特許第6427440号(P6427440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

特許6427440コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材
<>
  • 特許6427440-コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材 図000002
  • 特許6427440-コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材 図000003
  • 特許6427440-コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材 図000004
  • 特許6427440-コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材 図000005
  • 特許6427440-コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材 図000006
  • 特許6427440-コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6427440
(24)【登録日】2018年11月2日
(45)【発行日】2018年11月21日
(54)【発明の名称】コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20181112BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20181112BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20181112BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20181112BHJP
【FI】
   H01F37/00 J
   H01F27/00 T
   H01F27/32 103
   H01F37/00 S
   H01F37/00 E
   H01F41/12 C
   H01F41/12 B
   H01F37/00 T
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-42544(P2015-42544)
(22)【出願日】2015年3月4日
(65)【公開番号】特開2016-162966(P2016-162966A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】石井 康大
(72)【発明者】
【氏名】野口 昭一
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−180225(JP,A)
【文献】 特開2009−246221(JP,A)
【文献】 特開平08−203753(JP,A)
【文献】 特開2002−249637(JP,A)
【文献】 特開2008−098209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/00
H01F 27/32
H01F 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱部材に設置されるコイル部品であって、
巻線部と、
該巻線部の少なくとも一部を覆い前記放熱部材に直接接触させる樹脂部と、を備え、
該樹脂部は、弾性変形可能であり、
前記巻線部は、導電性を有する線材を巻回した巻線と、電気的絶縁性を有し前記線材が巻回されボビンと、を備え、
該ボビンは、前記巻線と前記放熱部材との間に配置させる壁部を有し、
該壁部は、前記巻線に対して前記放熱部材が配されている側のみに設けられていることを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
請求項に記載のコイル部品と、
該コイル部品を設置する放熱部材と、を備え、
前記樹脂部が前記放熱部材に直接接触していることを特徴とするコイル部品の実装構造。
【請求項3】
前記コイル部品を前記放熱部材に向かって押し付ける押付手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品の実装構造。
【請求項4】
前記押付手段は、前記樹脂部を前記放熱部材に向かって押し付けるバネ部と、
前記放熱部材に固定され前記バネ部を支持する支持部と、を有し、
前記バネ部は、前記放熱部材と離間していることを特徴とする請求項3に記載のコイル部品の実装構造。
【請求項5】
請求項に記載のコイル部品を製造するコイル部品の製造方法であって、
前記巻線部の少なくとも一部を型材に収容する収容工程と、
前記型材に樹脂材料を充填して前記樹脂部を成型する成型工程と、
前記収容工程および前記成型工程の後に一体化した前記巻線部および前記樹脂部を前記型材から外す脱型工程と、を含むことを特徴とするコイル部品の製造方法。
【請求項6】
前記型材は、前記樹脂材料が充填される型部と、該型部を外方から支持する支持部と、を備え、
前記脱型工程では、前記支持部による前記型部の支持を解除した後に、一体化した前記巻線部および前記樹脂部を前記型材から外すことを特徴とする請求項5に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項7】
請求項に記載のコイル部品を製造するためコイル部品の型材であって、
前記巻線部の少なくとも一部が収容され樹脂材料が充填される型部と、
該型部を外方から支持する支持部と、を備えることを特徴とするコイル部品の型材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性を有する線材を巻回した巻線部と、巻線部を封止する樹脂部と、を備えるコイル部品が知られている。このようなコイル部品は、樹脂部がヒートシンク(放熱部材)と当接した状態でヒートシンク上に設置される。そして、巻線部において発生した熱は、樹脂部を介してヒートシンクへ伝えられる。
このようなコイル部品は、ヒートシンクに設けられた収容部に巻線部および樹脂部が収容されている。そして、コイル部品を製造する際には、収容部に巻線部を収容するとともに樹脂材料を充填し、巻線部および樹脂材料をヒートシンクとともに炉に入れて樹脂材料を硬化させて樹脂部を成型している。
しかしながら、コイル部品が大型の場合、ヒートシンクも大型となるため、樹脂材料を硬化させるために大型の炉が必要となるとともに、コイル部品およびヒートシンクの重量が大きく、樹脂部を成形する際の作業性が悪い。
【0003】
これに対し、巻線部および樹脂部がケースに収容されたコイル部品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなコイル部品は、ケースがヒートシンクと当接した状態でヒートシンク上に設置される。そして、巻線部において発生した熱は、樹脂部およびケースを介してヒートシンクへ伝えられる。
コイル部品を製造する際には、ケースに巻線部を収容するとともに樹脂材料を充填し、巻線部および樹脂材料をケースとともに炉に入れて樹脂材料を硬化させて樹脂部を成型している。そして、コイル部品をケースとともにヒートシンクに設置している。
このため、コイル部品が大型の場合には、ケースも大型となるが、樹脂材料を硬化させるためにヒートシンクを巻線部および樹脂材料とともに炉に入れる必要がないため、樹脂部を成型する際の作業性がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−111048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたコイル部品では、巻線部とヒートシンクとの間に、樹脂部およびケースといった複数の部材が介在するため、巻線部において発生した熱が効率よくヒートシンクへ伝えられず、コイル部品の性能が低下する虞がある。また、巻線部において発生した熱を効率よくヒートシンクへ伝えるためには、ケースを熱伝導率の高い材料で形成したり、ケースとヒートシンクとの間にケースとヒートシンクとを密着させる放熱グリスや放熱シートを設けたりする必要があり、製造コストが高いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、巻線部において発生した熱を効率よく放熱できるとともに製造コストを削減することができるコイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法およびコイル部品の型材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るコイル部品は、放熱部材に設置されるコイル部品であって、巻線部と、該巻線部の少なくとも一部を覆い前記放熱部材に直接接触させる樹脂部と、を備え、該樹脂部は、弾性変形可能であり、前記巻線部は、導電性を有する線材を巻回した巻線と、電気的絶縁性を有し前記線材が巻回されボビンと、を備え、該ボビンは、前記巻線と前記放熱部材との間に配置させる壁部を有し、該壁部は、前記巻線に対して前記放熱部材が配されている側のみに設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係るコイル部品の実装構造は、前記コイル部品と、該コイル部品を設置する放熱部材と、を備え、前記樹脂部が前記放熱部材に直接接触していることを特徴とする。
また、本発明に係るコイル部品の製造方法は、前記コイル部品を製造するコイル部品の製造方法であって、前記巻線部の少なくとも一部を型材に収容する収容工程と、前記型材に樹脂材料を充填して前記樹脂部を成型する成型工程と、前記収容工程および前記成型工程の後に一体化した前記巻線部および前記樹脂部を前記型材から外す脱型工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、コイル部品を放熱部材に設置する際に、巻線部の少なくとも一部を覆う樹脂部を弾性変形させることで、コイル部品と放熱部材とを密着させることができる。
これにより、巻線部において発生した熱が樹脂部を介して放熱部材へ伝わるため、巻線部において発生した熱を効率よく放熱させることができる。また、従来のように、コイル部品と放熱部材との間に放熱グリスや放熱シートを設ける必要がないため、コイル部品の製造コストを削減することができる。
また、従来のコイル部品のように、樹脂部を成型するために放熱部材を巻線部および樹脂材料とともに炉に入れる必要がないため、コイル部品が大型の場合も樹脂部を成型する際の作業性がよい。
また、本発明に係るコイル部品では、前記巻線部は、導電性を有する線材を巻回した巻線と、電気的絶縁性を有し前記線材が巻回されボビンと、を備え、該ボビンは、前記巻線と前記放熱部材との間に配置させる壁部を有する構成としている。
このような構成とすることにより、壁部によって巻線と放熱部材との電気的絶縁性をより高めることができる。
【0011】
また、本発明に係るコイル部品の実装構造では、前記コイル部品を前記放熱部材に向かって押し付ける押付手段を備えることが好ましい。
このような構成とすることにより、樹脂部を弾性変形させて放熱部材と密着した状態を維持することができる。
また、本発明に係るコイル部品の実装構造では、前記押付手段は、前記樹脂部を前記放熱部材に向かって押し付けるバネ部と、前記放熱部材に固定され前記バネ部を支持する支持部と、を有し、前記バネ部は、前記放熱部材と離間していてもよい。
【0012】
また、本発明に係るコイル部品の製造方法では、前記型材は、前記樹脂材料が充填される型部と、該型部を外方から支持する支持部と、を備え、前記脱型工程では、前記支持部による前記型部の支持を解除した後に、一体化した前記巻線部および前記樹脂部を前記型材から外すことが好ましい。
また、本発明に係るコイル部品の型材では、前記コイル部品を製造する型材であって、前記巻線部の少なくとも一部が収容され樹脂材料が充填される型部と、該型部を外方から支持する支持部と、を備えることを特徴とする。
このような構成とすることにより、同一の支持部に対して異なる型部を設けることができ、型部のみを樹脂材料の種類や樹脂部の形状などに合った最適な条件で製作すればよいため、型材の製作や管理に係る手間やコストを削減することができる。
そして、このような型材は、製造するコイル部品に対応する型部のみを用意すれば、他のコイル部品を製造する際に使用した支持部を利用できるため、型材の製作が大掛かりにならず、特に、小ロットのコイル部品を製造する場合に適している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コイル部品を放熱部材に設置する際に、巻線部の少なくとも一部を覆う樹脂部を弾性変形させることで、コイル部品と放熱部材とを密着させることができる。これにより、巻線部において発生した熱が樹脂部のみを介して放熱部材へ伝わるため、巻線部において発生した熱を効率よく放熱させることができる。また、従来のように、コイル部品と放熱部材との間に放熱グリスや放熱シートを設ける必要がないため、コイル部品の製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態によるコイル部品の実装構造の一例を示す図である。
図2】(a)は第1実施形態によるコイル部品の製造方法の収容工程および成型工程を説明する図、(b)は第1実施形態によるコイル部品の製造方法の脱型工程を説明する図、(c)は(b)に続く脱型工程を説明する図である。
図3】本発明の第2実施形態によるコイル部品の実装構造の一例を示す図である。
図4】第2実施形態によるコイル部品の製造方法を説明する図である。
図5】本発明の第3実施形態によるコイル部品の実装構造の一例を示す図である。
図6】本発明の第4実施形態によるコイル部品の実装構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態によるコイル部品、コイル部品の実装構造、コイル部品の製造方法について、図1および図2に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態によるコイル部品の実装構造1Aは、コイル部品2Aと、コイル部品2Aを設置する放熱部材3と、備えている。
【0016】
コイル部品2Aは、巻線部4Aと、巻線部4Aを覆う樹脂部5Aと、を備えている。
巻線部4Aは、導電性を有する線材を巻回した巻線6と、線材が巻回されるボビン7Aと、巻線6の両端と電気的に接続された外部端子8,8と、を備えている。本実施形態では、コイル部品2Aは、ボビン7Aに2本の線材を巻回した2つの巻線6,6を有し、4つの外部端子8,8…を備えている。外部端子8,8…は、それぞれに配線81,81…が接続されている。
ボビン7Aは、電気的絶縁材料、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタラート)、PF(フェノール樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタラート)からなり、例えば筒状に形成されている。また、ボビン7Aは、2つの巻線6,6の間に配置され、これらを電気的に絶縁する板部71を備えている。本実施形態では、板部71は、放熱部材3側の端部71a(本実施形態では下端部71a)が巻線6の放熱部材3側の端部よりの放熱部材3側に配置され、放熱部材3と直接接触している。
樹脂部5Aは、ボビン7Aよりも熱伝導性がよく、弾性変形しやすい(剛性の低い)樹脂材料、例えば、ウレタンやエポキシ系樹脂などで成型されている。
本実施形態では、樹脂部5Aは、巻線部4Aの全体を覆っている。なお、外部端子8,8…に接続された配線81,81…は、樹脂部5Aに覆われず露出している。
【0017】
放熱部材3は、例えば、アルミニウムなどのように熱伝導率に優れた導電性材料で形成されたヒートシンクなどの部材で、本実施形態では、放熱部材3は、平板状に形成され、コイル部品2Aが設置される部分が平坦面となっている。なお、コイル部品2Aが設置される部分以外には、放熱部材3の放熱を行うためのフィン(不図示)が設けられていてもよい。
【0018】
本実施形態によるコイル部品の実装構造1Aでは、コイル部品2Aの樹脂部5Aが放熱部材3と直接接触し、巻線部4Aと放熱部材3との間に樹脂部5Aが介在している。樹脂部5Aは、弾性変形して放熱部材3と密着している。
【0019】
次に、第1実施形態によるコイル部品の製造方法について説明する。
図2(a)に示すように、まず、樹脂部5Aの外形に対応する形状に形成された型材10Aに巻線部4Aを収容する(収容工程)。なお、巻線部4Aについては公知の製造方法で製造する。
【0020】
ここで、本実施形態によるコイル部品の製造方法で使用する型材10について説明する。
型材10は、樹脂部5Aの外形に対応する形状に形成されて樹脂部5Aを成型する樹脂材料51が充填される型部11と、型部11を支持する支持部12と、を備えている。
型部11は、巻線部4Aに対して一方側(本実施形態では下側)に配置される第1型部13と、他方側(本実施形態では上側)に配置される第2型部14とを有している。
本実施形態では、第1型部13および第2型部14は、それぞれ、シリコンやポリプロピレン(PP)などを材料とした薄板材を加工したものである。
本実施形態では、第1型部13は、巻線部4Aの下部側の外形に対応する形状に形成された基部13aと、基部13aの縁部から外側に突出するフランジ13bと、を有している。第2型部14は、巻線部4Aの上部側の外形に対応する形状に形成された基部14aと、基部14aの縁部から外側に突出するフランジ14bと、を有している。
このような第1型部13および第2型部14は、上下に合わさると、これらの内側に樹脂部5Aの外形に対応した形状の型が形成されている。
【0021】
支持部12は、第1型部13の下側に配置される第1支持部15と、第2型部14の上側に配置される第2支持部16と、を有している。
第1支持部15には、第1型部13の基部13aを収容可能な凹部15aが形成されるとともに、凹部15aの周囲に上側を向き上側から第1型部13のフランジ13bの下面が当接するフランジ当接面15bが形成されている。第2支持部16には、第2型部14の基部14aを収容可能な凹部16aが形成されているとともに、凹部16aの周囲に下側を向き下側から第2型部14のフランジ14bの上面が当接するフランジ当接面16bが形成されている。
このような第1支持部15および第2支持部16は、上下に合わさると、これらの内側に第1型部13および第2型部14を収容可能となっている。
【0022】
なお、第1支持部15の凹部15aは、第1型部13の基部13aを収容可能であれば、第1型部13の基部13a全体が嵌合する形状に形成されていなくてもよい。第2支持部16の凹部16aについても、第2型部14の基部14aを収容可能であれば、第2型部14の基部14a全体が嵌合する形状に形成されていなくてもよい。
例えば、第1支持部15の凹部15aは、内面の一部が第1型部13の基部13aの一部と当接し、これにより、第1型部13を所定の位置に支持するようにし、第2支持部16の凹部16aは、内面の一部が第2型部14の基部14aの一部と当接し、これにより、第2型部14を所定の位置に支持するようにしてもよい。
【0023】
また、本実施形態では、第1型部13および第2型部14は、第1支持部15および第2支持部16よりも軟質の材料で形成されている。第1型部13および第2型部14は、一部が第1支持部15および第2支持部16に当接して支持されていることにより、樹脂材料51が充填された衝撃や充填された樹脂材料51の重量などによって変形することが防止されている。
このため、第1型部13および第2型部14は、充填された樹脂材料51の成型を行うことができればよく、樹脂材料51を加圧できなくてもよい。
【0024】
収容工程では、まず、第1型部13に巻線部4Aを収容し、巻線部4Aの上側から第2型部14を被せて、第1型部13と第2型部14とを上下に合わさった状態とする。
このとき、巻線部4Aの下部側をボビン7Aの板部71の下端部71aを第1型部13の基部13aと当接させ、巻線6を第1型部13の基部13aと離間させた状態とし、第1型部13のフランジ13bと第2型部14のフランジ14bとを上下に重ねる。巻線部4Aの外部端子8,8…(不図示)に接続された配線81,81…(不図示)を第1型部13および第2型部14の隙間から外部へ引き出しておく。
【0025】
続いて、巻線部4Aが収容され上下に合わさった第1型部13および第2型部14を第1支持部15の凹部15aに設置する。このとき、第1型部13の基部13aの一部を第1支持部15の凹部15aの内面と当接させる。
そして、第2型部14の上側から第2支持部16を被せて、第1支持部15および第2支持部16を上下に合わさった状態とする。
このとき、第1型部13のフランジ13bの下面と第1支持部15のフランジ当接面15bと当接させ、第2型部14のフランジ14bの上面と第2支持部16のフランジ当接面16bと当接させる。そして、重なった第1型部13のフランジ13bおよび第2型部14のフランジ14bを第1支持部15のフランジ当接面15bと第2支持部16のフランジ当接面16bとで挟持する。
【0026】
続いて、第1型部13および第2型部14に樹脂材料51を充填し、樹脂材料5を硬化させて樹脂部5Aを成型する(成型工程)。
成型工程では、第1型部13と第2型部14との間に樹脂材料51を充填する。樹脂材料51の充填は、例えば、第1型部13および第2型部14のいずれか一方または両方に形成された充填孔(不図示)から第1型部13および第2型部14に樹脂材料51を充填する。
本実施形態では、巻線部4Aの下部側は、ボビン7Aの板部71の下端部71aが第1型部13の基部13aと当接し、巻線6が第1型部13の基部13aと離間しているため、巻線6と第1型部13の基部13aとの間に樹脂材料51が充填される。
そして、第1型部13および第2型部14に充填された樹脂材料51を硬化させて樹脂部5Aを成型する。例えば、樹脂材料51として熱硬化型の樹脂を採用しいる場合は、巻線部4Aおよび樹脂材料51を型材10とともに炉に入れて所定の温度で硬化させる。
【0027】
なお、第1型部13および第2型部14に樹脂材料51を充填する工程は、上記の収容工程の前または収容工程と同時に行ってもよい。
例えば、樹脂材料51が充填された第1型部13および第2型部14に巻線部4Aを収容してもよい。また、例えば、第1型部13および第2型部14に巻線部4Aを収容する前に一部の樹脂材料51を充填し、巻線部4Aを収容した後に残りの樹脂材料51を充填してもよい。
【0028】
続いて、樹脂材料51が硬化して樹脂部5Aが成型された後に、一体化した巻線部4Aおよび樹脂部5Aを型材10から外す(脱型工程)。
まず、図2(b)に示すように、第1支持部15および第2支持部16を第1型部13および第2型部14から外す。
続いて、図2(c)に示すように、一体化した巻線部4Aおよび樹脂部5Aを第1型部13および第2型部14から外す。
このようにして、本実施形態によるコイル部品2Aが製造される。
【0029】
なお、本実施形態では、巻線部4Aの下部側は、巻線6と第1型部13との間に樹脂材料51が充填されていたため、巻線6の下側に樹脂部5Aが形成されている。そして、この樹脂部5Aを弾性変形させて放熱部材3と直接接触させるようにして、コイル部品2Aを放熱部材3の上に設置する。
【0030】
次に、上述した第1実施形態によるコイル部品2A、コイル部品の実装構造1A、コイル部品の製造方法の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態によるコイル部品2A、コイル部品の実装構造1A、コイル部品の製造方法では、コイル部品2Aを放熱部材3に設置する際に、巻線部4Aを覆う樹脂部5Aを弾性変形させることで、コイル部品2Aと放熱部材3とを密着させることができる。これにより、巻線部4Aにおいて発生した熱が樹脂部5Aのみを介して放熱部材3へ伝わるため、巻線部4Aにおいて発生した熱を効率よく放熱させることができる。また、従来のように、コイル部品2Aと放熱部材3との間に放熱グリスや放熱シートを設ける必要がないため、コイル部品2Aの製造コストを削減することができる。
【0031】
巻線部4Aは、全体が樹脂部5Aに覆われていることにより、巻線部4Aにおいて発生した熱が巻線部4A全体から樹脂部5Aに伝わるため、巻線部4Aにおいて発生した熱を効率よく放熱させることができる。巻線部4Aは、全体が樹脂部5Aに覆われていることにより、巻線部4Aにおいて発生した音や振動を樹脂部5Aが吸収することができ、巻線部4Aから外部に伝わる音や振動を抑制することができる。
樹脂部5Aは、ボビン7Aの板部71よりも弾性変形しやすいことにより放熱部材3とより密着し、かつ、ボビン7Aの板部71よりも熱伝導性が高いため、ボビン7Aの板部71よりも巻線部4Aにおいて発生した熱を効率よく放熱部材3へ伝えることができる。
【0032】
ボビン7Aの板部71は下端部71aが巻線6よりも下側(放熱部材3側)に配置されることにより、巻線部4Aを第1型部13に収容した際に、巻線6と第1型部13の基部13aとが離間する。これにより、巻線6と第1型部13の基部13aとの隙間に樹脂材料51を容易に充填することができるため、巻線6の下側に樹脂部5Aを容易に形成することができる。
コイル部品2Aは、従来のコイル部品のように、樹脂部5Aを成型するために放熱部材3を巻線部4Aおよび樹脂材料51とともに炉に入れる必要がないため、コイル部品2Aが大型の場合も樹脂部5Aを成型する際の作業性がよい。
【0033】
本実施形態による型材10は、樹脂材料51が充填される型部11と、型部11を外方から支持する支持部12と、を有していることにより、同一の支持部12に対して異なる型部11を設けることができ、型部11のみを樹脂材料51の種類や樹脂部5Aの形状などに合った最適な条件で製作すればよいため、型材10の製作や管理に係る手間やコストを削減することができる。
そして、このような型材10は、製造するコイル部品2Aに対応する型部11のみを用意すれば、他のコイル部品を製造する際に使用した支持部12を利用できるため、型材10の製作が大掛かりにならず、特に、小ロットのコイル部品2Aを製造する場合に適している。
本実施形態では、型部11は、薄板材を加工したものであるとともに、支持部12よりも軟質の材料で形成されているため、硬化した樹脂部5Aから外しやすく、脱型工程を容易に行うことができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図3に示すように、第2実施形態によるコイル部品の実装構造1Bは、コイル部品2Bの巻線部4Aの放熱部材3側(下側)が樹脂部5Bに覆われていて、巻線部4Aの上部側が樹脂部5Bに覆われずに露出している。外部端子8,8…および外部端子8,8…に接続された配線81が樹脂部5Bに覆われず露出している。
なお、巻線部4Aのうち樹脂部5Bに覆われず露出している部分は、放熱部材3と接触しない部分となっている。
第2実施形態のコイル部品2Bの樹脂部5Bの形態は、第1実施形態によるコイル部品2Aの樹脂部5Aと、巻線部4Aの上部側を覆っていない点以外は同等の形態としている。
【0035】
第2実施形態によるコイル部品の製造方法では、図2に示す第1実施形態のような型部11と支持部12を有する型材10Aではなく、図4に示すような、コイル部品2Bの下部側に対応した形状に形成され、樹脂材料51を充填可能な上側に開口する凹部10aを有する型材10Bを使用している。
第2実施形態によるコイル部品の製造方法における成型工程では、型材10Bの凹部10aに巻線部4Aを収容し、樹脂材料51を充填する。このとき、巻線部4Aの上方には樹脂材料51を充填せず、巻線部4Aの上部側を露出させる。
そして、この状態で樹脂材料51を硬化させて、巻線部4Aの下部側のみを覆う樹脂部5Bを成型する。
【0036】
なお、第2実施形態では、ボビン7Aの板部71の下端部71aを型材10Bの凹部10aの底面と当接させて、巻線部4Aの巻線6の下端部と型材10Bの凹部10aの底面とを離間させる。そして、巻線部4Aの巻線6の下端部と型材10Bの凹部10aの底面との間に樹脂材料51を充填して、巻線部4Aの巻線6の下側に樹脂部5Bを形成する。
【0037】
第2実施形態によるコイル部品2Bによれば、巻線部4Aに樹脂部5Bに覆われていない部分があるため、この樹脂部5Bに覆われていない部分に、外部端子8,8…を設けることができる。
【0038】
(第3実施形態)
図5に示すように、第3実施形態によるコイル部品の実装構造1Cでは、コイル部品2Aを放熱部材3に向かって押し付ける押付手段9を備えている。
押付手段9は、樹脂部5Aを放熱部材3に向かって押し付けるバネ部91と、放熱部材3に固定されバネ部91を支持する支持部92と、を備えている。
バネ部91は、弾性変形可能な鋼板を断面形状が略Z字状となるように形成した部材で、樹脂部5Aの上端面と当接する第1板部93と、第1板部93の下側に第1板部93と略平行に配置され支持部92に固定される第2板部94と、第1板部93と第2板部94とを連結する第3板部95と、を有している。バネ部91は、弾性変形して第1板部93が樹脂部5Aを放熱部材3側に押し付けるように構成されている。
【0039】
第3実施形態によるコイル部品の実装構造1Cは、コイル部品2Aの樹脂部5Aを放熱部材3に向かって押し付ける押付手段9を備えることにより、樹脂部5Aと放熱部材3とを密着した状態に維持することができる。
【0040】
(第4実施形態)
図6に示すように、第4実施形態によるコイル部品の実装構造1Dでは、コイル部品2Dの巻線部4Dのボビン7Dが、第1実施形態によるボビン7A(図1参照)を構成する部材に加えて、巻線6,6の下側(放熱部材3側)に配置される壁部72を有している。この壁部72は、電気的絶縁材料、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタラート)、PF(フェノール樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタラート)から形成されている。
壁部72は、巻線6,6の下側を覆うように配置されている。また、壁部72の上面には、ボビン7Dの板部71の下端部71aが当接している。
【0041】
第4実施形態では、樹脂部5Dは巻線部4Dの全体を覆っている。具体的には、樹脂部5Dは、巻線6,6のうち壁部72と当接していない部分の表面と、壁部72のうち巻線6,6と対向していない部分の表面と、を覆っている。なお、第4実施形態においても外部端子8,8…に接続された配線81,81…は、樹脂部5Dに覆われず露出している。
コイル部品2Dが放熱部材3に設置されると、壁部72と放熱部材3との間に樹脂部5Dが介在し、壁部72と放熱部材3とは直接接触していない。
【0042】
第4実施形態によるコイル部品2Dの製造方法では、例えば、収容工程において、図2に示す型部11の第1型部13の基部13aの上にスペーサを設置し、このスペーサにボビン7Dの壁部72を当接させて、第1型部13の基部13aとボビン7Dの壁部72とを離間させる。そして、成型工程において、第1型部13の基部13aとボビン7Dの壁部72との間に樹脂材料51の一部を充填し、樹脂部5Dの一部を第1型部13の基部13aとボビン7Dの壁部72との間に成型する。
脱型工程において脱型されたコイル部品2Dの樹脂部5Dのうち、第1型部13の基部13aとボビン7Dの壁部72との間に収容されていた部分には、スペーサを外すことでスペーサが配置されていた部分に孔部が形成されるが、本実施形態ではコイル部品2Dが放熱部材3に設置されて樹脂部5Dが弾性変形した際にこの孔部が塞がるように構成されている。なお、この孔部が塞がれなかったとしても、コイル部品の実装構造1Dの電気的信頼性に影響することはない。
【0043】
第4実施形態によるコイル部品の実装構造1Dは、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、ボビン7Dが壁部72を有し、壁部72が巻線6,6と放熱部材3との間に配置されるため、巻線6,6と放熱部材3との電気的絶縁性をより高めることができる。
【0044】
以上、本発明によるコイル部品2A,2B、2Dコイル部品の実装構造1A〜1D、コイル部品の製造方法、およびコイル部品の型材10A,10Bの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、巻線部4A,4Dは、ボビン7A,7Dに2本の線材が巻回された2つの巻線6,6を有し、それぞれの巻線6,6の線材の端部に接続された4つの外部端子8,8…を備えているが、巻線6やボビン7A,7D、外部端子8の形態や数は適宜設定されてよい。また、巻線部4には、巻線6やボビン7A,7Dを覆うケースなどが設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、放熱部材3は、コイル部品2A,2B,2Dの下側に配置されているが、放熱部材3とコイル部品2A,2B,2Dの位置は限定されないものとする。例えば、放熱部材3は、コイル部品2A,2B,2Dの側方に配置されていてもよいし、コイル部品2A,2B,2Dの下側および側方に配置されていてもよい。
【0045】
また、上記の第1〜3実施形態では、ボビン7Aの板部71の下端部71aは、放熱部材3と直接接触しているが、放熱部材3と直接接触していなくてもよい。
また、上記の第4実施形態では、ボビン7Dの壁部72と放熱部材3とが離間しているが、壁部72に放熱部材3側に突出する突出部が設けられていて、この突出部と放熱部材3とが直接接触していてもよい。
また、上記の第2実施形態では、巻線部4Aは下部側が樹脂部5Bに覆われていて、上部側が露出しているが、樹脂部5Bに覆われている部分および露出する部分の位置は適宜設定されてよい。巻線部4Aの樹脂部5Bに覆われている部分や露出する部分は、複数に分かれて配置されていてもよい。第4実施形態において巻線部4Dの上部側が露出していてもよい。
【0046】
また、上記の第1実施形態では、型部11と支持部12とを有する型材10Aを使用してコイル部品2Aを製造し、第2実施形態では、コイル部品2Bの下部側に対応し樹脂材料51を充填可能な上側に開口する凹部10aが形成された型材10Bを使用してコイル部品2Bを製造しているが、使用する型材は上記以外のものであってもよい。
また、上記の第1〜第3実施形態では、ボビン7の板部71の下端部71aが巻線6よりも下側に配置されているが、巻線6よりも下側に配置されていなくてもよい。このような場合、コイル部品2A,2Bの製造方法において、巻線部4の巻線6の下端部と、第1型部13の基部13aまたは型材10Bの凹部10aの底面とを離間させるために、巻線部4の巻線6の下端部と第1型部13の基部13aとの間、または巻線部4の巻線6の下端部と型材10Bの凹部10aの底面との間に、巻線部4の巻線6の下端部と第1型部13の基部13a、または型材10Bの凹部10aの底面とを離間させるためのスペーサを設けてもよい。
【0047】
また、上記の第3実施形態では、押付手段9は、コイル部品2Aの樹脂部5Aを放熱部材3に向かって押し付けているが、コイル部品2の巻線部4Aを放熱部材3に向かって押し付けて、この押付力によって樹脂部5Aを放熱部材3に密着させてもよい。第2実施形態や第4実施形態によるコイル部品の実装構造1B,1Dにおいて、押付手段9を設けてもよい。
また、押付手段9の形態は、例えばバネ部91が支持部92を介さずに放熱部材3に固定されているなど適宜設定されてよい。
【0048】
また、上記の第4実施形態では、放熱部材3がコイル部品2Dの下側に配置されていて、巻線6,6の下側にボビン7Dの壁部72が配置されているが、放熱部材3がコイル部品2Dの側方に配置されている場合に、巻線6,6の側方(放熱部材側)に巻線6,6の側方を覆うようにボビン7Dの壁部72が配置されていてもよい。
また、放熱部材3がコイル部品2Dの下側と側方に配置されている場合に、壁部が72を巻線6,6の下側を覆うように配置される部分と、巻線6,6の側方を覆うように配置される部分とを有する形態であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1A,1B,1C,1D コイル部品の実装構造
2A,2B,2D コイル部品
3 放熱部材
4A,4D 巻線部
5A,5B,5D 樹脂部
6 巻線
7A,7D ボビン
9 押付手段
10A,10B 型材
11 型部
12 支持部
51 樹脂材料
71 板部
72 壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6