(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記対のマッサージ部により前記部位を両側から保持した状態で、前記マッサージユニットにより臀部又は大腿部にマッサージを行わせるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
前記制御部は、前記対のマッサージ部の左右いずれか一方を動作させた状態で、前記マッサージユニットにより臀部又は大腿部にマッサージを行わせるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
前記制御部は、前記対のマッサージ部を交互に動作させる動作と、前記マッサージユニットを使用者に対して進退させる動作と、を組み合わせたマッサージを行わせるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[全体構成]
以下、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の斜視図である。
図2は、
図1とは別の角度から見たマッサージ機1の斜視図である。
図3は、起立状態にあるマッサージ機1の側面図である。
図4は、リクライニング状態にあるマッサージ機1の側面図である。
図5は、起立状態にある第1身体支持部20を前方から見た模式図である。
図6は、左側のガイド部材22の斜視図であり、(a)は右前方から見た図、(b)は左後方から見た図である。
図7は、ベース7、ロッキング機構部8、及びフットリンク部材50を示す斜視図である。
図8は、ロッキング駆動部31のモータ32の説明図である。
図9は、マッサージ機1の機能ブロック図である。
【0015】
図1に示すとおり、本発明のマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部3と、座部3の後部に一体的に設けられた使用者が凭れる背凭れ部4と、座部3の前部に上下回動可能に設けられた使用者の脚部を支持するフットレスト5と、により構成される椅子本体2と、この椅子本体2を前後に揺動可能に支持するとともに床面に設置されるベース7と、椅子本体2をベース7に対して前後に揺り動かすロッキング機構部8と、椅子本体2に設けられた使用者の被施療部をマッサージするマッサージ部9〜12と、を有している。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、
図3に示す起立状態にあるマッサージ機1に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭部側が「上」であり、腰部側が「下」であり、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0016】
[座部及び背凭れ部の構成]
図1に示すとおり、座部3及び背凭れ部4は一体的に形成されており、第1身体支持部20を構成している。第1身体支持部20は、座部3から背凭れ部4にかけて連続して前方に開口する開口部21aを有する樹脂製の第1身体支持部本体21と、第1身体支持部本体21の前方に配設され伸縮性を有するパッド部17(
図21〜
図23参照)と、を有している。第1身体支持部20には、後述するマッサージユニット9を身長方向に移動可能に支持するガイド部材22を取り付けるべく、使用者側に取付面を有する取付部21cが設けられている。取付部21c及びガイド部材22は、左右で対をなしているとともに、座部3の前端部から背凭れ部4の上端部まで身長方向に延設されている。
【0017】
第1身体支持部20には、第1身体支持部本体21の開口部21a内において、第1支持部本体21に設けられたガイド部材22を介して昇降用モータM1(
図9参照)の駆動により昇降可能に設けられ、使用者の背部から一点鎖線で示すとおり大腿部にかけてパッド部17(
図21〜
図23参照)を介して連続的にマッサージするマッサージ部としての機械式のマッサージユニット9が設けられている。このマッサージユニット9は、左右で対をなすマッサージ手段62を有しており、マッサージ用モータM2(
図9参照)の駆動により対のマッサージ手段62を左右方向に近接離反させる揉み動作を行うことができるとともに、対のマッサージ手段62を交互に前後方向に進退させる叩き動作を行うことができる。これら、モータM1及びM2の駆動は、座部3の下方に設けられた制御部13(
図9参照)により行われる。
【0018】
座部3は、使用者の臀部乃至大腿部の外側面に対向する左右で対をなす側壁3a,3aを有し、側壁3aの内側面には、臀部乃至大腿部をマッサージするマッサージ部としてのエアセル10が設けられている。背凭れ部4は、使用者の上腕部の外側面に対向する左右で対をなす側壁4a,4aを有し、側壁3aの内側面と側壁4aの内側面とに亘って、腰部をマッサージするマッサージ部としてのエアセル11が設けられている。これらエアセル10,11は、身体の側面を押圧可能とすべく、その押圧面が左右内方を向くように設けられている。また、エアセル10は、左側のエアセル10Lと右側のエアセル10Rに対して独立してエアを給排気可能とされており、エアセル11も同様に、左側のエアセル11Lと右側のエアセル11Rに対して独立してエアを給排気可能とされている。
【0019】
また、
図2に示すとおり、第1身体支持部20(椅子本体2)の底部には、後述するロッキング機構部8の少なくとも一部を収容すべく、下方に向かって開口する収容溝23aを有する収容部23が設けられている。この収容溝23aは、ロッキング機構部8の移動に伴うロッキング機構部8と第1身体支持部20との干渉を防止すべく、座部3から背凭れ部4の下部にかけて連続して開口している。
【0020】
[フットレストの構成]
図1に示すとおり、フットレスト5は、使用者の脚部を載置する底壁5aと、使用者の脚部の外側面に対向する左右で対をなす側壁5b,5bと、を有し、底壁5aの前面及び側壁5bの内側面には、脚部をマッサージするマッサージ部としてのエアセル12が設けられている。前述した各エアセル10〜12は、座部3の下方に配置されるポンプ及びバルブ等からなるエア給排気装置14(
図9参照)からのエアの給排気により膨張収縮するよう構成されており、制御部13によりエア給排気装置14の駆動が制御される。座部3の下面に設けられたこれら制御部13及びエア給排気装置14は、カバー部材15によって外部へ露出しないよう下方から覆われている。そして、フットレスト5は、座部3の前部にヒンジ24を介して上下回動可能に連結されているとともに、詳細は後述するフットリンク部材50を介して座部3(第1身体支持部20)に連結されており、椅子本体2の前後揺動に連動して上下回動するよう構成されている。そして、フットレスト5は、ヒンジ24に枢支されたブラケット25を介して座部3に取り付けられている。
【0021】
[ベースの構成]
図2〜
図4、及び
図7に示すとおり、ベース7は、左右方向に所定距離を存して配置された床面に設置する対の脚フレーム7a,7aと、左右方向を軸方向とする複数の枢軸7b〜7dと、を有している。脚フレーム7aの後部には、床面を転動させるキャスター26が設けられており、マッサージ機1の前部を持ち上げて、マッサージ機1を容易に移動させることができるようになっている。枢軸7b〜7dには、椅子本体2を前後に揺り動かすためのロッキング機構部8を構成する部材が枢支されている。これらの枢軸7b〜7dは、最も前方に位置するビス等よりなる第1枢軸7b、第1枢軸7bよりも後方に位置するビス等よりなる第2枢軸7c、及び第1枢軸7b及び第2枢軸7cの間に位置するパイプ等よりなる第3枢軸7dである。そして、第3枢軸7dは、両脚フレーム7a,7aを連結している。
【0022】
[ガイド部材の構成]
以下、ガイド部材22の構成について説明する。
図1、
図5、及び
図6に示すとおり、このガイド部材22は、使用者の身長方向に沿って座部3の前端部から背凭れ部4の上端部まで延設されており、一面側(使用者側)には後述するマッサージユニット9が有するピニオン65,68に噛合する樹脂製のラック部22aを有し、他面側(使用者側とは反対側)にはマッサージユニット9が有するガイドローラ66,69が転動する金属性のレール部22bを有して、使用者の被施療面と直交する方向を板厚方向とする板材により構成されている。
【0023】
また、
図6に示すとおり、ガイド部材22は、座部3に対応する直線部22c、座部3と背凭れ部4の境界部分に対応する湾曲部22d、背凭れ部4に対応する直線部22eを有している。座部3と背凭れ部4の境界部分において湾曲部22dを有しているため、着座姿勢の使用者の身体形状に沿う形状となっているとともに、マッサージユニット9が座部3と背凭れ部4の間を移動可能となっている。なお、このガイド部材22は、使用者の被施療面と直交する方向を板厚方向とする板材であるため、身体の湾曲に沿った曲げ加工が容易である。更に使用者側にラック部22aを有しているため、使用者の荷重によってピニオン65,68をラック部22aにしっかりと噛合させることができる。
【0024】
図5に示すとおり、ガイド部材22は、第1身体支持部本体21に設けられた取付部21cに取り付けられている。そして、ガイド部材22の左右方向内側部分は、取付部21cよりも左右方向内側に位置している。すなわち、ガイド部材22を構成するラック部22a及びレール部22bは、取付部21cから内側にはみ出している。
【0025】
[マッサージユニットの構成]
以下、マッサージユニット9の構成について説明する。
図10は、移動フレーム61が後退位置にあるときのマッサージユニット9の斜視図である。
図11は、移動フレーム61が突出位置にあるときのマッサージユニット9の斜視図である。
図12は、移動フレーム61が後退位置にあるときのマッサージユニット9の正面図である。
図13は、移動フレーム61が後退位置にあるときのマッサージユニット9の分解平面図である。
図14は、移動フレーム61が後退位置にあるときのマッサージユニット9の側面図である。
図15は、移動フレーム61が突出位置にあるときのマッサージユニット9の側面図である。
図16は、左側のガイドローラ66の拡大図であり、(a)は左前方から見た斜視図、(b)は左から見た側面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
【0026】
マッサージユニット9は、主として、ガイド部材22に昇降可能に支持されたベースフレーム60と、ベースフレーム60に対して使用者側に進退可能に設けられた移動フレーム61と、移動フレーム61に設けられ使用者の身体をマッサージするマッサージ手段62と、移動フレーム61を任意の昇降位置において使用者が意図する進退位置に変位させる進退用エアセル63と、により構成されている。
【0027】
ベースフレーム60は、対の側壁60aと、対の側壁60aの上部を連結する上壁60bと、対の側壁60aの下部を連結する下壁60cと、側壁60a、上壁60b、及び下壁60cそれぞれの後部を連結する後壁60dと、により前方が開放された箱型に構成されている。両側壁60aの下部には、昇降用モータM1に連動連結された左右方向を軸方向とする昇降駆動軸64が軸支され、この昇降駆動軸64の左右両端部にラック部22aと噛合するピニオン65が設けられている。また、ピニオン65の後方において、左右方向を軸方向とし、レール部22bを転動するガイドローラ66が側壁60aに支持されている。すなわち、ピニオン65及びガイドローラ66によりガイド部材22を前後から挟む配置となっている。両側壁60aの上部には、左右方向を軸方向とし、ピニオン65の駆動により従動する昇降従動軸67が軸支され、この昇降従動軸67の外側端部にもピニオン68が設けられている。ピニオン68の後方には同様にガイドローラ69が設けられている。このガイド部材22、ピニオン65,68、及びガイドローラ66,69により、マッサージユニット9を第1身体支持部20に対して移動可能とする移動機構16が構成されている。
【0028】
図5及び
図12に示すとおり、組を構成するピニオン65(68)とガイドローラ66(69)とは、使用者の被施療面と略直交する方向から見て、少なくとも一部がオーバーラップして設けられている。すなわち、組を構成するピニオン65(68)とガイドローラ66(69)により、ガイド部材22を前後から挟持する構成となっている。移動機構16がこのように構成されているため、従来のように、ピニオン65(68)の外側にピニオン65(68)と同軸のガイドローラを設ける必要がなく、前記ガイドローラを走行させるための矩形U字状のガイドレールも不要となる。従って、移動機構16の部品点数を削減することができ、マッサージ機1が軽量化及び低コスト化される。
【0029】
以下、下側のガイドローラ66の構成について説明する。なお、上側のガイドローラ69も下側のガイドローラ66と同一の構成である。
図16に示すとおり、ガイドローラ66は、左右方向を軸方向とする回転軸部66aと、回転軸部66aを中心として回転軸部66aから離間して設けられた輪体部66bと、回転軸部66aと輪体部66bを連結する連結部66cと、を有している。輪体部66bは、回転軸部の軸方向と直交する方向がレール部を転動する転動面660bとされている。連結部66cは、回転軸部66aの外周に複数(本実施形態では6本)設けられた半径方向に延びるスポークにより構成されている。
【0030】
このスポーク66cは、回転軸部66aの軸方向における一方側を左右方向内側、他方側を左右方向外側として説明すると、内側が回転軸部66aに連結され外側が輪体部66bに連結された第1スポーク661cと、内側が輪体部66bに連結され外側が回転軸部66aに連結された第2スポーク662cと、により構成されている。すなわち、スポーク66cは、回転軸部66a側と輪体部66b側とが回転軸部66aの軸方向(左右方向)において位置ずれしており、第1スポーク661cと第2スポーク662cは、回転軸部66aの軸心回りに交互に配置されている。
【0031】
このように、スポーク66cの回転軸部66a側と輪体部66b側とが左右方向において位置ずれしているため、スポーク66cは半径方向に容易に撓むことができ、簡単な構成でガイドローラ66を弾性変形させることができる。また、第1スポーク661cと第2スポーク662cが回転軸部66aの軸心回りに交互に配置されているため、左右方向への変形を抑制して、ガイドローラ66を適切に半径方向へ変形させることができる。
【0032】
また、このガイドローラ66は、輪体部66bの外周部である転動面660bがレール部22bに当接し、輪体部66bの外側面661bが取付部21cの内側面に対向かつ近接して設けられているため、左右方向のがたつきを防止してマッサージユニット9を安定して移動させることができる。
【0033】
移動フレーム61は、対の側壁61aと、対の側壁61aの上部を連結する上壁61bと、側壁61a及び上壁61bそれぞれの後部を連結する後壁61dと、により前方及び下方が開放された形状に構成され、この移動フレーム61には、被施療部をマッサージするマッサージ手段62、及びマッサージ手段62を駆動する駆動機構部70が設けられている。このマッサージ手段62は、側面視で略三角形の支持アーム62aと、支持ア―ム62aの上下両端部(頂点)に支持され被施療部に当接する施療子62bと、を有し、左右で対をなして構成されている。この移動フレーム61には、駆動機構部70及び後述する各種センサ83〜86の被検出部83b〜86bが収められており、その外部(上壁61bの上面)には後述する基板88が取り付けられている。すなわち、マッサージユニット9を駆動・制御するための構成要素が移動フレーム61にまとめて組み付けられているため、マッサージユニット9の簡素化及び低コスト化に貢献している。
【0034】
駆動機構部70は、対の支持アーム62aを相互に近接離反させて揉み動作を行わせる揉み駆動機構71と、対の支持アーム62aを交互に前後揺動させて叩き動作を行わせる叩き駆動機構72と、により構成されている。揉み駆動機構71は、支持アーム62aを傾斜カム74を介して支持する左右方向を軸方向とする揉み軸73と、揉み軸73を回転させるマッサージ用モータM2と、マッサージ用モータM2の回転動力を減速して揉み軸73に伝達する減速器75と、により主として構成されている。
【0035】
叩き駆動機構72は、左右方向を軸方向とする叩き軸76と、叩き軸76を回転させるマッサージ用モータM2と、マッサージ用モータM2の回転動力を減速して叩き軸76に伝達する減速器77と、叩き軸76の軸心に対して偏心した偏心カム78を介して叩き軸76の軸端部に取り付けられ叩き軸76と支持アーム62aを連結する連結部材79と、により主として構成されている。なお、揉み軸73と叩き軸76は、共通のマッサージ用モータM2により駆動される構成となっており、叩き軸76に設けられたクラッチ80により、マッサージ用モータM2を一方に回転させた場合には叩き軸76は空転して揉み軸73のみが回転し、他方に回転させた場合には揉み軸73及び叩き軸76の両方が回転する構成となっている。
【0036】
支持アーム62aと傾斜カム74の取り付け構造を詳述すると、
図12及び
図13に示すとおり、この支持アーム62aは、傾斜カム74の外周部に外嵌されたベアリング81を介して傾斜カム62aに対して回転可能に取り付けられている。そして、左右の傾斜カム74は平面視で逆ハの字となるよう互いに逆方向に傾斜しているため、揉み軸73を回転させると左右の支持アーム62aが相互に近接離反して揉み動作を行うこととなる。また、この支持アーム62aは、コンロッド(駆動アーム)を介することなく直接揉み軸73に取り付けられているため、使用者に対して強いマッサージを行うことができるとともに、マッサージユニット9の構造を簡素化することができる。
【0037】
連結部材79の構成を詳述すると、
図12〜
図15に示すとおり、この連結部材79は、偏心カム78の外周部に外嵌されたベアリング82を介して偏心カム78に対して回転可能に取り付けられた第1連結部79aと、その下端部が第1連結部79aの上端部に前後方向を軸方向とする回転軸79cを介して左右方向に揺動可能に軸支され、その上端部が支持アーム62aの後端部にボールジョイント等よりなる自在継手79dを介して取り付けられた第2連結部79bと、により構成されている。なお、左右の偏心カム78は、その回転中心(叩き軸76の軸心)に対する位相が互いに180度だけ異なっているため、叩き軸76を回転させると左右の支持アーム62aが交互に前後揺動して叩き動作を行うこととなる。
【0038】
図14及び
図15に示すとおり、ベースフレーム60と移動フレーム61の間には、移動フレーム61をベースフレーム60に対して前後方向に進退させる進退用エアセル63が設けられている。すなわち、進退用エアセル63は、その後面がベースフレーム60の後壁60dに当接して固着されており、その前面が移動フレーム61の後壁61dに当接している。この進退用エアセル63は、前述したエア給排気装置14(
図9参照)からのエアの給排気により膨張収縮するよう構成されており、制御部13によりエア給排気装置14の駆動が制御される。
【0039】
移動フレーム61は、その下部が前述した昇降駆動軸64によりベースフレーム60に支持されている。そして、移動フレーム61に昇降駆動軸64が相対回転可能に挿通されおり、進退用エアセル63の膨張収縮により、移動フレーム61は昇降用駆動軸64を揺動支点としてベースフレーム60に対してその上部側が下部側に対して前後方向に進退(揺動)可能となっている。進退用エアセル63は、制御部13からの指示に従って予め設定されたプログラムにより動作させて移動フレーム61の進退位置を変位させることができる他、制御部13に接続されたリモートコントローラ100を使用者が操作することにより動作させて、移動フレーム61を使用者が意図する進退位置に変位させることもできる。
【0040】
本実施形態では、
図14に示す進退用エアセル63が完全に収縮して移動フレーム61が最も後退した後退位置と、
図15に示す進退用エアセル63が限界まで膨張して移動フレーム61が最も突出した突出位置と、の2箇所において、移動フレーム61を位置決め可能な構成となっており、リモートコントローラ100の操作により、移動フレーム61を使用者の意図する進退位置(後退位置又は突出位置)に位置させて、所望するマッサージの強さに変更することができる。また、給排気装置14に保持弁等を設けることにより、前記後退位置と前記突出位置との間における任意の進退位置で移動フレーム61を位置決め可能な構成としてもよい。この場合は、進退用エアセル63の内部圧力を検出する圧力センサを設けたり、進退用エアセル63に対するエアの給排気時間を計測するタイマを設けるとよい。
【0041】
[各種センサの構成]
図13に示すとおり、このマッサージユニット9は、マッサージユニット9の昇降速度及び昇降位置を検出する昇降センサ83、揉み動作の速度及び/又は叩き動作の速度を検出する速度センサ84、対の支持アーム62a,62aの間隔を検出する幅センサ85、及び移動フレーム61の進退位置を検出する進退センサ86を有している。そして、移動フレーム61の上部(上壁61b)には、各モータM1,M2を駆動する駆動回路(図示せず)と、各種センサ83〜86を構成する検出部83a〜86aと、駆動回路及び検出部83a〜86aを制御部13と電気的に接続する中継部材87(
図10及び
図11参照)と、が配備された基板88が設けられている。以下、この各種センサ83〜86の構成について詳述する。
【0042】
図12及び
図13に示すとおり、昇降用モータM1は、移動フレーム61にブラケット61eを介して、モータの出力軸M1a,M1bが上下方向を向くよう取り付けられている。また、昇降用モータM1は、下方に向かって延設され減速器90を介して昇降駆動軸64に連結される第1出力軸M1aと、上方に向かって延設され上端部に磁石等よりなる被検出部83bが取り付けられた第2出力軸M1bと、を有している。そして、基板88の下面には、上壁61bに設けられた窓部(図示せず)を介してこの被検出部83bの通過を検出するホールIC等よりなる検出部83aが設けられている。すなわち、この検出部83a及び被検出部83bにより、昇降用モータM1の回転速度及び回転数を検出して、マッサージユニット9の昇降速度及び昇降位置を検出する非接触式の昇降センサ83が構成されている。
【0043】
図12及び
図13に示すとおり、マッサージ用モータM2も、昇降用モータM1と同様に、移動フレーム61にブラケット61eを介して、モータの出力軸M2a,M2bが上下方向を向くよう取り付けられている。また、マッサージ用モータM2は、下方に向かって延設され減速器77を介して叩き軸76に連結される第1出力軸M2aと、上方に向かって延設され減速器75を介して揉み軸73に連結されるとともに、上端部に磁石等よりなる被検出部84bが取り付けられた第2出力軸M2bと、を有している。そして、基板88の下面には、上壁61bに設けられた窓部(図示せず)を介してこの被検出部84bの通過を検出するホールIC等よりなる検出部84aが設けられている。すなわち、この検出部84a及び被検出部84bにより、マッサージ用モータM2の回転数を検出して、揉み動作の速度及び/又は叩き動作の速度を検出する非接触式の速度センサ84が構成されている。
【0044】
図12及び
図13に示すとおり、揉み軸73の外周部には、磁石等よりなる被検出部85bが揉み軸73と一体回転可能に取り付けられており、基板88の下面には、上壁61bに設けられた窓部(図示せず)を介してこの被検出部85bの通過を検出するホールIC等よりなる検出部85aが設けられている。すなわち、この検出部85a及び被検出部85bにより、揉み軸73の回転位置を検出して、対の支持アーム62a,62aの間隔を検出する非接触式の幅センサ85が構成されている。
【0045】
図12及び
図13に示すとおり、ベースフレーム60の上壁60bの下面には、移動フレーム61の上壁61bに対向する箇所において、磁石等よりなる被検出部86bが固定的に設けられている。そして、基板88の上面には、左右方向において被検出部86bと対応する位置に、被検出部86bの通過を検出するホールIC等よりなる検出部86aが設けられている。すなわち、この検出部86a及び被検出部86bにより、移動フレーム61がベースフレーム60に対して所定の進退(揺動)位置となったことを検出する非接触式の進退センサ86が構成されている。詳細は後述するが、前述した昇降センサ83及び進退センサ86により、両センサ83,86の検出結果に基づいて使用者の身長方向における特定部位(具体的には肩位置)を検出する検出手段が構成されている。
【0046】
このように、昇降センサ83、速度センサ84、幅センサ85、及び進退センサ86の各検出部83a〜86aが、移動フレーム61の上部に設けられた単一の基板88にまとめて配備されており、基板数の削減による低コスト化や、制御部13と接続される中継部材87の取り回しの簡素化に貢献している。
【0047】
図14及び
図15に示すとおり、このマッサージユニット9は、ベースフレーム60と移動フレーム61の間に設けられ、移動フレーム61を使用者側へ常時付勢する圧縮バネ等よりなる付勢手段89を有している。この付勢手段89は、その後端部がベースフレーム60の後壁60dに固着され、その前端部が移動フレーム61の後壁61dに当接している。移動フレーム61に設けられたマッサージ手段62に使用者の荷重が作用しているときは、移動フレーム61は付勢手段89による前方への付勢力に抗して後退位置(
図14参照)に位置し、マッサージ手段62に対する使用者の荷重が解除されたときは、移動フレーム61は付勢手段89による前方への付勢力により突出位置(
図15参照)に位置する程度に、付勢手段89の付勢力が設定されている。この付勢手段89は前記した構成に限定されず、例えば、移動フレーム61をその両側壁61aの前部を連結する前壁を有する構成とし、昇降駆動軸64に設けられて前記前壁を前方へ付勢するトーションバネとすることもできる。
【0048】
以下、マッサージユニット9の身長方向への移動について説明する。
図17は、マッサージユニット9の身長方向への動作説明図であり、移動機構16の全体模式図である。
図18は、
図17中の破線で囲った部分の拡大図である。
図19は、マッサージユニット9の身長方向への動作説明図であり、移動機構16の全体模式図である。
図20は、
図19中の破線で囲った部分の拡大図である。また、
図17及び
図18は、上側の組を構成するピニオン65とガイドローラ66が直線部22eに位置した状態であり、下側の組を構成するピニオン68とガイドローラ69が湾曲部22dに位置した状態を示している。
図19及び
図20は、上下のピニオン65,68とガイドローラ66,69がともに湾曲部22dに位置した状態を示している。なお、
図17〜
図20では、
図4に示すリクライニング状態における移動機構16を図示しており、図中における単位が記載されていない数値の単位はミリメートルである。
【0049】
組を構成するピニオン65(68)の中心C1とガイドローラ66(69)の中心C2は、それぞれ身長方向(ガイド部材の長手方向)においてそれぞれ距離D1(本実施形態では6.5mm)だけ位置ずれしている。より具体的には、下側の組においては、ガイドローラ66の中心C2はピニオン65の中心C1よりも座部3側に位置し、かつ、上側の組においては、ガイドローラ69の中心C2はピニオン68の中心C1よりも背凭れ部4側に位置しており、両端部のピニオン65,68の中心C1,C1は、それぞれ身長方向において両端部のガイドローラ66,69の中心C2,C2よりも内側に位置している。すなわち、リクライニング状態において、ピニオン65,68及びガイドローラ66,69の各中心C1,C1,C2,C2を結ぶと、側面視で下底が長い略台形状となる。上述したようにピニオン65,68及びガイドローラ66,69を配置することにより、マッサージユニット9は、リクライニング状態において下に凸形状であるガイド部材22の湾曲部22dをスムーズに通過することができる。
【0050】
本実施形態では、ピニオン65,68とガイドローラ66,69の組が、上下ともに直線部22c又は直線部22eに位置するときは、レール部22bとガイドローラ66,69の距離(隙間)D2が極わずか(本実施形態では1.2mm)となるように、ピニオン65,68及びガイドローラ66,69の位置関係が設定されている。
【0051】
マッサージユニット9を背凭れ部4に対応する直線部22eから座部3側に移動させて、
図17及び
図18に示すように、下側のピニオン65の湾曲部22dへの到達直後は、マッサージユニット9の傾きはほとんど変化せず、ガイドローラ66の中心C2はピニオン65の中心C1よりも座部3側に位置しているため、レール部22bとガイドローラ66の距離(隙間)D2がわずかに大きくなる。本実施形態では、距離D2が1.2mmから1.65mmに拡大する。
【0052】
図17及び
図18の状態からマッサージユニット9を更に座部3側に移動させていくと、マッサージユニット9の下部が上側のピニオン68の中心C1回りに上方へ回動していき、レール部22bとガイドローラ66,69の距離D2が小さくなっていく。そして、
図19及び
図20に示すとおり、下側のピニオン65及びガイドローラ66と上側のピニオン66及びガイドローラ69がともに湾曲部22dに位置するまでマッサージユニット9を移動させると、ガイドローラ66,69が剛体である場合は、ガイドローラ66,69がレール部22bに食い込むこととなる。しかし、本実施形態では、ガイドローラ66,69を弾性変形可能に構成しているため、ガイドローラ66,69のレール部22bへの食い込みを吸収することができるようになっている。
【0053】
以下、マッサージユニット9により使用者の特定部位(肩位置)を検出する方法について説明する。マッサージユニット9の昇降位置の初期位置は座部3の前端部に位置している。そして、使用者はリモートコントローラ100を操作して、制御部13に記憶された予め設定された内容で各マッサージ部9〜12が動作する自動コースを選択する。自動コースが選択されると、制御部13はマッサージユニット9を座部3の前端部から背凭れ部4の上端部に向かって上昇させるよう制御する。使用者の身体部位が存在している昇降位置においては、マッサージ手段62に対して使用者から負荷が加わるため、移動フレーム61は付勢手段89による前方への付勢力に抗して後退位置(
図14参照)に位置している。そして、マッサージユニット9が使用者の肩位置に到達したときには、マッサージ手段62に対する使用者からの負荷が解除され、移動フレーム61は付勢手段69による前方への付勢力により突出位置(
図15参照)に位置する。
【0054】
そして、進退センサ86が移動フレーム61の突出位置を検出したときのマッサージユニット9の昇降位置を、昇降センサ83が検出することにより使用者の肩位置が判別される。検出された肩位置は制御部13に記憶され、自動コースが開始される。なお、マッサージユニット9を背凭れ部4の上端部から下降させる過程で肩位置を検出してもよい。この場合は、進退センサ86によって移動フレーム61が突出位置(
図15参照)よりも後退したことが検出されたときのマッサージユニット9の昇降位置を、昇降センサ83により検出して肩位置を判別すればよい。
【0055】
[ロッキング機構部の構成]
図3、
図4、及び
図7に示すとおり、ロッキング機構部8は、主として、椅子本体2をベース7に対して前後揺動可能に連結するリンク部材40、及びリンク部材40を揺動させるロッキング駆動部31により構成されている。リンク部材40は、前後に所定間隔を存してベース7から上方に延設された第1リンク部42及び第2リンク部43を有しており、それぞれ下部がベース7に枢支され、上部が椅子本体2に枢支されている。より具体的には、第1リンク部42は、その下部が第1枢軸7bに枢支され、かつその上部がブラケット44及び枢軸A1を介して座部3(椅子本体2)に枢支されており、その上部が前後に揺動可能に構成されている。第2リンク部43は、第1リンク部42よりも後方において、その下部が第2枢軸7cに枢支され、かつその上部がブラケット44及び枢軸A2を介して座部3(椅子本体2)に枢支されており、その上部が前後に揺動可能に構成されている。この第1リンク部42及び第2リンク部43は、それぞれ左右で対をなしており、対の第1リンク部42,42は左右方向に延設された第1連結部42aにより連結され、対の第2リンク部43,43は左右方向に延設された第2連結部43aにより連結されている。
【0056】
このように、椅子本体2が前後に所定間隔を有して設けられた第1リンク部42及び第2リンク部43を介してベース7に支持されているため、ロッキング機構部8に作用する負荷(使用者からの荷重)が前後に分散され、安定して椅子本体2を前後に揺り動かすことができる。また、リンク部材40の下部がベース7に連結され、上部が椅子本体2に連結されているため、ベース7におけるリンク部材40の連結部分(すなわち、第1枢軸7b及び第2枢軸7c)を床面から高い位置に位置させる必要がなく、マッサージ機1全体の高さ寸法を抑えることができる。更には、
図2〜
図4に示すとおり、椅子本体2は収容部23を有し、リンク部材40を椅子本体2に取り付けるブラケット44、及びロッキング機構部8を構成するリンク部材40の一部(上部)を、収容部23内に位置させることにより椅子本体2の外部に露出させないので、マッサージ機1の美観を向上させることができる。
【0057】
図3、
図4、及び
図7に示すとおり、ロッキング駆動部31は、モータ32と、モータ32の駆動により伸縮するシリンダ33と、を有する直動式のアクチュエータにより構成されている。このロッキング駆動部31のシリンダ33は、基部33aがリンク部材40である第2連結部43aにブラケット43bを介して枢支され、先部33bがベース7に第3枢軸7dによって枢支されている。この構成によれば、ロッキング駆動部31を駆動してシリンダ33を短縮させると、リンク部材40が前方へ揺動して、起立状態(
図3参照)にある椅子本体2をリクライニング状態(
図4参照)へと移行させることができ、ロッキング駆動部31を駆動してシリンダ33を伸張させると、リンク部材40が後方へ揺動して、リクライニング状態(
図4参照)にある椅子本体2を起立状態(
図3参照)へと移行させることができる。そして、モータ32を停止することにより、椅子本体2は、起立状態とリクライニング状態の間における任意の位置で位置決めされる。
【0058】
図8は、モータ32をその出力軸32aの軸方向から見た図である。
図8に示すとおり、ロッキング駆動部31は、ベース7に対する椅子本体2の揺動位置を検出する揺動位置センサ34を有している。この揺動位置センサ34は、モータ32の出力軸32aに取り付けられた磁石等よりなる被検出部34bと、被検出部34bの通過を検出するモータ本体32bに設けられたホールIC等よりなる検出部34aと、により構成され、この検出部34aが出力軸32a(モータ32)の回転数を検出することにより、椅子本体2の起立状態とリクライニング状態の間における任意の揺動位置を検出できるよう構成されている。更に、この検出部34aは、出力軸32aの周方向に近接して2つ設けられており、どちらの検出部34aが先に被検出部34bの通過を検出したかを判別することにより、出力軸32a(モータ32)の回転方向も検出可能となっている。
図9に示すとおり、この揺動位置センサ34は、制御部13に電気的に接続されており、制御部13は、揺動位置センサ34の検出結果に応じて、モータ32の駆動を制御するよう構成されている。
【0059】
図9に示すとおり、前述したロッキング駆動部31(モータ32)、マッサージユニット9、及び各エアセル10〜12は、制御部13からの指示に従って予め設定されたプログラムにより動作する他、制御部13に接続されたリモートコントローラ100を被施療者が操作することにより制御部13へ入力された信号に基づいても動作することができる。
【0060】
[フットリンク部材の構成]
図3、
図4、及び
図7に示すとおり、フットリンク部材50は、ブラケット44を介して椅子本体2に枢支された第1フットリンク部51と、ブラケット42b及びブラケット51bを介して第1リンク部42及び第1フットリンク部51に枢支された第2フットリンク部52と、第2フットリンク部52及びブラケット27に枢支された第3フットリンク部53と、を有している。第1フットリンク部51は、その上部が枢軸A1,A2の間において枢軸A3を介してブラケット44(すなわち座部3)に取り付けられ、その下部が第2フットリンク部52の後部に枢軸A4を介して取り付けられている。第2フットリンク部52は、その前部が第3フットリンク部53に枢軸A5を介して取り付けられ、枢軸A4,A5の間において枢軸A6を介して第1リンク部42(ブラケット42b)に取り付けられている。第3フットリンク部53は、その上部が枢軸A7を介してブラケット27(すなわちフットレスト5)に取り付けられ、その下部が枢軸A5を介して第2フットリンク部52に取り付けられている。そして、ロッキング駆動部31を駆動させると、リンク部材40に連結されたフットリンク部材50により、椅子本体2の揺動に連動してフットレスト5が上下揺動するよう構成されている。すなわち、ロッキング駆動部(駆動部)31及びフットリンク部材50により、フットレスト5を座部3に対して移動させる移動機構部が構成されている。
【0061】
ロッキング駆動部31を駆動させて、起立状態から第1リンク部42を第1枢軸7b回りに前方へ揺動させてリクライニング状態へと近づけていくと、第1フットリンク部51は枢軸A3回りに後方へ揺動し、第2フットリンク部52は第1リンク部42に対して枢軸A6回りにその前部が上方へ揺動するとともに、第3フットリンク部53は枢軸A5回りに下方へ揺動する。従って、椅子本体2を前方へ揺り動かしてリクライニング状態へと近づけていくと、フットレスト5は上方へ回動することとなる。より具体的には、椅子本体2が起立状態からリクライニング状態へ移行する過程においては、座部3が後傾していくとともにフットレスト5が上昇していく。このとき、脚部は高い位置に移行しつつ伸ばされていくので、いわゆる求心法のように脚部の血流を足先から心臓に向かうように促進させることができ、リラックス効果を高めることができる。
【0062】
一方、ロッキング駆動部31を駆動させて、リクライニング状態から第1リンク部42を第1枢軸7b回りに後方へ揺動させて起立状態へと近づけていくと、第1フットリンク部51は枢軸A3回りに前方へ揺動し、第2フットリンク部52は第1リンク部42に対して枢軸A6回りにその前部が下方へ揺動するとともに、第3フットリンク部53は枢軸A5回りに上方へ揺動する。従って、椅子本体2を後方へ揺り動かして起立状態へと近づけていくと、フットレスト5は下方へ回動することとなる。より具体的には、椅子本体2がリクライニング状態から起立状態へ移行する過程においては、座部3が前傾していくとともにフットレスト5が下降していく。椅子本体2が起立状態にあるときには、フットレスト5は下降しているため、使用者は椅子本体2への乗り降りが容易となる。
【0063】
以下、マッサージ機1が行う各マッサージ動作について説明する。
図21は、第1マッサージ動作の説明図であり、(a)は第1動作状態1、(b)は第1動作状態2を示している。
図22は、第2マッサージ動作の説明図であり、(a)は第2動作状態1、(b)は第2動作状態2、(c)は第2動作状態3を示している。
図23は、第3マッサージ動作の説明図であり、(a)は第3動作状態1、(b)は第3動作状態2、(c)は第3動作状態3、(d)は第3動作状態4を示している。
図24は、第4マッサージ動作の説明図であり、(a)は第4動作状態1、(b)は第4動作状態2を示している。なお、
図21〜
図23では、起立状態にあるマッサージ機1に着座した使用者を後方から見た図であり、
図24では、起立状態にあるマッサージ機1に着座した使用者を側方から見た図である。
【0064】
第1〜第4マッサージ動作に係る以下の説明においては、理解を容易にするため、左右一方側を「左」、左右他方側を「右」と具体的にして説明する。また、本発明のマッサージ機1は、マッサージ部としてのマッサージユニット9とエアセル10〜12の動作を組み合わせて各種マッサージ動作を行うことができるが、代表してマッサージユニット9と、エアセル11又はエアセル12によるマッサージ動作について説明する。なお、
図21〜
図23中に示す中心線oは、座部3の左右方向に関する上下方向に延びる中心線であり、
図24ではパッド部17の図示を省略している。
【0065】
[第1マッサージ動作]
第1マッサージ動作は、臀部又は大腿部の背面に指圧作用を与えるマッサージ動作である。まず、制御部13は、昇降用モータM1を駆動してマッサージユニット9を座部3に移動させる。続いて、
図21(a)に示す通り、左右両側のエアセル11L,11Rを膨張させて、使用者の腰部を両側から保持する(第1動作状態1)。続いて、
図21(b)に示す通り、エアセル11L,11Rの膨張を維持した状態で進退用エアセル63を膨張させて、マッサージユニット9を突出位置とする(第1動作状態2)。そして、エアセル11L,11Rの膨張を維持した状態で、進退用エアセル63の膨張収縮を所定時間繰り返す。
【0066】
このように、左右両側のエアセル11L,11Rにより腰部を保持した状態でマッサージユニット9を進退させるため、身体が座部から浮き上がらず、臀部又は大腿部に対して施療子62bにより指圧作用を効果的に与えることができる。また、第1マッサージ動作において、進退用エアセル63の膨張収縮に代えて又は加えて、マッサージ用モータM2を駆動して、臀部又は大腿部に対してマッサージユニット9に揉み及び/又は叩きを行わせることも可能である。この場合、身体が左右方向にぶれず、臀部又は大腿部に対して施療子62bにより良好な揉みや叩き作用を与えることができる。更に、叩きによる振動が腰部を押圧するエアセル11L,11Rに伝達され、腰部にも叩きを行っているような感覚を与えることができる。
【0067】
[第2マッサージ動作]
第2マッサージ動作は、身体を左右のいずれかに捻った状態、又は左右のいずれかに移動させた状態で、臀部又は大腿部の背面に指圧作用、揉み作用、又は叩き作用を与えるマッサージ動作である。まず、制御部13は、昇降用モータM1を駆動してマッサージユニット9を座部3に移動させる。続いて、
図22(a)に示す通り、左側のエアセル11Lを膨張させて身体を右側に捻り又は移動させながら、マッサージユニット9を突出位置として揉み及び/又は叩きを行う(第2動作状態1)。続いて、
図22(b)に示す通り、左側のエアセル11Lを収縮させるとともに右側のエアセル11Rを膨張させて身体を左側に捻り又は移動させながら、突出位置においてマッサージユニット9により揉み及び/又は叩きを継続して行う(第2動作状態2)。そして、第2動作状態1と第2動作状態2を交互に所定回数繰り返した後、左右両側のエアセル11L,11R及び進退用エアセル63を収縮させるとともに揉み及び叩きを停止して、
図22(c)に示す状態となる。
【0068】
このように、左右のエアセル11L,11Rにより身体を左右のいずれかに捻った状態、又は左右のいずれかに移動させた状態で、臀部又は大腿部の背面に指圧、揉み、又は叩きを行うため、マッサージユニット9によるマッサージ感やマッサージ箇所を変化させることができる。具体的には、左側のエアセル11Lを膨張させて身体を右側に捻った状態、又は右側に移動させた状態(第2動作状態1)においては、マッサージユニット9の施療子62bは臀部又は大腿部の右側に強く当接するとともに、より左側の位置をマッサージすることとなる。一方、右側のエアセル11Rを膨張させて身体を左側に捻った状態、又は左側に移動させた状態(第2動作状態2)においては、マッサージユニット9の施療子62bは臀部又は大腿部の左側に強く当接するとともに、より右側の位置をマッサージすることとなる。また、第2マッサージ動作において、マッサージ用モータM2及び進退用エアセル63の内いずれか一方のみを駆動させることも可能である。
【0069】
[第3マッサージ動作]
第3マッサージ動作は、臀部を左右方向及び上下方向に移動させて、骨盤を回すようなストレッチ作用を与えるマッサージ動作である。まず、制御部13は、昇降用モータM1を制御してマッサージユニット9を座部3に移動させる。続いて、
図23(a)に示す通り、左側のエアセル11Lを膨張させて身体を右側に捻り又は移動させながら、進退用エアセル63を膨張させてマッサージユニット9により身体を上昇させる(第3動作状態1)。続いて、
図23(b)に示す通り、左側のエアセル11Lを収縮させて姿勢をまっすぐに又は身体を左右方向における中心位置に戻す(第3動作状態2)。続いて、
図23(c)に示す通り、右側のエアセル11Rを膨張させて身体を左側に捻り又は移動させる(第3動作状態3)。続いて、
図24(d)に示す通り、右側のエアセル11R及び進退用エアセル63を収縮させて、姿勢をまっすぐに又は身体を左右方向における中心位置に戻すとともに身体を下降させる(第3動作状態4)。第3動作状態1から第3動作状態4まで移動させるサイクルを所定回数繰り返す。
【0070】
このように、左右のエアセル11L,11Rによる身体の左右動と、マッサージユニット9による身体の上下動と、を組み合わせることにより、骨盤を回すようなストレッチを行うことができる。また、第3マッサージ動作において、マッサージ用モータM2も駆動させて、臀部又は大腿部に対してマッサージユニット9に揉み及び/又は叩きを行わせることも可能である。また、第3動作状態2への移行を省略して、第3動作状態1から第3動作状態3へ直接移行してもよい。また、第3マッサージ動作の実行途中で、第3動作状態1から第3動作状態4までの移行順序を反転させてもよい。
【0071】
[第4マッサージ動作]
第4マッサージ動作は、臀部又は大腿部の筋肉を身長方向に引き伸ばすようなストレッチ感覚を与えるマッサージ動作である。まず、
図24(a)に示す通り、制御部13は、エアセル12を膨張させて、使用者の脚部を両側から保持する(第4動作状態1)。続いて、
図24(b)に示す通り、エアセル12の膨張を維持した状態で、進退用エアセル63を徐々に膨張させていきながら、マッサージユニット9を座部3において前方(身長方向足先側)へ移動させる(第4動作状態2)。続いて、進退用エアセル63を徐々に収縮させていきながらマッサージユニット9を座部3において後方(身長方向頭部側)へ移動させて、
図24(a)に示す第4動作状態1に戻す。この第4動作状態1と第4動作状態2を交互に所定回数繰り返す。
【0072】
このように、エアセル12により脚部を保持した状態で、マッサージユニット9を突出させていきながら前方へ移動させるため、膝を曲げた姿勢の臀部又は大腿部の筋肉に対して、身長方向足先側に引き伸ばすようなストレッチ感覚を与えることができる。また、第4マッサージ動作において、幅センサ85に基づいてマッサージ用モータM2を制御することにより、左右の施療子62b,62bの間隔を調整して、左右の施療子62bをそれぞれ左右の大腿部に適切に当接させることも可能である。
【0073】
なお、第1〜第4マッサージ動作において、マッサージユニット9を突出位置とさせてから、又は進出させながら座部3に移動させてもよい。この場合、各マッサージ動作による効果を得るまでの時間を短縮することができる。また、第1〜第4マッサージ動作中、マッサージユニット9を座部3において身長方向へ移動させてもよい。この場合、臀部又は大腿部に対して、上下左右のみならず前後方向の移動が付加され、三次元的なストレッチ効果を得ることができる。
【0074】
[他の実施形態に係るガイドローラの構成]
以下、他の実施形態に係るガイドローラ94の構成について説明する。
図25は、他の実施形態に係るガイドローラ94の側面図である。なお、前述したガイドローラ66,69と異なる構成は連結部94cのみであるため、他の構成は同一の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図25に示すとおり、ガイドローラ94の回転軸部66aと輪体部66bを連結する連結部94cは、輪体部66bを中心C2から半径方向外側に向けて常時付勢する圧縮バネ等よりなる付勢手段により構成されている。この付勢手段94cは、回転軸部66aの外周に複数(本実施形態では6本)設けられている。このように連結部94cを構成することにより、ガイドローラ94を半径方向に弾性変形させることができる。従って、ガイドローラ66,69と同様、ガイドローラ94のレール部22bへの食い込みを吸収することができるようになっている。
【0076】
[他の実施形態に係るマッサージユニットの構成]
以下、他の実施形態に係るマッサージユニット6の構成について説明する。
図26は、他の実施形態に係るマッサージユニット6の側面図である。
図26は、移動フレーム61が突出位置にあるときの状態を示している。なお、前述したマッサージユニット9と異なる構成は付勢手段95のみであるため、他の構成は同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図26に示すとおり、この付勢手段95は、ニトリルゴムやシリコンゴム等のゴムよりなり、固定フレーム60と移動フレーム61の間に介在して設けられており、その前部が移動フレーム61の後壁61dに固着され、その後部が固定フレーム60の後壁60dに当接して設けられている。付勢手段95の後部は円弧状に形成されており、移動フレーム61の下部を支点とした前後揺動に対応して、付勢手段95の反力を適切に移動フレーム61に付与することができる。この付勢手段95は、進退用エアセル63を挟んで左右に対をなして設けられている。移動フレーム61に設けられたマッサージ手段62に使用者の荷重が作用しているときは、移動フレーム61は付勢手段95による前方への付勢力に抗して後退位置(
図14参照)に位置し、マッサージ手段62に対する使用者の荷重が解除されたときは、移動フレーム61は付勢手段95による前方への付勢力により突出位置(
図26参照)に位置する程度に、付勢手段95の付勢力(復元力)が設定されている。
【0078】
[他の実施形態に係るマッサージ機の構成]
以下、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機200の構成について説明する。
図27は、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機200の説明図であり、(a)はマッサージユニット9が首位置にあるときの平面図、(b)はマッサージユニット9が腰位置にあるときの平面図、(c)は中継部材ガイド機構91の説明図である。なお、前述したマッサージ機1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、
図27(c)は、中継部材87及びガイド部材92をその長手方向と直交する方向から切断したときの断面を示している。
【0079】
マッサージ機200は、使用者の身体を支持する身体支持部20と、身体支持部20に設けられ使用者の身長方向に沿って昇降可能であるマッサージユニット9と、マッサージユニット9と隔離して設けられマッサージユニット9の動作制御を行う制御部13と、マッサージユニット9と制御部13を電気的に接続する中継部材87と、マッサージユニット9の昇降に伴う中継部材87の曲がり方向を規制する中継部材ガイド機構91と、を有し、中継部材ガイド機構91は、左右方向に並設された使用者の身長方向に延びる複数のガイド部材92と、一部が中継部材87に固着され他部がガイド部材92に対してスライド可能に取り付けられた複数の被ガイド部材93と、を有している。
【0080】
ガイド部材92は、ワイヤ等よりなる身長方向に延びる棒状部材であり、第1身体支持部本体21の開口部21aに対応する位置において、左右方向に複数本(本実施形態では2本)並設されている。
図27(c)に示すとおり、被ガイド部材93は、拘束バンド等よりなり、その一部93aが中継部材87に巻装されて固着され、その他部93bがガイド部材92にスライド可能に係嵌されている。この被ガイド部材93における他部93bはリング状に形成されており、被ガイド部材93は中継部材87の長手方向に複数個(本実施形態では6個)取り付けられている。中継部材87は、第1身体支持部本体21に設けられた孔部21bを通過して、座部3の下方に設けられた制御部13に接続されている。
【0081】
図27(a)に示すとおり、マッサージユニット9が首位置等の身長方向における高い位置に位置するときは、中継部材87の上下方向の曲がり度合いは小さい。
図27(a)に示す状態からマッサージユニット9を下降させていくと、中継部材87に固着された複数の被ガイド部材93が、左右方向に並設された複数のガイド部材92に対してスライドすることにより、中継部材87は使用者側(前後方向)への曲げが規制されるため、上下方向へ平面視で略S字状に曲がっていく。
図27(b)に示すとおり、マッサージユニット9が腰位置等の身長方向における低い位置に位置するときは、首位置に位置するときよりも中継部材87の上下方向の曲がり度合いは大きくなる。
【0082】
上述したように、マッサージユニット9の昇降時において、中継部材87は左右方向において複数のガイド部材92により上下方向に曲がるようガイドされているため、使用者側への曲がりが規制されて中継部材87がマッサージユニット9と干渉したり、ラック22とピニオン65,68の間に挟まったりして、マッサージユニット9の移動を阻害してしまうことを防止できる。従って、マッサージユニット9を安定して昇降させることが可能となる。
【0083】
[他の実施形態に係るマッサージ機の構成]
以下、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機300の構成について説明する。
図28は、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機300の側面図である。
図28に示すとおり、マッサージ機300は、前述したマッサージ機1と同様に、座部3、背凭れ部4、及びフットレスト5と、により構成される椅子本体2と、床面に設置されるベース(図示せず)と、椅子本体をベースに対して前後に揺り動かすロッキング機構部(図示せず)と、椅子本体2内を身長方向に移動するマッサージユニット9、マッサージユニット9を移動可能に支持するガイド部材22と、を有している。
【0084】
マッサージ機1においては、ガイド部材22を座部3の前端部から背凭れ部4の上端部まで延設する構成としたが、本実施形態では、ガイド部材22をフットレスト5の下端部から座部3の後端部まで延設する構成としている。すなわち、マッサージユニット9により足先側から臀部にかけて連続してマッサージすることができる。ガイド部材22は、フットレスト5に対応する直線部22c、フットレスト5と座部3の境界部分に対応する湾曲部22d、座部3に対応する直線部22eを有している。フットレスト5と座部3の境界部分において湾曲部22dを有しているため、着座姿勢の使用者の身体形状に沿う形状となっているとともに、マッサージユニット9がフットレスト5と座部3の間を移動可能となっている。また、このガイド部材22は、一面側(使用者側)にラック部22aを有し、他面側(使用者側とは反対側)にレール部22bを有して、使用者の被施療面と直交する方向を板厚方向とする板材により構成されている。
【0085】
組を構成するピニオン65(68)の中心C1とガイドローラ66(69)の中心C2は、それぞれ身長方向(ガイド部材の長手方向)においてそれぞれ距離D1だけ位置ずれしている。より具体的には、足先側の組においては、ガイドローラ66の中心C2はピニオン65の中心C1よりも座部3側に位置し、かつ、腰部側の組においては、ガイドローラ69の中心C2はピニオン68の中心C1よりもフットレスト5側に位置しており、両端部のガイドローラ66,69の中心C2,C2は、それぞれ身長方向において両端部のピニオン65,68の中心C1,C1よりも内側に位置している。すなわち、起立状態において、ピニオン65,68及びガイドローラ66,69の各中心C1,C1,C2,C2を結ぶと、側面視で上底が長い略台形状となる。上述したようにピニオン65,68及びガイドローラ66,69を配置することにより、マッサージユニット9は、起立状態において上に凸形状であるガイド部材22の湾曲部22dをスムーズに通過することができる。
【0086】
また、本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らず、この発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。
例えば、ロッキング機構部において、ロッキング駆動部31に代えて、ベース7と第1リンク部42(リンク部材40)の間に取り付けられ、椅子本体2を起立状態となるよう付勢するバネ(引張バネ)又はダンパー等よりなる付勢部材を設けてもよい。この場合、付勢部材の付勢力により椅子本体2を起立状態に維持することができるが、座部3に着座した使用者が背凭れ部4に凭れると、背凭れ部4をリクライニング状態とさせることが可能である。そして、使用者が背凭れ部4に凭れる力を弱めると、付勢部材の付勢力によって、リクライニング状態にある背凭れ部4を起立状態に復帰させることができる。また、マッサージユニット9を進退させる構成として、進退用エアセル63に代えて、ラックピニオン等よりなる機械式の進退機構としてもよい。