(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンダーカバー外周縁部の一部が水平外方へ張り出す外鍔を複数形成し、且つ該外鍔に通孔を形成し、該通孔を利用して車体に組付けられる請求項1記載の燃料タンクカバー。
前記インテグラルヒンジが在る前記アンダーカバー外周縁部の部位にも、該部位に載る前記プロテクターの外周部分が設けられ、且つこの外周部分の上面から下面に向かうスリットが形成され、前記帯状片が該スリットを通ってアンダーカバー外周縁部の前記部位に載るようにした請求項1又は2に記載の燃料タンクカバー。
前記アンダーカバーの碗底部に水抜孔を設け、且つその近くの碗底部分に、碗内へ向けて対向する一対のリブを立設させ、さらに両リブに外方へ張り出す爪を有するクリップを一体成形すると共に、該クリップに対応する前記プロテクターの部位に切欠孔を形成して、該アンダーカバーへの該プロテクターの重ね合わせで、前記爪が切欠孔を貫通してプロテクターの碗内側へ突き出し、且つ切欠孔周りの碗内面に前記爪が載って係止するようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料タンクカバー。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る燃料タンクカバーについて詳述する。
(1)実施形態1
図1〜
図8は本発明に係る燃料タンクカバーの一形態で、
図1はその分解斜視図、
図2は
図1のアンダーカバーにプロテクターを載置した斜視図、
図3はプロテクターとアンダーカバーとを一体化した燃料タンクカバーの斜視図、
図4は
図3の燃料タンクカバーを車体に取付けた断面図で、スリットと貫通孔を通る縦断面図である。
図5は
図2のインテグラルヒンジ周りのアンダーカバーの縦断面図、
図6は
図4のインテグラルヒンジ周りの断面図、
図7は(イ)がクリップ周りの平面図、(ロ)が(イ)の縦断面図、
図8はクリップの爪をプロテクターの碗底部上に載せてプロテクターに係止した断面図である。尚、図面を判り易くするため、プロテクター、アンダーカバーの全体形状を簡略化し、且つそれらの厚み、及び係止部,帯状片,クリップを強調して大きめに描く。
【0011】
本燃料タンクカバー1は、燃料タンク6下側の外面6aに沿って碗状成形された発泡体からなるプロテクター2と、該プロテクター2の外面2aに沿って碗状に樹脂成形されたアンダーカバー3と、を備える(
図1)。本発明でいう「下側」,「下方」とは、
図4でいえば「紙面下側」,「紙面下方」を指す。
【0012】
プロテクター2は、断熱性を有する所定厚みで碗状に発泡成形され、
図4のごとく燃料タンク6の下側からこれを覆うようにした立体部品である。碗側壁23は上面開口に向け外方へ傾斜させて、上面開口側の口を大きくする。さらにその開口縁2cからは、上面開口を取り巻くようにして、プロテクター外周部分21が水平外方へフランジ状に張り出している。ここでの外周部分21は
図5のようなフランジ部217を形成する。
プロテクター2は、独立気泡タイプの熱可塑性フォームシートを加熱軟化させて型にセットした後、真空成形や圧空成形で燃料タンク6下側の外面6aに沿う形状に成形される。ここでは、厚みが8mm〜15mmの独立気泡タイプの発泡ポリエチレンシートを加熱軟化させ、該発泡ポリエチレンシートと型との間を真空状態にして成形する真空成形を採用する。
【0013】
アンダーカバー3は碗状の射出成形品で、その上面開口縁3cからフランジ状に水平外方へ張り出す外周縁部31が設けられる。ポリプロピレン樹脂製(又はタルク入りポリプロピレン樹脂製)で、1.5mm〜2.5mm程の厚みで成形される。
図1,
図2のごとく、アンダーカバー3へプロテクター2を上から重ね合わせると、碗状の上面開口を取り巻くアンダーカバー外周縁部31上に前記プロテクター外周部分21が載る。弾力性のあるプロテクター外周部分21にパッキンの役割を担わせるためである。そして、アンダーカバー3とプロテクター2とが一体となり、逆さにしても離れないよう、該アンダーカバー3に係止部36付き帯状片37と被係止部301とクリップ39とが設けられる。
【0014】
詳しくは、アンダーカバー3の外周縁311から碗底部32へ向かう立壁33途中に、透孔30でつくる被係止部301を設けると共に、該外周縁311からインテグラルヒンジ35を介して延在する係止部36付き帯状片37を設ける(
図5)。アンダーカバー外周縁311に、係止部36付き帯状片37がインテグラルヒンジ35を介して回動可能に連結する。インテグラルヒンジ35の部位で、厚みを薄くし、括れ部分の形成によって折り曲げ変形を可能にする。インテグラルヒンジ35にて屈曲させた該帯状片37で、インテグラルヒンジ35近くのプロテクター2の一部24を抱き込み、係止部36がプロテクター2の厚み層mを貫通して、透孔30で形成された被係止部301に係止できるようにしている。
【0015】
具体的には、アンダーカバー外周縁311の複数個所(ここでは四箇所)から、インテグラルヒンジ35を介して立体付形された帯状片37が延在する。各帯状片37は、
図6で説明すると、インテグラルヒンジ35を介して、外周縁部31の縁部幅とプロテクター2の厚みとを加えた長さに相当する長さの第一片部37aと、インテグラルヒンジ35で折り曲げて該第一片部37aを外周縁部31上に重ねたときに、アンダーカバー3内に載置されたプロテクター開口縁2cからアンダーカバー碗内面3bに沿って透孔30の高さ近くまで延在下降する第二片部37bと、該第二片部37bの先端で第一片部37a側に折れ曲って透孔30を潜り、頭部が立壁33の外に出る第三片部37cと、該第三片部37cから屈曲部たる第四片部37dを経て、第三片部37cとで側面視V字部に形成し、先端部分が透孔30を通って碗内3uへ向かう第五片部37eと、を備える。第五片部37eに係るV字部外面には、突部からなる係止部36が立設する。ちなみに、前記インテグラルヒンジ35で折り曲げた該第一片部37aが、プロテクター外周部分21の上面21aから下面21bへと向かい、
図5の状態から
図6のアンダーカバー外周縁部31上に重ねられるようにするため、プロテクター2にはスリット210が設けられる(詳細後述)。また、
図2のようなアンダーカバー3へのプロテクター2の載置で、前記透孔30と対向するプロテクター2に係る碗側壁23には、その厚み層mを貫通する貫通孔230が設けられている。
斯かる構成にして、インテグラルヒンジ35で折り曲げ、さらに第三片部37cと第五片部37eとをV字部を保形しようとする弾性に抗して寄せ合うようにして、貫通孔230、透孔30に係止部36を潜らせる。そうして、
図5から
図6の状態へ変化させて、該係止部36が透孔30周りの被係止部301たる立壁33の外面に係止するようにしている。
【0016】
また、前記クリップ39がアンダーカバー3の碗底部32に設けられている(
図1,
図7)。クリップ39は一対のリブ392と爪391を備える。碗底部32上に一対の板片状リブ392が対向するように離間して碗内3uへ向けて立設するが、両リブ392は碗底部32から上方に向け、
図7のごとく互いにやや外方へ広がるように上方傾斜する。そして、両リブ392の先端部で庇状の爪391が相手方リブ392とは反対側の外方へ張り出す。リブ基端の碗底部32から爪391の下面までの高さはプロテクター2の厚みに略等しい(
図8)。リブ392及び爪391は
図7(ロ)の紙面垂直方向に等断面形状とし、且つ両リブ392の基端がつながる碗底部32には、リブ392の両外側に水抜孔38がそれぞれ形成される。
図7(イ)の平面視(アンダーカバーの型抜き方向視)で説明すれば、両水抜孔38は、いずれもリブ392の板幅よりも両側外方へ張り出す縦長さを有し、且つその平面視で、リブ392の基端縁から爪391の先よりも少し先まで延びた横長さを有する矩形孔に形成される。尚、見方を変えれば、一対のリブ392の両外に在る二つの水抜孔38をつなぎ合わせた大きな水抜孔38の中間部位を、橋渡し部分になる碗底部分321が横切るように形成され、これに両リブ392が立設しているともいえる。一対のリブ392,392を挟んだ両脇に水抜孔38,38が設けられている。そして、それぞれのリブ392,392の基端が両脇の水抜孔38,38の周縁に接する。
前記クリップ39,水抜孔38の構成により、
図7(ロ)のようなパーティングラインPLを採用して、
図7(ロ)の上下方向を型抜き方向とすることで、アンダーカバー3の成形時にクリップ39,水抜孔38が一緒に一体成形される。アンダーカバー3の碗底部32に水抜孔38が設けられ、且つその近くの碗底部分321に、碗内3uへ向けて一対のリブ392が立設し、さらに両リブ392に外方へ張り出す爪391を有するクリップ39が一体成形される。本実施形態は、橋渡し部分の碗底部分321が矩形板部状にして、その両側縁がそれぞれ水抜孔38の周縁の一部を形成し、該碗底部分321の両脇に水抜孔38が配設される。碗底部32に、一対のリブ392で一組となるクリップ39を複数(二組)設けたが、一組であってもよい。
【0017】
符号34は外周縁部31の四方角部で耳状に延在させてなる外鍔34、符号340は該外鍔34に設けた通孔340を示す。アンダーカバー外周縁部31の一部が水平外方へ張り出す外鍔34を複数形成し、且つ外鍔34に通孔340を形成し、該通孔340を利用してアンダーカバー3が車体8に組付けられる。通孔340を利用し、
図4のごとく、アンダーカバー3が、プロテクター2を介して燃料タンク6を被い、且つ車体8(詳しくは車体パネル81)とでプロテクター外周部分21を挟着して該車体8に組付け固定できるようになっている。
図4中、符号61は車体パネル81に設けたボルト、符号5は該ボルト61の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有するナットたる止具を示す。
【0018】
一方、前記プロテクター2には、碗状アンダーカバー3の碗内3uへの重ね合わせで、前記クリップ39と対応する部位に切欠孔29が形成される。該切欠孔29は、
図7(イ)でいえば、リブ392の板幅よりも両側外方(紙面上下方向)へ若干張り出す水抜孔38と略同じ縦長さを有する一方、横長さは、
図8のごとく前記橋渡し部分の碗底部分321よりも少し大きめの横長さを有するにとどめる。アンダーカバー3への該プロテクター2の重ね合わせで、一対のリブ392が、切欠孔29を形成する弾性プロテクター2の孔壁を、爪391で押し広げると共に、樹脂の有する弾性力に抗して両リブ392を互いに寄せて、該切欠孔29に進入する。その後、前記爪391が切欠孔29を貫通してプロテクター2の碗内3u側へ突き出し、弾性復元で、切欠孔29周りの碗内面3bに爪391を載せて係止する。
【0019】
また、プロテクター2には、
図2のごとくアンダーカバー3へプロテクター2を上から重ね合わせた後、インテグラルヒンジ35で折り曲られた第一片部37aを、
図5の状態から
図6の外周縁部31上に重ねられるよう、スリット210が設けられる。インテグラルヒンジ35が在るアンダーカバー外周縁部31の部位31aに、該部位に載るプロテクター2の外周部分21が配されるが、この外周部分21の上面21aから下面21bに向かうスリット210が貫通形成される(
図1,
図6)。帯状片37が該スリット210を通ってアンダーカバー外周縁部31の前記部位31aに載るようにしている。
【0020】
具体的には、外周部分21の上面21aから下面21bに達する垂直スリット210vと、垂直スリット210vの下端で両側外方に延びる水平スリット210hと、で逆T字形にした
図1〜
図3ごとくのスリット210が形成される。垂直スリット210vがプロテクター外周部分21に切り込まれるが、該垂直スリット210vはその切り込まれる深さと同じ深さで碗側壁23に延在しており、プロテクター開口縁2cから碗底部22へ向かう碗側壁23にも切り込まれる(
図1)。そして、該垂直スリット210vの下端につながる水平スリット210hが、プロテクター厚みを貫通するようにして碗側壁23に切り込んでいる。垂直スリット210vの下端がフランジ状外周部分21の下面21bにまで達し、さらにこの高さ地点で、水平スリット210hが碗内2uへ向かって水平に切り込んで、碗側壁23に水平スリット210hが貫通形成される。
図1で、水平スリット210hの正面視形状は帯状片37に係る第一片部37aの横断面形状に略等しい。
図2の状態からインテグラルヒンジ35を支点に折り曲げて帯状片37をプロテクター碗内2u側へと回動させ、第一片部37aを垂直スリット210vから差し入れて水平スリット210h内に配設し、
図6のごとく、アンダーカバー外周縁部31上に該第一片部37aが重ね合わさる状態にできる。
【0021】
さらに、プロテクター2には、水平スリット210hの真下で、該水平スリット210hから少し離れたプロテクター2の碗側壁23で、アンダーカバー3に設けた透孔30との対向位置に、該透孔30と略同じ大きさの貫通孔230が形成される。本実施形態は貫通孔230を透孔30よりもやや大きくする。
図5から
図6の状態へ変化させる際、第三片部37cと第五片部37eとが、V字部を保形しようとする弾性に抗して寄せ合うようにして、貫通孔230、透孔30を潜り、一緒に潜り抜けた係止部36が透孔30周りの立壁33(被係止部301)の外面に係止されるようにしている。
かくのごとくして、水平スリット210h内に第一片部37aを配設した帯状片37に係る第四片部37dと第三片部37c,第五片部37eの頭部分と、係止部36とを貫通孔230、透孔30に通し、透孔30周りの被係止部301に係止部36を係止させて、アンダーカバー3とプロテクター2とを連結できるようにしている。
図3,
図6のごとく四方四箇所(複数個所)で、透孔30周りの立壁33の被係止部301に係止部36を係止させると、アンダーカバー3とプロテクター2が一体保持され、逆さにしてもアンダーカバー3からプロテクター2が離れ落ちなくなる。
尚、本実施形態の帯状片37は、第一〜第五片部37eからなる一例であり、この形状に限らない。また、
図5はインテグラルヒンジ35から第一片部37aを経由して第二片部37bが水平外方に延在する射出成形時の様子を示したもので、射出成形を終えて取出されたアンダーカバー外周縁311に接続する実際の帯状片37は、その重みで、
図1のごとくアンダーカバー3の外周縁311からインテグラルヒンジ35を介して垂れ下がる。
【0022】
(2)実施形態2
本実施形態は、
図9〜
図11のごとく、実施形態1のプロテクター2に形成していたスリット210をなしにした燃料タンクカバー1である。
図9はアンダーカバー3の碗内3uにプロテクター2を載置し、両者を連結した
図3に対応する斜視図、
図10は
図5に対応する縦断面図、
図11は
図9のインテグラルヒンジ35周りの断面図を示す。
実施形態1のように、プロテクター2の外周部分21の上面21aから下面21bに向かうスリット210を形成しないので、帯状片37が該スリット210を通ってアンダーカバー外周縁部31の部位31aに載ることはない。
図11に見るように、インテグラルヒンジ35にて屈曲させた帯状片37で、インテグラルヒンジ35近くのプロテクターの一部24を抱き込み、係止部36がプロテクター2の厚み層mを貫通して被係止部301に係止するが、
図9のごとく、帯状片37(第一片部37a)がプロテクター外周部分21の上面21aに載る。そのため、インテグラルヒンジ35が在る外周縁部31の部位31aでは、
図10のように、その外周縁311から帯状片37の帯幅で第六片部37fが起立延在し、該第六片部37fの先端にインテグラルヒンジ35を介して、実施形態1と同じように第一片部37a〜第五片部37eが延在する。尚、第一片部37aがプロテクター外周部分21の上面21aに載るので、第二片部37bの帯長は、
図6に比べ、プロテクター外周部分21の厚み相当分だけ長くなる(
図11)。
【0023】
ここで、
図11は帯状片37とプロテクター2との位置関係を判り易くするため、第六片部37fはプロテクター外周部分21の厚みに合わせた高さにしているが、
図10でみる第六片部37fの紙面上下方向高さを、プロテクター外周部分21の厚みよりも低くするのがより好ましい。プロテクター外周部分21の厚みよりも第六片部37fの高さを低くして、プロテクター外周部分21の上面21aに載る第一片部37aの部分をプロテクター2の弾性に抗して下方へ沈めて、帯状片37でプロテクターの一部24を締め付けるようにして抱き込み、係止部36を被係止部301に係止させるのが良い。斯かる構成にすると、アンダーカバー3が、プロテクター2を介して燃料タンク6を被い、且つ車体8とでプロテクター外周部分21を挟着して該車体8に組付けられるとき、第一片部37aが載るプロテクター外周部分21を除けば、プロテクター外周部分21を、アンダーカバー3と車体8とで圧縮挟着できる。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0024】
(3)実施形態3
本実施形態の燃料タンクカバー1は、
図12,
図13のごとく、実施形態1で、垂直スリット210vが形成されたプロテクター外周部分21の部位と、プロテクター開口縁2cから碗底部22へと向かい、水平スリット210hの箇所までの碗側壁23の部位と、を切除したプロテクター2を用いる。
図12は
図1に対応する燃料タンクカバーの分解斜視図、
図13はアンダーカバー3に
図12のプロテクター2を組付けた燃料タンクカバーの斜視図を示す。
【0025】
実施形態1ではスリット210を設け、帯状片37が該スリット210を通ってアンダーカバー外周縁部31でインテグラルヒンジ35の在る前記部位31aに載るようにしたが、本実施形態は、スリット210が形成されたプロテクター外周部分21の部位及びプロテクター開口縁2cから碗底部22へ向かう碗側壁23の部位を切除し、
図12ごとくの凹形段部215を設ける。碗側壁23で、段部215の段底を形成する凹み部分はプロテクター外周部分21の下面21bと面一にする。凹形段部215の横長さは帯状片37の帯幅よりも長めにし、使い勝手を良くしている。
図12の状態から、アンダーカバー3へプロテクター2を重ね合わせた後、実施形態1と同様、インテグラルヒンジ35にて屈曲させた帯状片37で、インテグラルヒンジ35近くの凹形段部215下に在るプロテクターの一部24を抱き込み、係止部36がプロテクター2の厚み層mを貫通して被係止部301に係止する。このとき、凹形段部215を形成していることから、帯状片37がスリット210に分け入って、該スリット210を通ってアンダーカバー外周縁部31の前記部位31aに載るようにする作業手間はいらない。
図2に相当する状態からインテグラルヒンジ35を支点に折り曲げて、帯状片37をプロテクター碗内2u側へと回動させると、第一片部37aが自動的に凹形段部215の凹み部分に載り、アンダーカバー3の外周縁部31上に重ね合わさる状態が確保される。但し、アンダーカバー3が、プロテクター2を介して燃料タンク6を被い、且つ車体8とでプロテクター外周部分21を圧縮挟着して該車体8に組付けることになるが、段部215がある箇所だけはプロテクター外周部分21の圧縮挟着がない。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0026】
(4)効果
このように構成した燃料タンクカバー1は、アンダーカバー3に設けた帯状片37で、インテグラルヒンジ35近くのプロテクターの一部24を抱き込み、係止部36が被係止部301に係止するので、別体構成のアンダーカバー3とプロテクター2を一体組付けできる。大きくて重い燃料タンク6にあって、上下逆にした該燃料タンク6に、アンダーカバー3とプロテクター2を一体組付けした燃料タンクカバー1を被せた後、これらをひっくり返して車体8に手際よく取付けることができる。従来のように、燃料タンク6へプロテクター2とアンダーカバー3とを別々に被せていくのと違い、取付工程が簡略化し、作業性向上につながる。
ここで、アンダーカバー3の外周縁311から碗底部32へ向かう立壁33途中に被係止部301を設け、またアンダーカバー3の外周縁311からインテグラルヒンジ35を介して延在する係止部36付き帯状片37を設けて、アンダーカバー3とプロテクター2を一体組付けるので、一体組付け用の別部品はいらない。コスト上昇を抑えることができる。
【0027】
そして、インテグラルヒンジ35にて屈曲させた帯状片37で、インテグラルヒンジ35近くのプロテクターの一部24を抱き込んで、係止部36がプロテクター2の厚み層mを貫通して被係止部301に係止すると、両者の一体化に加え、変形し易いプロテクター2が矯正され、碗外面2aがアンダーカバー碗内面3bに沿うようになるので、燃料タンク6にプロテクター2を良好にセットできる。
発泡体からなるプロテクター2は、特許文献2のグラスウール等の断熱材に比べ、燃料タンク6下側の外面6aに沿う碗状に成形し易い。ただ、燃料タンク下側の外面6aに沿うよう成形されるが、ソリッドの射出成形品と比べると、形状が安定せず精度もさほど良くない。真空成形等による発泡成形品では、アンダーカバー3内に置いたとき、碗側壁23がアンダーカバー3の立壁33から部分的に離れる傾向にある。アンダーカバー立壁33にプロテクター碗側壁23を沿わせてやらないと、燃料タンク6を燃料タンクカバー1で被う際、該碗側壁23が倒れてしまい、プロテクター2の断熱性等の性能に支障をきたす。本発明では、アンダーカバー外周縁311にインテグラルヒンジ35を介して係止部36付き帯状片37を設け、インテグラルヒンジ35近くのプロテクター開口縁2c近くの部分(プロテクターの一部24)を抱き込むので、燃料タンク6をプロテクター2で被う際、碗側壁23が倒れるのを効果的に防止できる。さらに、碗側壁23は上面開口に向け外方へ傾斜させて、上面開口側の口を大きくするので、間口が広くなり、燃料タンク6をプロテクター2で被う際、碗側壁23がより倒れ難くなっている。作業性向上,品質向上に貢献する。
【0028】
また、アンダーカバー3へのプロテクター2の重ね合わせで、アンダーカバー外周縁部31に載るプロテクター外周部分21を形成して、アンダーカバー3が、プロテクター2を介して燃料タンク6を被い、且つ車体8とでプロテクター外周部分21を挟着して該車体8に組付け固定されると、弾性スペーサーやパッキンを別途用意しなくても、異音抑制や断熱密閉状態を保ち易くなる。帯状片37と係止部36とアンダーカバー3の立壁33とで、インテグラルヒンジ35近くのプロテクターの一部24を、
図4のごとく囲い込んで保持するので、アンダーカバー3にプロテクター2が位置ズレせずにセット維持される。プロテクター外周部分21が、インテグラルヒンジ35間のアンダーカバー外周縁部31に載るようにし、車体8とアンダーカバー3との間に該プロテクター外周部分21を配して挟着すると、プロテクター2が発泡体からなるので、車体8とアンダーカバー3の接合部における衝撃緩和や異音発生防止になる。さらに、アンダーカバー外周縁部31と車体8とに挟着される発泡体からなるプロテクター外周部分21は、挟着に伴って弾性圧縮するので、アンダーカバー3と車体8との隙間から、空気がアンダーカバー碗内3uへ侵入し難い。別部品のパッキンを用意することなく、発泡体からなるプロテクター2の断熱性をベストに近い状態で維持できる。
【0029】
プロテクター2の優れた断熱性が維持されるので、夏場の輻射熱による燃料気化による燃料タンク6内の圧力上昇を抑え、また燃料透過率の上昇も抑える。本燃料タンクカバー1が、内側の発泡体からなるプロテクター2と、外側の樹脂製アンダーカバー3との積層バリア構造になるので、軽量にして、燃料タンク6の圧力上昇,燃料透過率の抑止に好適となる。
アンダーカバー外周縁部31に通孔340を有する外鍔34を形成すると、燃料タンク6を覆う本燃料タンクカバー1を簡便に車体8に取着できる。
【0030】
プロテクター2の外周部分21をアンダーカバー3の外周縁311にまで延ばし、インテグラルヒンジ35間のアンダーカバー外周縁部31に載るようにするにあっては、インテグラルヒンジ35が在るアンダーカバー外周縁部31の部位31aに、実施形態3ごとくの凹形段部215をプロテクター2に設けると(
図12)、インテグラルヒンジ35にて帯状片37を屈曲させれば、帯状片37の第一片部37aがスムーズにアンダーカバー外周縁部31上に重なる(
図13)。したがって、該帯状片37でインテグラルヒンジ35近くのプロテクターの一部24を素早く抱き込んで、係止部36をプロテクター2の厚み層mに貫通後、被係止部301に楽に係止できる。アンダーカバー3とプロテクター2との一体組付けの作業工程をさらに簡略化できる。それでいて、凹形段部215を除く大半のアンダーカバー外周縁部31にはプロテクター2の外周部分21が載るので、車体8とアンダーカバー3の接合部における衝撃緩和や異音発生防止、プロテクター2の断熱性が保たれる。
【0031】
一方、インテグラルヒンジ35が在るアンダーカバー外周縁部31の部位31aにも、該部位31aに載るプロテクター2の外周部分21が設けられ(
図9)、実施形態2のごとく、インテグラルヒンジ35にて屈曲させた帯状片37で、インテグラルヒンジ35近くのプロテクターの一部24を上から抱き込む構成にして、係止部36がプロテクター2の厚み層mを貫通して被係止部301に係止させることもできる。斯かる構成でも、アンダーカバー3とプロテクター2が一体保持され、また帯状片37でプロテクター部分24を抱き込む以外のプロテクター外周部分21はアンダーカバー3と車体8とで圧縮挟着させて、燃料タンクカバー1を車体8に取付け可能であるので、前述した衝撃緩和,異音発生防止やプロテクター2の断熱性を維持する一定の効果が得られる。
【0032】
さらに、実施形態1のごとく、インテグラルヒンジ35が在るアンダーカバー外周縁部31の部位31aにも、該部位31aに載るプロテクター2の外周部分21が設けられ、且つこの外周部分21の上面21aから下面21bに向かうスリット210が形成され、帯状片37が該スリット210を通ってアンダーカバー外周縁部31の前記部位31aに載るようにすると、プロテクター2の環状外周部分21の上面全てを車体8に当接させて、挟着状態で該車体8に組付けることができるので、耐衝撃性,シール性に優れ、前述した衝撃緩和,異音発生防止やプロテクター2の断熱性を、実施形態2,3に比しより高いレベルで維持できる。
【0033】
加えて、アンダーカバー3の碗底部32にクリップ39を形成し、該クリップ39に対応するプロテクター2の部分に切欠孔29を形成して、アンダーカバー3へのプロテクター2の重ね合わせで、爪391が切欠孔29を貫通して、該切欠孔29周りの碗内面2bに載って係止するようにすると、アンダーカバー3の碗底部32にもプロテクター碗底部22を簡単に沿わせることができる。燃料タンクカバー1を逆さにしても、アンダーカバー碗底部32からプロテクター碗底部22が離れない。燃料タンクカバー1を構成するアンダーカバー3の碗状内面3bのほぼ全域で、プロテクター2を確実に沿わせることができるので、これを燃料タンク6に被せる車体8への組付けがスムーズに運ぶ。
また、アンダーカバー3の碗底部32に水抜孔38を設けると、プロテクター2と燃料タンク6との隙間に、万一、漏れた燃料や雨水が入り込んでも、この水抜孔38を利用して円滑排出できるので、プロテクター2の劣化を引き起こさない。
さらにいえば、水抜孔38が一対のリブ392を挟んで両脇に設けられ、該リブ392の基端が該水抜孔38の周縁に接する構成にすると、クリップ39を別部品にすることなく、アンダーカバー3の成形時に一体成形でき、低コスト化が図れる。
このように本燃料タンクカバー1は上述した数々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
【0034】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。プロテクター2,プロテクター外周部分21,切欠溝,アンダーカバー外周縁部31,外鍔34,インテグラルヒンジ35,帯状片37,水抜孔38,クリップ39等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。