(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に記載の積層型蓄電池は以下の課題を有していた。
【0005】
すなわち、特許文献1に記載の積層型蓄電池は、新幹線、重機などにおいて使用されると大きな加速度を受けることがあり、この場合には、封入容器による押圧力によって積層体が挟持され、正極及び負極がセパレータに押し付けられていても、セパレータに対する正極及び負極の位置がずれることになる。その結果、正極及び負極間で重なる面積が徐々に減少することになって容量が低下したり、正極と負極との間で短絡が生じたりするなど、電池性能が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池性能の低下を十分に抑制できる積層型蓄電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、第1電極、第2電極、並びに、前記第1電極及び前記第2電極の間に配置されるセパレータを有する積層体と、前記積層体を封入するとともに、前記第1電極及び前記第2電極によって前記セパレータを挟持させる封入容器とを有する積層型蓄電池であって、前記セパレータの前記第1電極側には少なくとも1つのセパレータ凹部が形成され、前記セパレータの前記第2電極側には少なくとも1つのセパレータ凸部が形成され、前記第1電極が、第1集電シートと、前記第1集電シートの少なくとも前記第2電極側に設けられる第1活物質層とを有し、前記第1活物質層が、前記セパレータ凹部に嵌合する電極凸部を有し、前記第1集電シートが、前記第1活物質層と接触する第1接触部を有し、前記第1接触部が、一定の厚さを有する第1本体部
の前記第2電極側および前記第2電極と反対側にシート凸部を設けることによって得られるものであり、前記電極凸部及び前記シート凸部が、前記積層体をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置され、前記第2電極が、第2集電シートと、前記第2集電シートの少なくとも前記第1電極側に設けられる第2活物質層とを有し、前記第2活物質層が、前記セパレータ凸部に嵌合する電極凹部を有し、前記第2集電シートが、前記第2活物質層と接触する第2接触部を有し、前記第2接触部が、一定の厚さを有する第2本体部
の前記第1電極側および前記第1電極と反対側にシート凹部を設けることによって得られるものであり、前記電極凹部及び前記シート凹部が、前記積層体をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置されている、積層型蓄電池である。
【0008】
本発明の積層型蓄電池によれば、セパレータの第1電極側には少なくとも1つのセパレータ凹部が形成され、セパレータの第2電極側には少なくとも1つのセパレータ凸部が形成され、第1電極の電極凸部がセパレータ凹部に嵌合し、第2電極の電極凹部にセパレータ凸部が嵌合している。このため、積層型蓄電池に過度な加速度が加わり、セパレータに沿って第1電極が動こうとしても、第1電極の電極凸部がセパレータ凹部に嵌合しているため、その動きは規制される。同様に、第2電極の電極凹部がセパレータ凸部に嵌合しているため、セパレータに沿って第2電極が動こうとしても、その動きは規制される。このため、セパレータに対する第1電極及び第2電極の位置ずれが十分に抑制される。
【0009】
また本発明の積層型蓄電池によれば、第1電極において、第1集電シートのうちの少なくとも第2電極側で第1集電シートに対する第1活物質層の動きが抑制されるため、第1集電シートからの第1活物質層の剥離が十分に抑制できる。また第2電極においては、第2集電シートのうちの少なくとも第1電極側で第2集電シートに対する第2活物質層の動きが抑制されるため、第2集電シートからの第2活物質層の剥離が十分に抑制できる。
【0010】
さらに電極凸部及びシート凸部は、積層体をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置されているため、第1活物質層の厚さを一定にすることが可能となる。同様に、電極凹部及びシート凹部も、積層体をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置されているため、第2活物質層の厚さを一定にすることが可能となる。
【0011】
また本発明の積層型蓄電池によれば、第1集電シートのシート凸部は、一定の厚さを有する第1本体部を屈曲することで形成されるものではなく、一定の厚さを有する第1本体部に設けられるものであるため、その形状を保持できる。また第2集電シートのシート凹部は、一定の厚さを有する第2本体部を屈曲することで形成されるものではなく、一定の厚さを有する第2本体部に設けられるものであるため、その形状を保持できる。その結果、セパレータに対する第1電極及び第2電極の位置ずれ、第1集電シートからの第1活物質層の剥離や第2集電シートからの第2活物質層の剥離が十分に抑制される効果を長期間にわたって持続させることができる。
【0012】
よって、本発明の積層型蓄電池によれば、電池特性の低下を十分に抑制できる。
【0014】
また、第1電極において、第1集電シートのうちの第2電極側のみならず第2電極と反対側でも第1集電シートに対する第1活物質層の動きが抑制されるため、第1集電シートからの第1活物質層の剥離がより十分に抑制できる。また第2電極においては、第2集電シートのうちの第1電極側のみならず、第1電極と反対側でも第2集電シートに対する第2活物質層の動きが抑制されるため、第2集電シートからの第2活物質層の剥離がより十分に抑制できる。
【0015】
上記積層型蓄電池においては、前記第1集電シートが、前記第1接触部から延び、前記封入容器に固定される第1非接触部をさらに有し、前記第2集電シートが、前記第2接触部から延び、前記封入容器に固定される第2非接触部をさらに有し、前記第1非接触部及び前記第2非接触部が前記積層体の厚さ方向から見た場合に同一の方向に沿って且つ互いに逆方向に延びており、前記第1電極の前記電極凸部が、前記第1非接触部の延び方向と直交する方向に沿って延びるように形成され、前記第2電極の前記電極凹部が、前記第2非接触部の延び方向と直交する方向に沿って延びるように形成されていることが好ましい。
【0016】
この場合、第1電極の電極凸部が第1非接触部の延び方向と直交する方向に沿って延びるように形成されていない場合、又は、第2電極の電極凹部が、第2非接触部の延び方向と直交する方向に沿って延びるように形成されていない場合に比べて、第1非接触部および第2非接触部が封入容器に固定されて両端固定梁の形態になるために生じる第1非接触部及び第2非接触部の延び方向に沿った張力による第1電極および第2電極のセパレータに対する位置ずれをより十分に抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電池特性の低下を十分に抑制できる積層型蓄電池が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態について
図1〜
図3を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の積層型蓄電池の第1実施形態を示す断面図、
図2は、
図1の第1集電シートを示す断面図、
図3は、
図1の第2集電シートを示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、積層型蓄電池100は、積層体10と、積層体10を封入する封入容器20とを有している。積層体10は、第1電極30と、第2電極40とを有しており、第1電極30と第2電極40との間には多孔質のセパレータ50が配置されている。セパレータ50には電解液(図示せず)が保持されている。封入容器20は、第1電極30と第2電極40とによってセパレータ50を挟持させている。ここで、第1電極30及びセパレータ50は互いに接着されておらず、物理的に接触している状態にある。また第2電極40及びセパレータ50も互いに接着されておらず、物理的に接触している状態にある。本実施形態では、積層型蓄電池100はラミネート型、すなわち非巻回型のリチウムイオンキャパシタで構成され、第1電極30は正極で構成され、第2電極40は負極で構成されている。
【0021】
セパレータ50は、第1電極30と第2電極40とによって挟持される挟持部51と、第1電極30と第2電極40とによって挟持されていない非挟持部52とを有しており、挟持部51の第1電極30側にはセパレータ凹部53が形成され、挟持部51の第2電極40側にはセパレータ凸部54が形成されている。ここで、セパレータ凹部53とセパレータ凸部54とは、セパレータ50の厚さ方向において重なるように配置されている。具体的には、セパレータ凹部53及びセパレータ凸部54は、セパレータ凹部53の最深部53aを通り且つセパレータ50の厚さ方向に沿った直線Lがセパレータ凸部54の頂部54aを通るように配置されている。別言すると、セパレータ凹部53及びセパレータ凸部54は、セパレータ50をその厚さ方向に見た場合に、セパレータ凹部53の最深部53aとセパレータ凸部54の頂部54aとが一致するように配置されている。
【0022】
第1電極30は、セパレータ50における挟持部51の第1電極30側の面全体と接触する電極凸部31を有しており、この電極凸部31は、セパレータ凹部53に嵌合している。第1電極30は、第1集電シート32と、第1集電シート32の両面上にそれぞれ設けられる第1活物質層33a,33bとを有している。そして、第1活物質層33aが電極凸部31を有している。
図2に示すように、第1集電シート32は、第1活物質層33a,33bと接触する第1接触部32aと、第1接触部32aから延び、活物質層33a,33bと接触しない第1非接触部32bとを有している。第1接触部32aは、一定の厚さを有する第1本体部32dの第2電極40側および第2電極40と反対側にシート凸部32cを設けることによって得られるものである。ここで、「第1本体部」とは、第1接触部32aからシート凸部32cを除いた構造を指す。そして、シート凸部32c上に第1活物質層33a,33bが設けられている。ここで、電極凸部31及びシート凸部32cは、積層体10をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置されている。またセパレータ凹部53と第1電極30の電極凸部31との境界線は本実施形態では円弧状となっている。さらに第1活物質層33bのうち封入容器20と接触している接触面S1は平坦面となっている。
【0023】
第2電極40は、セパレータ50における挟持部51の第2電極40側の面全体と接触する電極凹部41を有しており、この電極凹部41は、セパレータ凸部54と嵌合している。第2電極40は、第2集電シート42と、第2集電シート42の両面上にそれぞれ設けられる第2活物質層43a,43bとを有している。そして、第2活物質層43aが電極凹部41を有している。
図3に示すように、第2集電シート42は、第2活物質層43a,43bと接触する第2接触部42aと、第2活物質層43a,43bと接触しない第2非接触部42bとを有している。第2非接触部42bと第1非接触部32bとは、積層体10をその厚さ方向(
図1のx方向)から見た場合に同一の方向に沿って且つ互いに逆方向に延びている。第2接触部42aは、一定の厚さを有する第2本体部42dの第1電極30側および第1電極30と反対側にシート凹部42cを設けることによって得られるものである。ここで、「第2本体部」とは、第2接触部42aからシート凹部42cを除いた構造を指す。そして、シート凹部42c上に第2活物質層43a,43bが設けられている。ここで、電極凹部41及びシート凹部42cは、積層体10をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置されている。またセパレータ凸部54と第2電極40の電極凹部41との境界線は円弧状となっている。さらに第2活物質層43bのうち封入容器20と接触している接触面S2は平坦面となっている。
【0024】
封入容器20は、その内部から外部まで延びる第1端子60と、第1端子60とは反対側から延びる第2端子70とを有している。第1端子60は、封入容器20の内部で第1電極30の第1集電シート32の第1非接触部32bと接続されている。従って、第1非接触部32bは第1端子60を介して封入容器20に固定されている。第2端子70は、封入容器20の内部で第2電極40の第2集電シート42の第2非接触部42bと接続されている。従って、第2非接触部42bは第2端子70を介して封入容器20に固定されている。
【0025】
積層型蓄電池100では、セパレータ50が、第1電極30側に設けられるセパレータ凹部53と、第2電極40側に設けられるセパレータ凸部54とを有し、第1電極30の電極凸部31がセパレータ凹部53に嵌合し、第2電極40の電極凹部41にセパレータ凸部54が嵌合している。このため、積層型蓄電池100に過度な加速度が加わり、セパレータ50に沿って第1電極30が動こうとしても、第1電極30の電極凸部31がセパレータ凹部53に嵌合しているため、その動きは規制される。同様に、第2電極40の電極凹部41がセパレータ凸部54に嵌合しているため、セパレータ50に沿って第2電極40が動こうとしても、その動きは規制される。このため、セパレータ50に対する第1電極30及び第2電極40の位置ずれが十分に抑制される。その結果、第1電極30及び第2電極40間で重なる面積が徐々に減少することになって容量が低下することが十分に抑制されるとともに、第1電極30と第2電極40との間で短絡が生じることが十分に防止される。
【0026】
また積層型蓄電池100によれば、第1電極30において、第1集電シート32の第2電極40側および第2電極40と反対側で第1集電シート32に対する第1活物質層33a,33bの動きが抑制されるため、第1集電シート32からの第1活物質層33a,33bの剥離が十分に抑制できる。また第2電極40においては、第2集電シート42の第1電極30側および第1電極30と反対側で第2集電シート42に対する第2活物質層43a,43bの動きが抑制されるため、第2集電シート42からの第2活物質層43a,43bの剥離が十分に抑制できる。
【0027】
さらに電極凸部31及びシート凸部32cは、積層体10をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置されているため、第1活物質層33a,33bの厚さを一定にすることが可能となる。同様に、電極凹部41及びシート凹部42cも、積層体10をその厚さ方向に見た場合に互いに重なるように配置されているため、第2活物質層43a,43bの厚さを一定にすることが可能となる。
【0028】
また積層型蓄電池100によれば、第1集電シート32のシート凸部32cは、一定の厚さを有する第1本体部32dを屈曲することで形成されるものではなく、一定の厚さを有する第1本体部32dに設けられるものであるため、その形状を保持できる。また第2集電シート42のシート凹部42cは、一定の厚さを有する第2本体部42dを屈曲することで形成されるものではなく、一定の厚さを有する第2本体部42dに設けられるものであるため、その形状を保持できる。その結果、セパレータ50に対する第1電極30及び第2電極40の位置ずれ、第1集電シート32からの第1活物質層33a,33bの剥離や第2集電シート42からの第2活物質層43a,43bの剥離が十分に抑制される効果を長期間にわたって持続させることができる。
【0029】
よって、積層型蓄電池100によれば、電池特性の低下を十分に抑制できる。
【0030】
また積層型蓄電池100では、セパレータ50において、セパレータ凹部53とセパレータ凸部54とがセパレータ50の厚さ方向において重なるように配置されている。このため、セパレータ50において、セパレータ凹部53とセパレータ凸部54とが、セパレータ50の厚さ方向において重なるように配置されていない場合に比べて、第1電極30と第2電極40との間(以下、単に「電極間」と呼ぶことがある)の距離を均等にすることが可能となる。
【0031】
さらに積層型蓄電池100では、第1電極30の電極凸部31が、第1集電シート32の第1接触部32a上にシート凸部32cを設けることにより形成され、第2電極40の電極凹部41が、第2集電シート42の第2接触部42a上にシート凹部42cを設けることにより形成されている。この場合、第1電極30の第1集電シート32上において第1活物質層33aの厚さをほぼ一定にすることが可能になる。また第2電極40の第2集電シート42上において第2活物質層43aの厚さをほぼ一定にすることも可能になる。従って、積層型蓄電池100の電池性能の低下をより十分に抑制することができる。
【0032】
さらに積層型蓄電池100では、セパレータ凹部53と第1電極30の電極凸部31との境界線は円弧状となっており、セパレータ凸部54と第2電極40の電極凹部41との境界線は円弧状となっている。このため、セパレータ凹部53と電極凸部31との境界線、及び、セパレータ凸部54と電極凹部41との境界線の少なくとも一方が円弧状でない場合に比べて、第1電極30の第1活物質層33a、及び、第2電極40の第2活物質層43aにおいて、厚さが急激に変化する箇所が生じることをより十分に抑制することができる。さらに電極間の距離が急激に変化する箇所が生じることをより十分に抑制することもできる。従って、電極内部の抵抗の不均一性、電極間の局所的な電界集中を抑制でき、積層型蓄電池100の電池性能の低下をより十分に抑制できる。
【0033】
次に、封入容器20、第1電極30、第2電極40、セパレータ50及び電解液について詳細に説明する。
【0034】
(封入容器)
封入容器20は、積層体10を内部に封入できる容器であれば特に制限されるものではない。従って、封入容器20は封入袋で構成されてもよい。封入容器20は、例えば金属箔を熱可塑性樹脂で挟んでなる2枚のラミネートシート20a,20bを用意し、各々のラミネートシート20a,20bの縁部を、それらの間に第1端子60及び第2端子70を挟んだ状態でシールすることにより得ることができる。
【0035】
(第1電極)
第1電極30は、第1集電シート32と、第1活物質層33a,33bとを有している。第1集電シート32は集電機能を有する金属で構成されればよく、このような金属としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、ニッケル等を用いることができる。第1活物質層33a,33bは、例えば活性炭で構成されている。
【0036】
第1電極30は電極凸部31を有する。電極凸部31はセパレータ凹部53との境界線が円弧状となるものであればよい。従って、電極凸部31は、球面状又は円柱面状であってもよい。
【0037】
電極凸部31の最大高さは、一概には言えないが、機械的強度の点で、第1本体部32dの厚さより小さいことが好ましく、0.005〜0.05mmであることが好ましい。なお、電極凸部31の最大高さは、第1電極30とセパレータ50との接触面の周縁によって形成される仮想平面とセパレータ50のうち第1電極30側の表面との間の距離のうち最大となる距離を言うものとする。すなわち、電極凸部31の最大高さは、第1電極30とセパレータ50との接触面の周縁によって形成される仮想平面とセパレータ50のセパレータ凹部53の最深部53aとの間の距離を言う。
【0038】
(第2電極)
第2電極40は、第2集電シート42と、第2活物質層43a,43bとを有している。第2集電シート42は第1集電シート32と同様の金属で構成することができる。第2活物質層43a,43bは、炭素材と、この炭素材に吸蔵されたリチウムイオンとを有する材料で構成されればよい。
【0039】
第2電極40は電極凹部41を有する。電極凹部41はセパレータ凸部54との境界線が円弧状となるものであればよい。従って、電極凹部41は球面状又は円柱面状であってもよい。ここで、電極凸部31が円柱面状である場合は、電極凹部41も円柱面状であることが好ましい。この場合、第1集電シート32の第1接触部32aは、第1端子60に固定されている第1非接触部32bの延び方向(
図1のy方向と反対方向)と直交する方向(
図1のz方向)に沿って形成されるとともに、第2集電シート42の第2接触部42aは、第2端子70に固定されている第2非接触部42bの延び方向(
図1のy方向)と直交する方向(
図1のz方向)に沿って形成されることになる。さらに第1非接触部32bと第2非接触部42bとは積層体10の厚さ方向(
図1のx方向)から見た場合に同一の方向(
図1のy方向)に沿って且つ互いに反対方向に延びている。このため、第1電極30の電極凸部31が第1非接触部32bの延び方向(
図1のy方向と反対方向)と直交する方向(
図1のz方向)に沿って延びるように形成されていない場合、又は、第2電極40の電極凹部41が、第2非接触部42bの延び方向(
図1のy方向)と直交する方向(
図1のz方向)に沿って延びるように形成されていない場合に比べて、第1非接触部32bが第1端子60を介して封入容器20に固定され、第2非接触部42bが第2端子70を介して封入容器20に固定されて両端固定梁の形態になるために生じる第1非接触部32b及び第2非接触部42bの延び方向に沿った張力による第1電極30および第2電極40のセパレータ50に対する位置ずれをより十分に抑制できる。
【0040】
電極凹部41の最大深さは、一概には言えないが、機械的強度の点で、第2本体部42dの厚さより小さいことが好ましく、0.005〜0.05mmであることが好ましい。電極凹部41の最大深さは、電極凸部31の最大高さと同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。この場合、セパレータ50の厚さを一定にできるので、電極間距離が面内で一定になり、電極間抵抗の面内不均一性が生じにくくなる。このように、電極面内で電極間距離による抵抗差が生じにくくなると、低抵抗の部分(極間の狭い部分)に充放電時の電流が集中しにくくなり、その部分が劣化しにくくなる。なお、電極凹部41の最大深さは、第2電極40とセパレータ50との接触面の周縁によって形成される仮想平面とセパレータ50のうち第2電極40側の表面との間の距離のうち最大となる距離を言うものとする。すなわち、電極凹部41の最大深さは、第2電極40とセパレータ50との接触面の周縁によって形成される仮想平面とセパレータ50のセパレータ凸部54の頂部54aとの間の距離を言う。
【0041】
(セパレータ)
セパレータ50は、セルロース、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンなどで構成することができる。
【0042】
またセパレータ50に形成されているセパレータ凹部53及びセパレータ凸部54は互いに相補的な形状、すなわち、セパレータ凹部53にセパレータ凸部54が嵌合する形状であることが好ましい。この場合、セパレータ凹部53及びセパレータ凸部54が互いに相補的な形状でない場合に比べて、電極間距離を均等にできる。
【0043】
なお、セパレータ凹部53の最大深さは、電極凸部31の最大高さと同一であり、セパレータ凸部54の最大高さは、電極凹部41の最大深さと同一である。
【0044】
(電解液)
電解液としては、有機溶媒にリチウム塩の溶質を溶解したものを用いることができる。有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどを用いることができる。リチウム塩としては、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウムなどを用いることができる。
【0045】
本発明は、上記第1実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1実施形態では、
図1に示す積層体10の断面において、セパレータ凹部53と第1電極30の電極凸部31との境界線が円弧状となっており、セパレータ凸部54と第2電極40の電極凹部41との境界線は円弧状となっているが、境界線は必ずしも円弧状に限られるものではなく、非円弧状であってもよい。例えば境界線は、3本の線分を組み合せて逆U字状としてもよいし、2本の線分を組み合せて逆V字状としてもよい。また境界線は線分と非円弧とを組み合わせて構成されてもよい。
【0046】
また上記第1実施形態では、第1活物質層33bのうち封入容器20と接触している接触面S1は平坦面となっており、第2活物質層43bのうち封入容器20と接触している接触面S2は平坦面となっているが、これらの接触面S1,S2は必ずしも平坦面となっていなくてもよい。
【0047】
また上記第1実施形態では、第1電極30の第1活物質層33b、及び、第2電極40の第2活物質層43bは、封入容器20と第1電極30との間、又は封入容器20と第2電極40との間にあり、電極間で対向していないため第1電極30および第2電極40をそれぞれ複数積層している場合には、蓄電に大きく影響を与えない。このため、第1電極30の第1活物質層33b、及び、第2電極40の第2活物質層43bを薄くしてもよいし、また無くしてもよい。
【0048】
さらに、上記第1実施形態では、第1電極30の第1接触部32aはその両面にシート凸部32cを有しているが、
図4に示す第2実施形態の積層型蓄電池200のように、第1接触部32aは、片面にのみ、すなわち、第2電極40側にのみシート凸部32cを有していてもよい。また、第2電極40の第2接触部42aは両面にシート凹部42cを有しているが、
図4に示す積層型蓄電池200のように、第2接触部42aは、片面にのみ、すなわち、第1電極30側にのみシート凹部42cを有していてもよい。この場合、上記第1実施形態では接触面S1,S2を平坦面にするために第1電極30の第1活物質層33b、及び、第2電極40の第2活物質層43bの厚さが不均一となっているのに対して、上記第2実施形態では、第1電極30の第1活物質層33b、及び、第2電極40の第2活物質層43bの厚さは均一となる。
【0049】
また上記第1及び第2実施形態では、セパレータ凹部53及びセパレータ凸部54は、セパレータ凹部53の最深部53aを通り且つセパレータ50の厚さ方向に沿った直線Lがセパレータ凸部54の頂部54aを通るように配置されているが、セパレータ50においては、セパレータ凹部53とセパレータ凸部54とが重なるように配置されていればよく、セパレータ凹部53及びセパレータ凸部54は、セパレータ凹部53の最深部53aを通り且つセパレータ50の厚さ方向に沿った直線Lがセパレータ凸部54の頂部54aを通るように配置されていることは必ずしも必要ではない。従って、セパレータ凹部53及びセパレータ凸部54は、例えばセパレータ凹部53の最深部53aを通り且つセパレータ50の厚さ方向に沿った直線Lがセパレータ凸部54の頂部54aを通らないように配置されていてもよい。
【0050】
さらに上記第1実施形態では、第1接触部32aの第1本体部32dの両側にシート凸部32cが設けられ、第2電極40の第2集電シート42の第2接触部42aの第2本体部42dの両側にシート凹部42cが形成されているが、本発明の積層型蓄電池は、
図5に示す第3実施形態の積層型蓄電池300のような構造を有していてもよい。すなわち、第1電極30の第1集電シート32については、第1接触部32aの第1本体部32dの第2電極40側にシート凸部32cが設けられ、第1本体部32dの第2電極40と反対側にシート凹部32eが形成されてもよい(
図6参照)。また第2電極40の第2集電シート42については、第2接触部42aの第2本体部42dの第1電極30側にシート凹部42cが形成され、第2本体部42dの第1電極30と反対側にシート凸部42eが設けられてもよい(
図7参照)。
【0051】
さらに上記第1〜第3実施形態では、第1集電シート32が第1接触部32aと第1非接触部32bとで構成されているが、第1集電シート32は、第1非接触部32bを必ずしも有していなくてもよい。すなわち、第1集電シート32は、第1接触部32aのみで構成されてもよい。また、上記第1〜第3実施形態では、第2集電シート42が第2接触部42aと第2非接触部42bとで構成されているが、第2集電シート42は、第2非接触部42bを必ずしも有していなくてもよい。すなわち、第2集電シート42は、第2接触部42aのみで構成されてもよい。
【0052】
また上記第1〜第3実施形態では、積層体10が1つの第1電極30と1つの第2電極40とを有しているが、第1電極30及び第2電極40をそれぞれ複数有してもよい。この場合は、第1電極30と第2電極40は積層体10の厚さ方向(
図1及び
図4のx方向)に沿って交互に積層され、第1電極30と第2電極40との間にはセパレータ50が配置される。ここで、第1実施形態の積層型蓄電池100において、積層体10が第1電極30及び第2電極40をそれぞれ複数有する場合には、複数の第1電極30は、第1集電シート32の第1接触部32aの両面にシート凸部32cを有してもよいが、封入容器20に最も近い側の第1電極30については、第1集電シート32の第1接触部32aの第2電極40側にのみシート凸部32cを有してもよい。また複数の第2電極40は、第2集電シート42の第2接触部42aの両面にシート凹部42cを有してもよいが、封入容器20に最も近い側の第2電極40については、第2集電シート42の第2接触部42aの第1電極40側にのみシート凹部42cを有していてもよい。
【0053】
さらに上記第1〜第3実施形態では、第1電極30が正極で構成され、第2電極40が負極で構成されるとしたが、第1電極30が負極で構成され、第2電極40が正極で構成されてもよい。
【0054】
さらに上記第1〜第3実施形態では、積層型蓄電池100が、ラミネート型、すなわち非巻回型のリチウムイオンキャパシタである場合について説明したが、本発明の積層型蓄電池は、巻回型のリチウムイオンキャパシタであってもよい。この場合、積層体10は巻回されて柱状体を構成することになる。この場合でも、この柱状体の延び方向に沿って第1電極30及び第2電極40がセパレータ50に対して動くことを十分に抑制できるので、電池特性の低下を十分に抑制することが可能である。なお、本発明の積層型蓄電池が巻回型のリチウムイオンキャパシタである場合、第1集電シート32の第1非接触部32b及び第2集電シート42の第2非接触部42bはセパレータ30に接触していてもよい。
【0055】
また上記第1〜第3実施形態では、積層型蓄電池100がリチウムイオンキャパシタであると説明したが、本発明の積層型蓄電池は、リチウムイオンキャパシタに限定されるものではなく、リチウムイオン2次電池(LIB)、電気二重層キャパシタ(EDLC)などにも適用可能である。