特許第6427417号(P6427417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427417
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】多次元広告入札
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20181112BHJP
【FI】
   G06Q30/02
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-541108(P2014-541108)
(86)(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公表番号】特表2014-533405(P2014-533405A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】US2012063053
(87)【国際公開番号】WO2013070491
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年9月11日
【審判番号】不服2017-15348(P2017-15348/J1)
【審判請求日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】13/294,052
(32)【優先日】2011年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508178054
【氏名又は名称】フェイスブック,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】ヘゲマン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ロン
【合議体】
【審判長】 渡邊 聡
【審判官】 相崎 裕恒
【審判官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/065502(WO,A2)
【文献】 特開2003−233731(JP,A)
【文献】 特開2010−529523(JP,A)
【文献】 特開2005−85207(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/070491(WO,A1)
【文献】 特開2005−196777(JP,A)
【文献】 特表2010−501926(JP,A)
【文献】 特表2011−525258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の広告のそれぞれについて、該広告に関連付けられた複数のパフォーマンス・カテゴリのそれぞれの重み付けを決定する工程であって、前記複数のパフォーマンス・カテゴリは、ユーザによる前記広告との対話であって互いに異なるタイプの対話を表す、少なくとも2つのパフォーマンス・カテゴリを含み、前記重み付けは、前記パフォーマンス・カテゴリの1以上に対する広告主の意向についての前記広告主から受け取る情報に基づいて決定される、工程と、
クライアントから広告の要求を受信する工程と、
前記広告のうちの1以上のそれぞれについて、
前記パフォーマンス・カテゴリのそれぞれに対して予測される広告パフォーマンス値を決定する工程であって、パフォーマンス・カテゴリに対して予測される前記広告パフォーマンス値は、前記パフォーマンス・カテゴリに関連付けられている目標と前記目標を達成する前記クライアントに前記広告を提供している予測される程度との間の相関に基づく、工程と、
前記パフォーマンス・カテゴリのそれぞれに対して、前記クライアントに前記広告を表示するためのインプレッション値を決定する工程であって、パフォーマンス・カテゴリに対する前記広告の前記インプレッション値は、前記パフォーマンス・カテゴリに対する前記重み付けによって重み付けされた前記パフォーマンス・カテゴリに対する予測される前記広告パフォーマンス値を含む、工程と、
プロセッサが、前記パフォーマンス・カテゴリに対する前記インプレッション値の集約に基づいて前記広告に対して付け値を決定する工程と、
受信される前記広告に対して決定される前記付け値に基づいて、受信される広告を選択する工程と、
選択される前記広告を表示のために前記クライアントに送信する工程とを備える、方法。
【請求項2】
広告主から広告を受信する工程と、
プロセッサが、受信した前記広告に対して複数のパフォーマンス・カテゴリのそれぞれの重み付けを決定する工程であって、前記複数のパフォーマンス・カテゴリは、ユーザに
よる前記広告との対話であって互いに異なるタイプの対話を表す、少なくとも2つのパフォーマンス・カテゴリを含み、前記重み付けは、前記パフォーマンス・カテゴリの1以上に対する前記広告主の意向についての前記広告主から受信した情報に基づいて決定される、工程と、
クライアントから広告の要求を受信する工程と、
前記パフォーマンス・カテゴリのそれぞれに対して予測される広告パフォーマンス値を決定する工程であって、パフォーマンス・カテゴリに対して予測される前記広告パフォーマンス値は、前記パフォーマンス・カテゴリに関連付けられている目標と前記目標を達成する前記クライアントに前記広告を提供している予測される程度との相関に基づく、工程と、
前記パフォーマンス・カテゴリのそれぞれに対して、前記クライアントに前記広告を表示するためのインプレッション値を決定する工程であって、パフォーマンス・カテゴリに対する前記広告の前記インプレッション値は、前記パフォーマンス・カテゴリに対する前記重み付けによって重み付けされた前記パフォーマンス・カテゴリに対する予測される前記広告パフォーマンス値を含む、工程と、
前記パフォーマンス・カテゴリに対する前記インプレッション値の集約に基づいて、受信される前記広告に対して付け値を決定する工程とを備える、方法。
【請求項3】
前記クライアントから広告の要求を受信する工程は、該クライアントがウェブ・ページを要求することに応答してウェブ・サーバにおいて広告の要求を受信する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記要求の受信は、アプリケーションのユーザと該アプリケーションとの対話に応答して、該アプリケーションから広告の要求を受信する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のパフォーマンス・カテゴリは、前記広告が選択される公算を少なくとも含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のパフォーマンス・カテゴリは、前記広告のリーチを少なくとも含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のパフォーマンス・カテゴリは、前記広告内に組み込まれたソーシャル・ネットワーキング・システムの機能または前記広告内のコンテキストを少なくとも含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のパフォーマンス・カテゴリは、前記広告の閲覧者が前記広告に関して特定のアクションを行う公算を少なくとも含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記広告の要求に関連付けられる予測される前記広告パフォーマンス値は、前記広告の要求または前記広告に関連付けられる履歴データに基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
予測される前記広告パフォーマンス値は、前記複数のパフォーマンス・カテゴリのそれぞれに対して1つの値を含み、各値は区間[0.0,1.0]に存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記パフォーマンス・カテゴリに対するインプレッション値を決定する工程は、前記パフォーマンス・カテゴリに対する予測される前記広告パフォーマンス値に、前記パフォーマンス・カテゴリに対する前記重み付けを乗じる工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記付け値を決定する工程は、
前記広告のインプレッション目標と予算情報とに基づいてペーシング値を決定する工程と、
前記パフォーマンス・カテゴリに対する前記インプレッション値の集約と組み合わされた前記ペーシング値に基づいて前記付け値を決定する工程とをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記インプレッション目標を基準にして前記広告のインプレッション目標に達するために要する残りインプレッションの割合と前記広告の残り時間の割合とに基づいて、ペーシング値重みを決定する工程と、
重み付けされた前記ペーシング値に基づいて前記付け値を決定する工程とをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の広告のそれぞれに対して付け値を決定する工程と、
前記複数の広告について決定される前記付け値に基づいて、該複数の広告からクライアントに表示する広告を選択する、表示広告選択工程とをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
付け値を決定する方法であって、
広告主から広告を受信する工程と、
プロセッサが、該広告と閲覧者との複数の対話、該広告のリーチ、および該広告のソーシャル・コンテキストのそれぞれに対して重み付けを前記広告のパフォーマンスに関連する広告主の意向についての前記広告主から受信した情報に基づいて決定する工程と、
クライアントから広告の要求を受信する工程と、
受信した前記広告に対して付け値を決定する、付け値決定工程とを備え、
前記付け値決定工程は、
前記広告と閲覧者との対話、前記広告のリーチ、および前記広告のソーシャル・コンテキストのそれぞれに対する予測される広告パフォーマンス値を決定する工程であって、予測される各広告パフォーマンス値は、対応する前記広告と閲覧者との対話、前記広告のリーチ、または前記広告のソーシャル・コンテキストに関連付けられている目標と、前記目標を達成する前記クライアントに前記広告を提供している予測される程度との間の相関に基づく、工程と、
前記広告と閲覧者との対話、前記広告のリーチ、および前記広告のソーシャル・コンテキストのそれぞれに対して、前記広告を前記クライアントに表示するためのインプレッション値を決定する工程であって、前記広告の各インプレッション値は、対応する前記重み付けによって重み付けされた対応する前記広告と閲覧者との対話、前記広告のリーチ、または前記広告のソーシャル・コンテキストに対する予測される前記広告パフォーマンス値を含む、工程と、
前記広告と閲覧者との対話、前記広告のリーチ、および前記広告のソーシャル・コンテキストに対する前記インプレッション値の集約に基づいて、受信した前記広告に対して付け値を決定する工程とを含む、方法。
【請求項16】
複数の広告のそれぞれに対して付け値を決定する工程と、
前記複数の広告について決定される前記付け値に基づいて前記複数の広告から前記クライアントに表示する広告を選択する、表示広告選択工程とをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記表示広告選択工程は、決定される最高の付け値に関連付けられた前記広告を選択する工程を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告入札の最適化に関し、より詳細には、広告主により提供された広告予算および/または重み付きパフォーマンス・カテゴリに基づき、広告主のために広告付け値を算出することに関する。
【背景技術】
【0002】
ソーシャル・ネットワーキング・システム、検索エンジン、ニュース・アグリゲータ、インターネット・ショッピング・サービス、コンテンツ配信サービスなどのオンライン・サービスは、見込み客に広告を提示するための場として普及している。オンライン・サービスの中には、無料またはごく少額の料金のみでサービスを提供するものもある。オンライン・サービスは、その代わりに、提示された広告に基づいて任意のアクションを行う(たとえば広告をクリックする)可能性のあるユーザに広告(「ad」)を提示することによって収益を生み出す。広告を使用したオンライン・サービス・モデルは、多様な種類のオンライン・サービスを生み出している。
【0003】
オンライン・サービスは、広告がユーザに対して表示された回数または広告の閲覧に応じてユーザが行ったアクションの回数に応じた広告料金を課すという方式を使用することが多い。広告料金を算定するためのオンライン・サービスで広く用いられている価格設定機構としては、たとえば、インプレッション単価(CPI:Cost Per Impression)やアクション単価(CPA:Cost Per Action)などがある。CPI制の価格設定機構は、典型的には、ユーザによるコンテンツ項目の要求に応じて広告がロードされてユーザの画面に表示された回数に基づいて広告料金を算定する。CPA制の価格設定機構は、広告が画面に表示された後にユーザが行うアクションに基づいて広告料金を算定する。CPA制価格設定機構で勘案されるアクションとしては、(i)広告のクリック、(ii)広告主のサービスまたは製品への登録、(iii)サービスまたは製品の販売決定などがある。CPI制またはCPA制の価格設定機構を使用するのではなく、所定時間だけ広告を表示することに対して均一料金を課すいくつかのオンライン・サービスもある。
【0004】
オンライン・サービスには、複数の広告主が広告スペースに手動で入札することができる入札システムに適合するものがある。特定の広告スペースに広告が必要な場合、最高入札値を付けた広告を選択し、広告スペースに提示して、広告料金を最大にする。入札値は、CPI、CPAまたはその他の期待収益値を基準にすることができる。入札システムは、設定された期間(たとえば日または月)の広告料金の金額を制限するために上限を設けるものもある。広告に手動入札するのは手間のかかる処理であり、複数の広告主が広告に対する現在の落札価格を追跡し、必要に応じて広告の付け値の更新などをする必要がある。広告のコンテキストが、その広告の価値に影響を及ぼすことがあり、したがって、広告主がその広告に入札することを望む金額に影響を及ぼすことがある。広告の閲覧者に対する広告の表示を、本明細書では広告「インプレッション」と称す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による広告システムにおける自動入札の動作を示すブロック図。
図2】一実施形態による、予算に基づく入札または複数の目標および制約に基づく入札を行うのに好適なシステム環境を示すハイレベル・ブロック図。
図3】一実施形態による、1または複数の広告主から広告、広告制約および広告コンテキストの目標を受信するように構成された広告データベースを示すブロック図。
図4】一実施形態による、広告に関連する情報を受信し、広告への付け値を生成するように構成された入札モジュールを示すブロック図。
図5】一実施形態による、広告予算および広告主の目標に基づいて表示する広告を選択する処理を示すフローチャート。
図6】一実施形態による、広告パフォーマンスの重み付けに基づいて表示する広告を選択する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0006】
これらの図は、例示目的のみで本発明の様々な実施形態を図示するものである。当業者であれば、本明細書に記載の本発明の原理から逸脱することなく本明細書に記載の構造および方法の他の実施形態を用いることができることが以下の説明から容易に理解されるであろう。
【0007】
本発明の実施形態では、クライアントからの広告要求の受信に応答して、広告の付け値を決定する。広告と広告に関連付けられるパフォーマンス・カテゴリの重み付けとを広告主から受信する。広告要求に基づいてパフォーマンス・カテゴリの予測される広告パフォーマンスを決定する。予測される広告パフォーマンスは、要求元クライアントに表示される広告のパフォーマンスを含む。予測される広告パフォーマンスと受信した重み付けとに基づいて、広告のインプレッション値が決定され、決定されたインプレッション値に基づいて、広告の付け値が決定される。
【0008】
重み付けに関連付けられるパフォーマンス・カテゴリと予測される広告パフォーマンスとは、広告が選択される公算、広告のリーチ、広告の社会的機能、広告のソーシャル・コンテキスト、広告の閲覧者が広告に関して特定のアクションを行う公算を含み得る。広告パフォーマンスの予測には、クライアントに表示される広告の特定のパフォーマンス・カテゴリ値を予測する必要がある場合があり、広告または広告要求に関連付けられた履歴データを分析する必要がある場合がある。
【0009】
概要
図1は、一実施形態による広告システムにおける自動入札の動作を示すブロック図である。一実施形態では、広告システム100は、たとえばクライアントから、広告の要求を受信する。広告システム100は、複数の広告110A〜110D(「110」)に対する複数の付け値105A〜105D(「105」)を決定する。図1には付け値105が4つのみ示されているが、他の実施形態では任意の数の付け値105、たとえば数千個の付け値を含む。付け値105は、複数の広告のそれぞれについてまたは複数の広告のうちのサブセットについて決定することができる。各付け値105は、特定の広告110に関連付けられる。付け値はオークション・モジュール130に送られ、オークション・モジュール130は受信した付け値に基づいて広告を選択された広告135として選択する。次に、選択された広告135は表示のためにクライアントに送信される。
【0010】
付け値105が決定される対象の各広告110には、広告のコンテンツが含まれ、制約および広告目標も含めることができる。後述するように、広告110は、広告主から提供され、広告主は広告のコンテンツを提供するとともに、広告の制約および目標を設定する。広告の制約には、広告の予算、広告の表示期間、および広告110の表示に影響を及ぼすその他の制約が含まれる。広告の目標には、広告主が広告100に望むインプレッションの数が含まれ、任意で、広告主による広告100のパフォーマンス・カテゴリの種類の重み付けが含まれる。本明細書では、「パフォーマンス・カテゴリ」とは広告の表示に関連付けられた状況を指し、たとえば、広告110が閲覧者によってクリックまたは選択される公算、広告110のリーチ、および広告110のソーシャル・コンテキストが含まれる。
【0011】
広告110の付け値105を決定するに際し、広告110に関連付けられた履歴統計120を取り出して使用してもよい。履歴統計120には、広告110が選択および/または表示された回数、広告110の過去の表示に関連付けられた付け値、以前に広告110に使用された予算額、広告110がクリックされた回数の割合、または広告110に関連付けられたその他の任意の特性が含まれる。任意で、広告110の予測される広告パフォーマンス115が取り出される。予測される広告パフォーマンス115には、たとえば、広告110が閲覧者によってクリックされる予測公算、閲覧者が広告110と対話する予測公算、広告110との対話の予測される種類、または広告110のソーシャル・コンテキストの利用可能性が含まれる。
【0012】
入札モジュール125は、広告の制約および目標、履歴統計120、および予測される広告パフォーマンス115に基づいて広告110の付け値を決定することができる。入札モジュール125については以下に詳述する。オークション・モジュール130は、複数の付け値105を受信し、選択された広告135として広告を選択する。オークション・モジュール130は、最高付け値に関連付けられた広告を単純に選択してもよく、代替えとして、広告のコンテキスト、広告を要求するエンティティの識別、またはその他の任意の好適な基準など、他の基準に基づいて広告を選択してもよい。この自動化された形式の入札により、広告主が広告への入札を手動で提出する必要がなくなり、広告主は広告の予算と、その他の目標および制約とを設定するだけで済むようになる。広告および広告情報がアップロードされた後は、広告主による直接または明示的なアクションなしに、付け値が決定される。
【0013】
システム構造
図2は、一実施形態による、予算に基づいた入札または複数の目標および制約に基づく入札を行うのに好適なシステム環境を示すハイレベル・ブロック図である。このシステム環境は、接続ネットワーキング200を通じて通信する、クライアント210、広告主220、ソーシャル・ネットワーキング・システム230および広告システム100を含む。広告主220は、広告および広告情報(広告予算、その他の制約および目標など)を広告システム100に提供するように構成される。クライアント210は、広告システム100に広告を要求するように構成され、広告システム100は記憶されている広告間でオークションを行い、クライアント210からの広告要求の受信に応答して、オークションに基づき広告を選択するように構成される。図2には3つのクライアント210と3つの広告220とが図示されているが、任意の数、たとえば数千または数百万のクライアント210または広告主220がソーシャル・ネットワーキング・システム230および広告システム100と通信することができる。なお、広告システム100は、1または複数の広告主220によって、またはソーシャル・ネットワーキング・サービス230によって実現することができることに留意すべきである。
【0014】
クライアント210および広告主220は、クライアント・デバイスを使用してネットワーク200を通じて通信することができる。クライアント・デバイスは、携帯電話、ノートパソコン、ネットブック、タブレット、デスクトップ・コンピュータ、またはテレビなど、ソーシャル・ネットワーキング・システム230および広告システム100との間で通信およびその他のデータを送受信することができる任意の装置を含み得る。本明細書では、「クライアント」とは、広告システム100に広告を要求する任意の実体(エンティティ)を指し、「広告主」とは、クライアントに後に表示するための広告を広告システム100に提供するエンティティを指す。一実施形態では、同一のエンティティがクライアント210と広告主220の両方を兼ね得るが、説明を簡単にするために、本明細書の以下の部分ではクライアント210および広告主220について別個に述べる。
【0015】
接続ネットワークは、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、無線ネット
ワーク、セルラ・ネットワーク、またはモジュール間での通信を可能にするその他の任意のネットワークであってよい。接続ネットワーク200には、標準通信技術および/またはプロトコルを使用することができる。他の構成では、異なるモジュールおよび/または追加のモジュールをシステムに含めることができる。さらに、接続ネットワーク200には、ネットワークの組み合わせを含み得る。たとえば、クライアント210が携帯電話である実施形態では、接続ネットワーク200は、インターネットとインタフェースすることによって、携帯電話がたとえばソーシャル・ネットワーキング・システムのウェブ・サーバに接続されるようにする携帯電話無線ネットワークを含み得る。
【0016】
クライアント210は、広告システム100に明示的に広告を要求することができる。たとえば、クライアント210は、ウェブサイトのユーザによってアクセスされたウェブサイトであってもよく、ウェブサイトはウェブサイト上でそのユーザに表示するように広告システム100に対して広告を要求してもよい。代替えとして、クライアント210は、所与のシステムにアクセスするかまたはシステムを使用することによって非明示的に広告を要求し、さらにそのシステムが広告を要求してもよい。たとえば、クライアント210は、ウェブサイトのそのユーザであってもよく、広告の要求は、単にそのウェブサイトへのアクセスを要求することを含み得る。クライアント210は、ソフトウェア・アプリケーションまたはゲームであってもよく、アプリケーションまたはゲームがアプリケーションまたはゲームのユーザに対して表示するために広告システム100に広告を要求してもよい。たとえば、ユーザがゲームをし、ゲームが広告システム100に広告を要求してゲーム内でユーザに表示してもよい。一実施形態では、ソーシャル・ネットワーキング・システム230はクライアント210であり、ソーシャル・ネットワーキング・システム230が広告システム100に対して広告を要求して、ソーシャル・ネットワーキング・システム・ページでユーザに表示する。
【0017】
ソーシャル・ネットワーキング・システム230は、ユーザに表示してユーザがソーシャル・ネットワーキング・システムのオブジェクトおよび他のユーザと対話することを可能にする一連の相互接続されたページからなるインタフェースであって、ウェブベースのインタフェースを備え得る。ソーシャル・ネットワーキング・システム・ページには、ソーシャル・ネットワーキング・システムのユーザに関連する情報、ソーシャル・ネットワーキング・システム・オブジェクト、ユーザ間の通信、または任意の他の情報を表示することができる。ソーシャル・ネットワーキング・システム230は、ソーシャル・ネットワーキング・システム内でユーザ同士が関係(本明細書では「友達」と称す)を設定することができるようにする。ソーシャル・ネットワーキング・システムのデータおよびユーザがソーシャル・ネットワーキング・システム230において行ったアクションは、後に取り出すためにソーシャル・ネットワーキング・システム230によって記憶されてもよい。
【0018】
広告は、テキスト、HTMLリンクされたテキスト、画像、HTMLリンクされた画像、映像、音声、Adobe Flash(商標)または任意の他のデジタル・フォーマットを含むことができる。一実施形態では、広告はウェブ・ページ、ソーシャル・ネットワーキング・システム・ページなどのページ内で表示するために要求される。広告は、ページ上部のバナー領域内、ページ側方のカラム内、ページGUIの任意の部分内、ポップアップ・ウィンドウ、ページ・コンテンツの上部の全体、またはページ内のその他の場所など、ページの専用部分内に表示されてもよい。広告は、アプリケーション内またはゲーム内に表示されてもよい。広告は、専用ページに表示されてもよく、ユーザはその広告と対話または閲覧してからでなければ、ページにアクセスしたり、アプリケーションを利用したり、ゲームをすることができないようにすることも可能である。閲覧者は、コンピュータ、携帯装置、テレビなどでウェブ・ブラウザを使用して広告を閲覧することができる。
【0019】
様々な方法において広告と対話することができる。広告の閲覧者は、広告をクリックするなどして広告を選択することができ、広告はその広告に関連付けられたページに閲覧者を導くことができる。広告に関連付けられたページ上に導かれた後は、閲覧者は、広告に関連付けられた製品またはサービスの購入、広告に関連付けられた情報の受信、広告に関連付けられたニュースレターの購読など、さらにアクションを行うことができる。音声・映像広告の場合、広告の構成要素(「再生ボタン」など)を選択することによって広告を再生することができる。広告は、閲覧者が広告のコンテンツ内で行うことができるゲームを含んでいてもよい。広告によって、閲覧者が広告内で提示されたアンケートや質問に答えられるようにしてもよい。
【0020】
広告は、閲覧者が対話することができるソーシャル・ネットワーキング・システム機能を含むこともできる。たとえば、広告によって、閲覧者が推薦に関連付けられたボタンまたはリンクを選択することによって広告に「いいね」またはその他の推薦を示すことができるようにしてもよい。同様に、閲覧者は広告を他のソーシャル・ネットワーキング・システム・ユーザに共有し、広告で宣伝されているソーシャル・ネットワーキング・システム・イベントに関連付けられたイベントへの出欠の返事を求めることもできる。さらに、広告にはその閲覧者に向けられたソーシャル・ネットワーキング・システム・コンテキストを含めてもよい。たとえば、閲覧者の友達であって、広告の主題に関連付けられたアクションを行った友達に関する情報を、その広告によって、ソーシャル・ネットワーキング・システム内に表示することができる。
【0021】
広告へのソーシャル・ネットワーキング・システム機能またはコンテキストの組み込みは、いくつかの方法で行うことができる。たとえば、広告システム100は、ソーシャル機能およびコンテキストを、ソーシャル・ネットワーキング・システム230によって直接取り出し、その取り出した機能またはコンテキストを広告と組み合わせてから、広告を閲覧者に提供してもよい。ソーシャル・ネットワーキング・システム機能およびコンテキストを選択し、広告とともに提供する実施形態は、2010年10月5日出願の「オンライン広告に伴うソーシャル・エンドースメントの提供(Providing Social Endorsements with Online Advertising)」という名称の同時係属出願の米国特許出願第12/898662号および2011年3月8日出願の「広告に対して閲覧するユーザに表示するためのソーシャル・エンドースメント情報の選択(Selecting Social Endorsement Information for an Advertisement for Display
to a Viewing User)」という名称の同時係属出願の米国特許出願第13/043424号に記載されており、その内容全体を本明細書に援用する。ソーシャル・ネットワーキング・システム機能またはコンテキストを含む広告との対話により、その対話に関する情報を閲覧者のソーシャル・ネットワーキング・システム・プロファイル・ページに表示させることができる。
【0022】
図2に示すように、広告システム100は、インタフェース240、広告データベース250、トラッキング・モジュール260、パフォーマンス予測モジュール270、自動入札モジュール280および図1のオークション・モジュール130を含む。他の実施形態では、広告システム100に含まれる構成要素はより多いか、または少なくてもよく、これらの構成要素は本明細書に記載の機能とは異なる機能を実行してもよい。
【0023】
インタフェース240は、広告システム100と図2のその他のモジュールとの間の通信インタフェースを提供する。広告システム100は、広告主220から広告および関連付けられた広告情報をインタフェース240を通じて受信し、その広告および広告情報を広告データベース250に記憶する。また、広告システム100は、インタフェース240を通じてクライアント210から広告の要求を受信し、それに応答して、本明細書で述
べるようにオークション・システムを使用して要求元クライアント210に提供する広告を選択する。一実施形態では、広告システム100は、任意で、インタフェース240を通じてソーシャル・ネットワーキング・システム230からソーシャル・ネットワーキング・システム情報を取り出し、この情報を広告データベース250に記憶するか、または、提供された広告とともに広告を要求する1または複数のクライアント210にこの情報を提供する。
【0024】
広告システム100のトラッキング・モジュール260は、広告システム100によって記憶された広告に関連付けられた統計を追跡する。追跡される統計には、たとえば、クライアントへの広告の提供回数、オークションごとに広告に関連付けられた落札額および非落札額、広告ごとの使用予算額および予算残高、広告ごとの合計インプレッション数、各広告が広告主によって設定されたインプレッション目標に達するのに必要なインプレッション数、各広告の表示に関連付けられたパフォーマンス情報、各広告に関連付けられた閲覧者が行ったアクション、および広告、広告の表示および広告主220によって設定された目標および制約に関連付けられたその他の情報が含まれる。
【0025】
パフォーマンス予測モジュール270は、広告要求に応答して表示される広告のパフォーマンスを予測または決定する。一実施形態では、パフォーマンス予測モジュール270は、要求された広告が掲載されるウェブサイト、アプリケーション、ゲームまたはその他の環境を決定する。パフォーマンス予測モジュール270は、要求された広告が掲載される環境のコンテンツを決定してもよい。また、パフォーマンス予測モジュール270は、閲覧者の年齢、場所、学歴、仕事、または閲覧者に関連する任意の他の経歴情報など、要求された広告の閲覧者に関連する情報を予測してもよい。パフォーマンス予測モジュール270は、要求された広告を閲覧するオーディエンスの多様性または範囲を予測してもよい。たとえば、パフォーマンス予測モジュール270は、要求された広告の閲覧者が米国のどこかに居住している可能性があること、どのような社会経済的経歴を有している可能性があるか、またはどのような学歴があるかということを予測することができる。代替えとして、パフォーマンス予測モジュール270は、要求された広告の閲覧者が米国の特定の地域に居住し、特定の社会経済的経歴を有し、特定の学歴を有する可能性があることを予測してもよい。
【0026】
パフォーマンス予測モジュール270は、要求された広告が、利用可能なソーシャル・コンテキストを含むことを決定することができる。同様に、パフォーマンス予測モジュール270は、要求された広告が、要求された広告の閲覧者の識別に依存するソーシャル・コンテキストの潜在性を含んでいることを決定してもよく、また、閲覧者に対して表示するときに要求された広告がソーシャル・コンテキストを含む公算を予測してもよい。
【0027】
パフォーマンス予測モジュール270によって、要求された広告の閲覧者が要求された広告に関して特定のアクションを行う公算も予想され得る。一実施形態では、パフォーマンス予測モジュール270は、閲覧者が要求された広告をクリックまたはその他の方法で選択する公算を予測する。別の実施形態では、パフォーマンス予測モジュール270は、閲覧者が、ソーシャル・ネットワーキング・システムのコンテキスト内で共有、「いいね」、またはその他の方法で広告を推薦する公算を予測する。パフォーマンス予測モジュール270は、閲覧者が、要求された広告を見る、要求された広告を再生する、要求された広告において提示されている質問またはアンケート調査に回答する、要求された広告に関連して購入をする、または要求された広告に関して閲覧者が行うと考えられる任意の他のアクションの公算を予測することもできる。
【0028】
自動入札モジュール280は、クライアント210からの広告要求の受信に応答して、広告データベース250に記憶されている1または複数の広告のために付け値を生成する
ように構成される。一実施形態では、自動入札モジュール280は、広告データベース250内に記憶されている各広告について付け値を生成する。代替えとして、自動入札モジュール280は、広告データベース250に記憶されている広告であって、未使用の予算を持つ各広告について、または広告のインプレッション目標に達していない各広告について、付け値を生成してもよい。後述のように、自動入札モジュール280は、広告要求、広告コンテンツ、広告予算またはその他の広告制約、広告インプレッション目標、広告パフォーマンスの重み付け、ソーシャル・ネットワーキング・システム広告機能またはコンテキスト、トラッキング・モジュール260から受信した広告に関連付けられた統計、パフォーマンス予測モジュール270から受信した予測される広告パフォーマンス、または広告に関連付けられた任意の他の要因、要求元クライアント210または要求元広告閲覧者に基づいて、付け値を決定することができる。
【0029】
広告データベース
図3は、一実施形態による、1または複数の広告主から広告、広告制約、および広告コンテキストの目標を受信するように構成された広告データベースを示すブロック図である。図3には3つの広告主220のみ示されているが、任意の数の広告主が広告データベース250に広告をアップロードし得ることに留意すべきである。広告データベース250は、データベース・インタフェース300、広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310、広告制約ストレージ・モジュール320および広告目標ストレージ・モジュール330を含む。他の実施形態では、広告データベース250に含まれる構成要素はより多いか、または少なくてもよく、ストレージ・モジュール310、320および330を結合して単一のストレージ・モジュールとしてもよい。
【0030】
データベース・インタフェース300は、広告主220と広告データベース250との間の通信インタフェースを提供する。一実施形態では、データベース・インタフェース300はインタフェース240である。データベース・インタフェース300は、広告主220から広告、広告制約、および広告目標を受信し、これらをそれぞれ広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310、広告制約ストレージ・モジュール320および広告目標ストレージ・モジュール330に記憶する。
【0031】
データベース・インタフェース300は、広告主が広告をアップロードする際や広告制約および広告目標を設定する際に使用することができるユーザ・インタフェース(UI)を備えていてもよい。UIは広告テンプレートを備えることができ、それによって広告主220は広告を作成するか、または既存の広告のコンテンツを修正することができる。たとえば、広告主220はUIを使用して、コンピュータ・ウェブ・ブラウザのために作成された広告を修正して、携帯電話で表示するように広告を最適化することができる。UIが、スライダまたはその他のインタフェース・ツールを備えることによって、広告主220は広告の予算またはインプレッション目標を設定し、広告を特定のキャンペーンに関連付け、広告のパフォーマンス重み付けをし、広告のコンテンツに基づいて広告の目標を示すことができる。
【0032】
広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310は、広告主220によってアップロードされた広告を記憶する。広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310は、広告主220によってアップロードされたフォーマットで広告を記憶するか、または必要に応じてフォーマットを変更することができる。また、広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310は、広告の主題、広告に関連付けられた企業または製品、広告間の関連性を示す情報(たとえば特定の広告キャンペーンに関連付けられた広告)など、広告に関連付けられたメタ・データも記憶することができる。
【0033】
広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310は、ソーシャル・ネットワーキング・
システム230から受信した関連付けられたソーシャル・ネットワーキング・システム機能またはコンテキストを含んでいてもよい。たとえば、広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310に記憶されている広告について広告のソーシャル・コンテキストが取り出された場合、そのソーシャル・コンテキストを後に取り出せるように広告と関連付けて広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310に記憶してもよい。広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310は、記憶されている広告に関連付けられた履歴統計を含むことができる。たとえば、広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310は、回数を記憶することができる。
【0034】
広告制約ストレージ・モジュール320は、記憶されている広告に関連付けられた制約を記憶する。一実施形態では、広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310に記憶されている各広告は、広告制約ストレージ・モジュール320に記憶されている1組の広告制約に関連付けられる。広告制約には広告予算が含まれる。広告主は、各広告に予算、たとえば10,000ドルを設定することができる。代替えとして、広告主は、広告キャンペーンに予算を設定することができ、キャンペーンに関連付けられた各広告はそのキャンペーン予算の対象となる。広告制約ストレージ・モジュール320は、各広告に関連付けられる予算残額を記憶してもよい。たとえば、広告が選択されて閲覧者に表示されるたびに、その広告の表示費用を広告の予算から減算することができ、予算差引残高を広告制約ストレージ・モジュール320に記憶することができる。さらに、広告制約ストレージ・モジュール320は、広告の各表示に関連付けられた費用を記憶してもよい。これによって、広告主220は各広告表示の費用を追跡し得る点において有利である。
【0035】
広告制約ストレージ・モジュール320は、各広告に関連付けられた期間を記憶することもできる。広告主220は、広告データベース250に広告をアップロードするときに、アップロードされる広告の掲載期間(広告の表示可能期間)を示すことができる。たとえば、広告主は、特定の広告が第1の期間中表示可能であることを示し、または特定の広告キャンペーンの各広告が第2の期間中表示可能であることを示すことができる。
【0036】
広告目標ストレージ・モジュール330は、記憶されている広告に関連付けられた目標を記憶する。一実施形態では、広告コンテンツ・ストレージ・モジュール310に記憶される各広告は、広告目標ストレージ・モジュール330に記憶されている1組の広告目標に関連付けられる。広告目標には、ターゲットとする広告インプレッション目標が含まれる。広告主220は、広告データベース250にアップロードされる各広告に広告インプレッション目標を設定する。広告に関連付けられた広告インプレッション目標は、広告主220が、その広告に獲得することを望むインプレッションの数である。広告主220は、広告キャンペーンに関連付けられたすべての広告に対して単一の広告インプレッション目標を設定することもできる。
【0037】
広告目標は、様々な広告パフォーマンス・カテゴリのパフォーマンス重み付けを含み得る。広告主220は、広告に対してパフォーマンス重み付けを設定してその広告の所望のパフォーマンスを示すことができる。パフォーマンス・カテゴリは、広告がクリックされる公算(「クリック」)と、広告のリーチ(オーディエンスの多様性、規模および範囲)(リーチ)、広告内のソーシャル・ネットワーキング・システム機能またはコンテキストの存在(「ソーシャル」)、広告との対話の公算(「対話」)、または広告の表示または広告のオーディエンスに関連付けられた任意の他の要因を含む。
【0038】
パフォーマンス重み付けは、広告主220から受信する。一実施形態では、各パフォーマンス重み付けに関連付けられる重みは、区間[0.0,1.0]における係数である。広告に関連付けられたパフォーマンス重み付けの合計は1.0、または任意の他の任意の数値とすることができる。たとえば、広告主220は、広告の重み付けをクリック0.6
、リーチ0.2、ソーシャル0.1、および対話0.1に設定することができる。代替えとして、広告主220は、広告の重み付けをクリック0.0、リーチ0.0、ソーシャル1.0、および対話1.0に設定することができる。広告主220は、広告の設定表示期間の残り時間、広告の予算残高、または任意の他の要因に基づいて、重み付けの可変の組を設けることができる。一実施形態では、広告データベース250は、広告のコンテンツ、目標、制約または任意の他の要因に基づいて、広告主220に重み付けを推薦する。
【0039】
広告入札
図4は、一実施形態による、広告に関連する情報を受信して広告の付け値を生成するように構成された入札モジュールを示すブロック図である。図4に示すように、入札モジュール125は、インプレッション値モジュール400、インプレッション値重みモジュール410、ペーシング値モジュール420、ペーシング値重みモジュール430および付け値バランス・モジュール450を含む。他の様々な実施形態では、入札モジュール125に含まれるモジュールはより少ないか、または追加のモジュールが含まれてもよく、入札モジュール125内のモジュールの機能は組み合わせられてもよく、かつ/または、本明細書に記載の機能とは異なる機能であってもよい。
【0040】
インプレッション値モジュール400は、広告に関連付けられた広告主220にとってのインプレッションの広告の潜在価値(「V」)を決定し、Vを付け値バランス・モジュール450に送る。たとえば、インプレッション値モジュール400は、特定の広告の特定のインプレッションが広告をアップロードした広告主にとって1.5ドルの価値があると決定することができる。インプレッション値モジュール400は、任意の適切な基準に基づいてVを決定することができる。たとえば、Vはインプレッションの設定、インプレッションの履歴値、インプレッションの時刻または日付、広告を要求するエンティティの識別、または任意の他の適切な基準に基づいてもよい。
【0041】
インプレッション値モジュール400は、インプレッションの予測パフォーマンス440に基づいてVを決定してもよい。予測パフォーマンス440は、たとえばパフォーマンス予測モジュール270から受信される。一実施形態では、予測パフォーマンス・カテゴリは、クリック(広告が選択される予測公算)、リーチ(広告の予測リーチ)、ソーシャル(広告内のソーシャル機能またはコンテキストの存在)、および/または対話(広告との特定の対話の予測公算)を含む。Vは、予測パフォーマンス・カテゴリの所定の重み付けに基づいて決定されてもよい。代替えとして、予測パフォーマンス・カテゴリは、インプレッションの設定、要求するエンティティの識別、または任意の他の適切な基準に基づいて重み付けされてもよい。一実施形態では、予測パフォーマンス・カテゴリは、区間[0.0,1.0]における確率を含む。たとえば、インプレッション値モジュール400が、閲覧者が広告をクリックする公算が45%であると決定した場合、クリック予測パフォーマンス・カテゴリは0.45となる。特定の予測パフォーマンス・カテゴリ、たとえばソーシャルは、広告またはインプレッションがソーシャル機能またはコンテキストを含むか否かに応じて0値または1値を含むことができる。
【0042】
インプレッション値モジュール400は、広告データベース250に記憶されている広告について広告主220から受信した予測パフォーマンス440とパフォーマンス重み付け442の組み合わせに基づいて、広告のインプレッションの潜在価値を決定することができる。前述のように、広告主220は、その広告の広告主220にとってのカテゴリの重要度、その広告の広告主220がターゲットとする人口層、その広告の広告主220の広告戦略、または任意の他の適切な要因に基づいて、広告パフォーマンス・カテゴリに重み付けすることができる。たとえば、広告主220は、クリック、リーチ、ソーシャルおよび対話パフォーマンス重み付けにそれぞれ「0.4」、「0.1」「0.25」および「0.25」を割り当てることができる。
【0043】
一実施形態では、インプレッション値モジュール400は、広告主220が重み付けを提供した各パフォーマンス・カテゴリについて、各パフォーマンス重み付けと、特定パフォーマンス・カテゴリの関連付けられた予測パフォーマンス値との積を合計し、その合計に広告主220にとっての広告の値を乗じることによってVを決定する。広告主220にとっての広告の値は、最適なコンテキスト(非ゼロ重み付けに関連付けられた各予測パフォーマンス・カテゴリが1.0であるコンテキスト)におけるその広告の値であってもよい。代替えとして、その合計に、広告主220から提供された評価、所定の評価、要求しているエンティティの識別、または任意の他の事実など、異なる広告評価を乗じてもよい。前述のクリック0.4/リーチ0.1/ソーシャル0.25/対話0.25の重み付けの例を使用し、かつ、予測パフォーマンス値としてクリック0.7(インプレッションが選択される確率70%を表す)/リーチ0.3(コンテキスト予測モジュール270によって決定されたオーディエンスリーチの任意の尺度を表す)/ソーシャル0(インプレッションにソーシャル機能またはコンテキストが存在しないことを表す)/0.6(特定のアクションが行われる公算が60%であることを表す)を使用する例について検討する。この例では、パフォーマンス重み付けとそれに関連付けられた予測パフォーマンス値の各積の合計は、0.4×0.7+0.1×0.3+0.25×0+0.25×0.6=0.46となる。これに、最適コンテキストにおける広告の値を乗じる。最適コンテキストは、広告主220から提供されるか、または別個に決定され得る。最適コンテキストにおけるこの例の広告の値が2.00ドルであると仮定すると、Vは2.00ドル×0.46、すなわち0.92ドルに決定される。
【0044】
任意で、広告の時間情報444および広告の予算情報446に基づいてVが重み付けされてもよい。インプレッション値重みモジュール410は、広告データベース250およびトラッキング・モジュール260から時間情報444と予算情報446を受信し、インプレッション値重みAを付け値バランス・モジュール450に送る。時間情報444は、広告を掲載する合計期間、広告の掲載期間の残り時間、広告の掲載期間の残り時間の割合、または広告の期間に関連する任意の他の要因を含むことができる。予算情報446は、広告の合計予算、広告の予算残高、広告の予算残高の割合、または広告予算に関連する任意の他の要因を含むことができる。
【0045】
インプレッション値重みモジュール410は、広告の予算残高の割合と広告の残り時間の割合とに基づいてAを決定してもよい。一実施形態では、インプレッション値重みモジュール410はAを広告の残り時間の割合に対する予算残高割合の比として決定する。たとえば、広告の予算の50%が残っており、広告の期間の50%が残っている場合、Aは1に決定される。同様に、広告予算の80%が残っており、広告期間の20%が残っている場合、Aは4に決定され、広告予算の30%が残っており、広告期間の75%が残っている場合、Aは0.4に決定される。インプレッション値重みモジュール410は、Aを決定することが可能な区間を、たとえば区間[0.0,2.0]に限定してもよい。なお、インプレッション値重みモジュール410は、本明細書に記載の方法とは異なる方法でAを決定し得る点に留意すべきである。
【0046】
ペーシング値モジュール420は、広告のインプレッションのペースに基づいて、広告主220にとっての広告の表示の潜在価値を決定し、その値を付け値バランス・モジュール450に送る。ペーシング値Vは、ペーシング値モジュール420が広告データベース250およびトラッキング・モジュール260から受信した予算情報446とインプレッション情報448に基づく。インプレッション情報448は、広告主220によって設定されたインプレッション目標、広告の合計インプレッション数、インプレッション目標が達成されるまでに残された広告の合計インプレッション数、インプレッション目標が達成されるまでの残りインプレッションの割合、または広告インプレッションに関連する任
意の他の要因を含むことができる。
【0047】
一実施形態では、予算情報446は広告の予算残高を含み、インプレッション情報448は広告の残りインプレッション数量(たとえばインプレッション目標からその時点までの広告の合計インプレッション数を差し引いた値)を含む。ペーシング値モジュール420は、Vを、残りインプレッション数に対する予算残高の比として決定してもよい。たとえば、広告の未使用予算が10,000ドルであって、広告のインプレッション目標に達するまでの残りインプレッション数が20,000である場合、ペーシング値モジュール420はVを0.50ドルと決定することができる。
【0048】
は任意で、広告の時間情報444および広告のインプレッション情報448に基づいて重み付けされてもよい。ペーシング値重みモジュール430は、広告データベース250およびトラッキング・モジュール260から時間情報444とインプレッション情報448を受信し、ペーシング値重みAを付け値バランス・モジュール450に送る。ペーシング値重みモジュール430は、広告の残りインプレッション数の割合および広告の残り時間の割合に基づいてAを決定してもよい。一実施形態では、ペーシング値重みモジュール430は、Aを広告残り時間の割合に対する残りインプレッションの割合の比として決定する。たとえば、広告のインプレッション目標の75%が残っており、広告の期間の25%が残っている場合、Aは3に決定される。同様に、広告のインプレッション目標の10%が残っており、広告の期間の90%が残っている場合、Aは0.111に決定される。インプレッション値重みモジュール410と同様に、ペーシング値重みモジュール430はAを特定の区間に限定してもよい。なお、ペーシング値重みモジュール430は、本明細書に記載の方法とは異なる方法でAを決定し得る点に留意すべきである。
【0049】
付け値バランス・モジュール450は、広告の付け値460を決定し、その付け値460をオークション・モジュール130に出力する。付け値バランス・モジュール450は、インプレッション値V、インプレッション値重みA、ペーシング値Vおよびペーシング値重みAのいずれを受信してもよく、これらの値を使用して付け値460を決定することができる。一実施形態では、付け値バランス・モジュール460は、付け値460の値を合計V×A+V×Aとして決定する。代替えとして、付け値バランス・モジュール460は、VとAのみに基づいて付け値460の値を決定することもできる。一実施形態では、広告主220は広告のインプレッション目標を設けなくてもよく、付け値460はV×Aとして決定される。入札モジュール125が受信した情報または入札モジュール125が算出した係数に基づいて付け値460を決定する任意の他の方法を用いてもよい。
【0050】
上述の実施形態では、AとAとがそれぞれ別々に決定される。他の実施形態では、AとAとを共に決定する。たとえば、A×A=kになるようにAおよびAを決定することができる。ここでkは1.0などの任意の非ゼロ定数である。代替えとして、A+A=kになるようにAおよびAを決定することができる。AおよびAを共に計算することによって、広告の予算とインプレッション目標とのバランスをとりやすくなる点において有利である。たとえば、広告の予算を消費する速度が、広告のインプレッション目標に向かって進む速度を超える場合、値Aを下げるとともに値Aを高くすることができる。その逆も成立し、Aを上げる場合、それに応じてAを下げることができる。
動作
図5は、一実施形態による広告の予算の予算および目標に基づいて表示する広告を選択する処理を示すフローチャートである。広告と広告に関連付けられた予算と目標を複数の広告主から受信する(500)。広告、広告予算、および広告目標は広告データベースに
記憶されてもよい。一実施形態では、図5の方法により後に取り出すために、予め広告、広告予算および広告目標が受信され記憶される。広告目標は、たとえば広告を表示することができる特定の期間に亘る広告の目標インプレッション数を含む。
【0051】
クライアントから広告要求を受信する(510)。広告要求の受信に応答して、複数の広告のそれぞれについて広告の予算残高と広告目標のペーシングを決定する(520)。たとえば、特定の広告の予算残高が5000ドルであり、広告のインプレッション目標の60%に達している場合がある。この情報を、付け値を決定する1組の広告のそれぞれについて決定する。この複数の広告のそれぞれについて、決定された広告の予算残高とインプレッション目標ペーシングに基づいて付け値を決定する(530)。さらに、付け値を図6の方法で述べるように、他の広告目標に基づいて決定してもよい。次に、決定された付け値に基づいて広告を選択する(540)。たとえば、従来のオークションを実施し、最高決定付け値を選択し、その最高付け値に関連付けられた広告を、要求元クライアントに表示するために選択する。
【0052】
図6は、一実施形態による、広告パフォーマンスの重み付けに基づいて表示する広告を選択する処理を示すフローチャートである。1または複数の広告主から、広告と広告に関連付けられた広告パフォーマンスの重み付けを受信する(600)。パフォーマンス重み付けは、広告が選択される公算、広告のリーチ、広告内のソーシャル・ネットワーキング・システムの機能またはコンテキストの存在、閲覧者が特定の方法で広告と対話する公算など、パフォーマンス・カテゴリの重み付けを含む。パフォーマンス重み付けは、広告について広告主が広告主にとっての各カテゴリの重要度を示すパフォーマンス・カテゴリの値の形で提供してもよい。広告およびパフォーマンス重み付けは、図6の方法によって後に取り出すために、予め受信され記憶されてもよい。
【0053】
クライアントから広告要求を受信する(610)。広告要求の受信に応答して、広告要求に関連付けられた予測パフォーマンスを決定する(620)。一実施形態では、広告要求の予測パフォーマンスを決定することは、広告が選択される公算など、様々なパフォーマンス・カテゴリの値を予測することを含む。予測される広告パフォーマンスと広告に関連付けられたパフォーマンス重み付けとに基づいて、広告の広告要求に関連付けられた広告インプレッションの値を決定する(630)。一実施形態では、予測される広告パフォーマンス・カテゴリを表す値に、各カテゴリのパフォーマンス重み付けを表す関連付けられた値を乗じ、その結果得られた積を合計して広告インプレッションの値を決定する。次に、広告の広告要求に関連付けられた広告インプレッションの算出値に基づいて、広告の付け値を決定する(640)。
【0054】
まとめ
以上の本発明の各実施形態の説明は、例示の目的で示したものであり、網羅的であることや本発明を開示の厳密な形態に限定することを意図したものではない。当業者であれば、上記の開示に照らして多くの変更および変形が可能であることを理解されるであろう。
【0055】
本明細書では、本発明の実施形態について、情報に対する操作のアルゴリズムおよび記号表現を用いて説明している箇所が存在する。これらのアルゴリズム的記述および表現は、データ処理の技術分野における当業者がその研究の内容を当業者に効果的に伝えるために一般的に使用されているものである。これらの操作について、機能、計算または論理に関して述べているが、コンピュータ・プログラムまたは同等の電気回路、マイクロコードなどによって実施されるものと理解される。また、普遍性を失わずに、操作のこれらの構成をモジュールと称することが時として便宜であることを経験している。記載されている操作およびそれに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはこれらの任意の組み合わせにおいて実装されてもよい。
【0056】
本明細書に記載の工程、操作または処理のいずれも、1つもしくは複数のハードウェアまたはソフトウェア・モジュールで、単独で、もしくは1または複数の他のデバイスと組み合わせて実行または実施することができる。一実施形態では、ソフトウェア・モジュールが、コンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ可読媒体からなるコンピュータ・プログラム製品で実施され、コンピュータ・プログラム・コードは、記載の工程、操作または処理のいずれかまたはすべてを行うためにコンピュータ・プロセッサによって実行されてもよい。
【0057】
本発明の実施形態は、本明細書に記載の操作を行うための装置にも関し得る。この装置は、必要な目的のために特別に構築することができ、かつ/または、コンピュータに記憶されたコンピュータ・プログラムによって選択的に駆動または再構成された汎用計算機からなることができる。このようなコンピュータ・プログラムは、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体、または電子的命令の記憶に適した任意の種類の媒体に記憶可能であり、コンピュータ・システム・バスに結合し得る。さらに、本明細書で言及しているいずれのコンピューティング・システムも、単一のプロセッサを備えるものであってもよく、または計算能力の向上のためにマルチ・プロセッサ設計を採用したアーキテクチャであってもよい。
【0058】
本発明の実施形態は、本明細書に記載の計算処理によって制作される製品にも関し得る。そのような製品は、計算処理の結果の情報を含むことができ、その情報は非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピュータ・プログラム製品のいかなる実施形態または本明細書に記載の他のデータの組み合わせも含むことができる。
【0059】
最後に、本明細書で使用している言語は、主として読みやすさおよび教示の目的で選ばれたものであり、本発明の主題の範囲を定めたり制限するために選ばれたものではない。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明ではなく、本明細書に基づく出願に由来する特許請求の範囲によって限定されることを意図している。したがって、本発明の実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を例示するものであって、限定的であることを意図したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6