(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下りデータ生成部は、光を受光して光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像素子、加速度、温度、圧力、湿度、磁気、イオン濃度および放射線量のいずれか1つ以上の物理量を検出する物理センサを少なくとも1つ以上を有することを特徴とする請求項1に記載の信号処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)として、ソース機器およびシンク機器を伝送路によって接続される信号処理システムを備えた内視鏡システムについて説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。さらにまた、図面は、模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれている。
【0016】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの全体構成を模式的に示す概略図である。
図1に示した内視鏡システム1は、ソース機器として機能する内視鏡2と、伝送路として機能する伝送ケーブル3と、シンク機器として機能するコネクタ部5と、プロセッサ6(制御装置)と、表示装置7と、光源装置8と、を備える。
【0017】
内視鏡2は、伝送ケーブル3の一部である挿入部100を被検体の体腔内に挿入することによって被検体の体内を撮像して生成した画像データをプロセッサ6へ出力する。また、内視鏡2は、伝送ケーブル3の一端側であり、被検体の体腔内に挿入される挿入部100の先端部101側に、下りデータである画像データを生成する撮像部20が設けられ、挿入部100の基端102側に、内視鏡2に対する各種操作を受け付ける操作部4が接続される。撮像部20が生成した画像データは、少なくとも10cm以上の長さを有する伝送ケーブル3を介してコネクタ部5に出力される。
【0018】
コネクタ部5は、プロセッサ6および光源装置8に着脱自在に接続され、撮像部20が出力する画像データに所定の信号処理を施してプロセッサ6へ出力する。
【0019】
プロセッサ6は、コネクタ部5から入力された撮像信号に所定の画像処理を施すとともに、内視鏡システム1全体を統括的に接続する。
【0020】
表示装置7は、プロセッサ6が画像処理を施した画像信号に対応する画像を表示する。また、表示装置7は、内視鏡システム1に関する各種情報を表示する。
【0021】
光源装置8は、プロセッサ6の制御による制御のもと、例えばハロゲンランプや白色LED(Light Emitting Diode)等を用いて構成され、コネクタ部5、伝送ケーブル3を経由して内視鏡2の挿入部100の先端部101側から被検体へ向けて照明光を照射する。
【0022】
〔内視鏡システムの要部の機能構成〕
次に、上述した内視鏡システム1の要部の機能構成について説明する。
図2は、内視鏡システム1の要部の機能構成を示すブロック図である。
図3は、
図2に示す各ノードP1〜P6の信号波形を示す図である。
図3において、
図3の(a)の曲線LP1がノードP1の信号波形を示し、
図3の(a)の曲線LP2がノードP2の信号波形を示し、
図3の(a)の直線LP3がノードP3の信号波形を示し、
図3の(b)の曲線LP4がノードP4の信号波形を示し、
図3の(c)の曲線LP5がノードP5の信号波形を示し、
図3の(d)の折れ線PL6がノードP6の信号波形を示す。また、
図3において、横軸が時間(t)を示し、縦軸が電圧(v)を示す。
【0023】
〔内視鏡の構成〕
まず、内視鏡2について説明する。
図2に示すように、内視鏡2は、撮像部20と、伝送ケーブル3と、コネクタ部5と、を備える。
【0024】
図2に示すように、撮像部20は、少なくとも第1チップ21を備える。第1チップ21は、後述する複数の機能素子の各々が配置される水平面方向の大きさが1cm×1cmよりも小さい単層または積層された半導体基板である。また、撮像部20は、伝送ケーブル3を介してプロセッサ6内の電源部66で生成された電源電圧VDDおよびグランドGNDの電気信号を受け取る。
【0025】
第1チップ21は、同相信号検出部22と、タイミング生成部23と、下りデータ生成部24と、下り基準クロック信号生成部25と、下り信号処理部26と、差動信号送信部27と、を有する。
【0026】
同相信号検出部22は、伝送ケーブル3を介してコネクタ部5から同相モード(同相モード信号)で伝送された第1のクロックエッジの繰り返しが第1の周波数である上り信号から同相信号である基準クロック信号を検出する。同相信号検出部22は、抵抗器R1,R2と、バッファ回路221(ソースフォロワ回路:SF回路)と、ハイパスフィルタ回路222と、比較器223と、バッファ回路224と、を有する。抵抗器R1と、抵抗器R2とは、同じ抵抗値を有する。バッファ回路221は、抵抗器R1,R2の中間電圧の信号VOUTCOM(
図3の曲線LP1)をバッファして出力する回路であり、信号VOUTCOMが、後段のハイパスフィルタ回路222の入力容量の影響により歪むことを防止する。ハイパスフィルタ回路222は、コンデンサC10および抵抗器R10からなるRC回路を用いて構成され、バッファ回路221で増幅された信号に対して遮断周波数より低い周波数の成分を減衰させた信号VOUTCOM_HP(
図3の曲線LP2)を出力する。比較器223は、第1端子にハイパスフィルタ回路222から入力された信号VOUTCOM_HPの電圧と基準電圧VREFの電圧(
図3の直線LP3)との大小を比較してプレ基準クロック信号PRE_BASE_CLK(
図3の曲線LP4)を生成して出力する。バッファ回路224は、比較器223から入力された基準クロック信号BASE_CLKを増幅してタイミング生成部23および下り基準クロック信号生成部25の各々へ基準クロック信号BASE_CLK出力する(
図3の曲線LP5)。
【0027】
タイミング生成部23は、伝送ケーブル3を介してコネクタ部5から入力された同期信号および同相信号検出部22から入力された基準クロック信号BASE_CLKに基づき下りデータ生成部24を駆動するためのタイミング信号を生成して下りデータ生成部24へ出力する。タイミング生成部23は、タイミングジェネレータ等を用いて構成される。
【0028】
下りデータ生成部24は、タイミング生成部23から入力されるタイミング信号に基づいて、伝送ケーブル3およびコネクタ部5を介してプロセッサ6へ伝送するための下りデータを生成し、この下りデータを下り信号処理部26へ出力する。下りデータ生成部24は、入射光を光電変換するとによって画像データを生成するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサの撮像素子、および物理量を検出する物理センサの少なくとも1つ以上を有する。ここで、物理センサとしては、撮像部20の移動を検出する加速度センサやジャイロセンサ等の移動データを生成する検出センサ、撮像部20の温度を検出して温度データを生成するサーミスタ等の温度センサ、圧力を検出して圧力データを生成する圧力センサ、湿度を検出して湿度データを生成する湿度センサ、磁気を検出して磁気データを生成する磁気センサおよび水素イオンのイオン濃度を検出して水素イオン指数データを検出するpHセンサ、および放射線量を検出して放射線データを生成する放射線センサのいずれか1つ以上の物理センサや化学センサ等が用いられる。本実施形態において、撮像素子は、入射光に応じた電気信号を出力するフォトダイオードが半導体基板面内の水平、垂直方向に2次元的に配置された回路ブロックであるCMOSイメージセンサとして説明するが、別の実施形態における撮像素子は、フォトダイオードが半導体基板面内の水平方向のみに配置されたラインセンサであっても構わない。なお、下りデータ生成部24には、必要に応じて、物理センサや化学センサが出力するアナログ信号に対して所定の信号処理、例えば増幅処置やフィルタリング等を含むアナログの信号処理回路が搭載されている。本実施例の場合、下りデータ生成部24は、下りデータ生成部24内に実装されたA/D変換処理回路によりデジタル信号に変換された下りデータを出力する。即ち、下りデータ生成部24は、下りデータとして画像データを表すデジタルデータを生成して下り信号処理部26へ出力する。なお、本実施の形態では、撮像素子のピクセルレートが10Mpixel/secであり、A/D変換処理回路が10ビット幅のデータを出力するものとして以降の説明を行う。
【0029】
下り基準クロック信号生成部25は、同相信号検出部22から入力された同相信号の基準クロック信号BASE_CLKの第1のクロックエッジを基準とした、第2の周波数のクロック信号であって、差動信号送信部27が下り信号を送信する際の下り基準信号となる下り基準クロック信号を生成して下り信号処理部26へ出力する(
図3の折れ線LP6)。下り基準クロック信号生成部25は、PLL(Phase Locked Loop)回路等を用いて構成され、同相信号検出部22から入力された、第1のクロックエッジが第1の周波数である基準クロック信号BASE_CLKの周波数を第2の周波数に逓倍して下り信号処理部26へ出力する。具体的には、下り基準クロック信号生成部25は、同相信号検出部22から入力された基準クロック信号(例えば10MHzのクロック信号:以降10MCLK)を1倍以上、具体的には10倍(例えば100MHzのクロック信号:以降100MCLK)にして下り信号処理部26へ出力する。
【0030】
下り信号処理部26は、下りデータ生成部24から入力された画像データをパラレル−シリアル変換し、下り基準クロック信号生成部25が生成した下り基準クロック信号に同期したタイミングで差動信号送信部27へ出力する。本実施の形態における画像データは、10Mpixel/sec、10ビット幅データであるため、100MCLKに同期させた画像データをシリアルデータとして差動信号送信部27に出力している。下り信号処理部26は、パラレル−シリアル変換以外にも、必要に応じて、エラー訂正用の冗長ビット情報を付加したりしても良いし、マンチェスター符号化や、ターボ符号化といった、符号化処理を行っても良い。
【0031】
差動信号送信部27は、伝送ケーブル3における2本の伝送線34,35を介して下り信号処理部26から入力された下りデータを差動モードでコネクタ部5へ伝送する。差動信号送信部27は、少なくとも差動信号送信アンプ部271(LVDS:LOW Voltage Differential Signaling)を有する。
【0032】
〔伝送ケーブルの構成〕
次に、伝送ケーブル3の構成について説明する。
伝送ケーブル3は、例えば同軸ケーブル等を用いて構成され、電源電圧VDDを伝送する伝送線31(電源線)と、グランド線32と、同期信号を伝送する伝送線33と、差動信号を伝送する1対の伝送線34,35と、を有する。伝送ケーブル3は、例えば長さ10cm以上であり、撮像部20とコネクタ部5とを接続する。
【0033】
〔コネクタ部の構成〕
次に、コネクタ部5の構成について説明する。
コネクタ部5は、コンデンサC2,C3と、抵抗器R3,R4と、同期信号生成部52と、上り信号生成部53と、同相信号送信部54と、差動信号受信部55と、受信信号処理部56と、を有する。
【0034】
コンデンサC2,C3は、各々が伝送線34,35に設けられ、伝送線34,35に含まれる直流成分を除去する。
【0035】
伝送線34,35の特性インピーダンスを整合させるため、抵抗器R3,R4が、各々の伝送線34,35の終端側に設けられている。抵抗器R3と、R4とは、同じ抵抗値を有する。
【0036】
同期信号生成部52は、プロセッサ6の制御部64およびクロック生成部65から供給され、内視鏡2の各構成部の動作の基準となる基準クロック信号および制御コマンドに基づいて、各フレームのスタート位置を表す同期信号を生成し、伝送ケーブル3を介して同期信号をタイミング生成部23へ出力する。ここで、同期信号生成部52が生成する同期信号には、水平同期信号と垂直同期信号とが含まれる。
【0037】
上り信号生成部53は、プロセッサ6の制御部64およびクロック生成部65から供給されたクロック信号に基づいて、第1のクロックエッジの繰り返しが第1の周波数である基準クロック信号を生成して同相信号送信部54へ出力する。
【0038】
同相信号送信部54は、上り信号生成部53から入力された第1のクロックエッジの繰り返しが第1の周波数(例えば10MCLK)である基準クロック信号を含む上り信号を同相モードで伝送ケーブル3へ出力することによって撮像部20へ基準クロック信号を伝送する。
【0039】
差動信号受信部55は、伝送ケーブル3を介して差動モードで伝送された同相信号を含む差動信号を受信して、差動信号に含まれるデジタル情報のみを抽出する。差動信号受信部55は、伝送ケーブル3を介して伝送された同相信号を含む差動信号の中から、差動信号の成分のみを抽出する差動アンプ551と、差動アンプ551から出力された差動信号を整形し、デジタル信号に変換して出力する差動シングルエンド変換器552と、を有する。
【0040】
受信信号処理部56は、差動信号受信部55から入力された信号に対して所定の処理を行ってプロセッサ6の画像処理部61へ出力する。
【0041】
〔プロセッサの構成〕
次に、プロセッサ6の構成について説明する。
プロセッサ6は、内視鏡システム1の全体を統括的に制御する制御装置である。プロセッサ6は、画像処理部61と、記録部62と、入力部63と、制御部64と、クロック生成部65と、電源部66と、を備える。
【0042】
画像処理部61は、制御部64の制御のもと、受信信号処理部56で信号処理が施されたデジタルの撮像信号に対して、同時化処理、ホワイトバランス(WB)調整処理、ゲイン調整処理、γ補正処理、デジタルアナログ(D/A)変換処理、フォーマット変換処理等の画像処理を行って画像信号に変換し、この画像信号を表示装置7へ出力する。
【0043】
記録部62は、内視鏡システム1が実行する各種プログラム、処理中のデータおよび画像データ等を記録する。記録部62は、揮発性メモリや不揮発性メモリを用いて構成される。
【0044】
入力部63は、内視鏡システム1に関する各種操作の入力を受け付ける。例えば、入力部63は、光源装置8が出射する照明光の種別を切り替える指示信号や終了を指示する指示信号の入力を受け付ける。入力部63は、例えば十字スイッチ、プッシュボタン、タッチパネル等を用いて構成される。
【0045】
制御部64は、内視鏡システム1を構成する各部を統括的に制御する。制御部64は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。制御部64は、入力部63から入力された指示信号に応じて、光源装置8が出射する照明光を切り替える。
【0046】
クロック生成部65は、内視鏡システム1の各構成部の動作の基準となる基準クロック信号を生成し、この基準クロック信号を同期信号生成部52および上り信号生成部53へ出力する。
【0047】
電源部66は、電源電圧VDDを生成し、この生成した電源電圧VDDをグランドGNDとともに、撮像部20へ供給する。
【0048】
〔表示装置の構成〕
次に、表示装置7の構成について説明する。
表示装置7は、画像処理部61から入力される画像信号に基づいて、撮像部20が撮像した画像を表示する。表示装置7は、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示パネル等を用いて構成される。
【0049】
〔各伝送路上における信号波形〕
次に、
図2における各伝送路上における信号波形について説明する。
図4は、
図2における各伝送路上における信号波形を模式的に示す図である。
図4において、
図4の(a)が差動信号送信部27によって送信される差動信号の信号波形を示し、
図4の(b)が同相信号送信部54によって送信される基準クロック信号の信号波形を示し、
図4の(c)が、
図2中の伝送線34,35上で実際に伝送される信号波形を示し、
図4の(d)が差動信号送信部27によって送信される差動信号の差信号波形を示す。また、
図4の(a)〜(d)において、横軸が時間(t)を示し、縦軸が電圧(v)を示す。さらに、
図4の(a)の曲線L2,L3が
図2中の伝送線34,35で送信される差動信号の波形を示し、
図4の(b)に記載された折れ線L1が同相信号送信部54によって送信される基準クロック信号の信号波形を示し、
図4の(c)曲線L2’,L3’が
図2中の伝送線34,35上で実際に伝送される差動信号を示す。曲線L2’,L3’は、折れ線L1に、曲線L2および曲線L3を重ねあわせた波形をしている。
図4の(d)の曲線L4は、曲線L2’とL3’の差により表される差動信号の差信号波形であり、この差信号波形が曲線L2と曲線L3の差により表される差動信号の差信号波形と同じである。曲線L2,L3L2’,L3’および曲線L4に示すように、差動信号送信部27によって送信される差動信号の差信号波形の振幅D2は、
図2中の伝送線34,35上に現れる信号である曲線L2’とL3’の振幅D1の2倍の振幅となる。
【0050】
図4の(c)に示すように、同相信号送信部54は、抵抗器R1,R2の中間電圧の信号VOUTCOMを同相モードで伝送線34,35に伝送する。これにより、差動信号送信部27により一対の伝送線34,35に出力された差動モードの信号に重ね合わせて、同相モードの信号である基準クロック信号同時に伝送することができる。
【0051】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、従来必要だった、一対の伝送線34,35基準信号、およびクロック信号の3本の線を、2本に集約することができるので、伝送ケーブル3の細径化を行うことができる。
【0052】
また、本発明の実施の形態1によれば、同相信号送信部54が第1のクロックエッジの繰り返しが第1の周波数である上り信号を同相モードで伝送線34,35に出力すると同時に、差動信号送信部27が撮像信号を差動モードで伝送線34,35に出力するので、全二重通信を実現することができる。全二重通信により、下り基準クロック信号生成部25が生成する第2の周波数の下り基準クロック信号は、常時供給され続ける上り信号の第1のクロックエッジの繰り返しの周期に基づいて生成されるため、高い周波数精度の下り基準クロック信号を生成することができる。
【0053】
また、本発明の実施の形態1によれば、同相信号検出部22が同相モードで送信された第1のクロックエッジの繰返しが第1の周波数である上り信号を検出し、下り基準クロック信号生成部25が第1の周波数よりも高い周波数である第2の周波数の下り基準クロック信号を生成し、差動信号送信部27が第2の周波数の映像信号(画像データ)を差動モードで伝送ケーブル3に送信する。一般に、ケーブルの直径を一定にした場合、同相モード(シングルエンド)伝送よりも、差動モード伝送の方が、高速な信号伝送が可能である。この結果、本発明の実施の形態1によれば、相対的に低速な、第1の周波数で遷移する上り信号を同相モードに割り当て、かつ、相対的に高速な、第2の周波数で遷移する下り信号(映像信号)を差動モードに割り当てることにより、より細径の伝送ケーブル3であっても信号の伝送を行うことができる。
【0054】
また、本発明の実施の形態1によれば、ケーブル線の集約により、第1チップ21と伝送ケーブル3とを接続するために必要だった、ボンディング用パッドの数を1個分減らすことができる。同相信号検出部22は、バッファ回路221、ハイパスフィルタ回路222、比較器223およびバッファ回路224という簡素な構成により実現されているため、これらの回路ブロックを実現するために必要なチップ面積を一般的なボンディング用パッドに必要とされる面積よりも小さくすることができる。この結果、第1チップ21の面積を削減することができる。
【0055】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2に係る内視鏡システムは、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と構成が異なる。具体的には、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1は、同期信号を単独で第1チップ21に伝送していたが、本実施の形態2に係る内視鏡システムは、同相モードで基準クロック信号および同期信号を重畳して伝送する。以下においては、本実施の形態2に係る内視鏡システムの構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
〔内視鏡システムの要部の機能構成〕
図5は、本発明の実施の形態2に係る内視鏡システムの要部の機能構成を示すブロック図である。
図5に示す内視鏡システム1Aは、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1の内視鏡2に換えて、内視鏡2Aを備える。
【0057】
〔内視鏡の構成〕
図5に示す内視鏡2Aは、上述した実施の形態1に係る伝送ケーブル3およびコネクタ部5に換えて、伝送ケーブル3Aおよびコネクタ部5Aを備える。
【0058】
〔伝送ケーブルの構成〕
まず、伝送ケーブル3Aの構成について説明する。
伝送ケーブル3Aは、例えば同軸ケーブル等を用いて構成され、電源電圧VDDを伝送する伝送線31と、グランド線32と、差動信号を伝送する2本の伝送線34,35と、を有する。
【0059】
〔コネクタ部の構成〕
次に、コネクタ部5Aの構成について説明する。
図5に示すコネクタ部5Aは、上述した実施の形態1に係るコネクタ部5の同期信号生成部52、同相信号送信部54に換えて、同期信号生成部52Aおよび同相信号送信部54Aを備える。
【0060】
同期信号生成部52Aは、プロセッサ6の制御部64およびクロック生成部65から供給され、内視鏡2Aの各構成部の動作の基準となる基準クロック信号および制御コマンドに基づいて、各フレームのスタート位置を表す同期信号を生成し、この同期信号を同相信号送信部54Aへ出力する。
【0061】
同相信号送信部54Aは、上り信号生成部53から入力された基準クロック信号および同期信号生成部52Aから入力された同期信号を含む上り信号を同相モードで伝送ケーブル3Aへ出力することによって撮像部20へ基準クロック信号および同期信号を伝送する。具体的には、同相信号送信部54Aは、少なくとも上り信号のパルス幅を変調したパルス幅変調信号または、上り信号の振幅を変調した振幅変調信号の一方を伝送ケーブル3Aへ出力する。例えば、同相信号送信部54Aは、基準クロック信号に同期信号を重畳することによって、パルス幅を変調したパルス幅変調信号を生成して伝送ケーブル3Aへ出力する。
【0062】
〔同相信号検出部が検出する信号波形〕
次に、
図5における同相信号検出部22が検出する信号波形について説明する。
図6は、同相信号検出部22が検出する信号波形を模式的に示す図である。
図6において、
図6の(a)の曲線LP1’が同相信号検出部22に入力された、パルス幅変調済みの基準クロック信号(
図3のLP1に該当する信号)を示し、
図6の(b)の折れ線LP5’が同相信号検出部22により抽出、整形された下り基準クロック信号(
図3のLP5に該当する信号を示し、
図6の(c)の折れ線LP6が下り基準クロック信号生成部25により生成された下り基準クロック信号を示す(第1のクロックエッジの位置は、上述した
図3と同じため、
図3のLP6と
図6のLP6は同じ信号になっている)。また、
図6の(a),(b),(c),(d),(e)において、横軸が時間(t)を示し、縦軸が電圧(V)を示す。また、
図6において、各波形が出現、抽出される原理は、上述した
図3で説明した通りであり、詳細は省略する。
【0063】
図6に示すように、下り基準クロック信号生成部25は、下り信号処理部26およびタイミング生成部23の各々に下り基準クロック信号を出力する。タイミング生成部23は、同相信号検出部22から入力された基準クロック信号である折れ線LP5’と、下り基準クロック信号生成部25から入力された下り基準クロック信号である折れ線LP6とに基づき、上り信号であるパルス幅変調信号から同期信号を検出する。例えば、
図6の(b)の折れ線LP5’の下部に示すように、タイミング生成部23は、折れ線LP5’に示す基準クロック信号の各々の第1のクロックエッジ(ここでは立ち上がりエッジ)を基点として、
図6の(c)の折れ線LP6に示す下り基準クロック信号の6番目のクロックの立ち上がりエッジのタイミング(
図6における時刻t1〜t6)における基準クロック信号である折れ線LP5’が「1(High)」か「0(Lo)」であるかによって、同期信号の検出を行う。
図6の例では、「1」、「1」、「1」、「0」、「0」および「1」を同期信号として検出し、この検出結果に基づいたタイミング制御信号を下りデータ生成部24へ出力する。これにより、同期信号を伝送するための伝送線を省略することができるので、伝送ケーブル3Aを細径化できる。
【0064】
図6に示す場合、撮像部20へ伝送される基準クロック信号および同期信号の内、パルス幅変調信号が同期信号に該当し、パルス幅変調信号のデータ列が「1」、「1」、「1」、「0」、「0」、「1」のデータパターンである場合、水平ラインの読み出しを開始する水平同期信号に対応する。このため、タイミング生成部23は、パルス幅変調信号のデータ列が「1」、「1」、「1」、「0」、「0」、「1」のデータパターンである場合、水平ラインの読み出しを開始する水平同期信号と判断し、水平方向(ライン方向)への読み出しを開始する。また、パルス幅変調信号のデータ列が「1」、「0」、「1」、「0」、「1」、「1」のデータパターンである場合、映像フレームの読み出しを開始する垂直同期信号に対応する。このため、タイミング生成部23は、パルス幅変調信号のデータ列が「1」、「0」、「1」、「0」、「1」、「1」のデータパターンである場合、映像フレームの読み出しを開始する垂直同期信号と判断し、垂直方向(映像1フレーム分の読み出し)を開始する。さらに、同相信号送信部54Aは、同期信号生成部52Aが同期信号を出力しない期間中において、パルス幅変調信号のデータ列が「0」となるような信号を出力し続ける。
【0065】
なお、同期信号は、タイミング生成部23が水平ラインまたは映像フレームの開始を判別出来さえすれば、任意のデータ列であってよい。例えば、水平ラインの開始を意味する同期信号は、「0」、「1」、「0」、「1」としても良いし、映像フレームの読み出し開始を意味する同期信号は、「0」、「0」、「1」、「1」としても良い。さらに、同相信号送信部54Aは、同期信号生成部52Aが同期信号を出力しない期間中において、パルス幅変調信号のデータ列が「1」となるように出力し続けても良い。
【0066】
なお、曲線LP1’の波形は、第1のクロックエッジである立ち上がりエッジが、繰り返し周波数が第1の周波数f1で一定であり、立ち下がりのクロックエッジの位置が、折れ線LP6に示す下り基準クロックの6番目のクロックの立ち上がりエッジ位置に対して早く出現するか、遅く出現するかによってパルスの幅の長短を判別するパルス幅変調信号である。このため、
図6の(d)の折れ線LP5’’に示すように、第1のクロックエッジは、立ち下がりエッジであり、繰り返し周波数が第1の周波数f1で一定であり、立ち上がりのクロックエッジの位置が、
図6における時刻t1〜t6のクロックの立ち上がりエッジ位置に対して早く出現するか、遅く出現するかによってパルスの幅の長短を判別するパルス幅変調信号であっても良い。
【0067】
さらに、
図6の(e)の折れ線LP5’’’に示すように、第1のクロックエッジは、立ち上がりエッジであり、繰り返し周波数が第1の周波数f1で一定であり、立ち上がりのクロックエッジの電圧が閾値TL以上であるか、閾値TL未満であるかによってパルスの電圧の大きさを判別するパルス幅変調信号であっても良い。
【0068】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、同相信号送信部54Aが少なくとも上り信号のパルス幅を変調したパルス幅変調信号若しくは、上り信号の振幅を変調した振幅変調信号の一方を伝送ケーブル3Aへ出力することによって、同期信号を基準クロック信号に重畳することによって、伝送ケーブル3Aにおける伝送線の数を4本にすることができるので、伝送ケーブル3Aの細径化を行うことができる。
【0069】
なお、本発明の実施の形態2では、同相信号送信部54Aが上り信号のパルス幅を変調したパルス幅変調信号を伝送ケーブル3Aに出力していたが、これに限定されることなく、上り信号の振幅を変調した振幅変調信号を伝送ケーブル3Aへ出力してもよいし、上り信号のパルス幅および振幅の各々を変調して伝送ケーブル3Aへ出力してもよい。
【0070】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態2に係る内視鏡システムは、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と構成が異なる。具体的には、本実施の形態3に係る内視鏡システムは、同相信号検出部の構成が異なる。以下においては、本実施の形態3に係る内視鏡システムの構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
〔内視鏡システムの要部の機能構成〕
図7は、本発明の実施の形態3に係る内視鏡システムの要部の機能構成を示すブロック図である。
図7に示す内視鏡システム1Bは、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1の内視鏡2に換えて、内視鏡2Bを備える。
【0072】
〔内視鏡の構成〕
図7に示す内視鏡2Aは、上述した実施の形態1に係る同相信号検出部22に換えて、同相信号検出部22Bを備える。同相信号検出部22Bは、伝送ケーブル3を介してコネクタ部5から同相モード(同相モード信号)で伝送された第1のクロックエッジの繰り返しが第1の周波数である上り信号から同相信号である基準クロック信号を検出する。同相信号検出部22Bは、上述した実施の形態1に係るハイパスフィルタ回路222に換えて、ローパスフィルタ回路222Bを備える。ローパスフィルタ回路222Bは、コンデンサC10Bおよび抵抗器R10BからなるRC回路を用いて構成され、バッファ回路221でバッファされた信号に対して遮断周波数より高い周波数の成分を減衰させた信号VOUTCOM_LPを出力する。
【0073】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に、従来技術において必要だった伝送ケーブル3の信号線の数を1本減らすことができるので、伝送ケーブル3の細径化を行うことができる。
【0074】
(その他の実施の形態)
上述した本発明の実施の形態1,2,3に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した本発明の実施の形態1,2に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、上述した本発明の実施の形態1,2,3で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0075】
また、本発明の実施の形態1,2,3では、制御装置と光源装置とが別体であったが、一体的に形成してもよい。
【0076】
また、本発明の実施の形態1,2,3では、上述してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0077】
また、本発明の実施の形態1,2,3に記載された同相信号送信部は、説明を簡略にするために単純な矩形波を送信するものとして説明したが、伝送ケーブルにおける高周波成分の減衰を補うために、矩形波における(立ち上がり、立ち下がりの)高周波成分のみを予め増強した、プリエンファシス処理が行われた矩形波であっても良く。同相信号送信部54、54Aには、図示しないプリエンファシス機構が具備されていてもよい。
【0078】
また、本発明の実施の形態1,2では、内視鏡システムであったが、例えばカプセル型の内視鏡、被検体を撮像するビデオマイクロスコープ、撮像機能を有する携帯電話および撮像機能を有するタブレット型端末であっても適用することができる。
【0079】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
さらなる伝送ケーブルの細径化を行うことができる信号処理システムおよび内視鏡を提供する。信号処理システムは、上り信号を同相モードで伝送ケーブル3に出力する同相信号送信部54と、上り信号から同相信号を検出する同相信号検出部22と、同相信号のクロックエッジを基準として第2の周波数の下り基準クロック信号を生成する下り基準クロック信号生成部25と、下りデータを生成する下りデータ生成部24と、下り基準クロック信号に基づいて、下りデータを下り信号として差動モードで伝送ケーブル3に出力する差動信号送信部27と、下り信号から差動信号を抽出する差動信号受信部55と、を備える。