(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、農地全面に、薬剤を散布するものであり、病気が発生した作物や害虫が発生した作物等の特定の作物のみに対して薬剤を散布するものではなく、病気も害虫も発生していない作物に対しても薬剤散布を実行していた。そのため、必要がない場所に対しても薬剤散布を実行することになり、効率が悪かった。
【0006】
本発明の目的は、効率よく薬剤を散布することが可能な移動体制御アプリケーション及び移動体制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
第1の特徴に係る発明は、移動体に搭載した端末上で起動する移動体制御アプリケーションであって、
前記端末が撮像した飛行中の撮像画像を取得する撮像画像取得手段と、
前記取得した撮像画像を画像解析する画像解析手段と、
前記画像解析した結果に基づいて、作物に付着している害虫を検出する害虫検出手段と、
前記検出した害虫が付着している作物の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記取得した位置情報に基づいて、害虫駆除剤を散布するように前記移動体を制御する移動体制御手段と、
を備えることを特徴とする移動体制御アプリケーションを提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明によれば、移動体に搭載した端末上で起動する移動体制御アプリケーションは、前記端末が撮像した飛行中の撮像画像を取得し、前記取得した撮像画像を画像解析し、前記画像解析した結果に基づいて、作物に付着している害虫を検出し、前記検出した害虫が付着している作物の位置情報を取得し、前記取得した位置情報に基づいて、害虫駆除剤を散布するように前記移動体を制御する。
【0010】
ここで、第1の特徴に係る発明は、移動体制御アプリケーションのカテゴリであるが、方法等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【0011】
第2の特徴に係る発明は、前記検出した害虫の種類を検出する害虫種類検出手段と、
前記検出した害虫の種類によって、前記移動体制御手段で散布する害虫駆除剤の種類又は量を制御する散布制御手段と、
を備えることを特徴とする第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションを提供する。
【0012】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションは、前記検出した害虫の種類を検出し、前記検出した害虫の種類によって、散布する害虫駆除剤の種類又は量を制御する。
【0013】
第3の特徴に係る発明は、前記制御した害虫駆除剤の種類によって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する散布角度制御手段と、
を備えることを特徴とする第2の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションを提供する。
【0014】
第3の特徴に係る発明によれば、第2の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションは、前記制御した害虫駆除剤の種類によって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する。
【0015】
第4の特徴に係る発明は、前記検出した害虫が付着している高度を検出する高度検出手段と、
前記検出した高度によって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する散布角度制御手段と、
を備えることを特徴とする第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションを提供する。
【0016】
第4の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションは、前記検出した害虫が付着している高度を検出し、前記検出した高度によって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する。
【0017】
第5の特徴に係る発明は、前記移動体の飛行パラメータを検出する飛行パラメータ検出手段と、
前記検出した飛行パラメータによって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する散布角度制御手段と、
を備えることを特徴とする第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションを提供する。
【0018】
第5の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションは、前記移動体の飛行パラメータを検出し、前記検出した飛行パラメータによって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する。
【0019】
第6の特徴に係る発明は、風向きセンサによって検出された風向き情報を取得する風向き情報取得手段と、
前記取得した風向き情報によって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する散布角度制御手段と、
を備えることを特徴とする第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションを提供する。
【0020】
第6の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションは、風向きセンサによって検出された風向き情報を取得し、前記取得した風向き情報によって、前記害虫駆除剤を散布する角度を制御する。
【0021】
第7の特徴に係る発明は、前記検出した害虫が付着している作物の生育状況を検出する生育状況検出手段と、
前記検出した生育状況によって、前記移動体制御手段で散布する害虫駆除剤の種類又は量を制御する散布剤制御手段と、
を備えることを特徴とする第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションを提供する。
【0022】
第7の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である移動体制御アプリケーションは、前記検出した害虫が付着している作物の生育状況を検出し、前記検出した生育状況によって、散布する害虫駆除剤の種類又は量を制御する。
【0023】
第8の特徴に係る発明は、移動体に搭載した端末上で起動する移動体制御方法であって、
前記端末が撮像した飛行中の撮像画像を取得するステップと、
前記取得した撮像画像を画像解析するステップと、
前記画像解析した結果に基づいて、作物に付着している害虫を検出するステップと、
前記検出した害虫が付着している作物の位置情報を取得するステップと、
前記取得した位置情報に基づいて、害虫駆除剤を散布するように前記移動体を制御するステップと、
を備えることを特徴とする移動体制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、効率よく薬剤を散布することが可能な移動体制御アプリケーション及び移動体制御方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0027】
[移動体制御システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、
図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態である移動体制御システム1の概要を説明するための図である。移動体制御システム1は、移動体10、情報端末100から構成される。本実施形態において、後述する各処理は、情報端末100上で起動する移動体制御アプリケーションが、移動体10又は情報端末100のいずれか又は双方に実行させるものとして説明する。
【0028】
移動体10は、情報端末100とUSB等の有線接続や、無線接続等により接続され、この情報端末100上で起動する移動体制御アプリケーションにより、動作の制御を受け付けるドローン等の無人航空機である。また、移動体10は、ジャイロセンサ、加速度センサ、高度計、風向きセンサ等の各種センサを備え、各種センサにより検知した情報を、情報端末100に送信する。また、移動体10は、単一又は複数の害虫駆除剤や農薬等の薬剤を貯留する薬剤貯留部を備える。この薬剤貯留部は、移動体制御アプリケーションの制御を受け付け、散布する薬剤の種類の選択又は量の制御を受け付ける。例えば、薬剤貯留部は、薬剤を噴霧する噴出口の位置や角度等の制御を受け付ける。
【0029】
情報端末100は、移動体10と有線接続又は無線接続等により接続され、移動体10の動作を制御する移動体制御アプリケーションを有する端末装置である。情報端末100は、例えば、携帯電話、携帯情報端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータに加え、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、携帯型音楽プレーヤ等の電化製品である。
【0030】
情報端末100は、飛行経路の設定を受け付け、飛行経路を複数の区画に分割し、各区画の位置情報を記憶する(ステップS01)。この区画の位置情報は、例えば、GPS座標であり、区画の中心位置の位置情報を、この区画の位置情報として記憶する。
【0031】
移動体10は、受け付けた飛行経路を飛行するとともに、情報端末100は、各区画の撮像画像を撮像する(ステップS02)。情報端末100は、撮像画像を、各区画に対して、1枚又は複数枚撮像する。情報端末100は、この撮像画像と、撮像した区画の位置情報とを紐付けて記憶する。なお、このとき、自身の飛行高度や飛行速度や自身の傾き等の飛行パラメータや、風向き等の外部環境に関する情報を検知し、記憶する構成であってもよい。また、撮像画像内に存在する作物等の高度に関する情報を取得する構成であってもよい。
【0032】
移動体10は、設定された飛行経路の飛行が完了した時、着陸する。情報端末100は、撮像画像を画像解析し、撮像画像内に、作物に付着している害虫や病害を検出する(ステップS03)。例えば、情報端末100は、撮像画像の特徴量を抽出することにより、害虫、病害、作物の種類、生育状況等を検出する。
【0033】
情報端末100は、検出された害虫が付着している作物の位置情報を取得する(ステップS04)。例えば、情報端末100は、害虫が付着している作物の撮像画像に紐付けられた位置情報を取得する。
【0034】
移動体10は、情報端末100が取得した位置情報の場所に飛行し、薬剤を散布する(ステップS05)。
【0035】
なお、薬剤の散布時、検出した害虫の種類によって、薬剤の種類又は量を制御する構成であってもよい。例えば、害虫Aを検出した場合、薬剤aを使用し、害虫Bを検出した場合、薬剤aとは異なる薬剤bを使用する制御を受け付ける構成であってもよい。
【0036】
また、作物の生育状況によって、薬剤の種類又は量を制御する構成であってもよい。例えば、作物が出荷間近の生育状況である場合、薬剤の使用量の抑制や残留性の低い薬剤を使用する構成であってもよい。
【0037】
また、薬剤の種類によって、薬剤を散布する角度を制御する構成であってもよい。例えば、小型の害虫を駆除する薬剤を使用する場合、散布する角度を低い角度に制御する構成や、大型の害虫を駆除する薬剤を使用する場合、散布する角度を高い角度に制御する構成であってもよい。
【0038】
また、飛行パラメータや風向き情報によって、薬剤を散布する角度を制御する構成であってもよい。例えば、飛行速度が速い場合、薬剤を散布する角度を低い角度に制御する構成や、風が強い場合、薬剤を散布する角度を低い角度に制御する構成や、飛行高度が高い場合、薬剤を散布する角度を高い角度に制御する構成であってもよい。
【0039】
以上が、移動体制御システム1の概要である。
【0040】
[移動体制御システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である移動体制御システム1のシステム構成について説明する。
図2は、本発明の好適な実施形態である移動体制御システム1のシステム構成を示す図である。移動体制御システム1は、移動体10、情報端末100から構成される。
【0041】
移動体10は、後述の機能を備えた上述した無人航空機である。
【0042】
情報端末100は、後述の機能を備えた上述した端末装置である。この情報端末100上で起動する移動体制御アプリケーションが、後述する各処理を移動体10又は情報端末100のいずれか又は双方に実行させる。
【0043】
[各機能の説明]
図3に基づいて、本発明の好適な実施形態である移動体制御システム1の機能について説明する。
図3は、移動体10、情報端末100の機能ブロック図を示す図である。
【0044】
移動体10は、制御部11として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部12として、他の機器と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイスやUSB等の有線接続対応デバイス等を備える。また、移動体10は、駆動部13として、プロペラを駆動し飛行する飛行デバイスや、害虫駆除剤や農薬等の薬剤を貯留し、薬剤を散布する薬剤散布デバイス等や、飛行速度、飛行高度、傾き等の飛行パラメータや、外部環境やプロペラからの風向きに関する情報である風向き情報を検知する各種センサを備える。薬剤散布デバイスは、例えば、薬剤を貯留する貯留部と、薬剤を噴霧する噴霧部とから構成される。貯留部には、複数又は単一の薬剤が貯留される。複数の薬剤が貯留される時、移動体制御アプリケーションからの制御により、複数の薬剤のうち、一の薬剤が選択される。また、散布部は、貯留部と接続され、薬剤を対象とする作物や農地に散布する。散布部は、例えば、ホースやノズルからなり、移動体制御アプリケーションからの制御を受け付け、薬剤の散布量や、散布角度等を変更可能である。
【0045】
移動体10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部12と協働して、情報送受信モジュール20を実現する。また、移動体10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、駆動部13と協働して、飛行モジュール30、検知モジュール31、散布モジュール32を実現する。
【0046】
情報端末100は、移動体10と同様に、制御部110として、CPU、RAM、ROM等を備え、通信部120として、他の機器と通信可能にするためのWiFi対応デバイスやUSB等の有線接続対応デバイス等を備える。また、情報端末100は、記憶部130として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、情報端末100は、入出力部140として、制御部110で制御したデータや画像を出力表示する表示部や、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルやキーボード、マウス等の入力部等や、自身の位置情報をGPS等から取得する位置情報取得デバイスや、撮像画像を撮像する撮像デバイスや、撮像した撮像画像を画像解析する解析デバイス等を備える。
【0047】
情報端末100において、制御部110が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部120と協働して、情報送受信モジュール150を実現する。また、情報端末100において、制御部110が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部130と協働して、情報記憶モジュール160を実現する。また、情報端末100において、制御部110が所定のプログラムを読み込むことにより、入出力部140と協働して、入力受付モジュール170、撮像モジュール171、画像解析モジュール172、薬剤特定モジュール173、散布制御モジュール174を実現する。
【0048】
[撮像処理]
図4に基づいて、移動体制御システム1が実行する撮像処理について説明する。
図4は、移動体10及び情報端末100が実行する撮像処理のフローチャートを示す図である。上述した各装置のモジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。後述する各処理は、情報端末100上で起動する移動体制御アプリケーションが、各モジュールに実行させる。
【0049】
入力受付モジュール170は、対象とする農地の撮像範囲の指定を受け付ける(ステップS10)。ステップS10において、例えば、入力受付モジュール170は、地図データ等を外部サーバやDB等から取得し、この地図データを自身の表示部に表示し、この地図データ上に、撮像範囲の指定を受け付ける。
【0050】
図8、
図9及び
図10は、入力受付モジュール170が受け付ける撮像範囲の指定を示す図である。
【0051】
図8は、入力受付モジュール170が、撮像範囲の指定を受け付けた状態の一例を示す図である。
図8において、入力受付モジュール170は、地図データ上の所定範囲を囲う操作を実行することにより、撮像範囲の指定を受け付ける。入力受付モジュール170は、ユーザ300からのタップ操作を受け付け、指定された範囲を示す撮像範囲320を地図上に設定する。
【0052】
図9は、入力受付モジュール170が、スタート地点の登録を受け付けた状態の一例を示す図である。
図9において、入力受付モジュール170は、撮像範囲320内におけるユーザ300からのスタート地点の入力を受け付け、受け付けたスタート地点を示すスタートアイコン330を、撮像範囲320内に表示する。入力受付モジュール170は、例えば、タップ操作を受け付けることにより、スタート地点の入力を受け付ける。
【0053】
図10は、入力受付モジュール170が、ゴール地点の登録を受け付けた状態の一例を示す図である。
図10において、入力受付モジュール170は、撮像範囲320内におけるユーザ300からのゴール地点の入力を受け付け、受け付けたゴール地点を示すゴールアイコン340を、撮像範囲320内に表示する。入力受付モジュール170は、例えば、タップ操作を受け付けることにより、スタート地点の入力を受け付ける。
【0054】
図11は、入力受付モジュール170が表示する撮像順序の一例を示す図である。
図11において、入力受付モジュール170は、入力を受け付けたスタート地点とゴール地点とに基づいて、飛行経路を設定し、所定の範囲を一の区画とした複数の区画を作成する。
図11において、撮像範囲320を、1〜20までの番号が振り分けられた20個の区画として分割している。撮像モジュール171は、この20個の区画の其々について、撮像画像を撮像する。撮像モジュール171は、この番号順に撮像画像を撮像する。また、情報記憶モジュール160は、各区画の位置情報と、区画名とを紐付けた区画情報データベースを作成する。区画の位置情報は、この区画の中心位置の位置情報である。
【0055】
なお、入力受付モジュール170が受け付ける撮像範囲の指定は、上述した構成に限らず、他の構成であってもよい。また、入力受付モジュール170が設定する飛行経路は、上述した構成に限らず、他の構成であってもよい。また、入力受付モジュール170が設定する各区画の数及び順番は、上述した構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0056】
[区画情報データベース]
図12は、情報記憶モジュール160が記憶する区画情報データベースを示す図である。
図12において、情報記憶モジュール160は、撮像ポイントと座標とを紐付けて記憶する。撮像ポイントは、上述した各区画を示す。また、座標は、各区画の位置情報を示す。情報記憶モジュール160は、全ての区画と、この区画の位置情報とを紐付けて記憶する。
【0057】
なお、情報記憶モジュール160が記憶する位置情報は、座標に限らず、緯度及び経度、GPS情報等の他の構成であってもよい。また、各区画の位置情報は、中心位置に限らず、他の位置であってもよい。
【0058】
また、飛行経路は、入力受付モジュール170により入力されるのではなく、予め設定された所定の経路等に基づいて決定される構成であってもよい。
【0059】
情報送受信モジュール150は、設定された飛行経路を、移動体10に送信する(ステップS11)。
【0060】
情報送受信モジュール20は、飛行経路を受信する。飛行モジュール30は、飛行経路に基づいて、農地の上空を飛行する(ステップS12)。
【0061】
撮像モジュール171は、自身の位置情報が、記憶した各区画の位置情報と一致するか否かを判断する(ステップS13)。ステップS13において、撮像モジュール171は、一致してないと判断した場合(ステップS13 NO)、後述するステップS16の処理を実行する。
【0062】
一方、ステップS13において、撮像モジュール171は、一致していると判断した場合(ステップS13 YES)、この区画の撮像画像を撮像する(ステップS14)。ステップS14において、撮像モジュール171は、区画に含まれる作物の撮像画像を撮像する。
【0063】
情報記憶モジュール160は、撮像画像と、位置情報とを紐付けて記憶する(ステップS15)。
【0064】
撮像モジュール171は、全ての区画の撮像が完了したか否かを判断する(ステップS16)。ステップS16において、撮像モジュール171は、飛行経路として設定された全区画の撮像画像の撮像が完了したか否か、情報記憶モジュール160が全ての位置情報において、撮像画像の紐付けが完了したか否か等に基づいて、撮像が完了したか否かを判断する。ステップS16において、撮像モジュール171は、完了していないと判断した場合(ステップS16 NO)、上述したステップS13の処理を実行する。
【0065】
一方、ステップS16において、撮像モジュール171は、完了したと判断した場合(ステップS16 YES)、情報送受信モジュール150は、飛行終了指示を、移動体10に送信する(ステップS17)。
【0066】
情報送受信モジュール20は、飛行終了指示を受信する。飛行モジュール30は、飛行を終了する(ステップS18)。ステップS18において、飛行モジュール30は、プロペラの駆動を停止し、着陸する構成であってもよいし、空中で停止する構成であってもよい。
【0068】
なお、撮像処理において、一の区画に対して、複数の撮像画像を撮像する構成であってもよい。また、設定する一の区画の面積は、適宜変更可能である。
【0069】
[画像解析処理]
次に、
図5に基づいて、移動体制御システム1が実行する画像解析処理について説明する。
図5は、情報端末100が実行する画像解析処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。後述する各処理は、情報端末100上で起動する移動体制御アプリケーションが、各モジュールに実行させる。
【0070】
画像解析モジュール172は、情報記憶モジュール160が記憶する、飛行中の撮像画像を取得する(ステップS20)。ステップS20において、画像解析モジュール172は、全ての撮像画像を取得してもよいし、一の撮像画像を取得する構成であってもよい。
【0071】
画像解析モジュール172は、取得した撮像画像を画像解析する(ステップS21)。ステップS21において、画像解析モジュール172は、撮像画像の特徴量を抽出し、害虫の有無、害虫が存在している場合において、この害虫の種類、害虫が付着している高度や、作物の種類、作物の生育状況等を検出する。例えば、画像解析モジュール172は、外部サーバやデータベース等により、撮像画像から抽出した特徴量を有する害虫や作物等を特定し、この害虫の種類、作物の種類、作物の生育状況等を解析する。
【0072】
画像解析モジュール172は、画像解析の結果、撮像画像中に、害虫が存在するか否かを判断する(ステップS22)。ステップS22において、画像解析モジュール172は、害虫が存在していないと判断した場合(ステップS22 NO)、後述するステップS28の処理を実行する。
【0073】
一方、ステップS22において、画像解析モジュール172は、害虫が存在していると判断した場合(ステップS22 YES)、この害虫の数及び種類を特定する(ステップS23)。ステップS23において、画像解析モジュール172は、外部サーバやデータベース等により、害虫の数、害虫の種類、名称、対応薬剤等の各種害虫情報を取得することにより、害虫を特定する。ステップS23において、画像解析モジュール172は、上述した害虫の種類に加え、害虫が付着している付着箇所の高度を検出する。
【0074】
薬剤特定モジュール173は、特定した害虫の数及び種類に対応する薬剤の種類及び量を特定する(ステップS24)。ステップS24において、例えば、薬剤特定モジュール173は、害虫の数が5匹である場合、薬剤の量を1匹に対する量よりも増量した量を特定する。また、薬剤特定モジュール173は、害虫の種類が種類Aである場合、この種類Aを駆除することが可能な薬剤に関する情報を外部サーバやデータベース等から取得することにより、薬剤の種類及び量を特定する。なお、ステップS24において、薬剤特定モジュール173は、薬剤の種類又は量のいずれかを特定する構成であってもよい。
【0075】
画像解析モジュール172は、作物の生育状況を特定する(ステップS25)。ステップS25において、画像解析モジュール172は、外部サーバやデータベース等により作物の種類、生育状況等の各種作物情報を取得することにより、作物の生育状況を特定する。
【0076】
薬剤特定モジュール173は、特定した作物の生育状況に応じた薬剤の種類及び量を特定する(ステップS26)。ステップS26において、例えば、薬剤特定モジュール173は、特定した作物の生育状況が出荷間近である場合、薬剤の量を通常よりも減少させた量や効き目が弱い薬剤の種類を特定し、生育状況が初期段階である場合、薬剤の量を通常と同様の量や効き目が強い薬剤の種類を特定する。なお、ステップS26において、薬剤特定モジュール173は、薬剤の種類又は量のいずれかを特定する構成であってもよい。
【0077】
情報記憶モジュール160は、特定した害虫の数と、特定した害虫の種類と、害虫の付着高度と、作物の生育状況と、撮像画像と、この撮像画像の位置情報と、この害虫に対応する薬剤の種類及び量と、この生育状況に対応する薬剤の種類及び量とを紐付けて記憶する(ステップS27)。
【0078】
なお、情報記憶モジュール160は、特定した害虫の数と、特定した害虫の種類と、作物の生育状況と、撮像画像の位置情報とのみを紐付けて記憶する構成であってもよいし、記憶する構成は、適宜変更可能である。
【0079】
画像解析モジュール172は、全ての撮像画像の画像解析が終了したか否かを判断する(ステップS28)。ステップS28において、画像解析モジュール172は、全ての区画の撮像画像の画像解析が終了したか否か等に基づいて、画像解析が終了したか否かを判断する。ステップS28において、画像解析モジュール172は、終了していないと判断した場合(ステップS28 NO)、上述したステップS20の処理を実行する。
【0080】
一方、ステップS28において、画像解析モジュール172は、終了したと判断した場合(ステップS28 YES)、本処理を終了する。
【0082】
なお、予め情報端末100に、害虫又は枯れた葉等の画像と、散布する薬剤の種類とを対応付けて記憶しておき、画像解析により、撮像画像に含まれる害虫又は枯れた葉等を抽出し、抽出した害虫又は枯れ葉と対応付けられた薬剤の種類を取得する構成であってもよい。
【0083】
[散布処理]
次に、
図6に基づいて、移動体制御システム1が実行する散布処理について説明する。
図6は、移動体10及び情報端末100が実行する散布処理のフローチャートを示す図である。上述した各装置のモジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。後述する各処理は、情報端末100上で起動する移動体制御アプリケーションが、各モジュールに実行させる。
【0084】
情報記憶モジュール160は、害虫の種類が紐付けられた位置情報を取得する(ステップS30)。ステップS30において、情報記憶モジュール160は、撮像処理において入力を受け付けた撮像画像の撮像順番に基づいて、害虫の種類が紐付けられた位置情報を取得する。なお、ステップS30において、害虫の種類が紐付けられた全ての位置情報を取得してもよいし、一の害虫の種類が紐付けられた一の位置情報を取得する構成であってもよい。
【0085】
情報送受信モジュール150は、取得した位置情報を、移動体10に送信する(ステップS31)。
【0086】
情報送受信モジュール20は、位置情報を受信する。飛行モジュール30は、受信した位置情報に基づいて、対象とする位置情報の場所に飛行する(ステップS32)。
【0087】
検知モジュール31は、飛行高度、飛行速度及び移動体10の傾き等の飛行パラメータや、外部環境からの風の影響及びプロペラからの風の影響等の風向き情報等の飛行情報を検知する(ステップS33)。
【0088】
情報送受信モジュール20は、検知した飛行情報を送信する(ステップS34)。
【0089】
情報送受信モジュール150は、飛行情報を受信する。散布制御モジュール174は、情報記憶モジュール160が記憶するこの位置情報に紐付いた薬剤の種類及び量と、飛行情報とに基づいて、薬剤の種類、量及び散布角度を制御する制御指示を作成する(ステップS35)。ステップS35において、例えば、散布制御モジュール174は、薬剤の種類によって、薬剤の散布口の角度を制御する制御指示を作成する。また、散布制御モジュール174は、移動体10の飛行高度や飛行速度によって、薬剤の散布口の角度を制御する制御指示を作成する。また、散布制御モジュール174は、風向きによって、薬剤の散布口の角度を制御する制御指示を作成する。また、散布制御モジュール174は、害虫が付着している高度によって、薬剤の散布口の角度を制御する制御指示を作成する。
【0090】
情報送受信モジュール150は、作成した制御指示を、移動体10に送信する(ステップS36)。
【0091】
情報送受信モジュール20は、制御指示を受信する。散布モジュール32は、制御指示に基づいて、薬剤の種類を選択するとともに、この薬剤の量を制御し、制御された散布口の角度によって、薬剤を散布する(ステップS37)。
【0092】
散布モジュール32は、全ての位置情報に対して、薬剤の散布が終了したか否かを判断する(ステップS38)。ステップS38において、移動体10は、例えば、薬剤の散布が終了した位置情報を、情報端末100に通知し、全ての位置情報への薬剤の散布が終了した時、情報端末100からその旨を示す通知を受信する。ステップS38において、散布モジュール32は、終了していないと判断した場合(ステップS38 NO)、上述したステップS32の処理を実行する。
【0093】
一方、ステップS38において、散布モジュール32は、薬剤の散布が終了したと判断した場合(ステップS38 YES)、本処理を終了する。
【0095】
上述した散布処理において、例えば、害虫の数が多い場合、情報端末100は、移動体10が散布する薬剤の量を多めに散布するよう制御する。また、情報端末100は、薬剤の種類に応じて、移動体10が散布する薬剤の量を変更し散布するよう制御する。
【0096】
なお、散布口の角度の制御は、上述した構成に限らず、取得した撮像画像に基づいて決定する構成であってもよい。
【0097】
[変形例]
次に、散布処理の変形例について説明する。
図7に基づいて、移動体制御システム1が実行する散布処理の変形例について説明する。
図7は、移動体10及び情報端末100が実行する散布処理の変形例のフローチャートを示す図である。上述した各装置のモジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。後述する各処理は、情報端末100上で起動する移動体制御アプリケーションが、各モジュールに実行させる。なお、上述した散布処理と同様の構成については、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0098】
情報記憶モジュール160は、害虫の種類及び作物の生育状況が紐付けられた位置情報を取得する(ステップS40)。ステップS40において、情報記憶モジュール160は、撮像処理において入力を受け付けた撮像画像の撮像順番に基づいて、害虫の種類及び作物の生育状況が紐付けられた位置情報を取得する。なお、ステップS40において、害虫の種類及び作物の生育状況が紐付けられた全ての位置情報を取得してもよいし、一の害虫の種類及び作物の生育状況が紐付けられた一の位置情報を取得する構成であってもよい。
【0099】
情報送受信モジュール150は、取得した位置情報を、移動体10に送信する(ステップS41)。
【0100】
情報送受信モジュール20は、位置情報を受信する。飛行モジュール30は、受信した位置情報に基づいて、対象とする位置情報の場所に飛行する(ステップS42)。
【0101】
検知モジュール31は、飛行高度、飛行速度及び移動体10の傾き等の飛行パラメータや、外部環境からの風の影響及びプロペラからの風の影響等の風向き情報等の飛行情報を検知する(ステップS43)。
【0102】
情報送受信モジュール20は、検知した飛行情報を送信する(ステップS44)。
【0103】
情報送受信モジュール150は、飛行情報を受信する。散布制御モジュール174は、情報記憶モジュール160が記憶するこの位置情報に紐付いた害虫の種類及び数に対応する薬剤の種類及び量と、作物の生育状況に対応する薬剤の種類及び量と、飛行情報とに基づいて、薬剤の種類、量及び散布角度を制御する制御指示を作成する(ステップS45)。ステップS45において、散布制御モジュール174は、駆除対象とする害虫が付着する作物の出荷時期が間近である場合や、枯れ具合や、生育段階によって、薬剤の種類及び量を制御し、飛行高度や飛行速度によって、薬剤の散布口の角度を制御する制御指示を作成する。また、散布制御モジュール174は、作物の生育状況によって、薬剤の種類及び量を制御し、風向きによって、薬剤の散布口の角度を制御する制御指示を作成する。また、散布制御モジュール174は、作物の生育状況によって、薬剤の種類及び量を制御し、害虫が付着している高度によって、薬剤の散布口の角度を制御する制御指示を作成する。
【0104】
情報送受信モジュール150は、作成した制御指示を、移動体10に送信する(ステップS46)。
【0105】
情報送受信モジュール20は、制御指示を受信する。散布モジュール32は、制御指示に基づいて、薬剤の種類を選択するとともに、この薬剤の量を制御し、薬剤を散布する(ステップS47)。
【0106】
散布モジュール32は、全ての位置情報に対して、薬剤の散布が終了したか否かを判断する(ステップS48)。ステップS48において、移動体10は、例えば、薬剤の散布が終了した位置情報を、情報端末100に通知し、全ての位置情報への薬剤の散布が終了した時、情報端末100からその旨を示す通知を受信する。ステップS48において、散布モジュール32は、終了していないと判断した場合(ステップS48 NO)、上述したステップS42の処理を実行する。
【0107】
一方、ステップS48において、散布モジュール32は、薬剤の散布が終了したと判断した場合(ステップS48 YES)、本処理を終了する。
【0109】
なお、変形例において、散布口の角度の制御は、上述した構成に限らず、取得した撮像画像に基づいて決定する構成であってもよい。
【0110】
上述した撮像処理、画像解析処理、散布処理において、複数回の飛行を実行しているが、必ずしも複数回実行する必要はなく、一回の飛行で実行してもよい。例えば、ある区画を撮像し、この撮像した区画の撮像画像を画像解析し、必要がある場合散布処理を実行する構成であってもよい。
【0111】
また、上述した散布処理において、薬剤の特性(重量、粘性、比重)等をさらに考慮して、散布口の角度を制御する構成であってもよい。また、薬剤の散布方法は、例えば、スプレー状に散布する構成やその他の構成であってよく、適宜変更可能である。また、情報端末100は、作物の種類や生育状況に応じて、移動体10が散布する薬剤の量を変更し散布するよう制御する。情報端末100は、作物の出荷日が遠い場合、薬剤の量を多めに変更し、作物の出荷微が近い場合、薬剤の量を少なめに変更し、移動体10が散布する薬剤の量を変更し散布するよう制御する。
【0112】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。