(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対象ソーラーパネルの発電出力値を、前記取得した情報と、前記対象ソーラーパネル及び前記他のソーラーパネルの各々の発電出力値に影響を及ぼす要因の違いに基づく補正係数とを用いて計算することによって、取得する請求項1に記載の発電出力値推定方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1には、ソーラーパネルの疑似モデルを作成し、作成した疑似モデルを用いて、発電出力値を推定する推定装置10が示されている。
図1に示すように、推定装置10は、表示装置12、コンピュータ本体14、キーボード16、及びマウス18を備えている。なお、推定装置10は、発電出力値推定装置の1例である。
【0013】
図2には、推定装置10のブロック図が示されている。
図2に示すように、推定装置10は、処理部としてのCPU20と、記憶部としてのROM22、RAM24、及び2次記憶装置26と、表示装置12と、入力部としてのキーボード16及びマウス18とを備えている。
【0014】
図3には、発電出力値関連データテーブル130T1が示されている。発電出力値関連データテーブル130T1は、
図2の2次記憶装置26に記憶されている。
図3に示すように、発電出力値関連データテーブル130T1は、既存のソーラーパネルの複数の設置場所の各々に対応して発電出力値に関するデータを記憶している。発電出力値に関するデータは、例えば、発電出力値に影響を及ぼす要因のデータと、発電出力値とが含まれている。発電出力値に影響を及ぼす要因のデータには、ソーラーパネルの種類と太陽光の受光状態を示すデータとが含まれる。太陽光の受光状態を示すデータには、次のデータが含まれる。即ち、例えば、第1に、平成25年8月20日の午後2時における太陽光の高度のデータが含まれる。第2に、ソーラーパネルにおける受光面の面積のデータが含まれる。第3に、受光面の平成25年8月20日の午後2時における裏面の温度のデータが含まれる。第4に、8月20日の午後2時における単位時間及び単位面積当たりの受光面における受光量のデータが含まれる。ソーラーパネルの種類は、ソーラーパネルにおける発電素子を基準にした種類である。そして、発電出力値関連データテーブル130T1には、太陽光の高度〜発電出力値を取得した日時のデータも対応して記憶されている。例えば、北海道に設置されているソーラーパネルに対応して、y1m1d1t1=25-8-20-14:00、即ち、平成25年8月20日午後2時等である。
【0015】
図4には、推定装置10の機能ブロック図が示されている。推定装置10は、2次記憶装置26からデータを読み込むデータ読み込み部32、及び疑似モデルを作成する疑似モデル作成部34を備えている。また、推定装置10は、発電出力値を推定する発電出力値推定部36、推定された発電出力値を表示装置12に表示する発電出力値表示部38、及び繰り返し処理部40を備えている。
【0016】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
最初に、参考として、
図5に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムを説明する。
図5に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムでは、既存のソーラーパネルの発電出力値関連データを用いて、当該発電出力値関連データに対応する既存のソーラーパネルの発電出力値を推定するものである。例えば、2月20日の午前10時における発電出力値を推定する例を説明する。
【0017】
ステップ52Sで、繰り返し処理部40は、
図3の発電出力値関連データテーブル130T1における各設置場所の識別変数iを0に初期化し、繰り返し処理部40は、変数iを1インクリメントする。例えば、i=1では、設置場所として北海道が識別される。
【0018】
ステップ56Sで、データ読み込み部32は、変数iで識別される設置場所iの発電出力値関連データを、
図3の発電出力値関連データテーブル130T1から読み込む。ステップ58
Sで、疑似モデル作成部34は、ノンパラメトリック法を用いて、設置場所iに設置されたソーラーパネルの発電出力値を推定するための疑似モデルを作成する。
【0019】
ステップ60Sで、発電出力値推定部36は、上記ステップ58
Sで作成された疑似モデルに、当該設置場所iの2月20日の午前10時における受光量を代入して、設置場所iに設置されたソーラーパネルの発電出力値を推定する。
【0020】
ステップ62Sで、繰り返し処理部40は、変数iがソーラーパネルの設置場所の総数Iに等しいか否かを判断する。変数iが総数Iに等しくない場合には、以上の処理(ステップ56S〜ステップ62S)を実行していないソーラーパネルがあるので、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、ステップ54Sに戻る。
【0021】
変数iが総数Iに等しい場合には、上記処理(ステップ54S〜ステップ62S)を全てのソーラーパネルについて実行したので、ステップ64Sで、発電出力値表示部38は、各設置場所に設置されたソーラーパネルの発電出力値を、表示装置12に表示して、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムが終了する。
【0022】
図6には、第1実施形態における疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムが示されている。なお、
図6に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、発電出力値推定プログラムの1例である。
以下、例えば、2月20日の午前10時における発電出力値を推定する例を説明する。
【0023】
前述したように上記参考例では、既存のソーラーパネルの発電出力値関連データを用いて、当該発電出力値関連データに対応する既存のソーラーパネルの発電出力値を推定する。これに対し、第1実施形態では、発電出力値を計算する対象の対象ソーラーパネルとは異なる他のソーラーパネルの発電出力値に関する情報を取得し、取得した情報を用いて、対象ソーラーパネルの発電出力値を推定するものである。
【0024】
ステップ52で、繰り返し処理部40は、ソーラーパネルの種類を識別する変数jを0に初期化し、ステップ54で、繰り返し処理部40は、変数jを1インクリメントする。例えば、変数j=1の場合、シリコン系のソーラーパネルを識別する。
【0025】
ステップ56で、データ読み込み部32は、変数jで識別される種類jのソーラーパネルの発電出力値関連データを、
図3の発電出力値関連データテーブル130T1から読み込む。例えば、上記のように変数j=1でシリコン系が識別される場合、ステップ56では、北海道、静岡県、沖縄県に対応して記憶されている発電出力値関連データを読み込む。
【0026】
ステップ58で、疑似モデル作成部34は、ノンパラメトリック法を用いて、種類jのソーラーパネルの発電出力値を推定するための疑似モデルを、対象ソーラーパネルとは異なる他のソーラーパネルの発電出力値に関する情報として作成する。なお、疑似モデル作成部34は、第1の取得部の1例である。
【0027】
ステップ60で、発電出力値推定部36は、ステップ58で、作成した疑似モデルに、2月20日の午前10時における受光量を代入して、種類jの各ソーラーパネルの発電出力値を推定する。なお、上記代入する受光量は、種類jに対応する各設置場所における2月20日の午前10時における受光量である。なお、発電出力値推定部36は、第2の取得部の1例である。
【0028】
ステップ62で、繰り返し処理部40は、変数jが、ソーラーパネルの種類の総数Jに等しいか否かを判断する。変数jが総数Jに等しくない場合は、上記処理(ステップ54〜ステップ62)を実行していない種類があるので、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、ステップ54に戻る。
【0029】
一方、変数jが総数Jに等しい場合には、上記処理(ステップ54〜ステップ62)を、全ての種類について実行したので、ステップ64で、発電出力値表示部38は、各種類における対象ソーラーパネルの発電出力値を、表示装置12に表示して、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムが終了する。
【0030】
ここで、上記第1実施形態では、各種類における対象ソーラーパネルの発電出力値を推定するために、当該種類の全てのソーラーパネルの発電出力値関連データを用いている。よって、ステップ58における疑似モデルは、各種類のソーラーパネルの平均的なソーラーパネルの疑似モデルを想定している。よって、想定した平均的なソーラーパネルは、各種類における対象ソーラーパネルとは異なる他のソーラーパネルに該当する。
【0031】
なお、各種類における対象ソーラーパネルの発電出力値を推定するためには、各種類における対象ソーラーパネルの発電出力値関連データを用いる場合に限られない。各種類の対象ソーラーパネルの発電出力値を推定するために、対象ソーラーパネルの発電出力値が得られていない場合等において、対象ソーラーパネル以外の他の同じ種類のソーラーパネルの発電出力値関連データを用いるようにしてもよい。
【0032】
次に、第1実施形態の効果を説明する
上記のように、第1実施形態では、同じ種類の他の少なくとも1つのソーラーパネルの疑似モデルを、発電出力値に関する情報として取得し、取得した疑似モデルに基づいて対象ソーラーパネルの発電出力値を推定する。よって、対象ソーラーパネルにおける発電出力値関連データがなくとも、対象ソーラーパネルの発電出力値を推定することができる。
【0033】
一般的に、発電素子が異なる種類の他のソーラーパネルの疑似モデルを用いて対象ソーラーパネルの発電出力値を推定しても、推定した対象ソーラーパネルの発電出力値と現実の発電出力値との間の誤差が大きい。しかし、第1実施形態では、対象ソーラーパネルと、発電素子が同じ種類の他の少なくとも1つのソーラーパネルの疑似モデルを用いて対象ソーラーパネルの発電出力値を推定する。よって、推定した対象ソーラーパネルの発電出力値を、現実の発電出力値に近づけることができる。
【0034】
更に、第1実施形態では、上記疑似モデルを、ノンパラメトリック法に基づいて作成するので、疑似モデルを正確に作成することができ、発電出力値を精度よく推定することができる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成とほぼ同じである。但し、以下の2つの点が異なる。
第1の構成の違いは、2次記憶装置26には、以下の3つの補正係数が記憶されている点にある。
補正係数は、基準となる基準ソーラーパネル及び対象ソーラーパネルの発電出力値に影響を及ぼす各要因の違いに基づいて、基準ソーラーパネルの疑似モデルを対象ソーラーパネル用に補正するための補正係数L、M、Nである。
【0036】
図7(A)は、太陽光の高度を基準とした高度基準補正係数テーブル72が示され、(B)は、高度基準補正係数を求める原理を説明するグラフを示し、(C)は、補正係数Laの具体的な内容が示されている。
【0037】
図7(A)における高度基準補正係数テーブル72における最初の行には、基準ソーラーパネルと第1の対象ソーラーパネルにおける設置場所の太陽光の高度の相違Δθaと、補正係数Laが対応して記憶され、第2番目の行には、基準ソーラーパネルと第2の対象ソーラーパネルにおける設置場所の太陽光の高度の相違Δθbと補正係数Lbとが対応して記憶されている。このように、高度基準補正係数テーブル72には、各々異なる複数の太陽光の高度の相違Δθの各々に対応して補正係数Lが記憶されている。
【0038】
補正係数Laの設定方法は次の通りである。
図7(B)には、基準ソーラーパネルと第1の対象ソーラーパネルにおける受光量と発電出力値との関係が示されている。
【0039】
図7(B)に示すように、受光量Uxにおいて、基準ソーラーパネルの発電出力値はwxcであるのに対し、第1の対象ソーラーパネルにおける発電出力値はwx1である。基準ソーラーパネルにおける太陽光の高度はθCであるのに対し、第1のソーラーパネルにおける太陽光の高度はθ1であり、太陽光の高度の相違Δθは、Δθa=θc−θ1である。このように、基準ソーラーパネルと第1の対象ソーラーパネルにおける太陽光の高度の相違Δθ=Δθaに応じて、発電出力値がwxc、wx1のように変化する。よって補正係数Laは、wx1/wxcである。
【0040】
図8(A)には、受光面の面積を基準とした、面積基準補正係数テーブル74が示されている。面積基準補正係数テーブル74には、各々異なる複数の面積の相違Δsの各々に対応して補正係数Mが記憶されている。
図8(B)には、面積基準の補正係数を求める原理を説明するグラフが示されている。
図8(C)には、受光面の面積の相違Δs=Δsa=sc−s1の場合における補正係数Maの内容が示されている。
【0041】
図8(B)に示すように、受光面の面積の相違Δs=Δsa=sc−s1に応じて、発電出力値がwyc、wy1のように変化する。よって、補正係数Ma=wy1/wycである。
【0042】
図9(A)には、受光面の裏面温度を基準とした裏面温度基準補正係数テーブル76が示されている。裏面温度基準補正係数テーブル76には、各々異なる裏面温度の相違ΔTの各々に対応して補正係数Nが記憶されている。
図9(B)には、裏面温度を基準とする補正係数を特定する原理を示すグラフが示されている。
図9(C)には、受光面の裏面温度の相違ΔT=ΔTa=Tc−T1の場合における補正係数Naが示されている。
【0043】
図9(B)に示すように、受光面の裏面温度の相違ΔT=ΔTa=Tc−T1に応じて、発電出力値がwzc、wz1のように変化する。よって、補正係数Naは、wz1/wzcである。
【0044】
以上説明した例では、発電出力値に影響を及ぼす要因は、太陽光の高度、受光面の面積、及び受光面の裏面温度であるが、上記要因は上記3つ以外にも、例えば、次の要因もある。受光面の設置面に対する角度である。設置面に対する角度が違うと、受光面への汚れの付き方が変わり、現実の受光量に影響を及ぼすからである。また、経年もある。経年劣化により、ソーラーパネルの発電効率に影響を及ぼすからである。また、更に、メーカーもある。メーカーによってソーラーパネルにおける太陽電池の発電効率が異なるからである。
【0045】
よって、これらの要因についても、上記のように補正係数を設けて発電出力値を補正係数で補正するようにしてもよい。また、補正係数は、各要因のそれぞれについて設けているが、全体として1つの補正係数としてもよい。何故なら、1つの要因と他の要因とが相互に関連することもあるからである。
また、上記各相違は絶対値でもよい。
更に、太陽光の高度の相違は、単なる差や差の絶対値だけではなく、例えば、太陽光の高度の相違の各々異なる複数の種類の各々に対応して、補正係数Lを記憶するようにしてもよい、例えば、太陽光の高度の相違が、同じ10°であっても、90°−80°、50°−40°、20°−10°のように、太陽光の高度の相違の各々異なる複数の種類の各々について発電出力値への影響が異なる。そこで、太陽光の高度の相違の各々異なる複数の種類の各々について補正係数を記憶するようにしてもよい。
【0046】
第2の構成の違いについて説明する。第2実施形態では、
図10に示す発電出力値関連データテーブル130T2に示すように、ソーラーパネルの各種類に1つのソーラーパネルを上記基準ソーラーパネルとし、各基準ソーラーパネルに対応して実測した発電出力値が記憶されている。しかし、各種類の基準ソーラーパネル以外の対象ソーラーパネルについては、実測した発電出力値は記憶されていない。例えば、シリコン系の基準ソーラーパネルは、北海道に設置されており、当該基準ソーラーパネルに対応して実測した発電出力値が記憶されている。しかし、各種類の基準ソーラーパネル以外の対象ソーラーパネル、例えば、静岡県や沖縄県に設置されているソーラーパネルには、実測した発電出力値は存在していない。
【0047】
次に、第2実施形態の作用を説明する。
図11には、第2実施形態における疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムのフローチャートである。なお、
図11に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、発電出力値推定プログラムの1例である。
上記のように、第2実施形態では、各種類の基準ソーラーパネル以外の対象ソーラーパネルについては、実測した発電出力値がなく、当該対象ソーラーパネルの発電出力値を推定するものである。
【0048】
ステップ82で、繰り返し処理部40は、ソーラーパネルの種類を識別する変数jを0に初期化し、ステップ84で、繰り返し処理部40は、変数jを1インクリメントする。上記のように、変数j=1の場合、シリコン系のソーラーパネルの種類が識別される。
【0049】
ステップ86で、疑似モデル作成部34は、種類jのソーラーパネルの発電出力値を推定するための基準疑似モデルfjを、発電出力値に関連する情報として作成する。なお、基準疑似モデルfjは、変数j=1でシリコン系が識別される場合には、北海道に設置されたソーラーパネルの疑似モデルである。ステップ86は、上記参考例のステップ56S、58Sと同様であるので、その説明を省略する。なお、疑似モデル作成部34は、第1の取得部の1例である。
【0050】
ステップ88で、繰り返し処理部40は、種類jにおける基準ソーラーパネル以外の対象ソーラーパネルの設置場所を識別する変数kを1に初期化し、ステップ90で、繰り返し処理部40は、変数kを1インクリメントする。例えば、変数j=1でシリコン系が識別される場合、変数k=1で、静岡県が識別され、変数k=2で、沖縄県が識別される。
【0051】
ステップ92で、データ読み込み部32は、変数kで識別される設置場所kの発電出力値関連データを、発電出力値関連データテーブル130T2(
図10参照)から読み込む。
【0052】
ステップ94で、疑似モデル作成部34は、基準ソーラーパネルと、変数kで識別される設置場所kに設置された対象ソーラーパネルkにおける太陽光の高度の相違Δθを計算する。即ち、例えば、北海道に設置されたソーラーパネルが基準ソーラーパネルであり、変数kで識別される設置場所が静岡県の場合を例にとり説明する。疑似モデル作成部34は、北海道の基準ソーラーパネルにおける太陽光の高度θ1と、静岡県に設置されている対象ソーラーパネルの太陽光の高度θ5との相違Δθ=θ1−θ5を計算する。
【0053】
ステップ96で、疑似モデル作成部34は、太陽光の高度を基準とした補正係数Lkを、
図7の高度基準補正係数テーブル72から読み出す。上記のように、高度基準補正係数テーブル72には、各々異なる複数の太陽光の高度の相違Δθの各々に対応して補正係数Lが記憶されている。しかし、ステップ94で計算された太陽光の高度の相違Δθが、高度基準補正係数テーブル72に記憶されていない場合には、疑似モデル作成部34は、まず、高度基準補正係数テーブル72から、ステップ94で計算された太陽光の高度の相違Δθを挟む2つの陽光の高度の相違と、対応する2つの補正係数とを読み出す。そして、疑似モデル作成部34は、ステップ94で計算された太陽光の高度の相違Δθに対応する補正係数を、上記対応する2つの補正係数について線形補完を行って、得る。
【0054】
ステップ98で、疑似モデル作成部34は、受光面の面積の相違ΔSを計算する。即ち、例えば、上記例では、北海道に設置された基準ソーラーパネルにおける入射面の面積S1と、静岡県に設置された対象ソーラーパネルの受光面の面積S5との相違ΔS=S1−S5を計算する。
【0055】
ステップ100で、疑似モデル作成部34は、面積基準補正係数テーブル74から、上記受光面の面積の相違ΔSに対応する補正係数Mkを読み出す。なお、面積基準補正係数テーブル74に、上記受光面の面積の相違ΔS及び補正係数Mkが記憶されていない場合には、上記ステップ96で説明したように、線形補完を行って、補正係数Mkを得る。
【0056】
ステップ102で、疑似モデル作成部34は、受光面の裏面温度の相違ΔTを計算する。即ち、例えば、上記例では、北海道に設置された基準ソーラーパネルの受光面の裏面温度T1と静岡県に設置された対象ソーラーパネルの裏面温度T5との相違ΔT=T1−T5を計算する。
【0057】
ステップ104で、疑似モデル作成部34は、
図9(A)に示す裏面温度基準補正係数テーブル76から、裏面温度の相違ΔTに対応する補正係数Nkを読み出す。なお、裏面温度基準補正係数テーブル76に、上記裏面温度の相違ΔT及び補正係数Nkが記憶されていない場合には、上記ステップ96で説明したように、線形補完を行って、補正係数Nkを得る。
【0058】
ステップ106で、疑似モデル作成部34は、設置場所kに設置された対象ソーラーパネルの発電出力値を推定するための疑似モデルgkを作成する。即ち、gk=fj×Lk×Mk×Nkを作成する。
【0059】
ステップ108で、発電出力値推定部36は、ステップ106で作成した疑似モデルgkに、2月20日の午前10時における設置場所kの受光量を代入して、設置場所kに設置されたソーラーパネルの発電出力値を推定する。なお、発電出力値推定部36は、第2の取得部の1例である。
【0060】
ステップ110で繰り返し処理部40は、変数kが種類jにおける対象ソーラーパネルの総数Kに等しいか否かを判断する。変数kが総数Kに等しくないと判断された場合には、上記処理(ステップ90〜ステップ110)を実行してない対象ソーラーパネルがあるので、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、ステップ90に戻る。変数kが総数Kに等しい場合には、種類jにおける全ての対象ソーラーパネルの発電出力値を推定したので、ステップ112で、変数jがソーラーパネルの種類の総数Jに等しいか否かを判断する。変数jが総数Jに等しくないと判断さ
れた場合には、上記処理(ステップ84〜ステップ112)の処理を実行していない種類のソーラーパネルがあるので、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、ステップ84に戻る。変数jが総数Jに等しい場合には、全ての種類の全ての対象ソーラーパネルの発電出力値を推定したので、ステップ114で、発電出力値表示部38は、各設置場所に設置された対象ソーラーパネルの発電出力値を表示装置12に表示して、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは終了する。
【0061】
次に、第2実施形態の効果を説明する。
以上説明したように、第2実施形態では、まず、発電出力値を推定する対象の対象ソーラーパネルと同じ種類の他の基準ソーラーパネルの基準疑似モデルを、対象ソーラーパネル用に補正係数で補正する。次に、補正した対象ソーラーパネル用の疑似モデルに基づいて発電出力値を推定する。よって、第2実施形態では、対象ソーラーパネルに実測された発電出力値がなくとも発電出力値を推定することができる。
【0062】
また、第2実施形態では、対象ソーラーパネルと同じ種類の基準ソーラーパネルの基準疑似モデルを対象ソーラーパネル用に補正して、対象ソーラーパネルの発電出力値を推定するので、推定した発電出力値を現実の発電出力値に近づけることができる。
【0063】
更に、第2実施形態では、疑似モデルをノンパラメトリック法に基づいて作成するので、疑似モデルを正確に作成することができ、発電出力値を精度よく推定することができる。
【0064】
次に、第2実施形態の変形例を説明する。
まず、第1変形例を説明する。上記のように、第2実施形態では、対象ソーラーパネルと同じ種類の他の基準ソーラーパネルの基準疑似モデルに補正係数で補正している。第2実施形態の第1変形例では、全ての補正係数を1とするようにしてもよい。これにより、対象ソーラーパネルの発電出力値は、第1実施形態と同様な結果となる。
【0065】
次に、第2変形例を説明する。前述したように、第2実施形態では、基準疑似モデルfjを補正(
図11のステップ106)しているが、第2変形例では、基準疑似モデルfjを用いて、基準ソーラーパネルの発電出力値を計算し、計算した基準ソーラーパネルの発電出力値を、対象ソーラーパネル用に補正するようにしてもよい。この処理は、
図12に示されている。
【0066】
図12には、第2実施形態の第2変形例における疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムが示されている。なお、
図12に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、発電出力値推定プログラムの1例である。
【0067】
第2変形例の処理(
図12)は、第2実施形態の処理(
図11)と同様な部分があるので、同様な部分には、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
図12に示すように、ステップ86の後、ステップ87で、発電出力値推定部36は、基準疑似モデルfjに基づいて、基準ソーラーパネルの発電出力値を計算する。なお、発電出力値推定部36は、第1の取得部の1例である。
【0069】
ステップ87の後にステップ88〜ステップ104が実行される。ステップ106で、発電出力値推定部36は、ステップ87で計算した基準ソーラーパネルの発電出力値に、上記補正係数Lk、Mk、Nkを乗算することにより、対象ソーラーパネル用に補正して、対象ソーラーパネルの発電出力値を求める。ステップ106の後は、ステップ108の処理が省略されてステップ110に進む。なお、発電出力値推定部36は、第2の取得部の1例である。
【0070】
次に、第3変形例を説明する。第2実施形態では、基準疑似モデルfjを対象ソーラーパネル用に補正し、第2実施形態の第2変形例では、基準疑似モデルfjから計算した基準ソーラーパネルの発電出力値を対象ソーラーパネル用に補正している。しかし、第3変形例は、次にようにする。即ち、基準疑似モデルに対応するソーラーパネルにおける入力データ及び発電出力値を、対象ソーラーパネル用に補正し、補正された入力データ及び発電出力値を用いてノンパラメトリック法により、対象ソーラーパネルの疑似モデルを求め、発電出力値を計算する。
【0071】
第1実施形態及び第2実施形態では、
図3に示すように、発電出力値関連データテーブル130T1、
図7(A)、
図8(A)、
図9(A)の各補正テーブル72、74、76が、2次記憶装置26に記憶されている。しかし、これらのテーブルのデータをキーボード16等により入力してもよい。
【0072】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態の構成は、第1実施形態の構成(
図1、
図2、
図4)とほぼ同様であるので、その説明を省略する。但し、第3実施形態の2次記憶装置26には、
図3の発電出力値関連データテーブル130T1に代えて、
図13に示す既存のソーラーパネルの態様及び疑似モデル対応テーブル120及び
図14に示すソーラーパネルの態様の相違と推定値の違いの度合いとの対応テーブル130が記憶されている。
【0073】
図13には既存のソーラーパネルの態様及び疑似モデル対応テーブル120が示されている。既存のソーラーパネルの態様及び疑似モデル対応テーブル120には、対象ソーラーパネルとは異なる他の既存の各ソーラーパネルの識別データ(SP1、SP2、…)に対応して、発電出力値に影響を及ぼす要因のデータと各ソーラーパネルの疑似モデルとが対応して記憶している。発電出力値に影響を及ぼす要因(態様)としては、第3実施形態では、
図13に示すように、ソーラーパネルの種類、ソーラーパネルのメーカー、ソーラーパネルの経年のデータである。
【0074】
ここで、メーカー及び経年が発電出力値に影響を及ぼす要因であるとしているのは、上記のように、メーカーによって、ソーラーパネルの発電能力が異なるからであり、経年も、経年劣化によって発電能力が異なるからである。
【0075】
上記疑似モデルは、参考例、第1実施形態、及び第2実施形態の何れかの方法で作成されている。例えば、他の疑似モデルを補正して求めるようにしてもよい。例えば、
図13のソーラーパネルSPiの疑似モデルfiを、ソーラーパネルSPiと同じ種類の、例えば、ソーラーパネルSP1の疑似モデルf1を補正して、求めるようにしてもよい。その他、ソーラーパネルSP1における入力データ及び発電出力値を補正し、補正された入力データ及び発電出力値を用いてノンパラメトリック法により、ソーラーパネルSPiの疑似モデルfiを求めるようにしてもよい。
【0076】
図14には、ソーラーパネルの態様の相違と推定値の違いの度合いとの対応テーブル130が示されている。
図14に示すように、ソーラーパネルの態様の相違と推定値の違いの度合いとの対応テーブル130は、ソーラーパネルの態様の相違と、発電出力値がどれだけ違うのかの度合いとを対応して記憶している。
【0077】
例えば、種類における化合物系と結晶系との違いに対応して推定値の度合い(11)が記憶されている。即ち、メーカー及び経年が同じであるが、種類のみが化合物系と結晶系とで異なる2つのソーラーパネルの内の一方のソーラーパネルの疑似モデルを用いて他方のソーラーパネルの発電出力値を推定し、推定した発電出力値と他方の現実の発電出力値の相違(差)を計算し、計算結果が11として記憶されている。その他も同様に推定値の違いの度合いが対応の相違の各パターン毎に記憶されている。
【0078】
図15には、第3実施形態の推定装置10の機能ブロック図が示されている。
図15に示すように推定装置10は、キーボード16及びマウス18を介して入力されたデータから後述する相違を抽出する抽出部132、及び抽出部132より抽出された相違から違いの度合いを読み出す読み出し部134を備えている。また、推定装置10は、度合いの合計を計算する計算部136、度合いの合計の最小値を決定する最小値決定処理部138を備えている。更に、推定装置10は、発電出力値を推定する発電出力値推定部140、表示装置12に発電出力値を表示する発電出力値表示部142、及び繰り返し処理部144を備えている。
【0079】
次に、第3実施形態の作用を説明する。
第1実施形態及び第2実施形態では、対象ソーラーパネルと同じ種類の他のソーラーパネルの疑似モデルを用いて対象ソーラーパネルの電力出力値を推定している。
【0080】
これに対し、第3実施形態では以下の点で異なる。即ち、既存の複数のソーラーパネルの疑似モデルの内で、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を算出することができる疑似モデルを、発電出力値に関する情報として探す。探した疑似モデルを用いて対象ソーラーパネルの発電出力値を推定する。
【0081】
図16には、第3実施形態の疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムが示されている。なお、
図16に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、発電出力値推定プログラムの1例である。
ステップ150で、キーボード16及びマウス18を介して、発電出力値を推定する対象の対象ソーラーパネルの態様(種類、メーカー、及び、経年)を入力する。ステップ152で、繰り返し処理部144は、
図13に示す既存のソーラーパネルを識別する変数sを0に初期化し、ステップ154で、繰り返し処理部144は、変数sを1インクリメントする。例えば、変数s=1で、ソーラーパネルSP1、変数s=2で、ソーラーパネルSP2が識別される。
【0082】
ステップ156で、抽出部132は、疑似モデルを作成する対象の対象ソーラーパネルと、変数sで識別されるソーラーパネルsとの態様の相違を抽出する。即ち、例えば、ステップ150で入力された対象ソーラーパネルの態様、即ち、ソーラーパネルにおける発電素子の種類、メーカー、経年の各々と、ソーラーパネルsの態様(
図13)の相違を抽出する。ステップ158で、読み出し部134は、各相違に対応する推定値の違いの度合いを、
図14に示すソーラーパネルの態様の相違と推定値の違いの度合いとの対応テーブル130から読み出す。
【0083】
ステップ160で、計算部136は、ステップ158で読み出した各相違に対応する推定値の違いの度合いの合計を計算し、Gsに代入する。例えば、対象ソーラーパネルとソーラーパネルsとが、化合物系と結晶系で相違し、A社とB社とで相違し、経年が1年と2年とで相違している場合には、推定値の違いの度合いとして11、4、3が読み出され、(ステップ158)、ステップ160で、読み出した度合いの合計、即ち、11+4+3=18を、Gsに代入する。
【0084】
ステップ162で、最小値決定処理部138は、変数sが1か否かを判断する。変数sが1の場合には、ステップ164で、最小値決定処理部138は、度合の合計の最小値Gminに、Gsの値を代入し、ステップ166で、最小値決定処理部138は、Kに、変数sの値を代入する。即ち、変数sが1の場合には、最初に、度合の合計の最小値Gminに、ステップ160が最初に実行されたときに代入された値が代入され、Kには、変数s=1が代入される。
【0085】
ステップ168で、繰り返し処理部144は、変数sが既存のソーラーパネルの総数Sに等しいか否かを判断する。変数sが総数Sに等しくない場合には、上記処理(ステップ154〜ステップ168)を実行していない既存のソーラーパネルがあるので、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、ステップ154に戻る。
【0086】
一方、ステップ162で、変数sが1でないと判断された場合には、ステップ170で、最小値決定処理部138は、Gsが、Gminより小さいか否かを判断する。GsがGminより小さい場合には、ステップ160で、今回算出したGsは、それより前に実行して最小値としてGminに代入された値よりも小さい。そこで、ステップ164で、最小値決定処理部138は、最小値Gminに、ステップ160で、Gsに今回代入された値を代入し、ステップ166で、Kに今回の変数sの値を代入する。一方、ステップ170で、GsがGminよりも小さいと判断されなかった場合には、ステップ160で今回計算された合計は、以前に合計が計算された値よりも小さいものではないので、ステップ164、166がスキップされる。
【0087】
ステップ168で、変数sが総数Sに等しいと判断された場合には、既存の複数(S個)のソーラーパネルの疑似モデルの内で、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルが探されたことになる。そこで、ステップ172で、読み出し部134は、発電出力値を推定する対象の対象ソーラーパネルの疑似モデルとして、Kに代入された変数sに識別されるソーラーパネルに対応する疑似モデルfsを、発電出力値に関する情報として読み出す。なお、読み出し部134は、第1の取得部の1例である。
【0088】
ステップ174で、発電出力値推定部140は、読み出した疑似モデルを用いて、対象ソーラーパネルの発電出力値を推定する。なお、発電出力値推定部140は、第2の取得部の1例である。
ステップ176で、発電出力値表示部142は、表示装置12に、発電出力値を表示して、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは終了する。
【0089】
次に、第3実施形態の効果を説明する。
上記のように第3実施形態では、既存の複数のソーラーパネルの疑似モデルの中で、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルを探す。探した疑似モデルを用いて対象ソーラーパネルの発電出力値を推定する。よって、対象ソーラーパネルの発電出力値のデータがなくとも、対象ソーラーパネルの発電出力値を推定することができる。
【0090】
次に、第3実施形態の変形例を説明する。
上記第3実施形態では、既存の複数のソーラーパネルの疑似モデルの中で、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルを、対象ソーラーパネルの疑似モデルとする。そして、当該疑似モデルを用いて対象ソーラーパネルの発電出力値を推定する。
【0091】
これに対し、以下に説明する第1変形例及び第2変形例は、以下の点で異なる。即ち、第1変形例では、上記疑似モデルを、上記第2実施形態で説明した補正係数で補正し、補正した疑似モデルに基づいて対象ソーラーパネルの発電出力値を推定する。また、第2変形例では、上記疑似モデルに基づいて推定された発電出力値を上記第2実施形態で説明した補正係数で補正し、補正した発電出力値を対象ソーラーパネルの発電出力値とする。
【0092】
第1変形例は、疑似モデルを補正する場合である。第1変形例の構成は、第3実施形態の構成とほぼ同様であるが、
図17に示す機能ブロック図が異なる。即ち、
図15に示すように、第3実施形態では、読み出し部134により読み出されたデータに基づいて、発電出力値推定部140が直接発電出力値を推定する。
【0093】
これに対し、第1変形例では、
図17に示すように、疑似モデル補正部146を設け、疑似モデル補正部146により補正された疑似モデルを用いて発電出力値推定部140が発電出力値を推定する点で相違する。
【0094】
次に、第1変形例の作用を説明する。第1変形例の作用(
図18)は、第3実施形態の作用(
図16)とほぼ同様であるので、同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
図18には、第1変形例における疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムが示されている。なお、
図18に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、発電出力値推定プログラムの1例である。
図18に示すように、第1変形例では、第3実施形態におけるステップ150〜172を実行した後、疑似モデル補正部146は、第2実施形態におけるステップ94〜106を実行し、ステップ106の後に、第3実施形態のステップ174〜176を実行する。即ち、既存の複数のソーラーパネルの疑似モデルの内で、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルに、上記読み出した補正係数L、M、Nで補正する。当該補正により、対象ソーラーパネルの疑似モデルgsを作成する。ステップ174では、疑似モデルgsに基づいて、対象ソーラーパネルの発電出力値が推定される。
なお、ステップ172における読み出し部134は第1の取得部の1例であり、ステップ174における発電出力値推定部140は、第2の取得部の1例である。
【0096】
図18において各補正係数等にkが付されていないのは、他のソーラーパネルは、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルに対応するソーラーパネルの1個だけであるからである。
【0097】
次に、第2変形例を説明する。
第2変形例では、既存の複数のソーラーパネルの疑似モデルの内で、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルに基づいて発電出力値を推定し、推定した発電出力値を補正するものである。
【0098】
第2変形例の構成は、第1の変形例の構成とほぼ同様であるが、
図19に示す機能ブロック図が異なる。即ち、
図19に示すように、第2変形例では、第1の変形例における疑似モデル補正部146(
図17)に代えて、発電出力値補正部148を備える点で相違する。
【0099】
図20には、第2変形例における疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムが示されている。なお、
図20に示す疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは、発電出力値推定プログラムの1例である。
図20に示すように、第2変形例では、第3実施形態のステップ150〜174を実行し、発電出力値補正部148が、第2実施形態のステップ94〜ステップ104を実行する。ステップ106Aで、発電出力値補正部148は、ステップ174で推定された発電出力値Wに、補正係数L、M、Nを乗算することによって補正する。そして、ステップ176を実行して、第2変形例における疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムは終了する。
なお、ステップ172における読み出し部134は第1の取得部の1例であり、ステップ106Aにおける発電出力値推定部140は、第2の取得部の1例である。
次に、第3変形例
第3実施形態では、既存の複数(S個)のソーラーパネルの疑似モデルの内で、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルを探している。しかし、次のようにしてもよい。即ち、まず、対象ソーラーパネルの発電出力値に最も近い発電出力値を推定できる疑似モデルを含めて、近い順に、所定個数、例えば、5番目までの疑似モデルを探す。これらの5つの疑似モデルのそれぞれについて発電出力値を計算し、計算した5つの発電出力値の平均値を計算する。対象ソーラーパネルの発電出力値は、この平均値とする。
【0100】
[第4実施形態]
次に、第4の実施形態を説明する。第4の実施の形態の構成は、第1の実施の形態とほぼ同様であるが、次の点で異なる。即ち、第4の実施形態では、
図21に示すように、発電出力値関連データテーブル130T3に示すように、ソーラーパネルの識別情報に対応して、発電出力値関連データとして、更に、8月20日の午後2時の平均気温が記憶されている。
【0101】
第2番目の構成の違いは、
図22に示すように電力値予測装置の機能ブロック図が異なる。
図22に示すように、電力値予測装置は、キーボード16及びマウス18により入力されたデータに基づいて、差を計算する差計算部202、ソーラーパネルをソートするソート部204、及び順位の合計を計算する順位合計計算部206を備えている。また、電力値予測装置は、他のソーラーパネルと対象ソーラーパネルとが同じ種類かを判断する判断部208、電力値を読み出す読み出し部210、表示装置214に電力値を表示する表示部212、及び繰り返し処理部216を備えている。
【0102】
次に、第4実施形態の作用を説明する。
図23には、第4実施形態における電力値予測プログラムのフローチャートが示されている。なお、
図23に示す電力値予測プログラムのフローチャートは、発電出力値推定プログラムの1例である。
【0103】
ステップ222で、キーボード16及びマウス18から、対象ソーラーパネルにおける発電出力値に影響を与える要因のデータを入力する。ステップ224で、繰り返し処理部216は、他のソーラーパネルを識別する変数eを0に初期化し、ステップ226で、繰り返し処理部216は、変数eを1インクリメントする。
【0104】
ステップ228で、繰り返し処理部216は、発電出力値に影響を与える要因を識別する変数fを0に初期化する。ステップ230で、繰り返し処理部216は、変数fを1インクリメントする。例えば、変数f=1により太陽光の高度が識別され、変数f=2により受光面の面積が識別され、変数f=3により受光面の裏面温度が識別され、変数f=4により受光量が識別され、変数f=5により気温が識別される。
【0105】
ステップ232で、差計算部202は、対象ソーラーパネルと他のソーラーパネルeとの間の要因fのデータの差を計算する。例えば、変数f=1の場合には、対象ソーラーパネルの太陽光の高度と、他のソーラーパネルeの太陽光の高度との差を計算する。
【0106】
ステップ234で、繰り返し処理部216は、変数fが、発電出力値に影響を与える要因の総数Fに等しいか否かを判断する。変数fが総数Fに等しくない場合には、以上の処理(ステップ230〜ステップ234)を実行していない他の要因があるので、電力値予測プログラムは、ステップ230に戻る。一方、変数fが総数Fに等しい場合には、全ての要因について以上の処理(ステップ230〜ステップ234)を実行したので、ステップ236で、繰り返し処理部216は、変数eが他のソーラーパネルの総数Eに等しいか否かを判断する。変数eが総数Eに等しくない場合には、以上の処理(ステップ226〜ステップ236)を実行していない他のソーラーパネルがあるので、電力値予測プログラムは、ステップ226に戻る。一方、変数eが総数Eに等しい場合には、全ての他のソーラーパネルについて以上の処理(ステップ226〜ステップ236)を実行したことになる。
【0107】
ステップ238で、繰り返し処理部216は、再度変数fを0に初期化し、ステップ240で、繰り返し処理部216は、変数fを1インクリメントする。
【0108】
ステップ242で、ソート部204は、要因fについて差が小さい順に他のソーラーパネルの識別情報をソートする。これを、説明の便宜のため、他のソーラーパネルが5つの場合を例にとり説明する。
図24には、各要因について差が小さい順に他のソーラーパネルSP1〜SP5をソートした結果が示されている。
図24に示すように、例えば、変数f=1の場合、太陽光の高度が識別され、ステップ242では、太陽光の高度について対象ソーラーパネルにおける太陽光の高度との差が小さい順にソートされている。即ち、対象ソーラーパネルにおける太陽光の高度について1位〜5位の順に、ソーラーパネルSP4、SP5、SP3、SP2、SP1がソートされている。
【0109】
ステップ244で、繰り返し処理部216は、他のソーラーパネルを識別する変数eを再度0に初期化し、ステップ246で繰り返し処理部216は、変数eを1インクリメントする。
【0110】
ステップ248で、順位合計計算部206は、他のソーラーパネルeの順位heに、上記ステップ242でソートされた結果の順位の値を加算する。
【0111】
ステップ250で、繰り返し処理部216は、変数eが総数Eに等しいか否かを判断し、変数eが総数Eに等しくない場合には、電力値予測プログラムは、ステップ246に戻る。一方、変数eが総数Eに等しい場合には、ステップ252で、繰り返し処理部216は、変数fが総数Fに等しいか否かを判断する。変数fが総数Fに等しくない場合には、電力値予測プログラムは、ステップ240に戻る。一方、変数fが総数Fに等しい場合には、電力値予測プログラムは、ステップ254に進む。
【0112】
以上の処理により、各要因について
図24に示すように、対象ソーラーパネルにおける要因との差が小さい順に1位〜5位まで、各ソーラーパネルがソートされる。
【0113】
そして、
図25に示すように、各ソーラーパネルについての順位合計hが計算される。即ち、例えば、ソーラーパネルSP1については、太陽光の高度は5位であり、受光面の面積は3位であり、受光面の裏面温度は5位であり、受光量は5位であり、気温は3位であるので、順位の合計h(SP1)は、5+3+5+5+3=21となる。以上と同様に、他の各ソーラーパネルについても同様に順位の合計が計算される。なお、各ソーラーパネルについて対象ソーラーパネルと種類が同じ場合には○が付され、種類が異なる場合には×が付されている。
【0114】
ステップ254で、繰り返し処理部216は、順位合計heの小さい順に他のソーラーパネルを識別する変数を0に初期化し、ステップ256で、繰り返し処理部216は、変数gを1インクリメントする。
【0115】
ステップ258で、判断部208は、他のソーラーパネルgが対象ソーラーパネルと同じ種類か否かを判断する。他のソーラーパネルgが対象ソーラーパネルと同じ種類の場合には、当該他のソーラーパネルgが、対象ソーラーパネルと同じ種類でかつ電力値に影響を与える要因のデータが対象ソーラーパネルの対応する要因に全体として近い。よって、当該他のソーラーパネルの発電出力値が、対象ソーラーパネルの発電出力値とほぼ等しいと予想される。このように発電出力値が対象ソーラーパネルの発電出力値とほぼ等しいと予想される他のソーラーパネルの識別情報を、発電出力値に関する情報として取得する。なお、判断部208は、第1の取得部の1例である。
【0116】
ステップ260で、読み出し部210は、発電出力値関連データテーブル130T3(
図21)から、他のソーラーパネルgの発電出力値を読み出すことにより取得し、ステップ262で、表示部212は、表示装置214に、発電出力値を表示する。なお、読み出し部210は、第2の取得部の1例である。
【0117】
一方、ステップ258で、他のソーラーパネルgが対象ソーラーパネルと同じ種類でないと判断された場合には、ステップ264で、繰り返し処理部216は、変数gが他のソーラーパネルの総数Gに等しいか否かを判断する。変数gが総数Gに等しくない場合には、電力値予測プログラムは、ステップ256に戻る。
【0118】
一方、変数gが総数Gに等しい場合には、他のソーラーパネルについて対象ソーラーパネルと同じ種類のソーラーパネルでないので、ステップ266で、表示部212は、表示装置214にエラーを表示する。
【0119】
以上の処理により、例えば、
図25に示すように、順位の合計値が最も小さいソーラーパネルは、ソーラーパネルSP5であり、2番目に小さいソーラーパネルはソーラーパネルSP4である。しかし、これらのソーラーパネルSP4、SP5は、対象ソーラーパネルとは種類が異なる。一方、対象ソーラーパネルと同じ種類で順位の合計値が最も小さいソーラーパネルは、ソーラーパネルSP3である。そこで、ステップ262で、ソーラーパネルSP3の発電出力値が読み出され、ステップ262で表示装置214に表示される。
【0120】
次に、第4実施形態の効果を説明する。上記のように、発電出力値が対象ソーラーパネルの発電出力値とほぼ等しいと予想される他のソーラーパネルの識別情報を取得する。そして、当該他のソーラーパネルの発電出力値を、対象ソーラーパネルの発電出力値として取得する。よって、対象ソーラーパネルの発電出力値が実測されていなくても、対象ソーラーパネルの発電出力値を推定することができる。
【0121】
なお、当該他のソーラーパネルの発電出力値を上記補正係数で補正してもよい。即ち、
図22における読出し部210と表示部212との間に、発電出力値推定部36(
図4)を設ける。そして、発電出力値推定部36が、
図20のステップ94〜106を実行する。
【0122】
図16のステップ150で対象ソーラーパネルの態様のデータをキーボード16等で入力し、
図23のステップ222で対象ソーラーパネルにおける発電出力値に影響を与える要因のデータをキーボード16等で入力している。しかし、これらのデータを2次記憶26に予め記憶し、各ステップでは、2次記憶装置26から読み出すようにしてもよい。
【0123】
各実施形態、各変形例では、発電出力値を表示装置12に表示している。しかし、発電出力値を、2次記憶装置26に記憶したり、予め定められた送信先に送信してり、してもよい。
【0124】
なお、疑似モデル作成発電出力値推定処理プログラムや発電出力値推定処理プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、推定装置に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0125】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0126】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。