【実施例】
【0016】
以下本発明の一実施例による瓦用片流れ換気棟について説明する。
図1は本実施例による瓦用片流れ換気棟に用いる壁側用板金を示す説明図である。
図1(a)、(b)は捨水切用板材の製作過程を示し、
図1(c)は壁側用板金本体を示し、
図1(d)は捨水切用板材と壁側用板金本体とを組み合わせて完成させた壁側用板金を示している。
【0017】
図1(a)に示すように、板材10を断面L字状に折り曲げることで形成される一片を設置用板材11、他片を捨水切用板材12としている。設置用板材11の両端を端部から所定寸法の位置で切断し、捨水切用板材12の両端を端部から所定寸法の位置で折り曲げることで、
図1(b)に示すように、捨水切用板材12を設置用板材11から立ち上げている。
本実施例によれば、捨水切用板材12と、この捨水切用板材12を設置するための設置用板材11とを1枚の板材で形成することができ、製作が容易であるとともに施工性が向上する。
【0018】
図1(c)に示すように、壁側用板金本体20は、野地板に載置される野地面載置板材21と、野地面載置板材21の端部と連接されて冠瓦に近接する方向に延出する垂直板材22と、垂直板材22の端部と連接されて壁面の外方向に延出する傾斜板材23と、傾斜板材23の端部と連接されて壁面に配置される垂下板材24と、垂下板材24と平行に配置されて破風下地に固定される破風下地固定板材25と、垂下板材24と破風下地固定板材25とを連接する連接板材26とを有している。
野地面載置板材21には換気開口27を形成している。換気開口27は、野地面載置板材21の端部、すなわち垂直板材22に接する位置に形成している。
連接板材26の下方で、垂下板材24と破風下地固定板材25との間には、破風板のみこみ部Aを形成している。
また、垂直板材22と破風下地固定板材25との間には、空間Bを形成している。
【0019】
図1(d)に示すように、捨水切用板材12を換気開口27の外周に配置し、設置用板材11を野地面載置板材21に載置して固定する。
少なくとも、野地面載置板材21、垂直板材22、傾斜板材23、及び垂下板材24は一枚の板材を折り曲げて形成されている。
【0020】
図2及び
図3は、本実施例による瓦用片流れ換気棟を設置した状態を示す断面図である。
片流れ屋根は、垂木2を斜め下方に傾斜して設け、垂木2の上部には野地板3を設け、野地板3の上方には屋根瓦4が敷設されている。
垂木2の棟側端面には破風下地5を設けている。破風下地5の屋外側面には、破風板6が配置される。
片流れ屋根の棟頂部には棟桟7を取り付け、棟桟7に冠瓦8を配置する。
野地板3には屋根裏と連通する換気口9を設けている。
【0021】
換気部材30は、片流れ屋根に施工される屋根瓦4と冠瓦8との間に設置される。換気部材30は、通気経路を形成した換気役物である。
壁側用板金1は、片流れ屋根の壁面に施工される破風板6と冠瓦8との隙間を封止するように配置される。
野地面載置板材21は、野地板3に載置され、垂下板材24は壁面に配置される。野地面載置板材21に形成している換気開口27は、換気口9の位置に配置する。破風下地固定板材25は、破風下地5にビスによって固定される。
破風下地固定板材25を破風下地5に固定した後に、破風板6が設置される。
破風板6は、破風板のみこみ部Aに上端部を挿入して設置される。破風板のみこみ部Aに破風板6の上端部を配置することで、破風板のみこみ部Aで破風板6の位置決めができるため施工性が向上する。
【0022】
本実施例では、冠瓦8として三角冠瓦を用い、傾斜板材23を三角冠瓦の内周面に当接させている。このように、本実施例によれば、片流れ屋根に対して、両棟で多く用いられている三角冠瓦を用いることができる。
また、本実施例では、棟桟7の上面の一部から傾斜板材23の上面の一部までを柔軟性のあるテープ状防水部材40で覆っている。このように、本実施例によれば、柔軟性のあるテープ状防水部材40を用いることで、異なる仕様の冠瓦8に用いても防水性能を確保できる。
【0023】
図2は、野地板3が破風下地5の上方に延出している場合における施工状態を示している。
図2に示す場合には、野地板3の上端部は、垂直板材22と破風下地固定板材25との間に形成された空間Bに配置される。
図3は、破風下地5が野地板3よりも上方に突出している場合における施工状態を示している。
図3に示す場合には、破風下地5の上端部は、垂直板材22と破風下地固定板材25との間に形成された空間Bに配置される。
図2及び
図3に示すように、本実施の形態によれば、破風下地5が野地板3よりも上方に突出している場合でも、野地板3が破風下地5の上方に延出している場合でも、垂直板材22と破風下地固定板材25との間に形成した空間Bに、破風下地5の上端部又は野地板3の上端部を配置して、瓦用片流れ換気棟を施工できる。
【0024】
図4は、本発明の他の実施例による瓦用片流れ換気棟を設置した状態を示す断面図である。
本実施例は、冠瓦8として片流れ冠瓦を用いた場合を示している。なお、上記実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、垂下板材24を片流れ冠瓦の内周面に当接させている。このように、本実施例によれば、片流れ冠瓦にも用いることができる。
また、本実施例では、棟桟7の上面の一部から垂下板材24の外面の一部までを柔軟性のあるテープ状防水部材40で覆っている。このように、本実施例によれば、柔軟性のあるテープ状防水部材40を用いることで、異なる仕様の冠瓦8に用いても防水性能を確保できる。
【0025】
図5は、本発明の更に他の実施例による瓦用片流れ換気棟を設置した状態を示す断面図である。
本実施例は、野地板3が破風下地5の上方に延出している場合における施工状態を示し、冠瓦8として7寸丸冠瓦を用い、傾斜板材23を7寸丸冠瓦の内周面に当接させている。なお、上記実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
図6は、本発明の更に他の実施例による瓦用片流れ換気棟を設置した状態を示す断面図である。
本実施例は、破風下地5が野地板3よりも上方に突出している場合における施工状態を示し、冠瓦8として7寸丸冠瓦を用い、傾斜板材23を7寸丸冠瓦の内周面に当接させている。なお、上記実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
以上のように本実施例によれば、換気部材30と壁側用板金1とをそれぞれ分離した独立部材で構成し、換気部材30は、屋根瓦4と冠瓦8との間に設置し、野地板3に載置される野地面載置板材21によって破風板6と冠瓦8との隙間を封止することで、異なる仕様の冠瓦8に用いることができる。また、野地面載置板材21に換気開口27を形成しているため換気口9に対する換気開口27の位置決めが容易にでき、施工性が向上する。