特許第6427356号(P6427356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6427356画像信号生成装置及び電子内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427356
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】画像信号生成装置及び電子内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20181112BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20181112BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   A61B1/045 610
   A61B1/00 513
   G02B23/24 B
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-159852(P2014-159852)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-36388(P2016-36388A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】牧野 貴雄
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−075366(JP,A)
【文献】 特開平10−210324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の特定の内部構造を強調するための特定波長にピーク強度を持つ狭帯域光及び該狭帯域光以外の少なくとも一部の帯域の光を含む照射光により照射された生体組織であって、所定の撮像装置により撮像された生体組織の画像信号の中から前記特定波長に対応する色信号を抽出する色信号抽出手段と、
前記色信号抽出手段により抽出された色信号に基づいて前記生体組織の表面反射成分の画像信号を生成する第一の画像信号生成手段と、
前記生体組織の画像信号から前記表面反射成分の画像信号を減算することにより、該生体組織の内部反射成分の画像信号を生成する第二の画像信号生成手段と、
を備える、
画像信号生成装置。
【請求項2】
前記第一の画像信号生成手段は、
前記特定波長に対応する色信号の基準値を算出し、
各画素において前記色信号の画素値を前記基準値で減算し、
前記基準値で減算された色信号に基づいて前記表面反射成分の画像信号を生成する、
請求項1に記載の画像信号生成装置。
【請求項3】
前記基準値は、
前記特定波長に対応する色信号に関する、平均画素値、画素値の中央値、又は最大値及び最小値の加重平均値である、
請求項2に記載の画像信号生成装置。
【請求項4】
前記第一の画像信号生成手段は、
前記特定波長に対応する色信号のうち画素値が所定の範囲に収まらないものを除外して前記基準値の計算を行う、
請求項3に記載の画像信号生成装置。
【請求項5】
前記特定波長は、
ヘモグロビンによる吸収率の高い波長である、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の画像信号生成装置。
【請求項6】
前記照射光は、
R(Red)成分、G(Green)成分、B(Blue)成分の各色成分内にピーク強度を持つ3つの狭帯域光である、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像信号生成装置。
【請求項7】
前記撮像装置により撮像された生体組織の画像信号にデモザイク処理を施すことにより、各画素にR信号、G信号、B信号の各色成分の信号を持たせるデモザイク処理手段
を備え、
前記第一の画像信号生成手段は、
前記B信号の基準値を算出し、
各画素において前記B信号の画素値を前記基準値で減算し、
各画素において前記R信号及びG信号の画素値を前記基準値で減算されたB信号と同一の画素値に置き換えることにより、前記表面反射成分の画像信号を生成し、
前記第二の画像信号生成手段は、
前記デモザイク処理された生体組織の画像信号から前記表面反射成分の画像信号を減算することにより、前記内部反射成分の画像信号を生成する、
請求項6に記載の画像信号処理装置。
【請求項8】
前記表面反射成分の画像信号と前記内部反射成分の画像信号とを所定の重み係数で合成した合成画像を生成する合成画像生成手段
を備える、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の画像信号生成装置。
【請求項9】
生体組織の特定の内部構造を強調するための特定波長にピーク強度を持つ狭帯域光及び該狭帯域光以外の少なくとも一部の帯域の光を含む照射光を射出して該生体組織を照射する照射装置と、
前記照射光により照射された生体組織を撮像して該生体組織の画像信号を生成する撮像装置と、
前記撮像装置により生成された生体組織の画像信号を処理する、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の画像信号生成装置と、
を備える、
電子内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の画像信号を生成する画像信号生成装置及び電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体腔内を観察するための電子内視鏡システムが知られている。この種の電子内視鏡システムでは、光源ランプより射出される照射光を体腔内に導いて体腔内を照射することにより、自然光の届かない体腔内を撮像することが可能となっている。
【0003】
体腔内の生体組織は、粘膜に覆われており光沢がある。そのため、照射光が正反射して撮像素子の受光面に入射されると、正反射領域に位置する生体組織が白飛びしハイライトとなって観察できない場合がある。この問題に鑑み、この種のハイライトを除去する電子内視鏡システムの具体的構成が、例えば特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の電子内視鏡システムは、同一対象が撮像された複数枚の画像を合成処理することで、処理対象画像のハイライト部分を除去する。具体的には、特許文献1に記載の電子内視鏡システムは、処理対象画像においてハイライト部分となって損失した生体組織を、他の画像の同生体組織に該当する部分の情報を用いて埋め合わせ処理することで復元する。
【0005】
特許文献2に記載の電子内視鏡システムは、一対の光源を備えており、一方の光源の前段に偏光板が配置されている。特許文献2に記載の電子内視鏡システムは、一対の光源を交互に点灯させることにより、体腔内を直線偏光状態の照射光と無偏光状態の照射光とで交互に照射して撮像する。無偏光状態の照射光により照射された体腔内の画像は、ハイライト部分を含む画像(表面反射成分及び内部反射成分の両方からなる画像)となるが、直線偏光状態の照射光により照射された体腔内の画像は、ハイライト部分の無い画像(表面反射成分の無い内部反射成分だけからなる画像)となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−108819号公報
【特許文献2】特開2014−18439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電子内視鏡システムでは、ハイライト部分を多数の画像を用いて復元するため、演算コストが高いという問題が指摘される。また、ハイライト部分を除去する精度が低いという問題も指摘される。
【0008】
特許文献2に記載の電子内視鏡システムでは、細径化が強く要請される電子スコープの先端に偏光板を配置しなければならない。また、偏光板による色再現性の劣化を抑える必要がある。偏光板による色再現性の劣化を抑えるため、特許文献2に記載の電子内視鏡システムでは、使用可能な照射光の波長特性に制約がある。すなわち、使用可能な光源に制約があり、光源の選択肢が限られる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、演算コストを抑えつつもハイライト部分等の表面反射成分を精度良く除去することができ、且つ電子スコープの先端の細径化に有利であると共に偏光板による色再現性の劣化を考慮する必要の無い電子内視鏡システム及び該電子内視鏡システムを構成する画像信号生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態の画像信号生成装置は、生体組織の特定の内部構造を強調するための特定波長にピーク強度を持つ狭帯域光及び狭帯域光以外の少なくとも一部の帯域の光を含む照射光により照射された生体組織であって、所定の撮像装置により撮像された生体組織の画像信号の中から特定波長に対応する色信号を抽出する色信号抽出手段と、色信号抽出手段により抽出された色信号に基づいて生体組織の表面反射成分の画像信号を生成する第一の画像信号生成手段と、生体組織の画像信号から表面反射成分の画像信号を減算することにより、生体組織の内部反射成分の画像信号を生成する第二の画像信号生成手段とを備える。
【0011】
このように、上記の狭帯域光を含む照射光により照射された生体組織の画像信号のうち、特定の内部構造を強調するための特定波長に対応する色信号を用いることで、生体組織の表面反射成分を精度良く表す画像信号が生成されることから、演算コストが抑えられつつも表面反射成分が精度良く除去された内部反射成分の画像信号が得られる。また、細径化が強く要請される電子スコープの先端に偏光板を配置する必要が無いため、電子スコープの細径化に有利であると共に偏光板による色再現性の劣化を考慮する必要が無い。
【0012】
第一の画像信号生成手段は、特定波長に対応する色信号の基準値を算出し、各画素において色信号の画素値を基準値で減算し、基準値で減算された色信号に基づいて表面反射成分の画像信号を生成する構成としてもよい。
【0013】
第一の画像信号生成手段により算出される基準値は、例えば、特定波長に対応する色信号に関する、平均画素値、画素値の中央値、又は最大値及び最小値の加重平均値である。
【0014】
第一の画像信号生成手段は、特定波長に対応する色信号のうち画素値が所定の範囲に収まらないものを除外して基準値の計算を行う構成としてもよい。
【0015】
特定波長は、例えば、ヘモグロビンによる吸収率の高い波長である。
【0016】
照射光は、例えば、R(Red)成分、G(Green)成分、B(Blue)成分の各色成分内にピーク強度を持つ3つの狭帯域光である。
【0017】
本発明の実施形態の画像信号生成装置は、撮像装置により撮像された生体組織の画像信号にデモザイク処理を施すことにより、各画素にR信号、G信号、B信号の各色成分の信号を持たせるデモザイク処理手段を備える構成としてもよい。この場合、第一の画像信号生成手段は、B信号の基準値を算出し、各画素においてB信号の画素値を基準値で減算し、各画素においてR信号及びG信号の画素値を基準値で減算されたB信号と同一の画素値に置き換えることにより、表面反射成分の画像信号を生成する。また、第二の画像信号生成手段は、デモザイク処理された生体組織の画像信号から表面反射成分の画像信号を減算することにより、内部反射成分の画像信号を生成する。
【0018】
本発明の実施形態の画像信号生成装置は、表面反射成分の画像信号と内部反射成分の画像信号とを所定の重み係数で合成した合成画像を生成する合成画像生成手段を備える構成としてもよい。
【0019】
本発明の実施形態の電子内視鏡システムは、生体組織の特定の内部構造を強調するための特定波長にピーク強度を持つ狭帯域光及び狭帯域光以外の少なくとも一部の帯域の光を含む照射光を射出して生体組織を照射する照射装置と、照射光により照射された生体組織を撮像して生体組織の画像信号を生成する撮像装置と、撮像装置により生成された生体組織の画像信号を処理する、上記の画像信号生成装置とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、演算コストを抑えつつもハイライト部分等の表面反射成分を精度良く除去することができ、且つ電子スコープの先端の細径化に有利であると共に偏光板による色再現性の劣化を考慮する必要の無い電子内視鏡システム及び該電子内視鏡システムを構成する画像信号生成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態の電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態のプロセッサに備えられる回転フィルタ部を集光レンズ側から見た正面図である。
図3】本発明の実施形態のプロセッサに備えられた光学フィルタの分光特性例を示す図である。
図4】本発明の実施形態のプロセッサに備えられる特殊画像処理回路による特殊画像生成フローを示す図である。
図5】特殊光を生体組織に照射したときのB成分の狭帯域光の様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として電子内視鏡システムを例に取り説明する。
【0023】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、電子スコープ100、プロセッサ200及びモニタ300を備えている。
【0024】
プロセッサ200は、システムコントローラ202及びタイミングコントローラ204を備えている。システムコントローラ202は、メモリ212に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ202は、操作パネル218に接続されている。システムコントローラ202は、操作パネル218より入力される術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。術者による入力指示には、例えば電子内視鏡システム1の動作モードの切替指示がある。本実施形態では、動作モードとして、通常モードと特殊モードがある。タイミングコントローラ204は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
【0025】
ランプ208は、ランプ電源イグナイタ206による始動後、照射光Lを射出する。ランプ208は、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプである。照射光Lは、主に可視光領域から不可視である赤外光領域に広がるスペクトルを持つ光(又は少なくとも可視光領域を含む光)である。ランプ208より射出された照射光Lは、回転フィルタ部260に入射される。
【0026】
図2は、回転フィルタ部260を集光レンズ210側から見た正面図である。回転フィルタ部260は、回転式ターレット261、DCモータ262、ドライバ263及びフォトインタラプタ264を備えている。図2に示されるように、回転式ターレット261には、通常光(白色光)用フィルタFn及び特殊光用フィルタFsが並べて配置されている。各光学フィルタは、約180°の角度範囲に広がる扇形状を有している。
【0027】
図3(a)、図3(b)はそれぞれ、通常光用フィルタFn、特殊光用フィルタFsの分光特性を示すグラフである。図3(a)、図3(b)の各図中、縦軸は透過率(正規化のため単位無し)を示し、横軸は波長(単位:nm)を示す。
【0028】
通常光用フィルタFnは、照射光Lを減光する減光フィルタである。そのため、図3(a)に示されるように、通常光用フィルタFnの分光特性はフラットである。なお、通常光用フィルタFnは、単なる開口(光学フィルタの無いもの)や絞り機能を兼ねたスリット(光学フィルタの無いもの)に置き換えてもよい。
【0029】
図3(b)に示されるように、特殊光用フィルタFsは、R(Red)成分、G(Green)成分、B(Blue)成分の各色成分内に透過ピーク波長を持つ半値幅の狭い狭帯域光フィルタである。B成分内の透過ピーク波長は、ヘモグロビンによる吸収率の高い波長(415nm付近)である。特殊光用フィルタFsを介した415nm付近にピーク波長を持つ狭帯域光は、生体組織の特定の内部構造(血管構造)の分光画像を撮影するのに適している。
【0030】
ドライバ263は、システムコントローラ202による制御下でDCモータ262を駆動する。回転フィルタ部260は、回転式ターレット261がDCモータ262によって回転動作することにより、ランプ208より入射された照射光Lから、スペクトルの異なる二種類の照射光(通常光と特殊光)の一方を取り出す。
【0031】
具体的には、ドライバ263は、通常モードに切り替えられると、回転式ターレット261を通常光用フィルタFnが照明光Lの光路に挿入される位置まで回転させ、特殊モードへの切り替えが無い限りは回転式ターレット261を当該位置で停止させる。また、ドライバ263は、特殊モードに切り替えられると、回転式ターレット261を特殊光用フィルタFsが照明光Lの光路に挿入される位置まで回転させ、通常モードへの切り替えが無い限りは回転式ターレット261を当該位置で停止させる。回転式ターレット261の回転位置や回転の位相は、回転式ターレット261の外周付近に形成された開口(不図示)をフォトインタラプタ264によって検出することにより制御される。
【0032】
[通常モード時の動作]
通常モード時の電子内視鏡システム1の動作を説明する。通常モードでは、通常光用フィルタFnが照明光Lの光路に挿入される。そのため、ランプ208より射出された照射光Lは、通常光用フィルタFnを透過して集光レンズ210に入射される。以下、説明の便宜上、通常光用フィルタFn透過後の照射光Lを「通常光Ln」と記す。集光レンズ210に入射された通常光Lnは、LCB(Light Carrying Bundle)102の入射端面に集光されてLCB102内に入射される。
【0033】
通常光Lnは、LCB102内を伝播して電子スコープ100の先端に配置されたLCB102の射出端面より射出され、配光レンズ104を介して被写体(体腔内の生体組織)を照射する。通常光Lnにより照射された生体組織からの戻り光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上で光学像を結ぶ。
【0034】
固体撮像素子108は、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子108は、受光面上の各画素で結像した光学像(通常光Lnにより照射された生体組織からの戻り光)を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、Bの画像信号を生成して出力する。以下、固体撮像素子108より順次出力される各画素(各画素アドレス)の画像信号を「画素信号」と記す。なお、固体撮像素子108は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。固体撮像素子108はまた、補色系フィルタを搭載したものであってもよい。
【0035】
電子スコープ100の接続部内には、ドライバ信号処理回路112が備えられている。ドライバ信号処理回路112には、通常光Lnにより照射された生体組織の画素信号が固体撮像素子108よりフレーム周期で入力される。ドライバ信号処理回路112は、固体撮像素子108より入力される画素信号をプロセッサ200の前段信号処理回路220に出力する。なお、以降の説明において「フレーム」は「フィールド」に置き替えてもよい。本実施形態において、フレーム周期、フィールド周期はそれぞれ、1/30秒、1/60秒である。
【0036】
ドライバ信号処理回路112はまた、メモリ114にアクセスして電子スコープ100の固有情報を読み出す。メモリ114に記録される電子スコープ100の固有情報には、例えば、固体撮像素子108の画素数や感度、動作可能なフレームレート、型番等が含まれる。ドライバ信号処理回路112は、メモリ114より読み出された固有情報をシステムコントローラ202に出力する。
【0037】
システムコントローラ202は、電子スコープ100の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ202は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている電子スコープに適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
【0038】
タイミングコントローラ204は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路112にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路112は、タイミングコントローラ204から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0039】
前段信号処理回路220は、ドライバ信号処理回路112よりフレーム周期で入力されるR、G、Bの各画素信号に対してデモザイク処理を施す。具体的には、Rの各画素信号についてG、Bの周辺画素による補間処理が施され、Gの各画素信号についてR、Bの周辺画素による補間処理が施され、Bの各画素信号についてR、Gの周辺画素による補間処理が施される。これにより、1つの色成分の情報しか持たなかった画素信号が全て、3つの色成分の情報(R信号、G信号及びB信号)を持つ画素信号に変換される。
【0040】
前段信号処理回路220は、デモザイク処理後の画素信号にマトリックス演算、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理等の所定の信号処理を施して特殊画像処理回路230に出力する。
【0041】
特殊画像処理回路230は、前段信号処理回路220より入力される画素信号を後段信号処理回路240へスルー出力する。
【0042】
後段信号処理回路240は、特殊画像処理回路230より入力される画素信号に所定の信号処理を施してモニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、モニタ300に出力される。これにより、生体組織のカラー画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0043】
[特殊モード時の動作]
次に、特殊モード時の電子内視鏡システム1の動作を説明する。特殊モードでは、特殊光用フィルタFsが照明光Lの光路に挿入される。そのため、ランプ208より射出された照射光Lは、特殊光用フィルタFsを透過して集光レンズ210に入射される。以下、説明の便宜上、特殊光用フィルタFs透過後の照射光Lを「特殊光Ls」と記す。集光レンズ210に入射された特殊光Lsは、LCB102の入射端面に集光されてLCB102内に入射される。
【0044】
特殊光Lsは、LCB102内を伝播してLCB102の射出端面より射出され、配光レンズ104を介して生体組織を照射する。特殊光Lsにより照射された生体組織からの戻り光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上で光学像を結ぶ。
【0045】
固体撮像素子108は、受光面上の各画素で結像した光学像(特殊光Lsにより照射された生体組織からの戻り光)を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、Bの各画素信号を生成して出力する。
【0046】
ドライバ信号処理回路112には、特殊光Lsにより照射された生体組織の画素信号が固体撮像素子108よりフレーム周期で入力される。ドライバ信号処理回路112は、固体撮像素子108より入力される画素信号を前段信号処理回路220に出力する。
【0047】
前段信号処理回路220は、ドライバ信号処理回路112よりフレーム周期で入力される画素信号に対してデモザイク処理、マトリックス演算、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理等の所定の信号処理を施して特殊画像処理回路230に出力する。
【0048】
特殊画像処理回路230は、前段信号処理回路220より入力される画素信号を用いて下記の特殊画像処理フローを実行して特殊画像の画素信号を生成して後段信号処理回路240に出力する。後段信号処理回路240は、特殊画像処理回路230より入力される特殊画像の画素信号を所定のビデオフォーマット信号に変換してモニタ300に出力する。これにより、生体組織の特殊画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0049】
[特殊画像処理回路230による特殊画像生成フロー]
図4は、特殊画像処理回路230による特殊画像処理フローを示す。
【0050】
図4のS11(特殊光用フィルタの光路への挿入)]
本処理ステップS11では、特殊モードへの切り替え後、特殊光用フィルタFsが照明光Lの光路に挿入される。
【0051】
図4のS12(現フレームの画素信号の入力)]
本処理ステップS12では、前段信号処理回路220より現フレームの画素信号(3つの色成分の情報(R信号、G信号及びB信号)を持つ画素信号)が入力される。
【0052】
図4のS13(注目画素の選択)]
本処理ステップS13では、全ての画素の中から所定の順序に従い一つの注目画素が選択される。
【0053】
図4のS14(B信号の画素値判定)]
本処理ステップS14では、処理ステップS13(注目画素の選択)にて選択された注目画素について、B信号の画素値が所定の範囲に収まる値か否かが判定される。所定の範囲の上限値を超えるB信号、下限値を下回るB信号はそれぞれ、ハイライト部分、陰影部分であり情報が損失している。すなわち、本処理ステップS14では、注目画素のB信号がハイライト部分であるか否か及び陰影部分であるか否かが判定される。
【0054】
図4のS15(画素値の加算)]
本処理ステップS15は、処理ステップS14(B信号の画素値判定)にて注目画素のB信号の画素値が所定の範囲に収まる値と判定された場合(S14:YES)に実行される。本処理ステップS15では、注目画素のB信号の画素値が計算用加算値に加算される。ここで、計算用加算値は、特殊画像処理回路230のバッファ230Aに格納された値であり、現フレームに対するこれまでの処理で所定の範囲に収まると判定されたB信号の画素値の合計値を示す。なお、計算用加算値は、次フレームに対する特殊画像処理フローの実行開始時にゼロにリセットされる。
【0055】
図4のS16(全画素に対する処理の実行完了判定)]
本処理ステップS16は、処理ステップS14(B信号の画素値判定)にて注目画素のB信号の画素値が所定の範囲に収まらない値と判定された場合(S14:NO)に、又は処理ステップS15(画素値の加算)にて注目画素のB信号の画素値が計算用加算値に加算されると実行される。本処理ステップS16では、現フレームの全ての画素に対して処理ステップS14(B信号の画素値判定)の画素値判定処理が実行されたか否かが判定される。
【0056】
処理ステップS14(B信号の画素値判定)の画素値判定処理が未実行の画素が残っている場合(S16:NO)、本フローは処理ステップS13(注目画素の選択)に戻り、次の注目画素が選択され、選択された注目画素に対して処理ステップS14(B信号の画素値判定)の画素値判定処理が実行される。
【0057】
図4のS17(基準値の算出)]
本処理ステップS17は、現フレームの全ての画素に対して処理ステップS14(B信号の画素値判定)の画素値判定処理が実行されたと判定された場合(S16:YES)に実行される。本処理ステップS17では、バッファ230Aに格納されている計算用加算値(所定の範囲に収まるB信号の画素値の合計値)が、B信号の画素値が所定の範囲に収まる画素の総数で除算されることにより、所定の基準値(所定の範囲に収まるB信号の平均画素値)が算出される。
【0058】
図4のS18(表面反射成分の画素信号の生成)]
図5は、特殊光Lsを生体組織に照射したときのB成分の狭帯域光の様子を模式的に示す。図5に示されるように、特殊光Lsが生体組織に照射されると、B成分の狭帯域光は、一部が生体組織の表面(例えば粘膜等)で反射されて固体撮像素子108に受光され、一部が生体組織内での散乱や吸収を経た後に固体撮像素子108に受光される。但し、粘膜等の無い領域に照射されたB成分の狭帯域光は、生体組織の表面で実質的に反射せず、一部が生体組織内での散乱や吸収を経た後に固体撮像素子108に受光されるだけである。以下、説明の便宜上、生体組織の表面で反射されて固体撮像素子108に受光される成分を「表面反射成分」と記し、生体組織内での散乱や吸収を経た後に固体撮像素子108に受光される成分を「内部反射成分」と記す。
【0059】
このように、固体撮像素子108の各画素に受光されるB成分は、415nm付近にピーク波長を持つ狭帯域光を用いることにより、表面反射成分と内部反射成分の両方の情報を含むものと、内部反射成分のみの情報を含むものとに大別することができる。表面反射成分は、ヘモグロビンによる吸収がないため強度が高いが、内部反射成分は、ヘモグロビンによる吸収が支配的であるため強度が低い。そのため、B成分について、表面反射成分と内部反射成分の両方の情報を含む画素は、処理ステップS17(基準値の算出)にて算出された基準値(平均画素値)よりも高い画素値で分布し、内部反射成分のみの情報を含む画素は、基準値(平均画素値)よりも低い画素値で分布する。なお、図5では、反射成分の強度が視覚的に容易に把握できるように、強度の高い表面反射成分が太線で示され、強度の低い内部反射成分が破線で示される。
【0060】
そこで、本実施形態では、B信号の画素値が基準値(平均画素値)よりも高い画素は、表面反射成分と内部反射成分の両方の情報を含む画素として取り扱われる。また、B信号の画素値が基準値(平均画素値)よりも低い画素は、内部反射成分のみの情報を含む画素として取り扱われる。
【0061】
本処理ステップS18では、現フレームの各画素において、B信号の画素値が基準値(平均画素値)で減算される。減算後にマイナスとなった画素値はゼロにリセットされる。次いで、各画素において、R信号及びG信号の画素値が基準値で減算されたB信号と同一の画素値に置き換えられることにより、表面反射成分の画素信号(以下、「表面反射画素信号」と記す。)が生成される。このように、各画素において、表面反射画素信号は、同一画素値のR信号、G信号及びB信号よりなる。
【0062】
基準値減算後であっても画素値がプラスの画素は、表面反射成分と内部反射成分の両方を含む情報から内部反射成分の情報を減算したもの、すなわち、表面反射成分のみの情報を持つ画素とみなされる。また、基準値減算後に画素値がゼロ又はマイナスの(以後ゼロにリセットされた)画素は、内部反射成分の情報から内部反射成分の情報を減算したもの、すなわち、表面反射成分の情報も内部反射成分の情報も持たない画素とみなされる。
【0063】
このように、本処理ステップS18では、処理ステップS17(基準値の算出)にて算出された基準値(平均画素値)によるB信号の減算処理並びにR信号及びG信号の置換処理を行うことにより、表面反射成分と内部反射成分とが混在する情報の中から表面反射成分の情報(表面反射画素信号)のみが生成される。表面反射成分と内部反射成分の両方の情報を含む画素と、内部反射成分のみの情報を含む画素とが基準値(平均画素値)によって精度良く区分されるため、表面反射成分の情報(表面反射画素信号)が精度良く抽出される。
【0064】
図4のS19(内部反射成分の画素信号の生成)]
本処理ステップS19では、現フレームの画素信号(3つの色成分の情報(R信号、G信号及びB信号)を持つ画素信号)から処理ステップS18(表面反射成分の画素信号の生成)にて生成された表面反射画素信号が減算される。すなわち、表面反射成分と内部反射成分とが混在する情報の中から表面反射成分の情報が減算される。これにより、3つの色成分の情報(R信号、G信号及びB信号)を持つ内部反射成分の画素信号(以下、「内部反射画素信号」と記す。)が生成される。
【0065】
図4のS20(表示モードの判定)]
術者は、操作パネル218を操作することにより、モニタ300の表示画面に表示させる特殊画像の表示モードを設定することができる。設定可能な表示モードには、例えば、表面反射画像表示モード、内部反射画像表示モード、合成画像表示モードがある。本処理ステップS20では、現在設定されている特殊画像の表示モードが判定される。
【0066】
図4のS21(表面反射画素信号の出力)]
本処理ステップS21は、処理ステップS20(表示モードの判定)にて現在設定されている特殊画像の表示モードが表面反射画像表示モードと判定された場合(S20:表面反射画像表示モード)に実行される。本処理ステップS21では、処理ステップS18(表面反射成分の画素信号の生成)にて生成された表面反射画素信号が後段信号処理回路240に出力される。これにより、生体組織の表面反射成分の画像(主に生体組織を覆う粘膜の画像)がモニタ300の表示画面に表示される。疾患の中には粘膜の喪失を伴うものがある。生体組織の表面反射成分の画像は、この種の疾患に対する判断材料となる。
【0067】
図4のS22(内部反射画素信号の出力)]
本処理ステップS22は、処理ステップS20(表示モードの判定)にて現在設定されている特殊画像の表示モードが内部反射画像表示モードと判定された場合(S20:内部反射画像表示モード)に実行される。本処理ステップS22では、処理ステップS19(内部反射成分の画素信号の生成)にて生成された内部反射画素信号が後段信号処理回路240に出力される。これにより、生体組織の内部反射成分の画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0068】
図4のS23(合成画素信号の生成及び出力)]
本処理ステップS23は、処理ステップS20(表示モードの判定)にて現在設定されている特殊画像の表示モードが合成画像表示モードと判定された場合(S20:合成画像表示モード)に実行される。本処理ステップS23では、処理ステップS18(表面反射成分の画素信号の生成)にて生成された表面反射画素信号と処理ステップS19(内部反射成分の画素信号の生成)にて生成された内部反射画素信号とが所定の重み係数で合成されることにより、合成画素信号が生成される。生成された合成画素信号は、後段信号処理回路240に出力される。これにより、例えば、生体組織の表面反射成分を弱めつつ内部反射成分を強めた合成画像がモニタ300の表示画面に表示される。合成時の重み係数は、操作パネル218の操作により適宜設定変更可能である。
【0069】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。例として、図4の処理ステップS17(基準値の算出)にて算出される基準値は、平均画素値に限らず、図4の処理ステップS14(B信号の画素値判定)にて所定の範囲に収まるB信号の画素値の中央値や、所定の範囲に収まるB信号の最大値及び最小値の加重平均値であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 電子内視鏡システム
100 電子スコープ
102 LCB
104 配光レンズ
106 対物レンズ
108 固体撮像素子
112 ドライバ信号処理回路
114 メモリ
200 プロセッサ
202 システムコントローラ
204 タイミングコントローラ
206 ランプ電源イグナイタ
208 ランプ
210 集光レンズ
212 メモリ
218 操作パネル
220 前段信号処理回路
230 特殊画像処理回路
230A バッファ
240 後段信号処理回路
260 回転フィルタ部
261 回転式ターレット
Fn 通常光用フィルタ
Fs 特殊光用フィルタ
262 DCモータ
263 ドライバ
264 フォトインタラプタ
図1
図2
図3
図4
図5