の点検装置では、全天球カメラで撮影された画像は限られた端末にだけ送信するが、全天球カメラの利用状況によっては、この全天球カメラで撮影された画像を、多数の端末に送信したい場合がある。例えば、コンサートやスポーツ競技の様子を全天球カメラで撮像し、この全天球カメラで撮像された360度の画像を多数の端末に配信することで、コンサート開場やスポーツ競技場等にいない者も、コンサート開場やスポーツ競技場等の様子を、多様な角度から視ることができる。
【0006】
本発明は、これらの課題に鑑み、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点で見ることが可能となる全天球カメラ撮像画像表示システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
第1の特徴に係る発明は、
全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を、複数のユーザ端末に表示する全天球カメラ撮像画像表示システムであって、
前記全天球カメラで撮像された360度の撮像画像を取得する撮像画像取得手段と、
前記取得された撮像画像を複数のユーザ端末に配信する撮像画像配信手段と、
前記複数のユーザ端末のそれぞれのユーザから、操作入力を受け付ける操作入力受付手段と、
前記受付けたそれぞれのユーザからの操作入力に基づいて、前記配信された撮像画像の360度の内の任意の一部分を、それぞれユーザ端末に表示する撮像画像表示手段と、
を備えることを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明によれば、複数のユーザ端末のそれぞれのユーザからの操作入力に基づいて、全天球カメラで撮像された撮像画像の内の任意の一部分を、それぞれユーザ端末に表示できる。したがって、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点で見ることが可能となる全天球カメラ撮像画像表示システムを提供できる。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0011】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明に加え、
前記操作入力受付手段が、前記受付けた操作入力とは異なる操作入力を受付けた場合に、
前記撮像画像表示手段は、前記表示された撮像画像の360度の内の任意の一部分以外の部分を表示することを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0012】
第2の特徴に係る発明によれば、異なる操作入力を行うことで、撮像画像の360度の内の表示する部分を動かすことができる。したがって、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点を動かして見ることが可能となる全天球カメラ撮像画像表示システムを提供できる。
【0013】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明に加え、
前記それぞれのユーザから要求を受付ける要求受付手段と、
前記受付けた要求に基づく要求画像を、前記それぞれのユーザが操作するユーザ端末に配信する要求画像配信手段と、を備え、
前記撮像画像表示手段は、前記配信された要求画像を、前記それぞれのユーザが操作するユーザ端末に表示することを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0014】
第3の特徴に係る発明によれば、それぞれのユーザからの要求に基づく要求画像を、それぞれのユーザが操作するユーザ端末に表示することできる。したがって、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した要求に基づく視点で見ることが可能となる全天球カメラ撮像画像表示システムを提供できる。
【0015】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明に加え、
全天球カメラの周囲の音を集音する複数の集音手段と、
前記集音された音を出力する音出力手段と、
前記表示された撮像画像の360度の内の任意の一部分の方向に応じて、前記音出力手段で出力する音を調整する音調整手段と、
を備えることを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0016】
第4の特徴に係る発明によれば、それぞれのユーザからの操作入力に基づく、撮像画像の360度の内の任意の一部分の方向に応じて、出力する音を調整できる。したがって、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点で見ることが可能であるとともに、この独立した視点に応じた音を聞くことが可能となる全天球カメラ撮像画像表示システムを提供できる。
【0017】
第5の特徴に係る発明は、第4の特徴に係る発明に加え、
前記音調整手段は、前記複数の集音手段によって集音された音を合成して音を調整することを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0018】
第5の特徴に係る発明によれば、それぞれのユーザからの操作入力に基づく、撮像画像の360度の内の任意の一部分の方向に応じて、出力する音を、集音された音を合成して調整できる。したがって、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点で見ることが可能であるとともに、集音するマイクが360度に亘って配置されていなくとも、この独立した視点に応じた音を聞くことが可能となる全天球カメラ撮像画像表示システムを提供できる。
【0019】
第6の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明に加え、
前記取得された撮像画像のキャッシュを作成するキャッシュ作成手段と、
前記撮像画像配信手段は、前記作成された撮像画像のキャッシュを複数のユーザ端末に配信することを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0020】
第6の特徴に係る発明によれば、撮像画像のキャッシュを作成し、このキャッシュを複数のユーザ端末に配信するので、取得した撮像画像を、直接、複数のユーザ端末に配信する場合に比べ、全天球カメラ撮像画像表示システムの負荷が分散され、より多くのユーザ端末に安定して撮像画像を配信可能となる。
【0021】
第7の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明に加え、
前記撮像画像配信手段は、前記複数のユーザ端末に順次配信することを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0022】
第7の特徴に係る発明によれば、複数のユーザ端末に、撮像画像を順次配信するので、取得した撮像画像を、複数のユーザ端末に同一のタイミングで配信する場合に比べ、全天球カメラ撮像画像表示システムの負荷が分散され、より多くのユーザ端末に安定して撮像画像を配信可能となる。
【0023】
第8の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明に加え、
前記撮像画像配信手段は、前記複数のユーザ端末に均等になるように配信することを特徴とする全天球カメラ撮像画像表示システムを提供する。
【0024】
第8の特徴に係る発明によれば、複数のユーザ端末に、撮像画像を均等になるように配信するので、複数のユーザ端末のそれぞれに同様のスピードで、撮像画像を配信可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点で見ることが可能となる全天球カメラ撮像画像表示システム、方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の好適な実施形態である全天球カメラ撮像画像表示システム1の概要を説明するための図である。
図2図2は、全天球カメラ撮像画像表示システム1の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
図3図3は、全天球カメラ撮像画像表示システム1の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
図4図4は、全天球カメラ撮像画像表示システム1が実行する撮像画像表示処理のフローチャートである。
図5図5は、端末30の音調整モジュール40による音調整の一例を説明する図である。
図6図6は、本発明の好適な実施形態である全天球カメラ撮像画像表示システム1Aの概要を説明するための図である。
図7図7は、全天球カメラ撮像画像表示システム1Aの画像作成サーバ50の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
図8図8は、全天球カメラ撮像画像表示システム1Aの画像作成サーバ50が実行する要求画像作成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0028】
[全天球カメラ撮像画像表示システムの概要]
図1は、本発明の好適な実施形態である全天球カメラ撮像画像表示システム1の概要を説明するための図である。この図1に基づいて、全天球カメラ撮像画像表示システム1の概要を説明する。全天球カメラ撮像画像表示システム1は、撮像画像取得サーバ10と、キャッシュサーバ20と、端末30と、を備え、全天球カメラ5で撮像された360度の撮像画像を、複数の端末30に表示する。
【0029】
全天球カメラ撮像画像表示システム1において、全天球カメラ5は、例えば、複数の人に見られる特定の被写体を、正面で撮像可能な位置に配置される。具体的には、全天球カメラ5は、コンサート会場の略中央や奏者を正面で撮像可能な位置や、競技場の略中央や選手を正面で撮像可能な位置に配置される。
【0030】
詳細には、撮像画像取得サーバ10は、全天球カメラ5で撮像された360度の撮像画像を取得し、取得した撮像画像を複数のキャッシュサーバ20に送信する。キャッシュサーバ20は、受信した撮像画像のキャッシュを作成し、作成した撮像画像のキャッシュを複数の端末30に配信する。
【0031】
複数の端末30は、360度の撮像画像を受信し、それぞれ、端末30を操作するユーザから、操作入力を受け付け、ユーザからの操作入力に基づいて、配信された撮像画像の360度の内の任意の一部分を、表示する。
【0032】
また、複数の端末30は、ユーザから受付けた操作入力とは異なる操作入力を受付けた場合に、表示された撮像画像の360度の内の任意の一部分以外の部分を表示する。即ち、端末30は、ユーザからの操作入力の態様に応じて、表示する撮像画像の360度の内の任意の一部分を変化させる。
【0033】
このような全天球カメラ撮像画像表示システム1によれば、複数の端末30のそれぞれのユーザからの操作入力に基づいて、全天球カメラ5で撮像された撮像画像の内の任意の一部分を、それぞれ端末30に表示できる。したがって、全天球カメラ5で撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点で見ることが可能となる。
【0034】
また、全天球カメラ撮像画像表示システム1によれば、ユーザが異なる操作入力を行うことで、撮像画像の360度の内の表示する部分を動かすことができる。したがって、全天球カメラで撮影した同一の360度の画像を複数人の複数の独立した視点を動かして見ることが可能となる。
【0035】
また、全天球カメラ撮像画像表示システム1によれば、キャッシュサーバ20により、撮像画像のキャッシュを作成し、このキャッシュを複数の端末30に配信するので、取得した撮像画像を、直接、撮像画像取得サーバ10から複数の端末30に配信する場合に比べ、全天球カメラ撮像画像表示システム1の負荷が分散され、より多くの端末30に安定して撮像画像を配信可能となる。
【0036】
[各機能の説明]
図2及び図3は、全天球カメラ撮像画像表示システム1の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。図2に示すように、全天球カメラ撮像画像表示システム1において、全天球カメラ5及び複数のマイク6L,6R,6F,6Bは、撮像画像取得サーバ10と有線又は無線により接続されている。撮像画像取得サーバ10と複数のキャッシュサーバ20は、互いに公衆回線網を介してそれぞれ通信可能に接続されている。また、キャッシュサーバ20と複数の端末30は、互いに公衆回線網を介してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0037】
全天球カメラ5は、複数のレンズと撮像素子を備え、複数のレンズをその光軸が放射状に配置し、上下左右全方位の360度の範囲を、複数の撮像素子に結像し、各撮像素子で結像した画像データを、撮像画像取得サーバ10に送信する。
【0038】
マイク6L,6R,6F,6Bは、マイクロフォンで構成され、集音した音を電気信号に変換する。例えば、全天球カメラ5の中心を通る前後方向と、全天球カメラ5の中心で交差し、前後方向と直交する左右方向を設定した場合に、マイク6Lは、左右方向において、前方に向いて全天球カメラ5の左側近傍に設けられ、マイク6Rは、左右方向において、前方に向いて全天球カメラ5の右側近傍に設けられ、マイク6Fは、前後方向において、全天球カメラ5の前側近傍に設けられ、マイク6Bは、前後方向において、全天球カメラ5の後側近傍に設けられている。マイク6L,6R,6F,6Bは、それぞれ集音した音データを、撮像画像取得サーバ10に送信する。このようなマイク6L,6R,6F,6Bは、全天球カメラの周囲の音を集音する複数の集音手段として機能する。
【0039】
撮像画像取得サーバ10は、後述の機能を備えた一般的なサーバであり、制御部11として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、記憶部12として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、通信部13として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイス又は、第3世代、第4世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える。記憶部12は、撮像画像取得プログラム100、全天球カメラ5から取得した複数の画像データやこれら複数の画像データを合成した360度の撮像画像データ、マイク6L,6R,6F,6Bで取得した音データやこれらの音データ、その他、撮像画像取得サーバ10の制御に必要なデータを記憶する。
【0040】
なお、本実施形態において、全天球カメラ5は、1つであるが、これに限らず、複数設け、例えば、特定の被写体を囲むように配置してもよい。この場合、複数の全天球カメラ5でそれぞれ撮像された画像データに基づく、それぞれの360度の撮像画像データを、撮像画像取得サーバ10や端末30において、選択可能としてもよい。
【0041】
撮像画像取得サーバ10において、制御部11が撮像画像取得プログラム100を読み込むことで、記憶部12及び通信部13と協働して、撮像画像取得モジュール14及び撮像画像送信モジュール15を実現する。
【0042】
キャッシュサーバ20は、後述の機能を備えた一般的なサーバであり、撮像画像取得サーバ10と同様に、制御部21として、CPU,RAM,ROM等を備え、記憶部22として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、通信部23として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス又は、第3世代、第4世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える。記憶部22は、撮像画像配信プログラム200、撮像画像取得サーバ10から受信した360度の撮像画像データや出力用音データ、その他、キャッシュサーバ20の制御に必要なデータを記憶する。
【0043】
キャッシュサーバ20において、制御部21が撮像画像配信プログラム200を読み込むことで、記憶部22及び通信部23と協働して、撮像画像受信モジュール24、撮像画像配信モジュール25を実現する。
【0044】
端末30は、通信部を備えた一般的な情報端末であってよく、後述する機能を備える情報機器であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、電子辞書端末、携帯型音楽プレーヤ、携帯型コンテンツ再生・録画プレーヤといった携帯型端末であってもよいし、パーソナルコンピュータといった据え置き型の端末であってもよい。
【0045】
図3に示すように、端末30は、撮像画像取得サーバ10と同様に、制御部31として、CPU,RAM,ROM等を備え、記憶部32として、データのストレージ部を備え、通信部33として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイスを備え(有線であってもよい)、入力部34として、タッチパネルやキーボードマウス等による入力手段を備え、表示部35として、タッチパネルやディスプレイ等による表示手段を備え、集音された音を出力する音出力手段である音出力部36として、スピーカ等を備える。記憶部32は、撮像画像表示プログラム300、キャッシュサーバ20から配信された360度の撮像画像データや出力用音データ、その他、端末30の制御に必要なデータを記憶する。
【0046】
端末30において、制御部31が撮像画像表示プログラム300を読み込むことで、記憶部32及び通信部33と協働して、撮像画像受信モジュール37を実現し、入力部34と協働して、操作入力受付モジュール38を実現し、表示部35と協働して、撮像画像表示モジュール39を実現し、音出力部36と協働して、音調整モジュール40を実現する。
【0047】
[撮像画像表示処理]
図4は、全天球カメラ撮像画像表示システム1が実行する撮像画像表示処理のフローチャートである。上述した各モジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。まず、撮像画像取得サーバ10は、全天球カメラ5を制御し、複数のレンズを通して撮像された画像データ及びマイク6L,6R,6F,6Bで集音した音データを受信する。
【0048】
ステップS1において、撮像画像取得サーバ10の撮像画像取得モジュール14は、全天球カメラ5で撮像された360度の撮像画像を取得する。詳細には、撮像画像取得モジュール14は、全天球カメラ5から受信した複数のレンズを通して撮像された画像データを合成して、360度の撮像画像データを作成し、作成した360度の撮像画像データと、受信した音データと、を対応付けて、記憶部12に記憶する。
【0049】
ステップS2において、撮像画像取得サーバ10の撮像画像送信モジュール15は、記憶部12に記憶された、360度の撮像画像データ及び音データを、複数のキャッシュサーバ20に送信する。各キャッシュサーバ20の撮像画像受信モジュール24は、撮像画像取得サーバ10から360度の撮像画像データ及び音データを受信する。そして、各キャッシュサーバ20の撮像画像配信モジュール25は、撮像画像受信モジュール24が受信した360度の撮像画像データ及び音データを、複数の端末30に、順次又は均等に配信する。各端末30の撮像画像受信モジュール37は、キャッシュサーバ20から360度の撮像画像データ及び音データを受信する。
【0050】
ステップS3において、各端末30の撮像画像表示モジュール39は、配信された撮像画像の360度の内の任意の一部分を表示する。詳細には、撮像画像表示モジュール39は、ステップS2で撮像画像受信モジュール37が受信した360度の撮像画像データに基づき、360度の内の任意の一部分の撮像画像(例えば、予め設定された正面を中心とする撮像画像)を表示部35に表示する。また、本ステップにおいて、各端末30の音調整モジュール40は、ステップS2で撮像画像受信モジュール37が受信した音データに基づき、複数のマイク6L,6R,6F,6Bで集音した音データの内の任意の一部分(例えば、予め設定された正面を中心とする撮像画像に対応付けられたマイク6L,6Rで集音した音データ)を、音出力部36から出力する。
【0051】
ステップS4において、複数の端末30の操作入力受付モジュール38は、それぞれのユーザから、入力部34の操作入力(例えば、表示部35に表示された撮像画像に対する入力部34によるドラッグ操作等)を受け付ける。
【0052】
ステップS5において、端末30の撮像画像表示モジュール39は、ステップS4で操作入力受付モジュール38が受け付けた入力部34の操作入力に応じて、表示部35に、表示された撮像画像の360度の内の任意の一部分以外の部分を表示する。例えば、撮像画像表示モジュール39は、入力部34の操作入力が、表示部35に表示された撮像画像に対する入力部34による所定方向へのドラッグ操作であった場合、360度の撮像画像データの内、ステップS3で表示部35に表示する範囲を、所定方向へ移動する。
【0053】
また、本ステップにおいて、各端末30の音調整モジュール40は、ステップS4で操作入力受付モジュール38が受け付けた入力部34の操作入力に応じて、音出力部36から出力している音データの内の任意の一部分以外の部分を出力する。
【0054】
図5は、端末30の音調整モジュール40による音調整の一例を説明する図である。音調整モジュール40は、360度の撮像画像データの内、ステップS3で表示部35に表示する範囲35aの中心が、全天球カメラの予め設定された正面方向に対して左側90度の位置であれば、マイク6F,6Bで集音した音データを、合成して音出力部36から出力する。
【0055】
その後、ユーザの入力部34の操作入力により、360度の撮像画像データの内、ステップS3で表示部35に表示する範囲の中心が、全天球カメラ5の予め設定された正面方向に対して左側90度の位置から、当該正面方向を通って、正面方向に対して右側60度の位置(範囲35b)に移動した場合について説明する。この場合、音調整モジュール40は、音出力部36から出力する音データを、マイク6F,6Bで集音した音データから徐々にマイク6L,6Rで集音した音データに移行させ、その後、マイク6Lで集音した音データの音量を下げ、マイク6Rで集音した音データの音量を上げて合成して、音出力部36から出力する。例えば、表示部35に表示された範囲35bの場合、音調整モジュール40は、マイク6L,6Rで集音した音データの音量の割合を、1:3で合成して、音出力部36から出力する。
【0056】
なお、本実施形態では、マイクを全天球カメラ5を中心とする円上に沿って、90度毎に4つ配置しているが、これに限らず、例えば、より狭い間隔でマイクを配置し、ユーザによる入力部34の操作入力に応じて、音出力部36から出力する音データを集音するマイクを切り替えてもよい。
【0057】
[応用例]
次に、本実施形態の応用例に係る全天球カメラ撮像画像表示システム1Aについて説明する。図6は、本発明の好適な実施形態である全天球カメラ撮像画像表示システム1Aの概要を説明するための図である。
【0058】
全天球カメラ撮像画像表示システム1Aは、更に、画像作成サーバ50を備える点が、全天球カメラ撮像画像表示システム1(図1等参照)と異なる。全天球カメラ撮像画像表示システム1Aは、全天球カメラ撮像画像表示システム1の機能に加え、ユーザの要望に応じた撮像画像を作成し、端末30に配信する。
【0059】
[応用例に係る全天球カメラ撮像画像表示システムの概要]
全天球カメラ撮像画像表示システム1Aは、画像作成サーバ50において、360度の撮像画像データに基づき、特定の被写体や特定のシーンのみの作成撮像画像データを作成する。例えば、全天球カメラ撮像画像表示システム1Aをスポーツ競技大会で用いた場合、画像作成サーバ50は、撮像画像取得サーバ10から受信した360度の撮像画像データに基づき、100m走の競技のみの作成撮像画像データや、特定の選手を追い続けた作成撮像画像データや、開場全体の作成撮像画像データや、観客席の作成撮像画像データ等を作成する。
【0060】
そして、ユーザは、端末30から、このような画像作成サーバ50が作成した作成撮像画像データのうち、見たい作成撮像画像データを要求する。画像作成サーバ50は、端末30からの要求に応じた作成撮像画像データを、当該端末30に配信する。
【0061】
[画像作成サーバ50の機能の説明]
図7は、全天球カメラ撮像画像表示システム1Aの画像作成サーバ50の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。画像作成サーバ50は、後述の機能を備えた一般的なサーバであり、撮像画像取得サーバ10(図2参照)と同様に、制御部51として、CPU,RAM,ROM等を備え、記憶部52として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、通信部53として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス又は、第3世代、第4世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える。記憶部52は、画像作成プログラム500、撮像画像取得サーバ10から受信した360度の撮像画像データや出力用音データ、360度の撮像画像データや出力用音データに基づき作成した作成撮像画像データや作成出力用音データ、その他、画像作成サーバ50の制御に必要なデータを記憶する。
【0062】
画像作成サーバ50において、制御部51が画像作成プログラム500を読み込むことで、記憶部52及び通信部53と協働して、撮像画像受信モジュール54、要求受付モジュール55、要求画像配信モジュール57を実現し、記憶部52と協働して、要求画像作成モジュール56を実現する。
【0063】
[要求画像作成処理]
図8は、全天球カメラ撮像画像表示システム1Aの画像作成サーバ50が実行する要求画像作成処理のフローチャートである。上述した各モジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0064】
ステップS11において、撮像画像受信モジュール54は、撮像画像取得サーバ10から360度の撮像画像データ及び音データを受信し、記憶部52に記憶する。
【0065】
ステップS12において、要求受付モジュール55は、複数の端末30それぞれから、ユーザから見たい被写体(例えば、特定の競技、人物、シーン等)についての要求を示す要求情報を受付ける。
【0066】
ステップS13において、要求画像作成モジュール56は、ステップS12で受信した要求情報に基づく要求画像である作成撮像画像データを、ステップS11で受信した360度の撮像画像データ及び音データから切り出して作成する。
【0067】
ステップS14において、要求画像配信モジュール57は、ステップS13で作成した作成撮像画像データを、要求情報を送信した端末30に配信する。
【0068】
そして、端末30は、撮像画像受信モジュール37(図3参照)により作成撮像画像データを受信し、受信した作成撮像画像データを、撮像画像表示モジュール39(図3参照)により表示部35(図3参照)に表示し、作成撮像画像データに含まれる音データを、音調整モジュール40(図3参照)により音出力部36(図3参照)から出力する。
【0069】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
1 全天球カメラ撮像画像表示システム、5 全天球カメラ、14 撮像画像取得モジュール、25 撮像画像配信モジュール、38 操作入力受付モジュール、39 撮像画像表示モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8