(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御ユニット側コネクタと被制御装置側コネクタとが嵌合することにより制御ユニットと被制御装置とが電気的に結合される一体型ユニットに用いられる締結保持部材であって、
前記被制御装置に螺合可能であって、外周面に順ねじと逆ねじの一方が形成されたねじ部と、
前記ねじ部に隣接する第1工具嵌合部と、
前記第1工具嵌合部を挟んで前記ねじ部と反対側にナットが螺合するナット螺合部と、
前記第1工具嵌合部と前記ナット螺合部との間に設けられ前記制御ユニットを貫通する連結部と、
前記ナット螺合部の端面に形成され、前記被制御装置への挿抜を行うための第2工具嵌合部と、を備える、締結保持部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、モータ駆動装置とインバータとの電気的結合及び機械的結合が同じボルトによって行われるため、コネクタ自体のばらつきやコネクタとモータ駆動装置又はインバータとの位置関係のばらつきによって、コネクタに必要以上の応力が作用してコネクタが破損したり、接触不良が発生したりする虞がある。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御ユニットと被制御装置とが電気的に結合される一体型ユニットに用いられ、コネクタの破損、接触不良を抑制可能な締結保持部材、及び一体型ユニットの締結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
制御ユニット側コネクタ(例えば後述の実施形態におけるユニット側ジェネレータコネクタ61、ユニット側モータコネクタ62)と被制御装置側コネクタ(例えば後述の実施形態におけるケース側コネクタ50)とが嵌合することにより制御ユニット(例えば後述の実施形態におけるパワーコントロールユニット60)と被制御装置(例えば後述の実施形態における駆動装置101)とが電気的に結合される一体型ユニット(例えば後述の実施形態におけるハイブリッド車両用駆動ユニット100)に用いられる締結保持部材(例えば後述の実施形態における挿抜用ボルト60b)であって、
前記被制御装置に螺合可能であって、外周面に順ねじと逆ねじの一方が形成されたねじ部(例えば後述の実施形態におけるねじ部81)と、
前記ねじ部に隣接する第1工具嵌合部(例えば後述の実施形態におけるスパナ嵌合部82)と、
前記第1工具嵌合部を挟んで前記ねじ部と反対側にナット(例えば後述の実施形態におけるナット68)が螺合するナット螺合部(例えば後述の実施形態におけるナット螺合部83)と、
前記第1工具嵌合部と前記ナット螺合部との間に設けられ前記制御ユニットを貫通する連結部(例えば後述の実施形態における連結部84)と、
前記ナット螺合部の端面(例えば後述の実施形態における上端面83a)に形成され、前記被制御装置への挿抜を行うための第2工具嵌合部(例えば後述の実施形態における六角レンチ嵌合部85)と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記ナット螺合部には、外周面に前記順ねじと前記逆ねじの他方が形成される。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記連結部は、前記制御ユニットに相対移動可能に遊嵌し、
相対移動が可能な距離は、前記ねじ部の螺合長さよりも短い。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、
制御ユニット側コネクタ(例えば後述の実施形態におけるユニット側ジェネレータコネクタ61、ユニット側モータコネクタ62)と被制御装置側コネクタ(例えば後述の実施形態におけるケース側コネクタ50)とが嵌合することにより制御ユニット(例えば後述の実施形態におけるパワーコントロールユニット60)と被制御装置(例えば後述の実施形態における駆動装置101)とが電気的に結合される一体型ユニット(例えば後述の実施形態におけるハイブリッド車両用駆動ユニット100)の締結構造であって、
前記制御ユニットと前記被制御装置とは、締結保持部材(例えば後述の実施形態における挿抜用ボルト60b)によって電気的に結合され、
前記締結保持部材は、
前記被制御装置に螺合可能であって、外周面に順ねじと逆ねじの一方が形成されたねじ部(例えば後述の実施形態におけるねじ部81)と、
前記ねじ部に隣接する第1工具嵌合部(例えば後述の実施形態におけるスパナ嵌合部82)と、
前記第1工具嵌合部を挟んで前記ねじ部と反対側にナット(例えば後述の実施形態におけるナット68)が螺合するナット螺合部(例えば後述の実施形態におけるナット螺合部83)と、
前記第1工具嵌合部と前記ナット螺合部との間に設けられ前記制御ユニットを貫通する連結部(例えば後述の実施形態における連結部84)と、
前記ナット螺合部の端面(例えば後述の実施形態における上端面83a)に形成され、前記被制御装置への挿抜を行うための第2工具嵌合部(例えば後述の実施形態における六角レンチ嵌合部85)と、を有し、
前記ねじ部が前記被制御装置に螺合した螺合状態で、前記制御ユニットと前記被制御装置とが電気的に結合される。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記ナット螺合部には、外周面に前記順ねじと前記逆ねじの他方が形成される。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、
前記締結保持部材は、前記螺合状態において、前記制御ユニットに対し軸方向に相対移動可能であって、
相対移動が可能な距離は、前記ねじ部の螺合長さよりも短い。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載の発明において、
前記締結保持部材が前記被制御装置に取り付けられた状態で、前記ナット螺合部に螺合する前記ナットへのアクセスを制限するとともに、前記第2工具嵌合部へのアクセスを許容する第1制限部材(例えば後述の実施形態における第1制限部材91)を備える。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項4〜7のいずれか1項に記載の発明において、
前記制御ユニットと前記被制御装置とを固定する固定部材を有し、前記固定部材が前記制御ユニットと前記被制御装置とを固定した固定状態において、前記第2工具嵌合部へのアクセスを制限する第2制限部材(例えば後述の実施形態における第2制限部材95)を備える。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び4に記載の発明によれば、第1工具嵌合部とナット螺合部に螺合するナットとの間で制御ユニットを保持しつつ、第2工具嵌合部に嵌合する第2工具によって締結保持部材のねじ部を被制御装置に螺合させることで、制御ユニットと被制御装置とを電気的に結合できる。
【0016】
請求項2及び5に記載の発明によれば、ナット螺合部には、ねじ部とは異なるねじが形成されるので、第2工具嵌合部に嵌合する第2工具によってねじ部を被制御装置に螺合させる際に、制御ユニットの表面に当接するナットが緩むことを防止できる。
【0017】
請求項3及び6に記載の発明によれば、電気的な結合を保証するためにねじ部にある程度の長さを確保することで接触不良を回避できる。また、相対移動が可能な距離が長いと相対移動が可能な距離分だけコネクタも長くする必要があるため、この距離をねじ部の螺合長さよりも短くすることでコネクタの大型化を防止できる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、制御ユニットを被制御装置から取り外す際に、本来であれば制御ユニットが締結保持部材に保持された状態で被制御装置から取り外されるところ、順番を誤って被制御装置に締結保持部材が螺合した状態で制御ユニットのみが取り外されるのを防止できる。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、制御ユニットを被制御装置から取り外す際に、本来であれば固定部材が最初に取り外されるところ、順番を誤って締結保持部材が取り外されるのを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一体型ユニットの一実施形態としてハイブリッド車両用駆動ユニットについて、添付図面に基づいて説明する。
【0022】
<ハイブリッド車両用駆動ユニット>
図1〜
図3に示すように、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両用駆動ユニット100では、ジェネレータ20及びモータ30が略円筒形状の駆動装置ケース40に収容された駆動装置101と、エンジン4とが、隣接して不図示のエンジンルーム内に配置され、ジェネレータ20及びモータ30を制御するパワーコントロールユニット60が駆動装置ケース40上に搭載されている。
図1中、符号Fr、Rr、L、R、U、Dは、運転者から見た方向に従い、前方、後方、左方、右方、上方、下方をそれぞれ示している。
【0023】
図2及び
図3に示すように、駆動装置ケース40の内部には、それぞれ平行に配置された入力軸1と、中間軸2と、出力軸3とが設けられており、中間軸2は、内周軸2aが相対回転可能に外周軸2bに囲繞されている。なお、以下の説明において、軸線方向とは、入力軸1、中間軸2、及び出力軸3の回転軸線と平行な方向をいう。軸線方向は車両の車幅方向(左右方向)となり、軸線方向に直交する方向は車両の前後方向となるように、ハイブリッド車両用駆動ユニット100はエンジンルーム内に配置される。
【0024】
エンジン4のクランク軸4aに接続された入力軸1は、ジェネレータ駆動ギヤ対5を介して、ジェネレータ20をその軸線上に備えた内周軸2aに接続されている。また、モータ30をその軸線上に備えた外周軸2bは、モータ駆動力伝達ギヤ対6を介して出力軸3に接続され、入力軸1と出力軸3は、エンジン駆動力伝達ギヤ対7を介して接続されている。出力軸3とデファレンシャル装置8は、ファイナルギヤ対9を介して接続され、デファレンシャル装置8は、デフ軸10を介して駆動輪11,11に接続されている。また、入力軸1には、エンジン駆動力伝達ギヤ対7を介して入力軸1と出力軸3間の動力伝達を接続又は遮断するクラッチ12が設けられている。
【0025】
このように構成されたハイブリッド車両用駆動ユニット100は、モータ30の駆動力を駆動輪11,11に伝達して車両を走行させる伝達経路と、エンジン4の駆動力を駆動輪11,11に伝達して車両を走行させる伝達経路とを備え、これら2つの伝達経路を択一的に選択又は併用して走行するように構成される。
【0026】
モータ30の駆動力を駆動輪11,11に伝達して車両を走行させる伝達経路を利用する場合、クラッチ12を解放した状態でエンジン4を駆動する。入力軸1からジェネレータ駆動ギヤ対5を介して中間軸2の内周軸2aに入力されたエンジン駆動力は、内周軸2aを回転させるとともに内周軸2aに固定されたジェネレータ20を一体回転させることで、ジェネレータ20で発電させる。内周軸2aを相対回転可能に囲繞する外周軸2b上に接続されたモータ30は、ジェネレータ20によって発電された電力を受けて外周軸2bを回転させ、モータ駆動力伝達ギヤ対6を介して出力軸3にその駆動力を伝達する。出力軸3に伝達された駆動力は、ファイナルギヤ対9、デファレンシャル装置8、デフ軸10を介して駆動輪11,11に伝達される。これにより、エンジン4の駆動力を全てジェネレータ20で電気に変えて運転する、いわゆるシリーズ運転が可能となっている。
【0027】
一方、エンジン4の駆動力を駆動輪11,11に伝達して車両を走行させる伝達経路を利用する場合、クラッチ12を接続した状態でエンジン4を駆動する。入力軸1から入力されたエンジン駆動力は、エンジン駆動力伝達ギヤ対7を介して出力軸3に伝達され、ファイナルギヤ対9、デファレンシャル装置8、デフ軸10を介して駆動輪11,11に伝達される。このとき、入力軸1と内周軸2aは、常にジェネレータ駆動ギヤ対5を介して接続されているため、ジェネレータ20で発電させ、発電させた電力によりモータ30を回転させることで、いわゆるパラレル運転も可能となっている。他にも、ジェネレータ20及びモータ30に零トルク制御を行なうことで、引きずり損失を最小化してエンジン4の駆動力のみで走行することも可能である。
【0028】
つぎに、
図3を参照して、本実施形態の駆動装置ケース40におけるジェネレータ20及びモータ30の配置について具体的に説明する。
【0029】
本実施形態の駆動装置ケース40は、エンジン4側から順次並ぶ第1、第2のケース42,43を備えて構成されており、その内部に、入力軸1、中間軸2、出力軸3が互いに平行に配置されている。中間軸2は、前述したように、内周軸2aと、外周軸2bとを備えており、該外周軸2bにはモータ30が接続され、内周軸2aにはスプライン結合された接続軸2cを介してジェネレータ20が接続されている。
【0030】
即ち、ジェネレータ20とモータ30は、同一の回転軸線O上に並ぶように駆動装置ケース40内に収容されている。ジェネレータ20を収容するジェネレータ収容部GSとモータ30を収容するモータ収容部MSは、隔壁44で仕切られており、この隔壁44は、軸受2d,2eを介して外周軸2b,接続軸2cを回転自在に支持している。
【0031】
ジェネレータ20は、接続軸2cに固定されたロータ21と、ロータ21と対向配置されたステータ22とから構成されており、ステータ22には、3相分(U相、V相、W相)のコイル23が巻回されている。コイル23は、ステータ22のティース部に巻回されたコイル巻線部23aと、コイル巻線部23a同士を繋ぐコイル渡り部23bとを有しており、コイル渡り部23bは、ステータ22から前記軸線方向に突出している。
【0032】
モータ30は、外周軸2bに固定されたロータ31と、ロータ31と対向配置されたステータ32とから構成されており、ステータ32には、3相分(U相、V相、W相)のコイル33が巻回されている。コイル33は、ステータ32のティース部に巻回されたコイル巻線部33aと、コイル巻線部33a同士を繋ぐコイル渡り部33bとを有しており、コイル渡り部33bは、ステータ32から前記軸線方向に突出している。
【0033】
ジェネレータ20のコイル渡り部23bとモータ30のコイル渡り部33bの内径側であって、前記軸線方向においてジェネレータ20とモータ30との間には、ジェネレータ20の回転角を検出するジェネレータ用レゾルバ24と、モータ30の回転角を検出するモータ用レゾルバ34とが配置されている。
【0034】
ジェネレータ用レゾルバ24は、接続軸2cに固定されたレゾルバロータ24aと、レゾルバロータ24aと対向配置されたレゾルバステータ24bとを備え、モータ用レゾルバ34は、外周軸2bに固定されたレゾルバロータ34aと、レゾルバロータ34aと対向配置されたレゾルバステータ34bとを備えて構成されている。そして、ジェネレータ用レゾルバ24及びモータ用レゾルバ34のレゾルバステータ24b,34bは、いずれも前述した隔壁44で支持されている。このようにすると、コイル渡り部23b,33bの内径側に存在するデッドスペースを利用してジェネレータ用レゾルバ24及びモータ用レゾルバ34を配置できるだけでなく、隔壁44をジェネレータ用レゾルバ24及びモータ用レゾルバ34の支持壁として共用することが可能になる。レゾルバステータ24b,34bから引き出されたコイル(不図示)は、駆動装置ケース40の前面に配置されたレゾルバコネクタ35に接続され、レゾルバコネクタ35とパワーコントロールユニット60とがハーネス37を介して接続されている。
【0035】
図3及び
図4に示すように、ジェネレータ20の各相(U相、V相、W相)のコイル23は、一端同士が結線され、他端はそれぞれコイル端末23cとしてステータ22から引き出され、駆動装置ケース40内でケース側ジェネレータコネクタ51に接続される。また、モータ30の各相のコイル33は、一端同士が結線され、他端はそれぞれコイル端末33cとしてステータ32から引き出され、駆動装置ケース40内でケース側モータコネクタ52に接続される。
【0036】
ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52は、前記軸線方向におけるジェネレータ20の中心P1とモータ30の中心P2との間に回転軸線Oに直交する方向に沿って並ぶように配置されている。そして、本実施形態のケース側ジェネレータコネクタ51とケース側モータコネクタ52とは、コネクタ保持部材53を介して連結されることにより、一体化されたケース側コネクタ50を構成するとともに、コネクタ保持部材53を介して駆動装置ケース40に固定される。
【0037】
具体的に説明すると、本実施形態のケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52は、
図4〜
図7Cに示すように、板状であるコネクタ保持部材53の上面から突出するコネクタ部51a,52aと、コネクタ保持部材53の下面から突出するコイル接続部51b,52bとを有する。コネクタ部51a,52a及びコイル接続部51b,52bの内部には、U相、V相、W相に対応する三つのケース側接続導体54,55が収容されている。コネクタ部51a,52aは、長円筒形状を有しており、その内部には、ケース側接続導体54,55の一端に形成された3相分のコネクタ端子51c,52cが配置されている。コイル接続部51b,52bは、長円柱形状を有しており、その外側面部には、ケース側接続導体54,55の他端に形成された3相分のコイル接続端子51d,52dが配置されている。
【0038】
コネクタ保持部材53には、貫通孔53b,53c,53d,53eが形成され、これらの貫通孔53b,53c,53d,53eを介して、駆動装置ケース40に形成される締結孔42c,42d,42e,42fにボルト53f,53g,53h,53iを締結することにより、コネクタ保持部材53と駆動装置ケース40とのボルト締結点T1,T2,T3,T4が構成される。
【0039】
このように構成された本実施形態のケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52は、コネクタ保持部材53が駆動装置ケース40の上面に沿い、かつコイル接続部51b,52bが駆動装置ケース40の上面に形成されたコネクタ孔42a,42bに嵌入する状態で駆動装置ケース40に取り付けられ、駆動装置101の一部を構成する。これにより、
図4に示すように、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52は、軸線方向から見て、ジェネレータ20とモータ30の上端を通る接線Qに沿うように配置される。また、
図11に示すように、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52は、鉛直方向から見てジェネレータ20のロータ21とモータ30のロータ31の回転軸線Oを挟むように前後方向に配置される。そして、駆動装置ケース40内において、ジェネレータ20の各相のコイル端末23cがケース側ジェネレータコネクタ51のコイル接続端子51dに接続されるとともに、モータ30の各相のコイル端末33cがケース側モータコネクタ52のコイル接続端子52dに接続される(
図4参照)。
【0040】
図8に示すように、本実施形態のパワーコントロールユニット60は、インバータ64と、これを制御する制御部65(ECU)と、不図示の電流センサ等が略箱形状のユニットケース63内に収容されている。インバータ64には、エンジンルーム外に配置されたバッテリとジェネレータ20との間に接続され、交流電圧と直流電圧とを変換するジェネレータ用インバータと、該バッテリとモータ30との間に接続され、直流電圧と交流電圧とを変換するモータ用インバータとが含まれている。
【0041】
図4、
図8及び
図9に示すように、パワーコントロールユニット60の底面には、ユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62が設けられており、これらのユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62を前述したケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52に電気的に結合することで、パワーコントロールユニット60によるジェネレータ20及びモータ30の制御が可能になる。
【0042】
具体的に説明すると、ユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62は、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ部51a,52aに外嵌する長円形状の嵌合孔61a,62a内に突設され、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ部51a,52aに内嵌するコネクタ部61b,62bと、ユニットケース63内に位置するインバータ接続部61e,62eとを有する。コネクタ部61b,62b及びインバータ接続部61e,62eの内部には、U相、V相、W相に対応する三つのユニット側接続導体66,67が収容されている。コネクタ部61b,62bには、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ端子51c,52cと接触する、ユニット側接続導体66,67の一端に形成された3相分のコネクタ端子61c,62cが配置され、インバータ接続部61e,62eには、ユニット側接続導体66,67の他端に形成された3相分のインバータ接続端子61d,62dが配置されている。
【0043】
図1、4、5、11に示すように、パワーコントロールユニット60は、駆動装置ケース40に取付られた、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52を保持するコネクタ保持部材53に対し、電気接続用固定点K5で固定されている。具体的には、パワーコントロールユニット60に形成される貫通孔60aを介して(
図7A参照)、コネクタ保持部材53に形成される締結孔53aに挿抜用ボルト60bを締結することにより、パワーコントロールユニット60とコネクタ保持部材53との電気接続用固定点K5が構成される。
【0044】
挿抜用ボルト60bは、
図10A及び
図10Bに示すように、下端部の外周面に順ねじが形成されたねじ部81と、ねじ部81の上方に隣接してスパナが嵌合する六角形状のスパナ嵌合部82と、スパナ嵌合部82を挟んでねじ部81と反対側にナット68が螺合するナット螺合部83と、スパナ嵌合部82とナット螺合部83との間に設けられた円柱状の連結部84と、ナット螺合部83の上端面83aに形成され、駆動装置101への挿抜を行うための六角レンチ嵌合部85と、を備える。ナット螺合部83の外周面には、ねじ部81とは反対方向にねじが切られた逆ねじが形成されている。
【0045】
挿抜用ボルト60bが貫通するパワーコントロールユニット60の貫通孔60aの周囲には、
図9に示すように、底面に環状凹部63eが設けられており、挿抜用ボルト60bが締結されるコネクタ保持部材53の締結孔53a周りには、
図5に示すように、パワーコントロールユニット60の環状凹部63eに収容される円柱状凸部53jが設けられている。
【0046】
挿抜用ボルト60bは、ナット螺合部83に螺合したナット68とスパナ嵌合部82との間にパワーコントロールユニット60を保持した状態で、ねじ部81がコネクタ保持部材53の締結孔53aに締結されることで、スパナ嵌合部82の下面がコネクタ保持部材53の円柱状凸部53jと当接する。挿抜用ボルト60bは、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ端子51c,52cと、ユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62のコネクタ端子61c,62cとの電気的結合を保証する機能を有しており、挿抜用ボルト60bが締結孔53aに締結される限り、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ端子51c,52cと、ユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62のコネクタ端子61c,62cとが電気的に結合された結合状態となる。
【0047】
なお、連結部84は、貫通孔60aより径寸法が大きく貫通孔60aに遊嵌した状態になっており、且つ、貫通孔60aが形成されたパワーコントロールユニット60の肉厚よりも長いため、挿抜用ボルト60bとパワーコントロールユニット60との相対移動が可能となっている。また、相対移動が可能な距離は、ねじ部81がコネクタ保持部材53の締結孔53aに螺合する螺合長さよりも短くなっている。
【0048】
さらに、
図5、9、11に示すように、パワーコントロールユニット60は、少なくとも4点のボルト締結により駆動装置ケース40に固定される。具体的には、パワーコントロールユニット60に形成される貫通孔60c,60d,60e,60fを介して、駆動装置ケース40に形成される締結孔42g,42h,42i,42jにボルト60g,60h,60i,60jを締結することにより、パワーコントロールユニット60と駆動装置ケース40とのボルト締結点T5,T6,T7,T8が構成される。ボルト60g,60h,60i,60jは、パワーコントロールユニット60と駆動装置ケース40との機械的結合を保証する機能を有しており、ボルト60g,60h,60i,60jが締結孔42g,42h,42i,42jに締結される限り、パワーコントロールユニット60と駆動装置ケース40とが機械的に結合された結合状態となっている。
【0049】
即ち、パワーコントロールユニット60と駆動装置101とは、挿抜用ボルト60bによって電気的に結合された結合状態に保持されるとともに、挿抜用ボルト60bの締結方向と固定方向が同じボルト60g,60h,60i,60jによって機械的に結合された結合状態に保持される。
【0050】
貫通孔60c,60d,60e,60fが形成されるボス部は、パワーコントロールユニット60の底面よりも僅かに下方に突出し、ボス部のみが駆動装置ケース40に当接するように構成される。そして、4つのボルト締結点T5,T6,T7,T8は、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52を矩形状に囲うように配置される。このようにすると、ボルト締結によるパワーコントロールユニット60と駆動装置ケース40との一体化により、駆動装置ケース40の剛性が高められるので、駆動装置ケース40の振動をさらに低減させることができる。ボルト60g,60h,60i,60jが締結されることで、パワーコントロールユニット60は、ナット68とスパナ嵌合部82との間で浮いた状態で保持される(
図12C参照)。
【0051】
図5〜
図7Cに示すように、駆動装置ケース40の上面には、パワーコントロールユニット載置部42kが形成されている。パワーコントロールユニット60は、貫通孔60c,60d,60e,60fが形成されるボス部のみがパワーコントロールユニット載置部42kに当接するとともに、パワーコントロールユニット載置部42k上に空間を介して載置された状態で、ボルト締結により駆動装置ケース40及びコネクタ保持部材53に対して固定される。
【0052】
また、
図9に示すように、パワーコントロールユニット60の底面には、貫通孔60cの近傍と、貫通孔60fの近傍とに、ガイドピン固定孔63a,63bが形成されており、パワーコントロールユニット60の底面側からガイドピン63c,63dが螺合する(
図6A参照)。パワーコントロールユニット60の底面から突出するガイドピン63c,63dは、パワーコントロールユニット60を駆動装置ケース40の上面に搭載する際に、駆動装置ケース40のガイド孔42m、42nに挿通される(
図5参照)。ガイドピン63c,63d及びガイド孔42m、42nは、パワーコントロールユニット60と駆動装置ケース40との相対位置を規制し、パワーコントロールユニット60をガイドする機能を有している。
【0053】
このように、パワーコントロールユニット60が取り付けられた駆動装置101は、
図11に示すように、駆動装置ケース40が、マウント部材70を介して車体フレーム80に固定される。マウント部材70は、車体フレーム80に固定される車両側固定部材71と、駆動装置ケース40の上面外端側に固定されるケース側固定部材72と、車両側固定部材71及びケース側固定部材72を連結する不図示の防振部材とを備えて構成されており、車両側固定部材71は、ボルト71aの締結により車体フレーム80に固定され、ケース側固定部材72は、ボルト72a,72b,72cの締結により駆動装置ケース40に固定されている。
【0054】
車両側固定部材71に形成される貫通孔(不図示)を介して、車体フレーム80に形成される締結孔(不図示)にボルト71aを締結することにより、マウント部材70と車体フレーム80との固定点K1が構成され、ケース側固定部材72に形成される貫通孔(不図示)を介して、駆動装置ケース40に形成される締結孔43a,43b,43c(
図1、
図7C参照)にボルト72a,72b,72cを締結することにより、マウント部材70と駆動装置ケース40との固定点K2,K3,K4が構成される。なお、駆動装置ケース40は、他の部分においてもマウント部材70を介して車体フレーム80に固定されるが、ここでは他の部分についての説明は省略する。
【0055】
<組み付け方法>
続いて、パワーコントロールユニット60と駆動装置101の組み付け方法について
図12A〜
図12Cを参照しながら説明する。
【0056】
組付けに際し、先ず、挿抜用ボルト60bは、パワーコントロールユニット60の底面に形成された環状凹部63eから貫通孔60aに挿通される。続いて、スパナ嵌合部82に嵌合したスパナ(不図示)によって回転が規制された状態で、ナット68を逆方向(逆ねじが締まる方向)に回すことで、貫通孔60aから突出したナット螺合部83にナット68が螺合される。この状態で挿抜用ボルト60bは、ナット68とスパナ嵌合部82との間でパワーコントロールユニット60に対し遊嵌した状態となっており、上記しように挿抜用ボルト60bとパワーコントロールユニット60との相対移動が可能となっている。
【0057】
続いて、パワーコントロールユニット60の底面から延びるガイドピン63c,63dが駆動装置ケース40のガイド孔42m、42nに挿通するように、位置合わせをしながらパワーコントロールユニット60を駆動装置ケース40に組み付ける。ねじ部81が円柱状凸部53jに至る際、挿抜用ボルト60bの六角レンチ嵌合部85に六角レンチ(不図示)を嵌合させ順方向(順ねじが締まる方向)に回すことで、
図12Aに示すように、ねじ部81がコネクタ保持部材53の締結孔53aに螺合するとともに、ユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62のコネクタ部61b,62bとケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ部51a,52aとが嵌合し、次第にコネクタ端子61c,62cとコネクタ端子51c,52cとが接触する。
【0058】
なお、六角レンチを回している間、ナット68の下面は、ユニットケース63の表面63fと摺接するが、ナット螺合部83には逆ねじが形成されているため、順方向に六角レンチを回してもナット68が緩むことがなく、むしろナット68が締まる方向に作用することとなる。
図12Bに示すように、スパナ嵌合部82の下面がコネクタ保持部材53の円柱状凸部53jと当接することで、コネクタ端子61c,62cとコネクタ端子51c,52cとが確実に電気的に結合される。即ち、
図12Bに示す、パワーコントロールユニット60と駆動装置101との間の距離H1が、電気的な結合が保証される距離となる。
【0059】
続いて、パワーコントロールユニット60に形成される貫通孔60c,60d,60e,60fを介して、駆動装置ケース40に形成される締結孔42g,42h,42i,42jにボルト60g,60h,60i,60jを締結することで、パワーコントロールユニット60は挿抜用ボルト60bに対し下方に移動して、貫通孔60c,60d,60e,60fが形成されるボス部の下面が、駆動装置ケース40に当接する。これにより、パワーコントロールユニット60と駆動装置ケース40とが機械的に結合された結合状態となる。即ち、
図12Bに示す状態から、ボルト60g,60h,60i,60jを締結することで、パワーコントロールユニット60と駆動装置101との間の距離H1が次第に
図12Cに示す距離H2となり、機械的な結合が保証される。
【0060】
なお、上記した、挿抜用ボルト60bとパワーコントロールユニット60との相対移動が可能な距離は、ボルト60g,60h,60i,60jを締結することによるパワーコントロールユニット60の移動距離よりも長くなっており、機械的な結合を阻害することがないようにその距離が設定されている。この相対移動に伴って、ユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62のコネクタ部61b,62bとケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ部51a,52aとはより深く嵌合するとともに、コネクタ端子51c,52cがコネクタ端子61c,62c内に深く入り込み、電気的な結合状態が維持される。
【0061】
<取り外し方法>
また、パワーコントロールユニット60を駆動装置101から取り外す際には、組み付け方法と逆の手順で行われる。即ち、パワーコントロールユニット60と駆動装置ケース40とを機械的に結合するボルト60g,60h,60i,60jを外した後、ケース側ジェネレータコネクタ51及びケース側モータコネクタ52のコネクタ端子51c,52cと、ユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62のコネクタ端子61c,62cとの電気的結合を保証する挿抜用ボルト60bをコネクタ保持部材53の締結孔53aから取り外すことで、パワーコントロールユニット60を駆動装置101から取り外すことが可能となる。また、挿抜用ボルト60bは、六角レンチ嵌合部85に嵌合する六角レンチによってコネクタ保持部材53の締結孔53aから取り外された後、ナット68を外すことで、パワーコントロールユニット60から分離できる。
【0062】
<誤操作防止機構>
ここで、パワーコントロールユニット60を駆動装置101から取り外す際に、組み付け手順を誤ることがないように、付加的に用いることができる誤操作防止機構について説明する。
【0063】
上記したように、挿抜用ボルト60bは、六角レンチ嵌合部85に嵌合する六角レンチによってコネクタ保持部材53の締結孔53aから取り外された後、ナット68を外すことで、パワーコントロールユニット60から分離できるが、先ずこの手順の誤操作を防止する第1制限部材について説明する。
【0064】
第1制限部材91は、
図13に示すように、挿抜用ボルト60bのナット螺合部83に取り付けられたナット68の外周を部分的に覆う半円筒状のキャップであり、貫通孔92を区画する内周壁部93の両端からは、挿抜用ボルト60bを挟んでアクセス防止突起94が内径側に延設されている。アクセス防止突起94間の間隔は、六角レンチ嵌合部85より広くなっているものの、ナット68の幅よりは狭くなっており、貫通孔92を介して六角レンチを六角レンチ嵌合部85に嵌合させることはできるものの、ナット68にはスパナ及びレンチを嵌合させることができないようになっている。このように、挿抜用ボルト60bが駆動装置101のコネクタ保持部材53に取り付けられた状態で、第1制限部材91が、ナット螺合部83に螺合するナット68へのアクセスを制限するとともに、六角レンチ嵌合部85へのアクセスを許容することにより、挿抜用ボルト60bが六角レンチ嵌合部85に嵌合する六角レンチによってコネクタ保持部材53の締結孔53aから取り外される前に、ナット68が挿抜用ボルト60bから外されるのが防止される。
【0065】
続いて、第2制限部材95について説明する。
上記したように、パワーコントロールユニット60を駆動装置101から取り外す際には、ボルト60g,60h,60i,60jを外した後、挿抜用ボルト60bを外すが、第2制限部材95は、この手順の誤操作を防止するために用いられる。
【0066】
第2制限部材95は、
図14及び
図15に示すように、いずれも薄板状のフロントプレート96、リアプレート97、及びサイドプレート98から構成される。フロントプレート96は、一端にボルト60iが貫通するパワーコントロールユニット60の貫通孔60e及び駆動装置ケース40の締結孔42iと連通する貫通孔96aが形成され、他端にボルト60gが貫通するパワーコントロールユニット60の貫通孔60c及び駆動装置ケース40の締結孔42gと連通する貫通孔96bが形成されている。リアプレート97は、一端にボルト60jが貫通するパワーコントロールユニット60の貫通孔60f及び駆動装置ケース40の締結孔42jと連通する貫通孔97aが形成され、他端にボルト60hが貫通するパワーコントロールユニット60の貫通孔60d及び駆動装置ケース40の締結孔42hと連通する貫通孔97bが形成されている。
【0067】
サイドプレート98は、一端にボルト60gが貫通するパワーコントロールユニット60の貫通孔60c及び駆動装置ケース40の締結孔42gと連通する貫通孔98aが形成され、他端にボルト60hが貫通するパワーコントロールユニット60の貫通孔60d及び駆動装置ケース40の締結孔42hと連通する貫通孔98bが形成されている。サイドプレート98の略中央部には、鉛直方向上方に延設部98cが一体に延び、延設部98cの先端に挿抜用ボルト60b及びナット68を上方から覆うアクセス防止片98dが設けられている。
【0068】
そして、これら第2制限部材95は、サイドプレート98の上方にフロントプレート96及びリアプレート97の一部が重ね合わされた状態で、フロントプレート96、リアプレート97、及びサイドプレート98がボルト60g,60h,60i,60jによって共締めされる。したがって、フロントプレート96及びリアプレート97を外さなければ、サイドプレート98を取り外すことができないため、全てのボルト60g,60h,60i,60jを外した後でなければ、アクセス防止片98dが挿抜用ボルト60b及びナット68を覆っているので、ナット68にも六角レンチ嵌合部85にもアクセスできない状態となっている。このように、ボルト60g,60h,60i,60jがパワーコントロールユニット60と駆動装置101とを固定した固定状態において、第2制限部材95が六角レンチ嵌合部85へのアクセスを制限するので、ボルト60g,60h,60i,60jより先に、挿抜用ボルト60bを外すことが防止される。
【0069】
また、アクセス防止片98dは、第1制限部材91を覆うように構成してもよい。この場合、両方の誤操作を防止できる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、機械的結合を保証するボルト60g,60h,60i,60jとは異なる挿抜用ボルト60bを用いて、スパナ嵌合部82とナット螺合部83に螺合するナット68との間でパワーコントロールユニット60を保持しつつ、六角レンチ嵌合部85に嵌合する六角レンチによって挿抜用ボルト60bのねじ部81を駆動装置101に螺合させることで、パワーコントロールユニット60と駆動装置101とを電気的に結合できる。
【0071】
また、ナット螺合部83には、順ねじが形成されたねじ部81とは異なる逆ねじが形成されるので、六角レンチ嵌合部85に嵌合する六角レンチによってねじ部81を駆動装置101に螺合させる際に、パワーコントロールユニット60に当接するナット68が緩むことを防止できる。
【0072】
また、挿抜用ボルト60bの連結部84は、パワーコントロールユニット60に対し相対移動可能に遊嵌し、パワーコントロールユニット60の移動可能な距離は、ねじ部81の螺合長さよりも短くなっている。したがって、電気的な結合を保証するために螺合するねじ部81にある程度の長さを確保することで接触不良を回避できる。また、相対移動が可能な距離が長いと相対移動が可能な距離分だけユニット側ジェネレータコネクタ61及びユニット側モータコネクタ62とケース側コネクタ50とを長くする必要があるため、この距離をねじ部81の螺合長さよりも短くすることでユニット側ジェネレータコネクタ61、ユニット側モータコネクタ62、及びケース側コネクタ50の大型化を防止できる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、一体型ユニットとして、ジェネレータ20及びモータ30が駆動装置ケース40に収容された駆動装置101と、エンジン4と、ジェネレータ20及びモータ30を収容する駆動装置ケース40上に搭載され、ジェネレータ20及びモータ30を制御するパワーコントロールユニット60と、を備えるハイブリッド車両用駆動ユニット100を例示したが、これに限らず、一体型ユニットは、エンジンと別体に構成されるか、若しくはエンジンを備えていない車両用駆動装置であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、被制御装置としてジェネレータ20及びモータ30を備える駆動装置101を例示したが、必ずしも両方を備えている必要はなく、回転電機であれば、いずれか一方のみの機能を有していればよく、両方の機能を持ち合わせたものであってもよい。
さらに、一体型ユニットは、車両用に限らず、他の輸送機器に用いられるものであってもよい。
また、上記実施形態では、ねじ部81を順ねじとし、ナット螺合部83を逆ねじとしたが、ねじ部を逆ねじとし、ナット螺合部83を順ねじとしてもよい。
また、上記実施形態では、第1工具としてスパナを例示したが、これに限らず他の工具を用いてもよい。
また、上記実施形態では、スパナ嵌合部82の下面がコネクタ保持部材53の円柱状凸部53jと当接して電気的な結合が保証されるように構成したが、挿抜用ボルト60bは、スパナ嵌合部82とは別に、円柱状凸部53jと当接する突き当て部を有していてもよい。
また、上記実施形態では、第2工具として六角レンチを例示したが、これに限らず他の工具を用いてもよい。